説明

車両用発電機の電圧制御装置

【課題】ユーザへ違和感を与えることなく、多様なユーザに対して車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とを両立可能な車両用発電機の電圧制御装置を提供する。
【解決手段】バッテリ4の劣化度合いの大きなヘビーユーザとバッテリの劣化度合いの小さなライトユーザとにおける夫々の実際の劣化度合いを学習し、減速エネルギ回生制御における第2電圧Vlを実使用時間とバッテリ交換時期に対応する目標使用時間とに基づき制御するため、車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とを両立しつつ、ユーザへ違和感を与えることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電気負荷に電力を供給すると共にバッテリを充電する車両用発電機の電圧制御装置に関し、特に、バッテリの劣化状態に応じて発電機の出力電圧を制御するものである。
【0002】
一般に、自動車等の車両の減速時に、エンジンで駆動される発電機の出力電圧を高めてバッテリへの充電を図ることにより、減速エネルギーを回収して燃費を改善し、非減速時には発電機の出力電圧を低くすることにより、エンジン負荷を軽減して加速性能を高めることは知られている。
【0003】
一方、バッテリは経年変化乃至経時変化によって劣化し、劣化が進むとバッテリを交換する必要がある。特に、充放電を頻繁に発生させるユーザや、劣化しやすい高温での走行が多いユーザのバッテリの劣化度合いは、平均的なユーザが使用するバッテリの劣化度合いに比べて劣化が速く、バッテリ交換時期が早い。
【0004】
自動車用バッテリは、夫々の電極のフレームとなる鉛合金製の格子とこの格子空間に充填された活物質からなる正負電極と、希硫酸の電解液とから構成される。この活物質は、経時的に充放電によるストレスを受けて粒子間の結合力が弱まり、徐々に電極の格子から脱落することによって、バッテリの残存容量の減少、最終的にはバッテリの交換へと繋がる。
【0005】
特許文献1は、バッテリの劣化が進行してきたと予測される場合、その劣化を回復させるため、バッテリの劣化に関するパラメータ値が所定の条件を満たす場合には、発電機の動作モードを劣化回復モートに変更すると共に、バッテリの充電電圧を第1電圧よりも低く、第2電圧よりも高い第3電圧に制御する技術を提案している。
【0006】
【特許文献1】特開2004−180478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、バッテリの劣化に関するパラメータ値、所謂現時点におけるバッテリ容量が所定容量以下になった場合、深放電によるバッテリ劣化の抑制を優先して、バッテリへの充電抑制を制限するため、減速エネルギを回収して燃費を改善するという目的を十分に達成することができない。
【0008】
車両減速時に発電機の供給電圧を高くしてバッテリの充電を促進し、非減速時には供給電圧を低くしてエンジンの負荷低減による燃費改善を行う場合には、燃費改善とバッテリ寿命の長期化とは相反する関係になる。しかも、現時点におけるバッテリ容量を判断基準とした発電機の電圧制御では、燃費改善を期待できない上、ユーザにとって同じような運転操作にも拘わらずエンジンの負荷が、その時々により異った違和感を与える恐れも存在している。
【0009】
本発明の目的は、ユーザに違和感を与えることなく、多様なユーザに対して車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とを両立可能な車両用発電機の電圧制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車両用発電機の電圧制御装置は、車両用電気負荷に電力を供給するバッテリと、エンジンにより回転駆動されて前記電気負荷及び前記バッテリに電力を供給する発電機と、減速時に前記発電機から前記バッテリへの供給電圧を第1電圧に制御すると共に、非減速時に前記発電機から前記バッテリへの供給電圧を第1電圧より低い第2電圧に制御する電圧制御手段とを有する。
【0011】
請求項1の発明は、前記バッテリを使用した時間に基づいて前記バッテリの劣化状態を判定する第1劣化判定手段と、前記バッテリの目標劣化状態とバッテリ寿命限界とに基づいて前記バッテリの目標使用時間を設定する目標使用時間設定手段と、前記バッテリを前記目標使用時間より短く設定された所定時間使用したときの劣化状態と前記バッテリ寿命限界とに基づき、前記目標使用時間で前記バッテリ寿命限界となるよう前記発電機から前記バッテリへ供給する電圧の供給特性を変更する供給電圧変更手段とを有することを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明では、バッテリの目標劣化状態とバッテリ寿命限界とに基づいて前記バッテリの目標使用時間を設定する目標使用時間設定手段により、使用するバッテリの目標劣化状態をバッテリの使用時間によって管理することができる。