説明

車輪ストラット

【課題】乗物に容易に取り付けることができ、乗物用のステアリング手段や車輪用の駆動装置のような他の手段を容易に結合することができる車輪ストラットを提供する。
【解決手段】車輪ストラットは、車輪ストラットを乗物に取り付ける乗物取付け手段108と、車輪ストラットに車輪を取り付ける車輪取付け手段105と、を備えている。車輪取付け手段は、乗物取付け手段108に対して、車輪ストラット100の長手方向軸の周りに回転可能である。車輪ストラット100は、車輪取付け手段を回転させる駆動手段103,101を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動手段を備えている車輪ストラットに関する。
【背景技術】
【0002】
文献から、内部に電気駆動手段を備えた車輪が公知である。特に、電動機を内部に備えた車輪が公知である。このような車輪の例は例えば、ドイツ特許出願第2719736号、ドイツ特許出願第4404889号、フランス特許出願第2561593号、米国特許出願第4585085号、およびPCT出願第95/16300号に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ特許出願第2719736号
【特許文献2】ドイツ特許出願第4404889号
【特許文献3】フランス特許出願第2561593号
【特許文献4】米国特許出願第4585085号
【特許文献5】PCT出願第95/16300号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公知の車輪で起こる問題の1つは、1つの乗物で複数の駆動される車輪が使用される場合に車輪間で協調させることでる。
【0005】
駆動手段を備えた公知の車輪で起こる他の問題は、制御手段が必要であることである。このような制御手段は、乗物内の、車輪の外部に配置される。このため、電動乗物の構成に複雑なメガトロニックが必要になる。PCT出願第95/16300号では、車輪内に制御電子機器の一部を配置することによってこれを解決することが試みられている。しかし、1つの乗物内でいくつかのこのような駆動される車輪を使用することは不可能である。
【0006】
本発明の目的は、乗物に容易に取り付けることができ、乗物用のステアリング手段や車輪用の駆動装置のような他の手段を容易に結合することができる車輪ストラットを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、効率の高い電動車輪を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、取付けが容易な車輪を提供することにある。
【0009】
さらに、本発明の目的は、乗物を自由に構成できるようにする車輪を提供することにある。
【0010】
他の目的は、交換および取外しが簡単な車輪を提供することにある。
【0011】
他の目的は、1つの乗物に取り付けることができる、同様の他の車輪と協働する駆動手段を備えた車輪を提供することにある。
【0012】
本発明による車輪によって、前記の問題が少なくとも部分的に解決され、少なくとも一部の利点が実現される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明は、内部の電動手段と、電動手段を動作させる内部の制御、測定、および操作手段と、内部の情報伝達手段とを備えた車輪に関する。
【0014】
さらに、本発明は、内部に電動機を備え、電動手段を動作させる内部の制御、測定、および操作手段と、内部の情報伝達手段とをさらに備え、互いに物理的に分離された制御システムが、電動機の各巻線のアンペア数を調節し、1つの車輪内の制御システムが、操作システムによって動作させられ、測定システムが、磁界強度に関する情報を制御システムに供給し、回転子と固定子の相対位置を操作システムに供給し、いくつかの車輪の操作システムが、情報伝達手段により中央演算処理装置を介して互いに情報伝達する、少なくとも2つの車輪の回転数を協調させる方法に関する。
【0015】
本発明による車輪によって、効率的で、取付けが簡単で、乗物に組み込むことのできる駆動部が実現される。
【0016】
本発明の方法によって、電気駆動装置を備えたいくつかの車輪を1つの乗物で使用することが可能である。
【0017】
車輪は、永久磁石を備えた回転子を内側に同軸に備え、回転子とリムが中央シャフトに連結されたリムであって、巻線を備え、中央シャフトと回転子との間に位置し、乗物に接続することができる同軸固定子を備えたリムを有することが好ましい。このように、車輪は電動機を備えている。その結果、車輪を容易に駆動することが可能である。さらに、動力伝達装置が不要であり、特に、大きな電力損失が生じがちな減速伝達装置が不要である。
【0018】
より具体的には、固定子は、電気的および物理的に分離された少なくとも2つの巻線群に分割され、各群は、各々が自身の制御および測定システムを有する2本の巻線を有しており、制御および測定システムは、車輪内に位置しており、やはり車輪内に位置する操作システムによって動作させられる。その結果、乗物に組み込まれた駆動システムが形成され、この駆動システムは、非常に頑丈であり、誤動作の影響を受けにくい。
【0019】
本発明による車輪は、同様の他の車輪の制御、測定、および操作システムとデータを交換する手段を有することがより好ましい。その結果、本発明によるいくつかの車輪を1つの乗物に結合することが可能であり、そのため、乗物の強力な推進を実現することができる。情報伝達が誤動作の影響を受けにくくなるように、外部とデータを交換する手段は光通信手段であることが好ましい。
【0020】
本発明によるいくつかの車輪または1つの車輪が特に車輪の外部の他の機器と情報伝達できるように、車輪の測定、制御、および操作システムは、車輪の外部の中央演算処理装置を介して情報伝達する。このようにして、例えば1つの乗物のいくつかの車輪が互いに情報伝達することができる。
