説明

逆止弁装置

【課題】搭載スペースの小型化を図れる構成の逆止弁装置の提供。
【解決手段】本発明の逆止弁装置1は、カムシャフトを支持する支持構造物400,401に穿設されてなる油路4の一部を構成し、作動油の入口穴13とそれの出口穴14とを有し、壁151,153で囲まれた収容室15と、収容室15内に収容され、入口穴13を塞ぐための弁体11と、入口穴13を囲む部分の壁153からなる弁座12と、入口穴13と出口穴14とを隔てるように収容室15内に配置され、作動油をろ過するフィルター装置8と、弁体11とフィルター装置8との間で挟まれ、弁体11を弁座12に対して弾性的に付勢する付勢手段16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のカムシャフトに設けられている可変バルブタイミング機構の作動油圧を制御するオイルコントロールバルブに対して作動油を供給し、かつ前記カムシャフトを支持する支持構造物に穿設されてなる油路に設けられる逆止弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの出力向上、エミッションの低減等を目的として、可変バルブタイミング機構(以下、VVT機構)が、吸気バルブ又は排気バルブ(以下、吸排気バルブ)を作動させるカムシャフトの端部に設けられている。このVVT機構は、前記カムシャフトと、このカムシャフトに伝動手段を介して動力を伝達しているクランクシャフトとの位相(相対回転位相)を、エンジンの負荷に応じて変化させることによって、吸排気バルブの開閉タイミングを変更している。
【0003】
前記VVT機構としては、一般的に、油圧で駆動するもの(所謂、油圧ベーン式)が知られている。この種のVVT機構は、上流側にオイルポンプが設けられている油路と繋がっており、オイルポンプから圧送されてくる作動油が油路を介してVVT機構に供給されている。
【0004】
なお、前記油路の途中には、オイルコントロールバルブ(以下、OCV)が備えられており、このOCVによって、VVT機構の油圧制御が行われている。このOCVの作動に応じてVVT機構に作動油が供給されると、VVT機構は前記カムシャフトの位相がクランクシャフトの位相に対して進むように、又は遅れるように駆動する。
【0005】
ところで、特許文献1及び2に示されるように、VVT機構に供給される作動油の圧力(油圧)が低い場合等に、作動油が前記油路を逆流すること(つまり、VVT機構からOCV側に向かって作動油が流れること)が知られている。そのため、前記油路の途中には、逆流を防止するための逆止弁が設けられている。
【0006】
なお、前記油路及び逆止弁は、特許文献1及び2に示されるように、シリンダヘッドの上部に配置されているカムキャップ等の構造物に設けられている。前記油路は、前記構造物中を貫通する細長く延びた孔からなり、この孔の途中に前記逆止弁等を収容するための収容室が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−25032号公報
【特許文献2】特開2010−255533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
カムキャップ等の構造物中に、前記逆止弁等を搭載できるスペースは限られている。そのため、搭載スペースの小型化を図れる構成の逆止弁装置の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の逆止弁装置は、内燃機関のカムシャフトに設けられている可変バルブタイミング機構の作動油圧を制御するオイルコントロールバルブに対して作動油を供給し、かつ前記カムシャフトを支持する支持構造物に穿設されてなる油路、に設けられる逆止弁装置であって、前記油路の一部を構成し、前記作動油の入口穴とそれの出口穴とを有し、壁で囲まれた収容室と、前記収容室内に収容され、前記入口穴を塞ぐための弁体と、前記入口穴を囲む部分の前記壁からなる弁座と、前記入口穴と前記出口穴とを隔てるように前記収容室内に配置され、前記作動油をろ過するフィルター装置と、前記弁体と前記フィルター装置との間で挟まれ、前記弁体を前記弁座に対して弾性的に付勢する付勢手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
前記逆止弁装置は、逆止弁機構とフィルター機構とが一体化されており、これらの支持構造物中における搭載スペースの小型化を図れる。
【0011】
前記逆止弁装置において、前記収容室は、前記壁が凹部を含み、前記フィルター装置は、周面に複数個の窓穴部を含む筒状の胴体部と、前記筒体の一端を塞ぎ先端に前記凹部に圧入される凸部を含む頭部と、前記筒体の他端に設けられ、外縁が前記収容室の前記壁と密着し、内側に開口部を含み、前記付勢手段と接触する環状脚部とを有する支持体と、前記胴体部の周面を覆うように前記支持体に取り付けられ前記作動油をろ過するフィルター層とからなる、ことを特徴とする。