また、供給電圧変更手段により、目標使用時間でバッテリが目標劣化状態となるように発電機の供給電圧を制御できる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記供給電圧変更手段は、前記第2電圧を制御する第2電圧制御手段であることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記バッテリの残容量を検出する残容量検出手段と、前記バッテリの残容量が所定容量未満のとき、前記第1電圧から第2電圧への切替え制御を禁止する禁止手段とを有し、前記供給電圧変更手段は、前記所定容量を制御する容量調整手段であることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、前記バッテリを使用した走行距離に基づいて前記バッテリの劣化状態を判定する第2劣化判定手段と、前記バッテリの目標劣化状態とバッテリ寿命限界とに基づいて前記バッテリの目標使用走行距離を設定する目標使用走行距離設定手段と、前記バッテリを前記目標使用走行距離より短く設定された所定走行距離使用したときの劣化状態と前記バッテリ寿命限界とに基づき、前記目標使用走行距離で前記バッテリ寿命限界となるよう前記発電機から前記バッテリへ供給する電圧の供給特性を変更する供給電圧変更手段とを有することを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明では、バッテリの目標劣化状態とバッテリ寿命限界とに基づいて前記バッテリの目標使用走行距離を設定する目標使用走行距離設定手段により、使用するバッテリの目標劣化状態をバッテリの使用走行距離によって管理することができる。また、供給電圧変更手段により、目標使用走行距離でバッテリが目標劣化状態となるように発電機の供給電圧を制御できる。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4に記載の発明において、前記供給電圧変更手段は、前記第2電圧を制御する第2電圧制御手段であることを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明は、請求項4または5に記載の発明において、前記バッテリの残容量を検出する残容量検出手段と、前記バッテリの残容量が所定容量未満のとき、前記第1電圧から第2電圧への切替え制御を禁止する禁止手段とを有し、前記供給電圧変更手段は、前記所定容量を制御する容量調整手段であることを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明は、請求項1〜6の何れかに記載の発明において、前記第1及び第2劣化判定手段は、前記バッテリの放電量の積算値によって判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、使用するバッテリの目標劣化状態を使用時間によって管理すると共に、目標使用時間でバッテリが目標劣化状態となるように発電機の供給電圧を制御するため、ユーザに違和感を与えることなく、多様なユーザに対して車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とを両立できる。
【0021】
つまり、バッテリの劣化度合いの大きなヘビーユーザは燃費改善よりもバッテリ寿命を重視した供給電圧制御とし、バッテリの劣化度合いの小さなライトユーザはバッテリ寿命よりも燃費改善を重視した供給電圧制御とできる。しかも、定格のバッテリ交換時期に対応した目標使用時間に基づき制御されるため、極端なエンジン特性の変化を抑えることができ、ユーザに違和感を与えることがない。
【0022】
請求項2の発明によれば、前記供給電圧変更手段は、前記第2電圧を実使用時間に基づき制御するため、精度よく車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とを両立できる。
【0023】
請求項3の発明によれば、前記バッテリの残容量を検出する残容量検出手段と、前記バッテリの残容量が所定容量未満のとき、前記第1電圧から第2電圧への切替え制御を禁止する禁止手段とを有し、前記供給電圧変更手段は、前記所定容量を実使用時間に基づき制御するため、一層車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とを両立できる。
【0024】
請求項4の発明によれば、使用するバッテリの目標劣化状態を使用走行距離によって管理すると共に、目標使用走行距離でバッテリが目標劣化状態となるように発電機の供給電圧を制御するため、ユーザに違和感を与えることなく、多様なユーザに対して車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とを両立できる。
【0025】
