説明

車両制御システム

【課題】 右左折時における巻き込みの危険を回避し易い車両制御システムを提供する。
【解決手段】 車両制御システム1において、車両20は、道路上で右左折する際に、レーン内側を走行する発信器3から送信される無線識別情報を受信して、発信器3の存在判定を行なう。そして、発信器3が存在すると判定された場合には、自車両20の当該右左折走行を抑制するために加速制限制御ないし自動減速制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2003−118523号公報
【特許文献2】特開2002−352395号公報
【特許文献3】特開2001−18717号公報
【0003】
自動車において、運転者にとっての死角を完全排除することができないため、死角に潜む車両の存在を報知する技術がある。また、自動車において、運転者が走行中常に後方を確認することができないため、後方から接近する車両がある場合にこれを報知する技術もある。例えば、特許文献1〜3には、自車両への他車両の接近を報知する技術が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの技術はいずれも自車両に対する注意対象車両を警告報知するに止まるものでありものであり、警告報知に気付かなかった場合が考慮されていない。特に、交差点等における右左折時には、二輪車ないし歩行者を巻込む可能性があるため、近年では、こうした状況の回避をアシストする技術の要望がある。
【0005】
本発明の課題は、右左折時における巻き込みの危険を回避し易い車両制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両制御システムは、
道路上の右左折地点にて、右左折しようとする自車両のレーン内側を走行する巻き込み注意対象物から送信される無線識別情報を受信する識別情報無線受信手段と、
無線識別情報の受信状態に基づいて巻き込み注意対象物の存在判定を行なう巻き込み注意対象存在判定手段と、
右左折時に巻き込み注意対象物が存在すると判定された場合に、自車両の当該右左折走行を抑制する右左折走行抑制手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
上記本発明の構成によれば、無線通信により車両周辺における巻き込み注意対象物の存在が特定されると、自車両の右左折走行が制限されるから、該巻き込み注意対象物の巻き込みを回避し易くなる。
【0008】
右左折走行抑制手段は、少なくとも前記自車両の加速を制限する緊急加減速制御を実行するものとすることができる。具体的に言えば、右左折走行抑制手段は、右左折時に巻き込み注意対象物が存在すると判定された場合に、自車両になされる加速操作を無効化する制御を実行するものとできる。これにより、加速制限をより簡易にかつ確実に行なうことができる。また、右左折走行抑制手段は、巻き込み注意対象物の存在判定に基づいて、自車両を減速する減速制御を実行するものであってもよい。これにより、警告報知だけがなされるだけの構成と比較して、巻き込み注意対象物の巻き込みをより回避し易くなる。
【0009】
また、自車両に、自身の右左折に関与する右左折関連操作を検出する右左折関連操作検出手段を設け、巻き込み注意対象存在判定手段は、検出された右左折関連操作に対応する側から無線識別情報を受信した場合に、巻き込み注意対象物が存在すると判定するものとできる。これにより、運転者の右左折の意思に基づく上記緊急加減速制御を実行して巻き込みを効果的に防止できる。なお、右左折操作検出手段は、自車両に設けられたウィンカーの点灯操作を検出するものとできる。これにより、より早い段階で上記緊急加減速制御を実行することが可能となる。右左折操作検出手段は、運転者のステアリング操作方向を検出する構成であってもよい。
【0010】
また、自車両に、自身の現在位置を検出する現在位置検出手段と、自身の現在位置よりも進行方向前方に存在する道路分岐点を特定する道路分岐点特定手段と、自車両の現在位置が道路分岐点に対し予め定められた距離範囲内に接近したか否かを判定する道路分岐点接近判定手段とを設けることができる。このとき、右左折走行抑制手段は、自車両の現在位置が道路分岐点に対し予め定められた距離範囲内に接近し、かつ、巻き込み注意対象存在判定手段により巻き込み注意対象物が存在すると判定された場合に、自車両の右左折走行を抑制するものとできる。この構成によると、交差点や三叉路等の道路分岐点での右左折において、巻き込み注意対象物の携帯所持者ないし搭載車両の巻き込みをより回避し易くなる。
【0011】
また、自車両に、自身の減速操作を検出する減速操作検出手段を設けることができる。この場合、右左折走行抑制手段は、減速操作が検出された場合に、自車両の右左折走行を抑制するものとできる。運転者が自らの意思で減速制御を行なった場合には、上記右左折走行の抑制は不要であるから、上記構成では、そうした無駄な制御を省略することができる。
【0012】
自動車に、右左折走行抑制手段による右左折走行の抑制に先立って、当該右左折走行の抑制の実行を警告する警告手段を設けてもよい。これにより、実行された上記右左折走行の抑制を、運転者が故障と誤認識することがない。また、警告による注意喚起効果との相乗効果も期待できる。
【0013】
ところで、巻き込み注意対象物は、自身の無線識別情報を無線発信する識別情報無線発信手段を有する携帯型通信機を所持する者を含むものとできる。これにより、当該携帯型通信機を所持する歩行者や二輪車等の車両搭乗者の巻き込みを回避し易くなる。
【0014】
この場合、自動車に、巻き込み注意対象物に対し無線識別情報の無線発信を要求するための識別情報要求信号を無線送信する識別情報要求無線送信手段を設けることができる。この場合、上記携帯型通信機に、識別情報要求信号を無線受信する識別情報要求信号無線受信手段を設けるとともに、識別情報無線発信手段を、該識別情報要求信号の無線受信に基づいて、無線識別情報を無線発信するものとできる。この構成によると、携帯型通信機は、自車両側からの要求時にのみ無線識別情報を出力するようになるので、巻き込み注意対象物側における無線識別情報の無線発信に伴うエネルギー消費を抑制できる。
