説明

透明プラスチックフィルムの製造方法およびこれにより製造された透明プラスチックフィルム

【課題】
【解決手段】本発明は、(a)ガラスフレーク粒子を準備するステップ;(b)硬化型エポキシ樹脂を準備するステップであって、前記硬化型エポキシ樹脂の硬化後屈折率と前記ガラスフレーク粒子の屈折率との差が0.01以下である硬化型エポキシ樹脂を準備するステップ;(c)前記硬化型エポキシ樹脂と前記ガラスフレーク粒子を混合するステップ;および(d)前記硬化型エポキシ樹脂と前記ガラスフレーク粒子の混合物を硬化させ、前記ガラスフレーク粒子を含有したエポキシ硬化物を形成するステップを含むことを特徴とする透明プラスチックフィルムの製造方法およびこれにより製造された透明プラスチックフィルムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスフレーク粒子の屈折率を基準に硬化型エポキシ樹脂の屈折率を調節して透明プラスチックフィルムを製造する透明プラスチックフィルムの製造方法およびこれにより製造された透明プラスチックフィルムに関する。
【0002】
本出願は2007年6月28日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第2007−0064675号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
表示装置、額縁、工芸、容器などに用いられるガラス基板は、小さい線膨脹係数、優れたガスバリアー性、高い光透過度、表面平坦度、優れた耐熱性と耐化学性などの色々な長所を有しているが、衝撃に弱く、壊れ易く、密度が高く、重いという短所がある。
【0004】
最近では、液晶や有機発光表示装置、電子ペーパーに対する関心が高まっており、これらの基板をガラスからプラスチックに代替する研究が活発に行われている。
【0005】
基本基材であるプラスチックフィルムと機能性コーティング層を有するプラスチック基板をガラス基板の代わりに用いれば、表示装置の全体重さが軽くなり、デザインの柔軟性を付与することができ、衝撃に強く、連続工程で製造する場合にガラス基板に比べて経済性を持つ。
【0006】
ここで、プラスチックフィルムが表示装置用プラスチック基板の基本基材として使われるためには、トランジスタ素子の工程温度、透明電極の蒸着温度を耐えられる高いガラス転移温度、液晶と有機発光材料の老化を防止するための酸素と水蒸気の遮断特性、工程温度変化に応じた基板のそり防止のための小さい線膨脹係数と寸法安定性、既存のガラス基板に用いられる工程機器との互換性を有する高い機械的強度、エッチング工程に耐えられる耐化学性、高い光透過度および小さい複屈折率、表面の耐スクラッチ性などの特性が求められる。
【0007】
このような要件のうちの小さい線膨脹係数という要件を満足させるための既存の研究例としては、高分子物質にクレー(Clay)、ガラス繊維(Glass fiber)、およびガラス布(Glass cloth)のような無機フィラーを添加してプラスチックフィルムを製造する方法が挙げられる。
【0008】
しかし、このようなクレーおよびガラス繊維のような無機フィラーを高分子物質に均一に分散させてプラスチックフィルムを製造することが難しいという問題点があり、製造したプラスチックフィルムの線膨脹係数を下げる効果を提供するためには、前述した無機フィラーを多量含有させるべきであるのでプラスチックフィルムの軽量化が難しいという問題点がある。
【0009】
一方、前述したガラス布のような無機フィラーを高分子物質に添加する場合、線膨脹係数を下げることはできるが、高分子物質とガラス布の界面に存在するバブル(bubble)の除去が難しく、この場合、多量の無機フィラーを用いなければならないために軽量化が難しいという問題点がある。
【0010】
また、前述した無機フィラーを屈折率を調節していない高分子物質に添加する場合、線膨脹係数を下げることはできるが、高分子物質と無機フィラーの屈折率の差により、プラスチックフィルムが表示装置用プラスチック基板の基本基材として使われるために満足しなければならない要件のうちの一つである透明性の確保に限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ガラスフレーク粒子の屈折率を基準に硬化型エポキシ樹脂の屈折率を調節して透明プラスチックフィルムを製造する透明プラスチックフィルムの製造方法およびこれにより製造された透明プラスチックフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、(a)ガラスフレーク(Glass flake)粒子を準備するステップ;(b)硬化型エポキシ樹脂を準備するステップであって、前記硬化型エポキシ樹脂の硬化後屈折率と前記ガラスフレーク粒子の屈折率との差が0.01以下である硬化型エポキシ樹脂を準備するステップ;(c)前記硬化型エポキシ樹脂と前記ガラスフレーク粒子を混合するステップ;および(d)前記硬化型エポキシ樹脂と前記ガラスフレーク粒子の混合物を硬化させ、前記ガラスフレーク粒子を含有したエポキシ硬化物を形成するステップを含むことを特徴とする透明プラスチックフィルムの製造方法を提供する。
【0013】
