説明

車両周辺監視装置

【課題】撮影画像から監視対象を検索して認識する際の処理負荷を軽減することができる車両周辺監視装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車両周辺の撮影画像から監視対象の標識を検索して、標識を含む所定の大きさの領域を抽出する。この時、夜間等により照度が不足して撮影画像から監視対象の標識を抽出できないような場合には、近赤外投光器によって近赤外光を投光して近赤外光カメラの撮影画像から監視対象の標識を抽出し、西日やハイビーム等により近赤外光カメラの撮影画像から標識を抽出できないような場合には、近赤外投光器を点滅させて近赤外光投光時と消灯時の差分画像から監視対象の標識を抽出する(100〜114)。そして、抽出した領域に対応する位置へ前照灯の光が照射されるように前照灯の配光を制御する(116)と共に、抽出した領域の撮影画像から標識の内容を認識して(118、120)認識結果を乗員に報知する(122)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺監視装置にかかり、特に、車両前方等の車両周辺を撮影して撮影画像から標識等を認識して運転者の視覚を支援する等の装置に適用可能な車両周辺監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラの撮影画像から車両周辺の障害物等を監視する車両周辺装置が従来より提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術のように、カメラを用いて前方を撮影して、撮影画像から障害物を認識する技術が提案されている。詳細には、特許文献1に記載の技術では、撮影画像から障害物を認識して、認識した障害物に対して前照灯の配光を制御するようにしている。
【特許文献1】特開2005−14662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を適用して、撮影画像から標識等の内容を認識しようとする場合、標識を認識するために複雑なテクスチャーをパターンマッチング等の技術を利用して撮影画像全域をサーチして、標識等の内容を認識するため、処理負荷が高くなってしまう。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、撮影画像から監視対象を検索して認識する際の処理負荷を軽減することができる車両周辺監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、自車両周辺を撮影する撮影手段と、監視対象の予め定めた特徴に基づいて、前記撮影手段によって撮影された撮影画像の中から監視対象が含まれる領域を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された前記領域の撮影画像を解析することによって監視対象を認識する認識手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、自車両前方等の自車両周辺が撮影手段によって撮影され、監視対象の予め定めた特徴に基づいて、撮影手段によって撮影された撮影画像の中から監視対象が含まれる領域が抽出手段によって抽出される。例えば、請求項2に記載の発明のように、予め定めた監視対象の形状を特徴として記憶する記憶手段を更に備えて、抽出手段が、撮影画像の中から記憶手段に記憶された予め記憶された監視対象の形状を検索し、検索した監視対象の形状を含む所定の大きさの領域を監視対象が含まれる領域として抽出することで、監視対象を含む領域を抽出するようにしてもよい。すなわち、監視対象の形状を予め登録しておくことによってパターンマッチング等により監視対象を含む領域を抽出することができる。
【0008】
そして、認識手段が、抽出手段によって抽出された領域の撮影画像を解析することによって監視対象を認識する。すなわち、撮影画像の全領域について監視対象を認識するための画像解析を行うことなく、抽出した領域のみについて監視対象を認識するための画像解析を行うので、撮影画像から監視対象を検索して認識する際の処理負荷を軽減することができる。
【0009】
なお、請求項3に記載の発明のように、配光を変更可能な照明手段と、抽出手段によって抽出された領域へ光を照射するように照明手段を制御する制御手段と、を更に備えるようにしてもよい。これによって抽出した監視対象に照明手段から光を照射することが可能となり、夜間等でも認識手段によって画像解析して監視対象を認識することが可能となる。
【0010】