【0012】
前記逆止弁装置は、そのフィルター装置が、凸部を、対向壁の凹部1に圧入した状態で、付勢手段によって対向壁に対して押し付けられている。このような状態で、収容室内でフィルター装置が固定されているため、例えば、凸部が長期使用によって摩耗しても、付勢手段によって対向壁に対して押し付けられているため、フィルター装置が下側に落下して位置ずれすることが抑制される。
【0013】
前記逆止弁装置において、前記弁体が、円盤状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、搭載スペースの小型化を図れる構成の逆止弁装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係る逆止弁装置が設けられるVVT機構に作動油を供給する油路の説明図
【図2】開状態の逆止弁装置を示す断面図
【図3】弁体の平面図
【図4】フィルター装置の斜視図
【図5】支持体の斜視図
【図6】閉状態の逆止弁装置を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、一実施形態に係る逆止弁装置が設けられるVVT機構に作動油を供給する油路の説明図である。図1に示されるVVT機構2は、油圧ベーン式のものであり、ダブルオーバーヘッドカム(DOHC)式のエンジン(内燃機関)が備えている吸気側カムシャフトの端部に設けられている。
【0017】
VVT機構2は、供給される作動油の油圧によって作動し、前記エンジンの出力軸であるクランクシャフトと、前記カムシャフトとの相対回転位相を進角方向又は遅角方向に変化させて、吸気バルブの開閉タイミングを変更している。VVT機構2には、供給される油圧(作動油圧)によって前記相対回転位相を進角方向に変更する進角室と、供給される油圧によって前記相対回転位相を遅角方向に変更する遅角室とを備えている。
【0018】
VVT機構2は、図1に示されるように2本の油路4(43,44)と接続している。一方の油路4(43)は、進角制御用であり、進角室と繋がっており、他方の油路4(44)は遅角制御用であり、遅角室と繋がっている。また、これらの油路4(43,44)は、共にOCV3とも接続している。
【0019】
OCV3は、スプール弁を備えたリニアソレノイドバルブからなり、内蔵する電磁ソレノイドに対する駆動信号を変化させることによって、作動油の供給先及び供給量等を変更できるように構成されている。OCV3の駆動制御は、マイクロコンピュータ等を備えたECU(Electronic Control Unit)によって行われる。
【0020】
OCV3は、2つの給排ポート(不図示)と、1つの供給ポート(不図示)と、2つの排出ポート(不図示)とを備えている。一方の給排ポートは、VVT機構2の進角室と繋がった油路4(43)に接続され、他方の給排ポートは、VVT機構2の遅角室と繋がった油路4(44)に接続されている。なお、前記供給ポートは油路4(42)に接続され、前記排出ポートは、その先側で合流するように、2つとも1本の油路4(45)に接続されている。
【0021】
油路4(42)は、一端が上述したようにOCV3の供給ポートに接続されており、その他端は、逆止弁装置1に接続されている。更に、逆止弁装置1には、油路4(41)が接続されており、その油路4(41)の末端には、オイルストレーナ6が設けられている。また、その油路4(41)の途中には、オイルポンプ5が設けられており、このオイルポンプ5を利用して、オイルパン7内の作動油(エンジンオイル)がオイルストレーナ6介して吸引され、そして油路4(41)を通ってVVT機構2側に向かうように圧送される。
【0022】
なお、油路4(45)は、その末端がオイルパン7に接続されており、上述したOCV3の排出ポートから排出された作動油を、オイルパン7内へ戻している。
【0023】
ここで逆止弁装置1について、図2ないし図6を参照しつつ詳細に説明する。図2は、開状態の逆止弁装置1を示す断面図である。図2に示されるように、逆止弁装置1は、主として、収容室15と、弁体11と、弁座12と、フィルター装置8と、付勢手段16とを備えている。
【0024】
収容室15は、上流側の油路4(41)と下流側の油路4(42)との間に設けられており、収容室15自身が油路4の一部を構成している。図2に示される油路4(41)は、カムハウジング400に穿設されており、油路4(42)は、カムキャップ401に穿設されている。
【0025】