つまり、バッテリの劣化度合いの大きなヘビーユーザは燃費改善よりもバッテリ寿命を重視した供給電圧制御とし、バッテリの劣化度合いの小さなライトユーザはバッテリ寿命よりも燃費改善を重視した供給電圧制御とできる。しかも、定格のバッテリ交換時期に対応した目標使用走行距離に基づき制御されるため、極端なエンジン特性の変更を抑えることができ、ユーザに違和感を与えることがない。
【0026】
請求項5の発明によれば、前記供給電圧変更手段は、前記第2電圧を実走行距離に基づき制御するため、精度よく車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とを両立できる。
【0027】
請求項6の発明によれば、前記バッテリの残容量を検出する残容量検出手段と、前記バッテリの残容量が所定容量未満のとき、前記第1電圧から第2電圧への切替え制御を禁止する禁止手段とを有し、前記供給電圧変更手段は、前記所定容量を実走行距離に基づき制御するため、一層車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とを両立できる。
【0028】
請求項7の発明によれば、前記第1及び第2劣化判定手段は、前記バッテリの放電量の積算値によって判定するため、バッテリの劣化状態を精度よく判定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を実施する為の最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0030】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しつつ説明する。尚、図1は、本発明の実施例1に係る車両用発電機の電圧制御装置のブロック図を示す。
【0031】
図1に示すように、車両1は、エンジン2と、図示しないエアコン、ヘッドランプ、リア制動灯、デフォッガ、オーディオユニット等の車両用電気負荷3に電力を供給するバッテリ4と、エンジン2にベルト駆動されて車両用電気負荷3及びバッテリ4に電力を供給する発電機5とから構成される。バッテリ4は、自動車用に一般的に用いられる鉛蓄電池であり、発電機5はオルタネータ及び発電圧調整用のレギュレータ等で構成されている。
【0032】
車両1には、発電機5の発電電圧Vを制御するコントロールユニット6が設けられている。このコントロールユニット6には、エンジン2の回転数Neを検出するエンジン回転数センサ7と、車両1の走行車速Vsを検出する車速センサ8と、アクセル開度θaを検出するアクセル開度センサ9と、バッテリ4の使用時間Tbを計測するバッテリ使用時間センサ10と、バッテリ4の充放電電流Ibを計測するバッテリ充放電電流センサ11とが検出信号を送受信可能に接続されている。
【0033】
コントロールユニット6は、電圧制御部12(電圧制御手段)と、第1劣化判定部13(第1劣化判定手段)と、目標使用時間設定部14(目標使用時間設定手段)と、供給電圧変更部15(供給電圧変更部手段)とから構成している。
【0034】
電圧制御部12は、エンジン2の回転数Neが所定値、例えば600rpm以上で且つ車両減速時に発電機5の出力電圧を第1電圧Vh、例えば15.0Vに制御すると共に、エンジン2の回転数Neが600rpm未満で且つ車両減速時には発電機5の出力電圧を第1電圧Vhより低い第2電圧Vl、例えば12.5Vに制御するよう構成している。
【0035】
車両減速時の判定は、所定の車速Vsで走行中であり且つアクセル開度θaが全閉、所謂零で判定しており、減速判定された場合、エンジン2への燃料供給を停止する減速燃料カットを行っている。尚、減速燃料カットは、エンジン2の回転数Neが所定値、例えば600rpm以上で復帰されるよう構成されている。つまり、電圧制御部12は、減速燃料カット実行のとき、発電機5の出力電圧を第1電圧Vhとし、燃料復帰のとき、発電機5の出力電圧を第2電圧Vlに調整制御している。
【0036】
第1劣化判定部13は、バッテリ4の使用時間Tbに基づいてバッテリ4の劣化状態を判定するよう構成している。第1劣化判定部13は、充放電電流Ibと使用時間Tbとからバッテリ4の劣化状態、所謂総放電量Cbを演算し、この総放電量Cbと使用時間Tbとから単位時間当たりの劣化状態、所謂劣化度合いを算出する。尚、使用時間Tb及び充放電電流Ibは、エンジン2の停止中でも検出されており、検出結果は所定のメモリに記録されている。
【0037】
目標使用時間設定部14は、バッテリ4の目標劣化状態A1とバッテリ寿命限界Cmaxとに基づいてバッテリ4の目標使用時間Tbtを設定する。目標使用時間設定部14は、図2に示すように、バッテリ4の使用時間Tbと総放電量Cbで表されるバッテリ劣化指標との関係テーブルTa1を有している。
【0038】
関係テーブルTa1には、現時点、車両1に搭載しているバッテリ4を平均的ユーザが使用した場合のバッテリ4の劣化度合いA1と、バッテリ4の交換時期の総放電量、所謂バッテリ寿命限界Cmaxが設定されている。本実施例では、この劣化度合いA1におけるバッテリ寿命限界Cmaxまでの使用時間を目標使用時間Tbtとして設定している。
