説明

路面平坦性測定装置

【課題】高速道路や普通の道路等の路面を走る自動車に、通常の走行速度で走行させつつ路面の平坦性が測定できるようにした路面平坦性測定装置を提供する。
【解決手段】本発明の路面平坦性測定装置は、自動車の走行方向に沿った3個所に、それぞれ路面までの高さを測定するレーザ測距器を備え、該レーザ測距器のうち、前後2つの測距値を結んだ基準線に対する中間の1つの測距値の変動により路面の形状を測定することを特徴とし、自動車を通常の走行速度で走らせながら路面の平坦性を測定でき、しかも、車上や車内にパソコン等のデータ処理ユニット及びその付属機器を搭載でき、測定する路面上の距離に限界がなく、測定が短時間で済み、時間と労力が大いに節約できるようにしている。また、各レーザ測距器はトラックの荷台下の空間に設置し、機器類を荷台上に搭載できるようにし、自動車の車輪を距離測定エンコーダに利用できるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路や普通道路等の路面の形状を、自動車の通常の走行速度で測定できるようにした路面平坦性測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の路面平坦性測定装置として代表的なものに、実用新案登録第3139705号公報のものがある。この路面平坦性測定装置50は、図5の如く、支持フレーム51の前側及び後側に、それぞれ4つのキャスターにて接地した前部台車52と後部台車53とを有し、前記支持フレーム51の中央部に上下動可能に測定車輪54を設けてなり、前記前部台車52と後部台車53との接地レベルに対する測定車輪54の上下の変位を算定する変位測定エンコーダ55と、測定車輪54の移動距離を測定する距離測定エンコーダ56とを設けている。しかして、前部台車52側に牽引用のハンドル57を備えている。
【0003】
したがって、作業者が、前記ハンドル57にて前記路面平坦性測定装置50を牽引しつつ路面上を走行させると、前記測定車輪54が距離測定エンコーダ56により計測しつつ進み、設定した距離ごとに、前部台車52と後部台車53の接地レベルに対する測定車輪54の上下変位が変位測定エンコーダ55により測定され、その測定データがパソコン等のデータ処理ユニットに伝送され、リアルタイムに記録されるようになっていた。
【特許文献1】実用新案登録第3139705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の路面平坦性測定装置50では、前記測定車輪54からの情報により変位測定エンコーダ55及び距離測定エンコーダ56が作動し、これらからの測定データの伝送を受領するパソコン等のデータ処理ユニットを支持フレームに積載することは困難であり、したがって、ケーブル或いは無線を使ってパソコン等のデータ処理ユニットに伝送するため、測定できる範囲が限られていたし、作業者の人力に頼ることが多く、路面上を走行させる距離にも限界があった。また、測定に多くの時間と労力を要することとなっていた。
【0005】
本発明は、上記の問題を解消したもので、その目的とするところは、高速道路や普通の道路等の路面を走る自動車に、通常の走行速度で走行させつつ路面の平坦性が測定できるようにした路面平坦性測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の路面平坦性測定装置は、自動車の走行方向に沿った3個所に、それぞれ路面までの高さを測定するレーザ測距器を備え、該レーザ測距器のうち、前後2つの測距値を結んだ基準線に対する中間の1つの測距値の変動により路面の形状を測定することを特徴とし、自動車を通常の走行速度で走らせながら路面の平坦性が測定できるように構成した。
【0007】
また、請求項2に記載の路面平坦性測定装置は、前記レーザ測距器が、トラックの荷台下の空間に等間隔に設置されていることを特徴とし、荷台がパソコン等のデータ処理ユニット及びその付属機器の積載スペースとして利用できるように構成した。
【0008】
さらに、請求項3に記載の路面平坦性測定装置は、前記自動車の車輪が、距離測定エンコーダになっていることを特徴とし、路面の平坦性の測定において、測定距離が大径の車輪により得られるように構成した。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動車を通常の走行速度で走らせながら路面の平坦性を測定でき、しかも、車上や車内にパソコン等のデータ処理ユニット及びその付属機器を搭載でき、測定する路面上の距離に限界がなく、測定が短時間で済み、時間と労力が大いに節約できる等の各種の優れた効果を奏するものである。
【0010】
また、請求項2の発明によれば、各レーザ発受振器がトラックの荷台下に等間隔に設置され、荷台がパソコン等のデータ処理ユニット及びその付属機器の積載が可能となり、測定範囲を大幅に拡大できるという優れた効果を奏するものである。
【0011】
また、請求項3の発明によれば、路面の平坦性の測定において、測定距離が大径の車輪により得られることから、測定距離が、30m、50mという短くも、逆に、10Km、20Kmと長くなっても常に、正確な距離測定及び平坦性の測定ができるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施の態様を添付図面に基づいて説明する。図1は本願装置をトラックに取付けた状態を示す側面図、図2はレーザ測距器の取付枠による取付け状態を示す斜視図、図3は本願装置の概要を示すブロック図、図4は本願装置による測定したデータの概略図、図5は従来装置を示す斜視図である。
【0013】