この時、請求項4に記載の発明のように、車両状態を検出する状態検出手段及び自車位置を検出する自車位置検出手段の少なくとも一方の検出手段を更に備えて、制御手段が、検出手段の検出結果に基づいて、抽出手段によって抽出された領域の位置を補正して、照明手段を制御するようにしてもよい。これによって自車両の移動に追従して抽出した領域の補正を行うことが可能となり、監視対象に対して正確に照明手段から光を照射することが可能となる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明のように、近赤外光を自車両周辺に投光する近赤外投光手段を更に備え、撮影手段が近赤外光を撮影する近赤外光撮影手段を含むようにしてもよい。これによって夜間でも監視対象の形状等の特徴を認識することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、監視対象の予め定めた特徴に基づいて、撮影画像の中から監視対象を含む領域を抽出し、抽出した領域の撮影画像を解析することによって監視対象を認識することで、撮影画像の全領域について監視対象を認識するための画像解析を行うことなく、監視対象を認識することができるので、撮影画像から監視対象を検索して認識する際の処理負荷を軽減することができる、という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係わる車両周辺監視装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
本発明の第1実施形態に係わる車両周辺監視装置10は、図1に示すように、車両に設けられた前照灯12の配光を制御する配光制御装置16が車両周辺監視ECU(Electronic Control Unit)14に接続されており、車両周辺監視ECU14の監視結果を配光制御装置16に出力することによって、配光制御装置16が車両周辺の監視結果を用いて前照灯12の配光を制御する。
【0015】
車両周辺監視ECU14は、CPU14A、RAM14B、ROM14C、及びインプットアウトプットインタフェース(I/O)14Dを含むマイクロコンピュータで構成されている。
【0016】
車両周辺監視ECU14のROM14Cには、車両周辺を監視して配光制御するためのプログラムや前照灯12の配光制御を行うためのテーブル等が記憶されると共に、監視対象の特徴形状(詳細は後述)が記憶され、RAM14Bは、CPU14Aによって行われる各種演算等を行うメモリ等として使用される。
【0017】
I/O14Dには、可視光カメラ18、近赤外投光器20、近赤外光カメラ22、及び配光制御装置16が接続されている。
【0018】
可視光カメラ18は可視光の光を撮影して撮影結果を車両周辺監視ECU14へ出力し、近赤外投光器20は車両周辺監視ECU14の指示に応じて近赤外光を投光して、近赤外光カメラ22は近赤外投光器20から投光された近赤外光を撮影して撮影結果を車両周辺監視ECU14へ出力する。
【0019】
車両周辺監視ECU14は、可視光カメラ18や近赤外光カメラ22によって撮影された撮影画像から監視対象(本実施形態では、標識)を監視して、監視結果を配光制御装置16へ出力する。
【0020】
そして、配光制御装置16は、車両周辺監視ECU14の監視結果に基づいて、監視対象に照射する前照灯12の配光を制御する。すなわち、標識等の監視対象へ光が照射されるように前照灯12の配光を制御する。
【0021】
前照灯12は、車両の前端部に2つ設けられており、図2に示すように、前照灯12の配光領域を複数に分割してそれぞれの分割領域21に対して光の照射や非照射等が可能とされることによって各分割領域毎に配光が変更とされ、配光制御装置16によって各分割領域への光の照射や非照射等が制御される。
【0022】
図3(A)、(C)は、本実施形態に適用可能な前照灯の一例を示す図である。
【0023】
前照灯12は、例えば、図3(A)に示すように、光源28からの光をDMD(Digital Micromirror Device)30によって反射して、レンズ31を介して車両前方を照射するものを適用可能である。
【0024】
DMD30は、図3(B)に示すように、複数のマイクロミラー32を備えており、各マイクロミラー32の回転が制御可能なデバイスである。すなわち、配光制御装置16に光源28を点灯する光源ドライバ34と、DMD30の各マイクロミラー32の回転を制御するDMDドライバ36と、を設け、光源ドライバ34によって光源28を点灯して、DMDドライバ36によってDMD30の各マイクロミラー32の回転を制御することによって、図2に示す各分割領域への光の照射や非照射等を制御することが可能である。
