説明

転写装置及び画像形成装置

【課題】 記録媒体の搬送経路の中で適当な温度にコントロールする手段を付与することで、記録媒体に加わる熱量をコントロールできる転写装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 トナー像を担持する像担持体8に対向して配置される転写ベルト2と、該転写ベルト2を保持する複数のローラ3,4,5とを備え、かつ、転写ベルト2の温度を検知する検知手段7とローラの少なくとも1つに加熱手段6を設ける転写装置1及びこれを備える画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の静電複写プロセスによる画像形成に用いられる静電潜像現像用トナーに関するものであり、また、このトナーを用いる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置や印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体上に形成された静電潜像が現像されてトナー像が形成されると、記録紙などの転写材に対してトナー像が転写され、転写を受けた転写材は定着装置によりトナー像を定着される。定着装置においては、トナー像に対して熱および圧力を作用させることにより、融解したトナーを転写材に浸透される定着行程が実行される。定着装置の構成の一つに加熱源を内蔵した加熱ローラおよびこれに対向当接して定着ニップ部を構成可能な加圧ローラとを用いて熱ローラ定着方式を実施することができる構成がある。熱ローラ定着方式の場合には、熱容量が比較的大きい材質からなるローラを使用することが多いことから、所定温度までの立ち上がり時間が長いという問題があった。
【0003】
最近の複写機の省エネルギー化、高生産性化、高画質化に伴い、定着ユニットは定着部材の薄肉化、低熱容量化による立上げ時間短縮が図られている。また、高画質化のために均一、小粒径のトナーを用いることが多くなってきた。この場合、定着部材が薄肉、低熱容量であるため、連続通紙時に定着部材の温度が低下してしまい、必要な熱量を記録媒体に加えることができない。高生産性の機械の場合、連続通紙時又は経時で、記録媒体の搬送経路が温度上昇し、定着ニップに入ってくる記録媒体の温度がコントロールできない。またそれによって、定着時に熱量過多になってしまう。このような問題を解消する定着方式として、トナーと接触する側の加熱部材として一つのローラに掛け回されたベルトを用い、立ち上がり時間の短縮と共に定着ニップの拡大を可能にした構成が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
しかし、最近の高画質画像の要求から、小粒径の重合トナーを用いられるようになってきている。この重合トナーとし、外周が内包される部分に比べて固く、軟化点が高い樹脂で被覆されている場合もあり、これらで、良好な定着性を得るために、定着する以前に、記録媒体及び未定着状態のトナーを予備加熱する必要がある。
【0004】
【特許文献1】特開2005−181627号公報
【特許文献2】特開平11−282307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、記録媒体の搬送経路の中で適当な温度にコントロールする手段を付与することで、記録媒体に加わる熱量をコントロールできる転写装置及び画像形成装置を提供することである。
また、記録媒体の搬送手段の温度と搬送速度(搬送時間)によって記録媒体に与えられる熱量を制御する定着装置を備えることで、高画質かつ、安定した定着性を有する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の転写装置は、トナー像を担持する像担持体に対向して配置される転写ベルトと、該転写ベルトを保持する複数のローラとを備え、かつ、転写ベルトの温度を検知する検知手段とローラの少なくとも1つに加熱手段を設けることを特徴とする。
また、本発明の転写装置は、前記転写ベルトは、記録媒体を搬送しつつ移動することを特徴とする。
また、本発明の転写装置は、前記複数のローラは、少なくとも、駆動ローラと従動ローラと、転写ベルトにテンションを付与するテンションローラであることを特徴とする。
また、本発明の転写装置は、前記加熱手段を設けるローラが、円筒状の部材で構成されていることを特徴とする。
また、本発明の転写装置は、前記検知手段が、転写ベルトを挟んでローラと対向する側であって、非接触型の温度検知センサであることを特徴とする。
【0007】
本発明の画像形成装置は、少なくとも、トナー像を担持する像担持体と、像担持体上にトナー像を現像する現像装置と、像担持体上のトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、記録媒体上に形成された未定着画像を定着させる定着装置とをもつ画像形成装置において、前記転写装置は、トナー像を担持する像担持体に対向して配置される転写ベルトと、該転写ベルトを保持する複数のローラとを備え、かつ、転写ベルトの温度を検知する検知手段とローラの少なくとも1つに加熱手段を設けることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、上記のいずれかに記載の転写装置を備えることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、前記定着装置は、前記定着部材のうち少なくとも1つの部材の温度を検知する手段を有し、前記転写ベルトの温度によって、前記定着部材の温度を制御することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、前記定着部材は、前記転写ベルトの温度と前記記録媒体が転写ベルト上を搬送される速度によって温度を制御することを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、前記定着装置は、前記無端の定着ベルトを懸架する加熱ローラ及び定着ローラと、前記定着ベルトを介して前記定着ローラに対向して配置される加圧ローラとを備え、前記定着ベルト及び/又は前記加圧ローラが記録媒体を搬送することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像形成装置は、有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解又は分散させ、該溶解又は分散物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去して得られるトナーであって、トナーの中に分散される顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.5μm以下であり、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合が5個数%以下のトナーを用いることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、前記トナーは、該着色剤の分散粒径が個数平均径で0.3μm以下であり、その個数平均径が0.5μm以上の個数割合が10個数%以下であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、前記トナーは、重量平均粒径が3.0〜7.0μmであり、粒径分布が1.00≦Dv/Dn≦1.20(Dv:重量平均粒径、Dn:個数平均粒径)であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、前記トナーは、平均円形度が0.900〜0.960であることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、前記トナーは、トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、その分子量2500〜10000の領域にメインピークが存在し、その数平均分子量が2500〜50000の範囲にあることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、前記トナーは、トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のガラス転移点が40〜65℃であり、その酸価が1〜30mgKOH/gであることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、該油性分散液が、該アミンと非反応性のポリエステル系樹脂を溶解していることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、上記のいずれかのトナーとキャリアとを含有する現像剤を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
これらの課題に対し、本発明は、記録媒体の搬送経路の中で大きな割合を占める転写ベルトの温度を適当な温度にコントロールすることで、記録媒体に加わる熱量をコントロールする。また定着ニップ前で記録媒体をプレ加熱できることで、定着性を向上させる事ができるともに、定着部材の温度低下を防ぐことができる。
さらに、本発明は、記録媒体の搬送経路の中で大きな割合を占める転写ベルトの温度を適当な温度にコントロールする手段を付与することで、記録媒体に加わる熱量をコントロールできる転写装置を提供することができる。
さらに、本発明は、転写ベルトの加熱手段を、転写装置の一部である張架ローラに含むことで、転写装置の小型化を図ることができる。
さらに、本発明は、高画質かつ、安定した定着性を有する画像を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0011】
