説明

車両の制御装置

【課題】車両の燃費を向上するとともにエンジンストール発生時におけるラチェッティングの発生を防止することができる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】ECT−ECUは、車両の走行状態がロックアップ領域にあるか否かを判断し(ステップS11)、ロックアップ領域にあると判断した場合には(ステップS11でYes)、エンジンストールが発生しているか否かを判断する(ステップS12)。そして、エンジンストールが発生していないと判断したならば(ステップS12でYes)、電磁コイルへの通電を停止する(ステップS14)。一方、車両がロックアップ領域にないと判断した場合(ステップS11でNo)、あるいはエンジンストールが発生していると判断した場合には(ステップS12でYes)、電磁コイルへの通電を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧により駆動するパーキングロック機構を備えた車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両の制御装置として、油圧によりパーキングロック機構をロック状態とアンロック状態とに切り替えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された従来のパーキングロック機構は、バルブ内を上下動するピストンの一端にパーキングロックポールが連結されており、ピストンがバルブ上端に移動するとパーキングロックポールがパーキングギヤに係合し、ピストンがバルブ下端に移動するとパーキングロックポールがパーキングギヤから離隔するようになっている。
【0003】
このパーキングロックポールには捩りコイルバネが設けられており、捩りコイルバネは、ピストンをバルブ下端からバルブ上端の方向に付勢しており、ピストンをバルブ上端に引き上げてパーキングロックポールをパーキングギヤに係合させるようにしている。一方、ピストンは油圧により捩りコイルバネの付勢力に抗してバルブ下端方向へ押圧され、パーキングポールがパーキングギヤから離隔するように押圧されているようになっている。
【0004】
また、バルブには電磁石が設けられており、油圧によりピストンが捩りコイルバネの付勢力に抗して下動すると、電磁石を構成する電磁コイルが通電されてピストンがバルブ下端位置に保持される。そして、パーキングロック機構がアンロック状態に切り替えられた場合には、走行中のエンジンストールに起因した油圧の低下によりパーキングロックポールがパーキングギヤに接触して、ラチェッティングが生じないように電磁的にアンロック状態が維持されるようになっている。
【特許文献1】特表2002−533631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の車両の制御装置にあっては、走行中のいずれの時点にエンジンストールが発生した場合においても、パーキングロック機構のアンロック状態が保持されるよう、電磁コイルに対し常時通電が行われていた。
【0006】
このため、電磁コイルに常時電力が供給されるよう発電機による発電量を維持しなければならず、発電機を駆動するためのエンジンに加わる負荷が増加し、結果として車両の燃費が悪化する原因となっていた。
【0007】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、車両の燃費を向上するとともにエンジンストール発生時におけるラチェッティングの発生を防止することができる車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車両の制御装置は、上記目的達成のため、(1)内燃機関の回転軸からトルクコンバータを介して駆動力を入力し所定の変速比で出力軸に伝達する変速機と、前記内燃機関の回転軸の回転により油圧を発生する油圧供給手段と、前記油圧供給手段により供給される油圧の減少により前記変速機の出力軸をロックするロック状態に移行し、前記油圧の増加により前記ロック状態を解除するアンロック状態に移行するパーキングロック機構と、電力の供給により発生する電磁力によって前記アンロック状態を維持するアンロック維持手段と、を備えた車両の制御装置において、前記駆動力の伝達状態に基づいて、前記車両の走行中に前記内燃機関が運動状態から停止状態に移行した場合においても前記油圧供給手段から供給される油圧が前記アンロック状態を維持するための油圧を供給することが可能であるか否かを判断する油圧維持判断手段と、前記油圧維持判断手段により前記アンロック状態を維持するための油圧を供給することが可能であると判断された場合に、前記電磁力を発生させる電力の供給を抑制するよう前記アンロック維持手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成により、車両の走行中に内燃機関が停止した場合においても油圧維持判断手段によりアンロック状態を維持するための油圧の供給が可能であると判断されたならば、アンロック維持手段に対する電力の供給を抑制させるので、アンロック維持手段に対する不要な電力の供給が停止され、内燃機関の負荷が低減されることにより、車両の燃費が向上する。したがって、車両の燃費を向上するとともにエンジンストール発生時におけるラチェッティングの発生を防止することができる。
【0010】