【0025】
また、前照灯12は、図3(C)に示すように、複数のLED光源24を備えたものを適用するようにしてもよい。この場合には、配光制御装置16が複数のLED光源24の点灯や消灯を制御することによって、図2に示す各分割領域21への光の照射や非照射等を行うことが可能である。図3(C)では、複数のLED光源24を備えたLEDランプ26を2灯備えた前照灯の一例を示し、例えば、一方のLEDランプ26をロービーム用、他方のLEDランプ26をハイビーム用として使い分けるようにしてもよい。
【0026】
なお、本実施の形態では、図3(A)に示した光源28とDMD30を備えた前照灯を適用して以下の説明を行う。また、前照灯12の構成は上記に限るものではなく、例えば、単一の光源から車両前方を照らす光を遮断する複数のシャッタ等を設けて、各シャッタの大きさを分割領域に対応させて、図2に示す各分割領域への光の照射や非照射等を可能としてもよいし、DMD30の代りにDMD30以外の液晶素子等の空間光変調素子等を用いるようにしてもよい。
【0027】
また、前照灯12から照射される光の各分割領域21の配光制御は、各分割領域21に対応するDMD60のマイクロミラー32が予め定められており、DMD30のマイクロミラー32を選択的に回転して、光源からの光を前照灯12のハウジング内や他の分割領域21へ照射するように制御することによって、各分割領域21へ照射される光を制御するようになっており、各分割領域とDMD30のマイクロミラー32との対応関係を表すテーブルがROM14Cに記憶されている。
【0028】
ここで、本発明の第1実施形態に係わる車両周辺監視装置10で行われる処理について説明する。
【0029】
本発明の第1実施形態に係わる車両周辺監視装置10は、車両周辺(本実施形態では車両前方)の撮影画像から監視対象として標識を検索して、標識を含む所定の大きさの領域を抽出する。監視対象の抽出は、ROM14Cに予め記憶された監視対象の特徴形状を用いて、撮影画像からパターンマッチング等により検索し、特徴形状を含む予め定めた大きさの領域を抽出する。なお、ROM14Cに記憶する監視対象の特徴形状は、本実施形態では、標識の形状を記憶する。例えば、円形状や逆三角形状等の標識の形状を記憶する。
【0030】
この時、夜間等により照度が不足して、撮影画像から監視対象の標識を抽出できないような場合には、近赤外投光器20によって近赤外光を投光して、近赤外光カメラ22の撮影画像から監視対象の標識を抽出する。近赤外光カメラ22の撮影画像から監視対象の標識を抽出する場合には、所定輝度以上を抽出することで監視対象の標識の形状が現れるので、パターンマッチング等により標識を含む領域を抽出することができる。
【0031】
また、西日やハイビーム等により、近赤外光カメラ22の撮影画像から標識を抽出できないような場合には、近赤外投光器20を点滅させて、近赤外光投光時と消灯時の差分画像から監視対象の標識を含む領域を抽出する。
【0032】
そして、撮影画像の抽出した領域に対して前照灯12の光が照射されるように前照灯12の配光を制御すると共に、抽出した領域の撮影画像を画像解析(標識を含む領域抽出よりも詳細なパターンマッチング等)することによって、標識の内容を認識して認識結果を乗員に報知する。なお、報知方法としては、例えば、表示装置等に表示するようにしてもよいし、音声等により報知するようにしてもよい。
【0033】
続いて、上述のように構成された本発明の第1実施形態に係わる車両周辺監視装置10で行われる処理の流れについて詳細に説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係わる車両周辺監視装置10で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、当該処理は、図示しないイグニッションスイッチがオンされた場合等に開始するようにしてもよいし、監視モード等の指示を行うスイッチ等を備える場合には、当該スイッチによって開始が指示された場合に開始するようにしてもよい。
【0034】
まずステップ100では、車両周辺(前方)が可視光カメラ18によって撮影されてステップ102へ移行する。
【0035】
ステップ102では、可視光カメラ18の撮影画像から近赤外光を投光する必要があるか否か車両周辺監視ECU14によって判定される。該判定は、例えば、撮影画像が夜間等の照度か否かを判定することによって行われ、該判定が肯定された場合にはステップ104へ移行し、否定された場合にはステップ112へ移行する。