本発明は、ガラスフレーク粒子;および前記ガラスフレーク粒子を含有したエポキシ硬化物として、前記ガラスフレーク粒子との屈折率差が0.01以下であるエポキシ硬化物を含むことを特徴とする透明プラスチックフィルムおよび透明複合材料を提供する。
【0014】
本発明に係る透明プラスチックフィルムを含む光学フィルムを提供する。
【0015】
本発明に係る透明プラスチックフィルムを含むプラスチック基板を提供する。
【0016】
本発明に係る透明プラスチックフィルムを含む電子デバイスを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ガラスフレーク粒子の屈折率を基準に硬化型エポキシ樹脂の屈折率を調節する方法を利用し、硬化型エポキシ樹脂の硬化後屈折率とガラスフレーク粒子の屈折率との差を0.01以下にすることができ、また、屈折率の差を0にして、この二つの屈折率が同一になるようにすることができる。そこで、屈折率を調節するためにガラスフレーク粒子を別途に製造する必要がなくなる。
【0018】
ガラスフレーク粒子の屈折率を基準に硬化型エポキシ樹脂の屈折率を調節することにより、フィルムの透明性を容易に向上させることができ、その結果、光透過度に優れた透明プラスチックフィルムを製造することができる。
【0019】
ガラスフレークを含有することによってフィルムの熱膨張係数(CTE)を減少させることができ、エポキシ樹脂を用いることによってガラスフレークとの接着力を向上させることができる。
【0020】
また、ガラスフレーク粒子を添加してフィルムを製造する場合、好ましい低い熱膨張係数を提供することができる。特に、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子の場合、厚さが0.1μmを超過するガラスフレーク粒子の添加量より少量添加しても、厚さが0.1μmを超過するガラスフレーク粒子を添加した場合に提供できる低い熱膨張係数を十分に提供することができる。すなわち、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子の場合、少量の添加量だけで十分に低い熱膨張係数を提供することができる。
【0021】
また、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子の場合、前述したように、少量を添加しても良いためにフィルムを軽量化させることができるので、より薄くて軽量化された透明プラスチックフィルムを製造することができる。
【0022】
厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子と厚さが0.1μmを超過するガラスフレーク粒子を各々同一の量で添加してフィルムを製造する場合、両方とも好ましい低い熱膨張係数を有するフィルムを提供することができる。但し、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子の場合と厚さが0.1μmを超過するガラスフレーク粒子の場合を、同一添加量を基準に比較してみれば、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子の場合がより低い熱膨張係数を提供することができる。
【0023】
厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子を添加してフィルムを製造する場合と厚さが0.1μmを超過するガラスフレーク粒子を添加してフィルムを製造する場合の両方とも屈曲強度、均一性および透明性を向上させることができる。特に、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子が添加される場合、フィルムの屈曲強度、均一性および透明性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る透明プラスチックフィルムの光学写真である。
【図2】本発明に係る透明プラスチックフィルムの断面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る透明プラスチックフィルムの製造方法は、(a)ガラスフレーク粒子を準備するステップ;(b)硬化型エポキシ樹脂を準備するステップであって、前記硬化型エポキシ樹脂の硬化後屈折率と前記ガラスフレーク粒子の屈折率との差が0.01以下である硬化型エポキシ樹脂を準備するステップ;(c)前記硬化型エポキシ樹脂と前記ガラスフレーク粒子を混合するステップ;および(d)前記硬化型エポキシ樹脂と前記ガラスフレーク粒子の混合物を硬化させ、前記ガラスフレーク粒子を含有したエポキシ硬化物を形成するステップを含む。
【0026】
前記(a)ステップで準備するガラスフレークの場合、一定厚さ(Depth、D)のガラスプレート(Sheet)を粉砕工程を通じて小さい粒子に製造し、このように製造されたガラス粒子(ガラスフレーク)は均一な厚さを有するが、ガラス粒子の各々は長さ(Length、L)が異なる粒度分布を有する。したがって、ガラスフレークの種類は、厚さの種類別、粒度分布別、ガラスフレークの製造物質別に分けることができる。
【0027】