【0021】
車輪の誤動作の影響をさらに低減するために、制御システムは、各巻線を流れる電流の強度を別々に調節する手段を有している。この場合、巻線はコイルも意味する。コイルすなわち巻線を電流が流れると、それによって磁界が生じる。
【0022】
巻線の制御システムは操作システムに接続されている。この操作システムは、制御システムよりも上の階層に位置しており、ある電流強度を設定し維持するよう各制御システムに命令する。
【0023】
本発明による車輪は、回転子の回転数および固定子に対する角位置を測定するエンコーダと、各巻線を流れる電流を測定する電流測定装置とを有する測定システムも備えている。その結果、各巻線を流れる電流を正確に設定し較正することができる。さらに、操作システムは、巻線を動作させることもでき、電動装置の最適の動作が得られるように各巻線上の位相を設定することができる。さらに、測定システムは、好ましくは、材料のひずみをナノメートル精度で測定することのできるひずみ計によって、機械トルクを測定する手段を備えている。ひずみまたはねじれ、一般的な金属の変形などを測定するこのような手段は、当業者に公知である。結果として生じた機械的なトルクと使用されたモータ電力を比較すると、車輪の状態が分かる。
【0024】
車輪が適切に動作できるように、エンコーダが操作システムに接続され、制御システムが電流測定装置に接続されることが好ましい。この結果、誤動作が起こりにくいモジュール式システムが形成される。
【0025】
操作システムは、情報伝達手段によって車輪の外部の中央演算処理装置に接続されている。その結果、乗物内の他のシステムと協調させることが可能になる。
【0026】
過度の熱が発生した場合に駆動手段を冷却するために、車輪は冷却手段を備えており、必要に応じて、ファンなどの能動冷却手段も備えている。さらに、車輪は水冷手段を備えてもよい。
【0027】
本発明によるいくつかの車輪が1つの乗物内で協働するのを可能にするために、車輪内の操作システムが「マスタ」設定および「スレーブ」設定を備え、中央演算処理装置が情報伝達手段を介して、操作システムを「マスタ」設定から「スレーブ」設定に切り換え、かつ「スレーブ」設定から「マスタ」設定に切り換えることができることが好ましい。例えば、カーブを曲がるときにいくつかの車輪の電力需要または速度が変動する。車輪間で協調させることができるように、「マスタ」設定から「スレーブ」設定への切り換えおよび「スレーブ」設定から「マスタ」設定への切り換えは、電力需要または車輪の速度に応じて行われる。この場合、必要な電力が最も少ない車輪、すなわち、回転速度が最も速い車輪を「マスタ」に設定しておくことが好ましい。
【0028】
本発明の方法では、中央演算処理装置が、必要とする電力が最も少ない車輪の操作システムを「マスタ」として機能させ、他の車輪の操作システムをそれぞれいわゆる「スレーブ」として動作させ、毎回、必要とする電力が最も少ない車輪の操作システムが「マスタ」として働き、他の車輪の操作システムが「スレーブ」として働くことが好ましい。この結果、駆動システムを容易に実現し制御することができる。
【0029】
将来の走行中の状況を予測するために、中央演算処理装置が、車輪の操作システムを管理する際に角位置に関する車輪ストラットのデータを含むことが好ましい。
【0030】
本発明は、さらに、情報伝達手段によって共通の中央演算処理装置に接続された本発明による少なくとも2つの車輪の組立体に関する。
【0031】
本発明は、さらに、8つよりも多くの極を有し3つ以上の相を有するDC同期モータである電動機を有する乗物の車輪に関する。
【0032】
さらに、本発明は、回転可能なシャフトに取り付けられたハウジングを備え、タイヤを有するリムを外側に備え、永久磁石と、乗物に取り付けることができシャフトに回転可能に連結されたハウジングとを内側に備え、制御、測定、および操作手段と、磁界を生成する電気手段とを備えた車輪に関する。このような構造によって、この車輪は、交換するのが簡単であり、モジュール式に取り付けることができる。さらに、機械ブレーキを追加の安全装置としてシャフト上に容易に取り付けることができる。
【0033】
さらに、本発明は、内部の電動手段と、機械的に生じたトルクを測定する手段と、供給された電力を測定することによってトルクを測定する手段と、機械的に生じたトルクと電力の測定値を比較する手段とを備えた車輪に関する。その結果、車輪内の早期に生じた磨耗および誤動作を判定し、場合によっては実際の欠陥が起こる前に判定することが可能になると考えられる。情報伝達手段によって、場合によっては遠くの(将来の)欠陥を判定することができ、場合によっては修復することができる。
【0034】
さらに、本発明は、直流電気的に分離された少なくとも2本のモータ巻線と、直流電気的に分離された少なくとも2つの電力モジュールと、電力モジュール用の、直流電気的に分離された少なくとも2つの操作ユニットとを備えた電動手段を内部に備えた車輪に関する。
【0035】
さらに、本発明は、車輪ストラットを乗物に取り付ける乗物取付け手段と、車輪ストラットに車輪を取り付ける車輪取付け手段とを備えており、車輪取付け手段が、乗物取付け手段に対して長手方向軸を中心として回転可能であり、車輪ストラットが、車輪取付け手段を乗物取付け手段に対して回転させる駆動手段を備えている車輪ストラットに関する。
【0036】
その結果、このような車輪ストラットは乗物に容易に取り付けることができ、乗物用のステアリング手段や車輪用の駆動装置のような他の手段を容易に結合することができる。
【0037】
乗物取付け手段および車輪取付け手段は、連結手段によって長手方向軸に沿って互いにばねを介して取り付けられることが好ましい。
【0038】
