説明

透光性導電性材料

【課題】低い表面抵抗率を有し、環境条件によらず優れた密着性を有する面状の電極等に利用可能な透光性導電性材料を提供すること。
【解決手段】支持体上に、現像銀を含む導電性金属からなる細線パターンと、透明導電性層とを有し、支持体と該細線パターンとの間に、水に対する膨湿率が60%未満である易接着層を有することを特徴とする、透光性導電性基材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性導電性材料に関するものであり、またこれを用いて形成された配線材料、電極、電磁波シールド材料、発熱ヒーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を透過し、かつ、導電性を有する材料は、様々なものが知られており、また、産業界においても種々のものが利用されている。いわゆる透明導電性膜としては、無機金属酸化物である、酸化スズ(SnO2)、ITO(スズドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)などを用いたものがよく知られている。透明性のある導電性高分子もまた、透明導電性膜の一つとしてよく知られている。一方、導電性金属材料を細線形状として、光を透過する開口部を設け、光を透過させることのできる材料も知られている。例えば、透明基材上にメッシュ状の金属層を形成させて、金属のない開口部を広くすることで、光を透過させ、かつ、金属メッシュを非常に微細な形状とすれば、目視ではメッシュ形状の存在を認識しがたい透光性導電性基材となる。このようなものの例として、プラズマディスプレイパネル用の電磁波シールドフィルムとして利用されている、銅製のメッシュが知られている。
【0003】
上述の、透明導電性膜と金属メッシュの両方を具備した以下の例も知られている。
(1)特許文献1は、支持体上に透明な導電性高分子層、及び、導電性の銀パターンの両方を有する導電性材料を開示している。しかしながら導電性銀パターンの厚みが薄く、またパターン線の太さ(幅)が太く、細線でかつ高い導電性をもつものが望まれており、この点で改善が求められている。また、銀電極と支持体の間にゼラチン層を有しており、高温高湿度な環境下での耐久性や密着性に問題があった。
(2)特許文献2は、透明導電膜と金属細線からなる透明導電性シートを開示している。
【0004】
【特許文献1】特表2006-501604号公報
【特許文献2】特開2005-302508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前項(背景技術の項)に述べた特許文献は、それぞれの目的に沿った技術を開示したものではあるが、同時に上述したように高温高湿度な環境下での耐久性や密着性、細線形状(薄さと幅広さ)と導電性との両立性、細線形状(薄さと幅広さ)と透光性との両立性などについて更なる改善がなされた透光性導電性材料が求められている。
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は以下の透光性導電性材料やその適用部材を提供することである。
第1に、低抵抗(低い表面抵抗率)を有する、面状(シート状)の電極などに利用可能な透光性導電材料を提供すること。
第2に、高い密着性を有する面状の電極などに利用可能な透光性導電材料を提供すること。
第3に、折り曲げに対して耐性を有する面状の電極などに利用可能な透光性導電材料を提供すること。
第4に、耐湿熱性を有する面状の電極などに利用可能な透光性導電材料を提供すること。
第5に、優れた生産性、低コスト性を有する、面状の電極などに利用可能な透光性導電材料を提供すること。
第6に、上述の透光性導電材料を具備する、表示装置用タッチパネルを提供すること。
第7に、上述の透光性導電材料を具備する、電磁波シールド材料を提供すること。
第8に、上述の透光性導電材料を具備する、帯電防止材料を提供すること。
第9に、上述の透光性導電材料を具備する、エレクトロルミネッセンス素子を提供すること。
第10に、上述の透光性導電材料を具備する、太陽電池を提供すること。
第11に、上述の透光性導電材料を具備する、面状ヒーターを提供すること。
第12に、上記の導電性材料を具備する、面状アンテナを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、支持体と細線パターン層との間に易接着層を設け、その層の水に対する膨潤率を60%未満に制御することによって、高温高湿環境下での耐久性や密着性が顕著に向上することを見出し、したがって細線形状(薄さと幅広さ)と導電性との両立性や、細線形状(薄さと幅広さ)と透光性との両立性を調整しやすくなり、これに基く以下の発明により上記課題を解決することができた。
1.支持体上に、貴金属を含む導電性金属からなる細線パターンを有し、支持体と該細線パターンとの間に、水に対する膨潤率が60%未満である易接着層を有することを特徴とする、透光性導電性材料。
2.前記導電性金属が、金属銀を含むことを特徴とする、上記1に記載の透光性導電性材料。
3.前記導電性金属が、現像銀を含むことを特徴とする、上記1又は2に記載の透光性導電性材料。
