説明

送液装置及び送液方法

【課題】微小気泡の安定供給を実現する。
【解決手段】送液装置1は、微小気泡を含む液体が流れる配管3と、その配管3の途中に設けられ、配管3内を流れる液体に旋回運動を与えて配管3内に旋回流を発生させる旋回流発生部8とを備える。これにより、前述の旋回流が配管3内に発生するため、液体中の微小気泡が配管3の内周面に付着することが抑止されるので、微小気泡の安定供給を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、送液装置及び送液方法に関する。
【背景技術】
【0002】
送液装置は、例えばタンクや配管、送液ポンプなどを備えており、送液ポンプによりタンク内の液体を配管に流して供給対象の装置、例えば加工装置や基板処理装置などに供給する装置である。近年では、加工性能や処理性能の向上を目的に、マイクロバブルやマイクロナノバブル、ナノバブルなどの微小気泡を含む液体が用いられており、その微小気泡を含む液体が送液装置により加工装置や基板処理装置などに供給されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、加工装置の例示としては、ダイシングブレードやドリルなどの切削具により金属材や基板などの被切削物を切削する装置がある。この加工装置では、潤滑、冷却及び洗浄を目的として切削液が用いられ、切削具と被切削物との切削箇所に切削液が供給される。
【0004】
また、基板処理装置の例示としては、半導体装置や液晶表示装置などの製造工程において、半導体ウェーハやガラス基板などの基板表面に処理液を供給し、その基板表面を処理する装置がある。この基板処理装置としては、例えば、除去液により基板表面からレジスト膜を除去するレジスト除去装置や洗浄液により基板表面を洗浄する洗浄装置などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−80230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の微小気泡を含む液体を配管に流して送液すると、配管内を流れる液体中の微小気泡が配管の内周面(内壁)に付着して微小気泡の供給量が減少することがある。この微小気泡の供給量減少に加え、液体中の微小気泡の大きさ(粒径)が時間経過に伴って、すなわち配管を流れている間に徐々に大きくなるため、所望サイズの微小気泡を安定供給することは難しい。これは、微小気泡を含む液体供給により加工性能や処理性能が十分に向上しない原因になっている。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、所望サイズの微小気泡を安定供給することができる送液装置及び送液方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る送液装置は、微小気泡を含む液体が流れる配管と、配管の途中に設けられ、配管内を流れる液体に旋回運動を与えて配管内に旋回流を発生させる旋回流発生部とを備える。
【0009】
本実施形態に係る送液方法は、微小気泡を含む液体を配管に流して送液する送液方法であって、配管内を流れる液体に旋回運動を与えて配管内に旋回流を発生させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、所望サイズの微小気泡を安定供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る送液装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す送液装置が備える微小気泡発生部の概略構成を示す外観斜視図である。
【図3】図2に示す微小気泡発生部を示す正面図である。
【図4】図2に示す微小気泡発生部が備える貫通孔の傾きを説明するための説明図である。
【図5】図1に示す送液装置が備える旋回流発生部の概略構成を示す正面図である。
【図6】図1に示す送液装置が備える配管の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る送液装置1は、液体である切削液を貯留するタンク2と、そのタンク2と加工機11とを接続する配管3と、不活性気体などの気体を供給する気体供給部4と、配管3を流れる液体中に気体を溶解させる溶解部5と、送液用のポンプ6と、配管3を流れる液体中に微小気泡を発生させる微小気泡発生部7と、配管3を流れる液体に旋回運動を与えることで旋回流を発生させる複数の旋回流発生部8とを備えている。
【0014】
タンク2は切削液を貯留する貯留部であり、配管3はタンク2と加工機11とを接続しタンク2から加工機11に切削液を供給するための液供給流路である。この配管3としては、例えば、パイプやチューブなどが用いられる。