連結手段は、一方の側にスプラインを備え、他方の側に、シャフトを回転させる駆動手段と、スプライン付きのシャフトが内部に位置し、底部側に、ホイールシャフト用の収容手段および車輪用の取付け手段を備えたスプラインハウジングとを備えており、乗物取付け手段が、スリーブを乗物に連結する手段を備えたスリーブによって形成されており、スプライン付きのシャフトを有するスプラインハウジングが、スリーブ内に少なくとも部分的に収容され、スプラインハウジングとスリーブが、ばね手段によって互いに取り付けされており、駆動手段がスリーブに連結されていることが好ましい。
【0039】
このように実現できる構造は、簡素で頑丈であり、既存の乗物および製造方法にうまく組み込むことができる。
【0040】
車輪を取り付けるために、スプラインハウジングは、スプラインハウジングにほぼ直角に位置するシャフト用の受入れスリーブを備えている。その結果、車輪を安定にしっかりと取り付けることが可能になる。
【0041】
さらに、車輪ストラットは、車輪取付け手段の、乗物取付け手段に対して垂直な移動を抑制するばね手段を有している。
【0042】
車輪ストラットは、駆動手段と情報伝達する手段を備えることが好ましい。
【0043】
車輪ストラットは、本発明の上述の第1の態様による車輪の操作手段と情報伝達する手段を備えることが好ましい。車輪ストラットの駆動手段は、中央演算処理装置によって、本発明による車輪の操作手段と情報伝達することが好ましい。
【0044】
本発明の前述の各態様は、必要に応じて組み合わせることができる。例えば、乗物は、本発明の一態様によって2つまたは4つの車輪ストラットを備え、かつ本発明によって4つ以上の車輪を備えることができる。さらに、フォークリフトトラックが、本発明によって1つまたは2つの車輪を備えるだけでなく、本発明によって2つの車輪ストラットも備えることが可能である。
【0045】
高度の自動化のために、本発明の車輪ストラットおよび車輪は、完全に自動的に誘導される乗物で使用されるのに特に適している。ジョイスティックおよびいわゆるドライブバイワイヤによって操作することもでき、この場合、例えばジョイスティックまたはステアリングホイールの信号が(電気的または光学的な)ステアリング信号に変換される。
【0046】
本発明は、さらに、前述の1つまたはいくつかの車輪の操作および/または車輪ストラットの操作用のソフトウェアを備えたコンピュータに関する。さらに、本発明は、このようなソフトウェアを備えたデータ担持体に関する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による車輪を示す図である。
【図2】図1の車輪の断面図である。
【図3】本発明の他の形態の車輪ストラットの断面図である。
【図4】本発明による車輪の制御および操作システムの図である。
【図5A】本発明による車輪および車輪ストラットを有する乗物の平面図である。
【図5B】図5Aの乗物の平面図である。
【図6】本発明による車輪の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明のいくつかの実施形態について図に基づいて説明する。各図は本発明を示すものである。しかし、本発明は図示の特定の実施形態に限らない。
【0049】
図1には、本発明による車輪1が示されている。この図において、車輪は、いくつかの実施形態で使用できるタイヤ2を備えている。タイヤは例えば、トラクタ、フォークリフトトラック、貨物輸送用の他の種類の乗物のような低速で使用される完全にゴム型のものであってよい。車輪の直径は約800mmであることが好ましい。タイヤは、例えば、市内を走るタクシーや都市部における中程度の重量の貨物の輸送車のような中程度の速度の乗物で使用される空気圧型のものとして構成してもよい。
【0050】
タイヤ2は、様々な種類のタイヤに合うようにされたリム3上に取り付けられている。ふた4がリム3に取り付けられており、このふた4によってリムが中央シャフト5に連結されている。
【0051】
リム3の内側に回転子6が取り付けられており、回転子の内側に永久磁石7が接着されている。永久磁石7はリム3と共に回転する。タイヤ2を備えるリム3と、永久磁石を備える回転子6と、リム、ふた4、および中央シャフト5に取り付けられた他の部品は車輪の回転部品である。
【0052】
永久磁石7内に、巻線9を備えるアイアンパッケージ8が収容されており、巻線を有するアイアンパッケージ8と永久磁石7との間にエアギャップが形成されている。
【0053】
巻線9を備えるアイアンパッケージ8は、中央担持部材11上に取り付けられており、固定部材10および13によってカバープレート17上に取り付けられている。カバープレート17は、車輪1を乗物に取り付けるのに用いられる取付けフランジ(不図示、250mmタイプのB5フランジであることが好ましい)を備えている。収容空間を備えた固定部材13内には、特に電流制御用のIGBTおよび操作システム用のプログラム可能な論理モジュールから成る制御電子機器20が収容されている。アイアンパッケージ8、巻線9、固定部材、および電子機器は、前述のフランジによって乗物に固定して取り付けられており、したがって回転部品ではない。
【0054】
中央シャフト5は、軸受23が上を走る、硬い金属製の取付けブッシュ14を備えている。中央シャフト5の周りには、回転子6が巻線9に対してどの位置に位置しているかを測定するエンコーダ21も取り付けられている。その結果、操作・制御電子機器20は、各巻線9上の電圧の位相を、これらの位相が、各巻線9に対する永久磁石7の位置に最適に合うように、あらゆる瞬間に正確に調節することができる。
【0055】
図において、ふた4はブレード15および15’を備えている。ブレード15のリングの1つは、中央シャフトの周りに直接取り付けられており、ブレード15’の第2のリングは、ブレード15の第1のリングに同心に取り付けられている。ブレード15’は車輪の最も一般的な回転方向(乗物側から見て時計回り)に向かって開いている。ブレードは、冷却するためにモータに空気を導く働きをする。空気入口開口部を有する中央シャフトの周りのブレード15はブレード15’の向かい側に取り付けられている。車輪1が取り付けられた乗物を駆動すると、空気がブレード15によって車輪1内に導かれ、空気はブレード15’によって車輪外に吸い出される。