上記(1)に記載の車両の制御装置において、(2)前記油圧維持判断手段は、前記トルクコンバータの入力軸と出力軸とを機械的に連結可能なロックアップ機構が連結状態にある場合に、前記油圧供給手段から供給される油圧が前記アンロック状態を維持するための油圧を供給することが可能であると判断することを特徴とする。
【0011】
この構成により、ロックアップ機構が連結状態にある場合には、車両の走行中に内燃機関が運動状態から停止状態に移行した場合においても、車輪の回転によって生じたトルクにより内燃機関が逆駆動されるので、油圧供給手段から供給される油圧がアンロック状態を維持するための油圧を供給することが可能となる。したがって、ロックアップ機構が連結状態にある場合にアンロック維持手段に供給される電力を抑制することにより、走行中におけるパーキングロック機構のアンロック状態の維持を確実にしつつ車両の燃費を向上できる。
【0012】
上記(1)または(2)に記載の車両の制御装置において、(3)前記内燃機関の回転軸の回転数を測定する回転数検出手段を備え、前記油圧維持判断手段は、前記回転数検出手段により測定された回転数が予め定められた回転数以上の場合に、前記油圧供給手段から供給される油圧が前記アンロック状態を維持するための油圧を供給することが可能であると判断することを特徴とする。
【0013】
この構成により、内燃機関の回転軸の回転数が所定値以上の場合には、車両の走行中に内燃機関が運動状態から停止状態に移行した場合においても、内燃機関の駆動が急激に零にならないので、油圧供給手段はアンロック状態を維持するための油圧を暫く供給することができる。したがって、内燃機関の回転軸の回転数が所定値以上の場合にアンロック維持手段に供給される電力を抑制することにより、パーキングロック機構のアンロック状態の維持を確実にしつつ車両の燃費を向上できる。
【0014】
上記(1)から(3)に記載の車両の制御装置において、(4)前記内燃機関が運動状態から停止状態に移行したか否かを判断する停止状態判断手段を備え、前記制御手段は、前記アンロック維持手段における電力の供給の抑制中に前記停止状態判断手段により前記内燃機関が停止状態に移行したと判断されたときに、前記アンロック維持手段における電力の供給を開始し前記アンロック状態を維持することを特徴とする。
【0015】
この構成により、内燃機関が停止状態に移行した場合に直ちにアンロック維持手段において電磁力を発生させるので、走行中にエンストの発生によりパーキングロック機構がアンロック状態からロック状態に移行する可能性が発生した場合においても、アンロック状態を維持するための油圧が供給されている間にアンロック維持手段によりパーキングロック機構をアンロック状態に維持することが可能となり、車両の走行中にラチェッティングが発生することを防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両の燃費を向上するとともにエンジンストール発生時におけるラチェッティングの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車両の制御装置の概略ブロック構成図である。
【0019】
まず、構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る車両の制御装置は、エンジンECU(以下、ENG−ECUという)1と、電子制御式トランスミッションECU(以下、ECT−ECUという)2と、シフトバイワイヤECU(以下、SBW−ECUという)3と、電源ECU4と、を備えている。また、ENG−ECU1はエンジン11に、ECT−ECU2は変速機12およびトルクコンバータ13を制御する油圧制御装置14に、SBW−ECU3は切替駆動装置15に、電源ECU4はスタータモータ16にそれぞれ接続されている。また、油圧制御装置14は、複数の油路を介して変速機12、トルクコンバータ13、オイルポンプ17およびパーキングロック機構18に接続されている。
【0020】
ENG−ECU1、ECT−ECU2、SBW−ECU3および電源ECU4は、いずれもCPU(Central Processing Unit)を中心とするマイクロコンピュータを主体に構成された電気回路であり、CPUの他に、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、処理プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、A/D変替器等を含む入出力インターフェース回路およびタイマーを備え、車内LAN回線19または図示しないシリアル通信線等を介して電気的に相互に接続されている。
【0021】
ENG−ECU1は、エンジン11を統括制御するものであり、このエンジン11は、図示しないスロットルバルブ、インジェクタおよび点火プラグを有している。そして、ENG−ECU1は、車両の走行状況に応じて、スロットルバルブを介して気筒内に送り込まれる吸入空気量およびインジェクタにより気筒内に噴射される燃料の噴射量を決定し、適切なタイミングで点火プラグを駆動することによりエンジン11に動力を発生させるようになっている。エンジン11により発生した動力は、車両を走行させるための駆動力および図示しない発電機に電力を発生させるための動力として消費される。
【0022】