【0036】
ステップ104では、可視光カメラ18の撮影画像から近赤外光を点滅する必要があるか否か車両周辺監視ECU14によって判定される。該判定は、例えば、撮影画像が西日等により所定の輝度以上か否かを判定したり、前照灯12がハイビームか否かを判定したりすることによって行われ、該判定が肯定さて場合にはステップ106へ移行し、否定された場合にはステップ110へ移行する。
【0037】
ステップ106では、近赤外投光器20及び近赤外光カメラ22が車両周辺監視ECU14によって制御されて、近赤外光が点滅して投光されて近赤外光カメラ22によって撮影が行われる。
【0038】
続いて、ステップ108では、近赤外投光時と消灯時の差分画像が車両周辺監視ECU14によって算出されてステップ112へ移行する。
【0039】
一方、ステップ110では、近赤外投光器20及び近赤外光カメラ22が車両周辺監視ECU14によって制御されて、近赤外光が投光されて近赤外光カメラ22によって撮影が行われ、ステップ112へ移行する。
【0040】
ステップ112では、撮影画像中に監視対象の標識があるか否か車両周辺監視ECU14によって判定される。該判定は、ROM14Cに予め記憶された監視対象の特徴形状(標識の形状)を用いて、撮影画像からパターンマッチング等により検索し、対応する特徴形状があるか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ114へ移行し、否定された場合にはステップ126へ移行する。なお、近赤外光の撮影画像の場合には、所定の輝度以上をマスクすることによって、図5に示すように標識形状44が現れ、パターンマッチングが容易となり、監視対象の領域46を容易に抽出することが可能となる。
【0041】
ステップ114では、監視対象の標識形状の領域が撮影画像から車両周辺監視ECU14によって抽出されてステップ116へ移行する。
【0042】
ステップ116では、抽出領域へ可視光を照射するように配光制御装置16によって配光が制御されてステップ118へ移行する。すなわち、抽出領域に対応する分割領域21へ光が照射されるようにDMD30のマイクロミラー32の回転が制御される。なお、既に抽出領域に対応する分割領域21に光が照射されている場合には、他の領域よりも明るくなるように、例えば、他の領域へ照射する光の一部を抽出領域に対応する分割領域21へ照射するようにDMD30のマイクロミラー32の回転を制御する。
【0043】
ステップ118では、可視光カメラ18によって撮影が行われてステップ120へ移行し、撮影画像中の抽出領域の画像が車両周辺監視ECU14によって解析されて標識の種類や内容等が認識されてステップ122へ移行する。すなわち、前照灯12によって監視対象の標識に光が照射されているので、可視光カメラ18の撮影画像から標識の種類や内容等を認識することが可能となる。
【0044】
ステップ122では、車両周辺監視ECU14によって認識結果が報知されてステップ124へ移行する。例えば、認識した標識の種類や内容等を音声で報知したり、画像表示装置等に表示する。これによって乗員が標識を見落としている場合に気付かせることができる。
【0045】
そして、ステップ124では、イグニッションスイッチがオフされたか否か車両周辺監視ECU14によって判定され、該判定が否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定されたところで一連の処理を終了する。
【0046】
このように本発明の第1実施形態に係わる車両周辺監視装置10では、撮影画像から監視対象を含む領域を抽出してから、抽出領域について画像解析して監視対象の内容を認識するので、撮影画像全てについて画像解析することがないので、処理負荷を軽減することができる。
【0047】
また、夜間等の場合に、近赤外光の撮影画像を用いて監視対象を抽出することによって、所定値以上の輝度を抽出することで、監視対象の標識を簡単に抽出することができ、当該領域を容易に抽出することが可能となる。
【0048】
さらに、ハイビームや西日等の場合に、近赤外光を点滅させて、近赤外投光時と消灯時の撮影画像の差分画像を用いることによって、可視光カメラ18の撮影画像からハイビームや西日等によって監視対象の標識が抽出し難い場合でも確実に監視対象の標識を抽出することができる。
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係わる車両周辺監視装置について説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係わる車両周辺監視装置の構成を示すブロック図である。なお、第1実施形態と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
