説明

車両のブレーキ機構

【課題】 本発明は、台車等の車両におけるブレーキ機構に関する。
【解決手段】キャスタフレーム(11)に回動可能に、相対する位置に左右のストッパー開閉アーム(L、R)を取付け、前記左ストッパー開閉アーム(L)と右ストッパー開閉アーム(R)に形成の挿通孔(30)にストッパー体(20)を装着してストッパー開閉アーム(L、R)の回動方向によってロックとアンロック状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車、車椅子等の車両のブレーキ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物を運搬する台車におけるブレーキ機構は、例えば、特開2004−286206号公報がある。
この公報に開示のブレーキ機構は、バネによって、ハ字状のブレーキシューを車輪に食い込ませてブレーキを掛け、常時、ブレーキがかかった状態を維持する。
そこで、台車を移動させるときには、前記ブレーキを解除しなければならないが、レバーを操作して、ワイヤーを引っ張って前記ブレーキシューを車輪から離脱させる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−286206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記開示のブレーキ機構は、ブレーキシューが車輪に食い込んでブレーキがよくかかる。
しかし、ブレーキを解除するに当たって、レバーを操作してワイヤーを引っ張るが、その解除機構は複雑である。
そこで、本発明は、簡便な機構でブレーキのロックとアンロックが出来るブレーキ機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の車両のブレーキ機構は、固定の後車輪を取付けてある。また、この
車両のブレーキ機構は、キャスタフレームに回動可能に相対する位置に左右のストッパー開閉アームが取付けてあり、前記左ストッパー開閉アームと右ストッパー開閉アームに形成の挿通孔にストッパー体を装着してある。そして、前記ストッパー開閉アームの回動方向によって、前記ストッパー体を後車輪に接触して、ロック、アンロックにする。
例えば、弾性体によって、ストッパー開閉アームを時計方向に回動付勢すると、
挿通孔に装着のストッパー体が後車輪に接触状態となってロック状態となり、前記ストッパー開閉アームを前記弾性体の反発力に打ち勝って反時計方向に回動すると、ストッパー体が後車輪から離脱してアンロック状態になる。
又、この機構は、ロック状態のとき、後車輪が回転すると、ストッパー体も同方向に回転(移動)すると、ストッパー開閉アームも同様に回動するので、ストッパー体は後車輪を、更に、押え込む方法に作用して、ロック状態を維持する。
【0006】
又、請求項2の台車のブレーキ機構は、キャスタフレームに回動可能に相対する位置に左右のストッパー開閉アームが取付けてあり、前記左ストッパー開閉アームと右ストッパー開閉アームに形成の挿通孔にはストッパー体が装着されている。そして、前記ストッパー体に連結体を介してブレーキ片が取り付けてあり、前記ストッパー開閉アームの回動方向によって、前記ブレーキ片が前車輪に接触可能である。
又、請求項3の車両のブレーキ機構は、常時、弾性体の反力によって、ストッパー開閉アームの時計方向の回動によってストッパー体を後車輪に接触のロック状態であり、ワイーヤを引っ張ることによって前記ストッパー開閉アームを反時計方向に回動してアンロック状態にする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のブレーキ機構は、ストッパー開閉アームとストッパー体で構成の簡便な機構である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】台車の正面図である。
【図2】台車の図1の右側面である。
【図3】ブレーキ機構のロック状態の正面図である。
【図4】ブレーキ機構の図3の右側面図である。
【図5】ブレーキ機構のロック状態で車輪が回転したときの作用図である。
【図6】ブレーキ機構のロック状態で車輪が回転したときの作用図である。
【図7】ブレーキ機構のアンロック状態である。
【図8】他のブレーキ機構のロック状態の正面図である。
【図9】左ストッパー開閉アームLと右ストッパー開閉アームRを取り外した状態の正面図である。
