車両
【課題】運転支援を促進する車両を提供する。
【解決手段】車両10のエンジン出力調整装置26は、自車10と隣接車両30a、30bとが並走状態であることを示す対隣接車両車速偏差の閾値TH_ΔVsf、TH_Δを設定し、前記対隣接車両車速偏差が前記閾値よりも小さいとき、前記車線の走行方向において自車10が前記隣接車両30a、30bと重ならない位置に来るように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整する隣接車両車間確保処理を実行する。
【解決手段】車両10のエンジン出力調整装置26は、自車10と隣接車両30a、30bとが並走状態であることを示す対隣接車両車速偏差の閾値TH_ΔVsf、TH_Δを設定し、前記対隣接車両車速偏差が前記閾値よりも小さいとき、前記車線の走行方向において自車10が前記隣接車両30a、30bと重ならない位置に来るように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整する隣接車両車間確保処理を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンの出力を直接調整するか又はアクセルペダルに付与する反力を調整することにより間接的にエンジンの出力を調整するエンジン出力調整装置を有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者の車線変更意図が推定されたときに、アクセルペダルの反力を調整して運転者の操作を支援する装置が知られている(特許文献1)。また、隣接車線の車両の相対的な位置関係を検出する技術が知られている(特許文献2)。特許文献1では、リスクポテンシャル(RP)という指標を用いてアクセルペダルの反力を制御することで、自車の車線変更時に運転者に違和感を与えないようにすることを企図している(例えば、特許文献1の要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4063283号公報
【特許文献2】特開2000−207697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の通り、特許文献1では、自車の車線変更時の運転支援が企図されている。しかし、運転支援の方法は自車の車線変更時に限られない。例えば、自車に現時点で車線変更の意図がなくても、将来的な車線変更に備えることも可能である。また、自車に車線変更の意図がなくても、隣接車線を走行中の車両が、自車が走行中の車線に車線変更する場合を考慮した対応も可能である。これらの点に関し、特許文献1、2では何ら検討されていない。
【0005】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、運転支援を促進する車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両は、エンジンの出力を直接調整するか又はアクセルペダルに付与する反力を調整することにより間接的に前記エンジンの出力を調整するエンジン出力調整装置を有するものであって、前記車両は、さらに、隣接する車線を走行する隣接車両を検出する隣接車両検出部と、自車と前記隣接車両との車速偏差である対隣接車両車速偏差を算出する車速偏差算出部とを備え、前記エンジン出力調整装置は、前記自車と前記隣接車両とが並走状態であることを示す前記対隣接車両車速偏差の閾値を設定し、前記車速偏差が前記対隣接車両車速偏差の閾値よりも小さいとき、前記車線の走行方向において自車が前記隣接車両と重ならない位置に来るように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整する隣接車両車間確保処理を実行することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、車線の走行方向において隣接車両と重ならない位置に来るように自車の位置を調整することができる。従って、自車の将来的な車線変更に備えることができる。また、隣接車両が不意に車線変更しても、自車側での対応が容易となる。よって、運転支援を促進することができる。
【0008】
前記隣接車両と重ならない位置とは、前記車線の走行方向において自車及び前記隣接車両の一方の前端と他方の後端との間に空隙が存在する位置である。前記エンジン出力調整装置は、自車の車速が高い程、前記空隙を大きくするように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整してもよい。一般に、車速が高くなる程、車両の制御は難しくなる。上記構成によれば、自車の車速が高くなる程、空隙を大きくすることができるため、高速にも対応し易くなる。
【0009】
前記エンジン出力調整装置は、自車の車速と目標車速との車速偏差である自車車速偏差について前記隣接車両車間確保処理を実行する範囲を規定する自車車速偏差閾値を設定し、前記自車車速偏差が前記自車車速偏差閾値を上回っているとき、自車の車速が前記目標車速と等しくなるように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整し、前記自車車速偏差が前記自車車速偏差閾値を下回っているとき、前記隣接車両車間確保処理を実行してもよい。これにより、自車の車速が目標車速又はその近傍のときにのみ、隣接車両車間確保処理を行うことが可能となる。従って、当該処理を適切な時にのみ実行することができるようになり、徒に隣接車両によって自車の位置を前後することを回避することができる。
【0010】
前記エンジン出力調整装置は、自車と同一車線の先行車と自車との前記走行方向の車間距離である自車線前方車間距離に関し、その目標値である自車線前方目標車間距離を設定し、前記自車線前方車間距離と前記自車線前方目標車間距離との偏差である自車線前方車間距離偏差に関し、前記隣接車両車間確保処理を実行する範囲を規定する自車線前方車間距離偏差閾値を設定し、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回っているとき、前記隣接車両車間確保処理を実行し、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を上回っているとき、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回るように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整してもよい。これにより、自車と同一車線の先行車との車間距離(自車線前方車間距離)が適切な場合にのみ、隣接車両車間確保処理を実行し、自車線前方車間距離が適切でない場合、自車線前方車間距離を適切にすることを優先する。従って、自車と同一車線の先行車との車間距離を維持しつつ、隣接車両車間確保処理を実行することができる。
【0011】
前記エンジン出力調整装置は、前記隣接車両として前方隣接車両と後方隣接車両が検出された場合、前記走行方向において自車が前記前方隣接車両と前記後方隣接車両の中間に位置にするように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整するセンタリング処理を実行してもよい。これにより、自車の将来的な車線変更に備えることができる。また、前方隣接車両と後方隣接車両のいずれが不意に車線変更しても、自車側での対応が容易となる。よって、運転支援を促進することができる。
【0012】
前記エンジン出力調整装置は、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回っているときのみ、前記センタリング処理を実行してもよい。これにより、自車と同一車線の先行車との車間距離が自車線前方車間距離偏差閾値を下回ることを優先するので、前記先行車との車間距離の確保を図ることができる。
【0013】
前記エンジン出力調整装置は、前記前方隣接車両と前記後方隣接車両との車間距離が短く、前記センタリング処理が実行できないとき、前記後方隣接車両との間で前記隣接車両車間確保処理を実行してもよい。これにより、センタリング処理が実行できないとき、後方隣接車両との間で隣接車両車間確保処理を実行する。従って、前方隣接車両よりも運転者が見落としやすい後方隣接車両が不意に車線変更しても、自車側での対応が容易となる。
【0014】
前記後方隣接車両に対して前記隣接車両車間確保処理を実行すると、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を上回ってしまうとき、前記エンジン出力調整装置は、自車を前記後方隣接車両の後方に誘導してもよい。これにより、自車を後方隣接車両の後方に誘導し、当該後方隣接車両の後端と自車の先端とが重ならないように隣接車両車間確保処理を図ることができる。
【0015】
前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回った状態を維持しつつ、前記前方隣接車両の先端と自車の後端とが重ならないように前記隣接車両車間確保処理を実行することが可能な場合、前記エンジン出力調整装置は、自車を前記前方隣接車両の前方に誘導してもよい。これにより、自車線前方車間距離を適切に維持しつつ、自車を前方隣接車両の前方に誘導し、当該前方隣接車両の前方と自車の後端とが重ならないように隣接車両車間確保処理を行うことができる。
【0016】
前記エンジン出力調整装置は、前記隣接車両として一方の隣接車線における第1隣接車両と他方の隣接車線における第2隣接車両が検出された場合、前記走行方向において自車が前記第1隣接車両と前記第2隣接車両の中間に位置にするように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整するセンタリング処理を実行してもよい。これにより、自車の将来的な車線変更に備えることができる。また、第1隣接車両と第2隣接車両のいずれが不意に車線変更しても、自車側での対応が容易となる。よって、運転支援を促進することができる。
【0017】
前記センタリング処理が実行できない場合、前記エンジン出力調整装置は、前記第1隣接車両と前記第2隣接車両のうち、自車との車速差が小さい方に対して前記隣接車両車間確保処理を実行してもよい。自車との車速差が小さい隣接車両は、比較的運転者の死角に入り易いが、上記構成によれば、センタリング処理が実行できないとき、第1隣接車両と第2隣接車両のうち自車との車速差が小さい方に対して隣接車両車間確保処理を実行する。従って、比較的死角に入り易い隣接車両が不意に車線変更しても、自車側での対応が容易となる。
【0018】
前記センタリング処理が実行できない場合、前記エンジン出力調整装置は、前記第1隣接車両と前記第2隣接車両のうち、自車の走行車線を挟んで追い越し車線と反対側の車線にある方に対して前記隣接車両車間確保処理を実行してもよい。一般に、追い越し車線を走行中の車両よりも、自車の走行車線を挟んで追い越し車線と反対側の車線にいる車両の方が低速走行していることが多く、後者の車線にいる車両の方が自車の死角に入り易いといえる。上記構成によれば、センタリング処理が実行できないとき、第1隣接車両と第2隣接車両のうち、自車の走行車線を挟んで追い越し車線と反対側の車線にいる方に対して前記隣接車両車間確保処理を実行する。従って、死角に入り易い隣接車両が不意に車線変更しても、自車側での対応が容易となる。