図1において、1は路面平坦性測定装置を搭載した自動車であって、該自動車1として図示の場合はトラックが示されているが、乗用車でも、ワンボックスカーでも、特注の専用車両その他でもよい。前記トラック1は、運転席1a、荷台1b及びその側壁1b′、車輪(前輪及び後輪)1cを備える。該トラック1の場合、その荷台下の空間の、走行方向に沿った3個所に、レーザ測距器2a、2b、2cを設置している。なお、トラックに比して車体下の空間の小さい乗用車やワンボックスカーでは、レーザ測距器と路面との距離を確保するために、必要に応じて床部に穴を開けることもある。
【0014】
前記レーザ測距器2a、2b、2cは、図2の如く、前記トラック1の荷台の側壁1b′の上端縁に、フックを介して引っ掛けて取付けた取付枠4に固定した枝枠4aの端部に路面3に向けて同高位置に取付けられている。
【0015】
前記レーザ測距器2a、2b、2cによる路面3までの測距は、図示していないが、レーザ照射部と、レーザ受光部を隣接配置してなり、図3の如く、それぞれ路面3までの高さhが測定できるようになっている。この測定はトラック1の走行中に測定できる。ここに使われるレーザは、He−Neレーザを含み、昼間の明るい光の中でも測距できるものである。尤も、太陽光によって誤動作が生ずる虞があるときはレーザ測距器にカバーを付けて日陰を作るように対処することがよい。
【0016】
前記レーザ測距器2a、2b、2cは、トラック1の荷台1b上に搭載したパソコン等のデータ処理ユニット及びその付属機器(図示せず)に、それぞれケーブル5を介して荷台1bの側壁1b′を超えて連繋している。勿論、荷台の床を貫通させてもよい。
【0017】
前記自動車1の走行方向に沿った3個所に設置されたレーザ測距器2a、2b、2cのうち、前後2つのレーザ測距器2a、2cの測距ポイントA、Cにおける測距値を結んだ基準線(図3では路面3に相当)に対する中間のレーザ測距器2bによる測距ポイントBの測距値の変動により路面3の形状が測定できるようになっている。
【0018】
換言すれば、前後2つのレーザ測距器2a、2cの測距ポイントA、Cにおける測距値は路面3のレベルを示し、中間のレーザ測距器2bによる測距ポイントBが沈んでいるときは、測距値はマイナスαとなり、中間のレーザ測距器2bによる測距ポイントBが盛り上がっているときは、測距値はプラスαとなる。
【0019】
しかして、前記3つのレーザ測距器2a、2b、2cにより得られた測距値は、比較器6により比較されてパソコン7に伝送され、車輪1cの回転数から得た距離測定エンコーダ8の情報を加味して演算されて記憶される。この伝送されたデータは、リアルタイムでモニタ9に画像として出力できるとともに、記憶されたデータは、プリンタ10により適時、データシート或いはグラフ等の出力物11として印字出力される。図4は10mごとの路面3の形状を測定し、1Kmにわたって測定したものである。なお、この図においては、細かい数値は省略し、全体の形状のみが判るように示している。
【0020】
前記路面平坦性測定装置を搭載した自動車により長距離を測定するとき、距離が伸びる程に、位置情報に誤差が生ずる可能性は否定できない。この誤差を修正する手段として2つある。一つは、GPSの位置情報を取り込むこと、二つは前記自動車にレーザセンサーを搭載し、路肩の定点に反射板を設置することで距離信号に目印を付けることであり、この2つは本願装置にオプションとして設置し得るし、他に誤差を修正する手段があればそれによることもある。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本願の路面平坦性測定装置は、道路上を走る自動車に、通常の走行速度で走行させつつ路面の平坦性を測定できるようにしたもので、高速道路のような長い距離の路面の平坦性を測定することも、また、アンダーパスを通して立体交差にする工事区間に限って短い距離の路面の平坦性を測定することも、短時間にして小労力にて測定可能であり、産業上広く利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本願装置をトラックに取付けた状態を示す側面図である
【図2】レーザ測距器の取付枠による取付状態を示す斜視図である。
【図3】本願装置の概要を示すブロック図である。
【図4】本願装置による測定データの概略図である。
【図5】従来装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 自動車(トラック)
1a 運転席
1b 荷台
1b′側壁
1c 車輪
2a、2b、2c レーザ測距器
3 路面
4 取付枠
4a 枝枠
5 ケーブル
6 比較器
7 パソコン
8 距離測定エンコーダ
9 モニタ
10 プリンタ
11 出力物
A、B、C 測距ポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の走行方向に沿った3個所に、それぞれ路面までの高さを測定するレーザ測距器を備え、該レーザ測距器のうち、前後2つの測距値を結んだ基準線に対する中間の1つの測距値の変動により路面の形状を測定することを特徴とする路面平坦性測定装置。
【請求項2】
前記レーザ測距器が、トラックの荷台下に等間隔に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の路面平坦性測定装置。
【請求項3】
前記自動車の車輪が、距離測定エンコーダになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の路面平坦性測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−173095(P2012−173095A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34583(P2011−34583)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(594144980)株式会社東京計測 (12)
【Fターム(参考)】