説明

車両

【課題】消費エネルギーの低減を図りつつ、車両の進路上の路面変化に対応した駆動力配分比に適切なタイミングで変更することができる車両を提供する。
【解決手段】車両のメインECU3は、第1情報取得部4Aにより取得された第1情報から導出される第1位置(A地点)の摩擦係数である第1摩擦係数μ1が、第2情報取得部4Bにより取得された第2情報から導出される第2位置(B地点)の摩擦係数である第2摩擦係数μ2より大きい場合に、これらの偏差Δμの大きさ|Δμ|が大きいほど、駆動力変更地点(C地点)が、進路上においてより第2位置(B地点)の手前となるように決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前輪または後輪の一方を第1駆動輪として該第1駆動輪をエンジンとモータとのいずれか一方または両方により駆動する第1駆動力と、残る他方を第2駆動輪として該第2駆動輪をモータにより必要に応じて駆動する場合の第2駆動力とを制御する駆動力制御手段を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両では、下記特許文献1に示すように、第2駆動輪の駆動が必要か否かを予測し、モータによる第2駆動輪の駆動が必要であると予測される場合に、第2駆動輪を駆動する構成が知られている。ここで、第2駆動輪の駆動が必要と予測される場合としては、車両の発進、低μ路走行、スノーモード走行、坂道走行等であると判定される場合が該当する(下記特許文献1 段落[0052])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−127790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車両では、第2駆動輪の駆動が必要と予測される場合には、既に車両が低μ路走行、スノーモード走行、坂道走行になっている。すなわち、予測ではなく、車両が低μ路走行、スノーモード走行、坂道走行になっている場合にこれを検知して、第2駆動輪を駆動させているに過ぎない。
【0005】
そのため、検知を行って第2駆動輪を駆動させるまでの間は、第2駆動輪を駆動させる必要があるにも拘らず、第2駆動輪が駆動しない状態となってしまうという問題がある。
【0006】
一方で、第2駆動輪を予め駆動させておくことも考えられるが、不要な場合にも第2駆動輪が駆動することになり、消費エネルギーの増大が懸念される。
【0007】
さらに、第2駆動輪の駆動を運転者の操作に任せた場合には、運転者は前方の路面状態の変化を目視できる状態になって初めてこの操作を行うことになるため、操作が間に合わなかったり、操作を間に合わせるためにブレーキ操作を必要として消費エネルギーが増大するという問題がある。
【0008】
以上の事情に鑑みて、本発明は、消費エネルギーの低減を図りつつ、車両の進路上の路面変化に対応した駆動力配分比に適切なタイミングで変更することができる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第1発明の車両は、
前輪または後輪の一方であってエンジンと第1モータとのいずれか一方または両方により駆動される第1駆動輪と、第1駆動輪以外の車輪であって第2モータにより駆動される第2駆動輪と、該第1駆動輪を駆動する第1駆動力と該第2駆動輪を駆動する第2駆動力との駆動力配分比を制御する駆動力制御手段とを備える車両であって、
前記車両の現在の位置である第1位置の路面摩擦係数である第1摩擦係数を取得する第1取得手段と、
前記車両の進路上の第2位置の路面摩擦係数である第2摩擦係数を取得する第2取得手段と
を備え、
前記駆動力制御手段は、前記第1取得手段により取得された前記第1摩擦係数が、前記第2取得手段により取得された前記第2摩擦係数より大きい場合に、該第1摩擦係数と該第2摩擦係数の偏差が大きいほど、該第1摩擦係数に対応した前記駆動力配分比を該第2摩擦係数に対応した該駆動力配分比に変更する駆動力変更地点が、前記進路上においてより前記第2位置の手前となるように該駆動力変更地点を決定することを特徴とする。
【0010】
第1発明の車両によれば、第2位置が低μ路である場合のように、第1摩擦係数が第2摩擦係数に比して大きい場合に、第1摩擦係数と第2摩擦係数との偏差が大きいほど、第2位置のより手前で駆動力配分比が変更される。
【0011】
ここで、第1位置から直ぐに駆動力配分比を変更した場合には、現在の走行路面(高μ路)の状況に応じた最適な駆動力配分比が損なわれ、消費エネルギーの増大が懸念される。しかしながら、本発明によれば、第1摩擦係数と第2摩擦係数の偏差が小さい場合には、第2位置に近い位置で駆動力配分比が変更されるため、消費エネルギーの増大を抑制することができる。
【0012】