【0015】
また、識別情報要求無線送信手段が、識別情報要求信号を、自車両の運転者に対するブラインド方向に無線送信するように指向性を有する形で該自車両に設けることができる。これにより、死角に潜む車両ないし人といった巻き込み注意対象を特定することができ、それらの巻き込みを回避し易くなる。
【0016】
自動車に、携帯型のスマートキーをポーリングするためのポーリング信号を無線出力するポーリング信号出力手段と、該ポーリング信号の受信に基づいてスマートキーから送信されるIDコードを受信するIDコード受信手段と、受信した該IDコードと自身に記憶されたマスターコードとを照合する照合手段と、その照合結果に基づいて予め定められた車両動作を許可する車両動作許可手段とを備えるスマートエントリシステムが設けられていてもよい。そして、この場合の携帯型通信機は、スマートキーに兼用されるものとできる。携帯機としてユーザーが所持するスマートキーに、上記巻き込み注意対象物の機能を搭載することで、ユーザーが所持する各種携帯機の数を減じることができる。なお、携帯型通信機が携帯電話機に兼用されていてもよい。
【0017】
また、無線識別情報は、スマートエントリシステムにおけるIDコードと区別して認識されるよう定めることができる。これにより、スマートエントリシステムのIDコードとの混同がなくなる。この場合、自動車において、識別情報要求無線送信手段をポーリング信号を無線出力するポーリング信号出力手段に兼用させ、識別情報無線受信手段をIDコード受信手段に兼用させることができ、さらに、携帯型通信機において、識別情報要求信号無線受信手段をポーリング信号を無線受信するポーリング信号受信手段に兼用させ、識別情報無線発信手段をポーリング信号の無線受信に基づいてIDコードを送信するIDコード送信手段に兼用させることができる。この構成によると、本発明の機能をスマートエントリシステムの構成を利用して実現することができるので、当該機能を安価に車両に搭載することができる。
【0018】
一方で、巻き込み注意対象物は、車両本体に識別情報無線発信手段が組み付けられた巻き込み注意対象車両を含むものとできる。注意対象物が携帯型通信機として構成される場合、家に忘れてくるといった状況が考えられるが、注意対象物が車両である場合には、当該車両に識別情報無線発信手段を組み込むことで、絶えず注意対象物として認識されるようになる。
【0019】
また、巻き込み注意対象物は、車両本体にエンジンを備え、該エンジンの始動に基づいて、自身の無線識別情報を定期的に無線発信するものとできる。この構成によると、二輪車両のバッテリーを電源とする形で二輪車両自身の無線識別情報を定期的に無線発信することができる。また、エンジン始動中には絶えず自身の無線識別情報が発信されているので、走行車両による巻き込みを回避し易いし、他方、エンジン停止時には注意対象物から除外される。この場合の巻き込み注意対象車両には、識別情報無線発信手段を有するRFIDタグを組み付けて構成することができる。
【0020】
また、巻き込み注意対象物が、巻き込み注意対象車両と、携帯型通信機の所持者との双方であり、それら互いの無線識別情報を区別できる形で定めることができる。これにより、巻き込み対象となるものが車両であるか歩行者であるかを区別し易くなり、それに応じた巻き込み回避動作を行なうことが可能となる。
【0021】
また、識別情報無線受信手段は、無線識別情報を、自車両の運転者に対するブラインド方向から無線受信するように指向性を有する形で自動車に設けることができる。これにより、運転者の死角となる方向の巻き込み注意対象物のみが検出されるので、該死角に潜む車両ないし人を特定することができ、それらの巻き込みを回避し易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である車両制御システムの一例を示す模式図である。図2は、車両制御システム1の構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示す車両制御システム1は、主として、巻き込み注意対象物10,30と、車両20とにより構成される。巻き込み注意対象物10,30とは、自身の無線識別情報(以下、識別情報と略す)を無線発信する発信器3を携帯所持ないし搭載する対象である。また、車両20は車載器2を備え、該車載器2により、巻き込み注意対象物10,30の発信器3から識別情報を無線受信し、受信した識別情報に基づいて自車両20周辺における注意対象物10,30の存在を特定するとともに、注意対象物10,30が存在すると判定された場合には、自車両20の当該右左折走行を抑制することができる。これにより、車両20による巻き込み注意対象物10,30の巻き込みを防止し易くなる。ただし、この車両制御システム1は、車両右左折時における巻き込み回避のために積極的な役割を果たすものではなく、あくまで運転者の確認による巻き込み回避を前提としつつ、その補助的な役割を果たすものとして使用されるものである。
【0024】
発信器3は、巻き込み注意対象物10,30に携帯所持ないし搭載されるものであり、例えば、巻き込み注意対象物が二輪車のような車両(巻き込み注意対象車両)30である場合は車両本体に組み付けられており、また、巻き込み注意対象物が人である場合はその人が携帯する携帯機11に組み付けられている。なお、発信機3が組み付けられた携帯機11を携帯型通信機と称する。
【0025】
発信器3は、図2に示すように、基準発信器31と、周波数シンセサイザ32と、拡散符号生成部をなす制御部33と、電力増幅器34と、アンテナ39とにより構成されている。基準発信器31及び周波数シンセサイザ32からの信号入力を受ける制御部33は、内部メモリ(ROM又は不揮発性メモリ等の記憶部:巻き込み防止用の無線識別情報を記憶する識別情報記憶部)330に記憶された識別情報(識別コード)に基づいて、該識別情報を含むベースバンド信号を生成するとともに、該ベースバンド信号を所定周波数の搬送波に基づいて変調し、その変調された変調信号を電力増幅器34により増幅し、アンテナ39から無線信号を送出する。発信器3は、これらにより識別情報無線発信手段として機能する。
