説明

車体位置決め装置

【課題】車体フレームの取付位置を三次元に調整できること。
【解決手段】定盤11に設けられた一対の支柱12にクランプ13が設置され、これら一対のクランプに車体フレーム1を、車体支持軸14を介して支持し位置決めする車体位置決め装置10であって、クランプ13は、クランプケース15の内側に、内周面が外周面に対して偏心したリング形状の第1偏心ライナ16と第2偏心ライナ17が順次回転自在に配設され、第2偏心ライナ17の内周面に車体支持軸14に固定可能なクランプボール18が、球面移動自在に球面接触して配設されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車体フレーム、特に自動二輪車の車体フレームを支持して位置決めする車体位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元測定装置を用いた車両(自動二輪車)のデザイン開発などにおいては、定盤上に設けられた固定治具に車軸などを固定することで車体フレームを支持し、零点を合わせて第1回目の測定が行われる。この第1回目の測定後、エンジンなどの部品を追加あるいは除去した状態で第2回目の測定を行い、これら第1回目と第2回目の3次元測定データを比較検討する作業が行われる。
【0003】
しかしながら、部品の追加あるいは除去を行った場合、定盤に固定された車体フレームは、重量変化や着脱作業によって生ずる応力のために、車体フレームの零点にずれが発生することがある。この零点にずれが発生している状態で測定を行った場合、例えば1回目の車体測定データから右側に5mmずれた状態で第2回目のデータが測定された場合には、検討するに値しないデータを取得する恐れがある。このような場合、ずれた零点を修正する必要がある。
【0004】
特許文献1には、二輪車用の車体フレームを製造する際に用いられ、定盤上に固定されたプレートと左右のフレームパイプとの距離が同一になるように調整して、車体フレームの中心位置等を決定する治具が開示されている。また、特許文献2には、被締結体の位置を任意に決定可能にする偏心スペーサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−191766号公報
【特許文献2】特開2003−222108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の治具では、車体フレームの位置調整は車両左右方向のみに可能であり、車両前後方向及び車両上下方向に車体フレームを位置調整することができない。
【0007】
また、特許文献2に記載の偏心スペーサの対応可能な範囲は二次元である。従って、この偏心スペーサを車体フレームの取付装置に適用した場合、車体フレームを、例えば車両左右方向に傾斜させることについては対応が不可能である。
【0008】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、車体フレームの取付位置を三次元に調整できる車体位置決め装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、定盤に設けられた一対の支柱にクランプが設置され、これら一対のクランプに車体フレームを、車体支持部材を介して支持して位置決めする車体位置決め装置であって、前記クランプは、クランプケースの内側に、内周面が外周面に対して偏心したリング形状の第1偏心ライナと第2偏心ライナが順次回転自在に配設され、この第2偏心ライナの前記内周面に、前記車体支持部材に固定可能な可動部材が、球面移動自在に球面接触して配設されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、クランプケースに対して第1偏心ライナ及び第2偏心ライナを回転させることで、車体支持部材をクランプケースに対して二次元に移動させ、更に可動部材を第2偏心ライナに対して球面移動させることで、車体支持部材をクランプケースに対して全体として三次元に移動させることができる。この結果、この車体支持部材を介して、車体フレームの取付位置を三次元に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る車体位置決め装置の一実施の形態を、車体フレームと共に示す側面図。
【図2】図1の一部を拡大して示す斜視図。
【図3】図1のクランプを示す正面図。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図。
【図5】図3のクランプを示す分解斜視図。
【図6】図3のクランプボールを示す側面図。