【0056】
各ブレードは、遠心ポンプの原則によって動く。中央シャフトの周りのブレード15の数は、加熱によって膨張した空気により大きな空間を与え、この空気をより容易に排出するために、ブレード15’の数よりも少なくなっている。
【0057】
ブレードによる受動的な冷却に加えて、能動的な冷却用のファンを車輪1に設けてもよい。このようなファンは例えば、内部の温度がある値を超えたときに作動させられる。
【0058】
車輪の様々な内部部品は、本発明による構造の性質のために、簡単に、液体を通さないように密閉することができる。その結果、ブレードによる受動的な冷却およびファンによる能動的な冷却に加えて、液冷によって車輪の内側を冷却することができる。いずれの場合も、操作・制御電子機器20はカバープレート17によって外部から密閉されている。
【0059】
回転子6は、必要な速度および支持力に応じてアルミニウムおよびスチールで構成してよい。
【0060】
回転子6は、トルクを伝達する永久磁石7の担体である。回転子は、磁石をできるだけ効果的に働かせるのに必要な磁束の案内も行い、これによって、固定子内で生成される磁界との磁気接続を形成する。固定子は、巻線9を備えるアイアンパッケージ8によって形成されている。
【0061】
モータ内の空冷とは別に、熱は冷却リブ24によって放出することもできる。冷却リブは、製造工程で、カバープレート17を含む鋳物に組み込まれる。
【0062】
電子機器20を内部で冷却するために、冷却体が設けられている。もちろん、冷却体は電子機器を冷却する働きをするが、他の2つの機能、すなわち、固定子を固定する機能と、比較的大きな電力および比較的高い電圧で使用できる水冷手段を密閉する機能を有している。図において、冷却体は依然として固定部材から分離されているが、連続する製造工程において1つの構造部品にしてもよい。
【0063】
固定部材10と、電子機器20の固定部材13によって、固定子のアイアンパッケージ8は固定され、したがって、回転子6に対して軸方向に滑ることはできない。その結果、磁石7は回転子に対して同じ位置から動かず、最適の効率が得られる。
【0064】
図1の、巻線9を備える固定子は、3つの部品から成るが、固定子のアイアンパッケージは1つの部品で作ることが好ましい。巻線9は、巻線ヘッドの周りに配置されており、本発明による車輪の最適の駆動動作が実現されるように一定のパターンで巻かれている。電流が巻線9を流れ、この電流によって回転子6を回転させるのに必要な磁力が発生する。アイアンパッケージ8によって、磁束は最適に案内される。適切に選択されたアイアンパッケージ8によって、本発明による車輪の高い効率が保証される。
【0065】
密閉リングによって、空冷の内部と、本発明による車輪の軸受および電子機器が収容されている部分とが確実に隔離されている。
【0066】
さらに、取付けブッシュ14が軸受(2つの複列接触軸受)の支持体として配置されている。取付けブッシュ14は、高品質タイプのスチールで構成されている。スチール製の取付けブッシュ14は、中央担持部材11上の軸受からの力を伝達し、軸受が中央担持部材11から外れるのを防止する。この軸受によって軸線方向の力と半径方向の力の両方が、すなわち均等に吸収され、したがって、カーブを曲がる場合や、路面が凸凹している場合に、回転子6の安定な回転が得られる。本発明による車輪が効率的に動作するには、回転子6と固定子との間に最大で約2mmのエアギャップが存在することが好ましいので、この安定な回転は非常に重要である。したがって、軸受は、長い動作時間(最低で10000時間)に亘ってエアギャップを確保するように大きめの寸法になっている。
【0067】
固定子と中央担持部材11が互いに対して回転できないようにこの2つの部材の間にスプラインが配置されている。
【0068】
カバープレート17によって保持リングが押えられ、このようにして軸受が固定され、それによって固定子がシャフトに対して固定されている。このようにして、回転子6と固定子は互いに対して同じ位置から動かない。
【0069】
保持スリーブによって、中空のシャフトエンコーダが所定の位置に維持され、また、軸受の内側のリングが閉じ込められている。保持スリーブは、ナットとねじ山によって中央シャフト5上に取り付けられている。
【0070】
中央担持部材11は、固定子を支持しており、外周に規則的なパターンで分割された3つのスプライン連結部によって回転しないように押え付けられている。担持部材11には、取付けの間、冷却液体を通過させることができる開口部が形成されるように表面に凹部が配置されている。この冷却は、96Vよりも高い電圧および12kWよりも大きい容量の場合に必要である。
【0071】
固定部材13はいくつかの機能を有する。
【0072】
A:固定部材10と共に、中央担持部材11およびアイアンパッケージ8を固定し、その結果、固定子は完全に閉じ込められている。
【0073】
B:凹部を、冷却液体を通過させるように閉じる。
【0074】
C:電子機器が収容される収容空間、すなわちボウルを形成する。
【0075】
この収容空間はカバープレート17によって閉じられている。その結果、電子機器が外気から完全に密閉され、本発明による車輪は故障なしで動作することができる。
【0076】
回転子6はリング軸受によってさらに支持され、その結果、常にエアギャップが確保される。
【0077】
取付け時に、カバープレート17によって全体が適正に連結され、密閉され、閉じ込められる。カバープレートは、本発明による車輪を乗物またはシャシに取り付けるための取付けプレートでもあり、好ましくは250mmタイプの標準フランジB5を備えており、その結果、車輪を既存の設計に容易に適合させることができる。冷却リブ24によって、走行時に余分な熱が放出される。
