説明

透明な熱可塑性外壁を有する化粧品容器の製造法

本発明は、プラスチック材料の透明な外層を有する容器の押出ブロー成形法である。本発明の容器は、平滑でガラスのような外観を有し、より安価なガラス瓶代替物として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平滑なガラスの外観を付与する、清澄なプラスチックの外壁を有する化粧品容器の製造方法に関する。本発明は、特に、このような容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品、洗面用品、および香水の販売において、様々な理由でプラスチック容器よりもガラス容器を使用する方が好ましいことが多い。ガラスの方が好まれ得る理由の1つは、大抵のプラスチックよりガラスの方が堅牢なことである。ガラスは、表面に引っ掻き傷が付き難い又は損傷し難いが、プラスチックは比較的容易に引っ掻き傷又は擦り傷が付く可能性がある。容器の表面に欠陥があると、低品質と認識される可能性があり、製品もこのように認識される可能性がある。また、ガラスは、傷にならないようにする能力を維持しつつ、棚に載せられている容器に訴求力のある外観を付与するように付形することができる。ガラスの透明性は、また、消費者に対して審美的な訴求力があり、消費者の注意を引くために容器内側の製品の外観を利用する多くの選択肢を包装設計者に与えることができる。ガラスは、また、様々な着色ガラスを使用する選択肢も提供する。ガラス容器のもう1つの重要な利点は、内側に貯蔵される製品による腐食に対して非常に耐性があることである。
【0003】
しかし、ガラス容器の使用には問題がないわけではない。ガラスは、使用に比較的費用がかかる可能性があり、幾つかの製品では、その費用は法外に高い可能性がある。ガラスは一般に、プラスチックよりも密度が高く、このため、プラスチック容器と同一のサイズのガラス容器は、プラスチック容器よりも重く、このため輸送費用が増大する可能性がある。更に、ガラスは表面の切り込み(knicks)や引っ掻きに対する耐性があるが、ガラスは脆く、大抵のプラスチック容器よりも容易に破壊し得る。着色ガラスは、また、製造業者にも費用がかかる可能性がある。そのため、少なくとも幾つかの用途で、ガラス容器の代わりにプラスチック容器を使用することが望ましい可能性がある。
【0004】
包装にプラスチック容器を使用することは周知であり、このような容器は市販されている。例えば、ポリオレフィンおよびポリエステルは、食品および飲料用の包装として使用されている。しかし、幾つかの用途でガラスの代わりに使用され得る透明なプラスチック材料を見出すことには問題がないわけではない。容器材料として少なくとも物理的特性に関してガラスの代用として使用され得る、多くの清澄な熱可塑性材料が知られているが、ガラス容器の透明性、清澄性、および像の明瞭さ(DOI)の審美的特性は、プラスチック容器では再現できないことが多い。この点における1つの問題は、ガラスのような外観を付与するために、プラスチック容器は比較的厚肉の清澄なプラスチックを必要とすることである。プラスチック容器の慣用的な製造法では、適切な厚さを有すると同時にプラスチックの清澄性と透明性を維持する容器を製造できない。プラスチック層は、曇るか、又は不均一な透明性/清澄性を有するか、又は表面欠陥を有することが多く、これはDOIに悪影響を及ぼす可能性がある。更に、ガラスの透明性によく似ていると同時に、ガラスと類似の反発弾性および耐損傷性を付与し得る熱可塑性プラスチックは多くはない。最後に、全てのプラスチック材料が、中に入れられる製品と適合性を有するわけではない。この問題を回避するように包装材料が注意深く選択されなければ、溶媒又は他の化学物質を収容する製品は、時間の経過と共に包装材料の化学的劣化を引き起こす。
【0005】
厚肉のPET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルは、射出又は延伸ブロー成形によって入手できる(非特許文献1)。肉厚のプラスチック容器の製造に現在使用されている射出又は延伸成形法は、特殊なPET樹脂を必要とする可能性があり、その結果、慣用的な熱可塑性樹脂の使用と比較して製造費用が高くなる可能性がある。米国特許公報(特許文献1)は、共押出ブロー成形法を記載している。共押出ブロー成形に関する1つの問題は、層が異なるポリマーを含むとき、容器の層が連続的でないか、又は、連続的な外観を付与しない場合があることである。
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,079,850号明細書
【非特許文献1】「化粧品包装および設計(Cosmetic Packaging and Design)」、2002年9月/10月、www.Cosmetic Packaging and Design.com
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本発明は、容器の周囲の連続的で透明な外層であって、清澄な熱可塑性材料を含む外層と、外層と明確な連接境界を有する少なくとも1つの他の内層とを有する多層化粧品容器の製造法であり、本方法は、(1)少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーのそれぞれを、それぞれの溶融温度より高温に加熱し、該少なくとも2種類のポリマーのそれぞれの均質な溶融物を得る工程と、(2)該少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーをブロー成形ダイを通して開放した金型の中に共押出しする工程と、(3)押出ブロー成形機を使用して該少なくとも2種類の熱可塑性ポリマー材料をブロー成形し、内面(内側)と外面(外側)を有するブロー成形構造体を形成する工程であって、ブロー成形機が(i)外層として使用される第1の熱可塑性ポリマーを押し出すための第1のダイヘッド、および、少なくとも1種類の追加のポリマーを押し出すための少なくとも1つの第2のダイヘッド(ここで、少なくとも第1のダイヘッドは第1の熱可塑性ポリマーの均質な溶融物を押し出すように変更されている)、(ii)ブロー成形されるとき、ブロー成形構造体の内側を冷却するための手段、(iii)ピンチオフ領域、および、外層がピンチオフ領域から少なくとも1つの他の層を排除するように外層を食切るためのデュアル食切り手段、を備える工程と、(4)ポリマー(パリソン)をブロー成形し、多層ブロー成形構造体を形成する工程と、(5)ブロー成形構造体を形成する間、冷却手段を使用して、ブロー成形構造体の内側を該少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーの溶融温度より低温に冷却する工程と、(6)食切り手段を使用してブロー成形構造体を食切り、連続的で透明な外層を有するブロー成形構造体を得る工程とを含む。