カムハウジング400は、エンジンのシリンダヘッド(不図示)の上部に取り付けられており、更にこのカムハウジング400の上部にカムキャップ401が取り付けられている。そして、カムハウジング400とカムキャップ401との間でカムシャフト(不図示)が回転可能に支持されている。本実施形態のカムハウジング400及びカムキャップ401は、共にアルミニウム合金等の鋳造物からなる。なお、本明細書では、カムハウジング400、カムキャップ401等のカムシャフトを支持する構造物を特に、支持構造物と言う場合がある。
【0026】
収容室15は、カムキャップ401側の壁151と、カムハウジング400側の壁153とで囲まれた空間からなる。収容室15の主たる部分は、カムキャップ401側に穿設された空間を囲む壁151からなる。この空間は、カムキャップ401の端面から掘り下げられて形成される。そして、カムハウジング400がカムキャップ401と密着する端面が、収容室15を囲む残りの壁153となっている。
【0027】
収容室15には、入口穴13と、出口穴14とが設けられている。入口穴13は、円形状であり、その周りを壁153が取り囲んでいる。なお、入口穴13の周りを取り囲む部分の壁153が、弁座12になっている。また、入口穴13は、カムハウジング400に穿設されている油路4(41)の下流端に位置している。なお、収容室15の内径は、入口穴13の大きさ(直径)よりも大きく設定されている。
【0028】
これに対して、出口穴14は、壁151の一部である側壁151bに設けられており、カムキャップ401に穿設されている油路4(42)の上流端に位置している。つまり、油路4(41)と油路4(42)とは、それらを中継する部分の収容室15で折れ曲がるように配設されている。
【0029】
なお、壁151の一部が、入口穴13と対向するように配置する対向壁151aとなっている。そして、その対向壁151aの一部には、凹部152が形成されている。
【0030】
弁体11は、所定の厚みを持った円盤状の部材であり、例えば、金属材料を加工して得られる。図3は、弁体11の平面図である。図3に示されるように、弁体11は、円盤状の本体部112と、本体部112の周縁の一部を切り欠いた切り欠き部111とからなる。本実施形態において、切り欠き部111は、本体部112の周縁に、等間隔で4個設けられている。なお、本体部112に設けられる切り欠き部111の個数、切り欠き部111の面積等は、作動油の流量等によって、適宜、設定される。
【0031】
フィルター装置8は、作動油中に含まれている異物を吸着して除去するものであり、図2に示されるように、収容室15内に収容されている。図4は、フィルター装置の斜視図である。図4に示されるように、フィルター装置8は、支持体81と、その支持体81に取り付けられるフィルター層80とを備える。なお、説明の便宜上、図4には、フィルター層80の内側の構造が、透過的に示されている。
【0032】
図5は、支持体の斜視図である。支持体81は、プラスチック材料の成形物からなり、図5に示されるように、頭部82、胴体部85、及び環状脚部84からなる。環状脚部84は、外観が円環状であり、その内側に円形状の開口部88を備えている。胴体部85は、環状脚部84上に等間隔で並ぶように立設される4本の柱86と、これらの柱86の間に形成される4個の窓穴部87と、4本の柱86で囲まれた内側にある縦長の空間89とからなる。つまり、胴体部85は、その全体的な外観は筒状になっている。本実施形態の胴体部85は、その内径が先側に向かって徐々に小さくなるように設定されている。なお、胴体部85の空間89内には、環状脚部84の開口部88から出入り可能となっており、また各窓穴部87からも出入り可能となっている。
【0033】
頭部82は、筒状の胴体部85の一端を塞ぐような形状であり、円盤状の蓋部82aと、この蓋部82aの表側の中央部分に設けられている円柱状の凸部83とからなる。蓋部82aは、その裏面側に、胴体部85の柱86の先端が接続されている。蓋部82aの外縁は、胴体部85よりも外側に若干張り出している。なお、環状脚部84の外縁も、胴体部85よりも外側に若干張り出している。凸部83は、先側83aが蓋部82aに固定されている根元側83よりも外径が大きく設定されている。
【0034】
図4に示されるように、支持体81には、胴体部85(図5参照)の周面を覆うように筒状のフィルター層80が取り付けられている。このフィルター層80の中を作動油が通過すると、作動油中に含まれている異物がフィルター層80に吸着されて除去される。
【0035】
このような構成のフィルター装置8は、図2に示されるように、収容室15内に収容される。そして、フィルター装置8は、その支持体8が備えている凸部83が、収容室15の壁151(対向壁151a)に形成されている凹部152内に圧入されており、収容室15内で固定される。なお、凸部83の形状(大きさ)は、先側83aが凹部152内の壁面と密着するように設定されている。