以下、図示実施例により、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明にある転写装置1および定着装置2の概略図である。
転写装置1は転写ベルト2および転写ベルト2を駆動するための駆動ローラ3、従動ローラ4、および、転写ベルト2にテンションを付与するためのテンションローラ5を備えている。テンションローラ5は円筒状の部材であり、内部にテンションローラ5を加熱するためのヒータ6を含んでいる。またテンションローラ5と駆動ローラ3の間に転写ベルト2の温度を検知する手段として、非接触型の温度センサ7がある。
記録媒体10は図1に図示しない搬送ローラにより転写ベルト2に搬送される。感光体8と転写ベルト2を挟んで対向する転写ローラ9で形成される転写ニップで、感光体8上に作成された潜像が記録媒体10に転写される。
未定着トナー像を担持した記録媒体10は転写ベルト2上を搬送され、定着装置11にて定着される。定着装置11は、トナーを定着される記録媒体を搬送するための無端状の定着ベルト12と、定着ベルト12を張架される加熱ローラ13及び定着ローラ14と、定着ベルト12を介して定着ローラ14に対向して配置される加圧ローラ15と、加熱ローラ13、加圧ローラ15の内部に備えられたヒータ16、17と定着ベルト2、加圧ローラ5に対向して配置されそれぞれの温度を検知する温度検知手段として定着ベルト側サーミスタ18、加圧側サーミスタ19をそれぞれ備えている。定着ベルト12は、バネなどの図示しない弾性体により定着ベルト12内側からテンションローラ20を付勢されることにより、定着ベルト12に適当な所定の張力を与えるようになっている。ヒータ6により加熱されたテンションローラ5は転写ベルト2と接触することにより、転写ベルト2を加熱する。転写ベルト2の表面温度を非接触センサ7で検知し、検知温度が任意に設定することが可能である設定温度を越えた時点でヒータ6を消灯する。また検知温度を下回った時点でヒータ6を再度点灯する。
上記転写ベルト2の設定温度は、任意に設定可能であるが、転写ベルトの温度が過度に高い場合には転写性を悪化させる可能性があるため、転写性を考慮し比較的低い温度に設定する必要がある。
【0012】
定着装置1の温度はベルト側サーミスタ18および加圧側サーミスタ19により制御される。転写ベルト2の検知温度により定着温度を変化させる制御フローを図2、制御のブロック図を図3に示す。また、転写ベルト2の温度に対するベルト側設定温度を図4にグラフ化して示す。待機状態にある装置に印刷要求が入ると、まず印刷要求のモード(モノクロ、カラー、高画質モードなど)により決定される通紙線速と転写ベルト2の温度を検出する。検出した転写ベルト2の温度から図3のグラフで求まる定着ベルト側設定温度を決定し、通紙を開始する。1枚印刷を終了した時点で、次の印刷要求がある場合にはもう一度転写ベルト2の温度を検出し、再度定着ベルト側設定温度を決定する。印刷要求がない場合は待機状態に遷移する。
また、均一、小粒径の重合トナーを用いており、高画質を得ることができる。重合トナーは外周が内包される部分に比べて堅く、いわゆる定着ニップにおいて記録媒体を狭時させて搬送させ、加熱部材からの熱により未定着画像を融着させて定着する以前に、記録媒体及び未定着状態のトナーを予備加熱する必要があるが、転写ベルト上で記録媒体および未定着トナーをある程度プレ加熱することができ、上記の問題を解決し、安定した定着性を確保している。
【0013】
従来から電子写真法や静電記録法を利用した画像形成装置を用いることにより、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。例えば、電子写真法においては、画像情報は、帯電工程に続く露光工程により感光体上に静電潜像とされた後、現像剤で顕像化され、次いで転写工程及び定着工程を経て画像情報が再生される。この場合、現像剤としては、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる一成分現像剤と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤とがある。
このような現像剤に用いられる電子写真用トナーは、通常、熱可塑性樹脂を、顔料、必要に応じてワックス等の離型剤や帯電制御剤と共に溶融混練した後、微粉砕し、更に分級する混練粉砕法により製造されている。このようにして得られるトナーには、必要ならば、流動性やクリーニング性を改善するために、無機または有機の微粒子をトナー粒子表面に添加することが行なわれている。
通常の混練粉砕法により得られるトナーは、一般的には、不定形で、その粒径分布はブロードで、流動性が低く、転写性が低く、定着エネルギーが高く、トナー粒子間で帯電量が不均一で、帯電安定性が低いと言う問題点があった。さらに、このようなトナーから得られる画像は、その画質が未だ不満足のものであった。
【0014】
一方、混練粉砕法による前記トナーの問題点を克服するために、重合法によるトナーの製造方法が提案されている。この方法は、粉砕工程が含まれていないため、そのトナーの製造には練り工程及び粉砕工程が必要でなく、エネルギーの節約、生産時間の短縮、製品収率の向上等のコスト削減の寄与が大きい。また、このような重合法により得られる重合トナー粒子における粒度分布も、粉砕法によるトナーの粒度分布に比べてシャープな分布の形成が容易である上、ワックスの内包化も容易で、トナーの流動性を大きく向上させることもできる。また、球形トナーを得ることも容易である。
しかし、重合法によるトナーには未だ解消されていない課題も多い。重合法で得られるトナーは、重合過程において表面張力が作用するため、混練粉砕法に比較すると、粒子の真球度が高いものではあるが、そのトナー物性は未だ十分ではない。また、この方法ではトナーの形状をコントロール(異型化)することは容易でない。しかし、この方法は、帯電安定性、転写性については有利である。
【0015】
重合法の内で広く行われている懸濁重合法によるトナーの製造方法では、それに用いるバインダー(結着樹脂)用モノマーは人体に対して有害性のスチレンモノマーやアクリルモノマーに限られ、そして得られるトナーにはこれらの成分が含まれるため、環境上の問題がある。また、得られるトナーは、ワックスを内包化するため、トナーを実践に使用したときに、トナーの感光体への付着は低減されるものの、トナーの定着性については、ワックスが粒子界面状に存在する粉砕法に比べて、内包化されている分、ワックスがトナー表面に染み出にくく定着効率の悪いトナーとなる。従って、重合トナーは、消費電力に対しては不利なトナーとなってしまう。さらに、重合トナーの場合、その定着性向上を図るためワックスを増量したり、ワックスの分散粒径を大きくすると、カラートナーとして用いる場合、そのカラー画像の透明性が悪化するため、OHPによるプレゼンテーション画像形成用トナーとして用いるには不適なものとなる。
【0016】
重合トナーの製造法には、懸濁重合法の他、異型化が比較的可能な乳化重合法などもある。乳化重合法においても、そのモノマーはスチレンモノマーに限られる。この方法の場合も、その未反応モノマー分のトナー粒子からの完全除去や、乳化剤、分散剤のトナー粒子からの完全除去はむずかしく、トナーによる環境問題をも生じるようになってきている
トナーの製造法として溶解懸濁法が知られている。この方法の場合、低温定着が可能なポリエステル樹脂を使用できるメリットはあるが、この方法の場合、低温定着性樹脂や着色剤を溶剤に溶解又は分散する工程において高分子量成分を加えるため、液粘度が上がり生産性上の問題が発生するようになる。さらに、この溶解懸濁法においては、トナーの表面形状に関し、球形で且つ表面を凹凸形状にすることによりトナーのクリーニングの改善を図っているが、このようなトナーは規則性のない不定形トナーであるため、帯電安定性にかけ、さらに耐久性や離型性にも問題があり、満足すべきトナー品質は得られていない。また、トナーの流動性改良、低温定着性改良、ホットオフセット性改良を目的に、トナーバインダーとしてウレタン変性されたポリエステルの伸長反応物からなる実用球形度が0.90〜1.00の乾式トナーが提案されている。また、小粒径トナーとした場合の粉体流動性、転写性に優れるとともに、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れた乾式トナーがある。これらのトナーの製造方法は、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを水系媒体中でアミンと重付加反応させる高分子量化工程を含むものである。
しかしながら、前記のような重合法により得られる重合トナーの場合、顔料の分散が悪く、顔料はトナー中に不均一に分散しているために、このトナーにより得られた画像は、透明性が低く、彩度(鮮やかさ)に劣るという問題点を有するものであった。特に、前記トナーを用いてOHPシート上にカラー画像を形成した場合、その画像は暗い画像となる欠点を生じた。
上記の課題を解決するため、本発明は、ポリエステル系樹脂をバインダーとする電子写真用トナーにおいて、顔料系着色剤が高分散して、透明性及び彩度(鮮やかさ、光沢)にすぐれた高品質の画像を与えるとともに、粉体流動性、耐ホットオフセット性、帯電安定性及び転写性にすぐれた電子写真用トナーを提供し、さらに、該トナーを用いる現像剤、該トナーを用いる現像法、該トナーを用いる現像装置、該トナーを充填したトナー容器及び該現像剤を充填した現像剤容器を提供することをその課題とする。
【0017】
上記した課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本トナーを完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示すトナー、現像剤、現像方法、現像装置、トナー容器及び現像剤容器が提供される。