【0078】
永久磁石7は、回転子6にぴったり嵌るような形状に製造される。磁石は、車輪のリムの内側に接着された後、回転子と一体化される。磁石は、希土磁石であることが好ましい。永久磁石は、約1テスラを超える磁界強度を有することが好ましい。
【0079】
中空のシャフト用のエンコーダ21は、走行距離を測定することができ、また、電子機器20を駆動し、したがって、コンピュータ、すなわち中央演算処理装置によって、回転子6が固定子に対してどの位置に位置しているかが認識される。このことは、回転子を衝撃を受けさせずに回転させるうえで最も重要である。
【0080】
車輪を動作させる電子機器および論理回路と、電力電子機器は、本発明による車輪内に配置されている。その結果、いくつかの利点を得ることができる。
【0081】
電動乗物の製造業者がこの時点で直面する最大の問題の1つは、後で互いに連結する必要がある全ての種類の部品が乗物全体に散らばっていることである。このため、電気的な乗物の製造には時間がかかり、したがってコストがかかる。さらに、製造は多くの場合3つの連続する工程で行われ、その結果、製造時間が比較的長くなる。
【0082】
図2には、図1の車輪が断面図で示されており、この結果、図1に示されている本発明による車輪の実施形態の特定の面がさらに明確になる。ここでの参照番号は図1と同じ意味を有している。この断面図において、リム3、回転子6、永久磁石7、および中央シャフト5がふた4によって互いにどのように連結されているかが明確に分かる。さらに、巻線9およびアイアンパッケージ8(固定子)と、電子機器20を含む固定部材10,13がカバープレート17にどのように連結されているかが明確に分かる。この結果、この断面図において、電動手段、この場合は電動機が車輪1内にどのように位置しているかが明確に分かる。電動機をこのように配置することにより、非常に高い効率、通常の電動乗物よりも最大で50%高い効率を達成することが可能になることが分かる。特に、図1および図2で説明した電動機によって大きな利点が得られる。例えば、永久磁石を有するモータは、発電機として働くため、ニュートラルのときに自身で電気を生成することができる。モータが車輪内に取り付けられているので、もはや動力伝達装置や差動装置を使用する必要はない。モータの回転数を高くする必要もない。
【0083】
図3には、本発明の他の形態である車輪ストラットが示されている。車輪ストラット100は、一方の側にスプライン102が設けられ、他方の側に、スプライン付きのシャフト101を回転させる駆動手段103が設けられたスプライン付きのシャフト101を有している。駆動手段103は電動機から成ることが好ましい。スプライン付きのシャフト101は、スプラインハウジング104内に回転可能に位置している。スプラインハウジング104は、車輪シャフト106用の収容手段105を底部側に備えている。スプラインハウジング104は、車輪ストラット100を乗物に取り付ける取付け手段108を備えたスリーブ107に少なくとも部分的に収容されている。スプラインハウジング104とスリーブ107は、ばね109によって互いに取り付けされている。電動機103のハウジングはスリーブ107に連結されている。スプラインハウジングは、スプラインハウジングにほぼ直角に位置するシャフト用のシャフト受入れスリーブ105を備えている。シャフト受入れスリーブ105はスプラインハウジング104に固定して取り付けられている。
【0084】
ばね109は、スプラインハウジングとシャフト受入れスリーブの部分に対するスプラインシャフトとスリーブの部分の移動を緩衝するようになっている。
【0085】
スリーブ107は、車輪ストラット100を乗物に取り付ける取付け手段108を備えている。取付け手段108は、この構成の永久部品であり、2本の円錐ピンを用いて乗物のシャシまたは構成部に取り付けられ、したがって乗物のシャシまたは構成部と一体化された支持体によって形成されている。
【0086】
ばね109を外部の影響から保護するために、ばね109は、上部でスリーブ107に取り付けられたディスタンススリーブ112によって囲まれている。ディスタンススリーブ112は、2つの部品から成り、ショックアブソーバのようなサスペンションのばね作用を緩衝する小さい空気出口開口部を備えている。ディスタンススリーブは、乗物が車輪と共に地面から持ち上がった場合にエンドストップとしても働く。ディスタンススリーブの下部115は上部113にスライドさせて入れられている。ディスタンススリーブ部材115および113はクワッドリング114によって互いに密閉されている。
【0087】
車輪を回転させるには、車輪の電動機103を作動させる。電動機103の回転は、スプライン付きのシャフト101に伝達される。スプライン付きのシャフトの回転はスプラインハウジング104に伝達され、その結果、スプラインハウジングに取り付けられた車輪受入れスリーブが回転し、ステアリング運動を行わせることができる。電動機は動力伝達装置を備えてよい。車輪ストラットは、電動機用の制御および操作手段も備えている。さらに、車輪ストラットは、乗物取付け手段に対する車輪取付け手段の角位置を記録するいわゆるエンコーダを備えている。車輪ストラットは内部に情報伝達手段、好ましくは光通信手段も備えている。エンコーダは車輪ストラットの操作手段に動作情報を供給する。スプライン付きのシャフト101はスプラインハウジング内で上下に移動することもでき、その結果、ばね運動が可能になる。このため、乗物取付け手段は、車輪取付け手段に対して長手方向軸に沿って移動することができる。
【0088】
スプラインハウジング104は、ホイールサスペンションの、回転し、上下に移動する部分である。B5標準フランジによってスプラインハウジング104に車輪を取り付けることができる。中央シャフト12/106によって後部にブレーキ装置を取り付けることもできる。中央シャフト12/106は、ニュートラルの車輪を取り付けることができ、他方の側にブレーキを取り付けることができるフランジを装備してもよい。