【0019】
前記車両は、さらに、ナビゲーション装置を備え、前記センタリング処理が実行できない場合、前記エンジン出力調整装置は、前記ナビゲーション装置の経路誘導機能において、自車が車線変更する予定の車線を特定し、前記第1隣接車両と前記第2隣接車両のうち、前記自車が車線変更する予定の側の車線にいる方に対して前記隣接車両車間確保処理を実行してもよい。これにより、自車が車線変更する予定の車線にいる隣接車両に対して隣接車両車間確保処理を実行できる。従って、その後、実際に車線変更する際に、自車は容易に車線変更をすることができる。
【0020】
運転者の車線変更意図が検出された場合、前記エンジン出力調整装置は、前記自車車速偏差閾値を増大させてもよい。これにより、自車が車線変更する際は、自車の車速を変化させ易くなる。従って、自車は徒に目標車速に誘導されにくくなるため、車線変更の際の運転者の操作性が向上する。
【0021】
運転者の車線変更意図が検出された場合、前記エンジン出力調整装置は、前記自車線前方車間距離偏差閾値を増大させてもよい。これにより、自車が車線変更する際は、自車と先行車との車間距離を変化させ易くなる。従って、自車は徒に目標車速に誘導されにくくなるため、車線変更の際の運転者の操作性が向上する。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、車線の走行方向において隣接車両と重ならない位置に来るように自車の位置を調整することができる。従って、自車の将来的な車線変更に備えることができる。また、隣接車両が不意に車線変更しても、自車側での対応が容易となる。よって、運転支援を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態に係る車両のブロック図である。
【図2】隣接車両車間確保処理の第1の例の説明図である。
【図3】隣接車両車間確保処理の第2の例の説明図である。
【図4】センタリング処理の第1の例の説明図である。
【図5】センタリング処理の第2の例の説明図である。
【図6】前記車両の位置決め処理を行うフローチャートである。
【図7】自車と自車線後方車両との車間距離を示す説明図である。
【図8】図6において、位置決め処理の内容を特定するフローチャートである。
【図9】自車を後方隣接車両よりも後方に移動させるように誘導する処理を示す説明図である。
【図10】センタリング処理の第3の例の説明図である。
【図11】隣接車両車間確保処理を行う車線を特定する方法を示す説明図である。
【図12】後方隣接車両との間で行う隣接車両車間確保処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
A.一実施形態
以下、この発明の一実施形態に係る車両について図面を参照して説明する。
【0025】
1.車両10の構成
図1は、この実施形態に係る車両10の一部ブロック図である。車両10は、アクセルペダル12と、リターンスプリング14と、踏込み量センサ16と、車速センサ18と、前方センサ20と、後方センサ22と、ナビゲーションシステム24と、ECU(electric control unit)26と、アクチュエータ28(反力付与機構)と、方向指示器29とを備える。
【0026】
踏込み量センサ16は、アクセルペダル12の原位置からの踏込み量(踏込み量θ)[度]を検出し、ECU26に出力する。車速センサ18は、車両10の車速V[km/時]を測定し、ECU26に出力する。
【0027】
前方センサ20は、車両10が走行中の車線(以下「自車線」ともいう。)を走行中の前方車両(以下「自車線前方車両」ともいう。)と、自車線に隣接する車線(以下「隣接車線」という。)を走行中の前方車両(以下「前方隣接車両」ともいう。)の位置を検出し、当該位置を特定する信号SfをECU26に送信する。後方センサ22は、自車線を走行中の後方車両(以下「自車線後方車両」ともいう。)と、隣接車線を走行中の後方車両(以下「後方隣接車両」ともいう。)の位置を検出し、当該位置を特定する信号SbをECU26に送信する。ECU26では、信号Sf、Sbに基づいて車両10の周囲に存在する車両の位置及び速度を知ることができる。前方センサ20及び後方センサ22は、例えば、レーザセンサ若しくは画像センサ又はその両方を用いたものであり、例えば、特許文献1又は特許文献2に記載のものを用いることができる。
【0028】
ナビゲーションシステム24は、GPS(Global Positioning System)を用いて車両10の位置を検出可能であると共に、車両10の進路に関する情報IrをECU26に提供可能である。
【0029】
ECU26は、車速Vの目標値である目標車速Vtar[km/時]に応じて、反力Frを付与する特性(反力付与特性Crf)を設定し、この反力付与特性Crfと踏込み量θを用いて、アクチュエータ28からアクセルペダル12に付与する付加的な反力Fr[N]を算出する。そして、算出した反力Frを示す制御信号Srをアクチュエータ28に送信する。上記に加え、ECU26は、車両10の周囲に隣接車両が存在するときは、反力Frを制御することにより、車両10と当該隣接車両との位置関係を調整する位置決め処理を行う(詳細は後述する。)。
【0030】
アクチュエータ28は、アクセルペダル12に連結された図示しないモータからなり、ECU26から受信した制御信号Srに応じた反力Frをアクセルペダル12に付与する。これにより、アクセルペダル12には、リターンスプリング14による反力Fr_spに加えてアクチュエータ28からの反力Frが付加される。アクチュエータ28は、その他の駆動力生成手段(例えば、空気圧アクチュエータ)であってもよい。
【0031】
方向指示器29は、運転者の操作に応じて図示しないライトを点滅させるとともに、運転者の操作を示す信号SdをECU26に送信する。
【0032】
2.位置決め処理
上記のように、本実施形態では、車両10の周囲に隣接車両が存在するとき、車両10と当該隣接車両との位置関係を調整する位置決め処理を行う。ここでの位置決め処理には、「隣接車両車間確保処理」と「センタリング処理」が含まれる。
【0033】
隣接車両車間確保処理とは、図2及び図3に示すように、車両10(以下「自車10」ともいう。)の走行方向X(以下「縦方向X」ともいう。)において自車10と前方隣接車両30a又は後方隣接車両30bとが重ならないように自車10を位置決めする処理である。
【0034】
センタリング処理とは、図4及び図5に示すように、縦方向Xにおいて前方隣接車両30a及び後方隣接車両30bの中間に自車10を位置決めする処理である。
【0035】
本実施形態では、隣接車両車間距離確保処理及びセンタリング処理のいずれにおいても、アクセルペダル12の反力Frを調整して車両10を所定の位置に誘導することで位置決めを行う。
【0036】
図6は、本実施形態において、車両10の位置決め処理を行うフローチャートである。ステップS1において、ECU26は、位置決め処理を行うための自車10の条件(自車条件)を特定する。自車条件には、例えば、次の3つがある。すなわち、1つ目の条件として、自車10の車速Vが、目標車速Vtar又はその近傍の値であることがある。具体的には、車速Vと目標車速Vtarとの偏差(自車車速偏差ΔV)の絶対値|ΔV|が所定の閾値(自車車速偏差閾値TH_ΔV)[km/h]未満であることを条件とする。自車車速偏差閾値TH_ΔVは、自車10が目標車速Vtarに従った走行をしているかどうかを判定するためのものであり、目標車速Vtarに応じて設定することができる。
【0037】
2つ目の条件として、自車10と自車線前方車両32a(図4)との車間距離(自車線前方車間距離Dif)が所定の範囲内であることがある。具体的には、車間距離Difの目標値(自車線前方目標車間距離Dif_tar)と車間距離Difとの偏差(自車線前方車間距離偏差ΔDif)の絶対値|ΔDif|が所定の閾値(自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDif)[m]より小さいこと(|ΔDif|<TH_ΔDif)を条件とする。自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDifは、自車10と自車線前方車両32aとの車間が十分に確保されているかどうかを判定するためのものであり、目標車速Vtar又は車速Vに応じて設定することができる。
【0038】
3つ目の条件として、自車10と自車線後方車両32b(図7)との車間距離(自車線後方車間距離Dib)が所定の範囲内であることがある。具体的には、車間距離Dibの目標値(自車線後方目標車間距離Dib_tar)と車間距離Dibとの偏差(自車線後方車間距離偏差ΔDib)の絶対値|ΔDib|が所定の閾値(自車線後方車間距離閾値TH_ΔDib)[m]より小さいこと(|ΔDib|<TH_ΔDib)を条件とする。自車線後方車間距離閾値TH_ΔDibは、自車10と自車線後方車両32bとの車間が十分に確保されているかどうかを判定するためのものであり、目標車速Vtar又は車速Vに応じて設定することができる。
【0039】
従って、ECU26は、目標車速Vtar、車速V等に基づいて上記3つの自車条件を特定する。
【0040】
なお、自車10において、運転者の車線変更意図が検出された場合(例えば、方向指示器29が操作された場合)、自車車速偏差閾値TH_ΔV、自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDif及び自車線後方車間距離閾値TH_ΔDibを増大させ、位置決め処理を実行する条件を緩和してもよい。
【0041】
図6に戻り、ステップS2において、ECU26は、自車10が自車条件を満たしているかどうかを判定する。自車10が自車条件を満たさない場合(S2:NO)、前述の位置決め処理を実行しない又は実行できない。そこで、今回の処理を終了する。この場合、自車10は、通常の反力付与制御を行う。自車10が自車条件を満たす場合(S2:YES)、自車10自体は、前記位置決め処理を実行する条件を満たしている。そこで、ステップS3に進む。
【0042】
ステップS3において、ECU26は、前記位置決め処理を行う対象範囲を特定する。具体的には、いずれの位置決め処理においても、対象とする車線を特定する。これは、前方センサ20及び後方センサ22の出力やナビゲーションシステム24からの出力に基づいて行う。
【0043】
また、前記隣接車両車間確保処理では、前方隣接車両30aとの車間距離(対前方隣接車両車間距離Dsf)の目標値(対隣接車両目標車間距離Dsf_tar1)及び後方隣接車両30bとの車間距離(対後方隣接車両車間距離Dsb)の目標値(対後方隣接車両目標車間距離Dsb_tar1)を特定する。目標車間距離Dsf_tar1、Dsb_tar1は、自車10の車速Vが高くなる程、長く設定する。また、上述した目標車間距離Dif_tar、Dib_tarと同じであってもよい。
【0044】
前記センタリング処理では、対前方隣接車両目標車間距離Dsf_tar2及び許容範囲Rsf並びに対後方隣接車両目標車間距離Dsb_tar2及び許容範囲Rsbを特定する。目標車間距離Dsf_tar2、Dsb_tar2は、上述した目標車間距離Dsf_tar1、Dsb_tar1と同じであってもよい。また、許容範囲Rsf、Rsbは、車間距離Dsf、Dsbの許容範囲である。
【0045】
