説明

車載装置および車載装置の制御方法

【課題】キー配置を確認せずとも目的の操作を容易に行うことができる車載装置および車載装置の制御方法を提供する。
【解決手段】音声入力部から入力された音声を認識する音声認識部を備え、音声認識部にて所定のワードが認識された場合、タッチパネルを、上記ワードに対応するタッチパネルキーK1、K2の有効範囲に割り付け変換し、タッチパネルを介してタッチパネルキーK1、K2が操作された場合に、上記ワードに対応する処理を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声入力部を備える車載装置および車載装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などに代表される移動体に搭載される車載装置には、ナビゲーション装置やカーオーディオ装置などがある。この種の車載装置は、ハードウエアキーで構成された操作キーやタッチパネルなどの操作部を備え、この操作部がユーザーに手動操作されることによって各種処理を行う。
また、この種の車載装置には、トークスイッチ(発話ボタンとも言う)を備え、このトークスイッチが押された後に車内に設置されたマイクに向かって、あらかじめ登録された語句が発話されると、その語句に対応する処理を自動的に行う音声認識処理機能を具備したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−114490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、操作キーやタッチパネルを操作する場合、ユーザーが車載装置のキー配置を一度見て確認した後にキー(操作キーに限らず、タッチパネルに割り当てたタッチパネルキーも含む)を押す必要があり、キー配置を見ないと誤操作してしまう。
また、特許文献1記載の音声認識アンサーバック方式で同一処理を複数回繰り返し行う場合には、例えば、音量アップを続けて行う場合や地図スクロールを続けて行う場合には、トークスイッチ押下→発話という作業を繰り返し行わなければならず、操作が煩雑である。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、キー配置を確認せずとも目的の操作を容易に行うことができる車載装置および車載装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、タッチパネルを配置した表示部と音声入力部とを備えた車載装置において、前記音声入力部から入力された音声を認識する音声認識部と、前記音声認識部にて所定のワードが認識された場合、前記タッチパネルを、前記ワードに対応するタッチパネルキーの有効範囲に割り付け変換するキー割り付け変換部と、前記タッチパネルを介して前記タッチパネルキーが操作された場合に、前記ワードに対応する処理を行うキー操作処理部とを備えることを特徴とする。この構成によれば、音声認識部にて所定のワードが認識された場合、タッチパネルを、ワードに対応するタッチパネルキーの有効範囲に割り付け変換するので、ユーザーは、視覚で確認せずとも該ワードに対応するキー操作を容易に行うことができる。
【0007】
上記構成において、前記キー割り当て変換部は、前記ワードに対応するタッチパネルキーが対で存在する場合、前記タッチパネルを上下割り、或いは、左右割りした各領域を、前記タッチパネルキーの有効範囲に割り付け変換するようにしてもよい。この構成によれば、対で存在するタッチパネルキーの二者択一操作を容易に行うことができる。
この場合、前記キー割り当て変換部は、前記音声認識部にて所定のワードが認識された場合、前記タッチパネルの全領域を、前記ワードに対応するタッチパネルキーの有効範囲に割り付け変換するようにしてもよい。この構成によれば、ワードに対応するタッチパネルキーの有効範囲を広くすることができ、そのキーに対応する表示を行わなくてもそのキー操作を容易に行うことができる。
また、前記キー割り当て変換部は、前記音声認識部にて所定のワードが認識された場合、所定時間だけ、前記タッチパネルを、前記ワードに対応するタッチパネルキーの有効範囲に割り付け変換し、前記キー操作処理部は、前記所定時間の間は、前記タッチパネルが操作される毎に前記ワードに対応する処理を行うようにしてもよい。この構成によれば、ワードに対応する処理を繰り返し行う場合の操作が容易である。