前記(a)ステップで準備するガラスフレーク粒子として用いることのできるガラスフレークの種類は、厚さに応じ、厚さ0.1μm(商品名:GF10、GlassFlake社製)、厚さ0.35μm(商品名:GF35、GlassFlake社製)、厚さ0.5μm(商品名:GF50、GlassFlake社製)、厚さ0.7μm(商品名:GF70、GlassFlake社製)、および厚さ1μm(商品名:GF100、GlassFlake社製)に区分され、この中から選択して用いることができる。
【0028】
また、ガラスフレークの種類は、ガラスフレークの粒度分布に応じ、1700〜150μmが80%であり、150〜50μmが20%である、ミルにかけられていない(unmilled)ガラスフレーク;1000〜300μmが10%であり、300〜50μmが65%であり、50μm以下が25%である、ミルにかけた(milled)ガラスフレーク;150μm以上が2%であり、150〜50μmが10%であり、50μm以下が88%である、微粉末化された(micronized)ガラスフレークに区分され、この中から選択された1種以上のガラスフレークを用いることができる。使用可能なガラスフレークの種類は提示された例に限定されるものではない。
【0029】
ここで、ガラスフレークの屈折率は特に制限されるものではないが、1.5〜1.6の範囲であることが好ましい。ガラスフレークの屈折率は製造されたガラスの製造成分に応じて異なり、E、C、A、S、D、NE、Tガラスに区分することができる。この中、特に、S、T、NEガラスを用いることが好ましい。
【0030】
ガラスフレークと硬化型エポキシ樹脂との間の接触が密接であるほど、透明プラスチックフィルムまたは透明複合材料の透明性が良好になるため、ガラスフレークの表面を当分野の公知の表面処理剤、例えば、シランカップリング剤によって処理することができる。具体的には、エポキシ基含有化合物を用いてガラスフレークの表面を処理することが好ましい。
【0031】
前記(a)ステップのガラスフレーク粒子は添加され、本発明に係る透明プラスチックフィルムの熱膨張係数(CTE)を下げることができる。この効果を提供するにおいて、ガラスフレーク粒子の厚さ(Depth)が限定されるものではない。
【0032】
一例として、厚さが0μmより大きく1μm以下であるガラスフレーク粒子を添加する場合、1μmを超過する粒子より熱膨張係数(CTE)を下げることができる。また、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子を添加する場合、0.1μmを超過する粒子より熱膨張係数(CTE)をより下げることができる。
【0033】
具体的に説明すれば、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子を添加してフィルムを製造し、厚さが0.1μmを超過するガラスフレーク粒子を添加する時に厚さが0μmより大きく0.1μm以下である粒子と同一の量で添加してフィルムを製造した後に二つのフィルムを比較してみれば、二つのフィルムのガラスフレーク粒子の添加量は同一であるが、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子を添加したフィルムが、厚さが0.1μmを超過するガラスフレーク粒子を添加したフィルムよりさらに低い熱膨張係数を提供する。例えば、約3倍程度熱膨張係数を減少させることができる。
【0034】
また、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子を添加して製造したフィルムの熱膨張係数と、厚さが0.1μmを超過するガラスフレーク粒子を添加して製造したフィルムの熱膨張係数が同一である場合、これを比較してみれば、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子の方が厚さが0.1μmを超過するガラスフレーク粒子の方より少量添加されても、厚さが0.1μmを超過するガラスフレーク粒子を添加した場合に提供できる低い熱膨張係数を十分に提供できるようになる。例えば、二つのフィルムの熱膨張係数が20ppm/Kとして同一であれば、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子の場合には、20%の含量で添加されても前記熱膨張係数を提供することができ、0.1μmを超過するガラスフレーク粒子の場合には、50%程度の含量で添加されなければ前記熱膨張係数を提供することができない。
【0035】
また、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子の場合、前述したように、少量添加してもよいためにフィルムを軽量化させることができるので、より薄くて軽量化された透明プラスチックフィルムを製造することができる。
【0036】
一方、厚さが0μmより大きく1μm以下であるガラスフレーク粒子を添加する場合、1μmを超過する粒子より、軽量化、屈曲強度、均一性および透明性を向上させることができる。また、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子を添加する場合、0.1μmを超過する粒子より、軽量化、屈曲強度、均一性および透明性をより向上させることができる。
【0037】