【0039】
この関係テーブルTa1において、バッテリ4の劣化度合いの大きなヘビーユーザは、劣化度合いH1のように表すことができ、現在の劣化状態H10から同じ使用状態を継続した場合、破線で示す劣化度合いH1aのように大きな増加率で劣化が増加する。このヘビーユーザは、平均的ユーザに比べて車両1の燃費効果は高いが、バッテリ寿命は目標使用時間Tbtよりも短いものとなる。
【0040】
一方、バッテリ4の劣化度合いの小さなライトユーザは、劣化度合いL1のように表すことができ、現在の劣化状態L10から同じ使用状態を継続した場合、破線で示す劣化度合いL1aのように小さな増加率で劣化が増加する。このライトユーザは、平均的ユーザに比べてバッテリ寿命は目標使用時間Tbtよりも長くなるが、車両1の燃費効果は低いものとなる。
【0041】
供給電圧変更部15は、バッテリ4を目標使用時間Tbtより短く設定された所定時間T0で使用したときの総放電量Cbとバッテリ寿命限界Cmaxとに基づき、目標使用時間Tbtでバッテリ寿命限界Cmaxとなるよう発電機5からバッテリ4へ供給する電圧Vの供給特性を変更するよう構成している。
【0042】
また、供給電圧変更部15は、図2で示した関係テーブルTa1に基づき、現時点まで経過した所定時間(T0×Nt)から目標使用時間Tbtまでの期間(Tbt−T0×Nt)とバッテリ4の総放電可能量(Cmax−Cb)とから、単位時間当たりの第1目標放電量Atを演算する。尚、バッテリ4の使用時間Tbは、タイマによってカウントされ、使用時間Tbが所定時間T0、例えば1ヶ月になった時点で到達回数Ntに1を加算すると共に、使用時間Tbを零にリセットしている。
【0043】
また、供給電圧変更部15は、第2電圧Vlを第3電圧Vl0に調整制御する第2電圧制御部16(第2電圧制御手段)と容量調整部17(容量調整手段)とを有している。第2電圧制御部16は、第2電圧制御部16内のマップと第1目標放電量Atとから第3電圧Vl0を求めた後、第3電圧Vl0を新たな第2電圧Vlとして電圧制御を行う。尚、前記マップは、横軸を第3電圧Vl0、縦軸を第1目標放電量Atとされ、第1目標放電量Atが大きいほど、第3電圧Vl0は小さくなるよう設定している。
【0044】
容量調整部17は、バッテリ4の残容量SOC(State Of Charge)が下限容量SOCl、例えば70%未満のとき、第1電圧Vhから第2電圧Vlへの切替えを禁止する禁止部18(禁止手段)を有している。禁止部18は、バッテリ4の残容量SOCを充放電電流Ibの積算値に基づき算出している。尚、残容量SOCの初期容量は、スタータオン時の開放電圧から既存の手法にて求めている。
【0045】
また、容量調整部17は、容量調整部16内のマップと第2電圧制御部16で演算された第1目標放電量Atとから第2下限容量SOCl0を求めた後、第2下限容量SOCl0を新たな下限容量SOClとして判定を行う。尚、前記マップは、横軸を第2下限容量SOCl0、縦軸を第1目標放電量Atとされ、第1目標放電量Atが大きいほど、第2所定容量SOCl0は小さくなるよう設定している。
【0046】
前述の構成によって、図2に示すように、バッテリ4の劣化度合いの大きなヘビーユーザは、現在の劣化状態H10から小さな増加率、所謂劣化度合いH1bでバッテリ4が使用されることになり、バッテリ寿命を目標使用時間Tbtに延ばすことができる。
【0047】
また、バッテリ4の劣化度合いの小さなライトユーザは、現在の使用状態L10から大きな増加率、所謂劣化度合いL1bでバッテリ4が使用されることになり、車両1の燃費効果を高めることができる。つまり、本電圧制御装置は、バッテリ4を使用するユーザが、ヘビーユーザかライトユーザかを所定時間T0毎に学習し、この学習結果に基づきバッテリ4の電圧供給特性を変更するため、ユーザに電圧変更に起因する違和感を与えることがない。
【0048】
次に、図3のフローチャートに基づき、本電圧制御装置の電圧制御処理について説明する。尚、Si(i=1,2…)は各ステップを示す。
【0049】
まず、エンジン回転数Ne、車速Vs、アクセル開度θa、バッテリ4の使用時間Tb、バッテリ4の充放電電流Ibの各信号を読み込む(S1)。次に、充放電電流Ibに基づき残容量SOCを算出し(S2)、S3に移行する。S3の判定の結果、強制Highフラグが1でない場合、S4に移行し、車速Vsが零か否か判定する。
【0050】
S4の判定の結果、車速Vsが零でない場合、S5に移行し、アクセル開度θaが全閉か否か判定する。S5の判定の結果、アクセル開度θaが全閉、所謂零の場合、S6に移行し、エンジン回転数Neが600rpm以上か否か判定する。S6の判定の結果、エンジン回転数Neが600rpm以上の場合、発電機5の出力電圧を第1電圧Vhに設定し(S7)、リターンする。尚、S4〜S6は、減速燃料カットの実行条件である。
【0051】