【図10】図8の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態について、台車の正面を示す図1、台車の右側面を示す図2を参照して説明する。
台車の本体1は、適宜の間隔で組合わせたフレーム枠で四角状に構成してあり、そのフレーム枠の上には、薄板スチールや樹脂等で製作の台板1aが固定してある。
そして、その台板1aの前方の裏面側には、後述の取付け板11aを介して、自在キャスタ2を介して1対の前車輪3aが取付けてあると共に、台板1aの後方の裏面側には固定の後車輪3bが取り付けてある。
又、台板1aの後方のフレーム枠には、回動可能な逆U字状のハンドル19が取り付けてあって、折り畳み可能になっている。
又、ハンドル19の上部には、ブレーキ機構をロック、アンロックする操作具19aが取り付けてある。
【0010】
次に、前記固定の後車輪3bのブレーキ機構について、一部車輪を切り欠いた正面を示す図3、右側面を示す図4を参照して説明する。
この後車輪3bの取付け構造は、よく知られた構造であり、取付け板11aに固定のキャスタフレーム11、11が、取付け板11aに垂設して、後車輪3bの両側に設けられていて、その後車輪3bは、回動軸12で回転可能に取り付けられている。
【0011】
又、前記キャスタフレーム11とキャスタフレーム11の上部中心には、後述の挿通孔30にストッパー体20が横架されていて、後述する左右のストッパー開閉アームL、Rの外側両端部に、それぞれ抜止板21がネジ22で取り付けられていてストッパー体20の抜け防止を図っている。
尚、前記ストッパー体20はブレーキシューであり、車輪と接触することによって摩擦力でブレーキがかかる(ロックされる)。
又、このストッパー体20の断面形状は、後車輪3bの縁部と底面で接触し、左右のストッパー開閉アームL、Rに装着可能な略四角形である。
【0012】
前記キャスタフレーム11の両側には、長い四角板状の左ストッパー開閉アームLが、連結棒25を介して連結されていて、回動軸26で回動可能に取り付けられている。尚、この左ストッパー開閉アームLは、後述の右ストッパー開閉アームRと重なって取り付けられている。
又、左ストッパー開閉アームLの右部には凹部が形成されていると共に、前記四角状のストッパー体20を挿通可能な挿通孔30が形成されている。
尚、前記ストッパー体20が装着可能な断面四角状とは、後述するストッパー体20の作用が可能な状態であり、四角状に限定されない。
【0013】
又、前記キャスタフレーム11には取付け板29が垂設してあり、この取付け板29と前記左ストッパー開閉アームLの下端部との間には、常時、左ストッパー開閉アームLを時計方向に付勢する弾性体33が嵌挿してある。
そして、前記左ストッパー開閉アームLの端部に固定されたワイヤー32は、前記弾性体33の中を通り、前記取付け板31を貫通して、ワイヤチューブ32aで覆われて、ハンドル19の上部に取付けの操作具19aに連結してある。
従って、前記操作具19aによってワイヤー32が引っ張られると、弾性体33は圧縮され、前記左ストッパー開閉アームLの端部は、回動軸26で反時計方向に回動され、前記ストッパー体20を反時計方向に持ち挙げてアンロック状態にする。
【0014】
又、前記左ストッパー開閉アームLに対向して、キャスタフレーム11の両側に設けられている四角状の右ストッパー開閉アームRが、連結棒25を介して連結されていて、回動軸26で回動可能に取り付けられている。
この右ストッパー開閉アームRは、前記左ストッパー開閉アームLの後ろ側に重なった状態で取り付けてあり、右ストッパー開閉アームRの左部には凹部が形成されていると共に、前記四角状のストッパー体20を挿通可能な挿通孔30が形成されている。
尚、前記挿通孔30、30は、右ストッパー開閉アームRと左ストッパー開閉アームLが重なった状態で、ストッパー体20を挿通可能に形成されている。
また、前記ストッパー体20が装着可能な断面四角状とは、後述するストッパー体20の作用が可能な状態であり、四角状に限定されない。
【0015】
そして、前記ワイヤー32が引っ張られて、弾性体33は圧縮され、前記左ストッパー開閉アームLが反時計方向に回動されて、ストッパー体20がを反時計方向に持ち挙げられると、このストッパー体20の回動によって、前記右ストッパー開閉アームRは回動軸26で時計方向に回動して、ストッパー体20が時計方向に持ち挙げられる。そのため、ストッパー体20が後車輪3bから離脱してアンロック状態になる。
【0016】