【0008】
別の態様では、本発明は、容器の周囲の連続的で透明な外層であって、清澄な熱可塑性材料を含む外層と、外層と明確な連接境界を有する少なくとも1つの他の内層とを有する多層化粧品容器の製造法であり、本方法は、(1)少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーのそれぞれを、それぞれの溶融温度より高温に加熱し、該少なくとも2種類のポリマーのそれぞれの溶融物を得る工程と、(2)該少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーをブロー成形ダイを通して開放した金型の中に押し出す工程と、(3)押出ブロー成形機を使用して該少なくとも2種類の熱可塑性ポリマー材料をブロー成形し、内面(内側)と外面(外側)を有するブロー成形構造体を形成する工程であって、ブロー成形機が(i)外層として使用される第1の熱可塑性ポリマーを押し出すための第1のダイヘッド、および、少なくとも1種類の追加のポリマーを押し出すための少なくとも1つの第2のダイヘッド(ここで、少なくとも第1のダイヘッドは第1の熱可塑性ポリマーの均質な溶融物を押し出すように変更されている)、(ii)ピンチオフ領域、および、外層がピンチオフ領域から少なくとも1つの他の層を排除するように外層を食切るためのデュアル食切り手段、を備える工程と、(4)押し出されたポリマー(パリソン)をブロー成形し、多層ブロー成形構造体を形成する工程と、(5)食切り手段を使用してブロー成形構造体を食切り、連続的で透明な外層を有するブロー成形構造体を得る工程とを含む。
【0009】
更に別の態様では、本発明は、酸共重合体アイオノマーを含む透明な単層化粧品容器の製造法であり、本方法は、(1)該共重合体アイオノマーを、その溶融温度より高温に加熱し、該共重合体の溶融物を得る工程と、(2)該共重合体をブロー成形ダイを通して開放した金型の中に押し出す工程と、(3)押出ブロー成形機を使用して該共重合体をブロー成形し、内面(内側)と外面(外側)を有するブロー成形構造体を形成する工程であって、ブロー成形機が(i)熱可塑性ポリマーを押し出すためのダイヘッドであって、熱可塑性ポリマーの均質な溶融物を押し出すように変更されているダイヘッド、および(ii)ブロー成形されるとき、ブロー成形構造体の内側を冷却するための手段、を備える工程と、(4)押し出された共重合体(パリソン)をブロー成形し、ブロー成形構造体を形成する工程と、(5)金型内でブロー成形構造体を形成する間、冷却手段を使用して、ブロー成形構造体の内側を該少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーの溶融温度より低温に冷却する工程とを含む。
【0010】
別の態様では、本発明は、清澄で透明な熱可塑性ポリマー外層を有する、プラスチック化粧品容器を製造するための製造手段であり、製造手段は、熱可塑性ポリマーの均質な溶融物(パリソン)を押し出すように変更された少なくとも1つのダイヘッド;ブローピン;金型;金型への加圧ガスの入口;パリソンに吹き込んで金型の形状にする間、金型と接触していないパリソンの表面でパリソンを冷却するための手段;を備える押出ブロー成形機である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
一実施形態では、本発明は、清澄性、および、ガラスと同一又は類似の像の明瞭さ(DOI)を有する外層を有する多層化粧品容器の製造法である。DOIは、容器の表面から反射される光に屈折パターンを生じさせ得る欠陥が、容器の表面に比較的ないことを意味する。DOIは、鏡の役割をする表面の能力と説明することができる。鏡像の鮮明さ又は明瞭さは、特定の表面のDOIの尺度である。このような鏡面反射の像が鮮明であるほど、DOIが高く、表面がより鏡のようになる。押出ブロー成形で高いDOIを得るため、典型的には、又は通常は、ポリマーと適切な金型の選択の組み合わせによって、満足な結果が得られる。例えば、幾つかのポリマーは、高いDOIが必要条件である用途に有用であると考えられない。ポリプロピレン、ポリエチレン、およびポリオキシメチレンポリマーは、高いDOIを示す表面を有する製品を得ることが期待されないポリマーの例である。
【0012】