第2実施形態に係わる車両周辺監視装置は、図6に示すように、第1実施形態に係わる車両周辺監視装置10に対して、車両状態検出センサ40及びナビゲーション装置42がI/O14Dに接続されており、車両周辺監視ECU14が、車両状態検出センサ40及びナビゲーション装置42からの情報に基づいて、自車両の移動を推定して、監視対象の標識が含まれる抽出領域の位置を補正する。
【0050】
すなわち、本実施形態の車両周辺監視ECU14は、監視対象の標識が含まれる領域を抽出して、抽出した領域に前照灯12の配光を制御する際に、車両の移動を考慮して抽出領域を補正して、前照灯12の配光を制御する。これによって、監視対象の標識等に前照灯12の光を正確に照射することが可能となる。
【0051】
車両状態検出センサ40は、車両状態として、例えば、車速、ヨーレート、舵角等の車両状態を検出する。なお、抽出領域の位置を補正するためには、少なくとも車速及び舵角の検出が必要である。
【0052】
また、ナビゲーション装置42は、自車位置を測位すると共に、測位した自車位置と地図情報をナビゲーション情報として車両周辺監視ECU14へ出力する。
【0053】
そして、車両周辺監視ECU14は、車両状態検出センサ40の検出結果やナビゲーション装置42からのナビゲーション情報に基づいて、監視対象の標識を含む抽出領域の補正を行う。なお、本実施形態では、車両状態検出センサ40及びナビゲーション装置42が共に車両周辺監視ECU14に接続されている場合を説明するが、これに限るものではなく、どちらか一方のみを車両周辺監視ECU14に接続するようにしても抽出領域の補正が可能である。
【0054】
続いて、上述のように構成された本発明の第2実施形態に係わる車両周辺監視装置で行われる処理の流れについて説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係わる車両周辺監視装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、第1実施形態と同一処理については同一符号を付して説明する。なお、当該処理は、図示しないイグニッションスイッチがオンされた場合等に開始するようにしてもよいし、監視モード等の指示を行うスイッチ等を備える場合には、当該スイッチによって開始が指示された場合に開始するようにしてもよい。
【0055】
まずステップ100では、車両周辺(前方)が可視光カメラ18によって撮影されてステップ102へ移行する。
【0056】
ステップ102では、可視光カメラ18の撮影画像から近赤外光を投光する必要があるか否か車両周辺監視ECU14によって判定される。該判定は、例えば、撮影画像が夜間等の照度か否かを判定することによって行われ、該判定が肯定された場合にはステップ104へ移行し、否定された場合にはステップ112へ移行する。
【0057】
ステップ104では、可視光カメラ18の撮影画像から近赤外光を点滅する必要があるか否か車両周辺監視ECU14によって判定される。該判定は、例えば、撮影画像が西日等により所定の輝度以上か否かを判定したり、前照灯12がハイビームか否かを判定したりすることによって行われ、該判定が肯定さて場合にはステップ106へ移行し、否定された場合にはステップ110へ移行する。
【0058】
ステップ106では、近赤外投光器20及び近赤外光カメラ22が車両周辺監視ECU14によって制御されて、近赤外光が点滅して投光されて近赤外光カメラ22によって撮影が行われる。
【0059】
続いて、ステップ108では、近赤外投光時と消灯時の差分画像が車両周辺監視ECU14によって算出されてステップ112へ移行する。
【0060】
一方、ステップ110では、近赤外投光器20及び近赤外光カメラ22が車両周辺監視ECU14によって制御されて、近赤外光が投光されて近赤外光カメラ22によって撮影が行われ、ステップ112へ移行する。
【0061】
ステップ112では、撮影画像中に監視対象の標識があるか否か車両周辺監視ECU14によって判定される。該判定は、ROM14Cに予め記憶された監視対象の特徴形状(標識の形状)を用いて、撮影画像からパターンマッチング等により検索し、対応する特徴形状があるか否かを判定する。該判定が肯定された場合にはステップ114へ移行し、否定された場合にはステップ126へ移行する。なお、近赤外光の撮影画像の場合には、所定の輝度以上をマスクすることによって、図5に示すように標識形状46等が現れ、パターンマッチングが容易となり、監視対象の領域を容易に抽出することが可能となる。