4.支持体上に、貴金属を含む導電性金属からなる細線パターンと透明導電層とを有し、支持体と該細線パターンとの間に、水に対する膨潤率が60%未満である易接着層を有することを特徴とする、上記1〜3のいずれかに記載の透光性導電性材料。
5.前記易接着層が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびスチレンブタジエンゴムからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする上記1又は4に記載の透光性導電性材料。
6.前記易接着層が、アクリル樹脂を含有することを特徴とする上記1、4又は5のいずれかに記載の透光性導電性材料。
7.前記透明導電層が、導電性金属酸化物粒子を含有することを特徴とする上記4に記載の透光性導電性材料。
8.前記透明導電層が、酸化スズ粒子またはアンチモンがドープされた酸化スズ 粒子、若しくは、ITO粒子を含有することを特徴とする上記4又は7に記載の透光性導電性材料。
9.前記透明導電層が、導電性ポリマーを含有することを特徴とする上記4、7又は8のいずれかに記載の透光性導電性材料。
10.前記易接着層の膨潤率が、50%以下であることを特徴とする上記1、4〜6のいずれかに記載の透光性導電性材料。
11.前記細線パターンの金属厚みが0.2μm以上30μm以下であることを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載の透光性導電性材料。
12.前記細線パターンの細線の幅が1μm以上30μm以下であることを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載の透光性導電性材料。
13.前記細線パターンの導電性金属が、現像銀とめっき金属からなることを特徴とする上記1〜12のいずれかに記載の透光性導電性材料。
14.前記細線パターンの導電性金属が、黒化層を有することを特徴とする上記1〜13のいずれかに記載の透光性導電性材料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、低抵抗、とくに低い表面抵抗率、を有する、面状の電極に利用可能な透光性導電性材料を提供することができる。また、折り曲げに対して耐性を有する透光性導電性材料を提供することができる。また、高い密着性を有する透光性導電性材料を提供することができる。また、耐湿熱性を有する透光性導電性材料を提供することができる。また、優れた生産性、低コスト性を有する、透光性導電性材料を提供することができる。また、上述の透光性導電材料を具備する、表示装置用タッチパネル、電磁波シールド材料、帯電防止材料、エレクトロルミネッセンス素子、太陽電池、面状ヒーター、アンテナを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味として使用される。
【0009】
・ 支持体
本発明に用いられる感光材料の支持体としては、プラスチックフィルム、プラスチック板、およびガラス板などを用いることができる。
上記プラスチックフィルムおよびプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂;、ポリスチレン、EVA、その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
本発明においては、透明性、耐熱性、取り扱いやすさおよび価格の点から、上記プラスチックフィルムはポリエチレンテレフタレートフィルム又はトリアセチルセルロース(TAC)であることが好ましい。
【0010】
ディスプレイなどの表示装置用の電磁波シールド材料や、タッチパネルでは透明性が要求されるため、支持体の透明性は高いことが望ましい。この場合におけるプラスチックフィルムまたはプラスチック板の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。また、本発明では、前記プラスチックフィルムおよびプラスチック板として本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
本発明におけるプラスチックフィルムおよびプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとして用いることも可能である。
【0011】
本発明における支持体としてガラス板を用いる場合、その種類は特に限定されないが、ディスプレイなどの表示装置用電磁波シールド膜の用途に用いる場合、表面に強化層を設けた強化ガラスを用いることが好ましい。強化ガラスは、強化処理していないガラスに比べて破損を防止できる可能性が高い。さらに、風冷法により得られる強化ガラスは、万一破損してもその破砕破片が小さく、かつ端面も鋭利になることはないため、安全上好ましい。
【0012】
(2)貴金属を含む導電性金属からなる細線パターン
(2−1)貴金属を含む導電性金属からなる細線パターン
本発明に用いられる貴金属とは、金、銀、白金、パラジウムを指す。該貴金属を含む導電性金属からなる細線パターンは、公知の方法で形成することができる。
(2−2)現像銀、及び、現像銀を含む導電性金属からなる細線パターン(金属細線パターン)
本発明に用いられる現像銀とは、銀塩写真法によって、ハロゲン化銀粒子を化学現像することによって得られる金属銀を言う。該現像銀は、化学現像によって得られるものであり、フィラメント状の金属銀の集合体、または、フィラメント状の金属銀が互いに結合・融着した金属銀の集合体である。