このように、0μmより大きく0.1μm以下の厚さを有するガラスフレーク粒子を用いる場合、0.1μmを超過する厚さを有するガラスフレーク粒子より、少量の添加量だけで熱膨張係数を十分に下げることができ、0.1μmを超過する厚さを有するガラスフレーク粒子より熱膨張係数をより減少させることができるという追加効果をさらに提供することができる。
【0038】
また、0μmより大きく0.1μm以下の厚さを有するガラスフレーク粒子を用いる場合、0.1μmを超過する厚さを有するガラスフレーク粒子より、軽量化、屈曲強度、均一性および透明性をより向上させることができるという追加効果をさらに提供することができる。ここで、均一性がより向上されることにより、透明プラスチックフィルムの単位厚さ当たりガラスフレーク粒子を多く含むことができるため、気体を遮断する気体バリアー性が向上された透明プラスチックフィルムを製造することができる。
【0039】
前記(a)ステップにおいては、ガラスフレーク粒子1個の厚さ(Depth)当たりガラスフレーク粒子1個の長さ(Length)の比率(L/D)が50以上であるガラスフレーク粒子を用いることが好ましく、より好ましくは、500以上のガラスフレーク粒子を用いることができる。前記ガラスフレーク粒子の長さ(L)が長ければ、透明プラスチックフィルムの内部に進入した気体の進路が妨げられるために気体バリアー性を向上させることができる。ここで、ガラスフレーク粒子の長さは、フィルムの形成を妨げない程度である300μm以内であってもよいが、これに限定されるものではなく、長さに上限はない。
【0040】
前記(a)ステップにおいては、前記ガラスフレーク粒子を溶媒と混合してガラスフレーク分散液として準備することができる。前記(a)ステップにおいて、ガラスフレーク分散液として準備してもよいが、それに限定されず、粉末形態のガラスフレーク粒子を準備するか、別途の添加剤を添加したガラスフレーク粒子を準備してもよい。
【0041】
前記(a)ステップにおいては、前記溶媒として、エポキシ、硬化剤、および触媒との相溶性あるいは溶解性がある溶媒であればいずれも使用可能であり、例えば、メチレンクロライド、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、イソオキソラン、ジオキソラン、ジオキサン、アセトン(acetone)、メチルエチルケトン(methylethylketone)、メチルイソブチルケトン(methylisobutylketone)、トルエンおよびアルコールからなる群から選択された1種以上の溶媒を用いてガラスフレーク分散液を製造することができる。しかし、溶媒の種類はこれらに限定されるものではない。
【0042】
前記(a)ステップでは、前記ガラスフレーク分散液において前記ガラスフレーク粒子が均一に分散されるようにすることとして、特にその方法に限定されるものではないが、前記ガラスフレーク分散液を超音波処理することができる。処理時間に制限はなく、ガラスフレークの分散性が優れる程度であればよく、特に、1〜10分間超音波処理を行うことが好ましく、3分間超音波処理を行うことが最も好ましい。
【0043】
前記(b)ステップにおいて、前記硬化型エポキシ樹脂は、100重量部の硬化型エポキシ樹脂を基準に20〜1000重量部の硬化剤をさらに含むことができる。
【0044】
また、前記(b)ステップにおいて、前記硬化型エポキシ樹脂は、100重量部の硬化型エポキシ樹脂を基準に、前記硬化剤に添加される0.1〜5重量部の触媒をさらに含むことができる。
【0045】
前記(b)ステップにおいて、前記硬化型エポキシ樹脂を準備するステップは、(b1)100重量部の硬化型エポキシ樹脂を基準に20〜1000重量部の硬化剤と0.1〜5重量部の触媒を混合するステップ;および(b2)前記触媒が添加された硬化剤と100重量部の前記硬化型エポキシ樹脂を混合するステップを含むことが好ましい。
【0046】
より好ましくは、エポキシ硬化剤182重量部と触媒2重量部を混合し、加熱して30分間攪拌した後、固体状態のエポキシ100重量部を10分間攪拌して溶融させた後、触媒が添加された硬化剤と溶融されたエポキシを混合し攪拌して透明硬化型エポキシ樹脂を製造することもできる。
【0047】
前記(b)ステップにおいて、樹脂として硬化型エポキシ樹脂を用いることにより、ガラスフレークとの接着力を向上させることができる。
【0048】
前記(b)ステップにおいて、前記硬化型エポキシ樹脂は、下記化学式1〜化学式6で示される脂環式エポキシ樹脂および下記化学式7で示されるトリグリシジルイソシアヌレートのうちから選択された1種以上であってもよい。例えば、酸無水物型硬化剤と組み合わせて用いることが好ましい。
【0049】
これらのエポキシ樹脂は単独で用いるか2以上を組み合わせて用いることができる。樹脂または樹脂組み合わせ物の屈折率がガラスフレーク屈折率と同一になってもよく、屈折率を調整するために他のエポキシ樹脂を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
【化1】

【0051】
前記化学式4において、R1はC1〜C6のアルキル基またはトリメチロールプロパン残基であり、pは1〜20の整数である。
【0052】
【化2】

【0053】
前記化学式5において、R2およびR3は互いに同じであるか異なり、各々独立に水素またはC1〜C6のアルキル基であり、qは0〜2の整数である。