【0026】
なお、本実施形態における発信器3の電源は、携帯機11に組み付けられている場合には、該携帯機の内蔵電源(電池等)を使用し、エンジンを搭載した車両に組み付けられている場合には、当該車両の車載バッテリーを電源として使用する。発信器3は、携帯機に組み付けられている場合は電源投入状態(例えば電源スイッチをオンとした状態)において、エンジンを搭載した車両においてはエンジン始動状態において、自身の識別情報を定期的に無線発信する。
【0027】
車両20には、図1に示す車載器1が組み付けられている。具体的に言えは、車載器1は、図2に示すように、メイン制御部21を中心として、これに信号検出部22、停車機能制御部23、警告機能制御部24が接続する形で構成されている。各種制御部21,23,24は、CPU、ROM、RAM、その他不揮発性メモリやハードディスクドライブ(HDD)といった記憶装置と接続する周知のマイコンとして構成されており、CPUがROMや記憶装置に記憶されたプログラムを実行する形で各種機能を実行するものである。なお、図2に示すメモリ210は、上記したROM、RAM、その他不揮発性メモリやハードディスクドライブ(HDD)といった記憶装置を含むものである。
【0028】
信号検出部22は、車両20の左右双方の車側に設けられたアンテナ29が受信する無線信号を復調して、識別情報(識別コード)を復元し、これを、車両左右のどちら側から受信したものかが特定できる形でメイン制御部21に送信する。この信号検出部22は、アンテナ29とともに識別情報無線受信手段として機能する。
【0029】
メイン制御部21は、受信した識別情報を内部メモリ(マスター識別情報記憶部)210に記憶されたマスター情報と照合して認証処理を行なう。そして、結果が認証受理であり、かつ車両20が右左折を行なう状況においては、その存在を警告するための指示情報(警告指示情報)を警告機能制御部24に送信するとともに、緊急加減速制御(右左折抑制制御)を実行するための指示情報(緊急加減速制御指示情報)を停車機能制御部23に送信する。これらの処理は、ROM又は他の記憶装置に記憶された緊急加減速制御プログラムをCPUが実行する形でなされ、これにより、本発明の巻き込み注意対象存在判定手段及び右左折走行抑制手段として機能する。
【0030】
停車機能制御部23は、エンジンECU231、ブレーキ制御システム232、アクセル制御システム233と接続している。また、ブレーキ制御システム232にはブレーキバイワイヤ機構232aが接続され、いわゆるブレーキバイワイヤ方式のエンジン制御がなされている。つまり、ブレーキペダルの踏込み量をセンサが検出し、その検出量に応じてブレーキ装置を制御する。同様に、本実施形態のアクセル制御システム233にはアクセルバイワイヤ機構233aが接続され、いわゆるアクセルバイワイヤ方式のエンジン制御がなされている。つまり、アクセルペダルの踏込み量をセンサが検出し、その検出量に応じてスロットルバルブの開度を変更する制御がなされている。これらアクセルとブレーキに関する制御が電子制御によりなされることで、上記緊急加減速制御(右左折抑制制御)を容易に実現することができる。
【0031】
警告機能制御部24は、警告音発生器241、表示装置242と接続している。メイン制御部21から警告指示情報を受信した際には、警告音発生器241から警告音を出力し、表示装置242にて警告表示を行なう。警告音発生器241はブザーとして構成してもよいが、警告を音声にて出力する音声出力部として構成されていてもよい。この場合、後述するナビゲーション装置27の音声出力部273に兼用させることができる。また、表示装置242も後述するナビゲーション装置27の表示装置(表示器)272に兼用させることができる。本実施形態における表示装置242は、周知のカラー液晶表示器で構成されており、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行なうための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、ナビゲーション装置の制御回路から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行う。また、表示装置330として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。
【0032】
また、メイン制御部21には、右左折抑制制御プログラムの実行に使用される情報取得のために、操舵角検出器25、方向指示器(ターンシグナル:ウィンカー)26、ナビゲーション装置27、車速センサ28、及び緊急加減速制御を一時解除して通常制御状態に戻すための解除操作部211が接続されている。解除操作部211は、例えば操舵ハンドル(ステアリング)に設けられていることができる。これにより、右左折時において緊急加減速制御の解除を行ない易くなる。
【0033】
操舵角検出器25は、操舵ハンドルの操舵軸に設けられ、該操舵ハンドルの操舵角度を検出する、いわゆる操舵角センサ(操舵角検出手段)である。操舵角検出器25は、ロータリエンコーダあるいはレゾルバ等の周知の角度検出部から構成され、検出された情報はメイン制御部21に送信される。
【0034】
方向指示器26は、ターンシグナル制御装置(ウィンカー制御装置)として構成されており、ターンシグナル作動スイッチ、フラッシャ制御回路、右折用のターンシグナル(R)、左折用のターンシグナル(L)等が主制御回路に接続された周知の構成を有する。右折用のターンシグナル(R)あるいは左折用のターンシグナル(L)の点滅駆動操作を行なうターンシグナル作動スイッチは、例えばレバースイッチとして構成されている。ターンシグナル作動スイッチの操作状態はフラッシャ制御回路に入力され、その操作状態に基づいて、右折用のターンシグナル(R)あるいは左折用のターンシグナル(L)の点滅駆動が制御される。
【0035】
ナビゲーション装置27は、周知の地磁気センサ・ジャイロスコープ・距離センサ・GPS受信機等を備えてなる自車両位置検出器271、経路案内実行のためのナビゲーションプログラムや地図データ等及びその他各種データ等を記憶するデータ記憶装置(HDD)274、表示装置(表示器)272、音声出力装置(音声出力部)273、入力操作部275、及び制御回路270等を備える周知の構成を有するものである。