【0036】
また、フィルター装置8は、支持体8の環状脚部84の外縁が、収容室15の壁151と隙間なく密着するように収容室15内に収容されている。そして、フィルター装置8のフィルター層80と、収容室15の壁151との間には、作動油が移動するための隙間があり、その壁151(151b)の一部に、上述した出口穴14が設けられている。つまり、フィルター装置8は、収容室15を入口穴13側と、出口穴14側とに隔てるように、収容室15内に取り付けられている。なお、支持体8の環状脚部84と、入口穴13との間には、弁体11及び付勢手段16を収容するための空間が設けられている。
【0037】
付勢手段16は、弁体11を入口穴13側に向けて弾性的に付勢する手段からなり、例えば、スプリング(ばね)等の弾性部材からなる付勢手段16は、フィルター装置8と弁体11との間で挟まれており、その先端は弁体11に接触しており、その後端はフィルター装置8の環状脚部84に接触している。なお、本実施形態においては、付勢手段16の先端は、弁体11に固定されており、その後端は、フィルター装置8の環状脚部84に固定されている。フィルター装置8の環状脚部84は、付勢手段16を固定するストッパとして機能している。
【0038】
ここで、逆止弁装置1の動作を説明する。先ず、図2を参照しつつ開状態の逆支弁装置1を説明する。図2に示される逆止弁装置1は、弁体11が弁座12から離れた状態(開状態)にある。この弁体11は、油路4(41)を通って圧送されてくる作動油によって押し上げられている。この作動油は、図1に示されるように、オイルポンプ5を利用して、オイルストレーナ6を介してオイルパン7内から吸引されたものであり、適宜、圧送されてくる。
【0039】
弁体11が押し上げられると、付勢手段16は弁体11とフィルター装置8との間で挟まれた状態で縮み、そして作動油は入口穴13から、弁体11と壁153との間を通って収容室15内に進入する。収容室15内に進入した作動油は、更に、開口部88からフィルター装置8内の空間89に進入する。そして、作動油は、フィルター装置8内の空間89からフィルター層80を通過して、再びフィルター装置8の外側にある収容室15内に出る。フィルター層80を通って収容室15に出た作動油は、出口穴14から油路4(42)に入り、OCV3側に向かって流れる。このように、油路4(41)を通って作動油が圧送されてくると、油路4(41)の下流端が開放されて、油路4(41)と油路4(42)とが収容室15を介して繋がる。
【0040】
図6は、閉状態の逆止弁装置を示す断面図である。次いで、図6を参照しつつ、閉状態の逆止弁装置1を説明する。VVT機構2の位相振れ等によって、OCV3から油路4(42)に向かって作動油が逆流する場合がある。このように作動油が逆流すると、油路4(42)から出口穴14を通って収容室15内に作動油が進入してくる。すると、作動油は、フィルター装置8の外側からフィルター層80を通って内側の空間89に入り、そして入口穴13から収容室15の外側に出ようとする。
【0041】
しかしながら、このような作動油の流れが生じると、弁体11を押し上げようとする作動油の力(油圧)よりも、付勢手段16の弾性力(反発力)等による弁体11を押し下げようとする力の方が勝って、弁体11が弁座12に押し付けられる。弁体11が弁座12に押し付けられると、弁体11の裏面が壁153に密着して、入口穴13が弁体11によって塞がれた状態(閉状態)になる。このように作動油の逆流が発生すると、逆止弁装置1が作動して、油路4(41)の下流端を閉鎖する。そして、油路4(41)を作動油が逆流することが抑制される。
【0042】
なお、油路4(41)から収容室15に向かって供給される作動油の圧力が、弁体11を押し上げようとする力を上回れば、図2に示されるように、逆止弁装置1は再び開状態となる。
【0043】
本実施形態の逆止弁装置1は、作動油をろ過するフィルター機能も備えている。このように、逆止弁装置1に、フィルター装置8を組み込んで、逆支弁機構とフィルター機構とを一体化することによって、逆支弁機構及びフィルター機構の搭載スペースの小型化を図ることが可能となる。カムキャップ等の支持構造物中に、逆支弁機構等を搭載できるスペースは限られている。場合によっては、支持構造物の大きさ等の都合により、逆止弁機構及びフィルター機構を設けるスペースを、それぞれ別個に確保できないことがある。このような場合であっても、本実施形態の逆止弁装置1は、従来のフィルター機構を搭載できる程度のスペースがあれば、搭載可能である。
【0044】