一方、第1摩擦係数と第2摩擦係数との偏差が大きい場合には、第1位置と第2位置との間で路面摩擦係数が(低μ路に)急激に変化している可能性がある。このような場合に、第2位置に近づいてから駆動力配分比を変更すると、既に路面の状態が第2摩擦係数に変化しているなど駆動力配分比の変更が場当たり的なものとなることが懸念される。しかしながら、本発明によれば、第1摩擦係数と第2摩擦係数の偏差が大きい場合には、第2位置に対してより手前で駆動力配分比が変更されるため、かかる路面摩擦係数の変化に対して予め駆動力配分比を変更させておくことができる。
【0013】
このように、第1発明の車両によれば、消費エネルギーの低減を図りつつ、車両の進路上の路面変化に対応した駆動力配分比に適切なタイミングで変更することができる。
【0014】
第2発明の車両は、第1発明において、
前記車両の走行速度を取得する速度取得手段を備え、
前記駆動力制御手段は、前記速度取得手段により取得された走行速度に応じて、該走行速度が大きいほど、前記駆動力変更地点が、前記進路上においてより前記第2位置の手前となるように該駆動力変更地点を決定することを特徴とする。
【0015】
第2発明の車両によれば、駆動力変更地点が同じでも、車両の走行速度の違いによって駆動力変更地点から第2位置へ到達するまでの時間が異なる。すなわち、走行速度が大きい場合には、走行速度が小さい場合に比して駆動力変更地点から第2位置へ到達するまでの時間は短くなる。
【0016】
そこで、走行速度が大きいほど、駆動力変更地点がより第2位置の手前になるようにすることで、駆動力変更地点から第2位置へ到達するまでの時間を確保することができ、時間的に第2位置の直前で駆動力が変更されることにより運転者がブレーキ操作を行い消費エネルギーが増大する事態を回避することができる。
【0017】
第3発明の車両は、第1または第2発明において、
前記駆動力制御手段は、前記駆動力変更地点において、前記第1駆動力に対する前記第2駆動輪の駆動力の配分比を大きくすることを特徴とする。
【0018】
第3発明の車両によれば、第2位置が低μ路である場合のように、第2摩擦係数が第1摩擦係数に比して小さい場合に、駆動力変更地点において、第1駆動輪の第1駆動力に対する第2駆動輪に作用する第2駆動力の割合を増加させる。
【0019】
すなわち、駆動力変更地点より前では、第1駆動力に対する第1駆動力の割合を小さくしておくことで、第2駆動輪の駆動による消費エネルギーの低減を図ることができる。さらに、駆動力変更地点より後では、第1駆動力に対する第2駆動力の割合を大きくすることで、路面の状態が第1摩擦係数から第2摩擦係数に変化する前に、駆動力配分比を第2摩擦係数に対応したものに変更しておくことができる。
【0020】
これにより、消費エネルギーの低減を図りつつ、車両の進路上の路面変化に対応した駆動力配分比に適切なタイミングで変更することができる。
【0021】
第4発明の車両は、
前輪または後輪の一方であってエンジンと第1モータとのいずれか一方または両方により駆動される第1駆動輪と、第1駆動輪以外の車輪であって第2モータにより駆動される第2駆動輪と、該第1駆動輪を駆動する第1駆動力と該第2駆動輪を駆動する第2駆動力との駆動力配分比を制御する駆動力制御手段とを備える車両であって、
前記車両の現在の位置である第1位置の路面摩擦係数である第1摩擦係数を取得する第1取得手段と、
前記車両の進路上の第2位置の路面摩擦係数である第2摩擦係数を取得する第2取得手段と
を備え、
前記駆動力制御手段は、前記第1取得手段により取得された前記第1摩擦係数が、前記第2取得手段により取得された前記第2摩擦係数より小さい場合に、該第1摩擦係数と該第2摩擦係数の偏差が大きいほど、該第1摩擦係数に対応した前記駆動力配分比を該第2摩擦係数に対応した該駆動力配分比に変更する駆動力変更地点が、前記進路上においてより前記第2位置に近い位置となるように該駆動力変更地点を決定することを特徴とする。
【0022】
第4発明の車両によれば、第1位置が低μ路である場合のように、第1摩擦係数が第2摩擦係数に比して小さい場合に、第1摩擦係数と第2摩擦係数との偏差が大きいほど、より第2位置に近い位置で駆動力配分比が変更される。
【0023】
ここで、第1位置から直ぐに第2摩擦係数(高μ路)に対応した駆動力配分比に変更した場合には、消費エネルギーの低減を図ることができるが、路面の状態が未だ第1摩擦係数(低μ路)であるにも拘らず、駆動力配分比が変更されてしまうことが懸念される。しかしながら、本発明によれば、第1摩擦係数と第2摩擦係数の偏差が大きい場合には、第2位置により近い位置で駆動力配分比が変更されるため、路面の状態が未だ第1摩擦係数(低μ路)であるにも拘らず、駆動力配分比を変更させてしまうことを回避することができる。
【0024】
一方、第1摩擦係数と第2摩擦係数との偏差が小さい場合には、第1位置と第2位置との間で路面摩擦係数の変化は小さく緩やかである場合が多く、消費エネルギーの低減を重視した駆動力配分比の変更が求められる。本発明によれば、第1摩擦係数と第2摩擦係数の偏差が小さいほど、より第2位置の手前で駆動力配分比が変更されるため、消費エネルギーの低減を図ることができる。