(1)有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解又は分散させ、該溶解又は分散物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られたトナーが、該トナーの中に分散された顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.5μm以下であり、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合が5個数%以下であることを特徴とする電子写真用トナー。
(2)該着色剤の分散粒径が個数平均径で0.3μm以下であり、その個数平均径が0.5μm以上の個数割合が10個数%以下であることを特徴とする前記(1)に記載のトナー。
(3)重量平均粒径が3.0〜7.0μmであり、粒径分布が1.00≦Dv/Dn≦1.20(Dv:重量平均粒径、Dn:個数平均粒径)であることを特徴とする前記(1)〜(2)のいずれかに記載のトナー。
(4)円形度が0.900〜0.960であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のトナー。
(5)トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、その分子量2500〜10000の領域にメインピークが存在し、その数平均分子量が2500〜50000の範囲にあることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のトナー。
(6)トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のガラス転移点が40〜65℃であり、その酸価が1〜30mgKOH/gであることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のトナー。
(7)該油性分散液が、該アミンと非反応性のポリエステル系樹脂を溶解していることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のトナー。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載のトナーとキャリアを含有することを特徴とする現像剤。
なお、本発明のトナーは言うまでもなく、白黒用トナー及びカラートナーとして応用可能なものである。
【0018】
発明の実施の形態として、本発明のトナーは、有機溶媒中に少なくとも、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマーAが溶解し、顔料系着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を水系媒体中に無機微粒子及び/又はポリマー微粒子の存在下で分散させるとともに、この分散液中で該プレポリマーAをポリアミン及び/又は活性水素含有基を有するモノアミンBと反応させてウレア基を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cを形成させ、このウレア変性ポリエステル系樹脂Cを含む分散液からそれに含まれる液状媒体を除去することにより得られるものである。
ウレア変性ポリエステル系樹脂Cにおいて、そのTgは40〜65℃、好ましくは45〜60℃である。その数平均分子量Mnは2500〜50000、好ましくは2500〜30000である。その重量平均分子量Mwは1万〜50万、好ましくは3万〜10万である。
【0019】
このトナーは、該プレポリマーAと該アミンBとの反応によって高分子量化されたウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cをバインダー樹脂として含む。そして、そのバインダー樹脂中には着色剤が高分散している。
前記トナーについて鋭意検討を重ねた結果、トナー粒子中に含まれる顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径を0.5μm以下に規定するとともに、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合を5%以下にコントロールすることにより、低温定着性、帯電安定性及び流動性にすぐれるとともに、高品質の画像を与え、特に、透明性の良い光沢性にすぐれたカラー画像を与えるトナーが得られることを見出した。
さらに検討した結果、該着色剤の分散粒径を個数平均径で0.3μm以下に規定するとともに、個数平均径が0.5μm以上の個数割合を10%以下にコントロールすることにより、さらに高品質のトナーが得られることを知見した。このようなトナーは、画像解像力にすぐれ、デジタル方式の現像装置用トナーとして好適なものとなる。特に、本発明によるカラートナーの場合、解像力及び透明性にすぐれ、色再現性の良い高品質のカラー画像を与える。
【0020】
本発明による着色剤が均一に分散した前記トナーを得るには、トナーの製造条件に工夫を講ずることが必要であり、従来の製造条件では、前記した如き高品質のトナーを得ることはできない。
本発明の場合、前記高品質トナーを得るには、プレポリマーA、着色剤及び離型剤を含む油性分散液を形成させるに際し、該着色剤を粉砕する工程(湿式粉砕工程)を採用することが必要である。この場合の湿式粉砕工程を実施するための湿式粉砕装置としては、液体中で着色剤に衝撃力を与えて微粉砕し得る装置であればよく、任意のものを用いることができる。このようなものとしては、従来公知の各種の湿式粉砕装置、例えば、ボールミルやビーズミル等が挙げられる。
前記湿式粉砕工程において、その温度は5〜20℃、好ましくは15〜20℃である。
前記湿式粉砕条件を調節することにより、トナー粒子中に含まれる着色剤の分散粒径及び粒度分布を前記範囲にコントールすることができる。
前記湿式粉砕工程は、必要に応じ、反応後の分散液に対しても適用することができる。
さらに、本発明の場合、前記高品質トナーを得るには、樹脂中に着色剤を高濃度で分散させたマスターバッチ着色剤粒子を着色剤材料として有機溶媒中に添加し、攪拌分散させる方法を好ましく採用することができる。このマスターバッチ粒子を用いることにより、分散粒径の小さな着色剤が均一に分散した、透明性の良いカラー画像を与えるトナーを得ることができる。
このようなマスターバッチ着色剤粒子を好ましく製造するには、熱溶融性の樹脂と着色剤との混合物をその樹脂の溶融温度で高せん断力で混練し、得られた混練物を冷却固化し、この固化物を粉砕する。
前記樹脂としては、前記プレポリマーA由来のウレア変性ポリエステル系樹脂Cと混和性の良い熱可塑性樹脂が用いられる。本発明の場合、ポリエステル系樹脂が好ましく用いられる。前記熱可塑性樹脂において、その軟化点は100〜200℃、好ましくは120〜160℃であり、その数平均分子量Mnは、2500〜5000、好ましくは2500〜30000である。
前記マスターバッチ着色剤粒子中の着色剤濃度は、10〜60重量%、好ましくは25〜55重量%である。
【0021】
次に、トナー中の顔料系着色剤の分散粒径等のトナー物性の測定法について詳述する。
トナー中の着色剤の分散粒径及び粒度分布を測定するには、トナーをエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームMT6000−XL(盟和商事)にてトナーを約100nmに超薄切片化した測定サンプルを用意する。
これを電子顕微鏡(日立製作所社製 H−9000NAR)を用いて加速電圧100kVにしてTEM写真を10000〜40000倍にて複数個撮影し、その画像情報をIMAGE ANALYZERの画像処理解析装置LUZEXIIIにて画像データに変換する。対象顔料系着色剤粒子は粒径にして0.1μm以上の粒径を有する粒子について無作為にサンプリングが300回を超えるまで測定を繰り返し、平均粒径と粒度(粒径)分布を求める。
【0022】
本発明のトナーにおいて、その重量平均粒径(Dv)は3〜7μmであり、その個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00≦Dv/Dn≦1.20である。Dv/Dnをこのように規定することにより、高解像度、高画質のトナーを得ることが可能となる。また、より高品質の画像を得るには、着色剤の重量平均粒径(Dv)を3〜7μmにし、個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)を1.00≦Dv/Dn≦1.20にし、且つ3μm以下の粒子を個数%で1〜10個数%にするのがよく、より好ましくは、重量平均粒径を3〜6μmにし、Dv/Dnを1.00≦Dv/Dn≦1.15にするのがよい。このようなトナーは、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れ、更に二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナーの粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
【0023】
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得る為に有利であると言われているが、逆に、転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、本発明で規定した範囲よりもトナーの体積平均粒子径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着して、キャリアの帯電能力を低下させる。一方、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着が発生しやすくなる。これらの現象は、トナー中の微粉の含有率が大きく関係し、特に3μm以下の粒子含有量が10%を超えると、トナーのキャリアへの付着が生じにくくなる上、高いレベルで帯電の安定性を図ることがむつかしくなる。
