説明

車載情報処理装置

【課題】ユーザ認証におけるユーザの手間を低減することができる車載情報処理装置を提供する。
【解決手段】カーナビゲーション装置1は、車両100に搭載され、車両100の出発時にユーザにユーザ認証部11による認証入力操作を要求し操作内容に基づいてユーザを特定し、特定されたユーザに対応して使用可能とされている機能を有効にする。カーナビゲーション装置1は、ユーザの本拠地の位置を記憶する情報記憶部5と、車両100の現在位置を特定する現在地取得部3と、車両100の駐車時に、情報記憶部5に記憶された本拠地の位置と現在地取得部3で特定された車両の現在位置とを比較し、比較結果に基づいて、次回の出発時にユーザに認証入力操作を行わせるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、車両に搭載される車載情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載のカーナビゲーション装置が知られている。この装置は、車両の出発時にユーザからパスワードの入力を受け付けてパスワードに基づくユーザ認証を行い、認証されたユーザに使用が認められている機能を実行可能とする。これにより、ユーザレベルに対応した機能をユーザに提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−069563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両のドライブ中に目的地に立ち寄りながら移動する場合、上記目的地で一旦駐車し、その後車両を出発させる毎にカーナビゲーションが再起動され、その再起動がされる毎にユーザ認証のためのパスワード入力作業が必要となる。このように、上記カーナビゲーションでは、ユーザ認証を行うためのドライバの手間が大きいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザ認証におけるユーザの手間を低減することができる車載情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車載情報処理装置は、車両に搭載される車載情報処理装置であって、車両の出発時にユーザに所定の操作を要求し操作内容に基づいてユーザを特定するためのユーザ認証処理を行うユーザ認証手段と、ユーザ認証手段で特定されたユーザに対応して使用可能とされている機能を有効にする機能制御手段と、ユーザの本拠地の位置を記憶する本拠地記憶手段と、車両の現在位置を特定する位置情報取得手段と、車両の駐車時に、本拠地記憶手段に記憶された本拠地の位置と位置情報取得手段で特定された車両の現在位置とを比較し、比較結果に基づいて、次回の出発時にユーザ認証手段が所定の操作をユーザに要求するか否かを決定する操作要否判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この車載情報処理装置では、ユーザ認証処理でユーザを特定し、特定されたユーザが使用可能とされている機能が有効になる。このようなユーザ認証処理でユーザの所定の操作を要求するか否かは、車両の現在位置とユーザの本拠地の位置との比較により判定される。従って、現在位置と本拠地位置との位置関係によってはユーザの操作を省略させることができ、ユーザ認証におけるユーザの手間を低減することができる。
【0008】
また、操作要否判定手段は、本拠地記憶手段に記憶された本拠地の位置と位置情報取得手段で特定された車両の現在位置とが異なる場合には、次回の出発時にユーザ認証手段が所定の操作をユーザに要求しない旨決定することとしてもよい。
【0009】
この構成では、車両が本拠地に戻って駐車されるまでは、当該車両を同じユーザが使用しているとみなすことで、駐車後の再出発時にユーザの操作を省略させることとする。従って、車両が本拠地に戻る前に、駐車及び再出発を行ったとしても、同じユーザに対してドライブ中に何度も操作が要求されることが避けられ、ユーザ認証におけるユーザの手間を低減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車載情報処理装置によれば、ユーザ認証におけるユーザの手間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の車載情報処理装置の一実施形態であるカーナビゲーション装置を備えた車両を示す図である。
【図2】図1のカーナビゲーション装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る車載情報処理装置の好適な実施形態としてのカーナビゲーション装置について詳細に説明する。
【0013】
図1の車両100に搭載されたカーナビゲーション装置1は、車両100の現在地を取得する現在地取得部3と、地図情報等を格納する情報記憶部5と、車両100の現在地と上記地図情報に基づいて車両100の運転ルート演算などの処理を行う情報処理部7と、演算された運転ルート等の情報をドライバに提示すべく出力する情報表示部9と、カーナビゲーション装置1を使用するユーザのユーザ認証を行うユーザ認証部11と、を備えている。