【図7】図3の第1偏心ライナを示し、(A)は正面図、(B)は図7(A)のVIIB−VIIB線に沿う断面図。
【図8】図3の第2偏心ライナを示し、(A)は正面図、(B)は図8(A)のVIIIB−VIIIB線に沿う断面図。
【図9】図3のクランプの組付け状態を示す斜視図。
【図10】図3のクランプによる車体フレーム取付位置の調整状況を説明する斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。但し、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明に係る車体位置決め装置の一実施の形態を、車体フレームと共に示す側面図である。この図1に示す車体位置決め装置10は、図示しない三次元測定装置を用いて車両のデザイン開発などを行う場合について、車体フレーム1を支持して位置決めすると共に、この車体フレーム1にエンジン等の部品を取り付けまたは取り外した際に生ずる車体フレーム1の零点(基準点)のずれを修正可能にするものであり、定盤11、支柱12及びクランプ13を有して構成される。
【0014】
ここで、前記車体フレーム1は自動二輪車の車体フレームであり、前頭部にヘッドパイプ2を備え、このヘッドパイプ2から左右一対のメインフレーム3が斜め後ろ下方に延び、これらのメインフレーム3の後部から斜め後ろ上方へシートレール4が延在して構成される。メインフレーム3の後部中央位置に、スイングアームを軸支するピボット軸(共に図示せず)が挿通されるピボット軸穴5(図9参照)が形成されている。上記スイングアームは後輪(不図示)を軸支するものである。更にヘッドパイプ2に、図示しない前輪を軸支する左右一対のフロントフォーク6が左右に回動可能に枢支される。尚、メインフレーム3の下部にエンジンブラケット7を用いてエンジン(不図示)が懸架されると共に、メインフレーム3の上部にフューエルタンク(不図示)が配置される。
【0015】
さて、車体位置決め装置10の支柱12は、定盤11の上面における前端と後方側にそれぞれ一対が、車体フレーム1に対応して起立状態で例えばボルト固定される。これらの支柱12は、定盤11に着脱自在であり、定盤11にボルト固定された際には、車体フレーム1を含めた車両重量を支えるに十分な剛性を備える。
【0016】
クランプ13は、図1〜図3に示すように、各支柱12の上端部に固定して設置される。このクランプ13は、車体フレーム1におけるメインフレーム3のピボット軸穴5と、フロントフォーク6の前輪軸穴(不図示)とにそれぞれ挿通された車体支持部材としての車体支持軸14の端部を固定する。これにより、車体フレーム1が車体支持軸14を介してクランプ13、支柱12及び定盤11に支持されて、車体フレーム1が位置決めされる。そして、このクランプ13は、図3〜図5に示すように、クランプケース15、第1偏心ライナ16、第2偏心ライナ17、及び可動部材としてのクランプボール18を有して構成される。
【0017】
クランプボール18は、図6に示すように、軸方向中央位置にボール部19を備え、このボール部19の一端側にナット部20が、他端側に軸部21が、それぞれボール部19と一体成形されて構成される。ボール部19の表面に略球面19Aが形成され、軸部21に雄ねじ22が形成される。この軸部21の雄ねじ22は、図9に示すように、車体フレーム1におけるメインフレーム3のピボット軸穴5とフロントフォーク6の前輪軸穴(不図示)に挿通される車体支持軸14の両端部に形成された雌ねじ23に螺合される。これにより、クランプボール18の軸部21が車体支持軸14に一体に固定される。
【0018】
第2偏心ライナ17は、図3〜図5に示すように、対称な2つのライナ部材24及び25を備えてなる。図8(B)に示すように、これらのライナ部材24の内周面24Aとライナ部材25の内周面25Aとは連続して略球面に形成されて、第2偏心ライナ17の第2内周面17Aを構成し、クランプボール18のボール部19の略球面19Aに球面接触する。ライナ部材24及び25は、内周面24A及び25Aがクランプボール18の略球面19Aに球面接触した状態で、図4及び図9に示すボルト43により一体化されて第2偏心ライナ17を構成する。
【0019】
この第2内周面17A(内周面24A及び25A)とクランプボール18の略球面19Aとの球面接触により、クランプボール18が第2偏心ライナ17に対して球面移動可能に設けられ、クランプボール18の軸支P(図4)が第2偏心ライナ17に対して傾斜可能に設けられる。従って、このクランプボール18に一体固定された車体支持軸14の軸心が、クランプ13に対して傾斜可能に設けられる。
【0020】