ECT−ECU2は、ENG−ECU1から出力された制御信号に基づき、油圧制御装置14を介して変速機12およびトルクコンバータ13を制御するようになっている。変速機12は、エンジン11の回転軸にトルクコンバータ13を介して連結し、車両の走行状況に応じた変速比に切り替えるようになっている。変速機12の内部には、変速比を選択するためのクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素が設けられており、この摩擦係合要素の係合・解放に基づいて変速比を制御して、エンジン11から伝達される回転数やトルクを変化させるようになっている。変速機12の出力軸には、後述するパーキングギヤ40(図2参照)が固定されており、パーキングギヤ40は、パーキングロック機構18によって回転不能にロックされるロック状態と、ロック状態が解除されるアンロック状態とに切り替えられるようになっている。
【0023】
なお、ECT−ECU2は、後述するように、本発明に係る車両の制御装置、アンロック維持手段、油圧維持判断手段、停止状態判断手段および制御手段を構成する。
【0024】
トルクコンバータ13は、エンジン11から変速機12にトルクを増大してエンジン11の動力を伝達するようになっており、流体を介して動力を伝達する図示しないポンプインペラーおよびタービンランナーと、ワンウェイクラッチによって一方向の回転が阻止されているステータとを有している。ポンプインペラーは、エンジン11の回転軸と連結されており、タービンランナーは、変速機12の入力軸と連結されている。
【0025】
さらに、トルクコンバータ13は、車両の高速走行時において、ポンプインペラーとタービンランナーとを機械的に直結することによりエンジン11から変速機12への動力の伝達効率を上げるためのロックアップクラッチ22を有している。このロックアップクラッチ22の係合と解放とは、油圧制御装置14が備えるソレノイドバルブ26のON/OFFにより切り替えられるようになっている。
【0026】
油圧制御装置14は、変速機12の摩擦係合要素に対する係合・解放を油圧制御により切り替えるソレノイドバルブ23と、パーキングロック機構18のロック状態・アンロック状態を油圧制御により切り替えるソレノイドバルブ24と、摩擦係合要素の駆動および油圧制御の元圧となるライン油圧によりシフトレンジを切り替えるためのシフトバルブ25と、上述したロックアップクラッチ22の係合・解放を切り替えるためのソレノイドバルブ26とを備えている。ソレノイドバルブ23、24および26は、ECT−ECU2に電気的に接続されており、ECT−ECU2から出力された制御信号に基づいて摩擦係合要素の係合・解放、パーキングロック機構18のロック状態・アンロック状態、およびロックアップクラッチ22の係合・解放を切り替えるよう制御している。
【0027】
油圧供給手段としてのオイルポンプ17は、エンジン11の回転軸としてのクランクシャフトの回転に応じて回転する図示しないロータを有しており、ロータの回転によりオイルパン内に貯留されているオイルを複数の油路を介して油圧制御装置14に圧送するようになっている。
【0028】
SBW−ECU3は、シフトレンジを選択するシフトレバー装置28に接続されており、シフトレバー装置28から出力された選択信号に基づいて切替駆動装置15を制御してシフトレンジを切り替えるようになっている。また、SBW−ECU3は、シフトレンジを表示するシフト表示装置29に接続されており、選択されたシフトレンジに応じてシフト表示装置29の表示を切り替えるようになっている。
【0029】
シフトレバー装置28は、シフトレバー30とパーキングボタン31とを有し、シフトレバー30の操作によりリバースレンジ、ニュートラルレンジ、ドライブレンジを選択でき、パーキングボタン31の押下によりパーキングレンジを選択できるようになっている。そして、シフトレバー装置28は、シフトレバー30の操作により選択されたシフトレンジに対応する選択信号をSBW−ECU3に出力するようになっている。
【0030】
また、SBW−ECU3は、シフトレンジに対応したシフト位置にシフトレバー30が一定時間保持されることによりシフトレンジを切り替えるよう切替駆動装置15を制御するようになっている。
【0031】
切替駆動装置15は、油圧制御装置14のシフトバルブ25を駆動するアクチュエータを有し、アクチュエータの駆動によってシフトバルブ25を駆動させることにより、油圧制御装置14において各シフトレンジに対応したライン油圧を調整するとともに、変速段に対応した摩擦係合要素に油圧を供給するようになっている。
【0032】
電源ECU4は、スタートスイッチ27に接続されており、スタートスイッチ27を介して入力されたエンジン始動信号に基づいてスタータモータ16を作動させることにより、エンジン11のクランキングを行うようになっている。具体的には、エンジン始動信号が電源ECU4に入力されると、電源ECU4は、バッテリ20をスタータモータ16に接続して、スタータモータ16に電力を供給することにより、スタータモータ16を作動させるようになっている。
【0033】
ここで、図2を参照して、パーキングロック機構について詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態に係るパーキングロック機構およびパーキングロック機構の作動油の供給経路の模式図である。
【0034】
パーキングロック機構18は、シリンダ34と、シリンダ34内を往復動するピストン35と、ピストン35を固定したピストンロッド36およびパーキングロッド37を連結する連結部材38と、パーキングロッド37に押圧されることによりパーキングギヤ40に係合するパーキングロックポール39とを有している。
【0035】