【0089】
トライアングル支持は、トライアングルの付着点である。このトライアングルは、市販されており、ばねの足の荷重に対する許容荷重支持能力を1500kgから4000kgに高めることができる。このトライアングルを使用することによって、もはやサスペンションに対して曲げる力が作用することはなくなる。
【0090】
本発明による車輪の延長された中央シャフトは、車輪を取り付ける場合に必要であり、ブレーキシステムのディスクを取り付ける働きをすることもできる。
【0091】
ばねにより、車輪およびサスペンションが取り付けられた乗物を、路面において快適に保持することができる。トライアングルを有する4トンの乗物において、ばねは実際には完全に押し込まれるが、乗物の位置が傾き、車輪の1つが地面から離れそうになった時に、最小ばね圧1500kgになる。
【0092】
ゴム製Oリングは、荷重が非常に大きくなってスプラインハウジング104が支持体にぶつかるという例外的な状況でスプラインハウジング104の緩衝装置として働く。
【0093】
本発明による車輪における同期モータを動作させる電子制御装置の説明
本発明による車輪用の電子制御装置は、いくつかの要素によってモジュール式に構成されている。いくつかの要素は互いに階層的に調整される。以下の要素に分別することができる。
【0094】
1.電力モジュール
最下位の階層では、IGBTメイン電流モジュールが使用されている。IGBTメイン電流モジュールに存在する構造によって、これらは非常に信頼性の高いモジュールになっており、熱の放出量が少なく、最適の効率を有している。これらのメイン電流モジュールは、巻線を流れる電流を調節する。巻線は、それぞれ別の位相を有する3つの群に分割されている。巻線毎に2つのメイン電流モジュールがある。メイン電流モジュールはより高い階層、すなわち電流調整器によって駆動される。
【0095】
2.電流調整器
第2の階層2において、IGBTメイン電流モジュールは、電流調整器に接続されており、この電流調整器によって駆動される。電流調整器は、ホールの原理(ホールセンサ)に従って動作する独立の電流センサと共に、それに伴うモータ巻線内の電流を調節する独立のエンドストップを形成している。この階層において、IGBTメイン電流モジュールと電流調整器は、操作電子機器から直流電気的に既に分離されている。さらに、2つのメイン電流モジュールおよびホールセンサを有する電流調整器は4Qモジュールと呼ばれている。電流調整器を有するメイン電流モジュールは制御システムを形成している。巻線毎に制御システムが存在する。
【0096】
3.ベクトル生成装置
ベクトル生成装置は、いわゆる4Qモジュール(階層1および階層2)に動作値を供給し、したがって、4Qモジュールは、同期モータの巻線によって磁界ベクトルを生成し、それによってトルクのモーメントを決定する。
【0097】
いわゆるエンコーダまたはリゾルバ、すなわち角度または回転数を非常に正確に測定する測定装置は、固定子に対する回転子の現在の位置をベクトル生成装置に知らせる。リゾルバの正弦/余弦信号と、リゾルバにつながれるフィードバック値から得られる回転子の位置を迅速に計算することによって、モータの磁界ベクトルをプログラマブル論理モジュール、いわゆるFPGAと共に最適に設定することができる。
【0098】
マイクロプロセッサとFPGAの組合せによるベクトル生成装置の全機能を光ファイバケーブルを介してプログラムすることができる。このことは、すでに使用されている本発明による車輪において、特殊な用途に必要な新しいデータまたは変更を(電話またはインタネットによって)ただちにインプリメントできることを意味する。このような変更には、FPGAのソフトウェアに関する変更だけでなく、モジュールのハードウェアに関する変更も含まれる。例えば、巻線またはモジュールが故障したときにモータ自体における関係を車輪が機能し続けることができるように変更することが可能である。ベクトル生成装置は操作システムを形成している。前述の実施形態における、エンコーダと電子機器を伴うホールセンサとが、測定システムを形成している。
【0099】
4.CPUすなわち中央演算処理装置
最初の3つの階層は車輪内にまとめて収容される。CPUは、車輪の外側に位置しており、車両上にある、本発明によるいくつかの車輪と光学リングデータバス回線(ORDABUL)によって情報伝達する。CPUは、AGV(自動誘導乗物)に必要な、走行距離、カーブを曲がるときの走行距離、および完全な駆動の診断に関する計算を実行することもできる。各階層によって、動作状況に対して重要なデータがCPUに伝達される。エラーの信号は直ちに上の階層に伝達され、この階層は、損害が生じないうちに必要な措置を講じることによって直ちに反応する。上の階層は、エラーに適性に応答する緊急プログラムを作動させることができる。その結果、あるモジュールのエラーが乗物全体に影響を与えることはほとんどなくなる。
【0100】
このモジュール式システムにより、エラーを簡単に診断し、後で複雑な調節や設定を行うことを必要とすることなく、関連する要素を迅速に見つけることが可能になる。
【0101】
非同期/同期モータの通常の制御との重要な違いは、好ましい実施形態では、すべてのモータ巻線が3つの群に分割され、各群が好ましくは、互いに電気的に分離された30本の独立の巻線から成り、各巻線がそれ自体の4Qモジュールによって3つの群に分割されていることである。この場合、4Qモジュールは電源電圧によって互いに接続されるにすぎず、その結果、以下の利点が生じる。
1:通常の3相駆動装置の2つの相のみが監視され調節される。第3の相における電流は、他の2つの相の挙動から算出される。このことは、電子機器の動作の自由度、例えば1つまたは2つ以上のモジュールの故障に対する緩衝の自由度が高くなることを意味する。