さらに、ECU26は、対象範囲として、前方隣接車両30a及び後方隣接車両30bの実際の車速Vsf、Vsb、自車10の車速Vと隣接車両30a、30bの車速Vsf、Vsbとの偏差(対前方隣接車両車速偏差ΔVsf及び対後方隣接車両車速偏差ΔVsb)の閾値(対前方隣接車両車速偏差閾値TH_ΔVsf及び対後方隣接車両車速偏差閾値TH_ΔVsb)を特定する。対前方隣接車両車速偏差閾値TH_ΔVsf及び対後方隣接車両車速偏差閾値TH_ΔVsbは、前方隣接車両30a及び後方隣接車両30bが前記位置決め処理の対象となり得るかどうかを車速Vsf、Vsbの点から判定するものである。偏差ΔVsf、ΔVsbが偏差閾値TH_ΔVsf、ΔVsbを上回る場合、当該隣接車両は、前記位置決め処理の対象とはならない。
【0046】
ステップS4において、ECU26は、自車10の周辺に位置決め処理の対象車が存在するかどうかを判定する。対象車が存在しない場合(S4:NO)、位置決め処理を行うことはできない。そこで、今回の処理を終了する。一方、対象車が存在する場合、ステップS5に進む。
【0047】
ステップS5において、ECU26は、位置決め処理の内容を特定する。図8には、当該内容を特定するフローチャートが示されている。
【0048】
ステップS11において、ECU26は、対象車が存在するのが片側車線のみかどうかを判定する。片側2車線の道路では、必然的に対象車は片側のみとなる。対象車が片側のみの場合(S11:YES)、ステップS12において、ECU26は、対象車が1台であるかどうかを判定する。対象車が1台である場合(S12:YES)、ECU26は、当該対象車に対して隣接車両車間確保処理を行う(図2、図3参照)。
【0049】
ステップS12において、対象車が2台以上である場合(S12:NO)、ステップS14において、ECU26は、対象車が2台であるかどうかを判定する。対象車が2台である場合(S14:YES)、ステップS15において、ECU26は、センタリング処理が可能であるかどうかを判定する。センタリング処理が可能であるかどうかは、例えば、前方隣接車両30aと後方隣接車両30bとの車間距離(隣接車両車間距離Dsfb)が、所定の閾値(隣接車間閾値TH_sfb)[m]以上であるかどうかにより判定する。隣接車間閾値TH_sfbは、例えば、自車10の全長に一定の余裕値を加えたものである。
【0050】
隣接車両車間距離Dsfbが隣接車間閾値TH_sfb以上であり、センタリング処理が可能である場合(S15:YES)、ステップS16において、ECU26は、センタリング処理を行う(図4)。一方、対象車が3台以上である場合(S14:NO)又はセンタリング処理が不可能である場合(S15:NO)、ステップS17において、ECU26は、反力Frを制御して、自車10を後方隣接車両30bよりも後方に移動させるように誘導する(図9参照)。或いは、自車線前方車両32aとの車間距離Difが十分にある場合、ECU26は、自車10を前方隣接車両30aよりも前方に移動させるように反力Frを制御することもできる。
【0051】
ステップS11に戻り、対象車が両側の車線に存在する場合(S11:NO)、ステップS18において、ECU26は、対象車が両側(各車線)に1台ずつであるかどうかを判定する。対象車が両側に1台ずつである場合(S18:YES)、ステップS19にECU26は、センタリング処理が可能であるかどうかを判定する。当該判定は、ステップS15と同様に行う。センタリング処理が可能である場合(S19:YES)、ステップS20において、ECU26は、センタリング処理を行う。センタリング処理が不可能である場合(S19:NO)、ステップS21において、ステップS17と同様の処理を行う。
【0052】
ステップS18に戻り、少なくとも一方の車線に対象車が2台以上ある場合(S18:NO)、ステップS22において、ECU26は、少なくとも一方の車線に対象車が3台以上あるかどうかを判定する。いずれの車線にも対象車が2台以下しかない場合(S22:NO)、ステップS23において、ECU26は、センタリング処理が可能であるかどうかを判定する。センタリング処理が可能である場合(S23:YES)、ステップS24において、ECU26は、ステップS16、S20と同様にセンタリング処理を行う(図10参照)。これに対し、一方の車線に対象車が3台以上ある場合(S22:YES)又はセンタリング処理が不可能である場合(S23:NO)、ステップS25に進む。
【0053】
ステップS25において、ECU26は、ナビゲーションシステム24からの車両10の進路に関する情報Irに基づいて車両10に車線変更の予定があるかどうかを判定する。車線変更の予定があるかどうかを判断する範囲は、例えば、所定の距離範囲内又は所定の時間内で判断することができる。車線変更の予定がある場合(S25:YES)、ECU26は、車線変更先となる予定の車線における対象車を対象とする処理を行う。すなわち、当該車線について、ステップS12〜S17の処理を行う。
【0054】
一方、車線変更の予定がない場合(S25:NO)、ECU26は、それぞれの車線を走行する隣接車両30の車速のいずれが自車10の車速Vに近いかを判定する。そして、車速Vに近い車速で走行している車線の対象車を対象とする処理を行う。すなわち、当該車線について、ステップS12〜S17の処理を行う。図11では、自車10から見て右側の車線の隣接車両30ar、30brが自車10及び左側の車線の隣接車両30al、30blよりも高速で走行している。そこで、ステップS27では、自車10から見て左側の車線の隣接車両30al、30blを対象とする処理を行う。
【0055】
3.本実施形態の効果
以上のように、本実施形態では、車線の走行方向Xにおいて隣接車両30a、30bと重ならない位置に来るように自車10の位置を調整することができる。従って、自車10の将来的な車線変更に備えることができる。また、隣接車両30a、30bが不意に車線変更しても、自車10側での対応が容易となる。よって、運転支援を促進することができる。
【0056】
また、一般に、車速が高くなる程、車両10の制御は難しくなる。本実施形態によれば、自車10の車速Vが高くなる程、隣接車両車間確保処理における対隣接車両目標車間距離Dsf_tar1及び対後方隣接車両目標車間距離Dsb_tar1を長く設定し、その結果、隣接車両車間確保処理における対隣接車両車間距離Dsf及び対後方隣接車両車間距離Dsbを長くすることができるため、高速にも対応し易くなる。
【0057】
ECU26は、自車10の車速Vと目標車速Vtarとの自車車速偏差ΔVについて自車車速偏差閾値THΔVを設定し、自車車速偏差ΔVが自車車速偏差閾値THΔVを上回っているとき、自車10の車速Vが目標車速Vtarと等しくなるようにアクセルペダル12の反力Frを調整し、自車車速偏差ΔVが自車車速偏差閾値THΔVを下回っているとき、隣接車両車間確保処理を実行する。これにより、自車10の車速Vが目標車速Vtar又はその近傍のときにのみ、隣接車両車間確保処理を行うことが可能となる。従って、当該処理を適切な時期にのみ実行することができるようになり、徒に前方隣接車両30a又は後方隣接車両30bによって自車10の位置を前後することを回避することができる。
【0058】
ECU26は、自車線前方目標車間距離Dif_tar及び自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDifを設定し、車間距離偏差ΔDifが車間距離偏差閾値TH_ΔDifを下回っているとき、隣接車両車間確保処理を実行し、車間距離偏差ΔDifが車間距離偏差閾値TH_ΔDifを上回っているとき、車間距離偏差ΔDifが車間距離偏差閾値TH_ΔDifを下回るようにアクセルペダル12の反力Frを調整する。これにより、自車線前方車間距離Difが適切な場合にのみ、隣接車両車間確保処理を実行し、自車線前方車間距離Difが適切でない場合、自車線前方車間距離Difを適切にすることを優先する。従って、自車線前方車間距離Difを維持しつつ、隣接車両車間確保処理を実行することができる。
【0059】
ECU26は、前方隣接車両30aと後方隣接車両30bが検出された場合、縦方向Xにおいて自車10が前方隣接車両30aと後方隣接車両30bの中間に位置にするようにアクセルペダル12の反力Frを調整するセンタリング処理を実行する。これにより、自車10の将来的な車線変更に備えることができる。また、前方隣接車両30aと後方隣接車両30bのいずれが不意に車線変更しても、自車10側での対応が容易となる。よって、運転支援を促進することができる。
【0060】
ECU26は、自車線前方車間距離Difが自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDifを下回っているときのみ、センタリング処理を実行する。これにより、自車10と自車線前方車両32aとの車間距離Difが車間距離偏差閾値TH_ΔDifを下回ることを優先するので、自車線前方車両32aとの車間距離Difの確保を図ることができる。
【0061】
後方隣接車両30bに対して隣接車両車間確保処理を実行すると、自車線前方車間距離偏差ΔDifが自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDifを上回ってしまうとき、ECU26は、自車10を後方隣接車両30bの後方に誘導する。これにより、自車10を後方隣接車両30bの後方に誘導し、当該後方隣接車両30bの後端と自車10の先端とが重ならないように隣接車両車間確保処理を図ることができる。
【0062】
自車線前方車間距離偏差ΔDifが自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDifを下回った状態を維持しつつ、前方隣接車両30aの先端と自車10の後端とが重ならないように隣接車両車間確保処理を実行することが可能な場合、ECU26は、自車10を前方隣接車両30aの前方に誘導する。これにより、自車前方車間距離Difを適切に維持しつつ、自車10を前方隣接車両30aの前方に誘導し、当該前方隣接車両30aの前方と自車10の後端とが重ならないように隣接車両車間確保処理を行うことができる。
【0063】
ECU26は、一方の隣接車線における前方隣接車両30aと他方の隣接車線における後方隣接車両30bが検出された場合、縦方向Xにおいて自車10が前方隣接車両30aと後方隣接車両30bの中間に位置にするようにアクセルペダル12の反力Frを調整するセンタリング処理を実行する(図5参照)。これにより、自車10の将来的な車線変更に備えることができる。また、前方隣接車両30aと後方隣接車両30bのいずれが不意に車線変更しても、自車10側での対応が容易となる。よって、運転支援を促進することができる。
【0064】
上記においてセンタリング処理が実行できない場合、ECU26は、両側の車線のうち、自車10との速度差が小さい方に対して隣接車両車間確保処理を実行する(ステップS27)。自車10との速度差が小さい隣接車両30a、30bは、運転者の死角に入り易いが、上記構成によれば、センタリング処理が実行できないとき、両側の車線のうち自車10との速度差が小さい方の車線を対象として隣接車両車間確保処理を実行する。従って、死角に入り易い隣接車両30a、30bが不意に車線変更しても、自車10側での対応が容易となる。
【0065】