現像銀を得る方法は、一般によく知られている銀塩写真の原理・手法を利用できる。例えば、特開2004-221564号公報に記載の方法などを利用することができる。
また、現像銀は、電解メッキのカソードとして用いるのに十分な導電性とすることが可能であるため、現像銀を電解メッキすることが可能である。また、現像銀は無電解めっき触媒として利用することも可能であり、現像銀に無電解めっきを施すことも好ましい。従って、本発明における導電性金属からなる細線パターンを構成する金属は、銀のみからなっていてもよく、現像銀に加えて銅やニッケル、亜鉛、スズ、コバルト、金、白金、パラジウムなど、様々な金属から構成されていてもよい。特に銅は導電性が低くかつ安価であり、銀とともに本発明に好ましく用いることができる。
細線パターンの厚みは、用途によって適宜変更することができるが、高い導電性を得るためには、0.2μm以上の厚みを有することが好ましく、厚みが厚すぎるものは、製造コストの観点と、細線パターンを目視した場合に認識できてしまい、表示装置の電極材料などの用途には問題があるゆえ、0.5μm以上30μ以下がより好ましく、1μm以上20μ以下であることが更に好ましい。更に好ましくは、2μm以上10μm以下である。最も好ましくは、3μm以上7μm以下である。
細線パターンの線幅もまた、用途によって適宜変更することができるが、太い線のパターンを得ることは、光を透過する材料にとっては問題であり、本発明においては、1μm以上30μm以下の線幅の細線パターンであることが好ましい。より好ましくは、2μm以上20μm以下であり、更に好ましくは4μm以上18μm以下である。
尚、透光性導電性基材としては、金属細線パターンの面積が、面状の透光性導電性基材の面積に占める割合、即ち開口率が大きいことが、光を透過させる上で好ましく、開口率50%以上が好ましく、70%以上がさらに好ましく、80%以上が更により好ましく、90%以上が最も好ましい。
金属細線パターンの形状としては、目的に応じて様々なパターンを選択することができる。ディスプレイ用の電磁波シールド材料としては、格子状の金属細線パターンを好適に利用できる。
【0013】
[黒化層]
本発明の金属細線パターンは、黒化処理を施したものであってもよい。
黒化処理については、例えば特開2003−188576号公報に開示されている。黒化処理により形成された黒化層は、防錆効果に加え、反射防止性を付与することができる。黒化層は、例えば、Co−Cu合金めっきによって形成されるものであり、金属箔の表面の反射を防止することができる。さらにその上に防錆処理としてクロメート処理をしてもよい。クロメート処理は、クロム酸もしくは重クロム酸塩を主成分とする溶液中に浸漬し、乾燥させて防錆被膜を形成するものである。また、黒色系の被膜を与えるめっき法によってもよい。
【0014】
また、黒化処理は、一般に、導電性金属化合物、例えば、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)等の化合物を使用して、電解めっきによって行うことができ、あるいは、電着性イオン性高分子材料、例えば、電着塗装材料等を使用して形成することができる。
【0015】
本発明において、上記の黒化処理に用いる電解液の浴(黒色めっき浴)は、硫酸ニッケル塩を主成分とする黒色めっき浴を使用することができ、更に、市販の黒色めっき浴も同様に使用することができ、具体的には、例えば、株式会社シミズ製の黒色めっき浴(商品名、ノ−ブロイSNC、Sn−Ni合金系)、日本化学産業株式会社製の黒色めっき浴(商品名、ニッカブラック、Sn−Ni合金系)、株式会社金属化学工業製の黒色めっき浴(商品名、エボニ−クロム85シリ−85シリ−ズ、Cr系)等を使用することができる。また、本発明においては、上記とは別の黒色めっき浴としては、Zn系、Cu系、その他等の種々の黒色めっき浴を使用することができる。また、金属の黒化処理剤として、硫化物系化合物を用いて容易に製造することもでき、更にまた、市販品にも多種類の処理剤があり、例えば、商品名・コパ−ブラックCuO、同CuS、セレン系のコパ−ブラックNo.65等(アイソレ−ト化学研究所製)、商品名・エボノ−ルCスペシャル(メルテックス株式会社製)等を使用することができる。
【0016】
(3)透明導電性層
本発明における透明導電層は、導電性金属酸化物粒子や、導電性ポリマーから成り、バインダーを有していてよい。
導電性金属酸化物としては、酸化スズ、アンチモンがドープされた酸化スズ、インジウムとスズの酸化物(ITO)、酸化亜鉛、フッ素がドープされた酸化スズ、ガリウムがドープされた酸化亜鉛などが用いられる。
また、導電性ポリマーとしては、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、などが用いられる。
透明導電性層を形成する方法としては、スパッタリングなどの各種物理的方法、一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などの各種の塗布法を利用することができる。