【0015】
ここで、加工機11は、金属材や基板などの被切削物Wを切削するダイシングブレードやドリルなどの切削具11aと、その切削具11aと被切削物Wとが接触する切削箇所に向けて切削液を供給する液供給ヘッド11bとを備えている。この液供給ヘッド11bには、配管3の一端が接続されており、微小気泡を含む液体が送液装置1により供給される。液供給ヘッド11bはノズル11b1を有しており、そのノズル11b1から切削液を吐出する。このような加工機11は、液供給ヘッド11bにより切削液を切削箇所に供給しながら、切削具11aにより被切削物Wを切削する。なお、加工機11の底面に流れた切削液は、その底面に接続された排液配管(図示せず)を介して排液される。
【0016】
気体供給部4は、気体(ガス)が流れる気体供給配管4aにより溶解部5に接続されており、その溶解部5に気体供給配管4aを介して気体を供給する。この気体供給部4は、開閉弁や圧力レギュレータなどを有しており、所定の圧力及び流量で気体を供給可能に形成されている。なお、所定の圧力や流量は、所望量の気体が液体中に溶存するようにあらかじめ設定されている。気体としては、例えば、窒素(N)などの不活性ガスが用いられるが、それ以外にも酸素(O)やオゾン(O)などの酸化性ガスが用いられることもある。
【0017】
溶解部5は、配管3の途中に設けられており、その内部を通過する切削液中に、気体供給部4により気体供給配管4aを介して供給された気体を溶解させる。この溶解部5としては、例えば、T字管やアスピレータなどが用いられるが、液体中に気体を溶解させることが可能な構造であれば良く、その構造は特に限定されるものではない。なお、溶解部5としてアスピレータを用いた場合には、他の装置を用いた場合に比べ、ベンチュリ効果により切削液に対する気体の溶解量を増加させることができる。
【0018】
ポンプ6は、配管3の途中であって溶解部5より下流側(液体の進行方向の下流側)に設けられており、タンク2内の切削液をタンク2から配管3を介して加工機11に流すための駆動源である。このポンプ6は、タンク2内の切削液を配管3に流して自身の位置まで吸い上げ、吸い上げた切削液を自身の位置から加圧して加工機11の液供給ヘッド11bに供給する。したがって、配管3においてポンプ6より下流側は加圧ラインとなる。なお、ポンプ6としては、例えば、エア駆動ポンプや電動ポンプなどが用いられる。
【0019】
ここで、配管3においてポンプ6より下流側は加圧ラインとなるため、ポンプ6より上流側に溶解部5が設けられている。これは、加圧前の切削液に対して気体を供給した方が、その気体が切削液に溶け込みやすいためである。ただし、切削液に対する気体溶解量が減少しても問題がない場合には、溶解部5とポンプ6の順番を逆にしても良い。
【0020】
微小気泡発生部7は、配管3の途中にポンプ6より下流側(液体の進行方向の下流側)に位置付けられて設けられており、配管3を流れる切削液中に微小気泡を発生させる。なお、微小気泡は、マイクロバブル(MB)やマイクロナノバブル(MNB)、ナノバブル(NB)などの概念を含む気泡である。例えば、マイクロバブルは10μm〜数十μmの直径を有する気泡であり、マイクロナノバブルは数百nm〜10μmの直径を有する気泡であり、ナノバブルは数百nm以下の直径を有する気泡である。
【0021】
この微小気泡発生部7は配管3内に設けられ、図2及び図3に示すように、複数(例えば四つ)の貫通孔7aを有するオリフィス部材であり、それらの貫通孔7aを通過する切削液中の溶存気体を減圧して開放し、その切削液中に多量の微小気泡を発生させ、さらに、各貫通孔7aにより、配管3を流れる切削液に旋回運動を与えて、切削液を配管3の内周面に沿って旋回させて配管3内に旋回流を発生させる。なお、旋回流は、液体の流れ方向(液体の進行方向)に平行なある軸を中心として回転しながら流れる流れのことであり、本実施形態では、切削液中の微小気泡を配管3の内周面(内壁)から離れた中央部に集める旋回流である。
【0022】
微小気泡発生部7が有する各貫通孔7aは、前述のように、配管3を流れる切削液中に微小気泡を発生させ、さらに、配管3を流れる切削液に旋回運動を与えて、配管3内に旋回流を発生させるように形成されている。例えば、各貫通孔7aは、微小気泡発生部7における中心軸(配管3の延伸方向に延びる軸)を軸心として円環状に等間隔で配置され、それら全てが同じ方向にねじれるように傾けられている(図2及び図3では、ねじれ方向は右ねじれであり、ねじれ角度は45度である)。
【0023】
ここで、図4に示すように、貫通孔7aの延伸方向と軸心との角度Aは例えば15度である。この角度Aは10度から30度の範囲内で設定されている。この範囲は、微小気泡発生部7が切削液中に旋回流を発生させて遠心力の作用でその切削液中の微小気泡を配管3の内周面(内壁)から離れた中央部に集めることが可能な角度範囲である。