逆に、トナーの粒子径が本発明で規定した範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、重量平均粒子径/個数平均粒子径が1.20よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。
トナーの平均粒径及び粒度分布は、カーコールターカウンター法により測定される。トナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。本発明においてはコールターカウンターTA−II型を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)と、PC9801パーソナルコンピューター(NEC製)とを接続し測定した。
【0024】
次に、トナーの個数分布及び体積分布の測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて形成した約1%NaCl水溶液である。例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。本発明のトナーに係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(Dv)と、その個数分布から求めた個数平均粒径(Dn)により、その比Dv/Dnを求めた。
【0025】
トナーの耐ホットオフセット性に関しては、これまでにもバインダー樹脂の分子量分布の制御を含む様々な検討が行われてきた。低温定着性と耐ホットオフセット性という相反する性質の両立を図るための方法としては、分子量分布の広いバインダー樹脂を用いる方法や、分子量が数十万〜数百万の高分子量成分と、分子量が数千から数万の低分子量成分を含む少なくとも2つの分子量ピークを有する混合樹脂を用いる方法等がある。高分子量成分が架橋構造を持っているか又はゲルの状態であると、ホットオフセットにはより効果的である。しかし、光沢性や透明性なども求められているフルカラートナーにおいては、高分子量成分の多量の導入は好ましくない。本発明の場合、トナーはウレア結合を有する高分子量のウレア変性ポリエステル系樹脂を含むことから、透明性や光沢性を満足しながら、耐ホットオフセット性をも達成することが可能になった。
【0026】
本発明によるトナー中に含まれるバインダー樹脂成分の分子量分布は、GPCにより以下のようにして測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラム溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定操作を行う。
試料の分子量測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical Co.あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いる。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0027】
トナー中に含まれる前記バインダー成分の分子量分布におけるそのメインピーク分子量は、通常2500〜10000、好ましくは2500〜8000、さらに好ましくは2500〜6000である。分子量1000未満の成分の量が増えると耐熱保存性が悪化する傾向となる。一方、分子量30000以上の成分が増えると単純には低温定着性が低下傾向になるが、バランスコントロールでその低下を極力押さえることも可能である。分子量30000以上の成分の含有量は1%〜10%で、トナー材料により異なるが、好ましくは3〜6%である。1%未満では充分な耐ホットオフセット性が得られず、10%超では光沢性、透明性が悪化するようになる。
トナー中に含まれるバインダー樹脂のMnは2500〜50000で、Mw/Mnの値は10以下である。10を超えると、シャープメルト性に欠け、光沢性が損なわれる。
【0028】
本発明のトナーの円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(シスメックス(株)製)により計測される。
本発明のトナーにおいて、その平均円形度は0.900〜0.960であり、本発明のトナーは、特定の形状と形状の分布を有すことが重要である。平均円形度が0.900未満ではトナーは不定形の形状を示し、満足した転写性やチリのない高画質画像を与えない。不定形のトナー粒子は感光体等への平滑性媒体への接触点が多く、また突起先端部に電荷が集中することから、ファンデルワールス力や鏡像力が比較的球形な粒子よりも高い。
【0029】
そのため静電的な転写工程においては、不定形粒子と球形の粒子の混在したトナーでは球形の粒子が選択的に移動し、文字部やライン部画像抜けが起る。また、残されたトナーは次の現像工程のために除去しなければならず、クリーナ装置が必要であったり、トナーイールド(画像形成に使用されるトナーの割合)が低かったりする不具合点が生じる。粉砕トナーの円形度は本装置で計測した場合、通常0.910〜0.920である。
トナー形状(円形度)の計測方法としては、粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法では粒子の投影面積が得られるが、円形度は、この投影面積と面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である。この値はフロー式粒子像分析装置FPIA−2000により平均円形度として計測した値である。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状及びトナーの形状分布を測定する。
【0030】
本発明のトナーを製造する方法は、無機微粒子及び/又はポリマー微粒子を含む水系媒体中に分散させたイソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAをアミンBと反応させる高分子量化工程を含む。この場合、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマー(A)は、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(PIC)と反応させることによって得ることができる。この場合、ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0031】
前記ポリオール(PO)としては、ジオール(DIO)および3価以上のポリオール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)の混合物が好ましい。ジオール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0032】
前記ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIO)および3価以上のポリカルボン酸(TC)が挙げられ、(DIO)単独、および(DIO)と少量の(TC)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(DIO)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(PO)と反応させてもよい。
ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0033】
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステル系プレポリマーを得る場合、ポリイソシアネート(PIC)と活性水素を有するポリエステル系樹脂(PE)との比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
【0034】
イソシアネート基を有するポリエステル系プレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、得られるウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
前記アミン(B)としては、ポリアミン及び/又は活性水素含有基を有するモノアミンが用いられる。この場合の活性水素含有基には、水酸基やメルカプト基が包含される。このようなアミンには、ジアミン(B1)、ケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0035】
さらに、プレポリマーAとアミンBとを反応させる場合、必要により伸長停止剤を用いてポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、活性水素含有基を有しないモノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。その添加量は、生成するウレア変性ポリエステルに所望する分子量との関係で適宜選定される。
アミン(B)とイソシアネート基を有するプレポリマー(A)との比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン(B)中のアミノ基[NHx](xは1〜2の数を示す)の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0036】