シリンダ34には、延在方向の一端側にソレノイドバルブ24に接続された油孔44が形成され、延在方向の他端側に電磁コイル45が巻回されたアンロック保持部46が取り付けられている。電磁コイル45は、ECT−ECU2に接続されており、ECT−ECU2により電磁コイル45への通電が制御されるようになっている。シリンダ34の延在方向の中間位置には、ストッパ47が設けられており、ピストン35の往復動がシリンダ34の延在方向中間部で規制されるようになっている。
【0036】
また、シリンダ34内の油孔44側の端部は、パーキングロックポール39をパーキングギヤ40に係合させるロック位置50に規制しており、シリンダ34内のストッパ47を設けた中間部は、パーキングロックポール39をパーキングギヤ40から離隔させるアンロック位置51に規制している。
【0037】
そして、パーキングロック機構18は、ロック位置50とアンロック位置51との間でピストン35をシリンダ34内で往復動させることにより、ロック状態とアンロック状態とを切り替えるようになっている。
【0038】
ピストン35は、ピストンロッド36の途中部分に固定されており、シリンダ34内に油孔44を通じてオイルが供給される油圧室54を画成している。そして、ピストン35は、ソレノイドバルブ24の駆動により制御される油圧室54内のオイルの供給および排出に応じて、シリンダ34内をロック位置50とアンロック位置51との間で往復動するようになっている。
【0039】
ピストンロッド36は、シリンダ34に挿入されており一部がシリンダ34から延出している。このピストンロッド36のうち、シリンダ34の外側に位置する端部には連結部材38が回動自在に連結され、シリンダ34の内側に位置する端部には磁石55が設けられている。磁石55は、ピストン35の移動に伴ってシリンダ34内を往復動するようになっており、ピストン35がアンロック位置51に移動すると、電磁コイル45で囲われた空間に進入し、ピストン35がロック位置50に移動すると、電磁コイル45で囲われた空間から外れるようになっている。
【0040】
アンロック位置51にピストン35が位置した状態で、ECT−ECU2(図1参照)によって電磁コイル45が通電されると、磁石55は、電磁力により引き止められる。この状態においては、ピストン35は、油圧室54内の油圧にかかわらずアンロック位置51に保持されるようになっている。
【0041】
連結部材38は、中間部の支軸42を中心に回動自在に構成されており、一端部がピストンロッド36に回動自在に連結され、他端部がパーキングロッド37に回動自在に連結されている。したがって、ピストン35がロック位置50に移動すると連結部材38を介してパーキングロッド37の先端がパーキングロックポール39側に押し込まれ、ピストン35がアンロック位置51に移動すると連結部材38を介してパーキングロッド37の先端がパーキングロックポール39から引き離されるようになっている。
【0042】
また、連結部材38の支軸42には、スプリング58が設けられており、スプリング58の一端は、連結部材38のうちパーキングロッド37との連結部の近傍を、パーキングロッド37がパーキングロックポール39に押し当てられる方向に付勢している。
【0043】
パーキングロッド37には、先端部にパーキングカム59が設けられており、このパーキングカム59がパーキングロックポール39に押し当てられることによりパーキングロックポール39がパーキングギヤ40に係合するようになっている。
【0044】
パーキングカム59は、先端部に近いほど断面積が縮小するよう外周面がテーパ状に形成されており、パーキングロックポール39の下部に押し当てられることにより、パーキングロックポール39をパーキングギヤ40に向けて押し上げるようになっている。
【0045】
パーキングロックポール39は、パーキングギヤ40の外周に対向する位置に設けられ、支軸61を中心として揺動するようになっている。また、パーキングロックポール39には、パーキングギヤ40に係合する爪部62が形成されており、この爪部62がパーキングギヤ40に係合されることで、変速機12(図1参照)の出力軸が回転不能にロックされるようになっている。
【0046】
ここで、パーキングロック機構18のアンロック動作およびロック動作について簡単に説明する。パーキングロックポール39の爪部62がパーキングギヤ40に係合しているロック状態において、ECT−ECU2(図1参照)からアンロック信号が出力されると、ソレノイドバルブ24によりシリンダ34内に油圧が加えられ、ピストン35がアンロック位置51側に向かって、スプリング58の付勢力に抗するように移動し始める。ピストン35がアンロック位置51側に向かって移動し始めると、パーキングカム59がパーキングロックポール39の下部から引き離され、パーキングロックポール39が支軸61を中心として下方に揺動し、爪部62がパーキングギヤ40から外れるようになっている。
【0047】
そして、ピストン35がアンロック位置51に到達すると、爪部62がパーキングギヤ40から完全に外れ、ピストンロッド36に設けられた磁石55が電磁コイル45で囲われた空間に侵入する。この状態で、電磁コイル45が通電されて、磁石55が電磁力により電磁コイル45で囲われた空間内に保持され、爪部62がパーキングギヤ40から完全に外れたアンロック状態が維持されるようになっている。
【0048】