【0054】
【化3】

【0055】
前記化学式6において、rは0〜2の整数である。
【0056】
【化4】

【0057】
前記(b)ステップでは、前記硬化剤として、フタル酸無水物、マレイン酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルナド酸無水物、ナド酸無水物、グルタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、水素化メチルナド酸無水物、および水素化ナド酸無水物のうちから選択された1種以上の酸無水物型硬化剤を用いることができる。ここで、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物および水素化メチルナド酸無水物を用いるとフィルムの透明性をより向上させることができるために好ましい。酸無水物型硬化剤は、好ましくは、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量当たり酸無水物型硬化剤の酸無水物基が0.5〜1.5当量、より好ましくは0.7〜1.2当量用いることができる。
【0058】
前記(b)ステップの触媒は、硬化促進剤として、3次アミン、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−センおよびトリエチレンジアミン、イミダゾール、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、リン化合物、例えば、トリフェニルホスフィンおよびテトラフェニルホスフィニウムテトラフェニルボレート、4級アンモニウム塩、有機金属塩、およびこれらの誘導体のうちから選択された1種以上を用いることができる。ここで、リン化合物を用いるとフィルムの透明性をより向上させることができるために好ましい。
【0059】
また、前記触媒としてカチオン性触媒を用いることができ、前記カチオン性触媒としては、有機酸、例えば、酢酸、安息香酸、サリチル酸およびパラ−トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素−アミン錯体、三フッ化ホウ素アンモニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、アルミニウム錯体含有カチオン性触媒のうちから選択された1種以上を用いることができる。前記硬化促進剤を単独で用いるかこれらの2以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
前記(c)ステップは、前記硬化型エポキシ樹脂と前記ガラスフレーク粒子を混合するステップであって、混合が容易で、透明プラスチックフィルムを製造できるのであれば、前記ガラスフレーク粒子と前記硬化型エポキシ樹脂の使用量は限定されない。
【0061】
一例として、前記(c)ステップでは、前記硬化型エポキシ樹脂と前記ガラスフレーク粒子の混合物内の前記ガラスフレーク粒子の含量が、好ましくは、全体固形分に対して50重量%以下になるように、前記硬化型エポキシ樹脂と前記ガラスフレーク粒子を混合することができる。より好ましくは、1〜50重量%であり得る。前記ガラスフレーク粒子の含量は、このように50重量%以下であってもよいが、50重量%を超過してもよい。
【0062】
ここで、全体固形分とは、硬化型エポキシ樹脂とガラスフレーク粒子を合わせた量を意味する。
【0063】
このように、前記ガラスフレーク粒子を少ない量で添加しても熱膨張係数(CTE)を十分に下げることができ、軽くて薄い透明プラスチックフィルムを提供することができる。また、透明プラスチックフィルムの単位厚さ当たり前記ガラスフレーク粒子を多く含むことができるため、気体を遮断する気体バリアー性が向上される。
【0064】
前記(c)ステップの前記硬化型エポキシ樹脂と前記ガラスフレーク粒子を混合するステップにおいて、必要により、金属、有機金属化合物、ガラス粉末、ダイヤモンド粉末、金属酸化物およびクレーのうちから選択された1種以上の充填剤をさらに含むことができる。
【0065】
前記金属としては当業界で充填剤として用いる一般的な金属を用いることができる。
【0066】
前記有機金属化合物としてはリン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸バリウム、フッ化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸バリウム、炭酸バリウム、水酸化バリウム、ケイ酸アルミニウム、およびこれらの混合物のうちから選択された1種以上を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
前記金属酸化物としてはシリコンオキシド(SiOx、ここで、xは2〜4の整数)およびアルミニウムオキシド(Al2x、ここで、xは3〜4の整数)のうちから選択された1種以上を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
前記クレーとしてはベントナイト、スメクタイトおよびカオリンのうちから選択された1種以上を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