【0036】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置27では、制御回路8のCPUによりナビプログラム274aが起動されると、表示器272上にメニュー画面(図示せず)が表示される。そして、ユーザーによる操作入力部274cの操作(例えばタッチパネルの操作,リモコン端末の操作、あるいはマイクからの音声入力等)によって、そのメニュー画面から経路案内処理が選択されると、例えば次のような処理を実施する。即ち、まず、ユーザーは目的地を探索して設定する。目的地が設定されると、自車両位置検出器271により車両20の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。無論、出発地を現在位置以外の地点とすることもできる。そして、表示器272上の道路地図に案内経路を重ねて表示しつつ音声出力部273から音声による経路案内を出力する形で、ユーザーに適切な経路を案内する。
【0037】
車速センサ23は、周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号としてメイン制御部21やナビゲーション装置27に送信するものである。ナビゲーション装置27の制御回路270では、その車輪の回転数を車両20の速度に換算して、車両20の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両20の走行区間毎の平均車速を算出する等の処理が行われている。
【0038】
次に、メイン制御部21が実行する緊急加減速制御プログラムについて説明する。緊急加減速制御プログラムは、車両20のエンジン始動に伴い実行される。なお、エンジン始動の判定は、エンジンECU231からイグニッション(IG)のON信号の受信に基づいてなされる。以下、図4に示すフローチャートを用いて、その処理の流れを説明する。
【0039】
まず、S1では、ナビゲーション装置27との通信により、自車両20の交差点への接近を検出する(現在位置検出手段、道路分岐点特定手段、及び道路分岐点接近判定手段)。具体的に言えば、ナビゲーション装置27の自車両位置検出器271により検出される自車両20の現在位置に係る情報(現在位置情報)を取得し、さらに、ナビゲーション装置27において実行されているナビプログラム274aにより特定される、自身の現在位置よりも進行方向前方に存在する道路分岐点に係る情報(接近道路分岐点情報)を取得して、取得した現在位置情報と接近道路分岐点情報とに基づいて、自車両20の現在位置が、接近する道路分岐点に対し、予め定められた距離範囲(例えば300m)内に接近したか否かを判定する形で行なわれる。なお、この道路分岐点への接近判定は、ナビゲーション装置27にてなされてもよく、その場合にはその判定結果のみを通信取得する。交差点に所定距離まで接近したと判定されない場合にはS1に戻り、他方、交差点に所定距離まで接近したと判定された場合はS2に進む。
【0040】
S2では、自車両20の右左折に関与する右左折関連操作を検出する(右左折関連操作検出手段)。本実施形態においては、方向指示器26により右左いずれかのターンシグナルの点灯操作及びハンドル操舵の有無を検出する。より具体的にいえば、方向指示器26により右左折いずれかのターンシグナルの点灯操作情報(あるいは点灯状態情報)を取得し、さらに、操舵角検出器25の検出結果を取得して操舵ハンドルの操舵角度(中立位置からの角度)を得る。そして、それら取得情報に基づいて、点灯状態にあるターンシグナル側に操舵ハンドルが所定角度を上回って操舵されたか場合にS3に進む。それ以外の場合はS1に戻る。
【0041】
S3では、識別情報の受信の有無を判定するとともに、識別情報の受信状態に基づいて巻き込み注意対象物10,30の存在判定を行なう(巻き込み注意対象存在判定手段)。具体的に言えば、メイン制御部21が、アンテナ29の受信信号に含まれる識別情報を信号検出部22から受信し、その識別情報を内部メモリ210に記憶されたマスター情報と照合して認証処理を行なう。ただし、認証処理に使用される識別情報は、S2で検出された右左折関連操作に対応する側から受信したもののみとする。即ち、S2で検出されたターンシグナルの点灯操作及びハンドル操舵に対応する側のアンテナ29から受信したもののみを認証処理に使用する。そして、その識別情報がマスター情報と一致する場合には、発信機3を所持または搭載する巻き込み注意対象物10,30が存在すると判定してS4に進み、緊急加減速制御(右左折抑制制御)を実行する。他方、マスター情報と一致しない識別情報であった場合には、緊急加減速制御(右左折抑制制御)を実行することなくS10に進む。
【0042】
S4では、後述する緊急加減速制御に先立って、当該緊急加減速制御の実行を警告するよう、メイン制御部21が警告機能制御部24に警告指示情報を送信する。警告機能制御部24では、警告音発生器241及び表示装置242により所定の警告出力がなされる。本実施形態においては、発信機3を所持または搭載する巻き込み注意対象物10,30が存在すること、さらにはそのために強制減速を開始することを、音声と画面表示により出力する。なお、警告音発生器241及び表示装置242と、さらに警告機能制御部24とが本発明の警告手段をなすものである。
【0043】
続いてS5では、自車両20の減速を判定する。具体的に言えば、車速センサ23の検出値に基づいて(例えば車速センサ23の検出値が所定値を以上減じられた場合に)、減速と判定するようにする。あるいは、ブレーキバイワイヤ233aのブレーキペダルの踏み込み量を検出するセンサの検出結果を取得して、所定以上のブレーキペダルの踏み込み量が検出された場合に、減速があったと判定するようにしてもよい。減速したと判定された場合には、緊急加減速制御(右左折抑制制御)を実行することなくS10に進み、所定時間のうちに減速したと判定されなかった場合には、S6に進む。
【0044】