このように、パーキングロック機構18は、ロック状態からアンロック状態に移行すると、油圧によりピストン35がアンロック位置51に押し付けられるとともに、電磁力により磁石55が保持されることで、アンロック状態が維持されるようになっている。これにより、パーキングロック機構18は、シリンダ34内の油圧が低下した場合でも、電磁的にアンロック状態を保持することが可能となる。つまり、本実施の形態におけるECT−ECU2、電磁コイル45および磁石55は、本発明に係るアンロック維持手段を構成している。
【0049】
一方、このアンロック状態において、ECT−ECU2(図1参照)からロック信号が出力されると、電磁コイル45の通電が停止されるとともに、ソレノイドバルブ24によりシリンダ34の油圧室54内が減圧され、スプリング58の付勢力によりピストン35がロック位置50側に向かって移動し始める。ピストン35がロック位置50側に向かって移動し始めると、パーキングカム59がパーキングロックポール39の下部に押し当てられ、パーキングロックポール39が支軸61を中心として上方に揺動して、爪部62がパーキングギヤ40に接近するようになっている。
【0050】
そして、ピストン35がロック位置50に到達すると、爪部62がパーキングギヤ40に係合し、スプリング58の付勢力によりロック状態が維持されるようになっている。
【0051】
図1に戻り、車内LAN回線19には、エンジン回転数センサ64、シフトポジションセンサ65、車速センサ66およびスロットル開度センサ67が接続されている。
【0052】
回転数検出手段としてのエンジン回転数センサ64は、所定角度単位のクランク回転からエンジン回転数を検出して電気信号に変換し、ENG−ECU1に出力するようになっている。
【0053】
シフトポジションセンサ65は、変速機12内の摩擦係合要素の係合状態を検出して電気信号に変換し、ECT−ECU2に出力するようになっている。そして、ECT−ECU2は、出力された電気信号に基づいて、変速機12のシフトレンジを判定するようになっている。したがって、ECT−ECU2は、シフトポジションセンサ65から入力された電気信号に基づいて、変速機12のシフトレンジがドライブレンジにあるか否かを判定することができる。
【0054】
車速センサ66は、車両の走行速度または車輪の回転速度を検出して電気信号に変換し、ECT−ECU2および電源ECU4に出力するようになっている。
【0055】
また、ECT−ECU2のROMには、パーキングレンジ許可速度Vspおよびニュートラルレンジ許可速度Vsnが記憶されており、パーキングレンジ許可速度Vspは、シフトレンジをパーキングレンジに切替可能な最大限界速度を示し、ニュートラルレンジ許可速度Vsnは、ニュートラルレンジに切替可能な最大限界速度を示している。そして、ECT−ECU2は、車速センサ66から出力された車速とパーキングレンジ許可速度Vspおよびニュートラルレンジ許可速度Vsnとを比較して、シフトレンジの切り替えを許可するようになっている。なお、パーキングレンジ許可速度Vspは、パーキングロックポール39がパーキングギヤ40に噛み合い可能なエンゲージ速度であり、パーキングロックポール39とパーキングギヤ40との間でラチェッティングが生じない速度である。
【0056】
また、ECT−ECU2のROMには、ドライブレンジにおける走行中に車速およびスロットル開度に基づいて変速段を選択するための変速線図が記憶されている。ECT−ECU2は、車速センサ66から出力された電気信号と、スロットル開度センサ67から出力された電気信号と、この変速線図に基づいて変速段を選択し、油圧制御装置14を制御して変速機12における変速段を形成するようにする。
【0057】
また、この変速線図には、ロックアップクラッチ22の係合領域を示すロックアップ領域が記載されており、ECT−ECU2は、車速センサ66およびスロットル開度センサ67から出力された電気信号とこの変速線図とに基づき、車両の走行状態がロックアップ領域にあるか否かを判断するようになっている。ECT−ECU2は、車両がロックアップ領域にあると判断した場合には、ソレノイドバルブ26を制御して、ロックアップクラッチ22を係合状態に移行し、ロックアップ領域にないと判断した場合には、ロックアップクラッチ22を解放状態に移行する。
【0058】
また、ロックアップクラッチ22が係合状態に移行すると、トルクコンバータ13の入力軸と出力軸とがロックアップクラッチ22を介して直結されることになる。
【0059】
このロックアップクラッチ22の係合状態においてエンジンストールが発生した場合には、車両の慣性により車輪に発生するトルクが、このロックアップクラッチ22を介してエンジンに伝達されるため、エンジン11のクランクシャフトが回転を続ける逆駆動状態となる。つまり、ロックアップクラッチ22が係合状態にある場合には、エンジンストールが発生した場合においても、エンジン11の逆駆動により発生される動力によって、オイルポンプ17が油圧制御装置14およびパーキングロック機構18に圧送し続けることとなる。結果として、パーキングロック機構18のピストン35(図2参照)は、油圧によりアンロック位置51を維持することができるようになっている。
【0060】
以下、本発明の実施の形態に係る車両の制御装置を構成するECT−ECU2の特徴的な構成について、図1および図2を参照して説明する。
【0061】
車両の制御装置を構成するECT−ECU2は、ロックアップクラッチ22が係合状態にあり、トルクコンバータ13の入力軸と出力軸とが機械的に連結された状態にある場合には、エンジンストールが発生した場合においても、オイルポンプ17から供給される油圧が、パーキングロック機構18のアンロック状態を維持可能であると判断するようになっている。したがって、本実施の形態に係るECT−ECU2は、本発明に係る油圧維持判断手段を構成する。
