説明

車両運転者の運転能力判定方法及びシステム

【課題】本発明の課題は、運転者の視覚範囲、視覚能力を認識できるシステムを用い、運転者の運転能力を的確に判断し、その運転者に合った運転支援モードを決定する車両運転者の運転能力判定方法及びシステムを提供することにある。
【解決手段】視覚範囲Unが左側に偏っている場合、例えば、自転車の判定用画像10dは見えているが、右からの歩行者の判定用画像10eは見えていない場合がある。このような場合、右側からの対象物に対して特に注意を促すように運転支援モードが決定されるようにすればよい。こうすることで、運転者は自分の現在の状態に合った適切な支援を受けることが可能となり、ひいては安全運転へと繋がり、交通事故の防止効果が高まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転者の運転能力判定方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
交通事故に合う原因の大半は、車両運転者の注意漏れである。特に高齢者などは視覚範囲が狭くなっており、また多くの情報を処理することが難しいので、運転処理能力が落ちる傾向にあった。
【0003】
そこで、運転前に運転適正をチェックするもの、心身状態について適正か判定する先行技術(例えば特許文献1〜4参照)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭53−8937号公報
【特許文献2】特開昭53−27291号公報
【特許文献3】特開昭53−102540号公報
【特許文献4】特開昭53−107191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、心身状態以外に運転において重要な要素となる運転者の視覚範囲、視覚処理能力について判定するものは無かった。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑み、自動車の発進に先だって運転者の視覚範囲、視覚処理能力を認識できるシステムを用い、運転者の運転能力を的確に判断し、その運転者に合った運転支援モードを決定する車両運転者の運転能力判定方法及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の車両運転者の運転能力判定システムは、
車両のフロントガラスに映像を投影させることにより、フロントガラスに安全確認のための判定用画像を表示させる表示手段と、
判定用画像を確認する車両運転者の視線の動きを捉える視線検出手段と、
フロントガラスに判定用画像を表示させておく時間と、判定用画像を表示させる位置と、を決定する表示制御手段と、
表示制御手段が決定した判定用画像の表示時間と表示位置とにより、フロントガラスに表示された判定用画像を車両運転者が認識したかどうかを視線検出手段によって確認する画像位置確認手段と、
画像位置確認手段が確認した結果に基づいて、車両運転者を支援するべき運転支援モードを決定する運転支援モード決定手段と、
運転支援モード決定手段が決定した運転支援モードに関する情報を車両運転者に伝達する伝達手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
これによれば、フロントガラスに画像を表示することのできる既存の表示手段としてのヘッドアップディスプレイシステムと、視線検出手段としての車内カメラ(以下、単にカメラともいう)と、を使用することができるので、余計な設備を追加する必要がほとんど無く、安価に運転能力判定のためのシステムを提供することができる。
【0009】
また、本システムでは車両運転者(以下、単に運転者ともいう)が、フロントガラスに映しだされた安全確認のための判定用画像を見るだけで、運転者の視線の動きをカメラにより簡単に検出することができる。そして、カメラによって捉えられた運転者の視線の範囲(視覚範囲)と表示制御手段が設定した時間とにより、運転者に的確な運転支援モードが決定されるので、運転者は特に改まった作業をせずとも判定用画像を見ているだけで、その時の心身状態も含めた自分に一番適した運転支援モードに関する情報を得ることができる。
【0010】
このように、ただ単に大量の情報を運転者に与えるだけではなく、本当に運転者にとって必要な情報のみが提供されるので、運転者は自分の現在の状態に合った的確な支援を受けることが可能となり、ひいては安全運転へと繋がり、交通事故の防止効果が高まる。