2:各モータ巻線が同じ磁界強度を生成するように電流分布を厳密に調整することができる。その結果、磁界によって生成される各巻線内のトルクの実際のモーメントを調整することができ、これらのモーメントは別々の巻線の電気変数の不規則性とは無関係になる。
3:各巻線の磁気公差をベクトル生成装置によって別々に較正することができる。
4:4Qモジュールが故障するか、または巻線が短絡した場合、モータは依然として動作可能である。ヒューズまたはリレーにより、欠陥の生じたモジュールまたは相を他の2つの4Qモジュールまたは相からそれらに影響を与えずに分離することができる。このように、モータは、依然として制動をかけることができ、いくつかの車輪が使用されているときにはそれらを支援することができる。この場合、階層構造の利点が特に顕著になる。
【0102】
前述の電子機器の機能および接続は図4でさらに明らかにされている。この図には、例えば、遠隔制御乗物や自動制御乗物などの電動乗物における車輪、車輪ストラット、および他の制御および操作信号の接続および階層がブロック図によって概略的に示されている。中央演算処理装置すなわちコンピュータ200は、いくつかの部品間の全体的なデータ交換を制御し、乗物の自動制御を可能にする。コンピュータ200は、情報伝達回線、例えば光通信回線によってエネルギー管理システム300、すなわち電池、可能な発電機、燃料電池、またはソーラーパネルに接続されている。さらに、コンピュータ200は、様々なシステムのステータスに関するデータが表示される表示画面400に接続されている。中央コンピュータ200は、乗物の位置、可能な障害物、内部環境などに関する情報を供給する様々なセンサにも接続されている。中央コンピュータはさらに、例えば本発明による2つ以上の車輪ストラット100に接続されている。この図中の番号は、前述の部品に対応する。
【0103】
中央コンピュータ200はさらに、本発明による少なくとも1つまたは2つ以上の車輪1に接続されている。車輪は、3つの巻線群9、9/1、および9/11、各群毎の制御システム32、32/1、および32/11、各群ごとの測定システム30、30/1、および30/11を有することが分かる。さらに、車輪は前述のエンコーダ31を有しており、エンコーダ31は、固定子に対する回転子の相対位置に関するデータを、エンコーダよりも上位の操作システム33に供給する。この図には、本発明による車輪1内の、好ましくは合計で少なくとも30本の巻線9、9/1、および9/11から成る3つの群が示されている。巻線9は、各々が別の相φ1、φ2、およびφ3を有する3つの群に分割されることが好ましい。各巻線群9、9/1、および9/11を流れる電流はホールセンサ30によって測定される。測定値は制御システム32に渡される。制御システム32は1つの巻線群を流れる電流を2つのIGBTによって調節する。制御システム32は操作システム33によって動作させられる。操作システムはまた、エンコーダ31からデータを受信し、エンコーダ31は固定子に対する回転子についての角情報を供給する。その結果、操作システム33は、最適の動作を可能にする良好な相設定を選択することができる。操作システム33は、好ましくは光学データ通信に適した情報伝達手段34によって乗物内の中央演算処理装置200に結合される。
【0104】
図5Aには、本発明による4つの車輪1を備えた乗物の平面図が示されている。車輪1はそれぞれ、やはり上記で説明した本発明の他の態様による車輪ストラット100に取り付けられている。これらの車輪ストラットはそれぞれ、各車輪を回転させることができ、それによって乗物を駆動することが可能な手段を内部に備えている。乗物はさらに、中央演算処理装置200および電池と、それらの制御システム300を備えている。図5Bには、図5Aの乗物の側面図が示されている。
【0105】
図6には、本発明による車輪の他の実施形態が示されている。参照番号は、できるかぎり図1および図2の参照番号に対応するようになっている。乗物側は矢印Aで示されている。図6の車輪は、例えば水冷手段を備えている。冷却水の入口および出口はそれぞれ、番号30によって示されている。入口および出口30は、冷却水が循環するシャフトの周りの空間31に続いている。この実施形態において、測定、制御、および操作手段は空間32内に配置されている。電子機器は、乗物の方に向けられたプリントプレートと共に配置されている。好ましくは水である冷却水は主として、巻線を冷却する働きをする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪ストラットを乗物に取り付ける乗物取付け手段(108)と、前記車輪ストラットに車輪を取り付ける車輪取付け手段(105)と、を備えており、前記車輪取付け手段は、前記乗物取付け手段(108)に対して、前記車輪ストラット(100)の長手方向軸の周りに回転可能であり、前記車輪ストラット(100)は、前記車輪取付け手段を回転させる駆動手段(103,101)を備えている、車輪ストラット。
【請求項2】
前記車輪取付け手段(105)は、前記乗物取付け手段(108)に関して前記長手方向軸に沿って上下に移動可能であり、前記駆動手段(103,101)は、前記乗物取付け手段(108)に対して、前記車輪ストラット(100)の前記長手方向軸の周りに前記車輪取付け手段(105)を回転させる、請求項1に記載の車輪ストラット。
【請求項3】
前記駆動手段は電動機(103)を有し、前記車輪ストラットは、前記駆動手段を操作する操作手段と、前記操作手段に接続された情報伝達手段とをさらに有し、前記情報伝達手段は、同様の他の車輪の制御手段、測定手段および操作手段と情報を伝達する、請求項1または2に記載の車輪ストラット。
【請求項4】
前記駆動手段(103)は、前記車輪ストラット(100)の内部に設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の車輪ストラット。
【請求項5】