【0008】
また、本発明は、各々異なる指示が割り当てられた複数の操作キーと音声入力部とを備えた車載装置において、前記音声入力部から入力された音声を認識する音声認識部と、前記音声認識部にて所定のワードが認識された場合、前記複数の操作キーの少なくとも2つ以上を、前記ワードに対応する同一処理を指示する操作キーに割り付け変換するキー割り付け変換部と、前記操作キーが操作された場合に、前記ワードに対応する処理を行うキー操作処理部とを備えることを特徴とする。この構成によれば、音声認識部にて所定のワードが認識された場合、複数の操作キーの少なくとも2つ以上を、そのワードに対応する同一処理を指示する操作キーに割り付け変換するので、ユーザーは、視覚で確認せずとも該ワードに対応するキー操作を容易に行うことができる。
【0009】
また、本発明は、タッチパネルを配置した表示部と音声入力部とを備えた車載装置の制御方法において、音声入力部から入力された音声から所定のワードが認識された場合、前記タッチパネルを、前記ワードに対応するタッチパネルキーの有効範囲に割り付け変換し、前記タッチパネルを介して前記タッチパネルキーが操作された場合に、前記ワードに対応する処理を行うことを特徴とする。
また、本発明は、各々異なる指示が割り当てられた複数の操作キーと音声入力部とを備えた車載装置の制御方法において、前記音声入力部から入力された音声から所定のワードが認識された場合、前記複数の操作キーの少なくとも2つ以上を、前記ワードに対応する同一処理を指示する操作キーに割り付け変換し、前記操作キーが操作された場合に、前記ワードに対応する処理を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、以上説明した車載装置およびその制御方法に適用する他、この発明を実施するための制御プログラムを電気通信回線を介して一般ユーザーに配布したり、そのようなプログラムを、CD−ROMや、フロッピーディスク(登録商標)や光記録ディスクといった、コンピューターに読み取り可能な記録媒体に格納して一般ユーザーに配布する、といった態様でも実施され得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、キー配置を確認せずとも目的の操作を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係るナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】ナビゲーション装置を正面側から見た斜視図である。
【図3】キー割り付け変換処理を示すフローチャートである。
【図4】(A)はキー割り付け変換の説明に供するナビゲーション装置の正面図であり、(B)はナビゲーションモード時の正面図である。
【図5】変形例に係るキー割り付け変換の説明に供する図である。
【図6】第2実施形態に係るキー割り付け変換処理を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態に係る他のキー割り付け変換処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るナビゲーション装置のブロック図である。
このナビゲーション装置10は、自動車などの車両に搭載され、その車両の経路案内を行うナビゲーション機能と、CD(Compact Disc)などの記録メディアに記録された音声などを再生するオーディオ再生機能とを備えている。このナビゲーション装置10は、車両の前部中央に位置するコンソールボックスに配置されることによって、運転者や同乗者の手が容易に届く位置に配置される。
【0014】
図1に示すように、ナビゲーション装置10は、車両の現在位置を検出するための位置検出部20と、各種情報を記憶する記憶部30と、オーディオ再生部40と、音声出力や画像出力を行う情報出力部50と、ユーザーが手動操作する操作部60と、ナビゲーション装置10の各部を制御する制御部70と、マイク(マイクロフォン)81から入力した音声を音声認識する音声認識部82とを備えている。
位置検出部20は、GPSユニット21と、ジャイロユニット22と、加速度センサーユニット23と、車両データ処理部24とを有している。
【0015】
GPSユニット21は、GPSアンテナ21aを介してGPS衛星からのGPS電波を受信し、GPS電波に重畳されたGPS信号から、車両の現在地(自車位置)を示す位置座標と移動方向とを演算により取得し、これら情報を制御部70に出力する。