上記においてセンタリング処理が実行できない場合、ECU26は、ナビゲーションシステム24の経路誘導機能において、自車10が車線変更する予定の車線を特定し、両側の車線のうち、自車10が車線変更する予定の側の車線にいる隣接車両30a、30bに対して隣接車両車間確保処理を実行する(ステップS26)。これにより、自車10が車線変更する予定の車線にいる隣接車両30a、30bに対して隣接車両車間確保処理を実行できる。従って、その後、実際に車線変更する際に、自車10は容易に車線変更をすることができる。
【0066】
運転者の車線変更意図が検出された場合、ECU26は、自車車速偏差閾値TH_ΔVを増大させる。これにより、自車10が車線変更する際は、自車10の車速Vを変化させ易くなる。従って、自車10は徒に目標車速Vtarに誘導されにくくなるため、車線変更の際の運転者の操作性が向上する。
【0067】
運転者の車線変更意図が検出された場合、ECU26は、自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDifを増大させる。これにより、自車10が車線変更する際は、自車10と自車線前方車両32aとの車間距離Difを変化させ易くなる。従って、自車10は徒に目標車間距離Dif_tarに誘導されにくくなるため、車線変更の際の運転者の操作性が向上する。
【0068】
B.変形例
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0069】
上記実施形態では、アクセルペダル12への反力Frの付与により、位置決め処理を行ったが、これに限られない。例えば、エンジンスロットルのスロットル開度をECU26にて調整することで位置決め処理を行ってもよい。或いは、エンジンへの燃料噴射量を調整することで位置決め処理を行ってもよい。
【0070】
上記実施形態では、ステップS14において、対象車が3台以上である場合(S14:NO)又はセンタリング処理が不可能である場合(S15:NO)、ステップS17において、ECU26は、自車10を後方隣接車両30bよりも後方に移動させるように誘導したが、図12に示すように、後方隣接車両30bに対して隣接車両車間確保処理を行ってもよい。これにより、センタリング処理が実行できないとき、後方隣接車両30bとの間で隣接車両車間確保処理を実行する。従って、前方隣接車両30aよりも運転者が見落としやすい後方隣接車両30bが不意に車線変更しても、自車10側での対応が容易となる。なお、図12において、自車10から出ている2本線は、自車10の運転者の視野を示す。
【0071】
上記実施形態では、ステップS25において、車線変更の予定がない場合(S25:NO)、ECU26は、それぞれの車線を走行する隣接車両30a、30bの車速のいずれが自車10の車速Vに近いかを判定する。そして、車速Vに近い車速で走行している車線の対象車を対象とする処理を行った。これに代えて、自車10の走行車線を挟んで追い越し車線と反対側にある対象車に対して隣接車両車間確保処理を行ってもよい。一般に、追い越し車線を走行中の車両よりも、自車10の走行車線を挟んで追い越し車線と反対側の車線にいる車両の方が低速走行していることが多く、後者の車線にいる車両の方が自車の死角に入り易いといえる。上記構成によれば、センタリング処理が実行できないとき、両側の車線のうち、自車10の走行車線を挟んで追い越し車線と反対側の車線にいる隣接車両30a、30bに対して隣接車両車間確保処理を実行する。従って、死角に入り易い隣接車両30a、30bが不意に車線変更しても、自車10側での対応が容易となる。
【符号の説明】
【0072】
10…車両(自車) 12…アクセルペダル
14…リターンスプリング 16…踏込み量センサ
18…車速センサ 20…前方センサ
22…後方センサ 24…ナビゲーションシステム
26…ECU 28…アクチュエータ
29…方向指示器 30…隣接車両
30a…前方隣接車両 30b…後方隣接車両
32a…自車線前方車両 32b…自車線後方車両
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンの出力を直接調整するか又はアクセルペダルに付与する反力を調整することにより間接的にエンジンの出力を調整するエンジン出力調整装置を有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者の車線変更意図が推定されたときに、アクセルペダルの反力を調整して運転者の操作を支援する装置が知られている(特許文献1)。また、隣接車線の車両の相対的な位置関係を検出する技術が知られている(特許文献2)。特許文献1では、リスクポテンシャル(RP)という指標を用いてアクセルペダルの反力を制御することで、自車の車線変更時に運転者に違和感を与えないようにすることを企図している(例えば、特許文献1の要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4063283号公報
【特許文献2】特開2000−207697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の通り、特許文献1では、自車の車線変更時の運転支援が企図されている。しかし、運転支援の方法は自車の車線変更時に限られない。例えば、自車に現時点で車線変更の意図がなくても、将来的な車線変更に備えることも可能である。また、自車に車線変更の意図がなくても、隣接車線を走行中の車両が、自車が走行中の車線に車線変更する場合を考慮した対応も可能である。これらの点に関し、特許文献1、2では何ら検討されていない。
【0005】
この発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、運転支援を促進する車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両は、エンジンの出力を直接調整するか又はアクセルペダルに付与する反力を調整することにより間接的に前記エンジンの出力を調整するエンジン出力調整装置を有するものであって、前記車両は、さらに、隣接する車線を走行する隣接車両を検出する隣接車両検出部と、自車と前記隣接車両との車速偏差である対隣接車両車速偏差を算出する車速偏差算出部とを備え、前記エンジン出力調整装置は、前記自車と前記隣接車両とが並走状態であることを示す前記対隣接車両車速偏差の閾値を設定し、前記車速偏差が前記対隣接車両車速偏差の閾値よりも小さいとき、前記車線の走行方向において自車が前記隣接車両と重ならない位置に来るように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整する隣接車両車間確保処理を実行することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、車線の走行方向において隣接車両と重ならない位置に来るように自車の位置を調整することができる。従って、自車の将来的な車線変更に備えることができる。また、隣接車両が不意に車線変更しても、自車側での対応が容易となる。よって、運転支援を促進することができる。
【0008】
前記隣接車両と重ならない位置とは、前記車線の走行方向において自車及び前記隣接車両の一方の前端と他方の後端との間に空隙が存在する位置である。前記エンジン出力調整装置は、自車の車速が高い程、前記空隙を大きくするように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整してもよい。一般に、車速が高くなる程、車両の制御は難しくなる。上記構成によれば、自車の車速が高くなる程、空隙を大きくすることができるため、高速にも対応し易くなる。
【0009】
前記エンジン出力調整装置は、自車の車速と目標車速との車速偏差である自車車速偏差について前記隣接車両車間確保処理を実行する範囲を規定する自車車速偏差閾値を設定し、前記自車車速偏差が前記自車車速偏差閾値を上回っているとき、自車の車速が前記目標車速と等しくなるように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整し、前記自車車速偏差が前記自車車速偏差閾値を下回っているとき、前記隣接車両車間確保処理を実行してもよい。これにより、自車の車速が目標車速又はその近傍のときにのみ、隣接車両車間確保処理を行うことが可能となる。従って、当該処理を適切な時にのみ実行することができるようになり、徒に隣接車両によって自車の位置を前後することを回避することができる。
【0010】
前記エンジン出力調整装置は、自車と同一車線の先行車と自車との前記走行方向の車間距離である自車線前方車間距離に関し、その目標値である自車線前方目標車間距離を設定し、前記自車線前方車間距離と前記自車線前方目標車間距離との偏差である自車線前方車間距離偏差に関し、前記隣接車両車間確保処理を実行する範囲を規定する自車線前方車間距離偏差閾値を設定し、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回っているとき、前記隣接車両車間確保処理を実行し、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を上回っているとき、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回るように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整してもよい。これにより、自車と同一車線の先行車との車間距離(自車線前方車間距離)が適切な場合にのみ、隣接車両車間確保処理を実行し、自車線前方車間距離が適切でない場合、自車線前方車間距離を適切にすることを優先する。従って、自車と同一車線の先行車との車間距離を維持しつつ、隣接車両車間確保処理を実行することができる。
【0011】
前記エンジン出力調整装置は、前記隣接車両として前方隣接車両と後方隣接車両が検出された場合、前記走行方向において自車が前記前方隣接車両と前記後方隣接車両の中間に位置にするように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整するセンタリング処理を実行してもよい。これにより、自車の将来的な車線変更に備えることができる。また、前方隣接車両と後方隣接車両のいずれが不意に車線変更しても、自車側での対応が容易となる。よって、運転支援を促進することができる。
【0012】
前記エンジン出力調整装置は、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回っているときのみ、前記センタリング処理を実行してもよい。これにより、自車と同一車線の先行車との車間距離が自車線前方車間距離偏差閾値を下回ることを優先するので、前記先行車との車間距離の確保を図ることができる。
【0013】
前記エンジン出力調整装置は、前記前方隣接車両と前記後方隣接車両との車間距離が短く、前記センタリング処理が実行できないとき、前記後方隣接車両との間で前記隣接車両車間確保処理を実行してもよい。これにより、センタリング処理が実行できないとき、後方隣接車両との間で隣接車両車間確保処理を実行する。従って、前方隣接車両よりも運転者が見落としやすい後方隣接車両が不意に車線変更しても、自車側での対応が容易となる。
【0014】