本発明においては、水系媒体中でイソシアネート基含有プレポリマーAとアミンBとを反応させる際に、該水系媒体中には、必要に応じ、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂Dを存在させることができる。このポリエステル系樹脂Dにおいて、そのTgは35〜65℃、好ましくは45〜60℃であり、そのMnは2000〜10000、好ましくは2500〜8000である。このポリエステル系樹脂Dとしては、ウレア変性ポリエステル(UMPE)を用いることができるが、このポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
ウレア変性ポリエステル(UMPE)は、ワンショット法などの公知の方法により製造される。ウレア変性ポリエステル(UMPE)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜50万、さらに好ましくは3万〜10万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。
【0037】
本発明においては、必要に応じて用いる前記ウレア結合で変性されたポリエステル系樹脂(UMPE)は単独使用だけでなく、このものと共に、変性されていないポリエステル系樹脂(PE)をトナーバインダー成分として含有させることもできる。ポリエステル系樹脂(PE)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、ポリエステル系樹脂(UMPE)の単独使用の場合よりも好ましい。ポリエステル系樹脂(PE)としては、前記(ポリエステル系樹脂UMPE)のポリエステル成分と同様なポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいPEの分子量は(UMPE)の場合と同様である。また、ポリエステル系樹脂(PE)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。ポリエステル系樹脂(UMPE)とポリエステル系樹脂(PE)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、ポリエステル系樹脂(UMPE)のポリエステル成分とポリエステル系樹脂(PE)は類似の組成が好ましい。ポリエステル系樹脂(PE)を含有させる場合の(UMPE)とポリエステル系樹脂(PE)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。ポリエステル系樹脂(UMPE)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0038】
ポリエステル系樹脂(PE)の水酸基価は5以上であることが好ましい。ポリエステル系樹脂(PE)の酸価(mgKOH/g)は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには紙への定着時紙とトナーの親和性がよく、低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性特に環境変動に対し悪化傾向がある。プレポリマーAとアミンBとの重付加反応においては酸価がふれると造粒工程でのぶれにつながり乳化における制御がむずかしくなる。
本発明において、トナーバインダーのガラス転移点(Tg)は通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満では耐熱性が悪化し65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
【0039】
本発明で用いる顔料系着色剤としては、従来公知の各種の顔料が使用できる。このようなものは、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナー中、通常、1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0040】
本発明で用いる着色剤は、前記したように、樹脂と複合化されたマスターバッチ着色剤粒子として用いることが好ましい。
マスターバッチの製造において着色剤とともに混練されるバインダー樹脂としては、先にあげた変性、未変性のポリエステル系樹脂の他に、ポリスチレン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは混合して使用される。
マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得る事ができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
【0041】
本発明のトナーには、トナーバインダー、着色剤とともに離型剤(ワックス)を含有させる。このワックスとしては従来公知の各種のものが使用できる。このようなものとしては、例えば、ポリオレフィンワックス、ジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。ワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10〜100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。トナー中のワックスの含有量は、通常0〜40重量%であり、好ましくは3〜30重量%である。
【0042】
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知の各種のものが使用できる。このようなものには、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物等が挙げられる。
本発明において荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤、離型剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練する事もできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0043】
本発明で得られた着色剤含有トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい.無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、チタニア、アルミナ、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他、高分子系微粒子を用いることができる。このようなものとしては、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような外添剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においてもその流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルを好ましいものとして挙げることができる。
【0044】
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
【0045】
次に、本発明のトナーの製造法について詳述する。
本発明のトナーを製造するには、先ず、油性分散液調製工程において、有機溶媒中に、イソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAが溶解し、着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を調製する。
この油性分散液体は、それに含まれている着色剤を微粉砕し、均一分散させるために、これを、湿式粉砕工程において、湿式粉砕装置を用いて粉砕処理する。この場合、その粉砕処理時間は30〜120分程度である。
【0046】
次に、前記のようにして得られた油性分散液は、これを、分散(乳化)工程において、水系媒体に無機微粒子及び/又はポリマー微粒子の存在下で分散(乳化)させて水中油型の分散液(乳化液)を形成させるとともに、この分散液中でそれに含まれるイソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAを、反応工程において、アミンBと反応させてウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cを生成させる。
前記有機溶媒としては、ポリエステル系樹脂を溶解し、水に不溶であるか難溶もしくは微溶のものが用いられる。その沸点は、通常、60〜150℃、好ましくは70〜120℃である。このようなものとしては、例えば、酢酸エチルや、メチルエチルケトン等が挙げられる。
本発明においては、着色剤としては、前記したマスターバッチ着色剤粒子を用いることが好ましく、これによって、着色剤の均一分散を効率良く行うことができる。
本発明においては、有機溶媒には、補助成分として、アミンに対して非反応性のポリエステル系樹脂Dを溶解させるのが好ましい。また、このポリエステル系樹脂Dは、水系媒体に分散させることもできる。
【0047】
本発明において、油性分散液を水系媒体中に分散させる場合、その分散装置としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の分散機が適用できる。分散粒子の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温なほうが、分散液の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
油性分散液中に含まれるプレポリマーA、着色剤、離型剤及びポリエステル系樹脂D等のトナー固形物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー固形物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