【0014】
現在地取得部3は、例えば、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星からの信号に基づき車両100の現在地を取得するGPS装置を有している。情報表示部9は、例えば、ドライバに画像情報を提示するディスプレイや、音声情報を提示するスピーカ等を有している。情報記憶部5は、地図情報の他、ユーザの本拠地(たとえば、自宅)の位置座標情報を格納している。このような本拠地の位置は、予めユーザの入力で設定されてもよい。また、カーナビゲーション装置1における自宅登録機能で登録されているユーザの自宅の位置座標を、本拠地の位置座標として用いてもよい。また、夜間に車両100が駐車されている位置を、自動的に本拠地の位置として記憶してもよい。
【0015】
カーナビゲーション装置1では、原則として、起動時にユーザ認証部11でのユーザの認証を行う。そして、カーナビゲーション装置1は、ユーザ毎に使用許可されている機能をユーザに提供する。例えば、未成年者にとって好ましくない情報(例えば、未成年者の入場が禁止されている施設の情報等)の検索機能は、成年者のユーザAには使用許可され、未成年者のユーザBには使用許可されない、といった設定が予め可能である。
【0016】
ユーザ認証部11は、例えば、認証情報の手動によるキー入力を受け付けるキー入力部や、ユーザ毎に付与されたカードの読み取りを行うカードリーダ等を有している。ユーザ認証部11は、キー入力部から入力された認証情報又はカードから読み取った認証情報に基づいて、ユーザ認証処理を行い、ユーザを特定することができる。なお、ユーザによる認証情報のキー入力操作や、ユーザがカードリーダにカードを提示する操作を、以下では「認証入力操作」と呼ぶ場合がある。情報処理部7は、特定されたユーザに使用が許可されている機能を有効とする。ユーザと使用可能な機能とを関連付ける情報は、情報記憶部5に予め設定されている。また、ユーザ認証処理に用いられた認証情報は、カーナビゲーション装置1の作動中において情報記憶部5に格納される。また、認証情報には、例えば、ユーザを特定するためのユーザアカウント情報やパスワード情報が含まれている。
【0017】
また、車両100内のイグニッションスイッチ21は、ユーザの操作により、カーナビゲーション装置1のON/OFF切り替えを行う。ユーザの操作によりイグニッションスイッチ21がACC−ON(アクセサリON)に切り替えられると、カーナビゲーション装置1に電力が供給され起動されると共に、イグニッションスイッチ21からACC−ON信号が送信される。また、ユーザの操作によりイグニッションスイッチ21がACC−OFF(アクセサリOFF)に切り替えられると、イグニッションスイッチ21からACC−OFF信号が送信されると共に、カーナビゲーション装置1への電力供給が停止される。このとき、情報処理部7は、上記のACC−ON信号及びACC−OFF信号を受信することで、ユーザによるイグニッションスイッチ21の操作を認識することができる。
【0018】
次に、図2を参照しながら、カーナビゲーション装置1の情報処理部7の処理について説明する。
【0019】
駐車中の車両100が出発するときには、まず、カーナビゲーション装置1の起動処理S100が行われる。起動処理S100では、イグニッションスイッチ21のACC−ON操作がされたときに(S101でYes)、ユーザ認証済みであるか否かが判定される(S103)。ここでは、認証情報が情報記憶部5に既に格納されている場合に、ユーザ認証済みであると判定され、認証情報が情報記憶部5に格納されていない場合に、ユーザ認証済みでないと判定される。上記認証情報の格納の有無を分ける処理については後述する。
【0020】
処理S103において、ユーザ認証済みでないと判定された場合には(S103でNo)、ユーザによる認証入力操作を要求する(S105)。そして、認証入力操作が実行されたときに(S105でYes)、当該認証入力操作で入力された認証情報に基づいて、ユーザを特定する(S107)。ここでは、入力された認証情報を情報記憶部5に格納してもよい。一方、処理S103において、ユーザ認証済みであると判定された場合には(S103でYes)、上記認証入力操作は要求されず、情報記憶部5に既に格納されていた認証情報に基づいて、ユーザを特定する(S109)。すなわちこの場合、前回特定されたユーザと同一のユーザであるとして現在のユーザが特定されることになる。
【0021】
その後、情報処理部7は、上記起動処理S100で特定されたユーザに対応する種々の機能を有効として、ユーザに上記機能を提供する(S111)。
【0022】
