説明

身体測定装置

【課題】 被検者の身体の静的な姿勢バランスや体のねじれ、ゆがみおよび動的な姿勢バランスなどを測定することができる身体測定装置を提供する。
【解決手段】 被検者の身体の所定の部位に貼付された複数の反射マーカ(11)からの反射光を測定するデジタルカメラ(12)を備えた姿勢測定部(10)と、左右それぞれ複数に分割された踏み台(21a〜21h)と各踏み台に対応して設けられた荷重センサとを有する体重計を備えたバランス測定部(20)と、前記姿勢測定部およびバランス測定部からの信号を処理する信号処理部(30)と、前記信号処理部により処理された測定結果を出力する出力部(40)とを設け、前記姿勢測定部とバランス測定部とを同期して動作させて被検者の姿勢を判定するための測定データを得るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の身体的特徴特に姿勢やバランスを測定可能な身体測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身体のバランスの崩れや姿勢の悪さと病気との因果関係が指摘されるようになって来ており、それに伴って姿勢や体のねじれ、ゆがみなどを正確に測定することができる装置が望まれている。従来、被検者の姿勢や体のねじれ、ゆがみなどの検査は、理学療法士などの専門家が直接目で見たり触診したりすることで行なわれており、人間の経験や熟練に依存するところが大きく定量的に測定することが困難な検査であった。
【0003】
被検者の姿勢などを測定する装置としては、例えば特許文献1に開示されている身体の姿勢バランスを測定する機能を有する体重計に関する発明や、特許文献2に開示されているビデオカメラにより被検者の背中に貼付されている指標の画像データを入力して指標の運動軌跡から身体の動揺を測定する測定装置に関する発明がある。
【特許文献1】特開2003−339671号公報
【特許文献2】特開2004−261376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の身体測定装置は、左の足を乗せる踏み台と右足を乗せる支持台と荷重センサとを備え、左足に分散される体重の一部から、左足と右足にかかる体重を相対的に把握することで身体の左右の姿勢バランスを測定するものである。このような測定値は、左右の姿勢バランスを定量的かつ客観的に測定することはできても、前後のバランスはもちろん体のねじれ、ゆがみなどを測定することができないという課題がある。
【0005】
また、上記特許文献2に記載の身体測定装置は、身体の動揺という動的な姿勢バランスを測定することはできても、静的な姿勢バランスや体のねじれ、ゆがみなどを測定することができないという課題がある。
【0006】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、被検者の身体の静的な姿勢バランスや体のねじれ、ゆがみおよび動的な姿勢バランスなどを測定することができる身体測定装置を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、外からは分かりにくい被検者の身体の左右、前後の姿勢バランスを測定することができる身体測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る身体測定装置は、被検者の身体の所定の部位に貼付された複数の反射マーカからの反射光を測定するデジタルカメラを備えた第1測定部(姿勢測定部)と、左右それぞれ複数に分割された踏み台と各踏み台に対応して設けられた荷重センサとを有する体重計を備えた第2測定部(バランス測定部)と、前記姿勢測定部およびバランス測定部からの信号を処理する信号処理部と、前記信号処理部により処理された測定結果を出力する出力部とを設け、前記姿勢測定部とバランス測定部とを同期して動作させて被検者の姿勢を判定するための測定データを得るようにしたものである。
【0009】
この発明によれば、複雑かつ高価な測定装置を用いずに、左右の姿勢バランスはもちろんのこと、前後のバランス、体のねじれ、ゆがみなどを定量的かつ客観的に測定することができる。
【0010】
ここで、望ましくは、前記姿勢測定部は、身体の正面からの画像を撮影する第1のデジタルカメラと、身体の側面からの画像を撮影する第2のデジタルカメラと、身体の上面からの画像を撮影する第3のデジタルカメラとを備え、前記第1〜第3のデジタルカメラは同時に画像を撮影するように制御する。これにより、正確な姿勢判定が可能となる。
【0011】
また、望ましくは、前記姿勢測定部は、前記デジタルカメラの取付け姿勢を正しく設定するための水準器を備えるようにする。これにより、デジタルカメラによって撮影された画像データの補正等が不要になる。
【0012】