前記後方隣接車両に対して前記隣接車両車間確保処理を実行すると、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を上回ってしまうとき、前記エンジン出力調整装置は、自車を前記後方隣接車両の後方に誘導してもよい。これにより、自車を後方隣接車両の後方に誘導し、当該後方隣接車両の後端と自車の先端とが重ならないように隣接車両車間確保処理を図ることができる。
【0015】
前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回った状態を維持しつつ、前記前方隣接車両の先端と自車の後端とが重ならないように前記隣接車両車間確保処理を実行することが可能な場合、前記エンジン出力調整装置は、自車を前記前方隣接車両の前方に誘導してもよい。これにより、自車線前方車間距離を適切に維持しつつ、自車を前方隣接車両の前方に誘導し、当該前方隣接車両の前方と自車の後端とが重ならないように隣接車両車間確保処理を行うことができる。
【0016】
前記エンジン出力調整装置は、前記隣接車両として一方の隣接車線における第1隣接車両と他方の隣接車線における第2隣接車両が検出された場合、前記走行方向において自車が前記第1隣接車両と前記第2隣接車両の中間に位置にするように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整するセンタリング処理を実行してもよい。これにより、自車の将来的な車線変更に備えることができる。また、第1隣接車両と第2隣接車両のいずれが不意に車線変更しても、自車側での対応が容易となる。よって、運転支援を促進することができる。
【0017】
前記センタリング処理が実行できない場合、前記エンジン出力調整装置は、前記第1隣接車両と前記第2隣接車両のうち、自車との車速差が小さい方に対して前記隣接車両車間確保処理を実行してもよい。自車との車速差が小さい隣接車両は、比較的運転者の死角に入り易いが、上記構成によれば、センタリング処理が実行できないとき、第1隣接車両と第2隣接車両のうち自車との車速差が小さい方に対して隣接車両車間確保処理を実行する。従って、比較的死角に入り易い隣接車両が不意に車線変更しても、自車側での対応が容易となる。
【0018】
前記センタリング処理が実行できない場合、前記エンジン出力調整装置は、前記第1隣接車両と前記第2隣接車両のうち、自車の走行車線を挟んで追い越し車線と反対側の車線にある方に対して前記隣接車両車間確保処理を実行してもよい。一般に、追い越し車線を走行中の車両よりも、自車の走行車線を挟んで追い越し車線と反対側の車線にいる車両の方が低速走行していることが多く、後者の車線にいる車両の方が自車の死角に入り易いといえる。上記構成によれば、センタリング処理が実行できないとき、第1隣接車両と第2隣接車両のうち、自車の走行車線を挟んで追い越し車線と反対側の車線にいる方に対して前記隣接車両車間確保処理を実行する。従って、死角に入り易い隣接車両が不意に車線変更しても、自車側での対応が容易となる。
【0019】
前記車両は、さらに、ナビゲーション装置を備え、前記センタリング処理が実行できない場合、前記エンジン出力調整装置は、前記ナビゲーション装置の経路誘導機能において、自車が車線変更する予定の車線を特定し、前記第1隣接車両と前記第2隣接車両のうち、前記自車が車線変更する予定の側の車線にいる方に対して前記隣接車両車間確保処理を実行してもよい。これにより、自車が車線変更する予定の車線にいる隣接車両に対して隣接車両車間確保処理を実行できる。従って、その後、実際に車線変更する際に、自車は容易に車線変更をすることができる。
【0020】
運転者の車線変更意図が検出された場合、前記エンジン出力調整装置は、前記自車車速偏差閾値を増大させてもよい。これにより、自車が車線変更する際は、自車の車速を変化させ易くなる。従って、自車は徒に目標車速に誘導されにくくなるため、車線変更の際の運転者の操作性が向上する。
【0021】
運転者の車線変更意図が検出された場合、前記エンジン出力調整装置は、前記自車線前方車間距離偏差閾値を増大させてもよい。これにより、自車が車線変更する際は、自車と先行車との車間距離を変化させ易くなる。従って、自車は徒に目標車速に誘導されにくくなるため、車線変更の際の運転者の操作性が向上する。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、車線の走行方向において隣接車両と重ならない位置に来るように自車の位置を調整することができる。従って、自車の将来的な車線変更に備えることができる。また、隣接車両が不意に車線変更しても、自車側での対応が容易となる。よって、運転支援を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態に係る車両のブロック図である。
【図2】隣接車両車間確保処理の第1の例の説明図である。
【図3】隣接車両車間確保処理の第2の例の説明図である。
【図4】センタリング処理の第1の例の説明図である。
【図5】センタリング処理の第2の例の説明図である。
【図6】前記車両の位置決め処理を行うフローチャートである。
【図7】自車と自車線後方車両との車間距離を示す説明図である。
【図8】図6において、位置決め処理の内容を特定するフローチャートである。
【図9】自車を後方隣接車両よりも後方に移動させるように誘導する処理を示す説明図である。
【図10】センタリング処理の第3の例の説明図である。
【図11】隣接車両車間確保処理を行う車線を特定する方法を示す説明図である。
【図12】後方隣接車両との間で行う隣接車両車間確保処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
A.一実施形態
以下、この発明の一実施形態に係る車両について図面を参照して説明する。
【0025】
1.車両10の構成
図1は、この実施形態に係る車両10の一部ブロック図である。車両10は、アクセルペダル12と、リターンスプリング14と、踏込み量センサ16と、車速センサ18と、前方センサ20と、後方センサ22と、ナビゲーションシステム24と、ECU(electric control unit)26と、アクチュエータ28(反力付与機構)と、方向指示器29とを備える。
【0026】
踏込み量センサ16は、アクセルペダル12の原位置からの踏込み量(踏込み量θ)[度]を検出し、ECU26に出力する。車速センサ18は、車両10の車速V[km/時]を測定し、ECU26に出力する。
【0027】
前方センサ20は、車両10が走行中の車線(以下「自車線」ともいう。)を走行中の前方車両(以下「自車線前方車両」ともいう。)と、自車線に隣接する車線(以下「隣接車線」という。)を走行中の前方車両(以下「前方隣接車両」ともいう。)の位置を検出し、当該位置を特定する信号SfをECU26に送信する。後方センサ22は、自車線を走行中の後方車両(以下「自車線後方車両」ともいう。)と、隣接車線を走行中の後方車両(以下「後方隣接車両」ともいう。)の位置を検出し、当該位置を特定する信号SbをECU26に送信する。ECU26では、信号Sf、Sbに基づいて車両10の周囲に存在する車両の位置及び速度を知ることができる。前方センサ20及び後方センサ22は、例えば、レーザセンサ若しくは画像センサ又はその両方を用いたものであり、例えば、特許文献1又は特許文献2に記載のものを用いることができる。
【0028】
ナビゲーションシステム24は、GPS(Global Positioning System)を用いて車両10の位置を検出可能であると共に、車両10の進路に関する情報IrをECU26に提供可能である。
【0029】
ECU26は、車速Vの目標値である目標車速Vtar[km/時]に応じて、反力Frを付与する特性(反力付与特性Crf)を設定し、この反力付与特性Crfと踏込み量θを用いて、アクチュエータ28からアクセルペダル12に付与する付加的な反力Fr[N]を算出する。そして、算出した反力Frを示す制御信号Srをアクチュエータ28に送信する。上記に加え、ECU26は、車両10の周囲に隣接車両が存在するときは、反力Frを制御することにより、車両10と当該隣接車両との位置関係を調整する位置決め処理を行う(詳細は後述する。)。
【0030】
アクチュエータ28は、アクセルペダル12に連結された図示しないモータからなり、ECU26から受信した制御信号Srに応じた反力Frをアクセルペダル12に付与する。これにより、アクセルペダル12には、リターンスプリング14による反力Fr_spに加えてアクチュエータ28からの反力Frが付加される。アクチュエータ28は、その他の駆動力生成手段(例えば、空気圧アクチュエータ)であってもよい。
【0031】
方向指示器29は、運転者の操作に応じて図示しないライトを点滅させるとともに、運転者の操作を示す信号SdをECU26に送信する。
【0032】
2.位置決め処理
上記のように、本実施形態では、車両10の周囲に隣接車両が存在するとき、車両10と当該隣接車両との位置関係を調整する位置決め処理を行う。ここでの位置決め処理には、「隣接車両車間確保処理」と「センタリング処理」が含まれる。
【0033】
隣接車両車間確保処理とは、図2及び図3に示すように、車両10(以下「自車10」ともいう。)の走行方向X(以下「縦方向X」ともいう。)において自車10と前方隣接車両30a又は後方隣接車両30bとが重ならないように自車10を位置決めする処理である。
【0034】
センタリング処理とは、図4及び図5に示すように、縦方向Xにおいて前方隣接車両30a及び後方隣接車両30bの中間に自車10を位置決めする処理である。
【0035】
本実施形態では、隣接車両車間距離確保処理及びセンタリング処理のいずれにおいても、アクセルペダル12の反力Frを調整して車両10を所定の位置に誘導することで位置決めを行う。
【0036】
図6は、本実施形態において、車両10の位置決め処理を行うフローチャートである。ステップS1において、ECU26は、位置決め処理を行うための自車10の条件(自車条件)を特定する。自車条件には、例えば、次の3つがある。すなわち、1つ目の条件として、自車10の車速Vが、目標車速Vtar又はその近傍の値であることがある。具体的には、車速Vと目標車速Vtarとの偏差(自車車速偏差ΔV)の絶対値|ΔV|が所定の閾値(自車車速偏差閾値TH_ΔV)[km/h]未満であることを条件とする。自車車速偏差閾値TH_ΔVは、自車10が目標車速Vtarに従った走行をしているかどうかを判定するためのものであり、目標車速Vtarに応じて設定することができる。
【0037】
2つ目の条件として、自車10と自車線前方車両32a(図4)との車間距離(自車線前方車間距離Dif)が所定の範囲内であることがある。具体的には、車間距離Difの目標値(自車線前方目標車間距離Dif_tar)と車間距離Difとの偏差(自車線前方車間距離偏差ΔDif)の絶対値|ΔDif|が所定の閾値(自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDif)[m]より小さいこと(|ΔDif|<TH_ΔDif)を条件とする。自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDifは、自車10と自車線前方車両32aとの車間が十分に確保されているかどうかを判定するためのものであり、目標車速Vtar又は車速Vに応じて設定することができる。
【0038】