ジャイロユニット22は、図示せぬジャイロセンサーを備え、ジャイロセンサーにより車両の相対的な方位(例えば、ヨー軸方向の旋回量)を検出して制御部70に出力する。
加速度センサーユニット23は、図示せぬ加速度センサーを備え、加速度センサーにより車両の加速度(例えば、進行方向に対する車両の傾き)を検出して制御部70に出力する。また、車両データ処理部24は、車両の車速パルスを入力して車速を検出する車速検出部として機能し、車速を制御部70に出力するものである。
【0016】
すなわち、このナビゲーション装置10は、GPSユニット21により車両の測位情報(位置、移動方向)を所定の時間間隔で取得すると共に、ジャイロユニット22や車両データ処理部24などにより自車の移動方向や車速を求め、GPSで測位した絶対位置からの相対位置を特定することによって、現在位置に相当する測位情報(位置、移動方向、速度)を取得することができる。これによれば、トンネルや地下道を走行するなどしてGPS電波を受信できない場合でも、ジャイロユニット22、加速度センサーユニット23および車両データ処理部24などで得られる情報で自立測位できるので、十分な精度を有する測位情報を得ることができる。
【0017】
記憶部30は、比較的大きなデータ格納領域を有する記録媒体を有するハードディスクドライブ装置、あるいは、CD/DVDドライブ装置を有して構成されている。この記憶部30は、地図情報や経路案内に供される表示画像データなどの各種データを格納した経路案内データベース(地図データベースとも言う)30aや複数の楽曲のオーディオデータ(以下、曲データという)を格納したオーディオデータベース30bを有している。
【0018】
ここで、記憶部30がハードディスクドライブ装置を有する場合(いわゆるHDDナビの場合)、経路案内データベース30aは、ハードディスクドライブ装置に取り込まれたデータであり、オーディオデータベース30bは、オーディオCDなどからハードディスクドライブ装置に取り込まれた曲データ群、或いは、CD/DVDドライブ装置に装填されたオーディオCDである。
また、記憶部30がハードディスクドライブ装置を備えず、CD/DVDドライブ装置だけを備える場合(いわゆるDVDナビ)、経路案内データベース30aは、地図情報や経路案内に供される表示画像データなどの各種データを格納した経路案内用DVDであり、オーディオデータベース30bは、オーディオCDである。
【0019】
オーディオ再生部40は、制御部70の制御の下、オーディオデータベース30bの曲データにデコード処理などの曲再生に必要な各種処理を施してデジタル音声信号を生成するものであり、例えば、オーディオ再生用の各種回路を集積したチップである。
情報出力部50は、スピーカー51を駆動して各種音声を出力させる音声出力制御部52と、液晶表示装置などで形成される表示部53の表示パネル53aに各種画像を表示させる表示制御部54とを備えている。
【0020】
音声出力制御部52は、図示しないD/Aコンバータ、アンプなどを備え、制御部70の制御の下、経路案内用のデジタル音声信号や楽曲のデジタル音声信号を入力し、入力したデジタル信号をデジタルアナログ変換し、アンプにより増幅してスピーカー51から音声出力させる。
表示制御部54は、図示しない描画プロセッサーを有し、制御部70から地図情報、ボタン表示などの表示指示を含む描画コマンドを受け取り、この描画コマンドに基づいた表示を行うべく表示部53の表示パネル53aを駆動する。
この表示パネル53aには、例えば液晶ディスプレイパネルやEL(Electro Luminescent)ディスプレイパネルなどの薄型パネルが用いられる。
【0021】
図2は、ナビゲーション装置10を正面側から見た斜視図である。なお、図2は、ナビゲーション画面を表示した状態を示している。
操作部60は、図2に示すように、ハードウエアキーである複数(本例では4個)の操作キー61a、61b、61c、61dを備えており、ユーザーによっていずれかの操作キーが操作された場合に、その操作キーを特定するキー情報を制御部70に出力する。
また、操作部60は、表示パネル53aの前面側に重ねて配置されたタッチパネル62を備えており、ユーザーがタッチパネル62に指などで触れた場合に、触れた箇所を特定する位置情報を制御部70に出力する。