【0011】
また、本発明の車両運転者の運転能力判定システムは、
車両のフロントガラスに映像を投影させることにより、フロントガラスに安全確認のための判定用画像を表示させる表示手段と、
判定用画像を確認する車両運転者の視線の動きから、車両運転者が認識した判定用画像の数を検出する画像数検出手段と、
フロントガラスに判定用画像を表示させておく時間と、判定用画像を表示させる数と、を決定する表示制御手段と、
表示制御手段が決定した判定用画像の表示時間と表示数とにより、フロントガラスに表示された判定用画像を車両運転者が認識したかどうかを画像数検出手段によって確認する画像数確認手段と、
画像数確認手段が確認した結果に基づいて、車両運転者を支援するべき運転支援モードを決定する運転支援モード決定手段と、
運転支援モード決定手段が決定した運転支援モードに関する情報を車両運転者に伝達する伝達手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
これによれば、フロントガラスに画像を表示することのできる既存の表示手段としてのヘッドアップディスプレイシステムと、画像数検出手段としての車内カメラ(以下、単にカメラともいう)と、を使用することができるので、余計な設備を追加する必要がほとんど無く、安価に運転能力判定のためのシステムを提供することができる。
【0013】
また、本システムでは車両運転者(以下、単に運転者ともいう)が、フロントガラスに映しだされた安全確認のための判定用画像を見るだけで、運転者が認識した判定用画像の数をカメラにより簡単に検出することできる。そして、カメラによって捉えられた運転者が認識した判定用画像の数と表示制御手段が設定した時間とにより、運転者に的確な運転支援モードが決定されるので、運転者は特に改まった作業をせずともその時の心身状態も含めた自分に一番適した運転支援モードに関する情報を得ることができる。
【0014】
このように、ただ単に大量の情報を運転者に与えるだけではなく、本当に運転者にとって必要な情報のみが提供されるので、運転者は自分の現在の状態に合った的確な支援を受けることが可能となり、ひいては安全運転へと繋がり、交通事故の防止効果が高まる。
【0015】
また、表示手段は、車両のフロントガラスとともに、車両のサイドミラー、車両のバックミラー、車両のバックガイドモニタの内少なくとも1つ以上の箇所に設けられている構成としてもよい。
【0016】
これによれば、フロントガラス以外にも判定用画像が表示されることとなり、運転者のより正確な視覚能力について判定することができる。運転者によれば、前方は十分注意できているにも関わらず、車両の横や、後から出てくるバイク等には注意が散漫になっている場合が考えられる。しかし、そのような場合でもフロントガラスとの組合せにより、自分の視覚処理能力の弱い部分がサポートされ、安全運転向上に繋がる。
【0017】
また、本発明の車両運転者の運転能力判定方法は、表示手段により判定用画像をフロントガラスに突発的に表示させ、車両運転者が判定用画像を認識した位置から車両運転者の視覚範囲を求め、その視覚範囲と表示制御手段により設定された時間とにより、車両運転者を支援するべき運転支援モードを決定し、決定された運転支援モードに関する情報を伝達するようにしてもよい。
【0018】
これによれば、判定用画像をフロントガラス等に突発的に表示させることで、運転者が瞬時に判定できる視覚範囲を知ることができる。そして、その視覚範囲と表示制御手段により設定された時間とにより運転者を支援するべき運転支援モードが決定されるので、運転者は自身の心身状態も含めた運転能力を的確に知ることができ、その運転能力に合った運転支援モードの提供を受けることができる。
【0019】
また、本発明の車両運転者の運転能力判定方法は、表示手段により判定用画像をフロントガラスに複数表示させ、車両運転者が判定用画像を認識した数から車両運転者の視覚処理能力を求め、その視覚範囲と表示制御手段により設定された時間とにより、車両運転者を支援するべき運転支援モードを決定し、決定された運転支援モードに関する情報を伝達するようにしてもよい。
【0020】
これによれば、判定用画像をフロントガラス等に複数表示させることで、運転者が認識した判定用画像の数から運転者の視覚処理能力を知ることができる。そして、その判定用画像の数と表示制御手段により設定された時間とにより運転者を支援するべき運転支援モードが決定されるので、運転者は自身の心身状態も含めた運転能力を的確に知ることができ、その運転能力に合った運転支援モードの提供を受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る車両運転者の運転能力判定システムを示すブロック図。