ところで、クランプケース15は、図3〜図5に示すように、メインケース26とサブケース27とが締付ボルト28により一体に結合されて構成され、メインケース26が支柱12(図2)の上端部に、例えばボルト固定される。メインケース26及びサブケース27が一体化されることで、これらの内側にケース内周面29が形成される。そして、これらのメインケース26及びサブケース27の内側に、第1偏心ライナ16、第2偏心ライナ17が順次回転自在に配設される。
【0021】
第1偏心ライナ16は、図7に示すように、第1内周面16Aが第1外周面16Bに対して偏心量αだけ偏心したリング形状に形成される。図3に示すように、この第1偏心ライナ16の第1外周面16Bは、クランプケース15のケース内周面29と略同一径に形成される。そして、第1偏心ライナ16はクランプケース15内で、このクランプケース15のケース内周面29の中心軸30を中心に回転自在に配設される。このとき、第1外周面16Bの中心軸31は、ケース内周面29の中心軸30に一致し、また、図7(A)に示すように、第1内周面16Aの中心軸32は、ケース内周面29の中心軸30(及びこの中心軸30に一致する第1外周面16Bの中心軸31)を中心に、偏心量αを半径として回転する。
【0022】
第2偏心ライナ17は、図8に示すように、第2内周面17Aが第2外周面17Bに対して偏心量βだけ偏心したリング形状に形成される。前記第2外周面17Bは、ランナ部材24の外周面とランナ部材25の外周面とが連続したものである。図3に示すように、この第2偏心ライナ17の第2外周面17Bは、第1偏心ライナ16の第1内周面16Aと略同一径に形成される。そして、第2偏心ライナ17は第1偏心ライナ16内で、この第1偏心ライナ16の第1内周面16Aの中心軸32を中心に回転自在に配設される。このとき、第2外周面17Bの中心軸33は、第1偏心ライナ16の第1内周面16Aの中心軸32に一致し、また、図8(A)に示すように、第2内周面17Aの中心軸34は、第1内周面16の中心軸32(及びこの中心軸32に一致する第2外周面17Bの中心軸33)を中心に、偏心量βを半径として回転する。
【0023】
図3に示すように、第2偏心ライナ17の第2内周面17A内にクランプボール18のボール部19が球面接触することで、クランプボール18の軸心Pは、第2偏心ライナ17の第2内周面17Aの中心軸34に一致する。尚、本実施の形態においては、第1偏心ライナ16の第1内周面16Aの偏心量αと第2偏心ライナ17の第2内周面17Aの偏心量βとは等しく設定されている(α=β)。
【0024】
従って、第2偏心ライナ17を第1偏心ライナ16内で回転することにより、クランプボール18の軸心Pは、第1偏心ライナ16の第1内周面16Aの中心軸32(つまり、第2偏心ライナ17の第2外周面17Bの中心軸33)を中心に、第2偏心ライナ17の偏心量βの2倍の範囲(2β)内で前後方向及び上下方向に移動可能なる。また、第1偏心ライナ16をクランプケース15内で回転することにより、第1偏心ライナ16の第1内周面16Aの中心軸32が、クランプケース15のケース内周面29の中心軸30(つまり、第1偏心ライナ16の第1外周面16Bの中心軸31)を中心に、第1偏心ライナ16の偏心量αの2倍の範囲(2α)内で前後方向及び上下方向に移動可能になる。これらの結果、第1偏心ライナ16及び第2偏心ライナ17をクランプケース15に対して回転させることで、クランプボール18の軸心Pは、第1偏心ライナ16の偏心量αの2倍と第2偏心ライナ17の偏心量βの2倍の範囲(2α+2β)内で、クランプケース15に対して前後方向及び上下方向に移動可能になる。
【0025】
図7に示すように、第1偏心ライナ16には、厚さ(半径方向寸法)が最も大きい部分において、第1内周面16Aから第1外周面16Bへ向かって延びるすり割35が形成されている。更に、この第1偏心ライナ16の端面には、すり割35を挟む両側に係止穴36が形成される。これらの係止穴36に、第1偏心ライナ16を回転させるための操作工具37(図10)の係止爪38が係止可能に設けられる。
【0026】
図8に示すように、第2偏心ライナ17にも、厚さ(半径方向寸法)が最も大きい部分において、第2内周面17Aから第2外周面17Bへ向かって延びるすり割39が形成されている。更に、この第2偏心ライナ17の端面には、すり割39を挟む両側に係止穴40が形成される。これらの係止穴40に、第2偏心ライナ17を回転させるための操作工具41(図10)の係止爪42が係止可能に設けられる。尚、図8中の符号48は、ライナ部材24と25を一体に結合させるためのボルト43(図4、図9)が螺装されるボルト穴である。
【0027】