湿式粉砕処理した油性液体をその処理後水系媒体中に分散させるまでの時間は、できるだけ短時間であることが好ましい。
本発明で用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
【0048】
トナー固形物を含む油性相を水が含まれる液体(水系媒体)に乳化、分散するためには、分散剤として、各種の界面活性剤(乳化剤)を用いることができるが、このようなものとしては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性荊、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0049】
また、本発明では、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ〕−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(タイキン工莱社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0050】
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEFーl32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
水系媒体中に存在させる無機微粒子としては、水に不溶ないし難溶の従来公知の各種の無機化合物が用いられる。このようなものとしては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。
水系媒体中に存在させるポリマー微粒子としては、水に不溶ないし難溶性の従来公知の各種のものが用いられる。このようなものとしては、炭化水素系樹脂、含フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等の疎水性高分子の微粒子が挙げられる。
【0051】
前記微粒子の粒径は、通常、トナーの粒径よりも小さくなり、粒径均一性の観点から、粒径比[微粒子の体積平均粒径]/[トナーの体積平均粒径]の値が0.001〜0.3の範囲であるのが好ましい。かかる粒径比が、0.3より大きいと微粒子がトナーの表画に効率よく吸着しないため、得られるトナーの粒度分布が広くなる傾向がある。
微粒子の体積平均粒径は、所望の粒径のトナーを得るのに適した粒径になるように、上記粒径比の範囲で適宜調整することができる。例えば、体積平均粒子径5μmのトナーを得たい場合には、好ましくは0.0025〜1.5μm、特に好ましくは0.005〜1.0μmの範囲、10μmのトナーを得た場合には、好ましくは0.005〜3μm、特に好ましくは0.05〜2μmである。
【0052】
本発明では、水系媒体中には、分散安定剤として、水系媒体中で高分子系保護コロイドを形成する各種の親水性高分子物質を存在させることができる。このような高分子物質において、それを構成するモノマー成分を示すと、以下のものを示すことができる。
アクリル酸、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するビニルモノマー等を挙げることができる。
本発明において好ましく用いることのできる他の高分子物質としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類が挙げられる。
【0053】
本発明において、プレポリマーAとアミンBとの重付加反応後に得られた乳化分散液からそれに含まれる液状媒体を除去するためには、液状媒体除去工程において、系全体を徐々に昇温し、有機溶媒を蒸発除去する工程を含む方法を採用することができる。この有機溶媒の除去前の液攪拌の強さと有機溶媒の除去時間によりトナー円形度の制御が可能となる。ゆっくり脱溶媒することにより形状はより真球円形度で表わすと0.980以上になり攪拌を強く短時間に脱溶媒を行うことにより、凹凸状や不定形になり円形度で表わすと0.900〜0.950になる。水系媒体中に乳化分散させさらに反応させた後の乳化液を脱液媒中に攪拌槽にて温度30〜50℃の強い攪拌力で攪拌しながら脱液媒を行うことにより、円形度の制御が可能で0.850〜0.990の範囲の形状制御が可能となる。これは造粒中に含有される酢酸エチル等の有機溶媒が急激に除去されることにより体積収縮が起ったものと考えられる。
前記液状媒体の除去は、乳化分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成するとともに、水系分散剤を蒸発除去する方法を採用することも可能である。乳化分散液が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、好ましくは使用される最高沸点の液状媒体のその沸点以上の温度に加熱された各種気流が用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で高品質トナーが得られる。
反応後の分散液を、その反応後脱溶媒するまでの時間は、短時間であることが好ましいが、通常、25時間以内である。
なお、無機微粒子としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、そのリン酸カルシウム塩等の無機微粒子を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー粒子から無機微粒子を除去することができる。その他、酵素による分解操作によっても除去できる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、プレポリマーAとアミンBとの反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
【0054】
さらに、反応後の分散液の粘度を低くするために、水系媒体中には、プレポリマーやウレア変性ポリエステルが可溶の溶剤を添加することもできる。溶剤を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100℃未満の揮発性であることがその除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、トルエンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。プレポリマー(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300部、好ましくは0〜100部、さらに好ましくは25〜70部である。溶剤を使用した場合は、プレポリマーAとアミンBとの反応後、常圧または減圧下にて加温してその溶剤を除去する。
【0055】
プレポリマーAとアミンBとの反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
プレポリマーAとアミンBとの反応後の乳化分散液中のトナー粒子の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行うときには、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。この場合の分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
【0056】
乾燥後のトナー粒子を、必要に応じての離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子と混合して使用する場合、その混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって、トナー粒子表面でその異種粒子を固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
【0057】
本発明のトナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良い。この現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、シリコーン樹脂等が使用できる。また、必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、本発明のトナーは、キャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【実施例】
【0058】
以下実施例により本トナーを更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。なお、各実施例で用いたトナーを表1に示す。
(実施例1)
(添加用ポリエステルの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物690部、テレフタル酸230部を常圧下、210℃で10時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後160℃まで冷却し、これに18部の無水フタル酸を加えて2時間反応し変性されていないポリエステル(a)(重量平均分子量Mw:85000)を得た。
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物800部、イソフタル酸160部、テレフタル酸60部、およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(1)(Mw:35000)を得た。
(ケチミン化合物の製造例)
攪拌棒および温度計のついた反応槽中にイソホロンジアミン30部とメチルエチルケトン70部を仕込み、50℃で5時間反応を行いケチミン化合物(1)を得た。