さらに、望ましくは、前記信号処理部は、前記姿勢測定部からの画像データを2値化処理する機能と、2値化されたデータに基づいて前記反射マーカの座標を算出する機能と、各反射マーカの座標から身体の各部の中心線からの変位を算出する機能と、対応する複数の反射マーカの座標から身体の所定の部位の傾きを算出する機能と、算出された身体の各部の中心線からの変位および身体の所定の部位の傾きを前記出力部より出力させる機能とを備えるようにする。これにより、被検者の姿勢の判定結果の把握が容易となる。
【0013】
また、望ましくは、前記信号処理部は、前記バランス測定部からの出力に基づいて算出した前記踏み台ごとの荷重値を、前記踏み台に対応した図形内に表示して前記出力部より出力させるようにする。これにより、外からは分かりにくい被検者の身体の左右、前後の姿勢バランスの把握が容易となる。
【0014】
さらに、前記体重計は2n個(nは正の整数)に分割された踏み台と2n個の荷重センサとを備え、前記信号処理部は前記2n個の荷重センサのうち所定のセンサの出力を加算して2(n−1)個以下の荷重値を算出して前記出力部より出力させるように構成すると良い。これにより、出力のパターンを複数提供することができ、測定結果の視認性を向上させることができる。
【0015】
また、前記信号処理部は、前記バランス測定部の荷重センサの出力を外部より入力される所定の信号に同期して取り込んで荷重値を算出してメモリに記憶するように構成すると良い。これにより、被験者の姿勢が安定した時の測定データを得ることができる。
【0016】
さらに、前記信号処理部は、外部より任意に設定された所定の時間内に外部より入力される所定の信号に同期して複数回前記荷重センサの出力を取り込んで荷重値を算出して前記メモリに時系列的に記憶し、測定終了後に前記メモリに時系列的に記憶されている前記荷重値を前記出力部より順次出力させる機能を有するようにする。これにより、時系列的な測定データを出力することができ、姿勢バランスの時間的変化の把握が容易となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に従うと、被検者の身体の静的な姿勢バランスや体のねじれ、ゆがみおよび動的な姿勢バランスなどを測定することができる身体測定装置を実現することができる。また、外からは分かりにくい被検者の身体の左右、前後の姿勢バランスを測定することができる身体測定装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、参照しながら本発明に係る身体測定装置の実施の形態を詳細に説明する。
図1には、本発明を適用して有効な身体測定装置の一実施形態が示されている。この実施形態の身体測定装置は、デジタルカメラをセンサとする姿勢測定部10と、体重計をセンサとするバランス測定部20と、これらに共通の信号処理部30と、測定結果を出力する出力部40とからなる。信号処理部30はパーソナルコンピュータと信号処理のためのプログラムとによって構成することができる。
【0019】
姿勢測定部10は、被検者の肩など身体的特徴を表わす部位に貼付される複数の反射マーカ11と、フラッシュランプおよび無線LAN等の通信機能を有するデジタルスチールカメラ(以下、デジカメと称する)12と、デジカメ12の取付け姿勢を調整するための水準器13などから構成される。無線LAN等の通信機能を持たないデジカメを使用する場合には、カメラのシャッタを動作させるシャッタ駆動手段や、外部からの指令で所望のタイミングでデジカメ12により撮影された画像データを取得し、送信する通信手段を有するカメラ周辺装置を設けるようにしても良い。
【0020】
反射マーカ11は、直径数cmの球体の周囲を反射率の高い膜や層で被覆した構成を有し、両面接着テープなどにより身体の任意の部位に貼付される。反射マーカ11を貼付する好適な身体の部位としては、例えば上から順に耳殻、肩峰、肘頭、腸骨稜、大転子、大腿骨外果、距骨頭(くるぶし)、中足骨など考えられる。反射マーカ11を球体としているのは、被検者の身体を正面、側面、上面など複数の方向から撮影したときにマーカを付け替えることなく反射光を得られるようにするためである。
【0021】
図1には、図示の都合で、身体の正面画像を撮影するデジカメ12とその水準器13のみが示されているが、身体の側面画像を撮影するデジカメとその水準器、身体の上面画像を撮影するデジカメとその水準器を設けられている。ただし、コスト低減のため1組のデジカメで複数の方向からの撮影画像を得るようにしても良い。
【0022】