前記乗物取付け手段(108)および前記車輪取付け手段(105)は、連結手段(101,104)によって前記車輪ストラットの前記長手方向軸に沿ってばねを介して互いに取り付けされている、請求項1から4のいずれか1項に記載の車輪ストラット。
【請求項6】
前記連結手段は、一方の側にスプライン(102)を備え、他方の側にスプライン付きのシャフト(101)を回転させる前記駆動手段(103)と、前記スプライン付きのシャフト(102)が内部に位置し、底部側に、ホイールシャフト用の収容手段および車輪(105)用の取付け手段を備えたスプラインハウジング(104)と、を備えており、前記乗物取付け手段は、前記スリーブを乗物に連結する手段(108)を備えたスリーブ(107)で形成されており、前記スプライン付きのシャフト(101)を有する前記スプラインハウジング(104)は、前記スリーブ(107)内に少なくとも部分的に収容され、前記スプラインハウジングと前記スリーブ(107)は、ばね手段(109,113,115)によって互いに取り付けされており、前記駆動手段(103)は前記スリーブ(107)に連結されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の車輪ストラット。
【請求項7】
前記スプラインハウジング(104)は、前記スプラインハウジングにほぼ直角に位置するシャフト用の受入れスリーブを備えている、請求項6に記載の車輪ストラット。
【請求項8】
前記車輪取付け手段の、前記乗物取付け手段に対して垂直な移動を緩衝するばね手段を有する、請求項6または7に記載の車輪ストラット。
【請求項9】
前記電動機は、スリーブ(107)に接続されたハウジングと、前記スプライン付きのシャフト(101)に接続された駆動シャフトと、を有する、請求項6から8のいずれか1項に記載の車輪ストラット。
【請求項10】
前記情報伝達手段は光通信手段である、請求項3に記載の車輪ストラット。
【請求項11】
前記車輪ストラットの操作手段は、前記車輪の外部の中央演算処理装置を介して情報伝達する、請求項1から10のいずれか1項に記載の車輪ストラット。
【請求項12】
測定手段をさらに有し、前記測定手段は、前記駆動手段の回転数および角位置を測定するエンコーダを有する、請求項1から11のいずれか1項に記載の車輪ストラット。
【請求項13】
前記エンコーダは前記操作手段に接続されている、請求項12に記載の車輪ストラット。
【請求項14】
前記操作手段は、前記情報伝達手段、好ましくは光通信手段によって、前記車輪ストラットの外部の中央演算処理装置に接続されている、請求項1から13のいずれか1項に記載の車輪ストラット。
【請求項15】
前記車輪取付け手段に取り付けられた車輪をさらに含み、
前記車輪は、
電動手段と、
前記電動手段の電力を制御する制御手段と、
測定手段と、
前記制御手段および前記測定手段と接続された、前記車輪を操作する操作手段と、
前記操作手段と接続され、前記車輪の外部で情報伝達する情報伝達手段と、
を有している、請求項1から14のいずれか1項に記載の車輪ストラット。
【請求項16】
前記車輪は、永久磁石を備えた回転子が内側に同軸に備えられたリムであって、前記回転子と前記リムは中央シャフトに連結されたリムと、巻線を備え、前記中央シャフトと前記回転子との間に位置し、前記車輪ストラット車輪取付け手段に接続することができる同軸固定子と、を有する、請求項15に記載の車輪ストラット。
【請求項17】
前記車輪内の前記操作手段は「マスタ」設定および「スレーブ」設定を備えており、前記中央演算処理装置は前記情報伝達手段を介して、前記操作手段を前記「マスタ」設定から前記「スレーブ」設定に切り換え、前記「スレーブ」設定から前記「マスタ」設定に切り換える、請求項15または16に記載の車輪ストラット。
【請求項18】
前記「マスタ」設定から前記「スレーブ」設定への切り換えおよび前記「スレーブ」設定から前記「マスタ」設定への切り換えは、電力需要または前記車輪の速度に応じて行われる、請求項17に記載の車輪ストラット。
【請求項19】
必要な電力が最も少ない車輪を「マスタ」に設定する、請求項17または18に記載の車輪ストラット。
【請求項20】
電源および中央演算ユニットを収容するプラットフォームと、該プラットフォームに取り付けられた請求項1から19のいずれか1項に記載の少なくとも1つの車輪ストラットと、を有し、前記中央演算ユニットは、前記電源を制御し、少なくとも1つの前記車輪ストラット内の操作手段に個別に指示を与える、乗物。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載の少なくとも2つの車輪ストラットを含む、請求項20に記載の乗物。
【請求項22】
請求項15から19のいずれか1項に記載の少なくとも1つの車輪ストラットを含み、前記中央演算処理装置は、それぞれの前記車輪ストラットの前記乗物取付け手段の角位置に関するデータを、それぞれの前記車輪の前記操作手段に提供する、請求項20または21に記載の乗物。
【請求項23】
請求項1から19のいずれか1項に記載の少なくとも1つの車輪ストラットを含む、乗物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−66822(P2012−66822A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262185(P2011−262185)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【分割の表示】特願2001−554903(P2001−554903)の分割
【原出願日】平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願人】(502270925)スペシャル プロダクツ フォー インダストリー ヴェー.オー.エフ. (1)
【氏名又は名称原語表記】SPECIAL PRODUCTS FOR INDUSTRY V.O.F.
【Fターム(参考)】