【0025】
このように、第4発明の車両によれば、消費エネルギーの低減を図りつつ、車両の進路上の路面変化に対応した駆動力配分比に適切なタイミングで変更することができる。
【0026】
第5発明の車両は、
前記駆動力制御手段は、前記駆動力変更地点において、前記第1駆動力に対する前記第2駆動輪の駆動力の配分比を小さくすることを特徴とする。
【0027】
第5発明の車両によれば、第1位置が低μ路である場合のように、第2摩擦係数が第1摩擦係数に比して大きい場合に、駆動力変更地点において、第1駆動輪の第1駆動力に対する第2駆動輪に作用する第2駆動力の割合を減少させる。
【0028】
すなわち、駆動力変更地点より前では、第1駆動力に対する第1駆動力の割合を大きくしておくことで、路面の状態が第1摩擦係数(低μ路)である可能性がある場合に、駆動力配分比を第1摩擦係数に対応したものとしておくことができる。さらに、駆動力変更地点より後では、第1駆動力に対する第2駆動力の割合を小さくすることで、第2駆動輪の駆動による消費エネルギーの低減を図ることができる。
【0029】
これにより、消費エネルギーの低減を図りつつ、車両の進路上の路面変化に対応した駆動力配分比に適切なタイミングで変更することができる。
【0030】
第6発明の車両は、第1〜第5発明のいずれかにおいて、
前記第2取得手段は、前記車両に搭載されたナビゲーション装置の地図情報と、前記進路上における前記車両以外の他車両の走行履歴情報と、前記進路上に設置されて路面の状態を検出する路面検出装置の出力情報との一部または全部から前記第2摩擦係数を取得することを特徴とする。
【0031】
第6発明の車両によれば、車両に搭載されたナビゲーションの地図情報と、前記進路上における前記車両以外の他車両の走行履歴情報と、前記進路上に設置されて路面の状態を検出する路面検出装置の出力情報との一部または全部から、第2位置の第2摩擦係数を精度よく認識して取得することができる。かかる第2摩擦係数に基づいて、駆動力変更地点を決定することで、消費エネルギーの低減を図りつつ、車両の進路上の路面変化に対応した駆動力配分比に適切なタイミングで変更することができる。
【0032】
第7発明の車両は、第1〜第6発明のいずれかにおいて、
前記駆動力制御手段は、決定された前記駆動力変更地点の手前で駆動力の変更を予告する報知手段を備えることを特徴とする。
【0033】
第7発明の車両によれば、報知手段を介して駆動力が変更されることを前以て予告することで、駆動力が変更されることを運転者に認識させることができる。これにより、運転者に安心感を与えてドライバビリティを向上させることができると共に、運転者がブレーキ操作を行い消費エネルギーが増大する事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態の車両の全体構成図。
【図2】本実施の形態におけるメインECUによる処理を示すフローチャート。
【図3】図2のSTEP19の処理を示すフローチャート。
【図4】メインECUによる処理内容を示すタイムチャート。
【図5】メインECUによる処理内容を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に示すように、本実施形態の車両は、例えば、四輪駆動型のハイブリッド車両であって、内燃機関であるエンジン1と、バッテリ2から供給される電力によって回転する第1モータ11および第2モータ12と、これらのエンジン1、第1モータ11、第2モータ12等を集中的に管理および制御するメインECU3(Electric Control Unit、本発明の駆動力制御手段に相当する)とを有する。メインECU3は、情報取得部4に接続された情報取得部4を介して取得された情報に基づいた処理を行う。
【0036】
補足すれば、メインECU3は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、CPU(Central Processing Unit)、入出力インターフェース、タイマ等からなるマイクロコンピュータ(図示せず)であり、ROMに記録されたプログラムおよびデータに従って処理を行う。
【0037】
また、ハイブリッド車両は、エンジン1および第1モータ11によって駆動される前輪6(本発明の第1駆動輪に相当する)と、第2モータ12によって駆動される後輪7(本発明の第2駆動輪に相当する)とを有する。
【0038】
エンジン1と第1モータ11は、共通の駆動軸に接続されており、ギア機構およびディファレンシャルギア等(いずれも図示省略)を介して前輪6を駆動する。第2モータ12は、同様にギア機構およびディファレンシャルギア等(いずれも図示省略)を介して後輪7を駆動する。
【0039】