前記充填剤の大きさは0nmより大きく500nm以下であることが好ましく、0nmより大きく100nm以下であることがより好ましい。
【0070】
前記(d)ステップでは、前記ガラスフレーク粒子を含有した前記硬化型エポキシ樹脂を硬化させる。
【0071】
ここで、前記ガラスフレーク粒子を含有し、前記ガラスフレーク粒子との屈折率差が0.01以下であるエポキシ硬化物が形成される。より好ましくは、前記ガラスフレーク粒子との屈折率差が0.005以下であるエポキシ硬化物であってもよい。
【0072】
前記(d)ステップにおいて、前記ガラスフレーク粒子を含有した前記硬化型エポキシ樹脂を硬化させて前記エポキシ硬化物を形成する時、これをフィルム形状に成形することができる。前記エポキシ硬化物は、20〜200μmの厚さを有するフィルム形状に成形されることが好ましい。
【0073】
成形する方法の例として、射出成形およびラミネーションが好ましい。また、溶媒を用いる場合、キャスティングによるフィルム形成、溶媒揮発、および硬化させる方法も可能である。
【0074】
このように、ガラスフレーク粒子の屈折率を基準に硬化型エポキシ樹脂の屈折率を調節する方法を利用し、硬化型エポキシ樹脂の硬化後屈折率とガラスフレーク粒子の屈折率との差を0.01以下にすることができ、また、屈折率の差を0にして、この二つの屈折率が同一になるようにすることができる。ここで、屈折率を調節するためにガラスフレーク粒子を別途に製造する必要がなくなる。
【0075】
ガラスフレーク粒子の屈折率を基準に硬化型エポキシ樹脂の屈折率を調節することにより、フィルムの透明性を容易に向上させることができ、その結果、光透過度に優れた透明プラスチックフィルムを製造することができる。
【0076】
一方、本発明に係る透明プラスチックフィルムは、ガラスフレーク粒子;および前記ガラスフレーク粒子を含有したエポキシ硬化物として、前記ガラスフレーク粒子との屈折率差が0.01以下であるエポキシ硬化物を含む。製造方法にて説明した内容は全て適用されるので具体的な説明は省略する。
【0077】
前記ガラスフレーク粒子の含有量は、エポキシ樹脂との混合が容易で、透明プラスチックフィルムを製造できるのであれば、前記ガラスフレーク粒子と前記硬化型エポキシ樹脂の使用量は限定されない。
【0078】
前記ガラスフレーク粒子は厚さ(Depth)が1μm以下であってもよく、0μmより大きく0.1μm以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0079】
前記ガラスフレーク粒子の含有量は、好ましくは0重量%より大きく50重量%以下であり、より好ましくは1〜50重量%である。前記ガラスフレーク粒子の含量はこのように50重量%以下であってもよいが、50重量%を超過してもよい。
【0080】
本発明に係る透明プラスチックフィルムの熱膨張係数(CTE)は0ppm/Kより大きく80ppm/K以下であってもよい。
【0081】
一例として、前記透明プラスチックフィルムは厚さが1μm以下であるガラスフレーク粒子を含有し、このような透明プラスチックフィルムの熱膨張係数(CTE)は0ppm/Kより大きく80ppm/K以下であってもよい。この時、ガラスフレーク粒子の含有量は50重量%以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0082】
また他の一例として、前記透明プラスチックフィルムは、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子を含有し、このような透明プラスチックフィルムの熱膨張係数(CTE)は0ppm/Kより大きく60ppm/K以下であってもよい。この時、ガラスフレーク粒子の含有量は50重量%以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0083】
また他の一例として、前記透明プラスチックフィルムは、厚さが0μmより大きく0.1μm以下であるガラスフレーク粒子を0重量%より大きく20重量%以下で含有し、このような透明プラスチックフィルムの熱膨張係数(CTE)は0ppm/Kより大きく40ppm/K以下であってもよい。
【0084】
本発明に係る透明プラスチックフィルムは、屈折率が調節されたエポキシ樹脂を用いることにより、ガラスフレークに他の成分を添加するなどの方法を利用しなくても前述した範囲の熱膨張係数を達成することができる。
【0085】
本発明に係る透明プラスチックフィルムは、フィルムそのものがディスプレイ素子用基板または太陽電池基板として用いられ得るし、透明プラスチックフィルムに機能性コーティング層を形成した後、これをディスプレイ素子用基板または太陽電池基板として用いられ得る。
【0086】
本発明に係る透明プラスチックフィルムを含む光学フィルムを提供する。
【0087】
前記光学フィルムは、前記透明プラスチックフィルムに形成された光学パターンをさらに含むことができる。
【0088】
ここで、本発明に係る透明プラスチックフィルムが光学パターンが形成された光学フィルムの基材として用いられ得るし、透明プラスチックフィルムそのものが光学パターンなしで光学フィルムとして用いられ得る。
【0089】
本発明に係る透明プラスチックフィルムを含むプラスチック基板を提供する。
【0090】