【0059】
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー(1)14.3部、ポリエステル(a)55部、酢酸エチル78.6部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、離型剤であるライスWAX(融点83℃)10部、銅フタロシアニンブルー顔料4部を入れ、40℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで5分攪拌した後、ビーズミルで30分間20℃において粉砕処理した。これをトナー材料油性分散液(1)とする。
ビーカー内にイオン交換水306部、リン酸三カルシウム10%懸濁液265部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、この水分散液(1)に上記トナー材料油性分散液(1)及びケチミン化合物(1)2.7部を加え、攪拌を続けながらウレアー反応させた。
反応後の分散液(粘度:3500mP・s)を減圧下1.0時間以内に50℃以下の温度で有機溶剤を除去した後、濾別、洗浄、乾燥し、次いで風力分級し、球形状のトナー母体粒子(1)を得た。
次に、得られた母体粒子(1)100部、帯電制御剤(オリエント化学社製 ボントロン E−84) 0.25部をQ型ミキサー(三井鉱山社製)に仕込み、タービン型羽根の周速を50m/secに設定して混合処理した。この場合、その混合操作は、2分間運転、1分間休止を5サイクル行い、合計の処理時間を10分間とした。
さらに、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.5部添加し、混合処理した。この場合、その混合操作は、周速を15m/secとして30秒混合1分間休止を5サイクル行った。
以上のようにして、シアントナー(1)を得た。この顔料系着色材平均分散粒径は0.4μmで、0.7μm以上の個数%は3.5%であった。このトナーの性状及びその評価結果を表1、2に示す。
【0060】
(実施例2)
(マゼンタマスターバッチ粒子の作製)
水 600部
Pigment Red 57 含水ケーキ(固形分50%) 200部
をフラッシャーでよく撹拌する。ここに、 ポリエステル樹脂(酸価;3、水酸基価;25、Mn;3500、Mw/Mn;4.0、Tg;60℃)1200部を加え、150℃で30分混練後、キシレン1000部を加えさらに1時間混練した後、水とキシレンを除去後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、さらに3本ロールミルで2パスしマゼンタ色のマスターバッチ顔料(MB1−M)(平均粒径約0.2μm)を得た。
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物856部、イソフタル酸200部、テレフタル酸20部、およびジブチルチンオキサイド4部を入れ、常圧で250℃で6時間反応し、さらに50〜100mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに18部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(2)(Mw:25000)を得た。
【0061】
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー(1)15.4部、ポリエステル(a)50部、酢酸エチル95.2部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、カルナバワックス(分子量1800、酸価2.5、針進入度1.5mm/40℃)を10部、実施例2のマスターバッチ粒子10部を入れ、85℃にてTK式ホモミキサーで10000rpmで攪拌した後、実施例1同様にビーズミルにより湿式粉砕処理して、トナー材料油性分散液(2)を得た。
次いで、実施例1と同様にして得た水分散液(2)を用いた以外は実施例1と同様にして球形状の母体トナー粒子(2)を得た。
次いで、帯電制御材としてオリエント製 ボントロン E−84をE−89に変更する以外は実施例1と同様にしてトナー(2)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.25μmで、0.5μm以上の個数%は1.0%であった。そのトナーの性状及びその評価結果を表1、2に示す。
【0062】
(実施例3)
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物755部、イソフタル酸195部、テレフタル酸15部、およびジブチルチンオキサイド4部を入れ、常圧で220℃で8時間反応し、さらに50〜100mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに10部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(3)(Mw:25000)を得た。
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー(3)15.4部、ポリエステル(a)50部、酢酸エチル95.2部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、カルナバワックス(分子量1800、酸価2.5、針進入度1.5mm/40℃)を10部、実施例2のマスターバッチ粒子15部を入れ、85℃にてTK式ホモミキサーで14000rpmで攪拌し、均一に分散させた後、ビーズミルにて15℃にて60分湿式粉砕処理した。これをトナー材料油性分散液(3)とする。
ビーカー内にイオン交換水465部、炭酸ナトリウム10%懸濁液245部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部を入れ、攪拌して水分散液(3)を得た。次いでこの分散液(3)を40℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに攪拌しながら、上記トナー材料油性分散液(4)を投入し10分間攪拌した後、ケチミン化合物(1)2.7部を加え反応させた。その後40℃1時間以内で溶剤を除去し、次いで実施例2と同様にして、濾別、洗浄、乾燥した後、球形状の母体粒子を(3)を得た。
次に、この母体トナー粒子を用いた以外は実施例1同様にして、トナー(3)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.15μmで0.5μm以上の個数%は3.0%であった。そのトナーの性状及びその評価結果を表1、2に示す。
【0063】
(比較例1)
(トナーバインダーの合成)
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物354部およびイソフタル酸166部をジブチルチンオキサイド2部を触媒として重縮合し、比較トナーバインダー(11)を得た。この比較トナーバインダー(11)のTgは57℃であった。
(トナーの作成)
ビーカー内に前記の比較トナーバインダー(1)100部、酢酸エチル溶液200部、銅フタロシアニンブルー顔料4部、実施例1で使用したライスワックス5部を入れ、50℃にてTK式ホモミキサーで12000rpmで攪拌し、比較分散液(11)を得た。この分散液(11)を用いた以外は、実施例1と同様にトナー化し、体積平均粒径6μmの比較トナー(11)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.70μmで0.7μm以上の個数%は35%であった。トナーの性状及びその評価結果を表1、2に示す。
【0064】
(比較例2)
(トナーバインダーの合成)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物343部、イソフタル酸166部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、80℃まで冷却し、トルエン中にてトルエンジイソシアネート14部を入れ110℃で5時間反応を行い、次いで脱溶剤し、ピークトップ分子量7000のウレタン変性ポリエステルを得た。ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物363部、イソフタル酸166部を実施例1と同様に重縮合し、ピーク分子量3800、酸価7の変性されていないポリエステルを得た。上記ウレタン変性ポリエステル350部と変性されていないポリエステル650部をトルエンに溶解、混合後、脱溶剤し、比較トナーバインダー母体粒子(12)を得た。この比較トナーバインダー(12)のTgは58℃であった。
(トナーの作成)
比較トナーバインダー(12)100部、実施例2に使用したマスターバッチ粒子とカルナバワックズをそれぞれ10部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサーを用いて予備混合した後、連続式混練機)で混練した。ついでジェット粉砕機微粉砕した後、気流分級機で分級し、体積平均粒径6μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して比較トナー(12)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.7μmで、0.5μm以上の個数%は15.0%であった。そのトナーの性状及び評価結果を表1、2に示す。
【0065】
(評価方法)
(1)Tg測定法
Tgの測定方法について概説する。Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用した。