さらに、ハイブリッド車両は、第1モータ11の電力制御を行う第1PDU(インバータ機能を有し電流制御を行うPower Drive Unit)21および第2モータ12の電力制御を行う第2PDU(Power Drive Unit)22を備え、第1モータ11および第2モータ12は、第1PDU21,第2PDU22の制御下に発電機としても機能する。すなわち、第1モータ11は、エンジン1または前輪6から駆動力を受けて発電または回生を行い、バッテリ2に充電することができ、第2モータ12は、後輪7から駆動力を受けて回生を行いバッテリ2に充電することができる。
【0040】
メインECU3は、目標駆動力算出部3Aと、前後輪配分比決定部3Bと、駆動力変更地点決定部3Cとを備える。
【0041】
目標駆動力算出部3Aは、情報取得部4に接続された情報取得部4を介して取得された情報(路面情報)に基づいて、車両全体の目標駆動力(前輪6,6の第1駆動力および後輪7,7の第2駆動力の合算値)の上限閾値を設定すると共に、設定した上限閾値の範囲内で、図示しないアクセル開度センサおよび車速センサの出力値等に基づいて車両の目標駆動力(瞬時値)を逐次算出する。
【0042】
前後輪配分比決定部3Bは、情報取得部4に接続された情報取得部4を介して取得された情報(路面情報)に基づいて、目標駆動力算出部3Aで算出された目標駆動力を、前輪6,6の第1駆動力および後輪7,7の第2駆動力に配分する配分比を決定する。
【0043】
駆動力変更地点決定部3Cは、情報取得部4に接続された情報取得部4を介して取得された情報(路面情報)に基づいて、第2モータ12を駆動するか否かおよび駆動する場合にはどのタイミングで駆動するかを決定する。
【0044】
なお、メインECU3による処理は、詳細を後述する。
【0045】
また、メインECU3は、エンジンECU30と、第1モータECU31と、第2モータECU32と、バッテリECU33とに接続され、エンジンECU30によりエンジン1の制御が実行され、バッテリECU33によりバッテリ2の充放電の制御が実行される。また、第1モータECU31により第1PDU21を介して第1モータ11が制御され、第2モータECU32により第2PDU22を介して第2モータ12が制御される。
【0046】
情報取得部4は、第1情報取得部4A(本発明の第1取得手段に相当する)と、第2情報取得部4B(本発明の第2取得手段に相当する)とを備える。
【0047】
第1情報取得部4Aは、車両の現在の走行路面である第1位置に関する第1情報を取得する。ここで第1情報は、第1位置の路面摩擦係数である第1摩擦係数μ1またはこれを導出できる情報である。
【0048】
本実施形態、第1情報として、自車両が備える第1摩擦係数μ1を推定する種々の路面摩擦係数演算部の出力値(第1摩擦係数μ1)を取得する。
【0049】
なお、路面摩擦係数演算部の構成については、本願出願人による先行技術文献(特開2009−274582号公報 段落[0019])に説明がなされているためここでの詳細な説明を省略するが、路面摩擦係数演算部の処理の概要は、前輪6,6および後輪7,7の速度VおよびブレーキトルクTをそれぞれ図示しない車輪速センサおよびブレーキトルクセンサで検出し、下式(1)の関係式から第1摩擦係数μ1を算出する。
【0050】
μ1=[T+(I×(dw/dt))/R]/W
ここで、Iは車輪慣性モーメントであり、Rは車輪半径であり、wは車輪回転速度であり、Wは車輪の接地荷重であり、V=R・wの関係が成り立つ。
【0051】
次に、第2情報取得部4Bは、車両の進路上の第2位置に関する第2情報を取得する。ここで第2情報は、第2位置の路面摩擦係数である第2摩擦係数μ2またはこれを導出できる情報である。
【0052】
第2情報としては、車外装置により第2位置の路面状態を計測した計測値等が該当する。車外装置としては、自車両の進路上で先を行く他車両が備える路面摩擦係数演算部、他車両から提供された情報(第2摩擦係数μ2)が蓄積された情報サーバ、ビーコン等の情報発信手段等が該当する。
【0053】
また、第2情報としては、他車両の路面摩擦係数演算部の出力値(第2摩擦係数μ2)、情報サーバから取得可能な情報であって他車両により提供された路面情報(第2摩擦係数μ2)、ビーコン等の情報発信手段から取得可能な進路上の路面状態に関する情報(例えば、路面が凍結した状態,水に濡れた状態,乾燥した状態等の情報)が該当する。
【0054】
さらに、ハイブリッド車両は、メインECUに接続された報知手段8を備える。報知手段8は、例えば、メータパネル内に設けられた表示装置やスピーカ等の音響装置であって、駆動力変更地点決定部3Cにより決定された駆動力変更のタイミングに先立って、駆動力変更の予告をユーザである運転者に視覚的または聴覚的に報知する。
【0055】
次に、図2に示すフローチャートを参照して、メインECU3による処理の詳細を説明する。
【0056】
まず、メインECU3は、情報取得部4の第1情報取得部4Aを介して、自車両が現在走行中の第1位置の摩擦係数である第1摩擦係数μ1を取得する(図2/STEP11)。