また、本実施形態の逆止弁装置1であれば、従来、別途設けていた逆止弁機構(又はフィルター機構)の搭載スペースを、支持構造物に設ける必要がなくなり、本実施形態の逆支弁装置1を備えた内燃機関等の生産性が向上する。
【0045】
また、本実施形態の逆止弁装置1は、そのフィルター装置8が、凸部83の先側83aを、壁(対向壁151a)の凹部152に圧入した状態で、付勢手段16によって壁151(対向壁151a)に対して押し付けられている。このような状態で、収容室15内でフィルター装置8が固定されているため、例えば、凸部83の先側83aが長期使用によって摩耗しても、付勢手段16によって対向壁151aに対して押し付けられているため、フィルター装置8が下側に落下して位置ずれすることが抑制される。
【0046】
また、本実施形態の逆止弁装置1は、油路4の一部である収容室15をそのまま、弁箱として利用している。そして、付勢手段16を直接、弁体11に固定しており、別途、弁体11を受けるための部材を利用していない。そのため、本実施液体の逆止弁装置1は、その逆支弁機構における部品点数を少なくできる。
【0047】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0048】
(1)上記実施形態1において、フィルター装置8として、カップ状のものを利用したが、他の実施形態においては、例えば、所定形状に加工されたフィルター層のみをフィルター装置として利用してもよい。なお、利用するフィルター装置の形状等によって、適宜、収容室15の形状、出口穴14の配置等も設定される。
【0049】
(2)上記実施形態1において、付勢手段16として、1個のスプリングからなるものを例示したが、他の実施形態においては、例えば、複数個のスプリングが環状脚部84と、弁体11との間で環状に並べられたものを、付勢手段16として利用してもよい。
【0050】
(3)上記実施形態1において、弁体11として円盤状のものを利用したが、他の実施形態においては、外縁が多角形状のもの等を利用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1・・・逆止弁装置
2・・・VVT機構
3・・・OCV
4・・・油路
5・・・オイルポンプ
6・・・オイルストレーナ
7・・・オイルパン
8・・・フィルター装置
80・・・フィルター層
81・・・支持体
11・・・弁体
12・・・弁座
13・・・入口穴
14・・・出口穴
15・・・収容室
151・・・壁(カムキャップ側)
153・・・壁(カムヘッド側)
400・・・カムヘッド(支持構造物)
401・・・カムキャップ(支持構造物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のカムシャフトに設けられている可変バルブタイミング機構の作動油圧を制御するオイルコントロールバルブに対して作動油を供給し、かつ前記カムシャフトを支持する支持構造物に穿設されてなる油路、に設けられる逆止弁装置であって、
前記油路の一部を構成し、前記作動油の入口穴とそれの出口穴とを有し、壁で囲まれた収容室と、
前記収容室内に収容され、前記入口穴を塞ぐための弁体と、
前記入口穴を囲む部分の前記壁からなる弁座と、
前記入口穴と前記出口穴とを隔てるように前記収容室内に配置され、前記作動油をろ過するフィルター装置と、
前記弁体と前記フィルター装置との間で挟まれ、前記弁体を前記弁座に対して弾性的に付勢する付勢手段と、を備えることを特徴とする逆止弁装置。
【請求項2】
前記収容室は、前記壁が凹部を含み、
前記フィルター装置は、周面に複数個の窓穴部を含む筒状の胴体部と、前記筒体の一端を塞ぎ先端に前記凹部に圧入される凸部を含む頭部と、前記筒体の他端に設けられ、外縁が前記収容室の前記壁と密着し、内側に開口部を含み、前記付勢手段と接触する環状脚部とを有する支持体と、前記胴体部の周面を覆うように前記支持体に取り付けられ前記作動油をろ過するフィルター層とからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の逆止弁装置。
【請求項3】
前記弁体が、円盤状である請求項1又は請求項2に記載の逆止弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−189000(P2012−189000A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53236(P2011−53236)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000185488)株式会社オティックス (305)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】