S6では、自車両20の車速センサ28の検出値に基づいて、自車両20の車速が所定速度を下回っているか否かを判定する。ブレーキペダル踏み込み量にて減速を判定する場合、もともと低速で走行しているときには、所定以上のブレーキペダル踏み込み量がなくても車両が停止してしまう可能性があるからである。なお、上記所定速度として、車速ゼロ(即ち車両停車状態)を定めてもよいが、周りを確認しつつ安全に右左折ができる速度として、例えば徐行速度(10km/h)等を定めてもよい。本実施形態においては、S6にて、自車両20の車速が所定速度を下回っていると判断された場合はS10に進み、S5にて減速操作有りと判断され、かつS6にて自車両20の車速が所定速度を下回ると判断された場合には、S7及びS8に進む。
【0045】
S7及びS8では、少なくとも自車両20の加速を制限する緊急加減速制御を実行するように、メイン制御部21が停車機能制御部23に対し緊急加減速制御指示情)を送信する。これを受けて停車機能制御部23では、アクセルバイワイヤ機構233aから受信するアクセルペダルの踏み込み量をスロットルバルブの開閉制御に反映させない、即ち、アクセルペダルを踏み込む加速操作を無効化する加速操作無効化制御を実行する。これと同時に、ブレーキバイワイヤ機構232aのブレーキペダルへの踏み込み操作とは無関係に、ブレーキ装置を作動させる自動減速制御を実行する。これらの制御は、予め定められた緊急加減速制御解除条件が成立するまで継続的に実行される(S9)。緊急加減速制御解除条件としては、右左折関連操作に対応する側からの識別情報が所定期間検出されなかったこと、自車両停止状態(又は自車両の速度が徐行速度を下回る状態)にて所定時間経過したこと、S3における識別コードを検出してから所定時間経過したこと、識別コードを発信する対象の絶対位置が所定時間変化しないこと(つまり識別コード発信対象が移動していないこと)、自車両と識別コード発信対象との相対位置関係が所定時間変化しないこと(つまり識別コード発信対象が自車両と連動して移動していること(例えば自車両の中に識別コード発信対象がある場合等))、及び解除操作部211が操作されること等からいずれかの条件を予め定めておくことができる。なお、緊急加減速制御解除条件には、上記のような条件を1つだけでなく複数設定してもよい。その場合、それら複数条件の全てが満たされることを緊急加減速制御解除条件としてもよいし、複数条件のいずれかが満たされることを緊急加減速制御解除条件としてもよい。また、複数の条件を組み合わせる形で定めてもよい。本実施形態においては、自車両停止状態にて一定時間が経過し、かつその間に識別情報が検出されなかったこと(前述の組み合わせ型の条件)と、同じく自車両停止状態にて一定時間が経過し、かつその間に識別コードを発信する対象との相対位置が一定時間変化しなかったこと(前述の組み合わせ型の条件)とのうちのいずれかが満たされることを緊急加減速制御解除条件として定めている。この緊急加減速制御解除条件とが満たされた場合にはS10に進み、加速操作無効化制御及び自動減速制御が解除され、S11に進む。
【0046】
S11では、車両20の右左折が終了したか否かを判定する。これは、ターンシグナルの点滅終了、あるいは、操舵ハンドルの中立範囲(中立位置を基準(ないし中心)とする所定の操舵角度範囲)への復帰に基づいて判定される。車両20の右左折が継続している場合にはS3に戻り、終了していない場合はS12に進む。S12では、アクセルバイワイヤ機構233a及びブレーキバイワイヤ機構232aによる通常の制御に復帰する。そして、S13に進み、エンジンが停止しない状態であればS1に戻り、エンジン停止(イグニッションOFF)となった場合には、本プログラムを終了する。
【0047】
上記緊急加減速制御プログラムによると、図3に示すように、三叉路や交差点等の道路分岐点100において、右左折しようとする自車両20のレーン内側を移動する巻き込み注意対象物10,30が存在する場合で、かつ運転者による減速操作がされなかった場合には緊急加減速制御(右左折抑制制御)が実行されるので、巻き込みの発生を防止することができる。
【0048】
なお、この実施形態において、発信器3の機能を携帯電話機に設けることができる。また発信器3RFIDタグとすることができる。
【0049】
また、緊急加減速制御(右左折抑制制御)の実行中に解除操作部211が操作された場合には、該緊急加減速制御が一時解除される。これにより、自動減速制御が中止され、アクセル操作が有効化される。つまり、アクセル操作による加速が可能となる。例えば、巻き込み対象物10,30を検出しつつも、運転者が安全に右左折できると判断した場合には、この解除操作部211を操作すればよい。この緊急加減速制御の一時解除は、当該右左折の完了に基づいて終了し、終了後は再び上記緊急加減速制御プログラムが実行される。
【0050】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、ナビゲーション装置27を利用して、自車両20の走行レーンを判定し、左折の場合には最も左側のレーンに、右折の場合は最も右側のレーンに自車両が位置している場合に、上記緊急加速制御を実行するようにしてもよい。
【0052】
また、巻き込み注意対象物が、巻き込み注意対象車両30と、携帯型通信機11の所持者10との双方であり、それら互いの識別情報を区別できる形で定め、受信した識別情報の認証処理(図4のS3)においてこれを区別して識別し、警告出力(図4のS4)において巻き込み注意対象物に応じた警告を行なうようにしてもよい。これにより、巻き込み対象となるものが車両であるか歩行者であるかを区別し易くなり、それに応じた巻き込み回避動作を運転者に促すことが可能となる。
【0053】