バランス測定部20は、図2に示すように、左右に4分割、前後に2分割、計8分割された踏み台21a〜21hと各踏み台に対応して内部に設けられた8個の荷重センサS1〜S8とを有する体重計22を備え、体重計22は伝送ケーブル23によって信号処理部30としてのパーソナルコンピュータに接続されている。この実施例では、各センサの出力は、信号処理部30に設けられている増幅回路31によって増幅され、A/D変換回路32によってデジタル信号に変換されてCPU(中央処理ユニット)33に渡されて処理され、液晶モニタ34に表示されるとともに、メモリ35に格納される。
【0023】
特に限定されるものでないが、増幅回路31は、イベントスイッチ51もしくは同期入出力端子52からの同期信号入力に応じて各センサの出力をサンプリングして増幅するように構成されている。同期信号入力としては、例えば信号処理部30から前記姿勢測定部10のデジカメ12へ送られる撮影開始信号などが考えられる。
【0024】
各荷重センサS1〜S8の出力(荷重値)を検出する回路や検出結果を伝送する通信手段(図示省略)を体重計22に設け、外部からの指令で所望のタイミングで各センサの出力を取得し、得られた荷重値を通信手段によってパーソナルコンピュータに伝送するように構成しても良い。また、増幅回路31は各センサの出力を常時増幅するようにして、CPU33がイベントスイッチ51もしくは同期入出力端子52からの同期信号入力に応じてそのときの荷重値をメモリ35に記憶するように構成しても良い。
【0025】
上記荷重センサは、この実施例では、歪ゲージ方式のロードセルで構成されているが、圧電素子を使用するものや圧縮バネを用いるものなど、荷重を検出できるものであればどのような構造のものであってもよい。出力部40はプリンタによって構成されている。信号処理部30がパーソナルコンピュータによって構成されている場合、その液晶表示パネルなどの表示装置も出力部とみなされる。
【0026】
次に、上記信号処理部30の機能を、姿勢測定とバランス測定に分けて説明する。
【0027】
姿勢測定における信号処理部30の主な機能は、撮影開始指令を姿勢測定部10へ与える機能と、姿勢測定部10から送られてきた画像データを白黒2値化する2値化処理機能と、各反射マーカ11からの反射光の画像上での位置をアドレス座標値などとして取得するラベリング処理機能と、得られた各反射マーカの位置データから被検者の姿勢を分析する姿勢分析機能と、分析結果を理解し易い図形データに加工するデータ加工機能と、加工されたデータをモニタやプリンタにより出力するデータ出力機能などである。これらの機能は、キーボード等からの指令入力で連続した一連の処理として実行させることができるとともに、1ステップずつ処理させて行くことができるようにされている。
【0028】
信号処理部30から姿勢測定部10への撮影開始指令は無線LANを介して与えられる。撮影開始指令が与えられると、デジカメ12のシャッタが動作されるとともにこれに同期してフラッシュランプが点灯され、各反射マーカ11からの反射光を含んだ被検者の身体画像が撮影される。撮影により得られた画像データは、例えばJPEGなどの形式で無線LANを介して信号処理部30へ伝送される。
【0029】
画像データを取得した信号処理部30は、2値化処理を実行する。この2値化処理では、図3(A)のように、反射マーカからの反射光のみが白で表示され、それ以外は黒で表示されるようなしきい値が使用される。なお、図示の都合で図3では実際の表示画面とは白黒が逆の状態で示してある。つまり、図3の黒色ドットが各マーカからの反射光を表わしている。
【0030】
次のラベリング処理では、2値化された画像データから各反射マーカの位置をアドレス座標値として取得し、図3(B)のように、各反射マーカの番号を画像に付記するとともに、各反射マーカの座標値を例えば表形式で表示する。ここでは、複数の反射マーカのうち最も下方の足に貼付された一対のマーカ(No17,No18)の中点を原点としX軸を水平方向、Y軸を垂直方向にとったX−Y座標を用いて各反射マーカの座標値が算出される。
【0031】
図4には上記のようにして得られた各反射マーカの座標値に基づいて所定の演算を行なって得られた姿勢分析の静的検査結果の出力の仕方の一例を、また図5には姿勢分析の動的検査結果の出力の仕方の一例をそれぞれ示す。
【0032】
ここでは、静的検査結果として、正面画像データに基づいて、図4(a)のように身体の中心線から各マーカまでの距離が、また図4(b)のように身体の中心線と各マーカを接続する線とにより囲まれた各領域の面積比(%)によって左右位置バランスを表わす図形と数値が出力されるようになっている。また、測面画像データに基づいて、図4(c)のように肩峰のマーカと腸骨稜のマーカとのなす角度によって前後傾斜角を、また各マーカのなす角度によって身体の部分的な傾きを表わす図形と数値が出力される。さらに、正面画像データに基づいて、図4(d)のように重心軸の偏寄と各部位の水平方向からの傾き角度を、また上面画像データに基づいて図4(e)のように頭部位置と体幹ねじれ角を表わす図形と数値が出力される。