【0057】
次いで、メインECU3は、情報取得部4の第2情報取得部4Bを介して、自車両の進路上の路面である第2位置の路面情報としての第2情報が取得できたか否かを判定する(図2/STEP12)。
【0058】
そして、メインECU3は、第2情報が取得できるまでこの判定を繰り返し(図2/STEP12でNO)、第2情報が取得できたタイミングで(図2/STEP12でYES)、取得した第2情報から第2位置の摩擦係数である第2摩擦係数μ2を導出する。
【0059】
ここで、第2摩擦係数μ2の導出は、第2情報自体に第2摩擦係数μ2が包含されている場合には、この包含されている第2摩擦係数μ2をそのまま用いる。例えば、第2情報として、他車両により提供された第2情報に第2摩擦係数μ2が含まれる場合に、この第2摩擦係数μ2をそのまま用いる。
【0060】
一方、第2摩擦係数μ2が含まれていない場合には、第2情報から第2摩擦係数μ2を推定する。例えば、第2情報が、ビーコン等の情報発信手段から取得可能な進路上の路面状態情報(例えば、路面が凍結した状態,水に濡れた状態,乾燥した状態等)である場合には、路面状態情報から対応する第2摩擦係数μ2を、予めメモリ等に記憶されたマップ、テーブル、関係式等(以下マップ等という)を参照することで推定する。
【0061】
なお、第2情報として取得する情報は、自車両の進路上の路面すべてについて取得してもよいが、図示しないナビゲーション装置等の地図情報を基に取得する範囲を自車両との距離に応じて限定(例えば、自車両の前方5kmの範囲など限定)されることが好ましい。これにより、現在から離れた進路上の第2位置の第2摩擦係数μ2に基づいて駆動力配分比が変更されることを回避することができる。
【0062】
次いで、メインECU3は、STEP11で取得した第1摩擦係数μ1と、STEP13で導出した第2摩擦係数μ2との偏差Δμを算出する(図2/STEP14)。
【0063】
次に、メインECU3は、STEP14で算出した偏差Δμの大きさ|Δμ|が予め設定された所定の閾値以上となっているか否かに基づいて、前輪6,6の第1駆動力と、後輪7,7の第2駆動力との駆動力配分比の変更が必要であるか否かを判定する(図2/STEP15)。
【0064】
例えば、図4(a)に路面摩擦係数が高μ路から低μ路に変化する場合(μ1>μ2の場合)を示すように、第1位置のA地点の第1摩擦係数μ1が乾燥したアスファルト路面であり、第2位置のB地点の第2摩擦係数μ2が積雪路である場合に、メインECU3は、|Δμ|=|μ1−μ2|が閾値以上となることから、前輪6,6の第1駆動力と、後輪7,7の第2駆動力(通常、乾燥したアスファルト路面では0)との駆動力配分比を変更する必要があると判定する。
【0065】
そして、メインECU3は、駆動力配分比の変更が必要でないと判定した場合には(図2/STEP15でNO)、一連の処理を終了する。一方、メインECU3は、駆動力配分比の変更が必要であると判定した場合には(図2/STEP15でYES)、目標駆動力算出部3Aが、第2摩擦係数μ2に対応した目標駆動力の上限閾値を設定する(図2/STEP16)。
【0066】
ここで目標駆動力の上限閾値は、図示しないメモリ等に予め記憶された路面摩擦係数μと上限閾値との関係を規定したマップ等を参照することにより決定される。
【0067】
次いで、メインECU3の前後輪配分比決定部3Bは、第2摩擦係数μ2に対応した前輪6,6の第1駆動力と、後輪7,7の第2駆動力との駆動力配分比を決定する(図2/STEP17)。
【0068】
ここで駆動力配分比は、図示しないメモリ等に予め記憶された路面摩擦係数μと駆動力配分比との関係を規定したマップ等を参照することにより決定される。
【0069】
次に、メインECU3の駆動力変更地点決定部3Cは、図示しないナビゲーション装置等の地図情報を参照して、自車両の現在位置(第1位置)と、第2情報に係る位置(第2位置)との距離Dを算出する(図2/STEP18)。
【0070】
例えば、図4(a)に示すように、駆動力変更地点決定部3Cは、第1情報に係るA地点(第1位置)と、第2情報に係るB地点(第2位置)との距離Dを算出する。
【0071】
次いで、駆動力変更地点決定部3Cは、駆動力変更地点決定処理を実行する(図2/STEP19)。
【0072】
かかる駆動力変更地点決定処理では、STEP14で算出した|Δμ|から、駆動力を変更する駆動力変更地点を図3に示すフローチャートに従って決定する。
【0073】
まず、駆動力変更地点決定部3Cは、第1摩擦係数μ1と第2摩擦係数μ2とに変化がないか判定する(図3/STEP20)。ここで、第1摩擦係数μ1と第2摩擦係数μ2とに変化がない場合としては、μ1=μ2の場合のみならず、変化があっても変化が非常に小さい場合(|Δμ|≒0)を含む。
【0074】