S4の判定の結果、車速Vsが零の場合、S5の判定の結果、アクセル開度θaが零でない場合、及びS6の判定の結果、エンジン回転数Neが600rpm未満の場合、減速燃料カットの実行条件ではないため、S8に移行し、残容量SOCが下限容量SOCl以上か否か判定する。S8の判定の結果、残容量SOCが下限容量SOCl以上でない場合、強制Highフラグを1とし(S9)、タイマによるカウントTを開始する(S10)。
【0052】
本電圧制御装置では、非減速時、発電機5の発電電圧を低下させてバッテリ4から電力を持ち出す状態でバッテリ4を使用している。従って、電力の持ち出しを継続した場合、バッテリ4が深放電となり、バッテリ寿命に悪影響を生じるため下限容量SOClを設定して深放電を防止している。
【0053】
次に、S11の判定の結果、カウントTが所定時間X以上の場合、強制Highフラグを0とし(S12)、タイマをリセットする(S13)。タイマのリセット後、S14で発電機5の出力電圧を第2電圧Vlに設定し(S14)、リターンする。
【0054】
S8の判定の結果、残容量SOCが下限容量SOCl以上の場合、深放電ではないため、燃費改善を優先してS14に移行する。S3の判定の結果、強制Highフラグが1の場合、深放電のため、バッテリ4の回復を優先してS10に移行し、所定時間、第2電圧Vlの実行を禁止する。
【0055】
次に、図4のフローチャートに基づき、第3電圧Vl0及び第2下限容量SOCl0の演算処理について説明する。尚、本演算処理は、前述した電圧制御処理とは独立して作動しており、エンジン2の停止中も稼働している。
【0056】
まず、バッテリ4の充放電電流Ibの信号を読み込み(S21)、バッテリ4の使用時間Tbをカウントしてメモリに記録する(S22)。充放電電流Ibと使用時間Tbに基づきバッテリ4の劣化状態に相当する総放電量Cbを算出し、メモリに記録し(S23)、S24に移行する。
【0057】
S24の判定の結果、使用時間Tbが所定時間T0以上の場合、所定時間T0の到達回数Ntに1を加算して(S25)、S26に移行する。尚、バッテリ4が新規に車両1へ搭載された際、Ntはリセットされるよう設定されている。また、到達回数Ntに1を加算された際、使用時間Tbはリセットされる。
【0058】
S26では、現時点まで経過した所定時間(T0×Nt)から目標使用時間Tbtまでの期間(Tbt−T0×Nt)とバッテリ4の総放電可能量(Cmax−Cb)とから、単位時間当たりの第1目標放電量Atを演算する。
【0059】
S26で求めた第1目標放電量Atと第2電圧制御部16内のマップとに基づき、第3電圧Vl0を求めた後、第3電圧Vl0を電圧制御処理における第2電圧Vlとすると共に、第1目標放電量Atと容量調整部16内のマップと基づき、第2下限容量SOCl0を求めた後、第2下限容量SOCl0を電圧制御処理における下限容量SOClとして(S27)、リターンする。
【0060】
次に、本実施例1に係る本電圧制御装置の作用、効果を説明する。
バッテリ4の劣化度合いの大きなヘビーユーザとバッテリの劣化度合いの小さなライトユーザとにおける夫々の実際の劣化度合いを学習することにより、ヘビーユーザは燃費改善よりもバッテリ寿命を重視した供給電圧制御とできると共に、ライトユーザはバッテリ寿命よりも燃費改善を重視した供給電圧制御とでき、車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とが両立可能となる。
【0061】
しかも、夫々のバッテリ交換時期に対応した目標使用時間に基づき供給電圧制御されるため、所定の短期間で制御される場合に比べて、極端なエンジン特性の変化を抑えることができ、ユーザに違和感を与えることがない。
【0062】
また、減速エネルギ回生制御における第2電圧Vlを実使用時間に基づき制御するため、精度よく車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とを両立できる。更に、第1電圧Vhから第2電圧Vlへの切替えを制御するバッテリ4の下限容量SOClを実使用時間に基づき制御するため、一層車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とを両立できる。
【実施例2】
【0063】
次に、図5〜図7に基づき、実施例2を説明する。尚、図5は、本実施例に係る車両用発電機の電圧制御装置のブロック図を示す。また、実施例1と同様の構成は同じ符号を付している。
【0064】
図5に示すように、車両1は、エンジン2と、図示しないエアコン、ヘッドランプ、リア制動灯、デフォッガ、オーディオユニット等の車両用電気負荷3に電力を供給するバッテリ4と、エンジン2にベルト駆動されて車両用電気負荷3及びバッテリ4に電力を供給する発電機5とから構成される。
【0065】
車両1には、発電機5の発電電圧Vを制御するコントロールユニット6が設けられている。このコントロールユニット6には、エンジン回転数センサ7と、車速センサ8と、アクセル開度センサ9と、バッテリ使用時間センサ10と、バッテリ充放電電流センサ11と、車両1のバッテリ4を使用した走行距離Dbを検出するバッテリ使用走行距離センサ19とが検出信号を送受信可能に接続されている。