塗布される支持体がポリエステル等のプラスチックフィルムである場合は、易接着層の塗布は、プラスチックフィルムの逐次二軸延伸前、同時二軸延伸前、一軸延伸後で再延伸前、あるいは二軸延伸後のいずれの時期に行ってもよい。該プラスチック支持体の表面は、あらかじめ紫外線照射処理、コロナ放電処理、グロー放電処理などの表面処理を施しておくことが好ましい。
【0017】
透明導電性層に用いられるバインダーとしては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルポリリドン、ゼラチンなどを利用することができる。
【0018】
(4)易接着性層
本発明における易接着層は、支持体と金属細線パターン及びまたは透明導電層との間に積層されており、支持体と金属細線との密着性、支持体と透明導電層との密着性を付与・向上させる機能を有している。
本発明における易接着層は、膨潤率が60%未満であるが、ここで膨潤率(%)とは、{(25℃の水で濡らして10分後の膜厚)-(乾燥時膜厚)}/(乾燥時膜厚)×100 で表され、膨潤率0%とは、水で濡らしても全く膨潤しない膜であることを意味し、膨潤率100%とは、水で濡らしたのち、膜厚みが2倍になることを意味する。本発明において該膨潤率は好ましくは50%以下であり、更に好ましくは20%以下であり、より好ましくは、10%以下であり、最も好ましくは、5%以下である。
【0019】
本発明における易接着層を形成する材料としては、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、スチレンブタジエンゴム、ゼラチンなどが利用される。但しゼラチンは膨湿率が高く、ゼラチンだけを易接着層として利用することは本発明の趣旨から逸脱する。
【0020】
アクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。上記アクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用して得られるポリマーであることが好ましい。
【0021】
上記ビニル樹脂としては、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくはエチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体)を挙げることができる。これらの中で、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくは、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体)が好ましい。上記ビニル樹脂は、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル及びポリ酢酸ビニルでは、例えば、ビニルアルコール単位をポリマー中に残すことにより水酸基を有するポリマーとし、他のポリマーについては、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用することにより架橋可能なポリマーとすることもできる。
【0022】
上記ポリウレタン樹脂としては、(a)ポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)、ポリヒドロキシ化合物と多塩基酸との反応により得られる脂肪族ポリエステル系ポリオール、ポリエーテルポリオール(例、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)ポリオール)、ポリカーボネート系ポリオール、及びポリエチレンテレフタレートポリオールのいずれか一種、あるいはこれらの混合物と(b)ポリイソシアネートから誘導されるポリウレタンを挙げることができる。上記ポリウレタン樹脂では、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応後、未反応として残った水酸基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。
【0023】
上記ポリエステル樹脂としては、一般にポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)と多塩基酸との反応により得られるポリマーが使用される。上記ポリエステル樹脂では、例えば、ポリオールと多塩基酸との反応終了後、未反応として残った水酸基、カルボキシル基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。勿論、水酸基等の官能基を有する第三成分を添加してもよい。
【0024】
上記ポリマーの中で、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂が好ましい。
【0025】