3つ目の条件として、自車10と自車線後方車両32b(図7)との車間距離(自車線後方車間距離Dib)が所定の範囲内であることがある。具体的には、車間距離Dibの目標値(自車線後方目標車間距離Dib_tar)と車間距離Dibとの偏差(自車線後方車間距離偏差ΔDib)の絶対値|ΔDib|が所定の閾値(自車線後方車間距離閾値TH_ΔDib)[m]より小さいこと(|ΔDib|<TH_ΔDib)を条件とする。自車線後方車間距離閾値TH_ΔDibは、自車10と自車線後方車両32bとの車間が十分に確保されているかどうかを判定するためのものであり、目標車速Vtar又は車速Vに応じて設定することができる。
【0039】
従って、ECU26は、目標車速Vtar、車速V等に基づいて上記3つの自車条件を特定する。
【0040】
なお、自車10において、運転者の車線変更意図が検出された場合(例えば、方向指示器29が操作された場合)、自車車速偏差閾値TH_ΔV、自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDif及び自車線後方車間距離閾値TH_ΔDibを増大させ、位置決め処理を実行する条件を緩和してもよい。
【0041】
図6に戻り、ステップS2において、ECU26は、自車10が自車条件を満たしているかどうかを判定する。自車10が自車条件を満たさない場合(S2:NO)、前述の位置決め処理を実行しない又は実行できない。そこで、今回の処理を終了する。この場合、自車10は、通常の反力付与制御を行う。自車10が自車条件を満たす場合(S2:YES)、自車10自体は、前記位置決め処理を実行する条件を満たしている。そこで、ステップS3に進む。
【0042】
ステップS3において、ECU26は、前記位置決め処理を行う対象範囲を特定する。具体的には、いずれの位置決め処理においても、対象とする車線を特定する。これは、前方センサ20及び後方センサ22の出力やナビゲーションシステム24からの出力に基づいて行う。
【0043】
また、前記隣接車両車間確保処理では、前方隣接車両30aとの車間距離(対前方隣接車両車間距離Dsf)の目標値(対隣接車両目標車間距離Dsf_tar1)及び後方隣接車両30bとの車間距離(対後方隣接車両車間距離Dsb)の目標値(対後方隣接車両目標車間距離Dsb_tar1)を特定する。目標車間距離Dsf_tar1、Dsb_tar1は、自車10の車速Vが高くなる程、長く設定する。また、上述した目標車間距離Dif_tar、Dib_tarと同じであってもよい。
【0044】
前記センタリング処理では、対前方隣接車両目標車間距離Dsf_tar2及び許容範囲Rsf並びに対後方隣接車両目標車間距離Dsb_tar2及び許容範囲Rsbを特定する。目標車間距離Dsf_tar2、Dsb_tar2は、上述した目標車間距離Dsf_tar1、Dsb_tar1と同じであってもよい。また、許容範囲Rsf、Rsbは、車間距離Dsf、Dsbの許容範囲である。
【0045】
さらに、ECU26は、対象範囲として、前方隣接車両30a及び後方隣接車両30bの実際の車速Vsf、Vsb、自車10の車速Vと隣接車両30a、30bの車速Vsf、Vsbとの偏差(対前方隣接車両車速偏差ΔVsf及び対後方隣接車両車速偏差ΔVsb)の閾値(対前方隣接車両車速偏差閾値TH_ΔVsf及び対後方隣接車両車速偏差閾値TH_ΔVsb)を特定する。対前方隣接車両車速偏差閾値TH_ΔVsf及び対後方隣接車両車速偏差閾値TH_ΔVsbは、前方隣接車両30a及び後方隣接車両30bが前記位置決め処理の対象となり得るかどうかを車速Vsf、Vsbの点から判定するものである。偏差ΔVsf、ΔVsbが偏差閾値TH_ΔVsf、ΔVsbを上回る場合、当該隣接車両は、前記位置決め処理の対象とはならない。
【0046】
ステップS4において、ECU26は、自車10の周辺に位置決め処理の対象車が存在するかどうかを判定する。対象車が存在しない場合(S4:NO)、位置決め処理を行うことはできない。そこで、今回の処理を終了する。一方、対象車が存在する場合、ステップS5に進む。
【0047】
ステップS5において、ECU26は、位置決め処理の内容を特定する。図8には、当該内容を特定するフローチャートが示されている。
【0048】
ステップS11において、ECU26は、対象車が存在するのが片側車線のみかどうかを判定する。片側2車線の道路では、必然的に対象車は片側のみとなる。対象車が片側のみの場合(S11:YES)、ステップS12において、ECU26は、対象車が1台であるかどうかを判定する。対象車が1台である場合(S12:YES)、ECU26は、当該対象車に対して隣接車両車間確保処理を行う(図2、図3参照)。
【0049】
ステップS12において、対象車が2台以上である場合(S12:NO)、ステップS14において、ECU26は、対象車が2台であるかどうかを判定する。対象車が2台である場合(S14:YES)、ステップS15において、ECU26は、センタリング処理が可能であるかどうかを判定する。センタリング処理が可能であるかどうかは、例えば、前方隣接車両30aと後方隣接車両30bとの車間距離(隣接車両車間距離Dsfb)が、所定の閾値(隣接車間閾値TH_sfb)[m]以上であるかどうかにより判定する。隣接車間閾値TH_sfbは、例えば、自車10の全長に一定の余裕値を加えたものである。
【0050】
隣接車両車間距離Dsfbが隣接車間閾値TH_sfb以上であり、センタリング処理が可能である場合(S15:YES)、ステップS16において、ECU26は、センタリング処理を行う(図4)。一方、対象車が3台以上である場合(S14:NO)又はセンタリング処理が不可能である場合(S15:NO)、ステップS17において、ECU26は、反力Frを制御して、自車10を後方隣接車両30bよりも後方に移動させるように誘導する(図9参照)。或いは、自車線前方車両32aとの車間距離Difが十分にある場合、ECU26は、自車10を前方隣接車両30aよりも前方に移動させるように反力Frを制御することもできる。
【0051】
ステップS11に戻り、対象車が両側の車線に存在する場合(S11:NO)、ステップS18において、ECU26は、対象車が両側(各車線)に1台ずつであるかどうかを判定する。対象車が両側に1台ずつである場合(S18:YES)、ステップS19にECU26は、センタリング処理が可能であるかどうかを判定する。当該判定は、ステップS15と同様に行う。センタリング処理が可能である場合(S19:YES)、ステップS20において、ECU26は、センタリング処理を行う。センタリング処理が不可能である場合(S19:NO)、ステップS21において、ステップS17と同様の処理を行う。
【0052】
ステップS18に戻り、少なくとも一方の車線に対象車が2台以上ある場合(S18:NO)、ステップS22において、ECU26は、少なくとも一方の車線に対象車が3台以上あるかどうかを判定する。いずれの車線にも対象車が2台以下しかない場合(S22:NO)、ステップS23において、ECU26は、センタリング処理が可能であるかどうかを判定する。センタリング処理が可能である場合(S23:YES)、ステップS24において、ECU26は、ステップS16、S20と同様にセンタリング処理を行う(図10参照)。これに対し、一方の車線に対象車が3台以上ある場合(S22:YES)又はセンタリング処理が不可能である場合(S23:NO)、ステップS25に進む。
【0053】
ステップS25において、ECU26は、ナビゲーションシステム24からの車両10の進路に関する情報Irに基づいて車両10に車線変更の予定があるかどうかを判定する。車線変更の予定があるかどうかを判断する範囲は、例えば、所定の距離範囲内又は所定の時間内で判断することができる。車線変更の予定がある場合(S25:YES)、ECU26は、車線変更先となる予定の車線における対象車を対象とする処理を行う。すなわち、当該車線について、ステップS12〜S17の処理を行う。
【0054】
一方、車線変更の予定がない場合(S25:NO)、ECU26は、それぞれの車線を走行する隣接車両30の車速のいずれが自車10の車速Vに近いかを判定する。そして、車速Vに近い車速で走行している車線の対象車を対象とする処理を行う。すなわち、当該車線について、ステップS12〜S17の処理を行う。図11では、自車10から見て右側の車線の隣接車両30ar、30brが自車10及び左側の車線の隣接車両30al、30blよりも高速で走行している。そこで、ステップS27では、自車10から見て左側の車線の隣接車両30al、30blを対象とする処理を行う。
【0055】
3.本実施形態の効果
以上のように、本実施形態では、車線の走行方向Xにおいて隣接車両30a、30bと重ならない位置に来るように自車10の位置を調整することができる。従って、自車10の将来的な車線変更に備えることができる。また、隣接車両30a、30bが不意に車線変更しても、自車10側での対応が容易となる。よって、運転支援を促進することができる。
【0056】
また、一般に、車速が高くなる程、車両10の制御は難しくなる。本実施形態によれば、自車10の車速Vが高くなる程、隣接車両車間確保処理における対隣接車両目標車間距離Dsf_tar1及び対後方隣接車両目標車間距離Dsb_tar1を長く設定し、その結果、隣接車両車間確保処理における対隣接車両車間距離Dsf及び対後方隣接車両車間距離Dsbを長くすることができるため、高速にも対応し易くなる。
【0057】
ECU26は、自車10の車速Vと目標車速Vtarとの自車車速偏差ΔVについて自車車速偏差閾値THΔVを設定し、自車車速偏差ΔVが自車車速偏差閾値THΔVを上回っているとき、自車10の車速Vが目標車速Vtarと等しくなるようにアクセルペダル12の反力Frを調整し、自車車速偏差ΔVが自車車速偏差閾値THΔVを下回っているとき、隣接車両車間確保処理を実行する。これにより、自車10の車速Vが目標車速Vtar又はその近傍のときにのみ、隣接車両車間確保処理を行うことが可能となる。従って、当該処理を適切な時期にのみ実行することができるようになり、徒に前方隣接車両30a又は後方隣接車両30bによって自車10の位置を前後することを回避することができる。
【0058】
ECU26は、自車線前方目標車間距離Dif_tar及び自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDifを設定し、車間距離偏差ΔDifが車間距離偏差閾値TH_ΔDifを下回っているとき、隣接車両車間確保処理を実行し、車間距離偏差ΔDifが車間距離偏差閾値TH_ΔDifを上回っているとき、車間距離偏差ΔDifが車間距離偏差閾値TH_ΔDifを下回るようにアクセルペダル12の反力Frを調整する。これにより、自車線前方車間距離Difが適切な場合にのみ、隣接車両車間確保処理を実行し、自車線前方車間距離Difが適切でない場合、自車線前方車間距離Difを適切にすることを優先する。従って、自車線前方車間距離Difを維持しつつ、隣接車両車間確保処理を実行することができる。
【0059】
ECU26は、前方隣接車両30aと後方隣接車両30bが検出された場合、縦方向Xにおいて自車10が前方隣接車両30aと後方隣接車両30bの中間に位置にするようにアクセルペダル12の反力Frを調整するセンタリング処理を実行する。これにより、自車10の将来的な車線変更に備えることができる。また、前方隣接車両30aと後方隣接車両30bのいずれが不意に車線変更しても、自車10側での対応が容易となる。よって、運転支援を促進することができる。
