説明

車両自動設定装置及び設定方法

【課題】車両等を所定の条件に設定する車両設定情報を取得し、車両設定情報に基づいて車両等の設定を行う車両自動設定装置であって、運転者に応じて車両等の設定を自動的に行うことが可能な車両自動設定装置及び方法を提供する。
【解決手段】車両自動設定装置1は、登録認証情報及び登録識別情報と、その登録識別情報のそれぞれに関連付けられた車両設定情報が記憶された記憶部10と、携帯端末2と通信して、所定の情報を取得する通信部11と、所定の情報から認証情報及び携帯端末の識別情報を取得する情報取得部121と、登録認証情報と認証情報との照合に基づき、認証の成否を判断する照合部122と、照合部122が認証に成功したと判断した場合、識別情報と対応する登録識別情報と関連付けられた車両設定情報を、記憶部10から取得して車両の制御ユニット等に送信する車両設定部123とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両自動設定装置及び設定方法に関するものであり、より詳しくは、携帯端末を用いて運転者が正当な権限を有する者か否かを認証し、その携帯端末から取得した情報に基づいて車両及び車載機器の各種設定を自動的に行う車両自動設定装置及び設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両には、オーディオ、カーナビゲーションシステム、エアコンディショナーをはじめとする様々な機器が搭載されるに至っている。一般に、車両の運転者は、これらの機器を自分に好みに合わせた設定に調整して使用する。また、車両の運転環境の設定、例えば、シートの位置、ドアミラーの角度、ステアリングの位置などについても、一般的に、運転者は、自分の運転し易いように調整する。このような調整を、車両に乗る度に繰り返すのは煩雑である。また、車両の盗難を防止するため、認証に成功しないかぎり、車両の各部をロックしたり、車載機器の使用を禁止することが望ましい。そこで、運転者を認証し、その認証結果に応じて車載機器の設定を行う装置が開発されている。例えば、携帯電話機を用いて運転者を認証する車載機器及び車両搭載機器の制御システムが開発されている(特許文献1及び2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された車両搭載機器の制御システムは、携帯電話機からユーザID情報を取得し、そのユーザID情報を予め登録されたID情報と一致するか否かを判定する。そして、その制御システムは、一致すると判定した場合、エアコンディショナー等を自動的に起動したり、携帯電話機から受信した詳細な制御指示を用いて、オーディオ装置を制御する。
【0004】
上記の制御システムでは、認証に成功しなければ、運転者は車載機器を操作することができない。そのため、その制御システムは、車両の不正使用及び盗難を防止することができる。逆に、その制御システムは、認証に成功すると、運転者は携帯電話機を用いて簡単に車載機器を所望の状態に制御することができる。
【0005】
一方、上記の制御システムでは、ユーザID毎の制御情報を持たないため、前回の運転者と異なる運転者が車両を使用する場合、あらためて各車載機器の設定をし直さなければならないという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載された、携帯電話機を用いて運転者を認証する車載機器は、車載システムの情報系ネットワークに設けられたクレードル装置にセットされた携帯電話機から、その携帯電話機の電話番号を取得する。そして、取得した電話番号と予め登録されている電話番号が一致するか否かを判断することによって運転者を認証する。さらに、その車載機器は、予め登録されている電話番号毎にエアコンディショナーやシート位置などの設定情報を保持しており、運転者の認証に成功すると、車載機器を自動的にその運転者に合わせた設定に調整することができる。
【0007】
一方、このような車載機器では、予めその車載機器が搭載された車両を運転することが想定されている者、例えば、車両の所有者及び所有者の家族が所持する携帯電話機の電話番号のみが登録されると考えられる。しかし、様々な事情によって、想定外の者が車両を運転する場合が生じる。このような場合、その都度車載機器にその運転者の所持する携帯電話機の電話番号を登録しなければならない。また、一時的な車両の貸し出しの場合であれば、セキュリティの問題上、車両の返却後には車両の貸し出しの際に登録した電話番号を消去しておくことが望ましい。さらに、運転者が、車両の所有者の携帯電話機を借りて認証を行い、運転を行う場合、その運転者が車両の設定や車載機器の設定を変えてしまうことがある。そのような場合、車両の所有者は、その後運転を行う際に、車両又は車載機器の再設定を行わなければならない。
【0008】
そこで、一時的な車両の貸し出し等の度に、上記のような電話番号の登録・消去といった煩雑な作業を行うことなく、運転者に応じて車両及び車載機器を自動的に設定することができる車両自動設定装置の開発が望まれている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−51892号公報
【特許文献2】特開2004−276868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の問題点に鑑み、本発明は、運転者に応じて車両及び/又は車載機器の設定を自動的に行うことが可能な車両自動設定装置及び設定方法を提供することを目的とする。
【0011】
また本発明は、予め認証情報が登録されていない携帯端末を用いて認証を行い、且つ運転者に応じて車両及び/又は車載機器の設定を自動的に行うことが可能な車両自動設定装置及び設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記に鑑み、本発明の第1の形態に係る、車両及び/又は車載機器を所定の条件に設定する車両設定情報を取得し、車両設定情報に基づいて車両及び/又は車載機器の設定を行う車両自動設定装置は、登録認証情報と、登録識別情報と、その登録識別情報のそれぞれに関連付けられた車両設定情報が記憶された記憶部と、携帯端末と通信して、所定の情報を取得する通信部と、所定の情報から、認証情報及び携帯端末の識別情報を取得する情報取得部と、登録認証情報と認証情報との照合に基づき、認証の成否を判断する照合部と、照合部が認証に成功したと判断した場合、識別情報に対応する登録識別情報と関連付けられた車両設定情報を記憶部から取得し、車両設定情報を車両の制御ユニット及び/又は車載機器に送信する車両設定部と、を有することを特徴とする。
【0013】
上記のように、携帯端末から認証情報を取得して照合を行うことにより、車両の不正使用を防ぐことができる。また、携帯端末から識別情報を取得して、その識別情報と対応する登録識別情報に関連付けられた車両設定情報を取得することにより、車両が正当に使用される場合、自動的に車両及び/又は車載機器の設定を行うことができる。
【0014】
本発明の第1の形態に係る車両自動設定装置において、記憶部は、さらに標準車両設定情報を記憶し、識別情報に対応する登録識別情報を記憶していない場合、車両設定部は、標準車両設定情報を記憶部から取得し、車両設定情報を車両の制御ユニット及び/又は車載機器に送信することが好ましい。標準車両設定情報を、予め車両各部の機能及び/又は車載機器の機能を制限するように設定しておくことにより、一時的な車両の運転者に対して、特定の車載機器の操作を禁止したり、車両の機能を制限できる。
【0015】
また、本発明の第1の形態に係る車両自動設定装置において、記憶部が、識別情報に対応する前記登録識別情報を記憶していない場合、車両設定部は、車両設定情報を携帯端末から取得することが好ましい。車両自動設定装置は、携帯端末を車両設定のバックアップに使用できる。また、同様の車両自動設定装置を搭載し、同様の車載機器を有する別の車両がある場合、その別の車両についても携帯端末に記憶した車両設定を使用することができる。
【0016】
さらに、本発明の第1の形態に係る車両自動設定装置において、記憶部は、さらに標準車両設定情報を記憶し、記憶部が識別情報に対応する登録識別情報を記憶しておらず、且つ携帯端末が車両設定情報を記憶していない場合、車両設定部は、標準車両設定情報を記憶部から取得し、車両設定情報を車両の制御ユニット及び/又は車載機器に送信することが好ましい。
【0017】