【0066】
コントロールユニット6は、電圧制御部12(電圧制御手段)と、第2劣化判定部20(第2劣化判定手段)と、目標使用走行距離設定部21(目標使用走行距離設定手段)と、供給電圧変更部15(供給電圧変更部手段)とから構成している。
【0067】
電圧制御部12は、エンジン2の回転数Neが所定値以上で且つ車両減速時に発電機5の出力電圧を第1電圧Vhに制御すると共に、エンジン2の回転数Neが所定値未満で且つ車両減速時には発電機5の出力電圧を第1電圧V1より低い第2電圧Vlに制御するよう構成している。
【0068】
車両減速時の判定は、所定の車速Vsで走行中であり且つアクセル開度θaが全閉、所謂零で判定しており、減速判定された場合、エンジン2への燃料供給を停止する減速燃料カットを行っている。尚、減速燃料カットは、エンジン2の回転数Neが所定値以上で復帰されるよう構成されている。つまり、電圧制御部12は、減速燃料カット実行のとき、発電機5の出力電圧を第1電圧Vhとし、燃料復帰のとき、発電機5の出力電圧を第2電圧Vlに調整制御している。
【0069】
第2劣化判定部20は、バッテリ4の使用走行距離Dbに基づいてバッテリ4の劣化状態を判定するよう構成している。第2劣化判定部20は、充放電電流Ibと使用走行距離Dbとからバッテリ4の総放電量Cbを演算し、この総放電量Cbと使用走行距離Dbとから単位時間当たりの劣化状態、所謂劣化度合いを算出する。尚、使用走行距離Db及び充放電電流Ibは、エンジン2の停止中でも検出されており、検出結果は所定のメモリに記録されている。
【0070】
目標使用走行距離設定部21は、バッテリ4の目標劣化状態A2とバッテリ寿命限界Cmaxとに基づいてバッテリ4の目標使用走行距離Dbtを設定する。目標使用走行距離設定部21は、図6に示すように、バッテリ4の使用走行距離Dbと総放電量Cbで表されるバッテリ劣化指標との関係テーブルTa2を有している。
【0071】
関係テーブルTa2には、現時点、車両1に搭載しているバッテリ4を平均的ユーザが使用した場合のバッテリ4の劣化度合いA2と、バッテリ4の交換時期のバッテリ寿命限界Cmaxが設定されている。本実施例2では、この劣化度合いA2におけるバッテリ寿命限界Cmaxまでの使用走行距離を目標使用走行距離Dbtとして設定している。
【0072】
この関係テーブルTa2において、バッテリ4の劣化度合いの大きなヘビーユーザは、劣化度合いH2のように表すことができ、現在の劣化状態H20から同じ使用状態を継続した場合、破線で示す劣化度合いH2aのように大きな増加率で劣化が増加する。このヘビーユーザは、平均的ユーザに比べて車両1の燃費効果は高いが、バッテリ寿命は目標使用走行距離Dbtよりも短いものとなる。
【0073】
一方、バッテリ4の劣化度合いの小さなライトユーザは、劣化度合いL2のように表すことができ、現在の劣化状態L20から同じ使用状態を継続した場合、破線で示す劣化度合いL2aのように小さな増加率で劣化が増加する。このライトユーザは、平均的ユーザに比べてバッテリ寿命は目標使用走行距離Dbtよりも長くなるが、車両1の燃費効果は低いものとなる。
【0074】
供給電圧変更部15は、バッテリ4を目標使用走行距離Dbtより短く設定された所定走行距離D0で使用したときの総放電量Cbとバッテリ寿命限界Cmaxとに基づき、目標使用走行距離Dbtでバッテリ寿命限界Cmaxとなるよう発電機5からバッテリ4へ供給する電圧Vの供給特性を変更するよう構成している。
【0075】
また、供給電圧変更部15は、図2で示した関係テーブルTa2に基づき、現時点まで経過した所定時間(D0×Nd)から目標使用走行距離Dbtまでの距離(Dbt−D0×Nd)とバッテリ4の総放電可能量(Cmax−Cb)とから、単位距離当たりの第2目標放電量Adを演算する。尚、バッテリ4の使用走行距離Dbは、カウンタによってカウントされ、使用走行距離Dbが所定距離D0、例えば1000Kmになった時点で到達回数Ndに1を加算すると共に、使用走行距離Dbを零にリセットしている。
【0076】
また、供給電圧変更部15は、第2電圧Vlを第4電圧Vl1に調整制御する第2電圧制御部16(第2電圧制御手段)と容量調整部17(容量調整手段)とを有している。第2電圧制御部16は、第2電圧制御部16内のマップと第2目標放電量Adとから第4電圧Vl1を求めた後、第4電圧Vl1を新たな第2電圧Vlとして電圧制御を行う。尚、前記マップは、横軸を第4電圧Vl1、縦軸を第2目標放電量Adとされ、第2目標放電量Adが大きいほど、第4電圧Vl1は小さくなるよう設定している。
【0077】
容量調整部17は、バッテリ4の残容量SOC(State Of Charge)が下限容量SOCl、例えば70%未満のとき、第1電圧Vhから第2電圧Vlへの切替えを禁止する禁止部18(禁止手段)を有している。禁止部18は、バッテリ4の残容量SOCを充放電電流Ibの積算値に基づき算出している。
【0078】