【0022】
制御部70は、CPU71と、CPU71の作業領域として機能し、各種データを一時的に記憶するRAM72と、CPU71により実行される各種制御プログラムおよびデータが不揮発状態で記憶されるROM73とを備え、CPU71がROM73に記憶された制御プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置10の各部を制御するコンピューターとして機能する。この場合、制御部70は、このナビゲーション装置10をナビゲーションモード或いはオーディオモードで動作させる。
【0023】
ナビゲーションモードの場合には、制御部70は、GPSユニット21などにより車両の現在地および進行方向を特定し、現在地周辺の地図を表示させる(図2参照)。また、目的地が設定された場合には、目的地までの最適経路を計算し、表示地図中に表示して目的地まで経路案内処理などを実行する。なお、この経路案内処理には、交差点の右折や左折を音声案内する経路案内音声を放音する処理も含まれる。また、図2中、符合Mは、車両の現在位置を示す現在地マークである。
また、オーディオモードの場合には、オーディオ操作用の各種画面を表示させ、ユーザー指示に応じてオーディオデータベース30b内の曲データの再生などを実行する。
【0024】
音声認識部82は、マイク(音声入力部)81を介して音声を入力し、入力した音声のワード(発話内容)を認識して認識結果を制御部70に出力する。本構成では、上記操作キー61a〜61dのうちの一個のキーが発話ボタン(本例では61dとする)に割り当てられており、この発話ボタン61dが操作された場合に、音声認識部82への音声入力が許可される。
【0025】
このナビゲーション装置10では、音声認識部82へ音声入力された場合に、タッチパネルキーの割り付け変換処理が行われる。つまり、音声認識部82へ音声入力が許可されていない場合をデフォルトのキー割り付け状態とすると、音声入力された場合に、デフォルトの状態からタッチパネルのキー割り付けが変更される。
まず、デフォルトの状態について説明する。デフォルトの状態とは、従来のナビゲーション装置と同じキー割り付けの状態である。例えば、一般に、ナビゲーションモードの場合(地図画面を表示している場合)、タッチパネル62が操作されると画面スクロールキーを表示させる処理が行われるが、これを実現するためには、従来では、タッチパネル62が、画面スクロールキーを表示させる表示キーの有効範囲に割り付けられる。この場合、タッチパネル62が操作されると、表示画面中に画面スクロールキーが表示され、この表示によりユーザーがタッチパネルを介して画面スクロールキーを操作可能になる。つまり、ユーザーが表示を見なければタッチパネルキーを操作できない。
また、オーディオモードの場合には、一般に、オーディオ操作用の画面が表示され、この表示によりオーディオ操作用のタッチパネルキーが操作される。つまり、オーディオ操作用の画面に合わせてタッチパネルキーの有効範囲を設定しており、この場合も、ユーザーが表示を見なければタッチパネルキーを操作できない。
【0026】
図3は、キー割り付け変換処理を示すフローチャートである。この図3では、音量調整のワード(「ボリューム」)が音声入力された場合の処理を示している。
音声認識部82が「ボリューム」のワードを認識した場合(ステップS1)、制御部70は、そのワードに対応する音声キーワード「ボリューム」を検索する(ステップS2)。この場合、制御部70は、予め記憶された音声キーワード群の中に「ボリューム」のワードがあるか否かを検索する。
音声キーワード「ボリューム」が検索された場合(候補ありの場合)(ステップS3:YES)、制御部70は、その音声キーワードに予め対応付けられたキー割り付けに変換する。
【0027】
このキー割り付け変換では、図4(A)に示すように、制御部70が、タッチパネル62の左半分領域を音量ダウンキーK1に割り付け(ステップS4)、タッチパネル62の右半分領域を音量アップキーK2に割り付ける(ステップS5)。そして、一定時間(例えば、数十秒程度)が経過するとキー割り付けをデフォルトの状態に戻す。このキー割り付けをデフォルトの状態に戻す場合は、切り換えのタイミングが判るように、音声出力制御部52により所定の通知音が外部に報知される。
【0028】