【0062】
ステップ114では、監視対象の標識形状の領域が撮影画像から車両周辺監視ECU14によって抽出されてステップ115へ移行する。
【0063】
ステップ115では、抽出領域の補正処理が行われてステップ116へ移行する。ここで、図8を参照して抽出領域の補正処理について説明する。
【0064】
抽出領域補正処理へ移行するとステップ200で、車両周辺監視ECU14によって、車両状態検出センサ40から車両状態の検出結果が取得されると共に、ナビゲーション装置42からナビゲーション情報が取得されてステップ202へ移行する。
【0065】
ステップ202では、監視対象の標識を含む領域を抽出してからの車両の変位が車両周辺監視ECU14によって算出されてステップ204へ移行して、車両変位に対応する抽出領域の移動位置が車両周辺監視ECU14によって算出されて図7のステップ116へ移行する。
【0066】
すなわち、抽出領域補正処理では、図9(A)の位置で監視対象の標識を含む領域46を抽出して、続く処理までに車両が移動して抽出した領域46が図9(B)の位置に移動した場合には、図9(C)に示すように、抽出した領域が46から領域47へ移動するので、この移動位置を推定することによって、抽出領域の画像中の位置補正を行う。これによって車両の移動に合わせて抽出領域を追従させることができる。
【0067】
一方、抽出領域補正処理が行われてステップ116へ移行すると、抽出領域へ可視光を照射するように配光制御装置16によって配光が制御されてステップ118へ移行する。すなわち、抽出領域に対応する分割領域21へ光が照射されるようにDMD30のマイクロミラー32の回転が制御される。なお、既に抽出領域に対応する分割領域21に光が照射されている場合には、他の領域よりも明るくなるように、例えば、他の領域へ照射する光の一部を抽出領域に対応する分割領域21へ照射するようにDMD30のマイクロミラー32の回転を制御する。
【0068】
ステップ118では、可視光カメラ18によって撮影が行われてステップ120へ移行し、撮影画像中の抽出領域の画像が車両周辺監視ECU14によって解析されて標識の種類や内容等が認識されてステップ122へ移行する。すなわち、前照灯12によって監視対象の標識に光が照射されているので、可視光カメラ18の撮影画像から標識の種類や内容等を認識することが可能となる。
【0069】
ステップ122では、車両周辺監視ECU14によって認識結果が報知されてステップ124へ移行する。例えば、認識した標識の種類や内容等を音声で報知したり、画像表示装置等に表示する。これによって乗員が標識を見落としている場合に気付かせることができる。
【0070】
そして、ステップ124では、イグニッションスイッチがオフされたか否か車両周辺監視ECU14によって判定され、該判定が否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定されたところで一連の処理を終了する。
【0071】
このように本実施形態においても第1実施形態と同様に、撮影画像から監視対象を含む領域を抽出してから、抽出領域について画像解析して監視対象の内容を認識するので、撮影画像全てについて画像解析することがないので、処理負荷を軽減することができる。
【0072】
また、夜間等の場合に、近赤外光の撮影画像を用いて監視対象を抽出することによって、所定値以上の輝度を抽出することで、監視対象の標識を簡単に抽出することができ、当該領域を容易に抽出することが可能となる。
【0073】
また、ハイビームや西日等の場合に、近赤外光を点滅させて、近赤外投光時と消灯時の撮影画像の差分画像を用いることによって、可視光カメラ18の撮影画像からハイビームや西日等によって監視対象の標識が抽出し難い場合でも確実に監視対象の標識を抽出することができる。
【0074】
さらに、本実施形態では、車両の移動に合わせて抽出した監視対象を含む領域の移動を推定して補正するので、配光制御装置16によって配光を制御する際に、自車両の移動に追従して監視対象に対して正確に光を照射することが可能となる。
【0075】
なお、上記の各実施形態では、監視対象として標識を一例として挙げて説明したが、監視対象は標識に限るものではなく、例えば、車両(特に停車車両等)、歩行者、ポール、橋の欄干等を監視対象とするようにしてもよい。
【0076】