本発明の実施において、高いDOIを有する部品を調製するのに使用され得る有用なポリマーは、良好な清澄性を有する部品を製造することが知られている熱可塑性ポリマーとすることができる。例えば、ポリカーボネート、アクリルポリマー、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートなど)−シクロヘキサンジメタノール共重合体、非晶質ナイロンポリマー、スチレン/アクリロニトリル(SAN)共重合体、および、少なくとも部分的に中和されている(アイオノマー)エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体は、本明細書で使用するのに好適な可能性があるポリマーの例である。幾つかのポリマーは、特定の用途に応じて、本明細書で使用するのに、より好ましいと考えられる場合もあれば、あまり好ましくないと考えられる場合もある。例えば、ポリカーボネートは、化学的抵抗性に関する問題を有する可能性があり、このため、外観に影響を及ぼし得る化学薬品と長時間接触する可能性がある用途に好適でない場合がある。アクリルは、脆いか、又は耐衝撃性に関する問題を有する可能性がある。従って、ポリマーの選択は、製造される容器に対して意図される用途に依存すべきである。「腐食性」材料(容器を化学的に分解し得るもの)を包装するのに使用されるポリマーは、考えられる特定の用途に通常使用される化学薬品の多くに対して耐性があることが好ましい。特に好ましいポリマー系の1つには、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体の中和によって得られるアイオノマーがある。これらのポリマーは既知であり、特に、本願特許出願人からサーリン(Surlyn)(登録商標)の商品名で購入することができる。
【0013】
高いDOIを有する物品を得るための慣用的な実施には、鏡面加工(polished)されており、実質的に表面欠陥がない金型の使用が包含され得る。しかし、本発明の方法が、高いDOIを有する部品を製造するのに、鏡面加工された金型を必要としないことは驚くべきことである。実際、金型は粗い表面を有し、それでもなお、許容される程度に高いDOIを有する本発明の物品を製造することができる。幾つかの態様では、例えば、物品を金型から取り出すことなど、DOIとは無関係の加工上の理由で、粗い金型を使用する方が、鏡面加工された金型を使用するよりも好ましい可能性がある。
【0014】
本発明の容器の最外層は、多層容器の最内層を形成する少なくとも1つの他のポリマー層に直接又は間接的に結合される清澄で熱可塑性の第1のポリマーを含む。
【0015】
「直接結合」は、清澄な最外ポリマー層と最内ポリマー層との間に介在材料層が存在しないことを意味する。「間接結合」は、清澄な最外ポリマー層と最内ポリマー層との間に少なくとも1つの介在材料層が存在することを意味する。少なくとも1つの介在層は、少なくとも1つの接着剤層、又は少なくとも1つの他のポリマー層、又は、接着剤層とポリマー層の組み合わせとすることができる。
【0016】
「連続的」は、隣接するポリマー層が、透明な最外層の均一性の認識を視覚的に妨害しないように、最外透明層の視線が容器の周囲で実質的に中断されないことを意味する。このようにして、最外層は、容器に平滑でガラスのような外観を付与する。
【0017】
「平滑でガラスのような外観」は、本発明の目的では、傷(例えば、へこみ傷、および、あばた傷)又は歪(例えば、波紋又は波)のあるガラスの外観を容器に与え得る歪が、透明な外層にないことを意味する。ガラスのような外観を有する容器には、本発明の目的では、本発明の方法を使用して製造され、高いDOIを有する表面を有する容器も包含される。DOIは、既知の試験方法に従って決定することができる。
【0018】
最外層は着色することができるが、それが無色である場合、使用に適している可能性もある。最外層は、容器に平滑でガラスのような外観を付与する限り、どのような厚さを有することもできる。用途又は製造される容器の種類に応じて、最外層の厚さは、約1.0mm、および約5mmまでの厚さ、又はその範囲にある任意の中間の厚さとすることができる。約1.0mmの厚さ未満では、本明細書に記載の外観を有する化粧品容器を得るのに、本明細書に記載の方法を必要としない場合があるが、このような容器に本方法を使用することは可能である。幾つかの用途では、外層が少なくとも約1.5mmの厚さ、又は約3.5mmまでの範囲の任意の厚さであることが好ましい可能性がある。幾つかの用途では、最外層の厚さは、少なくとも約2.0mmの厚さ、又は、少なくとも約2.5mmの厚さ、約3.0mmまでの厚さとすることができる。本明細書に記載される範囲に入るどの厚さも本発明の範囲に入るものと考えられる。本発明の方法により製造される所定の種類の容器に適切な又は所望される厚さは、製造業者又は最終使用者が適用する多くの基準に基づいて、個別的に決定することができる。個々の容器の透明な層の厚さは、本明細書に記載される本発明として考えられるものから逸脱することなく、所望の平均厚さから外れてもよい。本明細書に記載される方法の限定だけを受ける、容器の所定の部位の透明な外層の厚さを意図的に変えることが望ましい可能性もある。これらの変化、並びに、本明細書に具体的には記載されないが、本出願の開示に鑑みて製造する当業者の能力で考えられる他の変化は、全て、本発明の範囲に入るものと考えられる。
【0019】
最外層は、固定状態で透明であり、本明細書に記載される方法にポリマーが使用されることを可能にするメルトインデックス(MI)を有する任意の熱可塑性ポリマーとすることができる。透明な外側ポリマーとして使用されるポリマーの溶融物が、押出ブロー成形されるのに充分な凝集力を有するように、一般に、低いMIと高い溶融弾性の組み合わせである溶融強度は充分に高くなければならない。
【0020】
本発明の実施において最外層として有用な好適な熱可塑性ポリマーは、固体状態で透明な熱可塑性ポリマーから選択される。このようなポリマーは、ポリエステル;ポリカーボネート;ポリウレタン;ポリアセタール;アクリルポリマー;SAN;エチレンとα,β−不飽和カルボン酸および/又は酸誘導体(例えば、不飽和カルボン酸塩、不飽和カルボン酸エステル、および/又は不飽和カルボン酸無水物など)との共重合体(三元共重合体を包含し得る);ポリアミド;およびポリ塩化ビニルからなる群のポリマーから選択することができる。本明細書で使用する時、「の共重合体」の句は、「の共重合により得られる共重合体」を意味するものと解される。例えば、「エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体」の句は、「エチレンと不飽和カルボン酸との共重合によって得られる共重合体」を意味する。本明細書に記載される熱可塑性ポリマーのいずれかのブレンド又は組み合わせも本発明の実施に使用するのに好適な可能性がある。本明細書で使用する時、「外層」の用語は、例えば、おそらく表面光沢又は耐損傷性を向上させるための、外層を覆う別の材料の薄いコーティングの使用を除外しない。このようなコーティングは、使用される場合、非常に薄いコーティング層としてのみ存在すべきであり、肉眼には、透明な外側ポリマー層とは異なる層として容易に認識され得るものであってはならない。