本発明の易接着層は、架橋剤で架橋されていることが好ましい。該架橋剤としては、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジクリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロ−ルポリグルシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類およびトリメチロ−ルプロパンポリグリシジルエーテル類等のエポキシ化合物が好ましく、その具体的な市販品としては、例えばデナコールEX−521やEX−614B(ナガセ化成工業(株)製)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、感光特性に影響を与えない添加量の範囲では、他の架橋性化合物との併用も可能であり、例えばC.E.K.Mees およびT.H.James著「The Theory of the Photographic Processes」第3版(1966年)、米国特許第3316095号、同3232764号、同3288775号、同2732303号、同3635718号、同3232763号、同2732316号、同2586168号、同3103437号、同3017280号、同2983611号、同2725294号、同2725295号、同3100704号、同3091537号、同3321313号、同3543292号及び同3125449号、並びに英国特許994869号及び同1167207号の各明細書等に記載されている硬化剤などがあげられる。
【0026】
代表的な例としては、二個以上(好ましくは三個以上)のメチロール基およびアルコキシメチル基の少なくとも一方を含有するメラミン化合物またはそれらの縮重合体であるメラミン樹脂あるいはメラミン・ユリア樹脂、さらにはムコクロル酸、ムコブロム酸、ムコフェノキシクロル酸、ムコフェノキシプロム酸、ホルムアルデヒド、グリオキザール、モノメチルギリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンサクシンアルデヒド、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン及びグルタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物およびその誘導体;ジビニルスルホン−N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、メチレンビスマレイミド、5−アセチル−1,3−ジアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3,5−トリアクリロイル−ヘサヒドロ−s−トリアジン及び1,3,5−トリビニルスルホニル−ヘキサヒドロ−s−トリアジンなどの活性ビニル系化合物;2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(4−スルホアニリノ)−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(2−スルホエチルアミノ)−s−トリアジン及びN,N’−ビス(2−クロロエチルカルバミル)ピペラジン等の活性ハロゲン系化合物;ビス(2,3−エポキシプロピル)メチルプロピルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、2,4,6−トリエチレン−s−トリアジン、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素およびビス−β−エチレンイミノエチルチオエーテル等のエチレンイミン系化合物;1,2−ジ(メタンスルホンオキシ)エタン、1,4−ジ(メタンスルホンオキシ)ブタン及び1,5−ジ(メタンスルホンオキシ)ペンタン等のメタンスルホン酸エステル系化合物;ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−ジシクロヘキシル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド化合物;2,5−ジメチルイソオキサゾール等のイソオキサゾール系化合物;クロム明ばん及び酢酸クロム等の無機系化合物;N−カルボエトキシ−2−イソプロポキシ−1,2−ジヒドロキノリン及びN−(1−モルホリノカルボキシ)−4−メチルピリジウムクロリド等の脱水縮合型ペプチド試薬;N,N’−アジポイルジオキシジサクシンイミド及びN,N’−テレフタロイルジオキシジサクシンイミド等の活性エステル系化合物:トルエン−2,4−ジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類;及びポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン反応物等のエピクロルヒドリン系化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0027】
本発明で使用されるカルボジイミド化合物としては、分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物を使用することが好ましい。
ポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。ここで分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物の合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能であるが、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。