【0062】
また、ECT−ECU2は、上記のようにパーキングロック機構18のアンロック状態が維持可能であると判断した場合には、電磁コイル45が発生する電磁力により磁石55の保持の有無にかかわらず、走行中にパーキングロック機構18がロック状態に移行することが防止されているので、電磁コイル45に対する通電を停止するようになっている。
【0063】
つまり、本実施の形態に係るECT−ECU2は、アンロック状態を維持するための油圧を供給することが可能であると判断した場合に、電磁力を発生させる電力の供給を抑制する制御手段を構成する。
【0064】
これにより、エンジン11は、電磁コイル45に電力を供給するための図示しない発電機に対する駆動力の分配を低減でき、結果として、車両の燃費を向上することが可能となる。
【0065】
また、ENG−ECU1は、エンジン回転数センサ64から出力された検出結果に基づいて、エンジン回転数の急激な低下等が発生している場合には、走行中にエンジンストールが発生していると判断するようになっている。ENG−ECU1は、エンジンストールが発生していると判断した場合には、エンジンストールが発生したことを表す電気信号をECT−ECU2に出力するようになっている。また、ECT−ECU2は、車内LAN回線19を介してこの信号を取得することにより、エンジンストールが発生していると判断するようになっている。つまり、本実施の形態に係るエンジン回転数センサ64、ENG−ECU1およびECT−ECU2は、本発明に係る停止状態判断手段を構成する。
【0066】
また、ECT−ECU2は、このエンジンストールの発生を表す電気信号を受信した際に、電磁コイル45への通電が停止されている場合には、直ちに電磁コイル45への通電を開始もしくは再開するようになっている。また、この電気信号を受信した際に、すでに電磁コイル45への通電が行われている場合には、そのまま通電した状態を維持するようになっている。
【0067】
ここで、図3を参照して走行時における電磁力抑制処理について説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る電磁力抑制処理を示すフローチャートである。なお、以下のフローが開始される前に、シフトレンジがドライブレンジに設定されており、車両が走行しているものとする。また、以下の処理は、ECT−ECU2を構成するCPUによって所定の時間間隔で実行されるとともに、CPUによって処理可能なプログラムを実現する。
【0068】
ECT−ECU2は、まず、走行中にエンジン回転数センサ64、スロットル開度センサ67の検出結果およびROMに記憶されている変速線図に基づいて、車両の走行状態がロックアップ領域にあるか否かを判断する(ステップS11)。
【0069】
ECT−ECU2は、車両の走行状態がロックアップ領域にないと判断した場合には(ステップS11でNo)、電磁コイル45への通電を開始する(ステップS12)。なお、すでに電磁コイル45に対する通電が行われている場合には、この通電を維持する。
【0070】
一方、ステップS11において、ECT−ECU2は、車両の走行状態がロックアップ領域にあると判断した場合には(ステップS11でYes)、エンジンストールが発生しているか否かを判断する(ステップS13)。具体的には、上述したように、ENG−ECU1は、エンジン回転数センサ64から出力された電気信号に基づき、エンジンストールが発生していると判断した場合には、エンジンストールの発生を表す電気信号をECT−ECU2に送信し、ECT−ECU2は、この電気信号を受信すると、エンジンストールが発生していると判断する。
【0071】
ECT−ECU2は、エンジンストールが発生していないと判断すると(ステップS13でNo)、電磁コイル45への通電を停止する(ステップS14)。なお、すでに電磁コイル45への通電が停止されている場合には、通電の停止を継続する。一方、エンジンストールが発生したと判断すると(ステップS13でYes)、ECT−ECU2は、電磁コイル45への通電を開始する。
【0072】
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係る車両の制御装置は、車両の走行中にエンジン11が停止した場合においてもECT−ECU2によりアンロック状態を維持するための油圧の供給が可能であると判断されたならば、電磁コイル45に対する電力の供給を抑制させるので、電磁コイル45に対する不要な電力の供給が停止され、エンジン11の負荷が低減されることにより、車両の燃費が向上する。したがって、車両の燃費を向上するとともにエンジンストール発生時におけるラチェッティングの発生を防止することができる。
【0073】
また、エンジン11が停止状態に移行した場合に直ちに電磁コイル45において電磁力を発生させるので、走行中にエンストの発生によりパーキングロック機構18がアンロック状態からロック状態に移行する可能性が発生した場合においても、アンロック状態を維持するための油圧が供給されている間に電磁コイル45によりパーキングロック機構18をアンロック状態に維持することが可能となり、車両の走行中にラチェッティングが発生することを防止できる。
【0074】