そして、駆動力変更地点決定部3Cは、第1摩擦係数μ1と第2摩擦係数μ2とに変化がない場合には(図3/STEP20でYES)、この処理を終了し、第1摩擦係数μ1と第2摩擦係数μ2とに変化がある場合には(図3/STEP20でNO)、第1摩擦係数μ1が第2摩擦係数μ2より大きいか否かを判定する(図3/STEP21)。すなわち、路面の状態が高μ路から低μ路に変化しているか否かを判定する。
【0075】
そして、第1摩擦係数μ1が第2摩擦係数μ2より大きい場合には(図3/STEP21でYES)、駆動力変更地点決定部3Cは、図4(a)に示すように、この場合の駆動力変更地点であるC地点を、自車両の進路上で第2情報に係るB地点(第2位置)からの距離Xを用いて、次のように決定する(図3/STEP22)。すなわち、図5(a)に示す、|Δμ|と第2位置からの距離Xとの関係を規定したマップ等に基づいて、|Δμ|が大きいほど、距離Xが大きくなるように駆動力変更地点(C地点)を決定する。
【0076】
例えば、図5(a)では、第1位置のA地点の第1摩擦係数μ1が乾燥したアスファルト路面であり、第2位置のB地点の第2摩擦係数μ2が積雪路である場合の|Δμ|では、駆動力変更地点Cは、B地点からの距離X1の位置に決定される。
【0077】
一方、第1位置のA地点の第1摩擦係数μ1が乾燥したアスファルト路面であり、第2位置のB地点の第2摩擦係数μ2´が水に濡れたウエットアスファルト路面である場合の|Δμ´|では、駆動力変更地点C´は、B地点からの距離X2の位置に決定される。このとき、|Δμ´|<|Δμ|から、X2<X1 の関係となっている。
【0078】
このようにして、駆動力変更地点(C地点,C´地点)を決定することで、|Δμ|が小さい場合には、第2位置の近くで駆動力の配分が変更され、消費エネルギーの増大を抑制することができると共に、|Δμ|が大きい場合には、第2位置のより手前で駆動力配分比が変更されるため、変更中に車両が第2位置に到達する事態や、運転者がブレーキ操作を行い消費エネルギーが増大する事態などを回避することができる。
【0079】
ここで、駆動力変更地点で変更される駆動力配分比は、図4(a)に示すように、駆動力変更地点(C地点,C´地点)の前では、前輪6,6に第1駆動力のみを作用させ、駆動力変更地点(C地点,C´地点)の後では、前輪6,6に第1駆動力を作用させることに加えて、後輪7,7に第2駆動力を作用させる。さらに後輪7,7に作用する第2駆動力の割合は、第2摩擦係数μ2,μ2´に応じて、第2摩擦係数が小さいほど第2駆動力の割合が大きくなるように決定される。
【0080】
以上から、駆動力変更地点(C地点,C´地点)の前では、現在の走行路面の状況に応じた最適な駆動力配分比を維持して消費エネルギーの低減を図ることができると共に、路面状態が変化する前に、駆動力配分比を第2摩擦係数μ2に対応したものとすることができる。
【0081】
さらに、駆動力変更地点は、|Δμ|が小さい場合(駆動力変更地点がC´である場合)、現在の駆動力配分比が長く維持され、消費エネルギーの低減を重視した駆動力配分比の変更を実現することができる。一方、|Δμ|が大きい場合(駆動力変更地点がCである場合)、路面摩擦係数の大きな変化に対応した駆動力配分比への変更を実現することができる。
【0082】
次に、駆動力変更地点決定部3Cは、STEP22で算出された距離Xを補正して(図3/STEP23)、一連の処理を終了する。ここでの補正処理としては、以下の第1から第3の態様の一部または全部を採用することができる。
【0083】
補正処理の第1の態様としては、STEP18で算出した第1地点と第2地点との距離Dに応じて距離Xを補正する。例えば、第1地点と第2地点との距離Dが所定の下限閾値を下回る場合には、自車両が第2地点の直前に位置しているため、距離Xが大きくなるように補正する。これにより、駆動力配分比を早期に変更可能とすることができる。
【0084】
また、補正処理の第2の態様としては、車速に応じて、距離Xを補正するようにしてもよい。具体的には、図5(b)に示すように、車速が大きいほど、駆動力変更地点(C地点)が第2位置のより手前となるように補正する。
【0085】
例えば、距離X1が時速60[km/h]である場合に、車速が時速80[km/h]、時速100[km/h]の場合には、距離X1を距離X11、X12に補正することが好ましい(ただし、X12>X11>X1)。同様に、車速が時速40[km/h]の場合には、距離X1を距離X13に補正することが好ましい(ただし、X13<X1)。
【0086】
これにより、駆動力変更地点(C地点)が同じでも、車速が大きい場合には、車速が小さい場合に比して駆動力変更地点から第2位置であるB地点へ到達するまでの時間は短くなるが、車速が大きいほど、駆動力変更地点(C地点)がより第2地点(B地点)の手前になるようにすることで、駆動力変更地点(C地点)から第2位置(B地点)へ到達するまでの時間を概ね一定時間確保することができ、運転者がブレーキ操作を行い消費エネルギーが増大するような事態を回避することができる。
【0087】