ところで、上記実施形態においては、道路分岐点に特化した巻き込み防止がなされているが、道路分岐点に限らず、例えば道路脇の駐車場等に自車両を移動する場合においても適用されるように構成することができる。さらに、緊急加減速制御(右左折抑制制御)は、加速操作無効化制御及び自動減速制御のうちのいずれか一方のみであってもよい。また、識別情報の認証処理実行のトリガーに使用される右左折関連操作は、上記実施形態のように、ターンシグナルの点灯操作の検出及びハンドル操舵の検出いずれか一方のみであってもよい。例えば、右左折を行なう以前に操作がなされるターンシグナルの点灯操作の検出のみを識別情報の認証処理実行のトリガーに使用するようにすることで、右左折地点よりもいくらか手前から、緊急加減速制御(右左折抑制制御)を実行することができる。逆に、ハンドル操舵の検出のみを識別情報の認証処理実行のトリガーに使用するようにすることで、右左折がなされるときに確実に緊急加減速制御(右左折抑制制御)を実行することができる。
【0054】
具体的に言えば、緊急加減速制御プログラムを図5に示すような処理とすることができる。まず、図5の緊急加減速制御プログラムにおいては、交差点接近検出に係る処理を省略し、まずは、S101にて、ターンシグナルの点灯操作のみの右左折関連操作検出を行ない、S102にて、ターンシグナルの点灯操作に対応する側から受信した識別情報に基づく巻き込み注意対象物3の存在判定を行なう。巻き込み注意対象物3が存在する場合には、S103及びS104に進み、上記した緊急加減速制御を上記した解除条件が成立するまで実行する。該識別情報が検出されなくなったら、S106にて緊急加減速制御を解除してS107に進む。以降のS107〜S109の処理は、図4のS10〜S12の処理と同様である。また、S101にて、ハンドル操舵のみの右左折関連操作検出を行ない、S102にて、ハンドル操舵方向に対応する側から受信した識別情報に基づく巻き込み注意対象物3の存在判定を行なうようにしてもよい。なお、図5に示す処理では、図4におけるS4の警告処理、S5の減速操作の有無判定処理、及びS6の車速判定も省略されている。
【0055】
また、図6に示すように、識別情報無線受信手段の一部を構成するアンテナ39は、識別情報を、自車両20の運転者に対するブラインド方向から無線受信するように指向性を有する形で自動車20に設けることができる。これにより、運転者の死角となる方向の巻き込み注意対象物のみが検出されるので、該死角に潜む車両ないし人を特定することができ、それらの巻き込みを回避し易くなる。図6の場合、各アンテナ39は、それぞれに対応する斜線ハッチング領域から識別情報を無線受信するよう指向性を有する。これら斜線ハッチング領域は、同図の車両20に登場する運転者の死角を含む領域である。
【0056】
また、図7に示すように、自車両20を周知のスマートエントリシステム4を搭載するものとし、スマートエントリシステム4のスマートキー5が、上記発信機を組付けた携帯機11と同様に機能するように構成されていてもよい。
【0057】
自車両20のスマートエントリシステム4は、携帯型のスマートキー5をポーリングするためのポーリング信号を無線出力するポーリング信号出力手段と、該ポーリング信号の受信に基づいてスマートキーから送信されるIDコードを受信するIDコード受信手段と、受信した該IDコードと自身に記憶されたマスターコードとを照合する照合手段と、その照合結果に基づいて予め定められた車両動作を許可する車両動作許可手段とを備えて構成することができる。
【0058】
図7において、自車両20に設けられるポーリング信号出力手段は、LF送信アンテナ49a,49b,49c,49d及びそれらから信号送出する周知のLF送信部41である。変調部42においてキーID等が反映されたベースバンド信号によりLF搬送波信号を変調して、LF送信部41からポーリング信号として定期的に繰り返し送信する。また、自車両20に設けられるIDコード受信手段は、RF受信アンテナ48及びそれを介して信号を受信する周知のRF受信部43である。スマートキー5からのポーリング応答電波をRF受信部43にて受信し、復調部44で認証用ID(IDコード)を含んだベースバンド信号を取り出して、制御部40でその認証用IDの認証処理を行なうとともに、結果が認証受理であった場合に限りドアロック解除やイモビライザアンロック等の機能制御処理を行なう。
【0059】
他方、図7において、スマートキー5に設けられるポーリング信号を無線受信するポーリング信号受信手段は、LF受信アンテナ59及びそれを介して信号を受信する周知のLF受信部51である。ポーリング信号をLF受信部51にて受信し、復調部52でベースバンド信号を取り出し、制御部50で内容解析する。解析の結果、自身に対するポーリングであることが確認されれば、変調部54において自身の認証用ID(IDコード)が反映されたベースバンド信号によりRF搬送波信号を変調し、RF送信部53から応答電波を自動車20側に送信する。スマートキー5に設けられる、ポーリング信号の無線受信に基づいてIDコードを送信するIDコード送信手段は、RF送信アンテナ58及びRF送信部53である。
【0060】
この実施形態(図7)における巻き込み注意対象物検出用の識別情報は、スマートエントリシステムにおけるIDコードと区別して認識されるよう定められている。そして、自車両20においては、識別情報要求無線送信手段がポーリング信号出力手段に兼用され、識別情報無線受信手段がIDコード受信手段に兼用されている。他方、携帯型通信機においては、識別情報要求信号無線受信手段がポーリング信号受信手段に兼用され、識別情報無線発信手段がIDコード送信手段に兼用されている。
【0061】
この実施形態(図7)における緊急加減速制御プログラムは、例えば図8に示すような処理とすることができる。なお、この緊急加減速制御プログラムも、車両20のエンジン始動(イグニッション(IG)のON)に伴い実行される。以下、図8に示すフローチャートを用いて、その処理の流れを説明する。
【0062】
まず、S21及びS22は、図4のS1及びS2と同様である。S23では、S22にて検出された右左折関連操作に対応する側のLF送信アンテナ49から巻き込み注意対象物3に所持されるスマートキー5に対し識別情報の無線発信を要求するための識別情報要求信号を無線送信する(識別情報要求無線送信手段)。この場合の識別情報は、スマートエントリシステム4におけるIDコードとは異なるものであり、スマートエントリシステム4の制御部40がメイン制御部21から巻き込み注意対象物検出用の識別情報を取得して、変調部42において該注意対象物検出用の識別情報を含むベースバンド信号によりLF搬送波信号を変調し、LF送信部41から識別情報要求信号(注意対象物検出用のポーリング信号)として送信する。例えば、図10において、右左折関連操作に対応する側が左折側であった場合には車両左側のLF送信アンテナ49b,49cから識別情報要求信号を送信し、逆に右左折関連操作に対応する側が右折側であった場合には車両右側のLF送信アンテナ49a,49dから識別情報要求信号を送信する。