【0060】
ECU26は、自車線前方車間距離Difが自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDifを下回っているときのみ、センタリング処理を実行する。これにより、自車10と自車線前方車両32aとの車間距離Difが車間距離偏差閾値TH_ΔDifを下回ることを優先するので、自車線前方車両32aとの車間距離Difの確保を図ることができる。
【0061】
後方隣接車両30bに対して隣接車両車間確保処理を実行すると、自車線前方車間距離偏差ΔDifが自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDifを上回ってしまうとき、ECU26は、自車10を後方隣接車両30bの後方に誘導する。これにより、自車10を後方隣接車両30bの後方に誘導し、当該後方隣接車両30bの後端と自車10の先端とが重ならないように隣接車両車間確保処理を図ることができる。
【0062】
自車線前方車間距離偏差ΔDifが自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDifを下回った状態を維持しつつ、前方隣接車両30aの先端と自車10の後端とが重ならないように隣接車両車間確保処理を実行することが可能な場合、ECU26は、自車10を前方隣接車両30aの前方に誘導する。これにより、自車前方車間距離Difを適切に維持しつつ、自車10を前方隣接車両30aの前方に誘導し、当該前方隣接車両30aの前方と自車10の後端とが重ならないように隣接車両車間確保処理を行うことができる。
【0063】
ECU26は、一方の隣接車線における前方隣接車両30aと他方の隣接車線における後方隣接車両30bが検出された場合、縦方向Xにおいて自車10が前方隣接車両30aと後方隣接車両30bの中間に位置にするようにアクセルペダル12の反力Frを調整するセンタリング処理を実行する(図5参照)。これにより、自車10の将来的な車線変更に備えることができる。また、前方隣接車両30aと後方隣接車両30bのいずれが不意に車線変更しても、自車10側での対応が容易となる。よって、運転支援を促進することができる。
【0064】
上記においてセンタリング処理が実行できない場合、ECU26は、両側の車線のうち、自車10との速度差が小さい方に対して隣接車両車間確保処理を実行する(ステップS27)。自車10との速度差が小さい隣接車両30a、30bは、運転者の死角に入り易いが、上記構成によれば、センタリング処理が実行できないとき、両側の車線のうち自車10との速度差が小さい方の車線を対象として隣接車両車間確保処理を実行する。従って、死角に入り易い隣接車両30a、30bが不意に車線変更しても、自車10側での対応が容易となる。
【0065】
上記においてセンタリング処理が実行できない場合、ECU26は、ナビゲーションシステム24の経路誘導機能において、自車10が車線変更する予定の車線を特定し、両側の車線のうち、自車10が車線変更する予定の側の車線にいる隣接車両30a、30bに対して隣接車両車間確保処理を実行する(ステップS26)。これにより、自車10が車線変更する予定の車線にいる隣接車両30a、30bに対して隣接車両車間確保処理を実行できる。従って、その後、実際に車線変更する際に、自車10は容易に車線変更をすることができる。
【0066】
運転者の車線変更意図が検出された場合、ECU26は、自車車速偏差閾値TH_ΔVを増大させる。これにより、自車10が車線変更する際は、自車10の車速Vを変化させ易くなる。従って、自車10は徒に目標車速Vtarに誘導されにくくなるため、車線変更の際の運転者の操作性が向上する。
【0067】
運転者の車線変更意図が検出された場合、ECU26は、自車線前方車間距離偏差閾値TH_ΔDifを増大させる。これにより、自車10が車線変更する際は、自車10と自車線前方車両32aとの車間距離Difを変化させ易くなる。従って、自車10は徒に目標車間距離Dif_tarに誘導されにくくなるため、車線変更の際の運転者の操作性が向上する。
【0068】
B.変形例
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0069】
上記実施形態では、アクセルペダル12への反力Frの付与により、位置決め処理を行ったが、これに限られない。例えば、エンジンスロットルのスロットル開度をECU26にて調整することで位置決め処理を行ってもよい。或いは、エンジンへの燃料噴射量を調整することで位置決め処理を行ってもよい。
【0070】
上記実施形態では、ステップS14において、対象車が3台以上である場合(S14:NO)又はセンタリング処理が不可能である場合(S15:NO)、ステップS17において、ECU26は、自車10を後方隣接車両30bよりも後方に移動させるように誘導したが、図12に示すように、後方隣接車両30bに対して隣接車両車間確保処理を行ってもよい。これにより、センタリング処理が実行できないとき、後方隣接車両30bとの間で隣接車両車間確保処理を実行する。従って、前方隣接車両30aよりも運転者が見落としやすい後方隣接車両30bが不意に車線変更しても、自車10側での対応が容易となる。なお、図12において、自車10から出ている2本線は、自車10の運転者の視野を示す。
【0071】
上記実施形態では、ステップS25において、車線変更の予定がない場合(S25:NO)、ECU26は、それぞれの車線を走行する隣接車両30a、30bの車速のいずれが自車10の車速Vに近いかを判定する。そして、車速Vに近い車速で走行している車線の対象車を対象とする処理を行った。これに代えて、自車10の走行車線を挟んで追い越し車線と反対側にある対象車に対して隣接車両車間確保処理を行ってもよい。一般に、追い越し車線を走行中の車両よりも、自車10の走行車線を挟んで追い越し車線と反対側の車線にいる車両の方が低速走行していることが多く、後者の車線にいる車両の方が自車の死角に入り易いといえる。上記構成によれば、センタリング処理が実行できないとき、両側の車線のうち、自車10の走行車線を挟んで追い越し車線と反対側の車線にいる隣接車両30a、30bに対して隣接車両車間確保処理を実行する。従って、死角に入り易い隣接車両30a、30bが不意に車線変更しても、自車10側での対応が容易となる。
【符号の説明】
【0072】
10…車両(自車) 12…アクセルペダル
14…リターンスプリング 16…踏込み量センサ
18…車速センサ 20…前方センサ
22…後方センサ 24…ナビゲーションシステム
26…ECU 28…アクチュエータ
29…方向指示器 30…隣接車両
30a…前方隣接車両 30b…後方隣接車両
32a…自車線前方車両 32b…自車線後方車両
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの出力を直接調整するか又はアクセルペダルに付与する反力を調整することにより間接的に前記エンジンの出力を調整するエンジン出力調整装置を有する車両であって、
前記車両は、さらに、
隣接する車線を走行する隣接車両を検出する隣接車両検出部と、
自車と前記隣接車両との車速偏差である対隣接車両車速偏差を算出する車速偏差算出部と
を備え、
前記エンジン出力調整装置は、
前記自車と前記隣接車両とが並走状態であることを示す前記対隣接車両車速偏差の閾値を設定し、
前記車速偏差が前記対隣接車両車速偏差の閾値よりも小さいとき、前記車線の走行方向において自車が前記隣接車両と重ならない位置に来るように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整する隣接車両車間確保処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項2】
請求項1記載の車両において、
前記隣接車両と重ならない位置とは、前記車線の走行方向において自車及び前記隣接車両の一方の前端と他方の後端との間に空隙が存在する位置であり、
前記エンジン出力調整装置は、自車の車速が高い程、前記空隙を大きくするように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整する
ことを特徴とする車両。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両において、
前記エンジン出力調整装置は、
自車の車速と目標車速との車速偏差である自車車速偏差について前記隣接車両車間確保処理を実行する範囲を規定する自車車速偏差閾値を設定し、
前記自車車速偏差が前記自車車速偏差閾値を上回っているとき、自車の車速が前記目標車速と等しくなるように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整し、
前記自車車速偏差が前記自車車速偏差閾値を下回っているとき、前記隣接車両車間確保処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両において、
前記エンジン出力調整装置は、
自車と同一車線の先行車と自車との前記走行方向の車間距離である自車線前方車間距離に関し、その目標値である自車線前方目標車間距離を設定し、前記自車線前方車間距離と前記自車線前方目標車間距離との偏差である自車線前方車間距離偏差に関し、前記隣接車両車間確保処理を実行する範囲を規定する自車線前方車間距離偏差閾値を設定し、
前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回っているとき、前記隣接車両車間確保処理を実行し、
前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を上回っているとき、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回るように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整する
ことを特徴とする車両。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両において、
前記エンジン出力調整装置は、
前記隣接車両として前方隣接車両と後方隣接車両が検出された場合、前記走行方向において自車が前記前方隣接車両と前記後方隣接車両の中間に位置にするように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整するセンタリング処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項6】
請求項4に従属する請求項5記載の車両において、
前記エンジン出力調整装置は、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回っているときのみ、前記センタリング処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項7】
請求項5又は6記載の車両において、
前記エンジン出力調整装置は、前記前方隣接車両と前記後方隣接車両との車間距離が短く、前記センタリング処理が実行できないとき、前記後方隣接車両との間で前記隣接車両車間確保処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項8】