合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。
有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。
具体的には、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。
また、本発明に用いうるカルボジイミド系化合物は、例えば、カルボジライトV−02−L2(商品名:日清紡社製)などの市販品としても入手可能である。
カルボジイミド系化合物はバインダーに対して1〜200質量%、より好ましくは5〜100質量%の範囲で添加することが好ましい。
【0028】
尚、易接着層を形成するバインダー樹脂は、架橋剤との架橋反応が可能なように、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有することが好ましい。水酸基及びカルボキシル基が好ましく、特にカルボキシル基が好ましい。ポリマー中の水酸基又はカルボキシル基の含有量は、0.0001〜1当量/1kgが好ましく、特に0.001〜1当量/1kgが好ましい。
【0029】
本発明における易接着層の層厚は、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。0.01μm未満では塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすく、1μmを超える場合は、耐傷性が劣る場合がある。
【0030】
本発明における易接着層には必要に応じて、マット剤、界面活性剤、滑り剤などの添加剤を併用して使用することができる。マット剤としては、0.001〜10μmの粒径をもつ酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物の粒子や、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の重合体あるいは共重合体等の粒子をあげることができる。界面活性剤としては公知のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等があげることができる。滑り剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、炭素数8〜22の高級アルコールのリン酸エステル;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸およびそのエステル類;及びシリコーン系化合物等を挙げることができる。
【0031】
[他の機能層]
本発明では、必要に応じて、別途、機能性を有する機能層を設けていてもよい。この機能層は、用途ごとに種々の仕様とすることができる。例えば、ディスプレイ用電磁波シールド材用途としては、屈折率や膜厚を調整した反射防止機能を付与した反射防止層や、ノングレアー層またはアンチグレア層(共にぎらつき防止機能を有する)、近赤外線を吸収する化合物や金属からなる近赤外線吸収層、特定の波長域の可視光を吸収する色調調節機能をもった層、指紋などの汚れを除去しやすい機能を有した防汚層、傷のつき難いハードコート層、衝撃吸収機能を有する層、ガラス破損時のガラス飛散防止機能を有する層などを設けることができる。これらの機能層は、金属銀部あるいは導電性金属部と支持体とを挟んで反対側の面に設けてもよく、さらに同一面側に設けてもよい。
【実施例】
【0032】
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0033】
[実施例1]
<支持体>
三酸化アンチモンを主触媒として重縮合した固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレート樹脂を含水率50ppm(mg/L)以下に乾燥させ、ヒーター温度が280〜300℃設定の押し出し機内で溶融させた。
溶融させたPET樹脂をダイ部より静電印加されたチルロール上に吐出させ、非結晶ベースを得た。得られた非結晶ベースをベース進行方向に3.3倍に延伸後、巾方向に3.8倍に延伸し、厚さ96μmの支持体をロール形態で製造した。
後述するが、この支持体に易接着層を積層した後、ハロゲン化銀粒子を含有する乳剤を塗布して写真感光材料を作成して、本発明に用いる現像銀を含む細線パターンを得た。
【0034】
<易接着層>
支持体上に下記組成の塗布液を下記塗布条件にて、逐次、塗工、乾燥し、易接着層を形成した。
【0035】
<易接着層1>
二軸延伸した上記ポリエチレンテレフタレート支持体を、搬送速度105m/分の条件で搬送した状態で、概支持体表面にコロナ放電処理を行ったのち、下記の塗布液を塗布量、7.1mL/m2でバーコート法により塗布した。続いてエアー浮上乾燥ゾーンで180℃で1分乾燥させた。
【0036】
(1層目塗布液)
蒸留水 781.7質量部
ポリアクリル樹脂(日本純薬製、固形分30%) 30.9質量部
カルボジイミド化合物(カルボジライトV-02-L2:日清紡製、固形分40%)
6.4質量部
界面活性剤(三洋化成工業製 固形分44.6%) 2.1質量部
【0037】
搬送速度105m/分を保ったまま、引き続き、下記組成からなる表面層用塗布液をバーコート法により塗布量5.05mL/m2で塗布した。続いてエアー浮上乾燥ゾーンで160℃で1分乾燥することで2層構成の易接着層1を得た。