次に、前記ブレーキ機構の作用について説明する。
(1)ロック状態(図3)
ワイヤー32が引張られていない状態では、弾性体33が反発し、左ストッパー開閉アームLを回動軸26で時計方向に付勢する。そのため、左ストッパー開閉アームLに形成の挿通孔30に装着のストッパー体(左側)20は、下方向(時計方向)に回動され、ストッパー体20は後車輪3bの上縁部に接触する作用を受ける。
一方、前記ストッパー体20の下方向(時計方向)の回動によって、右ストッパー開閉アームRは回動軸26で反時計方向に回動され、ストッパー体20は後車輪3bの上縁部に接触する作用を受ける。
従って、ストッパー体20が、弾性体33が反発力によって、後車輪3bの上縁部に接触してロック状態になる。
【0017】
(2)ロック状態での後車輪の回転(図5、図6)
(イ)ストッパー体20が後車輪3bの上縁部と接触状態(ロック状体)のとき、後車輪3bが時計方向に回転すると、前記ストッパー体20は後車輪3bの回転、図5における右方向に作用する。
この作用は、右ストッパー開閉アームRの回動軸26から見ると、右ストッパー開閉アームRを反時計方向に回動し、右ストッパー開閉アームRに形成の挿通孔30を下方向に下げる。そのため、挿通孔30に装着の四角状のストッパー体20が、更に、後車輪3bを押圧してロック状態側に作用する。
このため、ロック状態において、後車輪3bが時計方向に回転しようとしても、右ストッパー開閉アームRとストッパー体20の機構によって、更に、回転ができない状態になる。
【0018】
(ロ)又、ストッパー体20が後車輪3bの上縁部と接触状態(ロック状体)のとき、後車輪3bが反時計方向に回転すると、前記ストッパー体20は、後車輪3bの回転、図6における左方向に作用する。
この作用は、左ストッパー開閉アームLの回動軸26から見ると、左ストッパー開閉アームLを時計方向に回動し、左ストッパー開閉アームLに形成の挿通孔30を下方向に下げる。そのため、挿通孔30に装着の四角状のストッパー体20が後車輪3bを押圧してロック状態側に作用する。
このため、ロック状態において、後車輪3bが反時計方向に回転しようとしても、左ストッパー開閉アームLとストッパー体20の機構によって、更に、回転ができない状態になる。
【0019】
(3)アンロック状態(図7)
このアンロック状態は図7に示すように、前記操作具19aによってワイヤー32を引っ張ると、前記左ストッパー開閉アームLの端部は反時計方向に回動軸26を介して回動され、前記ストッパー体20を反時計方向に持ち挙げると共に、そのストッパー体20の回動によって、右ストッパー開閉アームRも回動軸26で時計方向に回動して、ストッパー体20を時計方向に持ち挙げて、アンロック状態になる。
尚、前記操作具19aを解除すると、弾性体33によってワイヤー32は元の状態になって、ストッパー体20が後車輪3bの上縁部に接触してロック状態になる。
【0020】
次に、前記とは異なるブレーキシューを備えた台車のブレーキ機構について、ロック状態の正面を示す図8、左ストッパー開閉アームLと右ストッパー開閉アームRを取り外した状態の図9、図9の右側面を示す図10を参照して説明する。
前記実施例のストッパー体20では、車輪が磨り減ったとき、車輪との接触が不十分になると、ストッパー体20を交換しなければならないので、新たなブレーキ機構を提案する。
即ち、前記実施例では、ストッパー体20自体が前車輪3bに当接してブレーキ作用をなすが、この新たなブレーキ機構ではブレーキ片51R、51Lがかかる機能を果たし、このストッパー体20及びブレーキ片51R、51Lのみを異にしているので、同じ部品には同じ符号を付して説明を省略する。
【0021】
この新たなブレーキ機構は、前記実施例におけるストッパー体20に替えて、ストッパー体20Aの中央部の下部を細く形成して、その細い下部にコ字状の平板である連結体50が取り付けてある。そして、前記連結体50の両側には、板状のブレーキ片51R,51Lがボルトを介して垂直状に位置調整して固定してあり、常時は、前記ブレーキ片51R.51Lが車輪に接触のロック状態であり、操作体(ワイヤー)32の操作により車輪に接触しないアンロック状態になる。即ち、ブレーキ片51R.51Lは、連結体50に穿設の長孔(図示略)によって、ボルトを介して車輪の磨り減りに対応して位置調整が可能になっている。
尚、前記ストッパー体20A、連結体50及びブレーキ片51R,51Lの部品で構成してあるが、これらを一体で、或いは、ストッパー体20Aと連結体50を一体で構成してもよいが、ブレーキ片51R,51Lの位置調整が可能に構成することが望ましい。