さらに、補正処理の第3の態様としては、第2位置(B地点)の傾斜勾配に応じて、距離Xを補正するようにしてもよい。具体的には、車両が備えるナビゲーション装置の地図情報に高低差情報を付加しておき、第2位置に傾斜勾配がある場合には、駆動力変更地点がより第2位置の手前となるように補正してもよい。さらに、傾斜勾配が上り勾配であるか、下り勾配であるかに応じて補正量を変更するようにしてもよい。例えば、第2位置の第2摩擦係数が同じでも、第2位置が下り勾配の場合には、後輪7,7側の軸重量の低下により限界駆動力が小さくなることに対応させることができ、車両の進路上の実質的な路面変化に対応させて、駆動力配分比を適切なタイミングで変更することができる。
【0088】
一方、STEP21で、第1摩擦係数μ1が第2摩擦係数μ2より小さい場合には(図3/STEP21でNO)、駆動力変更地点決定部3Cは、図4(b)に示すように、この場合の駆動力変更地点であるC地点を、自車両の進路上で第2情報に係るB地点(第2位置)からの距離Yを用いて、次のように決定する(図3/STEP26)。すなわち、図5(a)に対応したマップ等(図示省略)により、|Δμ|が大きいほど、距離Yが小さくなるように駆動力変更地点(C地点)を決定する。
【0089】
これにより、第1位置が低μ路である場合のように、第1摩擦係数が第2摩擦係数に比して小さい場合に、路面の状態が未だ第1摩擦係数(低μ路)であるにも拘らず、駆動力配分比が変更されてしまうことが懸念されるが、第1摩擦係数と第2摩擦係数の偏差が大きい場合には、第2位置により近い位置で駆動力配分比が変更されるため、路面の状態が未だ第1摩擦係数(低μ路)であるにも拘らず、駆動力配分比を変更させてしまうことを回避することができる。
【0090】
さらに、第1摩擦係数と第2摩擦係数との偏差が小さい場合には、第1位置と第2位置との間で路面摩擦係数の変化は小さく緩やかである場合が多く、消費エネルギーの低減を重視した駆動力配分比の変更が求められるが、第1摩擦係数と第2摩擦係数の偏差が小さいほど、より第2位置の手前で駆動力配分比が変更されるため、消費エネルギーの低減を図ることができる。
【0091】
次に、駆動力変更地点決定部3Cは、STEP26で算出された距離Yを補正して(図3/STEP27)、一連の処理を終了する。ここでの補正処理は、前記STEP23の距離Xの補正処理に対応するものである。
【0092】
補正処理の第1の態様としては、STEP18で算出した第1地点と第2地点との距離Dに応じて距離Yを補正する。例えば、第1地点と第2地点との距離Dが所定の下限閾値を下回る場合には、自車両が第2地点の直前に位置しているため、距離Yが大きくなるように補正する。これにより、駆動力配分比を早期に変更可能とすることができる。
【0093】
また、補正処理の第2の態様としては、車速が大きいほど、距離Yが大きくなるように、すなわち、駆動力変更地点(C地点)がより第2位置に近い位置となるように補正する。これにより、第1摩擦係数に対応した駆動力配分を時間的に長く維持することができ、運転者に安心感を与えることができる。
【0094】
さらに、補正処理の第3の態様としては、第1位置(A地点)の傾斜勾配に応じて、距離Yを補正するようにしてもよい。具体的には、第1位置に傾斜勾配がある場合には、駆動力変更地点がより第2位置に近い位置となるように補正してもよい。さらに、傾斜勾配が上り勾配であるか、下り勾配であるかに応じて補正量を変更するようにしてもよい。例えば、第1位置の第1摩擦係数が同じでも、第1位置が下り勾配の場合には、後輪7,7側の軸重量の低下により限界駆動力が小さくなることに対応させることができ、車両の進路上の実質的な路面変化に対応させて、駆動力配分比を適切なタイミングで変更することができる。
【0095】
なお、メインECU3は、STEP23またはSTEP27で補正された駆動力変更地点(C地点)に合わせて、これに先立って(正確には、時間的または距離的に前以って)駆動力変更の予告をユーザである運転者に報知手段8を介して視覚的または聴覚的に報知することで(図4(a)のD地点参照)、駆動力が変更されることを運転者に予め認識させることができる。これにより、運転者に安心感を与えてドライバビリティを向上させることができる と共に、運転者がブレーキ操作を行い消費エネルギーが増大する事態を回避することができる。
【0096】
以上が、メインECU3による処理の詳細であり、上述のように、本実施形態の車両によれば、消費エネルギーの低減を図りつつ、車両の進路上の路面変化に対応した駆動力配分比に適切なタイミングで変更することができる。
【0097】
