説明

車両用音声出力装置および音量制御方法

【課題】大音量を発する施設に長時間滞在してユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていても、スピーカから出力される音を聞き取りやすくする。
【解決手段】自車位置と記憶部11に記憶された大音量を発する施設の駐車場を示す情報(対象施設データ)に基づいて自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたか否かを判定する(S202)。自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたと判定した場合、大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっているものと推定し、スピーカ40の音量を上げるように制御する(S206)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカの音量を制御する車両用音声出力装置および音量制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、自車がオーディオ装置の音量を減衰または零にしたい特定の場所(例えば、踏切、料金所、給油所等)に近づくと、オーディオの音量を自動的に減衰または零となるように調整するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−215560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、パチンコ店、パチスロ店、ライブハウスなどの大音量が響き渡る施設に長時間滞在すると、大音量に耳が慣れて一時的に小さな音が聞き取りにくい状態になることがある。このような状態で、車両に乗り込み運転を開始した場合、スピーカから出力される音声が聞き取りにくくなってしまうといった問題がある。
【0004】
なお、特許文献1に記載の装置は、このような状態を想定したものではないので、このように大音量を発する施設に長時間滞在して大音量に耳が慣れて一時的に小さな音が聞き取りにくい状態となっていても、スピーカから出力される音を聞き取りやすくすることはできない。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みたもので、大音量を発する施設に長時間滞在してユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていても、スピーカから出力される音を聞き取りやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴は、自車の駐車状況に基づいて大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっているか否かを推定する推定手段と、推定手段によって大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていると推定された場合、スピーカの音量を上げるように制御する音量制御手段と、を備えたことである。
【0007】
このような構成では、自車の駐車状況に基づいて大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっているか否かを推定し、大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていると推定された場合、スピーカの音量を上げるように制御されるので、大音量を発する施設に長時間滞在してユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていても、スピーカから出力される音を聞き取りやすくすることができる。
【0008】
また、本発明の第2の特徴は、推定手段は、自車位置を取得する自車位置取得手段と、大音量を発する施設の駐車場を示す情報を記憶する記憶手段と、自車位置取得手段によって取得された自車位置と記憶手段に記憶された大音量を発する施設の駐車場を示す情報に基づいて自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたか否かを判定する駐車状況判定手段と、を備え、駐車状況判定手段によって自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたと判定された場合に、大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていると推定することである。
【0009】
このように、推定手段は、自車位置と記憶手段に記憶された大音量を発する施設の駐車場を示す情報に基づいて自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたか否かを判定し、自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたと判定された場合に、大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていると推定することができる。
【0010】
また、本発明の第3の特徴は、ユーザにスピーカの音量を上げるか否かを確認する確認手段を備え、音量制御手段は、確認手段によってスピーカの音量を上げることが確認された場合、スピーカの音量を上げるように制御することである。
【0011】
このような構成では、ユーザによってスピーカの音量を上げることが確認された場合、スピーカの音量を上げるように制御されるので、ユーザの意に反してスピーカの音量を上げるように制御されることをなくすことができる。
【0012】
本発明の第4の特徴は、音量制御手段によってスピーカの音量を上げるように制御された場合、スピーカの音量を上げたことを報知する報知手段を備えたことである。
【0013】
このような構成では、スピーカの音量を上げるように制御された場合、スピーカの音量を上げたことが報知されるので、ユーザはこの報知によりスピーカの音量が上げられたことを認識することができる。
【0014】