また、本発明の第2の形態に係る、車両及び/又は車載機器を所定の条件に設定する車両設定情報を取得し、車両設定情報に基づいて車両及び/又は車載機器の設定を行う車両自動設定装置は、登録認証情報が記憶された記憶部と、携帯端末と通信して、所定の情報を取得する通信部と、その所定の情報から、携帯端末の認証情報を取得する情報取得部と、登録認証情報と認証情報との照合に基づき、認証の成否を判断する照合部と、照合部が認証に成功したと判断した場合、携帯端末から車両設定情報を取得し、車両設定情報を車両の制御ユニット及び/又は車載機器に送信する車両設定部と、を有することを特徴とする。
上記のように、携帯端末から認証情報を取得して照合を行うことにより、車両の不正使用を防ぐことができる。また、携帯端末から車両設定情報を取得することにより、車両が正当に使用される場合、自動的に車両及び/又は車載機器の設定を行うことができる。
【0018】
また、本発明の第1及び第2の形態に係る車両自動設定装置において、所定の情報は、携帯端末が他の通信端末と通信した通信情報を含み、情報取得部は、通信情報から認証情報を抽出することが好ましい。認証情報を他の通信端末から取得することにより、車両を一時的に貸し出す度に借用者の携帯端末の電話番号等を認証情報として車両自動設定装置に登録しなくてもよい。また、認証情報と車両設定情報が独立して管理されているため、借用者が、車両の所有者の有する携帯端末を他の通信端末として通信を行い、認証を得ても、車両の所有者用の車両設定は借用者に使用されない。そのため、その借用者が所有者用の車両設定情報を改変することを防止できる。
【0019】
さらに、本発明の第1及び第2の形態に係る車両自動設定装置において、通信情報は携帯端末の通信の発信履歴又は着信履歴であり、認証情報は発信履歴又は着信履歴に記録された他の通信端末の通信端末識別情報であることが好ましい。この場合、情報取得部は、通話の発信履歴又は着信履歴のうち、所定の期間内に行われた通信から認証情報を抽出することが好ましい。このように通信の発信履歴又は着信履歴から、通信先である他の通信端末の通信端末識別情報を認証情報として取得することにより、携帯端末と他の通信端末との間で特別な情報の送受信を行う必要がなく、容易に認証情報を取得できる。なお、通信端末の通信端末識別情報とは、その通信端末を他の通信端末と識別するために使用できる情報であり、例えばその端末の電話番号、メールアドレスである。また、ここでメールとは、インターネットの電子メールだけでなく、ショートメッセージサービス(SMS)、エンハンスドメッセージサービス(EMS)及びマルチメディアメッセージサービス(MMS)など相手先のアドレスを指定して文字情報等を送受信するものを含む。
さらに、認証情報を取得する範囲を、ある所定の期間内に行われた通信に限定することにより、セキュリティの低下を防止することができる。同様の理由により、通信情報を通信の発信履歴のみ、又は通話の着信履歴のみに限定してもよい。
【0020】
また、本発明の第1及び第2の形態に係る車両自動設定装置において、情報取得部は、車両自動設定装置が携帯端末と接続中において、他の通信端末と携帯端末が通信を行った場合に、他の通信端末の通信端末識別情報を認証情報として取得することが好ましい。認証処理中に、予め認証可能と判明している通信端末から電話を掛けてもらったり、メールを送信してもらうだけで認証を行えるため、認証に必要な手続きを簡単化することができる。なお、セキュリティの低下を防止するため、他の通信端末から携帯端末へ掛かってきた通話や、携帯端末が受信したメールのみを、認証情報を取得する対象に制限してもよい。
【0021】
また、本発明の第1及び第2の形態に係る車両自動設定装置において、照合部が認証に成功した場合、記憶部は携帯端末の電話番号又はメールアドレスを一時的登録認証情報及び一時的識別情報として記憶し、且つ一時的識別情報と関連付けて車両のエンジン停止時の車両設定情報を記憶することが好ましい。
【0022】
また、本発明の第1及び第2の形態に係る車両自動設定装置において、照合部が認証に成功した場合、記憶部は前記携帯端末の電話番号又はメールアドレスを一時的登録認証情報として記憶し、且つ通信部は、車両のエンジン停止時の車両設定情報を携帯端末に記憶させることが好ましい。一旦認証に成功した携帯端末の電話番号等も登録認証情報とすることで、同じ携帯端末を用いて再度認証を行う場合の手続きを簡便化することができる。さらに、エンジン停止時の車両設定情報を記憶することにより、もともと車両設定情報が登録されていなかった場合でも、再度車両を運転する場合には、前回の運転時の車両設定情報に基づいて、車両及び/又は車載機器を自動的に設定することができる。
【0023】
また、本発明の第3の形態に係る、車両及び/又は車載機器を所定の条件に設定する車両設定情報を取得し、車両設定情報に基づいて車両及び/又は車載機器の設定を行う車両自動設定方法は、携帯端末と通信して、所定の情報を取得するステップと、所定の情報から、認証情報及び携帯端末の識別情報を取得するステップと、記憶部に記憶された登録認証情報と認証情報との照合に基づき、認証の成否を判断するステップと、認証に成功したと判断した場合、記憶部から前記識別情報に関連付けられた車両設定情報を取得するステップと、車両設定情報を車両の制御ユニット及び/又は車載機器に送信するステップと、を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の第4の形態に係る、車両及び/又は車載機器を所定の条件に設定する車両設定情報を取得し、車両設定情報に基づいて車両及び/又は車載機器の設定を行う車両自動設定方法は、携帯端末と通信して、所定の情報を取得するステップと、所定の情報から、認証情報を取得するステップと、記憶部に記憶された登録認証情報と認証情報との照合に基づき、認証の成否を判断するステップと、認証に成功したと判断した場合、携帯端末から車両設定情報を取得するステップと、車両設定情報を車両の制御ユニット及び/又は車載機器に送信するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、運転者に応じて車両及び/又は車載機器の設定を自動的に行うことが可能な車両自動設定装置及び設定方法を提供することが可能となった。
【0026】
また本発明によれば、予め認証情報が登録されていない携帯端末を用いて認証を行い、且つ運転者に応じて車両及び/又は車載機器の設定を自動的に行うことが可能な車両自動設定装置及び設定方法を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一例に係る車両自動設定装置を図を参照して説明する。
本発明の一例に係る車両自動設定装置は、車両に搭載され、その車両を運転する運転者が所持する携帯端末から認証情報を取得し、予め登録されている登録認証情報と比較することにより認証を行うものである。さらに、車両自動設定装置は、その携帯端末から識別情報を取得する。そして、車両自動設定装置は、その識別情報に関連付けて記憶されている車両設定情報及び/又は車載機器設定情報(以下、まとめて車両設定情報という。)を用いて、車両及び/又は車載機器を所定の条件に自動的に設定する。また、認証情報は、携帯端末の電話番号、メールアドレスだけでなく、電話やメールの発信、着信履歴に含まれる相手先の電話番号及びメールアドレスを含む。そのため、本発明の一例に係る車両自動設定装置によれば、運転者は、自分の所持する携帯端末が登録された認証情報を有していない場合であっても、登録認証情報として登録されている電話番号等を有する別の携帯端末と通信することにより、登録認証情報を取得し、認証を得ることができる。
【0028】
さらに、本発明の一例に係る車両自動設定装置は、認証情報と識別情報を別途有していることにより、上記のように別の携帯端末の認証情報を用いて認証を行っても、その別の携帯端末の所有者用に設定されている車両設定情報を使用せず、車両設定情報の更新もしない。そのため、車両自動設定装置は、一時的な車両の運転者によって、その別の携帯端末の所有者用の車両設定情報が変更されることを防止できる。さらに、車両自動設定装置は、車両設定情報が設定されていない運転者に対して、予め設定された標準の車両設定情報を使用することにより、使用可能な車両の機能及び/又は車載機器の機能を限定することができる。
【0029】
図1は、本発明の一例に係る車両自動設定装置1を使用した車両自動設定システム5の概略構成図を示す。
【0030】
車両自動設定システム5は、車両3に搭載された車両自動設定装置1と、認証に使用する携帯端末2と、登録携帯端末4を有している。車両自動設定装置1には登録携帯端末4の電話番号など認証に用いる情報が登録されている。また車両自動設定装置1には、シート位置、ドアミラー角度、エアコンディショナーの設定温度等の車両設定情報も、携帯端末2を他の携帯端末と識別する識別情報と関連付けて登録されている。そして認証用の携帯端末2は登録携帯端末4と通信を行うことができる。