また、容量調整部17は、容量調整部16内のマップと第2電圧制御部16で演算された第2目標放電量Adとから第3下限容量SOCl1を求めた後、第3下限容量SOCl1を新たな下限容量SOClとして判定を行う。尚、前記マップは、横軸を第3下限容量SOCl1、縦軸を第2目標放電量Adとされ、第2目標放電量Adが大きいほど、第3所定容量SOCl1は小さくなるよう設定している。
【0079】
前述の構成によって、図6に示すように、バッテリ4の劣化度合いの大きなヘビーユーザは、現在の劣化状態H20から小さな増加率、所謂劣化度合いH2bでバッテリ4が使用されることになり、バッテリ寿命を目標使用走行距離Dbtに延ばすことができる。また、バッテリ4の劣化度合いの小さなライトユーザは、現在の劣化状態L20から大きな増加率、所謂劣化度合いL2bでバッテリ4が使用されることになり、車両1の燃費効果を高めることができる。
【0080】
次に、図7のフローチャートに基づき、第4電圧Vl1及び第3下限容量SOCl1の演算処理について説明する。尚、本電圧制御装置の電圧制御処理は、実施例1と同様である。また、本演算処理は、電圧制御処理とは独立して作動しており、エンジン2の停止中も稼働している。
【0081】
まず、バッテリ4の充放電電流Ibの信号を読み込み(S31)、バッテリ4の使用走行距離Dbをカウントしてメモリに記録する(S32)。充放電電流Ibと使用走行距離Dbに基づきバッテリ4の劣化状態に相当する総放電量Cbを算出し、メモリに記録し(S33)、S34に移行する。
【0082】
S34の判定の結果、使用走行距離Dbが所定距離D0以上の場合、所定距離D0の到達回数Ndに1を加算して(S35)、S36に移行する。尚、バッテリ4が新規に車両1へ搭載された際、Ndはリセットされるよう設定されている。また、到達回数Ndに1を加算された際、使用走行距離Dbはリセットされる。
【0083】
S36では、現時点まで経過した所定距離(D0×Nd)から目標使用走行距離Dbtまでの期間(Dbt−D0×Nd)とバッテリ4の総放電可能量(Cmax−Cb)とから、単位走行距離当たりの第2目標放電量Adを演算する。
【0084】
S36で求めた第2目標放電量Adと第2電圧制御部16内のマップとに基づき、第4電圧Vl1を求めた後、第4電圧Vl1を電圧制御処理における第2電圧Vlとすると共に、第2目標放電量Adと容量調整部16内のマップと基づき、第3下限容量SOCl1を求めた後、第3下限容量SOCl1を電圧制御処理における下限容量SOClとして(S37)、リターンする。
【0085】
次に、本実施例2に係る本電圧制御装置の作用、効果を説明する。
バッテリ4の劣化度合いの大きなヘビーユーザとバッテリの劣化度合いの小さなライトユーザとにおける夫々の実際の劣化度合いを学習することにより、ヘビーユーザは燃費改善よりもバッテリ寿命を重視した供給電圧制御とできると共に、ライトユーザはバッテリ寿命よりも燃費改善を重視した供給電圧制御とでき、車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とが両立可能となる。
【0086】
しかも、夫々のバッテリ交換時期に対応した目標使用走行距離に基づき供給電圧制御されるため、所定の走行距離で制御される場合に比べて、極端なエンジン特性の変化を抑えることができ、ユーザへ違和感を与えることがない。
【0087】
また、減速エネルギ回生制御における第2電圧Vlを実走行距離に基づき制御するため、精度よく車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とを両立できる。更に、第1電圧Vhから第2電圧Vlへの切替えを制御するバッテリ4の下限容量SOClを実走行距離に基づき制御するため、一層車両の燃費改善とバッテリ寿命の長期化とを両立できる。
【0088】
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例1においては、バッテリの使用時間に基づいて、第2電圧と下限容量とを変更する例を説明したが、使用時間と使用走行距離とを併用し、低い値を夫々用いる、または、第2電圧を低い値、下限容量を高い値とする、或いは、その逆とする等車両の使用に応じて変更することも可能である。また、第2電圧を使用時間に基づき、下限容量を使用走行距離に基づき算出することも可能である。
【0089】
2〕前記実施例1,2においては、所定時間及び所定走行距離を固定値とする例を説明したが、何れも可変とすることも可能であり、例えば、所定時間経過したとき、バッテリの放電量が非常に多い、或いは非常に少ない場合、所定時間を短くすることも可能である。
【0090】
3〕前記実施例1,2においては、バッテリの放電量に基づき、バッテリの寿命に係わる総放電可能量、使用可能時間及び使用可能走行距を決定する例を説明したが、他のパラメータ値、例えばバッテリ温度や充電量等によって決定することも可能である。
【0091】
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施例1に係る車両用発電機の電圧制御装置のブロック図である。