【0063】
このとき、識別情報要求無線送信手段を構成するLF送信アンテナ49a,49dは、識別情報要求信号を、自車両20の運転者に対するブラインド方向に無線送信するように指向性を有する形でそれぞれ車両20に設けられている。具体的に言えば、図10に示すように、LF送信アンテナ49aが車両右前方の死角に指向性を有し、LF送信アンテナ49bが車両左前方の死角に指向性を有し、LF送信アンテナ49cが車両左後方の死角に指向性を有し、LF送信アンテナ49dが車両右後方の死角に指向性を有する形で車両20に設けられている。このため、死角に存在する巻き込み注意対象物10,30、さらにはそれらのうちの右左折関連操作に対応する側のもののみから、注意対象物検出用の識別情報を受信することができる。
【0064】
S24では、上記の通り、範囲を限定して送信された識別情報要求信号に対する応答信号の受信の有無を判定するとともに、応答信号の受信状態に基づいて巻き込み注意対象物10,30の存在判定を行なう(巻き込み注意対象存在判定手段)。具体的に言えば、メイン制御部21が、アンテナ49からの応答信号に含まれる識別情報をスマートエントリシステム4の制御部40から取得し、その識別情報を内部メモリ210に記憶されたマスター情報と照合して認証処理を行なう。なお、認証処理に使用される識別情報は、S23にて、右左折関連操作に対応する側のアンテナから受信したものだけとなる。そして、その識別情報がマスター情報と一致する場合には、発信機3を所持または搭載する巻き込み注意対象物10,30が存在すると判定してS25に進み、緊急加減速制御(右左折抑制制御)を実行する。他方、マスター情報と一致しない識別情報であった場合には、緊急加減速制御(右左折抑制制御)を実行することなくS31に進む。なお、以降のS25〜S34についての処理は、図4のS4〜S13の処理と同様の処理である。
【0065】
また、この図8の処理も、道路分岐点に限らない自車両の右左折においても適用されるようにしてもよいし、緊急加減速制御(右左折抑制制御)を、加速操作無効化制御及び自動減速制御のうちのいずれか一方のみとしてもよい。また、識別情報の認証処理への適用判定に使用される右左折関連操作を、上記実施形態のように、ターンシグナルの点灯操作及びハンドル操舵方向のいずれか、特には、ターンシグナルの点灯操作のみを識別情報の認証処理への適用判定に使用するようにしてもよい。これらは、図8に示す緊急加減速制御プログラムの処理内容を図9に示すような処理内容とすることで実現できる。
【0066】
なお、図11に示すように、車両20を、上記した発信器3の組み付けられた携帯型通信機11と、スマートキー5との双方から発信される無線信号を、それぞれ受信・復調(復元)可能に構成し、それら無線信号に含まれる巻き込み注意対象物検出用の識別情報に基づいて、車両20が上記緊急加減速制御(右左折抑制制御)を実行するようにしてもよい。また、この場合、巻き込み注意対象車両30が車両20と同様のスマートキーによるエンジン始動を行なうシステムを搭載している場合には、当該スマートキーを上記スマートキー5と同様の識別情報要求無線送信手段としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第一実施形態である車両制御システムにおける通信関係を示す模式図。
【図2】本発明の第一実施形態である車両制御システムの全体構成を示すブロック図。
【図3】本発明の第一実施形態である車両制御システムの模式図。
【図4】本発明の第一実施形態における緊急加減速制御(右左折抑制制御)の第一実施例を説明するためのフローチャート。
【図5】本発明の第一実施形態における緊急加減速制御(右左折抑制制御)の第二実施例を説明するためのフローチャート。
【図6】本発明の第二実施形態である車両制御システムの模式図。
【図7】本発明の第三実施形態である車両制御システムの全体構成を示すブロック図。
【図8】本発明の第三実施形態における緊急加減速制御(右左折抑制制御)の第一実施例を説明するためのフローチャート。
【図9】本発明の第三実施形態における緊急加減速制御(右左折抑制制御)の第二実施例を説明するためのフローチャート。
【図10】本発明の第三実施形態である車両制御システムの模式図。
【図11】本発明の第四実施形態である車両制御システムの模式図。
【符号の説明】
【0068】
1 車両制御システム
10,30 巻き込み注意対象物
11 携帯機
20 車両
21 メイン制御部
24 警告機能制御部
241 警告音発生器
242 表示装置
23 停車機能制御部
231 エンジンECU
232 ブレーキ制御システム
232a ブレーキバイワイヤ機構
233 アクセル制御システム
233a アクセルバイワイヤ機構
25 操舵角検出器
26 方向指示器(ターンシグナル:ウィンカー)
27 ナビゲーション装置
271 自車両位置検出器
28 車速センサ
3 発信器(識別情報無線発信手段)
4 スマートエントリシステム
40 スマートエントリシステムの制御部
5 スマートキー
50 スマートキーの制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上の右左折地点にて、右左折しようとする自車両のレーン内側を走行する巻き込み注意対象物から送信される無線識別情報を受信する識別情報無線受信手段と、
前記無線識別情報の受信状態に基づいて前記巻き込み注意対象物の存在判定を行なう巻き込み注意対象存在判定手段と、
前記右左折時に前記巻き込み注意対象物が存在すると判定された場合に、前記自車両の当該右左折走行を抑制する右左折走行抑制手段と、
を備えることを特徴とする車両制御システム。
【請求項2】