【0031】
車両自動設定システム5において、運転者が車両3に乗り、エンジンキーを差し込んでエンジンを始動させると、車両自動設定装置1は、車両3の情報系ネットワークを通じて車両3の各制御ユニットに認証待ち信号を送る。そして、各制御ユニットは認証待ち信号を受信すると、エンジンペダル、サイドブレーキ、シフトレバー、ステアリング等にロックを掛け、運転者が車両3を操作できないようにする。一方、車両自動設定装置1は、車両3内で通信可能な携帯端末2と接続処理を行う。そして、車両自動設定装置1は、携帯端末2との接続に成功すると、携帯端末2から認証情報を取得する。その認証情報は、携帯端末2自身の電話番号及びメールアドレスに加えて、発信・着信履歴に含まれる相手先の電話番号及びメールアドレスを含む。そこで運転者は、携帯端末2自身の電話番号等の認証情報が車両自動設定装置1に登録されていない場合、携帯端末2を用いて、車両3の所有者などが所持する登録携帯端末4に電話を掛けるか、メールを送信する。あるいは運転者は、登録携帯端末4から携帯端末2に電話を掛けてもらうか、メールを送信してもらう。このように登録携帯端末4と通信を行って、発信・着信履歴に登録携帯端末4の電話番号又はメールアドレスを記録することにより、車両自動設定装置1は認証を行うことができる。
【0032】
車両自動設定装置1は、携帯端末2から取得した認証情報を、車両自動設定装置1に登録されている認証情報とを照合し、一致するものがなければ、車両自動設定装置1は認証に失敗したと判断し、警報器によって警報を発する。
【0033】
一方、車両自動設定装置1は、携帯端末2から取得した認証情報と、車両自動設定装置1に登録されている認証情報に、一致するものがあれば認証に成功したと判断する。そして、認証に成功した場合、車両3の情報系ネットワークを通じて車両3の各制御ユニットに認証成功を示す信号を送る。そして制御ユニットは認識成功を示す制御信号を受信すると、エンジンペダル、サイドブレーキ、シフトレバー、ステアリング等のロックを解除する。
【0034】
次に、車両自動設定装置1は、携帯端末2から識別情報を取得する。そして、車両自動設定装置1は、その識別情報に関連付けられた車両設定情報を検索する。識別情報に関連付けられた車両設定情報が存在する場合、車両自動設定装置1は、車両設定情報を車両3の各制御ユニット及び/又は車載機器に送る。そして車両3の各制御ユニット/又は車載機器は、車両設定情報に基づいて、シート位置、ドアミラー角度、エアコンディショナー設定温度等を調整する。また、識別情報に関連付けられた車両設定情報が存在しない場合、車両自動設定装置1は、携帯端末2に車両設定情報を有しているか否か問い合わせる。携帯端末2は、車両設定情報を有している場合、車両自動設定装置1に車両設定情報を送信する。そして、車両自動設定装置1は、車両設定情報を車両3の各制御ユニット及び/又は車載機器に送る。そして車両3の各制御ユニット/又は車載機器は、車両設定情報に基づいて、シート位置、ドアミラー角度、エアコンディショナー設定温度等を調整する。
【0035】
車両自動設定装置1及び携帯端末2の何れにも車両設定情報が存在しない場合、車両自動設定装置1は、標準の車両設定情報を車両3の各制御ユニット及び/又は車載機器に送る。そして車両3の各制御ユニット/又は車載機器は、標準の車両設定情報に基づいて、シート位置、ドアミラー角度、エアコンディショナー設定温度等を調整する。
【0036】
なお、一旦認証に成功すると、携帯端末2の電話番号又はメールアドレスが、所定の有効期限を伴って車両自動設定装置1に認証情報として登録される。そして、その有効期限の範囲内であれば、運転者が一度車両3から離れてから再度車両3を運転する際、車両自動設定装置1は携帯端末2自身の電話番号又はメールアドレスを取得して認証を行うことができる。
【0037】
さらに、標準の車両設定情報を用いて車両3及び/又は車載機器の設定を行った場合において、運転者が車両3及び/又は車載機器の調整を行うと、車両自動設定装置1は、その調整後の車両設定情報を、携帯端末2の識別情報と関連付けて登録する。そのため、車両自動設定装置1は、運転者が一度車両3から離れてから再度車両3を運転する際、携帯端末2の識別情報に関連付けられた車両設定情報を用いて車両3及び/又は車載機器の自動設定を行うことができる。
【0038】
上記のように、本発明の一例に係る車両自動設定装置1を使用した車両自動設定システム5によれば、運転者自身が車両自動設定装置1に認証情報が登録された携帯端末を有していなくても、運転者が携帯端末を用いて車両自動設定装置1に認証情報が登録された別の携帯端末と通信することにより、車両自動設定装置1は認証を行うことができる。そのため、車両3の一時的な貸し出しなどを行っても、認証情報の新規登録などの煩雑な作業を行わずに、認証を行うことができる。
【0039】
さらに、車両自動設定システム5によれば、携帯端末の識別情報と関連付けて車両設定情報が登録されているため、運転者に応じて車両3及び/又は車載機器を自動的に設定することができる。またさらに、車両自動設定システム5は登録認証情報と識別情報を独立して有している。そのため、車両自動設定システム5は、上記のように別の携帯端末と通信することによって認証を行った場合にも、認証に使用した携帯端末の識別情報に関連付けられる車両設定情報又は標準の車両設定情報を使用する。すなわち、車両3の所有者が、車両3を第三者に貸し出した場合、車両自動設定システム5は、認証についてはその第3者の所持する携帯端末を通じて所有者の所持する携帯端末の登録情報を使用する。しかし、その第三者は所有者の所持する携帯端末の識別情報に関連付けられた車両設定情報を使用することができない。そのため、車両自動設定システム5は、第三者が勝手に所有者用の車両設定情報を改変することを防止できる。
【0040】
図2を用いて、本発明の一例に係る車両自動設定装置1の構成について説明する。
【0041】
車両自動設定装置1は、登録された認証情報を記憶する記憶部10と、携帯端末2と通信を行う通信部11と、認証設定部12と、警報部13を有する。ここで認証設定部12は、携帯端末2から取得した認証情報を登録された認証情報と照合し認証を行う。そして認証設定部12は、認証に成功した場合、車両設定情報を取得して車両3の制御ユニット32及び/又は車載機器33に送信する。また警報部13は、認証設定部12が認証に失敗した場合に警報を発する。以下、車両自動設定装置1の各部について詳細に説明する。
【0042】
記憶部10は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性の書換可能なメモリで構成される。記憶部10は、登録された認証情報Irを記憶する。登録認証情報Irとして、例えば携帯端末の電話番号、メールアドレス等が用いられるが、その他の情報を用いてもよい。登録認証情報Irは、例えば、ナビゲーションシステム(図示せず)などの操作部を通じて、車両自動設定装置1が提供する所定の操作指示にしたがって電話番号、メールアドレス等を入力することによって登録される。また同様に、ナビゲーションシステムなどの操作部を通じて、登録認証情報Irを記憶部10から消去することもできる。さらに、車両自動設定装置1が、運転者が所持する携帯端末2から取得した認証情報Ioを用いて認証を行った後、その携帯端末2自身の電話番号、メールアドレス等を登録認証情報Ir’として一時的に登録し、記憶部10に記憶することもできる。
【0043】
また記憶部10は、複数の登録認証情報Irを記憶することができる。また記憶部10は、各登録認証情報Ir毎に設定された有効期限情報を記憶することができる。さらに記憶部10は、登録認証情報Irが、上記のように一時的に登録されたものか否かを示すフラグを、各登録認証情報Ir毎に記憶することもできる。このような有効期限情報やフラグを参照することで、認証設定部12は携帯端末2から取得した認証情報Ioと照合を行う登録認証情報を選択することができる。
【0044】