本発明に係るプラスチック基板は、ガスバリアー層および/または有機−無機ハイブリッド層をさらに含むことができる。具体的には、透明プラスチックフィルムとガスバリアー層との間および/またはガスバリアー層上に積層される有機−無機ハイブリッド層をさらに含むことができる。
【0091】
前記プラスチック基板は、本発明に係る透明プラスチックフィルムを1枚以上含むことができる。
【0092】
また、前記プラスチック基板はディスプレイ素子用基板として用いられ得る。
【0093】
ここで、ディスプレイ素子の例としては液晶表示素子(LCD)および有機発光素子(OLED)が挙げられる。
【0094】
薄膜トランジスタアレイ基板と;前記薄膜トランジスタアレイ基板と対向するように配置されるカラーフィルターアレイ基板;および前記薄膜トランジスタアレイ基板と前記カラーフィルターアレイ基板との間に注入される液晶から構成された液晶表示素子において、前記プラスチック基板は前記薄膜トランジスタアレイ基板および/またはカラーフィルターアレイ基板として使われ得る。
【0095】
基板、第1電極、有機物層、および第2電極から構成された有機発光素子において、前記プラスチック基板は前記基板として使われ得る。
【0096】
本発明に係る透明プラスチックフィルムを含む電子デバイスを提供する。ここで、電子デバイスの例としては画像を形成するディスプレイ素子が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0097】
本発明に係る透明複合材料は、ガラスフレーク粒子;および前記ガラスフレーク粒子を含有したエポキシ硬化物として、前記ガラスフレーク粒子との屈折率差が0.01以下であるエポキシ硬化物を含む。製造方法および透明プラスチックフィルムにて説明した内容は全て適用されるので具体的な説明は省略する。
【実施例】
【0098】
以下では、本発明を下記実施例によってより詳細に説明する。本発明の理解を助けるために提示される下記実施例は本発明の好ましい実施例を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲が下記実施例だけに限定されるか制限されることではない。
【0099】
[実施例1]
透明プラスチックフィルムを製造するために、攪拌可能な500mlの丸底フラスコに窒素を30分間投入して残存する酸素を除去した後、エポキシ硬化剤である脂環式無水物(cycloaliphatic anhydride)形態のメチルヘキサヒドロ−ナド酸無水物(methyl hexahydro−nadic anhydride)(New Japan Chem.,HNA−100)182重量部、触媒であるテトラフェニルホスホニウムブロミド(tetra phenyl phosphonium bromide)(Aldrich、TPP−PB)2重量部を投入し、60℃で加熱して30分間攪拌した。次に、トリグリシジルイソシアヌレート(triglycidyl isocyanurate)(Nissan Chem.,TEPIC)100重量部を130℃で10分間攪拌して溶融させた後、これを予め準備した触媒が添加されたエポキシ硬化剤に投入し、常温で30分間攪拌して透明プラスチックフィルム製造用エポキシ樹脂(硬化後樹脂の屈折率1.5250)を製造した。ここに、0.1μm厚さのガラスフレーク粒子(ガラスフレークのモデル名:GF10/製造会社:GLASSFLAKE Ltd.,/屈折率1.52)71重量部を投入し、60分間攪拌して分散した後、真空(vacuum)を利用して残存するバブル(bubble)を除去して、透明プラスチックフィルム用ガラスフレーク粒子含有エポキシ樹脂を製造した。
【0100】
製造されたガラスフレーク粒子含有エポキシ樹脂をフィルムとして成形するための工程は次の通りである。シリコンオキシド重合体成分の離型剤がコーティングされた第1ガラスプレート(glass plate)(厚さ0.7mmのSTN glass plate)の上にガラスフレーク粒子含有エポキシ樹脂を塗布し、離型剤がコーティングされた第2ガラスプレート(glass plate)を気泡が発生しないようにガラスフレーク粒子含有エポキシ樹脂の上に覆った。この時、フィルムの厚さを100μmにするために、2枚のガラスプレート(glass plate)の間のエッジ部に100μm厚さの枠組みを載せた。ガラスフレーク粒子含有エポキシ樹脂が投入されたガラスプレート(glass plate)をラミネーター(laminator)機器に通過させ樹脂厚さを一定に作って固定させた。2枚のガラスプレート(glass plate)によって固定されたガラスフレーク粒子含有エポキシ樹脂は、窒素雰囲気の対流オーブンにおいて100℃で2時間、120℃で2時間、150℃で2時間、および175℃で2時間順次硬化してガラスフレーク粒子含有エポキシ硬化物を製造し、両方のガラスプレート(glass plate)を除去して、ガラスフレーク粒子および前記ガラスフレーク粒子が分散されたエポキシ硬化物を含む透明プラスチックフィルムを製造した(図1参照)。製造された透明プラスチックフィルムの厚さは、SEMで測定した結果、100μmであった(図2参照)。
【0101】
[実施例2]
ガラスフレーク粒子の含量を32重量部用いたことを除いては、実施例1と同じ方法により透明プラスチックフィルムを製造した。