その後、車両100が駐車するときには、終了処理S200が行われる。終了処理S200では、イグニッションスイッチ21がACC−OFFに切り替えられたときに(S201でYes)、車両100の現在地座標とユーザの本拠地座標とが比較される(S203)。前述のとおり、車両100の現在地座標は現在地取得部3から取得され、本拠地座標としては情報記憶部5の格納情報が読み出される。
【0023】
そして、現在地座標と本拠地座標とが一致しない場合には(S203でNo)、現在使用中の認証情報を情報記憶部5に保存し(S205)、処理を終了する。なお、前述の処理S107又は処理S109で既に認証情報が情報記憶部5に格納済みである場合には、処理S205では格納済みの認証情報をそのまま保存して処理を終了する。一方、現在地座標と本拠地座標とが一致する場合(S203でYes)、情報記憶部5に格納された認証情報が存在する場合にはその認証情報を破棄し(S207)、処理を終了する。
【0024】
なお、処理S203においては、例えば、現在地座標と本拠地座標とが、GPS誤差等を勘案した所定の位置誤差範囲内に存在する場合に、両者の座標が一致すると判定する。また、情報記憶部5は、車両100の駐車中でカーナビゲーション装置1への電力供給が停止している間も、認証情報の格納状態を維持する必要があるので、情報記憶部5としては不揮発性の記憶媒体が用いられる。
【0025】
以上のようなカーナビゲーション装置1の処理によれば、車両100が一連のドライブを終了した場合には、車両100が本拠地に戻ったことをもって、当該ドライブ終了を認識することができる。そして、この場合、情報記憶部5の認証情報を破棄する(S207)ことにより、次回の車両100の出発の際には、起動処理S100において、認証入力操作が要求されることになる(S105)。すなわち、ドライブ終了後の次回の出発時においては、前回のドライブとはユーザが変更される可能性もあるので、ユーザ変更の可能性に対応して、認証入力操作を行わせることができる。
【0026】
その一方、車両100がドライブ途中で目的地に一旦駐車した場合には、車両100の現在地が本拠地とは異なることをもって、ドライブ途中であることを認識することができる。そしてこの場合、次回の車両100の出発時に、ユーザに認証入力操作を要求しないこととする。具体的な処理としては、終了処理S200において、情報記憶部5に認証情報が保存されたまま処理が終了される(S205)。この情報記憶部5への認証情報の保存により、次回の車両100の出発時の起動処理S100において、認証入力操作が要求されず、前回特定されたユーザと同一のユーザであるとして現在のユーザが特定される(S109)。ドライブ途中で一旦駐車した後の再出発時においては、駐車前のユーザが変更される可能性が低いので、認証入力操作を省略させユーザの手間を低減することができる。
【0027】
以上のように、カーナビゲーション装置1によれば、ドライブ途中に目的地で一旦駐車し再出発する毎に、繰り返し認証入力操作が要求されるといったことが避けられ、ユーザ認証におけるユーザの手間を低減することができる。また、その一方で、ユーザ変更の可能性が比較的高い場合(一連のドライブ終了後の本拠地からの出発)にあっては、認証入力操作を行わせることで、正しいユーザの認証を可能にする。
【符号の説明】
【0028】
1…カーナビゲーション装置(車載情報処理装置)、3…現在地取得部(位置情報取得手段)、5…情報記憶部(本拠地記憶手段)、7…情報処理部(機能制御手段、操作要否判定手段)、11…ユーザ認証部(ユーザ認証手段)、100…車両。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載情報処理装置であって、
前記車両の出発時にユーザに所定の操作を要求し操作内容に基づいてユーザを特定するためのユーザ認証処理を行うユーザ認証手段と、
前記ユーザ認証手段で特定されたユーザに対応して使用可能とされている機能を有効にする機能制御手段と、
前記ユーザの本拠地の位置を記憶する本拠地記憶手段と、
前記車両の現在位置を特定する位置情報取得手段と、
前記車両の駐車時に、前記本拠地記憶手段に記憶された本拠地の位置と前記位置情報取得手段で特定された前記車両の現在位置とを比較し、比較結果に基づいて、次回の出発時に前記ユーザ認証手段が前記所定の操作を前記ユーザに要求するか否かを決定する操作要否判定手段と、
を備えたことを特徴とする車載情報処理装置。
【請求項2】
前記操作要否判定手段は、前記本拠地記憶手段に記憶された本拠地の位置と前記位置情報取得手段で特定された前記車両の現在位置とが異なる場合には、
次回の出発時に前記ユーザ認証手段が前記所定の操作を前記ユーザに要求しない旨決定することを特徴とする請求項1に記載の車載情報処理装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−7944(P2012−7944A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142835(P2010−142835)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】