本発明の第5の特徴は、音量制御手段によりスピーカの音量を上げるように制御されてから予め定められた基準時間が経過したか否かを判定する時間判定手段を備え、音量制御手段は、時間判定手段によってスピーカの音量を上げるように制御されてから予め定められた基準時間が経過したと判定された場合、スピーカの音量を上げる前の音量となるようにスピーカの音量を下げるように制御することである。
【0015】
このような構成では、スピーカの音量を上げるように制御されてから予め定められた基準時間が経過したと判定された場合、スピーカの音量を上げる前の音量となるようにスピーカの音量を下げるように制御される。すなわち、ユーザの耳が通常の状態に戻ると考えられる時間を基準時間として設定することで、ユーザの耳が通常の状態に戻ると考えられる時間に、自動的にスピーカの音量を元の音量に戻すことが可能である。
【0016】
本発明の第6の特徴は、自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたか否かに基づいて大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっているか否かを推定し、大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていると推定された場合、スピーカの音量を上げるように制御することである。
【0017】
このように、自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたか否かに基づいて大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっているか否かを推定し、大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていると推定された場合、スピーカの音量を上げるように制御されるので、大音量を発する施設に長時間滞在してユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていても、スピーカから出力される音を聞き取りやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る車両用音声出力装置の構成を図1に示す。本車両用音声出力装置は、車両に搭載されたナビゲーション装置1として構成されている。
【0019】
ナビゲーション装置1は、ナビゲーション本体10と表示部20によって構成されている。また、ナビゲーション本体10には、アンプ30を介してスピーカ40が接続されている。
【0020】
ナビゲーション本体10は、記憶部11、メモリ12およびCPU13を備えている。
【0021】
記憶部11は、各種データが記憶された記憶媒体(例えば、CD、DVD、HDD等)から各種データの読み出しを行う。記憶部11の記憶媒体に記憶されるデータとしては、各種実行プログラム、地図表示や経路案内用の地図データ等がある。
【0022】
また、本実施形態における記憶部11の記憶媒体には、大音量を発する施設およびその駐車場を示す対象施設データが記憶されている。具体的には、パチンコ店、パチスロ店、ライブハウスなどの大音量を発する施設とこれらの施設の駐車場の領域(範囲)とを関連付けした対象施設データが記憶されている。
【0023】
メモリ12は、高速のデータ転送機能を有するSDRAMおよびフラッシュメモリによって構成されている。なお、ダブルデータレートSDAMは、セルフリフレッシュモードを有しており、ACC電源がオフとなっても低消費電力でデータを保持することが可能となっている。また、フラッシュメモリは、データの書き込み・消去が可能な不揮発性メモリで、ACC電源がオフとなってもデータを保持することが可能となっている。
【0024】
CPU13は、記憶部11の記憶媒体に記憶されたプログラムに従って、各種処理を行う。また、CPU13は、タイマー機能を有している。
【0025】
本ナビゲーション装置1には、図示しないバッテリ電源(+B)およびアクセサリ電源(ACC電源)が供給されるようになっている。バッテリ電源(+B)は、常時バッテリ(図示せず)から供給され、アクセサリ電源(ACC電源)は、エンジンキーがACC位置またはオン位置になされたときに供給され、エンジンキーがオフ位置になされると停止される。
【0026】
CPU13は、ACC電源の電位を検出する検出回路を有しており、この検出回路によってACC電源がオンとなったか、あるいはオフとなったかを検出する。
【0027】
また、本ナビゲーション装置1は、地磁気センサ、ジャイロスコープ、GPS受信機等から成る位置検出器(図示せず)を有している。CPU13には、この位置検出器から現在位置を特定するための各種信号が入力される。
【0028】
また、本ナビゲーション装置1は、表示部20のディスプレイに重ねて設けられたタッチスイッチ、表示部20のディスプレイの周囲に設けられたメカニカルなスイッチ等によって構成される操作部を備えている。CPU13には、この操作部からユーザの操作に応じた各種信号が入力される。
【0029】
表示部20は、液晶等のディスプレイを有し、ナビゲーション本体10から入力される映像信号に応じた映像をディスプレイに表示させる。
【0030】
アンプ30は、CPU13から入力される音声信号を一定のゲインで増幅するもので、増幅した信号をスピーカ40へ出力する。スピーカ40は、アンプ30から入力される音声信号に応じた音声を出力する。
【0031】
上記した構成において、ユーザの操作によりエンジンキーがオフ位置からACC位置またはオン位置に操作されると、ACC電源がオンとなりナビゲーション装置1は動作状態となる。また、CPU13は、位置検出器から入力される現在位置を特定するための各種信号に基づいて自車位置を算出する自車位置算出処理、自車位置周辺の地図上に自車位置マークをさせる地図表示処理等の処理を開始する。
【0032】
また、ユーザの操作により目的地設定、経路探索、経路案内の指示がなされると、CPU13は、これらの指示に応じて目的地設定処理、該目的地までの案内経路を探索する経路探索処理、案内経路に従って経路案内を行う経路案内処理等を実施する。この経路案内処理では、自車位置が案内交差点の所定距離(例えば、700メートル)手前に位置すると、例えば、「およそ700メートル先右方向(左方向)です」といった交差点の右左折を案内するための案内音声をスピーカ40から出力させる。
【0033】