さらに記憶部10は、識別情報Idと車両設定情報Icを関連付けて記憶する。ここで車両設定情報Icは、車両3の運転環境の設定及び各部機能の制限を行う車両3自体の設定情報と、オーディオ装置、カーナビゲーション装置、エアコンディショナー等、車両3に搭載される車載機器の使用許可及び設定を行う車載機器の設定情報を含む。車両3自体の設定情報は、例えば、シート位置、ドアミラー角度、ステアリング位置、、トランク及びダッシュボードの開閉許可、上限速度等を含む。また車載機器設定情報は、例えば、オーディオ装置又はカーナビゲーション装置の使用許可情報、オーディオ装置のラジオ選択周波数、CDの選曲順又はボリューム、カーナビゲーション装置の音声及び表示画面の設定、エアコンディショナーの設定温度等を含む。さらに、車載機器設定情報は、車両3の運転中に携帯端末2に着信があった場合、その着信情報の通知方法の設定を含んでもよい。着信情報の通知方法は、例えば、カーナビゲーション装置の表示画面に相手先電話番号を表示する方法、着信を一切表示しない方法等を含む。また、識別情報Idは、例えば、携帯端末2の電話番号である。しかし、識別情報Idは携帯端末2のメールアドレスであってもよい。また識別情報Idは、運転者が任意に設定した何桁かの数値又はアルファベットの文字列であってもよい。
【0045】
識別情報Idと車両設定情報Icは、互いに関連付けられ、一つの識別情報Idが特定されると、対応する車両設定情報Icを一意に特定することができるように記憶される。例えば、一つの組となる識別情報Idと車両設定情報Icは、記憶部10において一つの連続した記憶領域に格納される。そして、認証設定部12によってそれら識別情報Idと車両設定情報Icが読み出されると、一つの構造体の各構成要素に、識別情報Id及び車両設定情報Icに含まれる各設定値が割り当てられる。こうして、識別情報Idと対応する車両設定情報Icが関連付けられる。あるいは、記憶部10は、識別情報Idと車両設定情報Icの対応表(すなわち、2次元配列)を記憶してもよい。この対応表では、識別情報Idと対応する車両設定情報Icに含まれる各設定値が縦又は横一列に並ぶように記憶される。
さらに、記憶部10は、携帯端末2の識別情報Idが登録されていない場合に使用される、標準の車両設定情報Icを有する。標準の車両設定情報Icは、一時的な運転者に使用させたくない車載装置の使用を禁止するような設定値を有してもよい。また、標準の車両設定情報Icは、車両3の上限速度を制限するような設定値を有してもよい。標準の車両設定情報Icの設定は、例えば、カーナビゲーション装置の操作画面を通じて、車両3の所有者が予め設定しておくことができる。この場合、車両自動設定装置1は、カーナビゲーション装置に対して、操作画面を表示させるためのユーザインタフェース情報を有し、情報系ネットワーク31を介してカーナビゲーション装置を制御するプログラムを有していることが必要である。
【0046】
なお記憶部10は、車両自動設定装置1の各種設定情報も記憶する。そのような設定情報として、例えば、通話又はメールの発信履歴・着信履歴を用いた認証を許可するか否かの設定情報を含めることができる。さらに、通話又はメールの発信履歴・着信履歴を用いた認証を許可するか否かの設定情報は、各登録認証情報Ir毎に設定されるようにしてもよい。
【0047】
なお、上記実施形態では、記憶部10を不揮発性メモリで構成したが、ハードディスクなどの磁気記録媒体や、CD−RW、DVD−RAMなどの光記録媒体といった電源を切ってもデータが消去されない書換可能な記録媒体で構成してもよい。
【0048】
通信部11は、携帯端末2と通信するための通信インターフェースと、所定の通信プロトコルにしたがって動作する電子回路及びドライバソフトウェアで構成される。また通信部11は認証設定部12と接続され、携帯端末2から取得した情報を認証設定部12へ送信する。さらに、通信部11は、携帯端末2と有線で接続するために、RS232Cなどの有線通信インターフェースを備えた有線通信部111と、BlueTooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は赤外線通信(IrDA)などの無線通信インターフェースを備えた無線通信部112を備える。
【0049】
通信部11は、携帯端末2が有線で接続された場合には、無線通信部112よりも有線通信部111を優先して携帯端末2と通信を行う。また通信部11は、携帯端末2のメモリに記憶されている携帯端末2自身の電話番号及びメールアドレスを取得し、認証設定部12へ送信する。また車両自動設定装置1が通話の発信・着信履歴に基づいて認証を行うことができる設定になっている場合には、通信部11は、携帯端末2のメモリに記憶されている通話の発信履歴・着信履歴も取得して認証設定部12へ送信する。同様に車両自動設定装置1がメールの発信・着信履歴に基づいて認証を行うことができる設定になっている場合には、通信部11は、メールの発信履歴・着信履歴も取得して、認証設定部12へ送信する。さらに、通信部11は、携帯端末2と通信可能状態となっている間に、携帯端末2が受信したメールの送信元のメールアドレス及び携帯端末2が発信した送信先のメールアドレスも取得して認証設定部12へ送信する。同様に、通信部11と携帯端末2が互いに通信可能状態となっている間に、携帯端末2に対して掛かってきた電話の相手先電話番号又は携帯端末2から掛けた相手先の電話番号も取得して認証設定部12へ送信する。
また通信部11は、携帯端末2が車両設定情報Icを有している場合、その車両設定情報Icを取得し、認証設定部12へ送信する。
【0050】
認証設定部12は、組み込み型のプロセッサ、ROM、RAM及びプロセッサに所定の動作をさせるプログラムなどで構成される。また認証設定部12は、情報取得部121と、照合部122と、車両設定部123を有する。
【0051】
情報取得部121は、通信部11が携帯端末2と通信を確立し、通信可能となると、通信部11を介して携帯端末2から認証情報Io及び識別情報Idを取得する。ここで、情報取得部121は、通信部11を介して取得した携帯端末2の電話番号及びメールアドレスを認証情報Io及び識別情報Idとする。また、上記のように、識別情報Idは、運転者が任意に設定した何桁かの数値又はアルファベットの文字列であってもよい。なお、認証情報Ioと識別情報Idは、同一である必要はなく、例えば、認証情報Ioは、携帯端末2の電話番号であり、識別情報Idは携帯端末2のメールアドレスであってもよい。
さらに、携帯端末2から通話及びメールの発信・着信履歴を取得した場合、情報取得部121は、その発信・着信履歴から、通話相手の電話番号又はメールの送信先又は送信元のメールアドレスを抽出し、認証情報Ioとする。なお、情報取得部121は、発信履歴からは認証情報Ioを抽出せず、着信履歴からのみ抽出するようにしてもよい。また、情報取得部121は、発信履歴又は着信履歴のうち、認証を行う時点から過去に遡って所定の期間内に行われた通話等から認証情報を抽出するようにしてもよい。ここで所定の期間とは、例えば携帯端末2と通信部11が接続を確立した時点を基準として、1時間、1日間、3日間などである。この所定の期間は、車両3の所有者が自由に設定できるようにしてもよい。このように、認証情報Ioを取得する対象を限定することにより、セキュリティを向上することができる。
【0052】
さらに、情報取得部121は、記憶部10からも登録された認証情報Irを取得する。
【0053】
照合部122は、認証情報Ioを登録認証情報Irと照合する。記憶部10に複数の登録認証情報Irが記憶されている場合には、記憶されている全ての登録認証情報Irと照合する。そして、認証情報Ioと、何れかの登録認証情報Irとが一致する場合、照合部122は認証に成功したと判断する。照合部122は認証に成功したと判断した場合、携帯端末2自身の電話番号及びメールアドレスを、一時的に登録認証情報Ir’として記憶部10に記憶する。このため、携帯端末2を有する運転者は、次回以降登録携帯端末4と通信を行わずに認証を行うことができる。ただし、一時的に登録された登録認証情報Ir’は、携帯端末2自身の電話番号及びメールアドレスを認証情報Ioとして用いる場合にのみ照合に使用される。さらに、一時的に登録された登録認証情報Ir’は、登録の際に有効期限が設定され、その有効期限を過ぎると記憶部10から消去される。あるいは、車両3の使用の履歴情報を残すために、一時的に登録された登録認証情報Ir’も記憶部10にそのまま残しておき、情報取得部121で登録認証情報Irを読み込む際に、有効期限を参照して期限切れの登録認証情報Ir’を読み込まないようにしてもよい。
【0054】
また照合部122が認証に成功したと判断した場合、認証設定部12は、車両設定部123から、車両3の情報系ネットワーク31を通じて、車両3の各制御ユニット32へ制御信号を出力する。そして、車両3の情報系ネットワーク31を通じて、車両3の各制御ユニット32へ解除信号を出力し、エンジンペダル、サイドブレーキ、シフトレバー、ステアリング等のロックを解除する。