上記のように、タッチパネル62の全領域を左右に2分割して、一方の全領域を音量ダウンキーK1の有効範囲とし、他方の全領域を音量ダウンキーK1に対して相反する処理を行う音量アップキーK2の有効範囲にした場合には、ユーザーは、タッチパネル62の左半分を触れれば音量ダウンを行うことができ、タッチパネル62の右半分を触れれば音量アップを行うことができる。すなわち、制御部70は、上記のキー割り付け変換を行うキー割り付け変換部として機能すると共に、キー操作に対応する処理を実行するキー操作処理部として機能する。
なお、ナビゲーションモードの場合は、経路案内音声の音量が調整され、オーディオモードの場合は、オーディオの音量が調整される。
ここで、タッチパネル62の左半分を触れる操作や右半分を触れる操作は、タッチパネル62の位置を大まかに把握しておけば、タッチパネル62を見なくともできる操作である。従って、ユーザーは、タッチパネル62を見ずに音量調整の操作を行うことができる。
【0029】
また、このキー割り付け変換を行う場合、この処理に伴って画面にキー位置を表示するなどの表示変更が行われない。つまり、このナビゲーション装置10では、タッチパネル62を音量ダウンキーK1、K2のソフトウエアキー(以下、タッチパネルキー)に割り当てた場合でも、これらキーに対応する画面表示が行われない。このため、図4(B)に示すように、ナビゲーションモードの場合には、地図表示を継続した状態とされ、地図表示をキー表示が遮らない。
すなわち、本実施形態では、タッチパネル62の全領域を、音声入力されたワードに対応するタッチパネルキーK1、K2の有効範囲に割り当てるので、キー表示を行われなくてもユーザーが容易にタッチパネルキーK1、K2を操作でき、キー表示を行わない分、表示領域を他の情報表示に有効利用することができる。
【0030】
さらに、ナビゲーション装置10では、タッチパネル62を音量ダウンと音量アップのタッチパネルキーK1、K2に一定時間割り当てている間、タッチパネル62が操作される毎に、音量ダウン或いは音量アップを行う。このため、ユーザーが音量ダウンや音量アップを繰り返し行うことができ、音量への微調整が容易である。
このように音量ダウンや音量アップを繰り返し行う場合でも、本実施形態では、発話ボタン61dの操作は、「ボリューム」のワードを音声入力する前の一回でよい。このため、音量ダウンや音量アップ毎に発話ボタンの操作を要するアンサーバック方式に比して、簡易かつ少ない操作で同様の操作を繰り返し行うことができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態のナビゲーション装置10では、所定のワードが音声認識された場合、タッチパネル62を、そのワードに対応するタッチパネルキーK1、K2の有効範囲に割り付け変換するので、ユーザーは、視覚で確認せずとも目的の操作を容易に繰り返し操作できる。
この場合、タッチパネル62の全領域を、そのワードに対応するタッチパネルキーK1、K2の有効範囲に割り付け変換するので、タッチパネルキーK1、K2の有効範囲を広く設定できる。このため、そのキーに対応する表示を行わなくても目的の操作を容易に行うことができる。従って、車両の前方状況などを見る運転者などが操作する車載装置の操作性を向上でき、かつ、車両スペースの制約から比較的小型に形成される車載装置の表示領域をキー表示以外の表示に有効活用できる。
【0032】
また、ナビゲーション装置10は、タッチパネル62を左右割りした各領域をタッチパネルキーに割り付け変換するので、各キーの二者択一操作が感覚的に分かり易い。
なお、この実施形態では、ワードに対応するタッチパネルキーが対で存在する場合に、タッチパネル62を左右割りした各領域をタッチパネルキーK1、K2の有効範囲にする場合を説明したが、図5に示すように、タッチパネル62を上下割りした各領域をタッチパネルキーK1、K2にしてもよい。この図5では、タッチパネル62の下半分領域を音量ダウンキーK1に割り付け、タッチパネル62の上半分領域を音量アップキーK2に割り付けている。
【0033】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るナビゲーション装置10では、音声認識部82へ音声入力された場合に、ハードウエアキー(操作キー61a〜61d)の割り付け変換処理が行われる。なお、前提として、操作キー61a〜61dには、従来の一般的なナビゲーション装置と同様に、各々異なる指示が割り当てられており、各操作キー61a〜61dに各々異なる指示が割り当てられた状態をデフォルトの状態という。