図3及び図9に示すように、クランプケース15は、メインケース26とサブケース27とが締付ボルト28により結合されて構成されるが、この締付ボルト28により、メインケース26とサブケース27とが強く締め付け固定されることで、第1偏心ライナ16、第2偏心ライナ17及びクランプボール18の位置が固定される。つまり、メインケース26とサブケース27が強く締め付けられることで、第1偏心ライナ16のすり割35が縮小して、第1偏心ライナ16の第1外周面16B及び第1内周面16Aが縮径し、これにより第2偏心ライナ17のすり割39が縮小して、この第2偏心ライナ17の第2外周面17B及び第2内周面17Aが縮径し、第2偏心ライナ17がクランプボール18のボール部19を強く押圧する。このため、第1偏心ライナ16、第2偏心ライナ17及びクランプボール18の位置が固定される。
【0028】
更に、図3に示すように、クランプケース15、第1偏心ライナ16、第2偏心ライナ17のうちには、互いに隣接する一方に目盛りが、他方に、この目盛りに対応する印が設けられている。例えば、本実施の形態では、クランプケース15におけるケース内周面29を臨む周囲に目盛り44が形成され、第1偏心ライナ16の第1外周面16B側の位置に、目盛り44に対応する印45が形成されている。これらの目盛り44と印45とにより、クランプケース15に対する第1偏心ライナ16の位置が特定される。また、第1偏心ライナ16における第1内周面16Aを臨む周囲に目盛り46が形成され、第2偏心ライナ17の第2外周面17B側の位置に、目盛り46に対応する印47が形成される。これらの目盛り46と印47とにより、第1偏心ライナ16に対する第2偏心ライナ17の位置が特定される。
【0029】
次に、クランプ13による車体フレーム1の取付位置の調整手順について、図2及び図10を用いて説明する。
【0030】
まず、車体フレーム1の取付位置を調整すべきクランプ13の第1偏心ライナ16の係止穴36に操作工具37の係止爪38を係止させ、このクランプ13の第2偏心ライナ17の係止穴40に操作工具41の係止爪42を係止させる。次に、この状態で、操作工具37または41の一方を回転操作せずに、他方を回転操作する。これにより、このクランプ13の第1偏心ライナ16と第2偏心ライナ17とを順次回転させて、このクランプ13におけるクランプボール18の位置を前後方向及び上に方向に移動させる。
【0031】
上述の操作を、車体フレーム1の取付位置の調整が必要な各クランプ13について実施する。このとき、各クランプ13のクランプボール18は、ボール部19により第2偏心ライナ17に対して球面移動することから、このクランプボール18の軸部21に固定された車体支持軸14は、クランプケース15及び定盤11に対して左右方向に適度に傾斜する。
【0032】
このようにして、車体フレーム1の車体位置決め装置10に対する取付位置を調整して、車体フレーム1の零点のずれを修正した後、例えば操作工具37と41とを互いに逆方向に微小量回転操作して、このクランプ13における第1偏心ライナ16のすり割35及び第2偏心ライナ17のすり割39を縮小させ、第1偏心ライナ16、第2偏心ライナ17及びクランプボール18を仮固定する。その後、このクランプ13におけるクランプケース15のメインケース26とサブケース27とを締付ボルト27により強く締め付け固定して、第1偏心ライナ16、第2偏心ライナ17及びクランプボール18の位置を固定(本固定)する。
【0033】
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば、次の効果(1)〜(4)を奏する。
【0034】
(1)車体フレーム1の取付位置を調整すべきクランプ13のクランプケース15に対して第1偏心ライナ16及び第2偏心ライナ17を回転させることで、クランプボール18に固定された車体支持軸14をクランプケース15に対して二次元(つまり、車体位置決め装置10の前後方向及び上下方向)に移動させ、更にクランプボール18を第2偏心ライナ17に対して球面移動させることで、車体支持軸14をクランプケース15に対して全体として3次元(つまり、車体位置決め装置10の前後方向、上下方向及び左右方向)に移動させることができる。この結果、この車体支持軸14を介して、車体フレーム1の取付位置を3次元に調整することができ、車体フレーム1の零点位置を適正かつ容易に修正することができる。
【0035】
(2)クランプ13の第1偏心ライナ16にすり割35が、第2偏心ライナ17にすり割39がそれぞれ形成されたので、クランプケース15のメインケース26及びサブケース27を強く締め付けることで、これらのすり割35及び39を縮小させ、これにより、第1偏心ライナ16、第2偏心ライナ17及びクランプボール18の位置を固定することができる。