なお、本実施形態では、車両として、第1モータ11および第2モータ12を備える車両(電動4WD)を例に説明したが、当該電源システムが搭載される車両はこれに限定されるものでなく、バッテリ2から供給された電力により車両を推進させるものであれば、シリーズ型ハイブリッド車両やパラレル型ハイブリッド車両のほか、蓄電手段を備える燃料電池車両や電気自動車等であってもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…エンジン、2…バッテリ、3…メインECU(駆動力制御手段)、3A…目標駆動力算出部、3B…前後輪配分比決定部、3C…駆動力変更地点決定部、4…情報取得部、4A…第1情報取得部(第1取得手段)、4B…第2情報取得部(第2取得手段)、6…前輪(第1駆動輪)、7…後輪(第2駆動輪)、8…報知手段、11…第1モータ、12…第2モータ、21…第1PDU、22…第2PDU、30…エンジンECU、31…第1モータECU、32…第2モータEUC、33…バッテリECU。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪または後輪の一方であってエンジンと第1モータとのいずれか一方または両方により駆動される第1駆動輪と、第1駆動輪以外の車輪であって第2モータにより駆動される第2駆動輪と、該第1駆動輪を駆動する第1駆動力と該第2駆動輪を駆動する第2駆動力との駆動力配分比を制御する駆動力制御手段とを備える車両であって、
前記車両の現在の位置である第1位置の路面摩擦係数である第1摩擦係数を取得する第1取得手段と、
前記車両の進路上の第2位置の路面摩擦係数である第2摩擦係数を取得する第2取得手段と
を備え、
前記駆動力制御手段は、前記第1取得手段により取得された前記第1摩擦係数が、前記第2取得手段により取得された前記第2摩擦係数より大きい場合に、該第1摩擦係数と該第2摩擦係数の偏差が大きいほど、該第1摩擦係数に対応した前記駆動力配分比を該第2摩擦係数に対応した該駆動力配分比に変更する駆動力変更地点が、前記進路上においてより前記第2位置の手前となるように該駆動力変更地点を決定することを特徴とする車両。
【請求項2】
請求項1記載の車両において、
前記車両の走行速度を取得する速度取得手段を備え、
前記駆動力制御手段は、前記速度取得手段により取得された走行速度に応じて、該走行速度が大きいほど、前記駆動力変更地点が、前記進路上においてより前記第2位置の手前となるように該駆動力変更地点を決定することを特徴とする車両。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両において、
前記駆動力制御手段は、前記駆動力変更地点において、前記第1駆動力に対する前記第2駆動輪の駆動力の配分比を大きくすることを特徴とする車両。
【請求項4】
前輪または後輪の一方であってエンジンと第1モータとのいずれか一方または両方により駆動される第1駆動輪と、第1駆動輪以外の車輪であって第2モータにより駆動される第2駆動輪と、該第1駆動輪を駆動する第1駆動力と該第2駆動輪を駆動する第2駆動力との駆動力配分比を制御する駆動力制御手段とを備える車両であって、
前記車両の現在の位置である第1位置の路面摩擦係数である第1摩擦係数を取得する第1取得手段と、
前記車両の進路上の第2位置の路面摩擦係数である第2摩擦係数を取得する第2取得手段と
を備え、
前記駆動力制御手段は、前記第1取得手段により取得された前記第1摩擦係数が、前記第2取得手段により取得された前記第2摩擦係数より小さい場合に、該第1摩擦係数と該第2摩擦係数の偏差が大きいほど、該第1摩擦係数に対応した前記駆動力配分比を該第2摩擦係数に対応した該駆動力配分比に変更する駆動力変更地点が、前記進路上においてより前記第2位置に近い位置となるように該駆動力変更地点を決定することを特徴とする車両。
【請求項5】
請求項4記載の車両において、
前記駆動力制御手段は、前記駆動力変更地点において、前記第1駆動力に対する前記第2駆動輪の駆動力の配分比を小さくすることを特徴とする車両。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか1項記載の車両において、
前記第2取得手段は、前記車両に搭載されたナビゲーション装置の地図情報と、前記進路上における前記車両以外の他車両の走行履歴情報と、前記進路上に設置されて路面の状態を検出する路面検出装置の出力情報との一部または全部から前記第2摩擦係数を取得することを特徴とする車両。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちいずれか1項記載の車両において、
前記駆動力制御手段は、決定された前記駆動力変更地点の手前で駆動力の変更を予告する報知手段を備えることを特徴とする車両。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−230543(P2011−230543A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100003(P2010−100003)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】