【0021】
第2のポリマー層として有用な他の熱可塑性ポリマーは、第1のポリマーと一緒に共押出ブロー成形することができ、直接又は接着剤を使用して最外層に結合できる既知の任意のポリマー材料から選択することができる。本明細書で使用するのに好適であるためには、第2のポリマーはまた、場合によっては、容器に対して考えられる用途および使用に応じて、耐溶剤性および/又は非毒性でなければならない。第2のポリマーは着色剤を含むことができる。第2のポリマーとして使用するのに好適なポリマーは、ポリエチレンおよび/又はポリプロピレンなどのポリオレフィン(メタロセンポリエチレンを含む);ポリエステル;ポリカーボネート;ポリウレタン;ポリアセタール;ポリアクリレート;共重合体アイオノマー;ポリアミド;エチレン/酢酸ビニル;およびポリ塩化ビニルからなる群から選択することができる。
【0022】
製品を容器に装填し、透明な外層から隔離することができるように、内層は、容器に化学的抵抗性を付与するように選択することができる。この目的には、ポリオレフィンが特に好適な可能性があるが、本発明は最内層としてポリオレフィンを使用することに限定されない。前述のように、外層は、所定のどの容器でも又はどの種類の容器でも厚さの変化を有し得る。特定の視覚効果を作り出すため容器設計者が所望するように、又は、容器に特定の物理的特性を付与するため必要に応じて、又は、プロセス条件又は他の任意の条件若しくは状況の結果として、場合により、内層が均一な厚さ、又は様々な厚さを有し得ることは、本明細書に記載されるように本発明と一致している。いずれにしても、本発明の多層容器では、内層は、清澄で透明な外層と明確な連接境界を有し、透明な層とそれに隣接する内層との間の境界面を視覚的に検出することができる。本発明の特に好ましい実施形態では、透明な外層は、容器の周囲の連続的な層である、即ち、追加の他の層のどれにも中断されていない。
【0023】
本発明の実施において、例えば、対称的であり、且つパリソンを押し上げて容器の内部キャビティの方に入れ、このようにして実質的に平坦な底部、又は、接合部若しくはピンチオフ点が少なくとも僅かに凸状になっている底部を形成する、デュアル食切り手段を使用することによって連続的な外層を得ることができる。押出ブロー成形法で連続的な外層を得る他の手段も、本発明によって考えられる。
【0024】
本発明の方法は、押出又は共押出ブロー成形法である。共押出ブロー成形は通常実施されている方法であり、該方法では、少なくとも2種類のポリマーを溶融させた(即ち、成形するため流動できる点まで加熱した)後、共押出しして、開放した金型内でパリソンを形成する。
【0025】
本発明の方法では、溶融ポリマーが共押出しされる時、溶融ポリマーのいずれか又は全ての均質性を改善する手段が提供される。少なくとも第1のポリマーが押し出されてパリソンを形成する時、少なくとも第1のポリマーからゲルを減少させる、最小限にする、又はなくすことができるどのような手段も、本明細書で使用するのに好適である。本明細書で使用する時、「ゲル」は、球晶、又は、「溶融していない」若しくは「溶解していない」ポリマーの部位を指す。即ち、本明細書で使用する時、ゲルは、他は非晶質であるポリマー溶融物内で結晶又は半結晶の状態を維持するポリマーの凝集部位である。本明細書で使用する時、均質な溶融物はゲルを含まない溶融物であり、ゲルの存在は不均質な溶融物の特徴である。不均質な溶融物の押出しは、ポリマー層に透明でガラスのような外観を作り出すのに好ましくない可能性がある。不均質な溶融物は、不均一なポリマー流に起因する波紋などの歪も生じさせる可能性があり、本発明の容器のどの層でも望ましくない可能性がある。
【0026】
好ましくは、押し出されるポリマーは、それぞれ、均質な溶融物として押し出される。均質性を改善するための手段は、例えば、押し出す前又は押出し中のポリマー全体の熱分布をより効果的にするための改善された加熱手段を備えることができる。ポリマー全体の熱分布を改善するための手段に加えて、又はそれに代わって、押し出されるポリマー溶融物の均質性を改善するための手段は、より効果的な混合手段、又はより高い剪断力を備えることができる。
【0027】
本発明の実施において、押し出されるポリマーの均質性を改善するための1つの手段は、ゲルを減少させる、最小限にする、又はなくすのに更に効果的になるように、押出ヘッド(ヘッド)を変更することであり得る。均質なポリマー溶融物を得るための他の手段が、本発明の実施に使用するのに好適な可能性があり、本発明の範囲に入るものと考えられる。
【0028】
共押出ブロー成形法では、溶融物中でポリマーの粘度がよく合致するようにポリマーの層を選択することが通常知られている。ポリマー層が類似のメルトフロー特性を有することを確実にするため、粘度がよく合致することが望ましい。共押出ブロー成形業者は、このようなよい合致が得られる材料を選択する方法を熟知している。
【0029】
慣用的な方法では、ブロー成形操作に使用される1種類又は複数種類のポリマーは、冷却手段を備える開放した金型の中に押し出され、次いで、加圧空気が空気入口を通ってパリソンの中に入るように、金型は押し出されたポリマー(パリソン)の周囲で閉鎖され、加圧空気によってポリマー溶融物は金型の形状を取る。慣用的な方法では、ポリマーが金型内で迅速に硬化して金型の形状を取るように、金型は低温に、即ち、ポリマー溶融物のガラス転移点未満の温度に保持される。冷却速度は、押し出されたポリマーの透明性に影響を及ぼす可能性がある、即ち、迅速に冷却すると透明性が促進され、比較的緩速に冷却すると曇った外観が促進され得る。
【0030】