【図2】第1実施例における車両運転者の運転能力判定システムを示す説明図。
【図3】図2の処理を示すフローチャート。
【図4】視覚範囲を示す説明図。
【図5】第2実施例における車両運転者の運転能力判定システムを示す説明図。
【図6】図5の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る車両運転者の運転能力判定システムを示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る運転能力判定システム1は、車両に搭載されるシステムであり、車両運転者の運転能力の判定を行うことを目的としたシステムである。運転能力判定システム1は、電子制御装置であるECU(Electronic Control Unit)2を備えている。ECU2は、装置全体の制御を行うものであり、例えばCPU、ROM、RAM、入・出力信号回路、電源回路などにより構成されている。
【0023】
ECU2には、表示手段として機能する画像表示部3、視線検出手段・画像数検出手段として機能するカメラ(車内カメラ)4、伝達手段として機能する伝達部5が接続されている。また、ECU2の内部には図示しない表示制御手段として判定用画像を表示する時間・位置・数を決定する表示制御プログラムと視線検出手段・画像数検出手段として機能するカメラ4からの信号により運転者が認識した画像の位置・画像の数を確認する画像位置確認手段・画像数確認手段としての画像位置確認プログラム・画像数確認プログラム、及びそれらプログラムにより運転者の運転支援モードを決定する運転支援モード決定手段としての運転支援モード決定プログラムとが含まれている。
【0024】
具体的には、画像表示部3は、図2の車両運転者の運転能力判定システムを示す説明図に示すように、車両のフロントガラス3aから構成される(図2(a)参照)。さらに、車両のバックミラー3b(図2(b)参照)、車両のサイドミラー3cを含む構成とすることが可能である。これら、フロントガラス3a、バックミラー3b、サイドミラー3cには、安全確認のための判定用画像である10a〜10eを映し出すことができる表示手段として機能する。
【0025】
例えば、フロントガラス3aにボール10aや少女10bを映し出すことは、液晶ディスプレイの表示面から出射された光を、車両のフロントガラス3aのウインドシールド面に反射させ、その反射像をユーザーに視認させる既存のヘッドアップディスプレイシステムを使用することができる。同様に、バックミラー3b、サイドミラー3cにも既存のシステムを使用し、判定用画像を映し出すことができる。
【0026】
カメラ4は、運転者の視線の動きを捉えることができる視線検出手段として、車内の例えばダッシュボードの上などの位置に配置されている。また、カメラ4は、運転者の視線の動きから運転者が認識した判定用画像の数を検出する画像数検出手段としても機能する。
【0027】
具体的な処理について図3のフローチャートにより説明する。S1において判定用画像をフロントガラス3aに映し出す時間Tnと、フロントガラス3aの外縁から内側に向けてどのくらいの距離Anを取るかを決定する。そして、S2において、フロントガラス3aの左右から例えば判定用画像としてのボール10aを一定時間だけ突発的に表示させる。
【0028】
S3では運転者が判定用画像を確認したかどうか判断される。判定用画像が表示されている間に運転者が判定用画像の存在を確認できなかった場合、S4の処理へ移り、判定用画像が表示される時間を長くするとともに、ボール10aが表示される範囲をフロントガラス3aの中央付近とするためにフロントガラス3aの中央からボール10aまでの距離を短くする。そして、運転者が反応できるまでその処理が繰り返される。運転者が判定用画像を確認できた場合にS5へ移り、その運転者の特徴がセットされ、その時の時間と距離とがECU2内のメモリに記憶される。
【0029】
次にS6において、バックミラー3b、サイドミラー3cに映し出される判定用画像が表示される時間Tnとその画像の大きさLnとが決定される。S7では、例えば左右からボール10aを突発的に表示する。
【0030】