【0055】
一方、認証情報Ioが何れの登録認証情報Irとも一致しない場合、照合部122は、所定の期間、携帯端末2から新たな認証情報Ioを取得するまで待機する。そして、新たな認証情報Ioを取得する度に、登録認証情報Irと照合を行う。照合に成功せず、所定期間が経過すると、照合部122は認証に失敗したと判断する。
【0056】
車両設定部123は、車両3の各制御ユニット32に対して、車両3の情報系ネットワーク31を通じて制御信号を送信する。そして、制御信号を受信した制御ユニット32は、エンジンペダル、サイドブレーキ、シフトレバー、ステアリング等をロックし、又はロック解除する。
【0057】
なお、本実施形態では、車両3の情報系ネットワーク31は、コントローラエリアネットワーク(CAN)busで構成される。しかし、車両自動設定装置1は、車両3の情報系ネットワーク31としてFlexRay、MOSTなどの規格に準じた車内LANを適用することにより、好適に使用することができる。また、車両3の制御ユニット32は、エンジン制御ユニット、パワーステアリング制御ユニット、シート位置制御ユニット、ドアミラー制御ユニットなど、車両3の運転及び環境に関する各制御ユニットを含む。
【0058】
さらに、車両自動設定装置1は、運転者の認証に成功すると、携帯端末2から通信部11を通じて識別情報Idを取得する。そして、車両設定部123は、取得した識別情報Idと対応する登録識別情報が記憶部10にないか検索する。対応する登録識別情報が記憶部10にあれば、車両設定部123は、その登録識別情報と関連付けられた車両設定情報Icを記憶部10から取得し、車両3の各制御ユニット32及び/又は車載機器33にその車両設定情報Icを送信する。そして、車両3の各制御ユニット32及び/又は車載機器33は、その車両設定情報Icに基づいて設定を行う。また、車両設定部123は、取得した識別情報Idと対応する登録識別情報を記憶部10に発見できない場合、通信部11を通じて携帯端末2から車両設定情報Icを取得する。携帯端末2にも車両設定情報Icがない場合、車両設定部123は、記憶部10から標準の車両設定情報Icを取得し、車両3の各制御ユニット32及び/又は車載機器33にそれら設定情報Icを送信する。
【0059】
警報器13は、例えばスピーカであり、車両3を不正に操作しようとする試みを防止するために、認証に失敗した場合、車両3の車内及び車外に警報を発する。なお、警報器14は、スピーカに限らず音声や表示によって警報を発するものであればよい。例えば、車両3が備えるオーディオシステムを利用してもよい。
【0060】
次に、携帯端末2について説明する。
携帯端末2は、携帯電話、PHSなど、無線及び通信網を介して他の携帯電話、PHSなどの携帯端末と通話可能な無線端末であり、携帯端末2自身に割り当てられた独自の電話番号及びメールアドレスを有するものであればよい。
【0061】
また認証装置との連携に利用可能な携帯端末2は、近距離通信機能を有する。この近距離通信機能は、車両自動設定装置1の通信部11が備える通信インターフェースのうち、少なくとも1種類と同じ通信インターフェースを備え、車両自動設定装置1とピアツーピアで通信を行う。そして、車両自動設定装置1からのデータ取得要求に対して、携帯端末2は、自身に割り当てられた電話番号、メールアドレス、通話に関する発信・着信履歴、メールに関する発信・着信履歴を車両自動設定装置1へ送信する。さらに、携帯端末2は、車両自動設定装置1と接続中に通話を行ったり、メールの送受信を行った場合には、通話の相手先の電話番号又はメールの送信先若しくは送信元のメールアドレスを車両自動設定装置1へ送信する。
【0062】
さらに携帯端末2は、フラッシュメモリなどの書換可能な不揮発性メモリを備える。そして、携帯端末2は、その不揮発性メモリに、車両設定情報Icを記憶することができる。同様に、携帯端末2は、その不揮発性メモリに、識別情報Idを記憶することができる。なお、車両設定情報Ic、識別情報Idは、上記の記憶部10に記憶されるものと同様の情報である。
【0063】
なお、携帯端末2としては、通話機能のみを有し、メールの通信機能を有さないものも使用することができる。この場合には、車両自動設定装置1では、照合処理用の認証情報として、携帯端末2自身の電話番号及び携帯端末2と通信を行う相手先の電話番号のみを使用する。同様に、携帯端末2として、通話機能を有さず、メールの送受信機能のみを有する携帯情報端末(PDA)を使用することもできる。携帯端末2としてPDAを使用する場合は、照合処理用の認証情報として、携帯端末2自身のメールアドレス及び携帯端末2と通信を行う相手先のメールアドレスのみを使用する。
【0064】
次に、本発明の一例に係る車両自動設定装置車両自動設定装置1の認証処理についての動作フローを説明する。まず、車両自動設定装置1の認証処理の動作フローの概略を説明する。
【0065】
車両自動設定装置1は、エンジンを始動させると起動し、車内で通信可能な携帯端末2を探す。携帯端末2が見つかると、車両自動設定装置1は、携帯端末2と接続処理を行う。そして、車両自動設定装置1は、携帯端末2から、認証情報Ioとして、携帯端末2自身に割り当てられた電話番号及びメールアドレスを取得する。そして、車両自動設定装置1は、記憶部10に記憶されている登録認証情報Irと認証情報Ioとの照合処理を行い、一致するものがあれば、認証成功と判断する。一方、一致するものがなければ、車両自動設定装置1は、携帯端末2から通話及びメールの発信・受信履歴を取得する。そして、その中から抽出した相手先の電話番号又はメールアドレスを認証情報Ioとして、再度登録認証情報Irと照合処理を行う。さらに、車両自動設定装置1と携帯端末2とが接続中に、携帯端末2に掛かってきた電話や、送られてきたメール等がある場合には、車両自動設定装置1は、その相手先の電話番号及びメールアドレスも認証情報Ioとして取得する。そして、認証情報Ioと登録認証情報Irとの照合処理により、一致するものが見つかれば、車両自動設定装置1は、認証に成功したと判断する。一方、いずれの認証情報Ioも登録認証情報Irと一致しなければ、認証に失敗したと判断する。そして認証に成功した場合、車両自動設定装置1は、エンジンペダル、サイドブレーキ、シフトレバー、ステアリング等のロックを解除させるよう、車両3の制御ユニット32に信号を送る。さらに、車両自動設定装置1は、携帯端末2から識別情報Idを取得し、その識別情報Idに基づいて車両設定情報Icを取得する。あるいは、携帯端末2からそれら車両設定情報Icを取得する。そして、車両自動設定装置1は、車両設定情報Icを車両3の各制御ユニット32及び/又は車載機器33へ送信する。車両3の各制御ユニット32及び/又は車載機器33は、車両設定情報Icに基づいて、車両3及び/又は車載機器33の設定を行う。一方、認証に失敗した場合は、警報器13を通じて警報を発生させる。さらに、認証に失敗した場合、携帯端末2を通じて車両3の所有者にメールを送信するなどにより、認証が試みられて失敗したことを車両3の所有者に通知してもよい。
【0066】
図3及び図4に、車両自動設定装置1の認証処理の動作フローチャートを示す。以下、図3及び図4にしたがって、車両自動設定装置1の認証処理の動作を詳細に説明する。なお、このフローチャートで示される動作の制御は、図2に示す車両自動設定装置1に含まれるマイクロコンピュータ等により構成される制御部(図示せず)により行われる。
【0067】
まず、車両3のエンジンを始動させると、車両自動設定装置1が起動し、認証動作を開始する。最初に、車両自動設定装置1は、エンジンペダル、サイドブレーキ、シフトレバー、ステアリング等をロックし(ステップS101)、認証に成功するまで、運転者が車両3を操作できないようにする。
【0068】
次に、車両自動設定装置1は、通信部11を通じて車両3の車内で、接続可能な携帯端末2を探す(ステップS102)。接続可能な端末の有無の探索は、通信部11で採用される通信規格にしたがって行われる。接続可能な携帯端末2が見つからない場合、車両自動設定装置1は、接続可能な携帯端末2の探索を開始してから第1の所定時間(例えば、3分間)が経過するまで探索を継続する(ステップS103)。そして、第1の所定時間が経過しても接続可能な携帯端末2が見つからない場合、車両自動設定装置1は警報器13より警報を発し、さらに車両制御部123から、車両3の情報系ネットワーク31を通じて制御ユニット32に認証ができない旨の信号を送り、車両3のエンジンを停止させる(ステップS114)。
【0069】