本発明の容器の透明性を改善するために均質な溶融物を押し出すことに加えて、本発明の方法は、第2の冷却手段を使用してパリソンの内面を直接冷却できる工程を含む。第2の冷却手段は、内面の温度をガラス転移点未満の温度に迅速に低下させるための冷却要素を導入する。パリソンの内面の冷却速度は、本発明を実施する時、第2の冷却手段を用いない場合の冷却速度より速い。本発明の実施では、第1および第2の冷却手段を使用して、押し出されたポリマーの温度を約22℃未満、好ましくは約20℃未満、更に好ましくは18℃未満に低下させる。最も好ましくは、押し出されたポリマーの温度を約15℃未満に低下させる。
【0031】
第2の冷却手段は、例えば、ブローピンを通してパリソンの中に吹き込まれる、又は放出される低温の加圧ガスとすることができる。ガスは、加圧シリンダに入った状態で購入できる任意のガスとすることができるが、但し、ガスがポリマー又は加工装置と反応性でない、および/又はポリマー又は加工装置に対して破壊性でないと考えられることを条件とする。例えば、ガスは、空気又はその個々の構成成分のいずれか;ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの「不活性」ガス;又はこれらのガスのいずれかの混合物とすることができる。金型に加えて、冷却手段は、押し出されたポリマーのための第2の冷却源を提供する。理論に拘泥されるものではないが、ある部位では迅速な冷却が、別の部位では緩速な冷却が起こる場合があり、それによって、製造される物品に曇りが生じる場合がある非効率的な冷却法を使用するのではなく、少なくとも第2の冷却手段を使用してポリマー溶融物を効率的に冷却することは、均質な状態を保ったままポリマーの温度を迅速且つ効果的に低下させることにより、本発明の透明な容器を得るのに役立つ。ガスは、好ましくは、約20℃以下の任意の温度、最も好ましくは約5℃以下の任意の温度で放出される。
【0032】
第2の冷却手段の使用は、透明な外層を得るのに絶対に必要なわけではない。しかし、透明性のために第2の冷却手段が望ましい点は、いろいろな要因の中で、透明な外層の厚さに依存する可能性がある。第2の冷却手段を使用しなければ外層の透明性に悪影響が及ぶような十分な厚さを外層が有する場合、押し出されて吹き込まれたポリマーの両面を効率的に冷却して透明な層を得るために、第2の冷却手段を冷却金型(cool mold)と共同して使用することができる。外層の厚さがある一定の厚さ未満の場合、第2の冷却手段を使用することなく第1の手段で、外層を厚さ全体にわたって効率的に冷却することができる。第2の冷却手段を必要とする実際の厚さは、ポリマーの種類およびその組成を含む幾つかの要因に依存するが、一般に、少なくとも1.0mmの厚さの外層は第2の冷却手段の使用を必要とし得ると考えられる。更に、少なくとも1.5mmの厚さを有する外層は第2の冷却手段を必要とし得ると考えられる。
【0033】
透明な外層は、エチレン共重合体アイオノマーであることが好ましい。アイオノマー層の清澄性は、酸濃度、中和率、およびアイオノマー中の金属塩の種類などの要因に依存し得ることが知られている。これらは、また、本明細書で外層の透明性に影響を及ぼし得る要因と考えられる。
【0034】
本発明の方法における押出ブロー成形法の更なる改善は、金型の両側から余剰ポリマーを食切るためのデュアル食切り手段の使用である。このようにして、外側ポリマー層は、内側ポリマー層を押し上げて、食切られた縁部から離し、成形構造体の内部キャビティの方に向け、周囲の層に連続で透明な外観を付与する。この食切り手段の使用は、製造される容器の設計に応じて任意選択的とすることができる。
【0035】
更に別の実施形態では、本発明の多層容器の製造に使用されるものに類似の工程段階を使用して、本発明の単層容器を調製することができ、その差異は、単層容器が熱可塑性ポリマーの第2の層を有していないことである。しかし、単層容器は、外面又は内面のどちらか、又はそれらの両方に、単層の塊(bulk)とは別々の異なる層として肉眼には視覚的に認識できないコーティングを備えることができる。このようなコーティングは、例えば、容器に耐化学薬品性を付与することができるか、又は、光沢および艶の外観を付与できるか、又は、光彩若しくは色など他の視覚的効果を加えることができる。
【0036】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される方法のいずれかによって製造される物品である。本発明の物品は、化粧品又はパーソナルケア用品用の容器である。化粧品容器は、一般に、例えば、食品又は飲料を保持するものなど、他の種類の容器と比較して小さい容器である。化粧品業界は、容器のイメージ、および、販売される製品に対して容器が適切な審美的品質を提供しているかにも大変気を遣っている。このようなものとして、化粧品容器の設計は、他の種類の容器と比較して独特であることが多く、他の種類の容器と比較して独特の製造上の難点がある可能性がある。いずれにしても、化粧品容器には様々な形状およびサイズが望ましい可能性があり、各形状は、本方法の注意深い実施を必要とし得る。本発明の目的では、化粧品は、医学的目的又は栄養学上の目的、又は他の機能的目的よりもむしろ、化粧の理由又は審美的理由で皮膚に外部塗布するように販売される製品である。本明細書に定義される化粧品には、例えば、マスカラ、口紅、アイライナー、フェイスパウダー、リップグロス、マニキュア液、香水、コロン、ローション、メーキャップ、およびファンデーションなどを挙げることができる。この列記は、全ての種類の化粧品を完全に列記したものではなく、化粧品製造業者は、列記に包含され得る他の化粧品を熟知している。
【0037】
本発明の物品は化粧品用の容器であり、容器は、本発明の方法で使用するのに好適であると記載されているポリマーのいずれかから形成される透明な外層を有する。アイオノマー外層を有する物品が最も好ましい。第2の冷却手段の使用を必要とする外層の厚さは、外層として使用される特定のポリマーの組成に応じて変わり得る。任意の厚さに拘泥されるものではないが、本願特許出願人は、少なくとも約1.5mmの外層厚さは、一般に、第2の冷却手段の使用を必要とするが、それ未満の厚さは、所望される透明性およびDOIを得るために第2の冷却手段の使用を必要とする可能性があると考える。