また、上記の各実施形態では、可視光カメラ18や赤外光カメラ22の撮影画像から監視対象を含む領域を抽出するようにしたが、これに限るものではなく、監視対象を抽出する際には、例えば、電磁波等を利用したレーダ等により、監視対象の特徴形状を検索して抽出するようにしてもよい。
【0077】
さらに、上記の各実施形態では、配光制御装置16は、分割領域21毎に光の照射や非照射等を制御可能なものを適用したが、これに限るものではなく、例えば、ステアリング舵角に合わせてスイングする配光制御装置16を適用して、監視対象の方向へスイングするように制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる車両周辺監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】前照灯の配光範囲の分割領域を説明するための図である。
【図3】(A)は本発明の実施形態に適用可能な前照灯の構成を示す図であり、(B)はDMDのマクロミラーを説明するための図であり、(C)は本発明の実施形態に適用可能な他の前照灯の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係わる車両周辺監視装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】監視対象の標識を含む領域の抽出を説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係わる車両周辺監視装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係わる車両周辺監視装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】抽出領域補正処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図9】抽出領域補正処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0079】
10 車両周辺監視装置
12 前照灯
14 車両周辺監視ECU
16 配光制御装置
18 可視光カメラ
20 近赤外投光器
22 近赤外光カメラ
40 車両状態検出センサ
42 ナビゲーション装置
44 標識形状
46、47 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両周辺を撮影する撮影手段と、
監視対象の予め定めた特徴に基づいて、前記撮影手段によって撮影された撮影画像の中から監視対象が含まれる領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記領域の撮影画像を解析することによって監視対象を認識する認識手段と、
を備えた車両周辺監視装置。
【請求項2】
予め定めた監視対象の形状を前記特徴として記憶する記憶手段を更に備え、前記抽出手段が、前記撮影画像の中から前記記憶手段に記憶された予め定めた監視対象の形状を検索し、検索した監視対象の形状を含む所定の大きさの領域を前記監視対象が含まれる領域として抽出することを特徴とする請求項1に記載の車両周辺監視装置。
【請求項3】
配光を変更可能な照明手段と、前記抽出手段によって抽出された前記領域へ光を照射するように前記照明手段を制御する制御手段と、を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両周辺監視装置。
【請求項4】
車両状態を検出する状態検出手段及び自車位置を検出する自車位置検出手段の少なくとも一方の検出手段を更に備え、前記制御手段が、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記抽出手段によって抽出された前記領域の位置を補正して、前記照明手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の車両周辺監視装置。
【請求項5】
近赤外光を自車両周辺に投光する近赤外投光手段を更に備え、前記撮影手段が近赤外光を撮影する近赤外光撮影手段を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両周辺監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−252327(P2008−252327A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89067(P2007−89067)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】