なお、以上の説明においては、ECT−ECU2は、ロックアップクラッチ22の係合・解放に基づいて電磁コイル45への通電を停止するか否かを判断する場合について説明しているが、これに限定されず、次に説明する第2の実施の形態のように、ECT−ECU2は、エンジン回転数に基づいて電磁コイル45への通電を停止するか否かを判断するようにしてもよい。
【0075】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る車両の制御装置について、図1、図2および図4を参照して説明する。
【0076】
なお、第2の実施の形態に係る車両の制御装置の構成は、上述の第1の実施の形態に係る車両の制御装置の構成とほぼ同様であり、各構成要素については、図1および図2に示した第1の実施の形態と同様の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
【0077】
ECT−ECU2は、エンジン回転数センサ64から出力された電気信号に基づき、エンジン回転数が所定の閾値Nthより高い場合には、電磁コイル45に供給される電力を低下させるようにする。所定の閾値Nthとしては、エンジンストールの発生に起因してオイルポンプ17を駆動するための駆動力が低下を始めた場合に、ECT−ECU2が電磁コイル45に対する通電を再開しピストン35の移動を阻止するために十分な電磁力が電磁コイル45に発生した時点において、ピストン35がアンロック位置51に保持されるための十分な油圧をオイルポンプ17が圧送し続けていることを可能とするエンジン回転数であり、予め実験的な測定により定められている。
【0078】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る電磁力抑制処理を示すフローチャートである。なお、以下のフローが開始される前に、シフトレンジがドライブレンジに設定されており、車両が走行しているものとする。また、以下の処理は、ECT−ECU2を構成するCPUによって所定の時間間隔で実行されるとともに、CPUによって処理可能なプログラムを実現する。
【0079】
最初に、ECT−ECU2は、走行中にエンジン回転数センサ64の検出結果に基づいて、エンジン11の回転軸が所定の閾値Nth以上で回転しているか否かを判断する(ステップS21)。
【0080】
ECT−ECU2は、エンジン11の回転軸が所定の閾値Nth未満で回転していると判断した場合には(ステップS21でNo)、電磁コイル45への通電を開始する(ステップS22)。なお、すでに電磁コイル45に対する通電が行われている場合には、この通電を維持する。
【0081】
一方、ステップS21において、ECT−ECU2は、エンジン11の回転軸が所定の閾値Nth以上で回転していると判断した場合には(ステップS21でYes)、エンジンストールが発生しているか否かを判断する(ステップS23)。具体的には、上述したように、ENG−ECU1は、エンジン回転数センサ64から出力された電気信号に基づき、エンジンストールが発生していると判断した場合には、エンジンストールの発生を表す電気信号をECT−ECU2に送信し、ECT−ECU2は、この電気信号を受信すると、エンジンストールが発生していると判断する。
【0082】
ECT−ECU2は、エンジンストールが発生していないと判断すると(ステップS23でNo)、電磁コイル45への通電を停止する(ステップS24)。なお、すでに電磁コイル45への通電が停止されている場合には、通電の停止を継続する。一方、エンジンストールが発生していると判断すると(ステップS23でYes)、ECT−ECU2は、電磁コイル45への通電を開始する。
【0083】
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る車両の制御装置は、エンジン11の回転軸が所定の閾値Nth以上で回転している場合には、車両の走行中にエンジン11が運動状態から停止状態に移行した場合においても、エンジン11の駆動が急激に零にならないので、オイルポンプ17はアンロック状態を維持するための油圧を暫く供給することができる。したがって、エンジン11の回転軸が所定の閾値Nth以上で回転している場合に電磁コイル45に供給される電力を抑制することにより、パーキングロック機構18のアンロック状態の維持を確実にしつつ、走行中におけるラチェッティングの発生が防止された状態で車両の燃費を向上できる。
【0084】
なお、以上の説明においては、車両のロックアップ領域における走行時あるいはエンジン11の回転軸が所定の閾値Nth以上で回転している場合に、ECT−ECU2が電磁コイル45への通電を停止する場合について説明したが、これに限定されず、ECT−ECU2は、車両のロックアップ領域における走行時に、電磁コイル45に供給される電力を低下させるようにしてもよい。
【0085】
また、以上の説明においては、シフトレンジがドライブレンジに設定された状態における車両の走行時に本発明に係る電磁力抑制処理を実行する場合について説明した。しかしながら、ロックアップクラッチ22が係合状態のとき、あるいは変速機において形成されている変速段が所定の変速段以上のときに本発明に係る電磁力抑制処理が実行されるようにしてもよい。また、以上の説明においては、シフトレンジがドライブレンジに設定されていることを電磁力抑制処理の実行条件としたが、これに限定されず、運転者の操作による変速段のシフトを可能とするSレンジあるいはMレンジにおいても本発明に係る電磁力抑制処理が実行されるようにしてもよい。
【0086】