また、CPU13は、ユーザの操作に応じて操作部から音量を上げる指示が入力されるとアンプ30へ出力する音声信号のレベルを大きくし、ユーザの操作に応じて操作部から音量を下げる指示が入力されるとアンプ30へ出力する音声信号のレベルを小さくする。CPU13は、ユーザの操作部の操作に応じてアンプ30へ出力する音声信号のレベルを段階的に変化させて、スピーカ40の音量を制御する。
【0034】
また、本実施形態におけるCPU13は、運転者の操作に応じてACC電源がオフとなると、自車が大音量を発する施設の駐車場に駐車したか否かを判定し、自車が大音量を発する施設の駐車場に駐車したことを判定すると、駐車時刻を記憶する処理を実施する。
【0035】
次に、図2に従って、この処理について説明する。まず、自車位置情報を取得する(S100)。本実施形態では、自車位置算出手段によって算出された最新の自車位置(緯度、経度)を示す自車位置情報がSDRAMに記憶されるようになっており、このSDRAMから最新の自車位置情報を取得する。
【0036】
次に、記憶部11に記憶された対象施設データの読み出しを行う(S102)。具体的には、記憶部11から自車位置周辺の対象施設データを読み出す。
【0037】
次に、駐車位置が対象施設(大音量を発する施設)の駐車場か否かを判定する(S104)。具体的には、S102にて読み出した対象施設データを参照して、S100にて取得した自車位置情報によって示される自車位置(緯度、経度)が、大音量を発する施設の駐車場の領域(範囲)に含まれるか否かに基づいて駐車位置が大音量を発する施設の駐車場か否かを判定する。
【0038】
自車が大音量を発する施設の駐車場に駐車されている場合、S104の判定はYESとなり、次に、駐車した時刻(駐車開始時刻)をフラッシュメモリに記憶させる(S106)。具体的には、現在時刻を駐車開始時刻としてフラッシュメモリに記憶させる。なお、駐車開始時刻はACC電源がオフした時刻とほぼ同じ時刻となる。
【0039】
次に、終了処理を行う(S108)。この終了処理は、ナビゲーション装置1が停止状態となる前に、バックアップの必要な各種情報をSDRAMに転送した後、このSDRAMをセルフリフレッシュモードに設定して低消費電力にてバックアップデータを保持させる処理である。この終了処理が完了すると、本処理を終了し、ナビゲーション装置1は停止状態となる。
【0040】
また、自車が大音量を発する施設の駐車場に駐車されていない場合、S104の判定はNOとなり、図示してないがフラッシュメモリに過去に記憶された駐車開始時刻が残されている場合には駐車開始時刻を消去して、本処理を終了する。
【0041】
このようにして、運転者が大音量を発する施設の駐車場に車両を駐車させた場合の駐車開始時刻がフラッシュメモリに記憶される。
【0042】
また、本実施形態におけるCPU13は、運転者が車両に戻り、ACC電源がオンとなると、自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたか否かを判定し、自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたと判定した場合に、スピーカ40の音量を上げるように制御する処理を行う。
【0043】
次に、図3に従って、この処理について説明する。まず、駐車時間を算出する(S200)。具体的には、現在時刻を駐車終了時刻とし、この駐車終了時刻と図2のS106にてフラッシュメモリに記憶した駐車開始時刻の時間差から駐車時間を算出する。
【0044】
次に、駐車時間が予め設定された基準時間以上であるか否かを判定する(S202)。このように駐車時間が予め設定された基準時間以上であるか否かを判定することにより、自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたか否かを判定する。この基準時間は、どれくらいの時間、大音量を発する施設に滞在した場合に耳が音を聞き取りにくい状態となるかを考慮して決定される。この基準時間は、あらかじめ記憶された一定値(例えば、1時間)であってもよいし、各種条件(例えば、ユーザ設定等)に基づいて変動する値であってもよい。なお、図示してないが、フラッシュメモリに駐車開始時刻が記憶されていない場合には、S202の判定処理を行うことなく、本処理を終了する。
【0045】
駐車時間が予め設定された基準時間以上の場合、S202の判定はYESとなり、次に、ユーザに音量設定を上げるかどうかを確認する(S204)。具体的には、表示部20にスピーカ40の音量設定を上げるかどうかを確認するメッセージとともに、「はい」または「いいえ」を選択可能に表示させて、ユーザにスピーカの音量を上げるかどうかを確認する。
【0046】
ユーザによって「はい」が選択されると、S204の判定はYESとなり、次に、予め定められたステップ(例えば、2ステップ)分だけ音量設定を上げる(S206)。これにより、アンプ30へ出力する音声信号のレベルが予め定められたステップ分だけ大きくなり、スピーカ40の音量が大きくなる。
【0047】
このようにスピーカ40の音量を大きくさせることで、例えば、交差点の右左折を案内するための案内音声の音量が大きくなり、大音量を発する施設に長時間滞在してユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていても、スピーカから出力される音を聞き取りやすくするようにしている。
【0048】
次に、予め定められた基準時間が経過したか否かを判定する(S208)。具体的には、S206にて音量設定を上げてからの時間を計時し、音量設定を上げてから予め定められた基準時間が経過したか否かを判定する。この基準時間は、大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となった後、車両に戻り、どれくらいの時間が経過するとユーザの耳が通常の状態に戻るかを考慮して決定される。この基準時間は、あらかじめ記憶された一定値(例えば、10分)であってもよいし、各種条件(例えば、ユーザ設定等)に基づいて変動する値であってもよい。
【0049】
音量設定を上げてから基準時間が経過するまで、S208の判定はNOとなり、S208の判定を繰り返す。
【0050】