【0038】
(2層目塗布液 )
蒸留水 941.0質量部
ポリアクリル樹脂(日本純薬製、固形分30%) 57.3質量部
エポキシ化合物(デナコールEX-521:ナガセ化成工業製、固形分100%)
1.2質量部
界面活性剤(三洋化成工業製 固形分44.6%) 0.5質量部
【0039】
<易接着層2>
支持体上に下記組成の塗布液を塗布し、160℃で1分乾燥することで易接着層2を形成した。
(塗布液)
蒸留水 578.7質量部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
(日本ゼオン製 固形分43%) 192.2質量部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
(日本ゼオン製 固形分43%) 54.4質量部
ポリアクリルラテックス
(ダイセル化学工業製 固形分20%) 2.7質量部
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩
25.0質量部
界面活性剤(三協化学製) 0.5質量部
【0040】
<易接着層3>
搬送速度105m/分を保ったまま、下記組成の塗布液をバーコート法により塗布した。塗布量は、8.7mL/m2とし、エアー浮上乾燥ゾーンで160℃で1分乾燥し、易接着層3を形成した。
【0041】
(塗布液)
蒸留水 982.4質量部
ゼラチン(アルカリ処理) 14.8質量部
メチルセルロース(信越化学工業製) 0.46質量部
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩
(プロキセル(商品名)、固形分3.5%) 2.0質量部
【0042】
<ハロゲン化銀粒子を含有する乳剤Aの調整、及び、写真感光材料の作成>
下記の1液を攪拌しながら、2液と3液の各々90%に相当する量を同時に20分間にわたって添加し、0.15μmのハロゲン化銀の核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.18μmまで粒子を成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15g(0.1%水溶液の形で添加)を加え5分間熟成しハロゲン化銀の粒子を作成した。
・1液:
水 750ml
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 1.6g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
・2液
水 300ml
硝酸銀 150g
・3液
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005% KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001% NaCl 20%水溶液) 7ml
3液に用いたヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005% KCl 20%水溶液)およびヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001% NaCl20% 水溶液)は、粉末をそれぞれKCl 20%水溶液、NaCl20%水溶液に溶解して調製した。
・4液
水 100ml
硝酸銀 50g
・5液
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
【0043】
その後、常法にしたがって脱塩、水洗したのち、ゼラチン8gを加え、pH5.6、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として1,3,3a,7-テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI製)100mgを加えた。最終的に塩化銀を70モル%、沃化銀を0.08モル%含む平均粒子径0.18μmのヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。
【0044】
上記乳剤Aに分光増感を施し1,3,3a,7-テトラアザインデン、ハイドロキノン、クエン酸、界面活性剤を添加し、易接着層をそれぞれ積層した前述の支持体にAg7.6g/m2、ゼラチン1.1g/m2になるように塗布して、本発明に用いる写真感光材料のサンプルを作製した。
【0045】
(ハロゲン化銀写真感光材料の露光・現像処理)
乾燥させたハロゲン化銀感光材料を、超高圧水銀ランプを用いて、ガラス製フォトマスクを介して、線幅15μm、ピッチ300μmのメッシュパターン状に露光した。このとき露光量は感光材料の感度に合わせて最適となるよう調節した。続いて現像処理を施し、金属銀部を形成させ、引き続き、メッキ処理を施すことにより、導電性金属部が現像銀及び銅からなる導電性膜を作製した。
【0046】
ここで導電性金属部は露光パターンに応じたメッシュ状パターンを呈しており、ライン幅、ピッチは15μm/300μm、光透過部の開口率は約90%であった。また、金属細線パターンの金属部の厚みは4μmであった。
【0047】