【0033】
動的検査結果としては、正面画像データに基づいて図5(a)のように身体の中心線の左右への最大移動範囲が、また図5(b)のように身体の中心線の左右への最大傾斜範囲によって左右位置バランスを表わす図形と数値が出力される。また、測面画像データに基づいて、図5(c)のように身体の中心軸の前後への最大移動範囲が、さらに図5(d)のように身体の中心軸の前後への最大傾斜範囲を表わす図形と数値が出力される。出力は液晶モニタ34への画像表示でもよいし、プリンタ41による紙へのプリントアウトであっても良い。
【0034】
図6には、バランス測定部20を用いた測定の際に液晶モニタ34に表示される表示画面の一例が示されている。画面の上の部分には測定条件を入力したり表示したりするための表示領域A1が設けられ、画面の中央に前記8個の荷重センサS1〜S8からの信号に基づいて算出した荷重値をセンサごとに表示するための荷重表示領域A2が設けられている。
【0035】
上記荷重表示領域A2には測定モードでは測定された荷重がリアルタイムで表示されるため、表示は被検者の重心移動に伴って変動する。また、荷重表示領域A2の下の部分には時間経過を示すインジケータ表示領域A3が設けられ、荷重表示領域A2の右の部分には作業手順を指令するための入力ボタンのアイコンをフローチャート形式で表示する領域A4が設けられている。
【0036】
さらに、この表示領域A4の上部には、条件設定の入力や、表示領域A1の表示項目に対応した情報(ID)の入力、測定タイミングの追加や削除などのイベントに関する入力のための入力ボタンのアイコンB1,B2,B3が表示されている。図7(A),(B),(C)には、条件設定入力ボタンB1、ID入力ボタンB2、イベント入力ボタンB3をクリックしたときに表示されるプルダウンメニューの例が示されている。
【0037】
マウスのポインタを条件設定入力ボタンB1に合わせてクリックすると図7(A)のM1のようなプルダウンメニューが表示されるので、例えば「2.」の計測時間選択を選択してマウスをクリックすると、さらにM1−2のようなプルダウンメニューが表示される。ここで、メニューの中からいずれかの測定時間を選択してクリックして確定した後、フローチャートの開始指令ボタンB11にマウスのポインタを合わせてクリックすると測定が開始され、各荷重センサS1〜S8の検出値が領域A2の対応する表示枠内に表示されるとともに、画面下のインジケータ表示領域A3ではカーソルCが移動を始め、インジケータの右側の枠内には経過時間が数値により表示される。
【0038】
適当なタイミングで前記イベントスイッチ51がオンされたり、同期入出力端子52から同期信号入力されると、そのときの各荷重センサS1〜S8の検出値がサンプリングされてメモリにCSV(Comma Separated Values)ファイルとして記憶されるとともに、インジケータ表示領域A3ではそのときのカーソル位置に応じて▲印のイベントマークが表示される。カーソルCが右端に到達すると測定が終了するが、フローチャートの終了指令ボタンB12をクリックすることでも測定を終了させることができる。フローチャートの再生指令ボタンB13をクリックすると、イベントマークが付されているタイミングでサンプリングされた各荷重センサの測定値を領域A2の各表示枠内に順次表示させることができる。
【0039】
画面中央の領域A2の各表示枠内には測定された荷重値がその値に応じてカラー表示され、領域A2の中央には上下方向に長い参照スケールRSが表示されるようになっている。参照スケールは、下に行くほど漸次淡くなり上に行くほど漸次濃くなるような濃淡表示の参照スケールで、例えばスケールの最小値が0kgで最大値が20kgであって、測定された荷重値が10kgであればスケール中央の部位と同じ色で荷重値が表示されることとなる。
【0040】
この荷重表示領域A2の各表示枠内の数値を比較することで重心の左右方向への変位や前後方向への変位を知ることができる。また、この実施例では、測定値がカラー表示されるため、各表示枠内の数値の色を比較することでおおよその重心バランスを感覚的に把握することができる。参照スケールはこれをクリックすると現われるプルダウンメニューを使用して荷重フルレンジを変更することができるように構成されている。荷重フルレンジを小さく設定することで、荷重の変動に対する色変化を大きくすることができる。
【0041】
また、この実施例では、マウスのポインタを条件設定入力ボタンB1に合わせてクリックすると、図7(A)のM1のようなプルダウンメニューが表示され、「1.」の計測パターン選択を選択してマウスをクリックすると、さらにM1−1のようなプルダウンメニューが表示される。ここで、メニューの中から6分割を選択してクリックすると、画面中央の荷重表示領域A2に表示されている図6のような8分割表示に代えて、図8(A)のような6分割表示がなされる。