【0022】
このブレーキ機構の操作は、前記と同様に、操作体(ワイヤー)32を引っ張らないときには、弾性体33が反発し、連結体50は、ほぼ水平状態になり、板状のブレーキ片51R,51Lは車輪に接触してロック状態である。
そして、このロック状態において、前車輪3bが時計方向に回転すると、ブレーキ片51Lが、図8、図9における右方向に押されて、ストッパー体20Aは反時計方向に回動して、左ストッパー開閉アームLに形成の挿通孔30を上方向に上げるので、その左ストッパー開閉アームLが回動軸26で反時計方向に回動すると共に、右ストッパー開閉アームRが回動軸26で時計方向に回動する。この作用によって、ブレーキ片51Lは反時計方向に、ブレーキ片51Rは時計方向に回動して、それぞれ、更に、前車輪3bを押え込む方向に作用して、ますますロック状態になる。
【0023】
一方、前車輪3bが反時計方向に回転すると、ブレーキ片51Rが図8、図9において左方向に押されて、ストッパー体20Aは時計方向に回動して、右ストッパー開閉アームRに形成の挿通孔30を上方向に上げ、右ストッパー開閉アームRが時計方向に回動すると共に、左ストッパー開閉アームLが反時計方向に回動することによって、ブレーキ片51Rは時計方向に、ブレーキ片51Lは反時計方向に回動して、それぞれ、更に、前車輪3bを押え込む方向に作用して、ますますロック状態になる。
【0024】
一方、操作体(ワイヤー)32を右方向に引っ張ると、前記左ストッパー開閉アームLの端部は回動軸26を介して反時計方向に回動され、前記ストッパー体20Aを反時計方向に持ち上げると共に、そのストッパー体20Aの回動によって、右ストッパー開閉アームRも回動軸26で時計方向に回動して、ストッパー体20Aを時計方向に持ち上げて、ブレーキ片51R,51Lは車輪から離脱して、アンロック状態になる。
【0025】
尚、前記左ストッパー開閉アームLと右ストッパー開閉アームRは、後車輪3bの両側に設けてあるが、片側であってもよいし、後車輪3bにブレーキ機構を備えてあるが前車輪側に設けてもよい。又、常時、ストッパー体20が弾性体の反発力によってロック状態であるが、アンロック状態に構成することであってもよいし、前記弾性体の反発力ではなく引っ張り力で構成してもよい。
【符号の説明】
【0026】
1a 台板
3b 後車輪
11 キャスタフレーム
20 ストッパー体
25 連結棒
26 回動軸
30 挿通孔
32 ワイヤー
33 弾性体
L 左ストッパー開閉アーム
R 右ストッパー開閉アーム





【特許請求の範囲】
【請求項1】
台板の裏面に前車輪と固定の後車輪を取付けて走行可能な車両であって、
キャスタフレームに回動可能に、相対する位置に左右のストッパー開閉アームを取付け、
前記左ストッパー開閉アームと右ストッパー開閉アームに形成の挿通孔にストッパー体を装着し、
前記ストッパー開閉アームの回動方向によって、前記ストッパー体を後車輪に接触可能であることを特徴とする車両のブレーキ機構。
【請求項2】
台板の裏面に前車輪と固定の後車輪を取付けて走行可能な車両であって、
キャスタフレームに回動可能に、相対する位置に左右のストッパー開閉アームを取付け、
前記左ストッパー開閉アームと右ストッパー開閉アームに形成の挿通孔にストッパー体を装着し、
前記ストッパー体に連結体を介してブレーキ片を取り付け、
前記ストッパー開閉アームの回動方向によって、前記ブレーキ片を前車輪に接触可能であることを特徴とする台車のブレーキ機構。
【請求項3】
常時、弾性体の反力によって、ストッパー開閉アームの時計方向の回動によってストッパー体を後車輪に接触のロック状態であり、ワイーヤを引っ張ることによって前記ストッパー開閉アームを反時計方向に回動してアンロック状態にすることを特徴とする請求項1の車両のブレーキ機構。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−117589(P2011−117589A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141155(P2010−141155)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(598085526)ホツタ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】