図6は、「ボリュームアップ」が音声入力された場合のキー割り付け変換処理を示すフローチャートであり、図7は、「ボリュームダウン」が音声入力された場合のキー割り付け変換処理を示すフローチャートである。
【0034】
図6に示すように、音声認識部82が「ボリュームアップ」のワードを認識すると(ステップS1A)、制御部70は、そのワードに対応する音声キーワード「ボリュームアップ」を検索し、その音声キーワードに基づいて予め指定されたキー割り付け変換処理を行う(ステップS2A)。
この場合、制御部70は、全ての操作キー61a〜61dを音量アップのキーに割り付け変換する。そして、一定時間(例えば、数十秒程度)が経過すると制御部70は、キー割り付けをデフォルトの状態に戻す(ステップS3A)。
このように全ての操作キー61a〜61dを音量アップのキーにすれば、いずれの操作キー61a〜61dが操作されても音量アップの処理が行われる。このため、ユーザーは、キー配置を視認しなくても音量アップを容易に行うことができる。また、上記一定時間の間は、操作キー61a〜61dが操作される毎に、音量アップの処理が行われる。このため、音量アップの繰り返し操作も容易である。
【0035】
また、図7に示すように、音声認識部82が「ボリュームダウン」のワードを認識すると(ステップS1B)、制御部70は、そのワードに対応する音声キーワード「ボリュームダウン」を検索し、その音声キーワードに予め対応づけられたキー割り付け変換処理を行う(ステップS2B)。
この場合、制御部70は、全ての操作キー61a〜61dを音量ダウンのキーに割り付け変換し、一定時間(例えば、数十秒程度)が経過すると、キー割り付けをデフォルトの状態に戻す(ステップS3B)。
なお、図6および図7のいずれの場合でも、キー割り付けをデフォルトの状態に戻す場合には、第1実施形態と同様に、その旨を示す通知音が外部に報知され、ユーザーがキー割り付けの切り替わりを認識できるように構成されている。
このように全ての操作キー61a〜61dを音量ダウンのキーにすれば、いずれの操作キー61a〜61dが操作されても音量ダウンの処理が行われるので、ユーザーは、キー配置を視認しなくても音量ダウンを容易に行うことができ、かつ、上記一定期間の間は音量ダウンの繰り返し操作も容易である。
【0036】
以上説明したように、本実施形態のナビゲーション装置10では、所定のワードが音声認識された場合、ハードウエアキーの全てをワードに対応する同一処理を指示する操作キーに割り付け変換するので、ユーザーは視覚で確認せずとも目的の操作を容易に繰り返し操作できる。これにより、運転者などが操作する車載装置の操作性を向上でき、かつ、車載装置に設けられるハードウエアキーを他の操作キーに兼用して有効利用することができ、ハードウエアキーの操作性も向上できる。
【0037】
上述した各実施形態は、あくまで本発明の一態様に過ぎず、本発明の範囲内で任意に変形が可能である。
例えば、上述の各実施形態では、音量調整の操作性を向上する場合を説明したが、これに限らず、例えば、ナビゲーションモードにおける地図スクロールや地図のスケール調節、オーディオモードにおけるオーディオのトラックサーチなどの操作性向上に本発明を広く適用可能である。
また、上述の第1実施形態では、音声認識部82にて認識されたワードにタッチパネルキーが対で存在する場合を説明したが、ワードに対応するタッチパネルキーが1つの場合(例えば、ワードが「ボリュームダウン」のときは音量ダウンキーの1つだけでよい場合)、タッチパネル62の全領域を1つのタッチパネルキーの有効範囲にしてもよい。
また、上述の第2実施形態では、全てのハードウエアキー61a〜61dを、該ワードに対応する操作キーに割り付ける場合を説明したが、これに限らずハードウエアキー61a〜61dの少なくとも2個以上をワードに対応する操作キーに割り付けるようにしてもよい。
【0038】
さらに、上述の各実施形態では、音声認識部82にてワードが認識された場合に、タッチパネル62を、該ワードに対応するタッチパネルキーの有効範囲に割り付けるか、多数のハードウエアキー61a〜61dを、該ワードに対応する操作キーに割り付ける場合を説明したが、両方の割り付けを同時に行うようにしてもよい。