【0038】
更に別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される方法により、透明な外側ポリマー層を有するブロー成形物品を製造するための手段である。製造手段は、本明細書に記載される結果が得られるように変更された押出ブロー成形機である。第1の変更は、押出ヘッドに関するものである。押出ヘッドは、任意の慣用的な又は慣用的でない手段により変更することができ、それによってゲルを含まないポリマーを押し出すことが可能になる。例えば、フローインバータ(flow inverter)を使用することができる。フローインバータは、慣用的なものであり、押出ブロー成形業者に知られている。或いは、ポリマーが押し出される時、ヘッドの部位で混合がより効果的になるように、ヘッドにおける剪断力が増大するように押出ヘッドを変更することができる。
【0039】
製造手段の別の変更は、ブロー成形構造体に吹き込むのに使用される加圧ガスの出口であるブローピンである。慣用的なブローピンは、パリソンに吹き込まれるガスの温度を低下させるため、ピンの一部にわたって冷却される。本発明のブローピンは、ブローピンがブローピン領域(パリソン開口部に嵌合するノズルを含まない)の少なくとも90%、好ましくは95%、最も好ましくは本質的に100%にわたって冷却されるように変更される。ブローピンの第2の変更は、パリソンからガスを逃がすため、少なくとも1つの出口、例えば、ブローピンノズルに切設されているチャネルを包含することができる。これによって、低温ガスとパリソンによって加熱されたガスとの間ではなく、低温ガスとパリソンの表面の間で、より効果的な熱移動が可能になる。ブローピンの更に別の変更は、粗い表面を有するノズルを提供することである。
【0040】
製造手段の更に別の変更は、ピンチオフ領域に対称的な食切り手段を備えることである。この変更によって、物品の周囲で連続的な透明層の形成が容易になる。
【0041】
任意に、パリソンとの熱移動をより良好にするため、通常備えられている冷却チャネルが金型の表面により近くなるように金型を変更することもできる。
【実施例】
【0042】
実施例は、本発明を説明するため本願特許出願人によって示されるが、本発明を恣意的に限定するために使用されるべきではない。
【0043】
(実施例1)
長さ360mmのブローピンが、その長さにわたって300mm延びている冷却ジャケットを有するように押出ブロー成形機を変更し、冷却ジャケットが、ブロー成形プロセス中、パリソンに挿入されないブローピンの全領域を本質的に被覆するようにした。ノズルの外側に溝付きのチャネルが設けられるように、ブローピンに第2の変更を行った。押し出されたポリマー中のゲルをなくすため、ヘッドを通過したポリマーが、増大した剪断力を受けるように押出機の両方のヘッドを変更した。ブローピンの冷却ジャケット内の冷却液(水/グリコール)の温度を−4℃に下げた。金型の冷却チャネルが、通常の金型と比較して、金型の表面近くになるようにブロー成形機の金型を変更した。金型の冷却チャネルを通流する冷却剤を5℃(±1℃)に維持した。押出機に供給する前に、製造業者の仕様書に従ってポリマー(外層にはサーリン(Surlyn)(登録商標)8920(本願特許出願人から入手可能)およびPP520(ホーナム・ペトロケミカル(Honam Petrochemical)から入手可能))を乾燥させた。サーリン(Surlyn)(登録商標)を160℃〜180℃の範囲の温度に加熱し、ポリプロピレンを160℃〜170℃の範囲の温度に加熱した。ヘッドを両方とも160℃〜180℃の範囲の温度に維持し、ダイ温度は160℃であった。空気源を使用し、ブローピンで3〜5kPaの圧力、および−5℃〜5℃の温度の空気を吹き込んだ。サーリン(Surlyn)(登録商標)およびポリプロピレンを押出機に、およびダイに9:1の重量比で供給した。正方形の容器の外層(サーリン(Surlyn)(登録商標))は、透明であり、約3.5〜4.0mmの厚さを有した。
【0044】
(実施例2)
ポリプロピレンの代わりにポリエチレンを使用したこと以外、実施例1の方法を繰り返し、約3.5〜4.0mmの厚さの外側サーリン(Surlyn)(登録商標)層を有する、透明で光沢のあるボトルが得られた。
【0045】
(比較例1)
変更されていない押出装置で本方法を実施したこと以外、実施例1と同じ手順を繰り返した。製造されたボトルは、光沢のある透明な外観を有していなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の周囲の透明な外層であって、固体状態で透明である清澄な熱可塑性ポリマー材料を含む外層と、少なくとも1つの他の内層とを有する多層容器の製造法であり、(1)少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーのそれぞれを、それぞれの溶融温度より高温に加熱し、該少なくとも2種類のポリマーのそれぞれの均質な溶融物を得る工程と、(2)前記少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーを共押出ブロー成形ヘッドを通して開放した金型の中に共押出しする工程と、(3)押出ブロー成形機を使用して前記少なくとも2種類の熱可塑性ポリマー材料をブロー成形し、内面(内側)と外面(外側)を有するブロー成形構造体を形成する工程であって、前記ブロー成形機が(i)前記外層として使用される第1の熱可塑性ポリマーを押し出すための第1のヘッド、および、少なくとも1種類の追加のポリマーを押し出すための少なくとも1つの第2のヘッド(ここで、少なくとも前記第1のヘッドは前記第1の熱可塑性ポリマーの均質な溶融物を押し出すように変更されている)、(ii)ブロー成形されるとき、(a)ブロー成形構造体の外側を冷却するための第1の冷却手段、および(b)ブロー成形構造体の内側を冷却するための第2の冷却手段を備える金型、(iii)ピンチオフ領域、および、前記外層が前記ピンチオフ領域から前記少なくとも1つの他の層を排除するように前記外層を食切るためのデュアル食切り手段、を備える工程と、(4)前記押し出されたポリマー(パリソン)をブロー成形し、多層ブロー成形構造体を形成する工程と、(5)ブロー成形構造体を形成する間、前記第1および第2の冷却手段を使用して、前記ブロー成形構造体の前記内側および外側を約22℃未満の温度に冷却する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記方法で第1および第2のポリマーだけが押し出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のヘッドが、前記第2のポリマーの均質な溶融物を押し出すように変更されていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の冷却手段が、20℃未満の温度に維持される金型であり、前記第2の冷却手段が、加圧下で低温ガスを放出するための手段であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記低温ガスが約20℃未満の温度で放出されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記低温ガスが約18℃未満の温度で放出されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記低温ガスが約15℃未満の温度で放出されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記低温ガスが約5℃未満の温度で放出されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のポリマーが、ポリウレタン;アクリルポリマー;スチレンアクリロニトリル(SAN)共重合体;エチレンとα,β−不飽和カルボン酸および/又はそれらの誘導体との共重合体;ポリアミド;およびポリ塩化ビニルからなる群から選択されるポリマーであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のポリマーが、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のポリマーが、アイオノマーであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、食切り手段を使用して、ブロー成形構造体を食切り、前記物品の周囲に連続的で透明な外層を有するブロー成形構造体を得る工程を更に含み、前記食切られた点が平坦であるか又はブロー成形構造体の内部キャビティの方に少なくとも僅かにテーパが付いており、前記金型表面が粗く、鏡面加工されていないことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ガラスのDOIと同一又は類似のDOIを有することを特徴とする、請求項1に記載の方法により製造される物品。
【請求項14】
前記物品が、少なくとも約1.5mm〜約5.0mmの透明な外層を備えることを特徴とする請求項13に記載の物品。
【請求項15】
前記透明な外層が、ポリウレタン;アクリルポリマー;SAN;エチレンとα,β−不飽和カルボン酸および/又はそれらの誘導体との共重合体;ポリアミド;およびポリ塩化ビニルからなる群から選択されるポリマーであることを特徴とする請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記透明な外層が、アイオノマーであることを特徴とする請求項15に記載の物品。
【請求項17】
容器の周囲の連続的で透明な外層であって、清澄な熱可塑性材料を含む外層と、前記外層と明確な連接境界を有する少なくとも1つの他の内層とを有する多層容器の製造法であり、(1)少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーのそれぞれを、それぞれの溶融温度より高温に加熱し、前記少なくとも2種類のポリマーのそれぞれの溶融物を得る工程と、(2)前記少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーをブロー成形ダイを通して開放した金型の中に押し出す工程と、(3)押出ブロー成形機を使用して前記少なくとも2種類の熱可塑性ポリマー材料をブロー成形し、内面(内側)と外面(外側)を有するブロー成形構造体を形成する工程であって、前記ブロー成形機が(i)前記外層として使用される第1の熱可塑性ポリマーを押し出すための第1のダイヘッド、および、少なくとも1種類の追加のポリマーを押し出すための少なくとも1つの第2のダイヘッド(ここで、少なくとも前記第1のダイヘッドは前記第1の熱可塑性ポリマーの均質な溶融物を押し出すように変更されている)、(ii)ピンチオフ領域、および、前記外層が前記ピンチオフ領域から前記少なくとも1つの他の層を排除するように前記外層を食切るためのデュアル食切り手段、を備える工程と、(4)前記押し出されたポリマー(パリソン)をブロー成形し、多層ブロー成形構造体を形成する工程と、(5)前記食切り手段を使用して、前記ブロー成形構造体を食切り、連続的で透明な外層を有するブロー成形構造体を得る工程とを含み、前記パリソンの前記内面を冷却する工程を含まないことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記方法で第1および第2のポリマーだけが押し出されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のダイヘッドが、前記第2のポリマーの均質な溶融物を押し出すように変更されていることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のポリマーが、ポリカーボネート;ポリウレタン;アクリルポリマー;SAN;エチレンとα,β−不飽和カルボン酸および/又はそれらの誘導体との共重合体;ポリアミド;およびポリ塩化ビニルからなる群から選択されるポリマーであることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のポリマーが、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のポリマーが、アイオノマーであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記透明な外層の厚さが、少なくとも約1.5mmであることを特徴とする、請求項17に記載の方法で製造される物品。