一方、ステップS102において、接続可能な携帯端末2が検出されると、車両自動設定装置1は携帯端末2と接続処理を行う(ステップS104、S105)。ここで、複数の接続可能な携帯端末2が検出された場合、車両自動設定装置1は、有線接続可能な携帯端末2を優先して接続処理を行う(ステップS104)。一方、優先接続可能な携帯端末2がない場合には、車両自動設定装置1は無線接続可能な携帯端末2と接続処理を行う(ステップS105)。また、有線接続可能な携帯端末2がなく、無線接続可能な携帯端末2が複数ある場合、最初に応答した携帯端末2と接続処理を行う。この場合、車両自動設定装置1は、後述するように携帯端末2の電話番号及び/又はメールアドレスを取得すると(ステップS108)、どの携帯端末を携帯端末2として接続したか分かるように、例えば車載のオーディオ装置を利用して携帯端末2の電話番号を音声で知らせるか、ナビゲーションシステムに接続した携帯端末2の電話番号を表示することが好ましい。
【0070】
次に、車両自動設定装置1は、携帯端末2と接続を確立したか否か検証する(ステップS106)。接続が確立されていなければ、接続処理を開始してから第2の所定時間(例えば1分間)が経過したか否かを調べる(ステップS107)。そして、第2の所定時間が経過していなければ、車両自動設定装置1は接続処理の検証を繰り返す。一方、第2の所定時間が経過した場合、車両3のエンジン停止など、上述したステップS114の処理を行って、認証処理を終了する。
【0071】
ステップS106において、車両自動設定装置1は、携帯端末2と接続が確立されたことを確認すると、通信部11を通じて携帯端末2に対して電話番号及び/又はメールアドレスの取得要求を行う(ステップS108)。そして、携帯端末2の電話番号及び/又はメールアドレスを取得できたか否か確認する(ステップS109)。
【0072】
ステップS109において、携帯端末2の電話番号及びメールアドレスを取得に失敗した場合、車両自動設定装置1は、最初に取得要求を行ってから、第3の所定時間(例えば1分間)を経過したか否かを調べる(ステップS110)。そして、第3の所定時間が経過していなければ、車両自動設定装置1は、再度携帯端末2に電話番号及び/又はメールアドレスの取得要求を行う。一方、第3の所定時間が経過した場合、車両3のエンジン停止など、上記のステップS114の処理を行って認証処理を終了する。
【0073】
ステップS109において、携帯端末2の電話番号及びメールアドレスの取得に成功した場合、車両自動設定装置1は、記憶部10に登録されている全ての登録認証情報Irを取得する。そして、照合部122で、携帯端末2の電話番号及び/又はメールアドレスをそれぞれ認証情報Ioとして照合処理を行う(ステップS111)。
【0074】
認証情報Ioが、登録認証情報Irの何れかと一致する場合、車両自動設定装置1は認証に成功したと判断する(ステップS112)。この場合、車両自動設定装置1は、車両制御部123から、車両3の情報系ネットワーク31を通じて制御ユニット32に認証成功を示す制御信号を送信し、エンジンペダル、サイドブレーキ等のロックを解除させる(ステップS113)。その後、車両自動設定装置1は、車両設定及び/又は車載機器設定処理(以下、簡単に車両設定処理という)を行う(ステップS115)。なお、車両設定処理については、後述する。そして車両自動設定装置1は、認証処理を終了する。
【0075】
一方、ステップS112において、何れの認証情報Ioも登録認証情報Irと一致しない場合、車両自動設定装置1は、携帯端末2の通話の発信・着信履歴による認証が有効か否か確認する(ステップS201)。
【0076】
通話の発信・着信履歴による認証が有効な場合、車両自動設定装置1は、携帯端末2から通話の発信・着信履歴を取得する(ステップS202)。なお、通話の発信・着信履歴ごとに認証が有効か否か設定されている場合は、発信履歴及び着信履歴のうちの認証が有効な履歴のみを取得する。そして、情報取得部121により、その発信・着信履歴に含まれている、通話の相手先電話番号を、それぞれ認証情報Ioとして抽出する(ステップS203)。ここで、情報取得部121では、上記の所定期間内の発信履歴・着信履歴に限定して認証情報Ioの抽出を行う。
【0077】
認証情報Ioが抽出されると、照合部122で、認証情報Ioと登録認証情報Irとの照合処理を行う(ステップS204)。ただしこの照合処理では、認証情報Ioと後述する一時的に登録された携帯端末2自身の電話番号に関する登録認証情報Ir’との照合は行わない。認証可能な端末が車両3の所有者の想定範囲を超えて車両3の貸し出し範囲が広がることを防止するため、すなわち、いわゆる又貸しを防止するためである。
【0078】
何れかの認証情報Ioが、登録認証情報Irと一致する場合、車両自動設定装置1は、認証に成功したと判断し、携帯端末2の電話番号又はメールアドレスを、一時的に登録認証情報Ir’として登録し、記憶部10に記憶する(ステップS213)。その一時的に登録された登録認証情報Ir’には、有効期限が設定される。そして、エンジンペダル、サイドブレーキ等のロック解除等、ステップS113及びステップS115の処理を行って、認証処理を終了する。
【0079】
ステップS201において、通話の発信・着信履歴による認証が無効に設定されている場合、若しくはステップS204において、何れかの認証情報Ioも、登録認証情報Irと一致せず、認証に失敗した場合、車両自動設定装置1は、携帯端末2のメールの発信・着信履歴による認証が有効か否か確認する(ステップS205)。
【0080】
メールの発信・着信履歴による認証が有効な場合、車両自動設定装置1は、携帯端末2からメールの発信・着信履歴を取得する(ステップS206)。なお、メールの発信・着信履歴ごとに認証が有効か否か設定されている場合は、発信履歴及び着信履歴のうちの認証が有効な履歴のみを取得する。そして、情報取得部121により、その発信・着信履歴に含まれている、メールの送信元若しくは送信先のメールアドレスを、それぞれ認証情報Ioとして抽出する(ステップS207)。ここで、情報取得部121では、上記の所定期間内の発信履歴・着信履歴に限定して認証情報Ioの抽出を行う。
【0081】
認証情報Ioが抽出されると、照合部122で、認証情報Ioと登録認証情報Irとの照合処理を行う(ステップS208)。ただしこの照合処理では、認証情報Ioと一時的に登録された携帯端末2自身のメールアドレスに関する登録認証情報Ir’との照合は行わない。そして、何れかの認証情報Ioが、登録認証情報Irと一致する場合、車両自動設定装置1は、認証に成功したと判断し、携帯端末2の電話番号又はメールアドレスを、一時的に登録認証情報Ir’として登録し、記憶部10に記憶する(ステップS213)。その一時的に登録された登録認証情報Ir’には、有効期限が設定される。そして、エンジンペダル、サイドブレーキ等のロック解除等、ステップS113及びステップS115の処理を行って、認証処理を終了する。
【0082】
ステップS205において、メールの発信・着信履歴による認証が無効に設定されている場合、若しくはステップS208において、何れの認証情報Ioも、登録認証情報Irと一致せず、認証に失敗した場合、車両自動設定装置1は、携帯端末2から他の通信端末へ、通話又はメールが発信されたか否か、及び携帯端末2が他の通信端末から受信した通話又はメールが有るか確認する(ステップS209)。そして、これらの発信・着信がない場合、車両自動設定装置1は、認証処理が開始されてからの第4の所定時間(例えば、10分間)が経過したか否か確認する(ステップS210)。そして、第4の所定時間が経過していない場合は、通話又はメールの発信又は着信があるまで、ステップS209の処理を繰り返す。一方、第4の所定期間が経過した場合には、車両自動設定装置1は、認証に失敗したと判断して、車両3のエンジン停止など、ステップS114の処理を行い、認証処理を終了する。
【0083】
また、ステップS209において、通話又はメールの発信又は着信が確認された場合、車両自動設定装置1は、その通話又はメールにおける、相手先の電話番号又はメールアドレスを携帯端末2から取得する(ステップS211)。そして、その取得した電話番号又はメールアドレスを認証情報Ioとして、登録認証情報Irとの照合処理を行う(ステップS212)。ただしこの照合処理では、認証情報Ioと一時的に登録された携帯端末2自身の電話番号又はメールアドレスに関する登録認証情報Ir’との照合は行わない。認証情報Ioが登録認証情報Irと一致した場合、車両自動設定装置1は、認証に成功したと判断し、携帯端末2の電話番号又はメールアドレスを、一時的に登録認証情報Ir’として登録し、記憶部10に記憶する(ステップS213)。その一時的に登録された登録認証情報Ir’には、有効期限が設定される。そして、エンジンペダル、サイドブレーキ等のロック解除等、ステップS113及びステップS115の処理を行って、認証処理を終了する。