S8では運転者が判定用画像を確認したかどうか判断される。判定用画像が表示されている間に運転者が判定用画像の存在を確認できなかった場合、S9の処理へ移り、判定用画像が表示される時間を長くするとともに、ボール10aが表示される大きさを大きくする。そして、運転者が反応できるまでその処理が繰り返される。運転者が判定用画像を確認できた場合S10へ移り、その運転者の特徴がセットされ、その時の時間と画像の大きさとがECU2内のメモリに記憶される。
【0031】
S11ではS5、S10で判定された運転者の特徴から最終的な視覚範囲Unが求められる。そして、S12においてそれらの情報から運転者を支援するための運転支援モードが決定される。
【0032】
視覚範囲Unについての具体的な例を図4に示す。図4(a)に示すようにフロントガラス3aにおいて、点線で囲まれた部分が運転者の有効な視覚範囲である。図4(a)のような視覚範囲Unの場合、ほぼ全体が見えているので、運転支援モードもそれに合わせ、無用な情報を提供しないようにすることができる。そうすることで、情報が多すぎることにより、情報を処理し切れなくなるという問題を防ぐことができる。
【0033】
図4(b)に示すように、視覚範囲Unが左側に偏っている場合、例えば、自転車の判定用画像10dは見えているが、右からの歩行者の判定用画像10eは見えていない場合がある。このような場合、右側からの対象物に対して特に注意を促すように運転支援モードが決定されるようにすればよい。
【0034】
このように、本発明によると既存のヘッドアップディスプレイシステムや車内カメラを使用することができるので、余計な設備を追加する必要がほとんど無く、安価に運転能力判定のためのシステムを提供することができる。
【0035】
また、運転者はフロントガラス3aに映しだされた判定用画像を見ているだけで自身の視覚範囲が分かるので、容易に現在の心身状態も含めた運転能力を知ることができる。さらに、視覚範囲と時間とにより求められた運転能力から運転者をサポートするべき運転支援モードが的確に決定され、その運転支援モードに関する情報を得ることができる。
【0036】
さらに、このように運転者の視覚範囲に合った必要な情報だけが運転者に提供されるので、車両から提供される情報量が多すぎて、情報の取捨選択が難しくなるという事態に陥ることはない。よって、運転者は自分の現在の状態に合った適切な運転のための支援を受けることが可能となり、ひいては安全運転へと繋がり、交通事故の防止効果が高まる。
【0037】
ここで、図3のフローチャートに示す実施例では、車両運転者の運転能力判定方法は、反応できない場合に時間を長く、距離を短くし、段々と易しくなる場合の事例を示しているが、これとは逆に、最初の段階で易しくし、反応できた場合に、時間を短くし、距離を長くするようにしてもよい。
【0038】
また、判定用画像は、フロントガラス3aに表示した後、バックミラー3b、サイドミラー3cに表示する場合を示したが、その順番は変更することができ、ランダムに表示されるようにしてもよい。また、バックミラー3b、サイドミラー3cに表示される判定用画像は、反応できなかった場合に徐々に大きくなるようにしたが、反応できた場合に徐々に小さくして、その表示時間を短くしていくようにしてもよい。また、フロントガラス3aに表示される判定用画像と同様に、突発的に表示させ、徐々に中央位置(見え易い位置)に近づけるようにすることもできる。また、徐々に見えにくい位置にすることももちろん可能である。
【実施例2】
【0039】
以下に本発明の別の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図5(a)に示すように、フロントガラス3aには安全確認のための判定用画像である車10cや信号機10fが表示される。さらに、車両のバックミラー3b(図5(b)参照)、車両のサイドミラー3cにも同様に安全確認のための判定用画像である10c〜10eが表示される。
【0040】
具体的な処理について図6のフローチャートにより説明する。S21において判定用画像10c〜10eをフロントガラス3a、バックミラー3b、サイドミラー3cに映し出す時間Tnと、映し出す数Xnを決定する。そして、S21の決定に基づいてS22の処理において、判定用画像10c〜10eが表示される。
【0041】