【0036】
(3)操作工具37の係止爪38を係止させる係止穴36が第1偏心ライナ16のすり割35を挟む両側に形成され、操作工具41の係止爪42を係止させる係止穴40が第2偏心ライナ17のすり割39を挟む両側に形成されている。これらの係止穴36、40がすり割35、39のそれぞれ片側のみに形成されている場合には、操作工具37、41の回転操作によってすり割35、39が縮小されて、第1偏心ライナ16、第2偏心ライナ17及びクランプボール18を不用意に固定させてしまう恐れがある。しかしながら、係止穴36、40がすり割35、39のそれぞれ両側に形成されたことで、操作工具37、41の回転操作によっても、すり割35、39が縮小されることを防止でき、第1偏心ライナ16、第2偏心ライナ17及びクランプボール18が不用意に固定されることを防止できる。
【0037】
(4)クランプケース15に目盛り44が、第1偏心ライナ16に、この目盛り44に対応する印45がそれぞれ設けられたので、これらの目盛り44及び印45により、クランプケース15に対する第1偏心ライナ16の位置を特定できる。更に、第1偏心ライナ16に目盛り46が、第2偏心ライナ17に、この目盛り46に対応する印47がそれぞれ設けられたので、これらの目盛り46及び印47によって、第1偏心ライナ16に対する第2偏心ライナ17の位置を特定できる。これらの結果、車体フレーム1を車体位置決め装置10から取り外した場合にも、これらの印45に一致する目盛り44の値と、印47に一致する目盛り46の値を記録しておくことにより、車体フレーム1を車体位置決め装置10に再度取り付ける際に、取り外し前の取付位置を正確に再現することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 車体フレーム
10 車体位置決め装置
11 定盤
12 支柱
13 クランプ
14 車体支持軸(車体支持部材)
15 クランプケース
16 第1偏心ライナ
16A 第1内周面
16B 第1外周面
17 第2偏心ライナ
17A 第2内周面
17B 第2外周面
18 クランプボール(可動部材)
19 ボール部
19A 略球面
21 軸部
35、39 すり割
36、40 係止穴
37、41 操作工具
44、46 目盛り
45、47 印
α、β 偏心量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定盤に設けられた一対の支柱にクランプが設置され、これら一対のクランプに車体フレームを、車体支持部材を介して支持して位置決めする車体位置決め装置であって、
前記クランプは、クランプケースの内側に、内周面が外周面に対して偏心したリング形状の第1偏心ライナと第2偏心ライナが順次回転自在に配設され、
この第2偏心ライナの前記内周面に、前記車体支持部材に固定可能な可動部材が、球面移動自在に球面接触して配設されたことを特徴とする車体位置決め装置。
【請求項2】
前記第1偏心ライナ及び第2偏心ライナには、それぞれの内周面から外周面へ延びるすり割が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の車体位置決め装置。
【請求項3】
前記クランプケースはメインケースとサブケースを備えてなり、これらのメインケースとサブケースが締め付け固定されることで、第1偏心ライナ、第2偏心ライナ及び可動部材の位置が固定されるよう構成されたことを特徴とする請求項2に記載の車体位置決め装置。
【請求項4】
前記第1偏心ライナと第2偏心ライナの少なくとも一方に、これらのライナを回転させるための工具を係止する係止穴が、前記各ライナのすり割の両側に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の車体位置決め装置。
【請求項5】
前記クランプケース、第1偏心ライナ、第2偏心ライナのうち、互いに隣接する一方に目盛りが、他方に、前記目盛りに対応する印が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の車体位置決め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−260421(P2010−260421A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111746(P2009−111746)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】