また、以上の説明においては、複数の変速段を形成する変速機を備えた車両に本発明に係る制御装置を適用する場合について説明したが、これに限定されず、無段変速機(CVT)など他の変速機を搭載した車両に適用してもよい。また、以上の説明においては、動力源としてエンジン11を備えた車両に本発明に係る制御装置を適用する場合について説明したが、これに限定されず、駆動源としてエンジンおよびモータジェネレータを備え、これらの駆動源と変速機との間にトルクコンバータを有するハイブリッド車両に適用してもよい。
【0087】
以上のように、本発明に係る車両の制御装置は、車両の燃費を向上するとともにエンジンストール発生時におけるラチェッティングの発生を防止することができるという効果を奏するものであり、電磁力によりアンロック状態を維持可能なパーキングロック機構を備えた車両の制御装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両の制御装置の概略ブロック構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るパーキングロック機構およびパーキングロック機構の作動油の供給経路の模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る電磁力抑制処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る電磁力抑制処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1 ENG−ECU(停止状態判断手段)
2 ECT−ECU(車両の制御装置、アンロック維持手段、油圧維持判断手段、停止状態判断手段、制御手段)
3 SBW−ECU
4 電源ECU
11 エンジン(内燃機関)
12 変速機
13 トルクコンバータ
14 油圧制御装置
15 切替駆動装置
16 スタータモータ
17 オイルポンプ
18 パーキングロック機構
19 車内LAN回線
22 ロックアップクラッチ
34 シリンダ
35 ピストン
36 ピストンロッド
37 パーキングロッド
38 連結部材
39 パーキングロックポール
40 パーキングギヤ
45 電磁コイル(アンロック維持手段)
50 ロック位置
51 アンロック位置
55 磁石(アンロック維持手段)
58 スプリング
59 パーキングカム
64 エンジン回転数センサ(停止状態判断手段、回転数検出手段)
65 シフトポジションセンサ
66 車速センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の回転軸からトルクコンバータを介して駆動力を入力し所定の変速比で出力軸に伝達する変速機と、
前記内燃機関の回転軸の回転により油圧を発生する油圧供給手段と、
前記油圧供給手段により供給される油圧の減少により前記変速機の出力軸をロックするロック状態に移行し、前記油圧の増加により前記ロック状態を解除するアンロック状態に移行するパーキングロック機構と、
電力の供給により発生する電磁力によって前記アンロック状態を維持するアンロック維持手段と、を備えた車両の制御装置において、
前記駆動力の伝達状態に基づいて、前記車両の走行中に前記内燃機関が運動状態から停止状態に移行した場合においても前記油圧供給手段から供給される油圧が前記アンロック状態を維持するための油圧を供給することが可能であるか否かを判断する油圧維持判断手段と、
前記油圧維持判断手段により前記アンロック状態を維持するための油圧を供給することが可能であると判断された場合に、前記電磁力を発生させる電力の供給を抑制するよう前記アンロック維持手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記油圧維持判断手段は、前記トルクコンバータの入力軸と出力軸とを機械的に連結可能なロックアップ機構が連結状態にある場合に、前記油圧供給手段から供給される油圧が前記アンロック状態を維持するための油圧を供給することが可能であると判断することを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記内燃機関の回転軸の回転数を検出する回転数検出手段を備え、
前記油圧維持判断手段は、前記回転数検出手段により測定された回転数が予め定められた回転数以上の場合に、前記油圧供給手段から供給される油圧が前記アンロック状態を維持するための油圧を供給することが可能であると判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記内燃機関が運動状態から停止状態に移行したか否かを判断する停止状態判断手段を備え、
前記制御手段は、前記アンロック維持手段における電力の供給の抑制中に前記停止状態判断手段により前記内燃機関が停止状態に移行したと判断されたときに、前記アンロック維持手段における電力の供給を開始し前記アンロック状態を維持することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1の請求項に記載の車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−106886(P2010−106886A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277102(P2008−277102)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】