S23では運転者の視線が判定用画像を認識できた数が一定数以上かどうかが判断される。視線が認識できた数が一定数に達していなかった場合、S24の処理へ移行し、判定用画像が表示される時間を長くするとともに、判定用画像が表示される数を少なくする処理が行われる。そして、運転者が認識できた数が一定数に達するまでその処理が繰り返される。運転者が判定用画像を一定数認識できた場合にはS25へ移り、その運転者の特徴がセットされ、その時の時間と数とがECU2内のメモリに記憶される。
【0042】
S26ではS25で判定された運転者の特徴から運転者を支援するための運転支援モードが決定される。
【0043】
このように、本システムでは運転者が、フロントガラス3aやバックミラー3b、サイドミラー3cに映しだされた安全確認のための判定用画像を見るだけで、運転者が認識した判定用画像の数をカメラにより簡単に検出することできる。そして、カメラによって捉えられた運転者が認識した判定用画像の数と表示制御手段が設定した時間とにより、運転者に的確な運転支援モードが決定されるので、運転者は特に改まった作業をせずともその時の心身状態も含めた自分に一番適した運転支援モードに関する情報を得ることができる。
【0044】
よって、ただ単に大量の情報を運転者に与えるだけではなく、運転者の視覚処理能力に合った必要な情報のみが提供されるので、運転者は自分の現在の状態に合った的確な支援を受けることが可能となり、ひいては安全運転へと繋がり、交通事故の防止効果が高まる。
【0045】
ここで、図5(a)のように、車10cと信号機10fとを同時に表示すると、運転者は車を集中して見ているため、信号fが青から赤に変わっているにもかかわらず、信号を注意して見ていないため見逃してしまうような場合がある。このような判定がされた場合は、特に信号機に注意するような警告を運転者に伝達することで危険が回避できるようになる。
【0046】
また、図6のフローチャートに示す実施例では、車両運転者の運転能力判定方法は、反応できない場合に時間を長く、判定用画像の数を少なくする場合についての事例を示したが、これとは逆に、最初の段階で易しくし、反応できた場合に、時間を短くし、数を多くするようにしてもよい。
【0047】
また、判定用画像は、フロントガラス3a、バックミラー3b、サイドミラー3cに表示する場合にその内のどれかに表示させてもよく、全部に表示させてもよく、ランダムに表示するようにすることも可能である。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0049】
また、判定用画像は、画像表示部3上で移動しないようにしてもよく、動くようにしてもい。徐々に遠くから近づくにつれ大きくなったり、小さくなったりするような変形を加えてもよい。
【0050】
また、判定用画像は、車両のフロントガラス3a、バックミラー3b、サイドミラー3c以外に、車両のバックガイドモニタにも表示が可能である。バックガイドモニタに表示する場合、車両のバック時の画面が的確に確認できているかの判断をすることが可能である。このように、表示手段3はこれらの内少なくとも1つ以上の箇所を組み合わせて使用することで、現在の視覚範囲、視覚処理能力が的確に判断できる。よって、その結果により運転者に合ったより良い運転支援モードを決定することができる。
【0051】
また、伝達部5は音声で伝えたり、フロントガラス3a上に注意を促す表示をしたり、既存のナビ画面に表示をさせたり様々な態様が可能である。
【0052】
また、判定用画像が表示される時間は、表示制御手段により決定されていたが、判定用画像を表示してからカメラ4が運転者の視線の動きを捉えるまでの時間を計測する計測手段を設け、その計測手段と判定用画像の位置又は数とにより運転支援モードを決定するようにしてもよい。
【0053】
また、運転支援モードの決定に際して、判定用画像の表示位置、表示数、表示時間から総合的に運転支援モードを決定するようにしてもよい。
【0054】
また、上記に示す実施例では、視覚範囲、視覚処理能力の判定はカメラ4が運転者の視線を捉えることで行っていたが、例えば、判定用画像が表示された際に、ハンドル等に設置されたボタンを押すことで、確認が取れるようにしてもよい。
【0055】
また、運転能力を判定する際に、画像の認識だけではなく、視覚で気付いたことを実際の動きに伝えるためにブレーキペダル、ハンドル角の入力というような操作にどのくらいの速度がかかるのかを判断するようにしてもよい。このように視覚と操作を組合せることで、より実際の状況に近い場合の判定が可能となる。それらの情報から、ハンドルのパワステやブレーキに遊びを設けた方が良い等の判断がされ、運転者に適した処理が行われるようにすることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 車両運転者の運転能力判定システム(運転能力判定システム)