得られた導電性金属から成る細線パターンを有するフィルム上に、ポリチオフェンとポリビニルアルコールの水溶液を塗布し、透明導電性膜を積層した。
表面抵抗率を、三菱化学(株)低抵抗率計ロレスターGP/ASPプローブを用いて、JIS7194に従い測定した処、表面抵抗率はいずれも0.6Ω/sq以下であった。
【0048】
(密着性の評価)
各試料の導電性層側に、日東電工製粘着テープを10cm長に渡って貼付したサンプルを、相対湿度55%又は90%にそれぞれ 24時間常圧(大気圧)のもとで保存後剥離させ、剥離させた粘着テープ面へ付着した現像銀部の部位数によって、密着性を評価した。
レベルA:粘着テープへの現像銀部の付着部位数0〜3箇所。
レベルB:粘着テープへの現像銀部の付着部位数4箇所以上。
また、膨潤率は、易接着性の項に記載した試験条件と表示法定義に従った水に対する25℃での膨潤度である。
評価結果を表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
表1の結果から、通常の湿度条件での密着性は、どの易接着層を用いても遜色ない結果であったが、意外なことに易接着層の膨潤率が大きな比較例の易接着層では高湿度での密着性が十分でないのに対し、膨潤率の小さな本発明例の易接着層では、高湿度での密着性が効果的に改善されていることが分かった。
【0051】
[実施例2]
上記実施例1のサンプル1を用いて、特開2005-302508号公報の実施例に準じて、無機分散型EL素子1を作成した。またポリチオフェン層を積層することなく、と同様にして作成した比較サンプル2を用いて、同様に無機EL素子2を作成した。
比較サンプル2を用いた無機EL素子2は、現像銀からなる金属細線部の近傍だけが発光したのに対し、ポリチオフェン層を有する無機EL素子1は、金属細線のない開口部も発光しており、その結果、面光源としての輝度が高いことが確認された。
従って、本実施例2の本発明の透光性導電性材料は、膨潤率の小さい易接着層を有することで高湿度での密着性に優れるとともに、透明導電層を有することで面光源用の電極としても適していることが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、貴金属を含む導電性金属からなる細線パターンを有し、支持体と該細線パターンとの間に、水に対する膨潤率が60%未満である易接着層を有することを特徴とする、透光性導電性材料。
【請求項2】
前記導電性金属が、金属銀を含むことを特徴とする、上記請求項1に記載の透光性導電性材料。
【請求項3】
前記導電性金属が、現像銀を含むことを特徴とする、上記請求項1又は2に記載の透光性導電性材料。
【請求項4】
支持体上に、貴金属を含む導電性金属からなる細線パターンと透明導電層とを有し、支持体と該細線パターンとの間に、水に対する膨潤率が60%未満である易接着層を有することを特徴とする、上記請求項1〜3のいずれかに記載の透光性導電性材料。
【請求項5】
前記易接着層が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびスチレンブタジエンゴムからなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1又は4に記載の透光性導電性材料。
【請求項6】
前記易接着層が、アクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項1、4又は5のいずれかに記載の透光性導電性材料。
【請求項7】
前記透明導電層が、導電性金属酸化物粒子を含有することを特徴とする請求項4に記載の透光性導電性材料。
【請求項8】
前記透明導電層が、酸化スズ粒子またはアンチモンがドープされた酸化スズ 粒子、若しくは、ITO粒子を含有することを特徴とする請求項4又は7に記載の透光性導電性材料。
【請求項9】
前記透明導電層が、導電性ポリマーを含有することを特徴とする請求項4、7又は8のいずれかに記載の透光性導電性材料。
【請求項10】
前記易接着層の膨潤率が、50%以下であることを特徴とする請求項1、4〜6のいずれかに記載の透光性導電性材料。
【請求項11】
前記細線パターンの金属厚みが0.2μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の透光性導電性材料。
【請求項12】
前記細線パターンの細線の幅が1μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の透光性導電性材料。
【請求項13】
前記細線パターンの導電性金属が、現像銀とめっき金属からなることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の透光性導電性材料。
【請求項14】
前記細線パターンの導電性金属が、黒化層を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の透光性導電性材料。

【公開番号】特開2008−149681(P2008−149681A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342828(P2006−342828)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】