まず、試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットにのせ、電気炉中にセットする。まず、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置、室温まで試料を冷却して10min放置、窒素雰囲気下で再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱してDSC測定を行った。Tgは、TAS−100システム中の解析システムを用いて、Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
(2)酸価測定方法
JISK0070に規定の方法による。但し、サンプルが溶解しない場合は溶媒にジオキサンまたはテトラヒドロフラン等を用いる。
(3)粉体流動性
ホソカワミクロン製パウダーテスターを用いてかさ密度(g/ml)を測定した。流動性の良好なトナーほど、かさ密度は大きい。以下の4段階で評価した。
×:0.25未満
△:0.25〜0.30
○:0.30〜0.35
◎:0.35以上
(4)定着下限温度
定着ローラーとしてテフロン(登録商標)ローラーを使用した複写機[(株)リコー製複写機 MF−200]の定着部を改造した装置を用いて、これにリコー製のタイプ6200紙をセットし複写テストを行った。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。
(5)ホットオフセット発生温度(HOT)
上記定着下限温度と同様にして定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
(6)光沢発現温度(GLOSS)
市販カラー複写機(PRETER550;リコー製)の定着装置を用いて定着評価した。定着画像の60゜光沢が10%以上となる定着ロール温度をもって光沢発現温度とした
(7)ヘイズ度:
直読ヘーズコンピューター(HGM−2DP型)による。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
以上、このトナーは、高画質、高精細の画像と低温定着性とホットオフセット性を両立したトナーであり、該トナーを用いた画像形成装置にて形成される画像は透明性及び彩度にすぐれ、OHP紙にフルカラー画像を形成した時十分な透明性が得られる。
また、本発明のトナーは、帯電安定性及び色再現性に優れたトナーである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明にある転写装置1および定着装置2の概略図である。
【図2】転写ベルト2の検知温度により定着温度を変化させる制御フローである。
【図3】制御のブロック図である
【図4】転写ベルト2の温度に対するベルト側設定温度を示すグラフである。
【符号の説明】
【0070】
1 転写装置
2 搬送ベルト
3、4、5 ローラ
6 加熱手段
7 検知手段
11 定着装置
12 定着ベルト
13 加熱ローラ
14 定着ローラ
15 加圧ローラ
16、17 ヒータ
18、19 サーミスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体に対向して配置される転写ベルトと、
該転写ベルトを保持する複数のローラとを備え、かつ、
転写ベルトの温度を検知する検知手段とローラの少なくとも1つに加熱手段を設ける
ことを特徴とする転写装置。
【請求項2】
請求項1に記載の転写装置において、
前記転写ベルトは、記録媒体を搬送しつつ移動する
ことを特徴とする転写装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の転写装置において、
前記複数のローラは、少なくとも、駆動ローラと従動ローラと、転写ベルトにテンションを付与するテンションローラである
ことを特徴とする転写装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の転写装置において、
前記加熱手段を設けるローラが、円筒状の部材で構成されている
ことを特徴とする転写装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の転写装置において、
前記検知手段が、転写ベルトを挟んでローラと対向する側であって、非接触型の温度検知センサである
ことを特徴とする転写装置。
【請求項6】
少なくとも、トナー像を担持する像担持体と、
像担持体上にトナー像を現像する現像装置と、
像担持体上のトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
記録媒体上に形成された未定着画像を定着させる定着装置とをもつ画像形成装置において、
前記転写装置は、トナー像を担持する像担持体に対向して配置される転写ベルトと、
該転写ベルトを保持する複数のローラとを備え、かつ、
転写ベルトの温度を検知する検知手段とローラの少なくとも1つに加熱手段を設ける
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、請求項2ないし5のいずれかに記載の転写装置を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の画像形成装置において、
前記定着装置は、前記定着部材のうち少なくとも1つの部材の温度を検知する手段を有し、
前記転写ベルトの温度によって、前記定着部材の温度を制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記定着部材は、前記転写ベルトの温度と前記記録媒体が転写ベルト上を搬送される速度によって温度を制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項6ないし9のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記定着装置は、前記無端の定着ベルトを懸架する加熱ローラ及び定着ローラと、前記定着ベルトを介して前記定着ローラに対向して配置される加圧ローラとを備え、
前記定着ベルト及び/又は前記加圧ローラが記録媒体を搬送する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項6ないし10のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解又は分散させ、該溶解又は分散物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去して得られるトナーであって、
トナーの中に分散される顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.5μm以下であり、その個数平均径が0.7μm以上の個数割合が5個数%以下のトナーを用いる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11に記載の画像形成装置において、
前記トナーは、該着色剤の分散粒径が個数平均径で0.3μm以下であり、その個数平均径が0.5μm以上の個数割合が10個数%以下である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12に記載の画像形成装置において、
前記トナーは、重量平均粒径が3.0〜7.0μmであり、粒径分布が1.00≦Dv/Dn≦1.20(Dv:重量平均粒径、Dn:個数平均粒径)である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項11ないし13のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記トナーは、平均円形度が0.900〜0.960である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項11ないし14のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記トナーは、トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、その分子量2500〜10000の領域にメインピークが存在し、その数平均分子量が2500〜50000の範囲にある
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項11ないし15のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記トナーは、トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のガラス転移点が40〜65℃であり、その酸価が1〜30mgKOH/gである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
請求項11ないし16のいずれかに記載の画像形成装置において、
該油性分散液が、該アミンと非反応性のポリエステル系樹脂を溶解している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
請求項11ないし17のいずれかに記載の画像形成装置において、
請求項11ないし17のいずれかに記載のトナーとキャリアとを含有する現像剤を用いる
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−78755(P2007−78755A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263202(P2005−263202)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】