例えば、上述の第2実施形態において、所定のワードが音声認識された場合、全ハードウエアキーをワードに対応する同一処理を指示する操作キーに変更すると共に、タッチパネルの全領域をその同じ処理を指示するタッチパネルキーに変更するようにしてもよい。
この場合、ハードウエアキーおよびタッチパネル62のいずれを操作しても、音声入力ワードに対応した操作を行うことができ、ユーザーはより確実に目的の操作を容易に行うことができる。
【0039】
また、上述した各実施形態では、本発明をナビゲーション装置に適用する場合に説明したが、カーオーディオ装置などの他の車載装置にも広く適用することができる。なお、この車載装置が搭載される車両は、自動車に限らず、自動二輪車や自転車などを含む広義の車両を意味する。
さらに、上述の各実施形態では、キー割り付け変換処理を行うための制御プログラムを予め装置内に記録しておく場合について述べたが、この制御プログラムを、磁気記録媒体、光記録媒体、半導体記録媒体などのコンピューターが読み取り可能な記録媒体に格納し、コンピューターが記録媒体からこの制御プログラムを読み取って実行するようにしてもよい。また、この制御プログラムを通信ネットワーク(電気通信回線)を介して配信サーバーなどからダウンロードできるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 ナビゲーション装置(車載装置)
20 位置検出部
30 記憶部
40 オーディオ再生部
50 情報出力部
60 操作部
70 制御部(キー割り付け変換部、キー操作処理部)
81 マイク(音声入力部)
82 音声認識部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを配置した表示部と音声入力部とを備えた車載装置において、
前記音声入力部から入力された音声を認識する音声認識部と、
前記音声認識部にて所定のワードが認識された場合、前記タッチパネルを、前記ワードに対応するタッチパネルキーの有効範囲に割り付け変換するキー割り付け変換部と、
前記タッチパネルを介して前記タッチパネルキーが操作された場合に、前記ワードに対応する処理を行うキー操作処理部とを備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記キー割り当て変換部は、前記ワードに対応するタッチパネルキーが対で存在する場合、前記タッチパネルを上下割り、或いは、左右割りした各領域を、前記タッチパネルキーの有効範囲に割り付け変換することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
各々異なる指示が割り当てられた複数の操作キーと音声入力部とを備えた車載装置において、
前記音声入力部から入力された音声を認識する音声認識部と、
前記音声認識部にて所定のワードが認識された場合、前記複数の操作キーの少なくとも2つ以上を、前記ワードに対応する同一処理を指示する操作キーに割り付け変換するキー割り付け変換部と、
前記操作キーが操作された場合に、前記ワードに対応する同一処理を行うキー操作処理部とを備えることを特徴とする車載装置。
【請求項4】
タッチパネルを配置した表示部と音声入力部とを備えた車載装置の制御方法において、
音声入力部から入力された音声から所定のワードが認識された場合、前記タッチパネルを、前記ワードに対応するタッチパネルキーの有効範囲に割り付け変換し、前記タッチパネルを介して前記タッチパネルキーが操作された場合に、前記ワードに対応する処理を行うことを特徴とする車載装置の制御方法。
【請求項5】
各々異なる指示が割り当てられた複数の操作キーと音声入力部とを備えた車載装置の制御方法において、
前記音声入力部から入力された音声から所定のワードが認識された場合、前記複数の操作キーの少なくとも2つ以上を、前記ワードに対応する同一処理を指示する操作キーに割り付け変換し、前記操作キーが操作された場合に、前記ワードに対応する処理を行うことを特徴とする車載装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−281572(P2010−281572A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132684(P2009−132684)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】