【0024】
各貫通孔7aの直径(口径)は、例えば3mm程度であり、減圧開放により微小気泡を発生させることが可能な大きさに設計されている。これらの貫通孔7aは、微小気泡発生部7の部材表面(被加工面)に対して所定の角度A(例えば10度から30度の範囲内の角度)で貫通するように形成される。これにより、切削液が微小気泡発生部7の各貫通孔7aを通過すると、切削液中の溶存気体が減圧開放されてその切削液中に多量の微小気泡が発生し、さらに、その液流は配管3内で旋回流となる。
【0025】
なお、微小気泡発生部7としては、前述のオリフィス部材以外にも、例えば、ベンチュリ管やフィルタ式のバブル発生部などを用いることが可能であるが、液体中に微小気泡を発生させることが可能な構造であれば良く、その構造は特に限定されるものではない。また、前述の微小気泡発生部7は旋回流を発生させる旋回流発生部としても機能するが、その機能を省略しても良く、液体中に微小気泡を発生させることが可能な構造であれば良い。ただし、微小気泡発生部7から旋回流を発生させる機能を省いた場合には、微小気泡発生部7の近傍に旋回流発生部8を設けることが望ましい。
【0026】
図1に戻り、各旋回流発生部8は、配管3の途中に微小気泡発生部7より下流側(液体の進行方向の下流側)に位置付けられて設けられており、配管3を流れる切削液に旋回運動を与えて、切削液を配管3の内周面に沿って旋回させて配管3内に旋回流を発生させる。この旋回流は、切削液中の微小気泡を配管3の内周面(内壁)から離れた中央部に集める旋回流である。
【0027】
この旋回流発生部8は配管3内に設けられ、図5に示すように、複数(例えば四つ)の貫通孔8aを有するオリフィス部材であり、それらの貫通孔8aにより、配管3を流れる切削液に旋回運動を与えて、切削液を配管3の内周面に沿って旋回させて配管3内に旋回流を発生させる。なお、旋回流発生部8は、前述の微小気泡発生部7と基本的に同じ構造であり(図2、図3及び図4参照)、そのすべての貫通孔8aの口径が微小気泡発生部7の貫通孔7aの口径より大きくなっている。
【0028】
旋回流発生部8が有する各貫通孔8aは、前述のように配管3を流れる切削液に旋回運動を与えて、配管3内に旋回流を発生させるように形成されている。例えば、各貫通孔8aは、旋回流発生部8における中心軸(配管3の延伸方向に延びる軸)を軸心として円環状に等間隔で配置され、それら全てが同じ方向にねじれるように傾けられている(図5では、ねじれ方向は右ねじれであり、ねじれ角度は45度である)。
【0029】
ここで、貫通孔8aの延伸方向と軸心との角度は、前述の微小気泡発生部7の貫通孔7aの角度A(図4参照)と同様に、例えば15度である。この角度は10度から30度の範囲内で設定されている。この範囲は、旋回流発生部8が切削液中に旋回流を発生させてその切削液中の微小気泡を配管3の内周面(内壁)から離れた中央部に集めることが可能な角度範囲である。
【0030】
各貫通孔8aの直径(口径)は、例えば6mm程度であり、旋回流を発生させることが可能な大きさに設計されている。これらの貫通孔8aは、旋回流発生部8の部材表面(被加工面)に対して所定の角度(例えば10度から30度の範囲内の角度)で貫通するように形成されている。これにより、切削液が旋回流発生部8の各貫通孔8aを通過すると、その液流は配管3内で旋回流となる。ここで、全ての貫通孔8aの合計の開口面積は、圧力損失をできるだけ抑えつつ旋回流を発生させることが可能な面積に設計されている。
【0031】
なお、旋回流発生部8としては、前述のオリフィス部材以外にも、例えば、配管3内に設けられた羽根(フィン)や、配管3の内周面(内壁)に設けられた複数の突起、配管3の内周面(内壁)に沿って形成されたネジ溝などを用いることが可能であるが、液体中に配管3の内周面に沿って旋回する旋回流を発生させることが可能な構造であれば良く、その構造は特に限定されるものではない。
【0032】
このような旋回流発生部8は、配管3内を流れる切削液中の微小気泡が旋回流により遠心力の作用で配管3の中央部に集まった状態を維持しつつ切削液が配管3内を通過するように複数個(例えば二つ)設けられている。なお、隣接する旋回流発生部8の離間距離は、一つの旋回流発生部8による旋回距離、すなわち旋回流が微小気泡を配管3の中央部に集めた状態を維持したまま配管3の延伸方向に沿って進行することが可能な距離に基づいて決定されている。ただし、前述の微小気泡発生部7も旋回流発生部として機能しているため、その微小気泡発生部7と旋回流発生部8との離間距離も、前述と同様に、微小気泡発生部7による旋回距離に基づいて決定されている。