【0084】
一方、ステップS212において、認証情報Ioと登録認証情報Irが一致しない場合、車両自動設定装置1は、ステップS210へ制御を移行して、第4の所定時間が経過したか否か確認する。そして、上述したように、第4の所定時間が経過していない場合はステップS209からステップS212の処理を繰り返し、第4の所定時間が経過した場合は、ステップS114へ制御を移行して、認証に失敗した場合の処理を行って認証処理を終了する。
【0085】
以上、説明してきたように、本発明の一例に係る車両自動設定装置1は、携帯端末2自身の電話番号又はメールアドレスが登録認証情報として登録されていなくても、携帯端末2が登録認証情報を有する他の携帯端末4と通話又はメールの送受信を行うことにより、認証を行うことができる。また、一旦認証に成功すると、携帯端末2自身の電話番号等も登録認証情報として車両自動設定装置1に記憶されるので、再度携帯端末2を用いて認証する場合には、携帯端末2自身の電話番号等を認証情報として用いるため、認証時の作業を簡便化することができる。
【0086】
次に、本発明の一例に係る車両自動設定装置1の車両設定処理についての動作フローを説明する。まず、車両自動設定装置1の車両設定処理の動作フローの概略を説明する。
【0087】
まず、車両自動設定装置1は、通信部11を通じて携帯端末2より識別情報Idを取得する。そして、車両自動設定装置1の車両設定部123は、記憶部10内に、識別情報Idが登録されているか否か検索する。識別情報Idが記憶部10内に登録されていれば、車両設定部123は、識別情報Idに関連付けられた個別の車両設定情報Icを記憶部10から取得する。一方、識別情報Idが記憶部10内に登録されていなければ、車両自動設定装置1は、通信部11を通じて携帯端末2から個別の車両設定情報Icの取得を試みる。車両自動設定装置1は、記憶部10又は携帯端末2から個別の車両設定情報Icを取得できれば、車両設定情報Icを車両3の各制御部32及び/又は車載機器33に送信する。
【0088】
しかし、車両自動設定装置1は、記憶部10からも、携帯端末2からも車両設定情報Icを取得できない場合、車両自動設定装置1の車両設定部123は、記憶部10から標準の車両設定情報Icを取得し、車両3の各制御部32及び/又は車載機器33に送信する。そして、車両3の各制御部32及び/又は車載機器33は、上記の車両設定情報Icか、Icを受信すると、それら設定情報に基づいて、車両3の各部の設定及び/又は車載機器33の設定を実行する。
【0089】
図5に、車両自動設定装置1の車両設定処理の動作フローチャートを示す。以下、図5にしたがって、車両自動設定装置1の車両設定処理の動作を詳細に説明する。なお、このフローチャートで示される動作の制御も、図2に示す車両自動設定装置1に含まれる制御部(図示せず)により行われる。
【0090】
まず、車両自動設定装置1は、通信部11を通じて携帯端末2より識別情報Idを取得する(ステップS301)。上記のように、識別情報Idは、例えば携帯端末2の電話番号である。あるいは、識別情報Idは、例えば携帯端末2のメールアドレス、又は運転者が任意に設定した何桁かの数値又はアルファベットの文字列であってもよい。
【0091】
次に、車両自動設定装置1が識別情報Idを取得すると、車両自動設定装置1の車両設定部123は、記憶部10内に、識別情報Idと対応する登録識別情報、例えば識別情報Idと一致する登録識別情報が登録されているか否か検索する(ステップS302)。識別情報Idと対応する登録識別情報が記憶部10内に登録されていれば、車両設定部123は、その登録識別情報に関連付けられた個別の車両設定情報Icを記憶部10から取得する。そして、車両設定部123は、車両3の各制御部32及び/又は車載機器33に車両設定情報Icを送信する(ステップS303)。
【0092】
一方、ステップS302において、識別情報Idと対応する登録識別情報が記憶部10内に登録されていなければ、車両自動設定装置1は、通信部11を通じて携帯端末2へ車両設定情報Icの取得要求を行う(ステップS304)。携帯端末2は、上記の設定情報取得要求を受信すると、車両設定情報Icを有しているか否か判定する(ステップS305)。携帯端末2が、個別の車両設定情報Icを有している場合、車両自動設定装置1の車両設定部123は、通信部11を通じて携帯電話2から車両設定情報Icを取得する。そして、車両設定部123は、車両3の各制御部32及び/又は車載機器33に車両設定情報Icを送信する(ステップS306)。一方、ステップS306において、携帯端末2が、個別の車両設定情報Icを有していない場合、車両設定部123は、記憶部10から標準の車両設定情報Ic0を取得し、車両3の各制御部32及び/又は車載機器33に送信する(ステップS307)。
【0093】
そして、車両3の各制御部32及び/又は車載機器33は、上記の個別の車両設定情報Ic又は標準の車両設定情報Icを受信すると、それら設定情報に基づいて、車両3の各部の設定及び/又は車載機器33の設定等を実行する(ステップS308)。具体的には、例えば車両3の各制御ユニット32は、シートの位置やドアミラーの角度を変更する。同様に、各車載機器33は、例えば、エアコンディショナーを所定の設定温度に調節する。
【0094】
以上説明してきたように、本発明の一例に係る車両自動設定装置1は、認証情報と識別情報を別途有していることにより、上記のように別の携帯端末の認証情報を用いて認証を行っても、その別の携帯端末の所有者用に設定されている車両設定情報を使用しない。そのため、車両自動設定装置1は、一時的な車両の運転者によって、その別の携帯端末の所有者用に調節された車両設定情報が変更されることを防止できる。さらに、本発明に係る車両自動設定装置は、車両設定情報が設定されていない運転者に対しては、予め設定された標準の車両設定情報を使用することにより、使用可能な車両の機能及び/又は車載機器の機能を限定することができる。
【0095】
また、本発明の一例に係る車両自動設定装置1は、車両3のエンジンが停止された時点において、その時の車両3の各種設定情報及び車載機器33の各種設定情報を、車両3の情報系ネットワーク31を通じて収集し、それら収集した設定情報に基づいて、車両設定情報Icのうち、変更のある値を書き換えて更新してもよい。また、車両自動設定装置1は、識別情報Idと一致する登録識別情報が記憶部10に登録されていなかった場合、識別情報Idを記憶部10に登録し、且つそれら収集した設定情報を車両設定情報Icとして、識別情報Idと関連付けて記憶部10に新たに登録してもよい。さらに、車両自動設定装置1は、通信部11を通じて上記の収集した設定情報を携帯端末2に送信し、携帯端末2の不揮発性メモリ内に記憶させてもよい。なお、車両自動設定装置1は、情報系ネットワーク31を通じて制御ユニット32の一つからエンジン停止の情報を取得することにより、車両3のエンジンの停止を知ることができる。また、車両自動設定装置1は、別途車両3に取り付けられた振動センサ(図示せず)を備え、その振動センサによって取得された振動片振幅又は加速度の測定値が所定の閾値以下となった場合、エンジンが停止したと判断することもできる。
【0096】
なお、本発明に係る車両自動設定装置は、上記の実施形態に限られるものではない。例えば、上記の車両設定情報の取得処理において、最初に記憶部10から車両設定情報Icを取得する代わりに、まず携帯端末2から車両設定情報Icを取得するようにしてもよい。また、上記の認証処理における上記の第1から第4の各所定時間は、別の値を設定してもよい。
【0097】
またセキュリティの向上のために、記憶部10には、強制的に認証を失敗させる不許可情報を別途記憶させてもよい。この不許可情報も、携帯端末の電話番号又はメールアドレスである。不許可情報が記憶されている場合、認証設定部12は、認証情報Ioと登録認証情報Irの照合を行う前に、認証情報Ioと不許可情報との照合を行う。そして、認証情報Ioと不許可情報とが一致すると判断された場合、認証に失敗したと判断する。
【0098】