【0042】
プルダウンメニューM1−1で左右4分割を選択してクリックすると、画面中央の荷重表示領域A2に、図8(B)のような4分割表示がなされ、プルダウンメニューM1−1で前後4分割を選択してクリックすると、図8(C)のような4分割表示がなされる。さらに、プルダウンメニューM1−1で左右2分割を選択してクリックすると、画面中央の荷重表示領域A2に左右2分割表示(図示省略)がなされ、前後2分割を選択してクリックすると、図8(D)のような2分割表示がなされる。さらに、すべての分割表示を同時に表示させる全表示も可能である。
【0043】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記実施形態では、図6の画面中央の荷重表示領域A2の各枠内に荷重値を表示しているが、合計値に対する比率すなわち荷重比を表示させるようにしても良い。また、荷重表示領域A2において、数値表示の代わりに棒グラフで表示するようにしても良いし、図9のように縦軸に荷重値をとり横軸に時間をとって荷重の時間変動を表わすグラフとして表示するようにしても良い。
【0044】
さらに、前記実施形態では、体重計22の踏み台を左右4分割、計8分割しているが、図8(A)のような左右3分割、計6分割や、左右6分割、計12分割(図示省略)のような分割であっても良い。また、前記実施形態では、デジタルカメラ12としてデジタルスチールカメラを使用しているが、デジタルムービーカメラを使用しても良い。
【0045】
さらに、デジタルカメラ12として無線通信機能を有するものを使用またはカメラ周辺装置に無線通信機能を持たせると説明したが、デジタルカメラが備えるSDメモリのようなリムーバブルメモリに記憶された画像データを、リムーバブルメモリをパーソナルコンピュータに接続して読み取って2値化等の処理を行なって出力するようにしても良い。また、前記実施形態では、デジタルカメラ12の姿勢を正しく設定できるようにするため水準器13を設けているが、水準器は必須のものではなく省略することが可能である。
【0046】
また、実施形態では、3台のデジタルカメラで3方向から、あるいは1台のデジタルカメラで3方向から撮影した画像データに基づいて被験者の姿勢を測定、判定するとしたが、簡易な方法として1台のデジタルカメラにより1方向から撮影した画像データに基づいて被験者の姿勢を測定、判定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を適用して有効な身体測定装置の一実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】バランス測定部と信号処理部の構成例を示すブロック図である。
【図3】図3(A)はデジカメの撮影データを2値化した画像を示す図、図3(B)はそれをラベリング処理したものを示す図である。
【図4】各反射マーカの座標値に基づいて所定の演算を行なって得られた姿勢分析の静的検査結果の出力の例を示す図である。
【図5】各反射マーカの座標値に基づいて所定の演算を行なって得られた姿勢分析の動的検査結果の出力の例を示す図である。
【図6】バランス測定部を用いた測定の際に液晶モニタに表示される表示画面の一例を示す図である。
【図7】図6の条件設定入力ボタンB1、ID入力ボタンB2、イベント入力ボタンB3をクリックしたときに表示されるプルダウンメニューの例を示す図である。
【図8】図6の荷重表示領域A2に表示される荷重表示枠の表示例を示す図である。
【図9】図6の荷重表示領域A2に表示する荷重表示の他の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10 姿勢測定手段
11 反射マーカ
12 デジタルカメラ
13 水準器
20 バランス測定部
21a〜21h 踏み台
22 体重計
23 ケーブル
S1〜S8 荷重センサ
30 信号処理部
31 増幅回路
32 A/D変換回路
33 CPU(中央処理ユニット)
34 液晶モニタ
35 メモリ
51 イベントスイッチ
52 同期入出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の身体の所定の部位に貼付された複数の反射マーカからの反射光を撮影するデジタルカメラを備えた第1測定部と、
左右および前後それぞれ複数に分割された踏み台と各踏み台に対応して設けられた複数の荷重センサとを有する体重計を備えた第2測定部と、
前記第1測定部および前記第2測定部からの信号を処理する信号処理部と、
前記信号処理部により処理された測定結果を出力する出力部とを有し、
前記第1測定部と前記第2測定部とを同期して動作させて被検者の姿勢を判定するための測定データを得ることを特徴とする身体測定装置。