また、音量設定を上げてから基準時間が経過すると、S208の判定はYESとなり、次に、スピーカ40の音量設定を元の設定値に戻す(S210)。具体的には、スピーカ40の音量設定が元の設定値と同じになるように予め定められたステップ(例えば、2ステップ)分だけ音量設定を下げ、本処理を終了する。これにより、アンプ30へ出力する音声信号のレベルが予め定められたステップ分だけ小さくなり、スピーカ40の音量は元の音量に戻る。
【0051】
大音量を発する施設に長時間滞在してユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていても、車両に戻りある程度時間が経過するとユーザの耳は通常の状態に戻るため、このように音量設定を上げてから基準時間が経過すると、スピーカ40の音量設定を元の設定値に戻すようにしている。
【0052】
また、S204におけるスピーカ40の音量設定を上げるかどうかの確認に対し、ユーザによって「いいえ」が選択されると、S204の判定はNOとなり、音量設定を上げることなく、本処理を終了する。したがって、既に設定されている音量でスピーカ40から音声出力される。
【0053】
また、S200にて駐車時間を算出し、駐車時間が予め設定された基準時間未満の場合には、S202の判定はNOとなり、ユーザに対してスピーカの音量を上げるか否かを確認することなく、本処理を終了する。
【0054】
このように駐車時間が予め設定された基準時間未満の場合には、大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていないことが考えられるため、このようにユーザに対してスピーカの音量を上げるか否かの確認は行われない。
【0055】
上記した構成によれば、自車の駐車状況に基づいて大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっているか否かを推定し、大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていると推定された場合、スピーカの音量を上げるように制御されるので、大音量を発する施設に長時間滞在してユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていても、スピーカから出力される音を聞き取りやすくすることができる。
【0056】
なお、自車位置と記憶手段に記憶された大音量を発する施設の駐車場を示す情報に基づいて自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたか否かを判定し、自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたと判定された場合に、大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていると推定することができる。
【0057】
また、ユーザによってスピーカの音量を上げることが確認された場合、スピーカの音量を上げるように制御されるので、ユーザの意に反してスピーカの音量を上げるように制御されることをなくすことができる。
【0058】
また、スピーカの音量を上げるように制御されてから予め定められた基準時間が経過したと判定された場合、スピーカの音量を上げる前の音量となるようにスピーカの音量を下げるように制御される。すなわち、ユーザの耳が通常の状態に戻ると考えられる時間を基準時間として設定することで、ユーザの耳が通常の状態に戻ると考えられる時間に、自動的にスピーカの音量を元の音量に戻すことが可能である。
【0059】
(第2実施形態)
本実施形態における車両用音声出力装置の構成は、図1に示した第1実施形態の構成と同じである。本実施形態におけるCPU13は、図3のS204、S206に代えて、図4に示す処理を実施する。なお、図3に示した第1実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0060】
図3のS202にて駐車時間が予め設定された基準時間以上であると判定されると、次に、予め定められたステップ分だけ音量設定を上げる(S206)。
【0061】
次に、表示部20に音量設定を上げたことを表示させる(S300)。具体的には、音量設定を上げたことを示すメッセージを表示部20に表示させ、S208へ進む。
【0062】
このように、スピーカの音量を上げるか否かを確認することなく、スピーカの音量を上げるとともに、表示部20に音量設定を上げたことを表示させるようにしてもよい。
【0063】
また、スピーカの音量を上げるように制御された場合、スピーカの音量を上げたことが報知されるので、ユーザはこの報知によりスピーカの音量が上げられたことを認識することができる。
【0064】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、車両用音声出力装置を車両に搭載されたナビゲーション装置を用いて構成した例を示したが、このような例に限定されるものではなく、例えば、オーディオ装置等を用いて構成してもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、自車位置と記憶部11に記憶された大音量を発する施設の駐車場を示す情報(対象施設データ)に基づいて自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたか否かを判定し、自車が大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたと判定された場合に、大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていると推定する例を示したが、このような例に限定されるものではなく、自車の駐車状況から他の方法を用いて大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっているか否かを推定するようにしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、運転者が大音量を発する施設の駐車場に車両を駐車させ、ACC電源がオンとなった時にフラッシュメモリに記憶させた時刻(駐車開始時刻)と、運転者が車両に戻り、ACC電源がオンとなった時の時刻(駐車終了時刻)から駐車時間を算出する例を示したが、このような駐車時間の算出方法に限定されるものではなく、例えば、ACC電源がオフとなってからオンとなるまでの時間を計時して駐車時間を算出するようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、CPU13から入力される音声信号を一定のゲインで増幅するアンプ30を備え、CPU13からアンプ30へ入力される音声信号のレベルを可変させてスピーカ40の音量を変化させる例を示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、CPU13からの制御信号に応じてゲインが変化する可変利得アンプを備え、CPU13からアンプ30へ入力される音声信号は一定レベルとし、制御信号によりアンプ30のゲインを変化させてスピーカ40の音量を変化させるようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、S300にて表示部20に音量設定を上げたことを示すメッセージを表示させる例を示したが、例えば、更に、スピーカ40から音量設定を上げたことを音声出力させて、表示と音声の両方で音量設定を上げたことをユーザに報知するようにしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、ナビゲーション本体10の外部にアンプ30を設けた例を示したが、ナビゲーション本体10の内部にアンプ30を設けた構成としてもよい。
【0070】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S100、記憶部11、S106、S200、S202が推定手段に相当し、S206、S210が音量制御手段に相当し、S100が自車位置取得手段に相当し、記憶部11が記憶手段に相当し、S106、S200、S202が駐車状況判定手段に相当し、S204が確認手段に相当し、S300が報知手段に相当し、S208が時間判定手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る車両用音声出力装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るCPUの処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1実施形態に係るCPUの処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係るCPUの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1…ナビゲーション装置、10…ナビゲーション本体、11…記憶部、12…メモリ、
13…CPU、20…表示部、30…アンプ、40…スピーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカから音声を出力させる車両用音声出力装置であって、
自車の駐車状況に基づいて大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっているか否かを推定する推定手段と、
前記推定手段によって前記大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていると推定された場合、前記スピーカの音量を上げるように制御する音量制御手段と、を備えたことを特徴とする車両用音声出力装置。
【請求項2】
前記推定手段は、自車位置を取得する自車位置取得手段と、大音量を発する施設の駐車場を示す情報を記憶する記憶手段と、前記自車位置取得手段によって取得された前記自車位置と前記記憶手段に記憶された前記大音量を発する施設の駐車場を示す情報に基づいて前記自車が前記大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたか否かを判定する駐車状況判定手段と、を備え、
前記駐車状況判定手段によって前記自車が前記大音量を発する施設の駐車場に予め定められた基準時間以上駐車していたと判定された場合に、前記大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていると推定することを特徴とする請求項1に記載の車両用音声出力装置。
【請求項3】
ユーザに前記スピーカの音量を上げるか否かを確認する確認手段を備え、
前記音量制御手段は、前記確認手段によって前記スピーカの音量を上げることが確認された場合、前記スピーカの音量を上げるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用音声出力装置。
【請求項4】
前記音量制御手段によって前記スピーカの音量を上げるように制御された場合、前記スピーカの音量を上げたことを報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用音声出力装置。
【請求項5】
前記音量制御手段により前記スピーカの音量を上げるように制御されてから予め定められた基準時間が経過したか否かを判定する時間判定手段を備え、
前記音量制御手段は、前記時間判定手段によって前記スピーカの音量を上げるように制御されてから予め定められた基準時間が経過したと判定された場合、前記スピーカの音量を上げる前の音量となるように前記スピーカの音量を下げるように制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用音声出力装置。
【請求項6】
スピーカから音声を出力させる車両用音声出力装置の音量制御方法であって、
自車の駐車状況に基づいて大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっているか否かを推定し、前記大音量によりユーザの耳が音を聞き取りにくい状態となっていると推定された場合、前記スピーカの音量を上げるように制御することを特徴とする音量制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−30565(P2008−30565A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204745(P2006−204745)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】