2 ECU(電子制御装置、表示制御手段、画像位置確認手段、画像数確認手段、運転支援モード決定手段)
3 画像表示部(表示手段)
3a フロントガラス
3b バックミラー
3c サイドミラー
4 カメラ(視線検出手段、画像数検出手段)
5 伝達部(伝達手段)
Un 視覚範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントガラスに映像を投影させることにより、前記フロントガラスに安全確認のための判定用画像を表示させる表示手段と、
前記判定用画像を確認する車両運転者の視線の動きを捉える視線検出手段と、
前記フロントガラスに前記判定用画像を表示させておく時間と、前記判定用画像を表示させる位置と、を決定する表示制御手段と、
前記表示制御手段が決定した前記判定用画像の表示時間と表示位置とにより、前記フロントガラスに表示された前記判定用画像を車両運転者が認識したかどうかを前記視線検出手段によって確認する画像位置確認手段と、
前記画像位置確認手段が確認した結果に基づいて、車両運転者を支援するべき運転支援モードを決定する運転支援モード決定手段と、
前記運転支援モード決定手段が決定した運転支援モードに関する情報を車両運転者に伝達する伝達手段と、
を備えることを特徴とする車両運転者の運転能力判定システム。
【請求項2】
車両のフロントガラスに映像を投影させることにより、前記フロントガラスに安全確認のための判定用画像を表示させる表示手段と、
前記判定用画像を確認する車両運転者の視線の動きから、車両運転者が認識した前記判定用画像の数を検出する画像数検出手段と、
前記フロントガラスに前記判定用画像を表示させておく時間と、前記判定用画像を表示させる数と、を決定する表示制御手段と、
前記表示制御手段が決定した前記判定用画像の表示時間と表示数とにより、前記フロントガラスに表示された前記判定用画像を車両運転者が認識したかどうかを前記画像数検出手段によって確認する画像数確認手段と、
前記画像数確認手段が確認した結果に基づいて、車両運転者を支援するべき運転支援モードを決定する運転支援モード決定手段と、
前記運転支援モード決定手段が決定した運転支援モードに関する情報を車両運転者に伝達する伝達手段と、
を備えることを特徴とする車両運転者の運転能力判定システム。
【請求項3】
前記表示手段は、前記車両のフロントガラスとともに、車両のサイドミラー、車両のバックミラー、車両のバックガイドモニタの内少なくとも1つ以上の箇所に設けられている請求項1又は2に記載の車両運転者の運転能力判定システム。
【請求項4】
請求項1に記載の車両運転者の運転能力判定システムを用いて、
前記表示手段により前記判定用画像を前記フロントガラスに突発的に表示させ、車両運転者が前記判定用画像を認識した位置から車両運転者の視覚範囲を求め、その視覚範囲と前記表示制御手段により設定された時間とにより、車両運転者を支援するべき運転支援モードを決定し、決定された運転支援モードに関する情報を伝達する車両運転者の運転能力判定方法。
【請求項5】
請求項2に記載の車両運転者の運転能力判定システムを用いて、
前記表示手段により前記判定用画像を前記フロントガラスに複数表示させ、車両運転者が前記判定用画像を認識した数から車両運転者の視覚処理能力を求め、その視覚範囲と前記表示制御手段により設定された時間とにより、車両運転者を支援するべき運転支援モードを決定し、決定された運転支援モードに関する情報を伝達する車両運転者の運転能力判定方法。

【図1】
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【図3】
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【図6】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−126324(P2012−126324A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281302(P2010−281302)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】