【図2】実施例1に係るバッテリの使用時間と総放電量で表されるバッテリ劣化指標との関係テーブルである。
【図3】実施例1に係る電圧制御のフローチャートである。
【図4】実施例1に係る演算処理のフローチャートである。
【図5】実施例2に係る車両用発電機の電圧制御装置のブロック図である。
【図6】実施例2に係るバッテリの使用走行距離と総放電量で表されるバッテリ劣化指標との関係テーブルである。
【図7】実施例2に係る演算処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1 車両
2 エンジン
3 電気負荷
4 バッテリ
5 発電機
6 コントロールユニット
8 車速センサ
10 使用時間センサ
11 充放電電流センサ
12 電圧制御部
13 第1劣化判定部
14 目標使用時間設定部
15 供給電圧変更部
16 第2電圧制御部
17 容量調整部
18 禁止部
19 使用走行距離センサ
20 第2劣化判定部
21 目標使用走行距離設定部
Vh 第1電圧
Vl 第2電圧
SOC 残容量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用電気負荷に電力を供給するバッテリと、エンジンにより回転駆動されて前記電気負荷及び前記バッテリに電力を供給する発電機と、減速時に前記発電機から前記バッテリへの供給電圧を第1電圧に制御すると共に、非減速時に前記発電機から前記バッテリへの供給電圧を第1電圧より低い第2電圧に制御する電圧制御手段とを有する車両用発電機の電圧制御装置において、
前記バッテリを使用した時間に基づいて前記バッテリの劣化状態を判定する第1劣化判定手段と、
前記バッテリの目標劣化状態とバッテリ寿命限界とに基づいて前記バッテリの目標使用時間を設定する目標使用時間設定手段と、
前記バッテリを前記目標使用時間より短く設定された所定時間使用したときの劣化状態と前記バッテリ寿命限界とに基づき、前記目標使用時間で前記バッテリ寿命限界となるよう前記発電機から前記バッテリへ供給する電圧の供給特性を変更する供給電圧変更手段とを有することを特徴とする車両用発電機の電圧制御装置。
【請求項2】
前記供給電圧変更手段は、前記第2電圧を制御する第2電圧制御手段であることを特徴とする請求項1に記載の車両用発電機の電圧制御装置。
【請求項3】
前記バッテリの残容量を検出する残容量検出手段と、
前記バッテリの残容量が所定容量未満のとき、前記第1電圧から第2電圧への切替え制御を禁止する禁止手段とを有し、
前記供給電圧変更手段は、前記所定容量を制御する容量調整手段であることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用発電機の電圧制御装置。
【請求項4】
車両用電気負荷に電力を供給するバッテリと、エンジンにより回転駆動されて前記電気負荷及び前記バッテリに電力を供給する発電機と、減速時に前記発電機から前記バッテリへの供給電圧を第1電圧に制御すると共に、非減速時に前記発電機から前記バッテリへの供給電圧を第1電圧より低い第2電圧に制御する電圧制御手段とを有する車両用発電機の電圧制御装置において、
前記バッテリを使用した走行距離に基づいて前記バッテリの劣化状態を判定する第2劣化判定手段と、
前記バッテリの目標劣化状態とバッテリ寿命限界とに基づいて前記バッテリの目標使用走行距離を設定する目標使用走行距離設定手段と、
前記バッテリを前記目標使用走行距離より短く設定された所定走行距離使用したときの劣化状態と前記バッテリ寿命限界とに基づき、前記目標使用走行距離で前記バッテリ寿命限界となるよう前記発電機から前記バッテリへ供給する電圧の供給特性を変更する供給電圧変更手段とを有することを特徴とする車両用発電機の電圧制御装置。
【請求項5】
前記供給電圧変更手段は、前記第2電圧を制御する第2電圧制御手段であることを特徴とする請求項4に記載の車両用発電機の電圧制御装置。
【請求項6】
前記バッテリの残容量を検出する残容量検出手段と、
前記バッテリの残容量が所定容量未満のとき、前記第1電圧から第2電圧への切替え制御を禁止する禁止手段とを有し、
前記供給電圧変更手段は、前記所定容量を制御する容量調整手段であることを特徴とする請求項4または5に記載の車両用発電機の電圧制御装置。
【請求項7】
前記第1及び第2劣化判定手段は、前記バッテリの放電量の積算値によって判定することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の車両用発電機の電圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−115055(P2010−115055A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286838(P2008−286838)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】