前記右左折走行抑制手段は、前記右左折時に前記巻き込み注意対象物が存在すると判定された場合に、自車両になされる加速操作を無効化する制御を実行するものである請求項1記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記右左折走行抑制手段は、前記右左折時に前記巻き込み注意対象物が存在すると判定された場合に、自車両を減速する減速制御を実行するものである請求項1又は請求項2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
自車両の右左折に関与する右左折関連操作を検出する右左折関連操作検出手段を備え、
前記巻き込み注意対象存在判定手段は、検出された前記右左折関連操作に対応する側から前記無線識別情報を受信した場合に、前記巻き込み注意対象物が存在すると判定する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記右左折操作検出手段は、自車両に設けられたウインカーの点灯操作を検出するものである請求項4記載の車両制御システム。
【請求項6】
前記自車両には、自身の現在位置を検出する現在位置検出手段と、自身の現在位置よりも進行方向前方に存在する道路分岐点を特定する道路分岐点特定手段と、前記自車両の現在位置が前記道路分岐点に対し予め定められた距離範囲内に接近したか否かを判定する道路分岐点接近判定手段とが設けられ、
前記右左折走行抑制手段は、前記自車両の現在位置が前記道路分岐点に対し予め定められた距離範囲内に接近し、かつ、前記巻き込み注意対象存在判定手段により前記巻き込み注意対象物が存在すると判定された場合に、前記自車両の前記右左折走行を抑制するものである請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項7】
前記自車両には、自車両の減速操作を検出する減速操作検出手段が設けられ、前記右左折走行抑制手段は、前記減速操作が検出された場合に、前記自車両の前記右左折走行を抑制するものである請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項8】
前記自車両には、前記右左折走行抑制手段による前記右左折走行の抑制に先立って、当該右左折走行の抑制の実行を警告する警告手段が設けられてなる請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項9】
前記巻き込み注意対象物は、自身の無線識別情報を無線発信する識別情報無線発信手段を有する携帯型通信機を所持する者を含むものである請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項10】
前記自車両は、前記巻き込み注意対象物に対し前記無線識別情報の無線発信を要求するための識別情報要求信号を無線送信する識別情報要求無線送信手段を備え、
前記携帯型通信機は、前記識別情報要求信号を無線受信する識別情報要求信号無線受信手段を備え、前記識別情報無線発信手段は、該識別情報要求信号の無線受信に基づいて、前記無線識別情報を無線発信するものである請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項11】
前記識別情報要求無線送信手段は、前記識別情報要求信号を、前記自車両の運転者に対するブラインド方向に無線送信可能となるように指向性を有する形で該自車両に複数設けられてなる請求項10記載の車両制御システム。
【請求項12】
前記自車両には、携帯型のスマートキーをポーリングするためのポーリング信号を無線出力するポーリング信号出力手段と、該ポーリング信号の受信に基づいて前記スマートキーから送信されるIDコードを受信するIDコード受信手段と、受信した該IDコードと自身に記憶されたマスターコードとを照合する照合手段と、その照合結果に基づいて予め定められた車両動作を許可する車両動作許可手段とを備えるスマートエントリシステムが設けられ、
前記携帯型通信機は、前記スマートキーに兼用されるものである請求項10又は請求項11に記載の車両制御システム。
【請求項13】
前記無線識別情報は、前記スマートエントリシステムにおけるIDコードと区別して認識されるよう定められるとともに、
前記自車両において、前記識別情報要求無線送信手段の無線送信部は前記ポーリング信号出力手段に兼用され、前記識別情報無線受信手段は前記IDコード受信手段に兼用され、
前記携帯型通信機において、前記識別情報要求信号無線受信手段は前記ポーリング信号を無線受信するポーリング信号受信手段に兼用され、前記識別情報無線発信手段は、前記ポーリング信号の無線受信に基づいて前記IDコードを送信するIDコード送信手段に兼用されてなる請求項12記載の車両制御システム。
【請求項14】
前記巻き込み注意対象物は、車両本体に前記識別情報無線発信手段が組み付けられた巻き込み注意対象車両を含むものである請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項15】
前記巻き込み注意対象車両は、車両本体にエンジンが設けられ、該エンジンの始動に基づいて、自身の前記無線識別情報を定期的に無線発信するものである請求項14記載の車両制御システム。
【請求項16】
前記巻き込み注意対象車両には、前記識別情報無線発信手段を有するRFIDタグが組み付けられてなる請求項14又は請求項15に記載の車両制御システム。
【請求項17】
前記識別情報無線受信手段は、前記無線識別情報を、自車両の運転者に対するブラインド方向から無線受信可能となるように指向性を有する形で前記自動車に複数設けられてなる請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の車両制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−282346(P2008−282346A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128334(P2007−128334)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】