【請求項24】
前記透明な外層が、ポリエステル;ポリカーボネート;ポリウレタン;ポリアセタール;アクリルポリマー;SAN;エチレンとα,β−不飽和カルボン酸および/又はそれらの誘導体との共重合体;ポリアミド;およびポリ塩化ビニルからなる群から選択されるポリマーであることを特徴とする請求項23に記載の物品。
【請求項25】
前記透明な外層がアイオノマーであることを特徴とする請求項24に記載の物品。
【請求項26】
酸共重合体アイオノマーを含む透明な単層容器の製造法であり、(1)前記共重合体アイオノマーを、その溶融温度より高温に加熱し、前記共重合体の溶融物を得る工程と、(2)前記共重合体をブロー成形ヘッドを通して開放した金型の中に押し出す工程と、(3)押出ブロー成形機を使用して前記共重合体をブロー成形し、内面(内側)と外面(外側)を有するブロー成形構造体を形成する工程であって、前記ブロー成形機が(i)熱可塑性ポリマーを押し出すためのヘッドであって、前記熱可塑性ポリマーの均質な溶融物を押し出すように変更されているダイヘッド、および(ii)ブロー成形されるとき、前記ブロー成形構造体の内側を冷却するための手段、を備える工程と、(4)前記押し出された共重合体(パリソン)をブロー成形し、ブロー成形構造体を形成する工程と、(5)金型内でブロー成形構造体を形成する間、冷却手段を使用して前記ブロー成形構造体の内側を前記少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーの溶融温度より低温に冷却する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
押出ブロー成形法で製造される物品であって、前記物品が、金型の中に共押出しされた多層のポリマーを含み、前記物品の最外層が、少なくとも約1.5mmの厚さを有し、ガラスのDOIと同一又は類似のDOIを有する、エチレン/酸共重合体アイオノマーの光学的に透明な層であることを特徴とする物品。
【請求項28】
前記光学的に透明な層が、約1.5mmの厚さ〜約5.0mmの厚さであることを特徴とする請求項27に記載の物品。
【請求項29】
容器の周囲の透明な外層であって、固体状態で透明である清澄な熱可塑性ポリマー材料を含む外層と、少なくとも1つの他の内層とを有する多層容器の製造法であり、(1)少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーのそれぞれを、それぞれの溶融温度より高温に加熱し、前記少なくとも2種類のポリマーのそれぞれの均質な溶融物を得る工程と、(2)前記少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーを共押出ブロー成形ヘッドを通して開放した金型の中に共押出しする工程と、(3)押出ブロー成形機を使用して前記少なくとも2種類の熱可塑性ポリマー材料をブロー成形し、内面(内側)と外面(外側)を有するブロー成形構造体を形成する工程であって、前記ブロー成形機が(i)前記外層として使用される第1の熱可塑性ポリマーを押し出すための第1のヘッド、および、少なくとも1種類の追加のポリマーを押し出すための少なくとも1つの第2のヘッド(ここで、少なくとも前記第1のヘッドは前記第1の熱可塑性ポリマーの均質な溶融物を押し出すように変更されている)、(ii)ブロー成形されるとき、(a)前記ブロー成形構造体の外側を冷却するための第1の冷却手段、および(b)前記ブロー成形構造体の内側を冷却するための第2の冷却手段を備える金型、(iii)ピンチオフ領域、および、前記外層が前記ピンチオフ領域から前記少なくとも1つの他の層を排除するように前記外層を食切るためのデュアル食切り手段、を備える工程と、(4)前記ポリマー(パリソン)をブロー成形し、多層ブロー成形構造体を形成する工程と、(5)前記ブロー成形構造体を形成する間、前記第1および第2の冷却手段を使用して前記ブロー成形構造体の前記内側および外側を約22℃未満の温度に冷却する工程とを含み、前記金型が、粗く、鏡面加工されていない表面を有することを特徴とする方法。
【請求項30】
清澄で透明な熱可塑性ポリマー外層を有する物品を製造するための押出ブロー成形機であって、前記外層の均一な溶融物(パリソン)を押し出すように変更されている少なくとも1つの押出ヘッド;変更として、(a)ブローピン表面(前記ブローピンガス出口ノズルを含まない)の少なくとも95%を覆う冷却ジャケット、および(b)ガスを前記パリソンの内側から逃がす手段を備える変更されたブローピンを備えることを特徴とする押出ブロー成形機。

【公表番号】特表2007−513812(P2007−513812A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544131(P2006−544131)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/042265
【国際公開番号】WO2005/058582
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【出願人】(506200821)
【Fターム(参考)】