【0033】
次に、前述の送液装置1の送液動作(送液方法)について説明する。
【0034】
送液装置1の装置起動後、ポンプ6が駆動してタンク2内の切削液が配管3内を流れると、気体が所定の圧力及び流量で気体供給部4から気体供給配管4aを介して溶解部5に供給される。溶解部5は、その内部を通過する切削液中に、気体供給部4により供給された気体を溶解させる。その後、溶存気体を含む切削液が配管3内を流れてポンプ6を通過して、微小気泡発生部7に流入する。
【0035】
微小気泡発生部7に流入した切削液はその微小気泡発生部7の各貫通孔7aを通過する。このとき、切削液中の溶存気体は減圧されてから開放され、切削液中に多量の微小気泡が生成される。さらに、切削液は各貫通孔7aにより配管3の内周面に沿って旋回し、旋回流となって配管3内を進行する。このとき、旋回流により遠心力が得られ、切削液の液体より比重が小さい微小気泡は、配管3の内周面(内壁)から離れた中央部に集まる。この微小気泡を含む切削液が配管3内を流れて旋回流発生部8に流入する。
【0036】
旋回流発生部8に流入した切削液は旋回流のまま配管3内を流れ、さらに次の旋回流発生部8を通過する。ここで、旋回流発生部8に流入した切削液はその旋回流発生部8の各貫通孔8aを通過する。このとき、切削液は各貫通孔8aにより配管3の内周面に沿って旋回し、旋回流となって配管3内を進行する。この旋回流により遠心力が得られ、切削液の液体より比重が小さい微小気泡は、配管3の内周面(内壁)から離れた中央部に集まる。その後、次の旋回流発生部8により旋回流のまま切削液は加工機11に流入する。その加工機11に流入した切削液は液供給ヘッド11bから切削具11aと被切削物Wとが接触する切削箇所に向けて吐出される。
【0037】
ここで、前述の微小気泡発生部7が第一段の旋回流発生部として機能するため、その微小気泡発生部7から切削液の進行方向(流れ方向)に沿って次の旋回流発生部8が第二段となり、その第二段の次の旋回流発生部8が第三段となるため、実質三つの旋回流発生部を用いて、配管3内を流れる切削液中の微小気泡を配管3の中央部に集めた状態を維持しつつ、切削液を配管3により送液することになる。
【0038】
本実施形態による前述の送液動作では、微小気泡を含む切削液が配管3の内周面に沿って旋回し、旋回流(旋回渦)が配管3内に発生する。この旋回流により遠心力が生じ、切削液の液体より比重が小さい微小気泡は、配管3の内周面(内壁)から離れた中央部に集まり、配管3内を流れていくことになる。これにより、切削液中の微小気泡が配管3の内周面に付着することが抑止されるので、微小気泡の供給量減少を抑えることが可能となり、その結果、微小気泡の安定供給を実現することができる。
【0039】
さらに、配管3の中央部に集められた微小気泡はその中央部を流れていくことになるが、配管3の中央部は旋回流により配管3の内周面側より流速が速くなるため、旋回流が発生していない場合に比べ、微小気泡を運ぶ流速が速くなり、微小気泡を運ぶ送液時間が短くなる。これにより、微小気泡の大きさ(粒径)が時間経過に伴って所望サイズより大きくなる前に微小気泡を供給することが可能となる。
【0040】
したがって、前述の微小気泡供給量の減少抑止に加え、微小気泡を運ぶ流速の向上により、所望サイズの多量(多数)の微小気泡を効率良く切削箇所に届ける安定供給を実現することができる。その結果として、微小気泡の安定供給の実現により、加工機11の加工性能(機械加工精度)の向上や切削液の洗浄性能の向上、工具寿命の高寿命化などを実現することができる。
【0041】
なお、旋回流によって配管3の中央部が配管3の内周面側より流速が速くなることは、旋回流によって配管3の内周面(内壁)から離れた中央部に集まった微小気泡が、配管3の内周面に付着することを抑止するのに加担する。
【0042】
また、配管3内に旋回流を発生させることによって、切削液中の微小気泡は旋回流により攪拌され、気泡同士が衝突して細分化(微細化)される。これにより、より多量の微小気泡を発生させることができる。特に、実質三つの旋回流発生部(微小気泡発生部7及び二つの旋回流発生部8)を用いることで、切削液が配管3内を流れて供給対象装置である加工機11に流入するまで、微小気泡の攪拌及び細分化が継続されることになる。これにより、気泡分断力(気泡粒径の細分化力)が向上するので、より多量の微小気泡を発生させることができる。
【0043】
さらに、旋回流発生部8は、配管3内を流れる液体中の微小気泡を旋回流により配管3の中央部に集めた状態を維持しつつ液体を配管3に流して送液するよう、配管3の延伸方向に沿って複数個設けられている。これにより、配管3が長い場合などにも、液体中の微小気泡が配管3の内周面に付着することを抑止することが可能になるので、微小気泡の供給量減少を抑えることができ、さらに、微小気泡を運ぶ流速が速くなるので、サイズを維持しつつ微小気泡を供給することができる。その結果、所望サイズの微小気泡の安定供給を実現することができる。