【請求項2】
前記第1測定部は、身体の正面側からの画像を撮影する第1のデジタルカメラと、身体の側方からの画像を撮影する第2のデジタルカメラと、身体の上方からの画像を撮影する第3のデジタルカメラとを備え、前記第1〜第3のデジタルカメラは同時に画像を撮影するように制御されることを特徴とする請求項1に記載の身体測定装置。
【請求項3】
前記第1測定部は、前記デジタルカメラの取付け姿勢を正しく設定するための水準器を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の身体測定装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、前記第1測定部からの画像データを2値化処理する機能と、2値化されたデータに基づいて前記反射マーカの座標を算出する機能と、各反射マーカの座標から身体の各部の中心線からの変位を算出する機能と、対応する複数の反射マーカの座標から身体の所定の部位の傾きを算出する機能と、算出された身体の各部の中心線からの変位および身体の所定の部位の傾きを前記出力部より出力させる機能とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の身体測定装置。
【請求項5】
前記信号処理部は、前記第2測定部からの出力に基づいて算出した前記踏み台ごとの荷重値を、前記複数の踏み台の配置に対応した配置の図形内に表示して前記出力部より出力させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の身体測定装置。
【請求項6】
前記体重計は2n個(nは正の整数)に分割された踏み台と2n個の荷重センサとを備え、前記信号処理部は前記2n個の荷重センサのうち幾つかのセンサの出力を加算して2(n−1)個以下の荷重値を算出して前記出力部より出力させることが可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の身体測定装置。
【請求項7】
前記信号処理部は、前記第2測定部の荷重センサの出力を外部より入力される所定の信号に同期して取り込んで荷重値を算出してメモリに記憶するように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の身体測定装置。
【請求項8】
前記信号処理部は、外部より入力される所定の信号に同期して複数回前記荷重センサの出力を取り込んで荷重値を算出して前記メモリに時系列的に記憶し、測定終了後に前記メモリに時系列的に記憶されている前記荷重値を前記出力部より順次出力させる機能を有することを特徴とする請求項7に記載の身体測定装置。
【請求項9】
被検者の身体の所定の部位に貼付された複数の反射マーカからの反射光を撮影するデジタルカメラを備えた測定部と、
前記測定部からの信号を処理する信号処理部と、
前記信号処理部により処理された測定結果を出力する出力部とを有し、
前記測定部は、身体の正面側からの画像を撮影する第1のデジタルカメラと、身体の側方からの画像を撮影する第2のデジタルカメラと、身体の上方からの画像を撮影する第3のデジタルカメラとを備え、
前記信号処理部は、前記第1〜第3のデジタルカメラからの画像データを2値化処理する機能と、2値化されたデータに基づいて前記反射マーカの座標を算出する機能と、各反射マーカの座標から身体の各部の中心線からの変位を算出する機能と、対応する複数の反射マーカの座標から身体の所定の部位の傾きを算出する機能と、算出された身体の各部の中心線からの変位および身体の所定の部位の傾きを前記出力部より出力させる機能とを備えることを特徴とする身体測定装置。
【請求項10】
左右および前後それぞれ複数に分割された踏み台と各踏み台に対応して設けられた複数の荷重センサとを有する体重計を備えた測定部と、
前記測定部からの信号を処理する信号処理部と、
前記信号処理部により処理された測定結果を出力する出力部とを有し、
前記信号処理部は、前記測定部からの出力に基づいて算出した前記踏み台ごとの荷重値を、前記複数の踏み台の配置に対応した配置の図形内に表示して前記出力部より出力させることを特徴とする身体測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−312877(P2007−312877A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143610(P2006−143610)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000101558)アニマ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】