さらに、記憶部10は、登録認証情報Irを不可逆的に暗号化して記憶してもよい。この場合、認証設定部12では、携帯端末2から取得した認証情報Ioも、同じ手順及び同じ暗号鍵を用いて暗号化した上で、照合を行うことが必要である。同様に、セキュリティの向上のために、無線通信部112は、携帯端末2とデータの送受信を行う際、暗号化した上でデータを送受信するようにしてもよい。例えば、暗号化の方式として公開鍵暗号方式を使用する。この場合、まず無線通信部112が携帯端末2と接続を確立した直後に、車両自動設定装置1から携帯端末2に公開鍵を通知する。そして、携帯端末2から車両自動設定装置1にデータを送信する場合には、携帯端末2ではその公開鍵を用いてデータを暗号化して送信する。その後、車両自動設定装置1は、情報取得部121において、上記の公開鍵と対になる秘密鍵を用いて受信した暗号化データを復号する。このような構成とすれば、携帯端末2が特定のものでなくても、データを暗号化して車両自動設定装置1へ送信することができる。
【0099】
さらに、上記の実施形態では、車両3のエンジン始動後にエンジンペダル等にロックが掛かるようにしたが、エンジンの始動動作時において(例えば、エンジンキーを鍵穴に差し込んで回す動作を行った時点で)、車両自動設定装置1は、認証に成功するまでエンジンを始動させないようにエンジン制御ユニットを制御してもよい。
【0100】
また、上記の実施形態では、車両自動設定装置1に認証情報が事前に登録されている端末4も携帯端末としたが、携帯端末4の代わりに固定電話を通信端末として用いてもよい。この場合、固定電話そのものは、携帯端末2の代わりとして用いることはできなくてもよく、携帯端末2と通信して認証情報を提供できればよい。
【0101】
さらに、上記の実施形態では、本発明に係る車両自動設定装置を乗用車用の車両自動設定装置としたが、本発明に係る車両自動設定装置は、船舶、飛行機等に搭載してもよい。
【0102】
以上のように、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明を適用した車両自動設定装置を用いた車両自動設定システムの概略構成図である。
【図2】本発明を適用した車両自動設定装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明を適用した車両自動設定装置の認証処理の動作フローチャートである。
【図4】本発明を適用した車両自動設定装置の認証処理の動作フローチャートである。
【図5】本発明を適用した車両自動設定装置の車両設定処理の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
1 車両自動設定装置
2 携帯端末
3 車両
4 登録携帯端末
5 車両自動設定システム
10 記憶部
11 通信部
111 有線通信部
112 無線通信部
12 認証設定部
121 情報取得部
122 照合部
123 車両設定部
13 警報器
31 情報系ネットワーク
32 制御ユニット
33 車載機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両及び/又は車載機器を所定の条件に設定する車両設定情報を取得し、該車両設定情報に基づいて該車両及び/又は車載機器の設定を行う車両自動設定装置であって、
登録認証情報と、登録識別情報と、該登録識別情報に関連付けられた前記車両設定情報が記憶された記憶部と、
携帯端末と通信して、所定の情報を取得する通信部と、
前記所定の情報から、認証情報及び前記携帯端末の識別情報を取得する情報取得部と、
前記登録認証情報と前記認証情報との照合に基づき、認証の成否を判断する照合部と、
前記照合部が認証に成功したと判断した場合、前記識別情報に対応する前記登録識別情報と関連付けられた前記車両設定情報を前記記憶部から取得し、該車両設定情報を前記車両の制御ユニット及び/又は前記車載機器に送信する車両設定部と、
を有することを特徴とする車両自動設定装置。
【請求項2】
前記記憶部は、さらに標準車両設定情報を記憶し、
前記識別情報に対応する前記登録識別情報を記憶していない場合、前記車両設定部は、前記標準車両設定情報を前記記憶部から取得し、前記車両設定情報を前記車両の制御ユニット及び/又は前記車載機器に送信する、請求項1に記載の車両自動設定装置。
【請求項3】
前記記憶部が、前記識別情報に対応する前記登録識別情報を記憶していない場合、前記車両設定部は、前記車両設定情報を前記携帯端末から取得する、請求項1に記載の車両自動設定装置。
【請求項4】
前記記憶部は、さらに標準車両設定情報を記憶し、
前記記憶部が前記識別情報に対応する前記登録識別情報を記憶しておらず、且つ前記携帯端末が前記車両設定情報を記憶していない場合、前記車両設定部は、前記標準車両設定情報を前記記憶部から取得し、前記車両設定情報を前記車両の制御ユニット及び/又は前記車載機器に送信する、請求項3に記載の車両自動設定装置。
【請求項5】
車両及び/又は車載機器を所定の条件に設定する車両設定情報を取得し、該車両設定情報に基づいて該車両及び/又は車載機器の設定を行う車両自動設定装置であって、
登録認証情報が記憶された記憶部と、
携帯端末と通信して、所定の情報を取得する通信部と、
前記所定の情報から、前記携帯端末の認証情報を取得する情報取得部と、
前記登録認証情報と前記認証情報との照合に基づき、認証の成否を判断する照合部と、
前記照合部が認証に成功したと判断した場合、前記携帯端末から前記車両設定情報を取得し、該車両設定情報を前記車両の制御ユニット及び/又は前記車載機器に送信する車両設定部と、
を有することを特徴とする車両自動設定装置。
【請求項6】
前記所定の情報は、携帯端末が他の通信端末と通信した通信情報を含み、前記情報取得部は、該通信情報から認証情報を抽出する、請求項1〜5の何れか一項に記載の車両自動設定装置。
【請求項7】
前記通信情報は前記携帯端末の通信の発信履歴又は着信履歴であり、前記認証情報は該発信履歴又は該着信履歴に記録された前記他の通信端末の通信端末識別情報である、請求項6に記載の車両自動設定装置。
【請求項8】
前記情報取得部は、前記認証装置が前記携帯端末と接続中において、前記他の通信端末と前記携帯端末が通信を行った場合に、該通信のデータに含まれる前記他の通信端末の通信端末識別情報を前記認証情報として取得する、請求項1〜5の何れか一項に記載の車両自動設定装置。
【請求項9】
前記照合部が認証に成功した場合、前記記憶部は前記携帯端末の電話番号又はメールアドレスを一時的登録認証情報及び一時的識別情報として記憶し、且つ該一時的識別情報と関連付けて前記車両のエンジン停止時の前記車両設定情報を記憶する、請求項1〜5の何れか一項に記載の車両自動設定装置。
【請求項10】
前記照合部が認証に成功した場合、前記記憶部は前記携帯端末の電話番号又はメールアドレスを一時的登録認証情報として記憶し、
且つ前記通信部は、前記車両のエンジン停止時の前記車両設定情報を前記携帯端末に記憶させる、請求項1〜5の何れか一項に記載の車両自動設定装置。
【請求項11】
車両及び/又は車載機器を所定の条件に設定する車両設定情報を取得し、該車両設定情報に基づいて該車両及び/又は車載機器の設定を行う車両自動設定方法であって、
携帯端末と通信して、所定の情報を取得するステップと、
前記所定の情報から、認証情報及び前記携帯端末の識別情報を取得するステップと、
記憶部に記憶された登録認証情報と前記認証情報との照合に基づき、認証の成否を判断するステップと、
認証に成功したと判断した場合、前記記憶部から前記識別情報に関連付けられた前記車両設定情報を取得するステップと、
前記車両設定情報を前記車両の制御ユニット及び/又は前記車載機器に送信するステップと、
を有することを特徴とする車両自動設定方法。
【請求項12】
車両及び/又は車載機器を所定の条件に設定する車両設定情報を取得し、該車両設定情報に基づいて該車両及び/又は車載機器の設定を行う車両自動設定方法であって、
携帯端末と通信して、所定の情報を取得するステップと、
前記所定の情報から、認証情報を取得するステップと、
記憶部に記憶された登録認証情報と前記認証情報との照合に基づき、認証の成否を判断するステップと、
認証に成功したと判断した場合、前記携帯端末から前記車両設定情報を取得するステップと、
前記車両設定情報を前記車両の制御ユニット及び/又は前記車載機器に送信するステップと、
を有することを特徴とする車両自動設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−210457(P2007−210457A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32601(P2006−32601)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】