【0044】
また、配管3の途中には、配管3内を流れる液体中に微小気泡を発生させる複数の貫通孔7aを有する微小気泡発生部7が設けられており、さらに、旋回流発生部8は、配管3内を流れる液体を配管3の内周面に沿って旋回させる複数の貫通孔8aを有しており、微小気泡発生部7より液体の進行方向の下流側に位置付けられている。加えて、旋回流発生部8の全ての貫通孔8aの口径は、微小気泡発生部7の全ての貫通孔7aの口径より大きくなっている。これにより、微小気泡を含む液体はスムーズに旋回流となるため、液体中の微小気泡を配管3の内周面から離れた中央部に集める良好な形状の旋回流を得ることが可能となる。このため、液体中の微小気泡を配管3の中央部に確実に集めることができ、さらに、微小気泡を運ぶ流速を確実に速くすることができる。
【0045】
なお、旋回流発生部8は、微小気泡発生部7より液体の進行方向の下流側に位置付けられているが、これに限るものではなく、微小気泡発生部7より液体の進行方向の上流側に位置付けられても良い。この場合には、液体が微小気泡発生部7に流入する前に旋回されてかき混ぜられるため、切削液に対する気体の溶解効率を向上させることが可能となり、微小気泡発生部7により多量の微小気泡を発生させることができる。
【0046】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0047】
例えば、図6に示すように、配管3が途中で複数本(例えば四本)に分岐され、複数(例えば四つ)の加工機11に接続されている場合には、微小気泡発生部7が分岐前の配管3の途中に設けられており、旋回流発生部8が分岐後の各配管3にそれぞれ設けられている。この場合でも、前述の実施形態と同様な効果を得ることができる。さらに、一つの微小気泡発生部7により複数の加工機11に微小気泡を含む切削液を供給することが可能であり、複数の微小気泡発生部7を設置する必要が無いため、装置構造の簡略化及び低コスト化を実現することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 送液装置
3 配管
7 微小気泡発生部
7a 貫通孔
8 旋回流発生部
8a 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微小気泡を含む液体が流れる配管と、
前記配管の途中に設けられ、前記配管内を流れる前記液体に旋回運動を与えて前記配管内に旋回流を発生させる旋回流発生部と、
を備えることを特徴とする送液装置。
【請求項2】
前記旋回流発生部は前記配管の延伸方向に沿って複数個設けられていることを特徴とする請求項1記載の送液装置。
【請求項3】
前記配管の途中に設けられ、前記配管内を流れる前記液体中に微小気泡を発生させる複数の貫通孔を有する微小気泡発生部を備え、
前記旋回流発生部は、前記配管内を流れる前記液体に旋回運動を与える複数の貫通孔を有しており、前記微小気泡発生部より前記液体の進行方向の下流側に位置付けられており、
前記旋回流発生部の全ての前記貫通孔の口径は、前記微小気泡発生部の全ての前記貫通孔の口径より大きくなっていることを特徴とする請求項2記載の送液装置。
【請求項4】
前記配管の途中に設けられ、前記配管内を流れる前記液体中に微小気泡を発生させる複数の貫通孔を有する微小気泡発生部を備え、
前記旋回流発生部は、前記配管内を流れる前記液体に旋回運動を与える複数の貫通孔を有しており、前記微小気泡発生部より前記液体の進行方向の上流側に位置付けられており、
前記旋回流発生部の全ての前記貫通孔の口径は、前記微小気泡発生部の全ての前記貫通孔の口径より大きくなっていることを特徴とする請求項2記載の送液装置。
【請求項5】
微小気泡を含む液体を配管に流して送液する送液方法であって、
前記配管内を流れる前記液体に旋回運動を与えて前記配管内に旋回流を発生させることを特徴とする送液方法。
【請求項6】
前記配管内を流れる前記液体中の微小気泡を前記旋回流により前記配管の中央部に集めた状態を維持しつつ前記液体を前記配管に流して送液することを特徴とする請求項5記載の送液方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−210616(P2012−210616A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78725(P2011−78725)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】