請求項4に従属する請求項5記載の車両において、
前記後方隣接車両に対して前記隣接車両車間確保処理を実行すると、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を上回ってしまうとき、前記エンジン出力調整装置は、自車を前記後方隣接車両の後方に誘導する
ことを特徴とする車両。
【請求項9】
請求項4に従属する請求項5記載の車両において、
前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回った状態を維持しつつ、前記前方隣接車両の先端と自車の後端とが重ならないように前記隣接車両車間確保処理を実行することが可能な場合、前記エンジン出力調整装置は、自車を前記前方隣接車両の前方に誘導する
ことを特徴とする車両。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両において、
前記エンジン出力調整装置は、
前記隣接車両として一方の隣接車線における第1隣接車両と他方の隣接車線における第2隣接車両が検出された場合、前記走行方向において自車が前記第1隣接車両と前記第2隣接車両の中間に位置にするように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整するセンタリング処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項11】
請求項10記載の車両において、
前記センタリング処理が実行できない場合、前記エンジン出力調整装置は、前記第1隣接車両と前記第2隣接車両のうち、自車との車速差が小さい方に対して前記隣接車両車間確保処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項12】
請求項10記載の車両において、
前記センタリング処理が実行できない場合、前記エンジン出力調整装置は、前記第1隣接車両と前記第2隣接車両のうち、自車の走行車線を挟んで追い越し車線と反対側の車線にある方に対して前記隣接車両車間確保処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項13】
請求項10記載の車両において、
前記車両は、さらに、ナビゲーション装置を備え、
前記センタリング処理が実行できない場合、前記エンジン出力調整装置は、
前記ナビゲーション装置の経路誘導機能において、自車が車線変更する予定の車線を特定し、
前記第1隣接車両と前記第2隣接車両のうち、前記自車が車線変更する予定の側の車線にいる方に対して前記隣接車両車間確保処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項14】
請求項3及び請求項3に従属する請求項4〜13のいずれか1項に記載の車両において、
運転者の車線変更意図が検出された場合、前記エンジン出力調整装置は、前記自車車速偏差閾値を増大させる
ことを特徴とする車両。
【請求項15】
請求項4及び請求項4に従属する請求項5〜13のいずれか1項に記載の車両において、
運転者の車線変更意図が検出された場合、前記エンジン出力調整装置は、前記自車線前方車間距離偏差閾値を増大させる
ことを特徴とする車両。
【請求項1】
エンジンの出力を直接調整するか又はアクセルペダルに付与する反力を調整することにより間接的に前記エンジンの出力を調整するエンジン出力調整装置を有する車両であって、
前記車両は、さらに、
隣接する車線を走行する隣接車両を検出する隣接車両検出部と、
自車と前記隣接車両との車速偏差である対隣接車両車速偏差を算出する車速偏差算出部と
を備え、
前記エンジン出力調整装置は、
前記自車と前記隣接車両とが並走状態であることを示す前記対隣接車両車速偏差の閾値を設定し、
前記車速偏差が前記対隣接車両車速偏差の閾値よりも小さいとき、前記車線の走行方向において自車が前記隣接車両と重ならない位置に来るように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整する隣接車両車間確保処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項2】
請求項1記載の車両において、
前記隣接車両と重ならない位置とは、前記車線の走行方向において自車及び前記隣接車両の一方の前端と他方の後端との間に空隙が存在する位置であり、
前記エンジン出力調整装置は、自車の車速が高い程、前記空隙を大きくするように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整する
ことを特徴とする車両。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両において、
前記エンジン出力調整装置は、
自車の車速と目標車速との車速偏差である自車車速偏差について前記隣接車両車間確保処理を実行する範囲を規定する自車車速偏差閾値を設定し、
前記自車車速偏差が前記自車車速偏差閾値を上回っているとき、自車の車速が前記目標車速と等しくなるように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整し、
前記自車車速偏差が前記自車車速偏差閾値を下回っているとき、前記隣接車両車間確保処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両において、
前記エンジン出力調整装置は、
自車と同一車線の先行車と自車との前記走行方向の車間距離である自車線前方車間距離に関し、その目標値である自車線前方目標車間距離を設定し、前記自車線前方車間距離と前記自車線前方目標車間距離との偏差である自車線前方車間距離偏差に関し、前記隣接車両車間確保処理を実行する範囲を規定する自車線前方車間距離偏差閾値を設定し、
前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回っているとき、前記隣接車両車間確保処理を実行し、
前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を上回っているとき、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回るように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整する
ことを特徴とする車両。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両において、
前記エンジン出力調整装置は、
前記隣接車両として前方隣接車両と後方隣接車両が検出された場合、前記走行方向において自車が前記前方隣接車両と前記後方隣接車両の中間に位置にするように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整するセンタリング処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項6】
請求項4に従属する請求項5記載の車両において、
前記エンジン出力調整装置は、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回っているときのみ、前記センタリング処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項7】
請求項5又は6記載の車両において、
前記エンジン出力調整装置は、前記前方隣接車両と前記後方隣接車両との車間距離が短く、前記センタリング処理が実行できないとき、前記後方隣接車両との間で前記隣接車両車間確保処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項8】
請求項4に従属する請求項5記載の車両において、
前記後方隣接車両に対して前記隣接車両車間確保処理を実行すると、前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を上回ってしまうとき、前記エンジン出力調整装置は、自車を前記後方隣接車両の後方に誘導する
ことを特徴とする車両。
【請求項9】
請求項4に従属する請求項5記載の車両において、
前記自車線前方車間距離偏差が前記自車線前方車間距離偏差閾値を下回った状態を維持しつつ、前記前方隣接車両の先端と自車の後端とが重ならないように前記隣接車両車間確保処理を実行することが可能な場合、前記エンジン出力調整装置は、自車を前記前方隣接車両の前方に誘導する
ことを特徴とする車両。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両において、
前記エンジン出力調整装置は、
前記隣接車両として一方の隣接車線における第1隣接車両と他方の隣接車線における第2隣接車両が検出された場合、前記走行方向において自車が前記第1隣接車両と前記第2隣接車両の中間に位置にするように前記エンジンの出力を直接的又は間接的に調整するセンタリング処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項11】
請求項10記載の車両において、
前記センタリング処理が実行できない場合、前記エンジン出力調整装置は、前記第1隣接車両と前記第2隣接車両のうち、自車との車速差が小さい方に対して前記隣接車両車間確保処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項12】
請求項10記載の車両において、
前記センタリング処理が実行できない場合、前記エンジン出力調整装置は、前記第1隣接車両と前記第2隣接車両のうち、自車の走行車線を挟んで追い越し車線と反対側の車線にある方に対して前記隣接車両車間確保処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項13】
請求項10記載の車両において、
前記車両は、さらに、ナビゲーション装置を備え、
前記センタリング処理が実行できない場合、前記エンジン出力調整装置は、
前記ナビゲーション装置の経路誘導機能において、自車が車線変更する予定の車線を特定し、
前記第1隣接車両と前記第2隣接車両のうち、前記自車が車線変更する予定の側の車線にいる方に対して前記隣接車両車間確保処理を実行する
ことを特徴とする車両。
【請求項14】
請求項3及び請求項3に従属する請求項4〜13のいずれか1項に記載の車両において、
運転者の車線変更意図が検出された場合、前記エンジン出力調整装置は、前記自車車速偏差閾値を増大させる
ことを特徴とする車両。
【請求項15】
請求項4及び請求項4に従属する請求項5〜13のいずれか1項に記載の車両において、
運転者の車線変更意図が検出された場合、前記エンジン出力調整装置は、前記自車線前方車間距離偏差閾値を増大させる
ことを特徴とする車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−241363(P2010−241363A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94675(P2009−94675)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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