【0102】
[実施例3]
実施例1の0.1μm厚さのガラスフレーク粒子の代わりに、0.35μm厚さのガラスフレーク粒子(ガラスフレークのモデル名:GF35/製造会社:GLASSFLAKE Ltd.,/屈折率1.52)を71重量部用いたことを除いては、実施例1と同じ方法により透明プラスチックフィルムを製造した。
【0103】
[実施例4]
実施例1の0.1μm厚さのガラスフレーク粒子の代わりに、1.00μm厚さのガラスフレーク粒子(ガラスフレークのモデル名:GF100/製造会社:GLASSFLAKE Ltd.,/屈折率1.52)を71重量部用いたことを除いては、実施例1と同じ方法により透明プラスチックフィルムを製造した。
【0104】
[比較例1]
比較例1の樹脂の場合、実施例1の組成のうちのTEPICの組成において、TEPICを50重量部、ビスフェノールエポキシ(Bisphenol A−epoxy)(Hexion chem.,LER850)を100重量部用いたことを除いては、実施例1と同じ方法によりプラスチックフィルムを製造した。
【0105】
[比較例2]
比較例2の樹脂の場合、ポリアリレート(polyarylite)100重量部、ガラスフレーク25重量部、DCE(dichloroethane)溶媒を800重量部用い、キャスティング(casting)法によりプラスチックフィルムを製造した。
【0106】
[比較例3]
比較例3の樹脂の場合、実施例1の組成のうちのエポキシ硬化剤である脂環式無水物(cycloaliphatic anhydride)形態のメチルヘキサヒドロ−ナド酸無水物(methyl hexahydro−nadic anhydride)を91重量部用いたことを除いては、実施例1と同じ方法によりプラスチックフィルムを製造した。
【0107】
【表1】

【0108】
*GF10、GF35、およびGF100の屈折率:1.52
前記物性測定方法は下記の通りであり、全ての実施例および比較例に同一に適用した。記載された全ての物性値は統計的な代表性を有するように最小限5個以上の測定値に対する平均値で示す。
【0109】
1)光透過度:ASTM D1003に基づき、各々、UV−分光計(Varian社、Cary 3E)を使って可視光線領域である380から780nmの範囲で測定した。
【0110】
2)熱膨張係数:ASTM D696に基づき、熱機械分析装置(TMA;Thermomechanical Analysis;Seiko instrument社、SSC/5200)を使って5gfの応力下で分当たり10℃に昇温しながら測定した。
【0111】
3)ガラス転移温度:熱機械分析装置(DSC;Differential Scanning Calorimeter;TA Instrument社、DSC2010)を使って分当たり10℃に昇温しながら測定した。
【0112】
4)屈折率:光学特性分析装置(ATAGO、DR−M4)を使って589nmにおける屈折率を測定した。
【0113】
表1から分かるように、ガラスフレーク粒子およびガラスフレーク粒子が分散されているエポキシ硬化物を含む実施例1による透明プラスチックフィルムは、82%の光透過度、20ppm/Kの低い熱膨張係数、220℃以上のガラス転移温度、および1.520の屈折率値を示す。
【0114】
また、実施例2による透明プラスチックフィルムは、80%の光透過度、40ppm/Kの熱膨張係数、220℃以上のガラス転移温度、および1.520の屈折率値を示す。
【0115】
実施例3による透明プラスチックフィルムは、81%の光透過度、58ppm/Kの熱膨張係数、220℃以上のガラス転移温度、および1.520の屈折率値を示す。
【0116】
実施例4による透明プラスチックフィルムは、79%の光透過度、67ppm/Kの熱膨張係数、220℃以上のガラス転移温度、および1.520の屈折率値を示す。
【0117】
このように、ガラスフレーク粒子の屈折率を基準に硬化型エポキシ樹脂の屈折率を調節する方法を利用して製造した本発明の実施例1〜4による透明プラスチックフィルムの場合、硬化型エポキシ樹脂の硬化後屈折率とガラスフレーク粒子の屈折率との差が0であって、この二つの屈折率が同一であることが分かる。そこで、約80%以上の光透過度を有し、優れた透明性を提供することができる。
【0118】
これに対し、比較例1および比較例2によるプラスチックフィルムの場合、表1から分かるように、光透過度が低すぎるか光を透過させないことにより、透明フィルムとして使用できないことを確認することができる。また、比較例3によるプラスチックフィルムの場合、エポキシ硬化物とガラスフレークの屈折率差が0.01を超過する場合であって、光透過度が減少する傾向を示すことを確認することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ガラスフレーク(Glass flake)粒子を準備するステップ;
(b)硬化型エポキシ樹脂を準備するステップであって、前記硬化型エポキシ樹脂の硬化後屈折率と前記ガラスフレーク粒子の屈折率との差が0.01以下である硬化型エポキシ樹脂を準備するステップ;
(c)前記硬化型エポキシ樹脂と前記ガラスフレーク粒子を混合するステップ;および
(d)前記硬化型エポキシ樹脂と前記ガラスフレーク粒子の混合物を硬化させ、前記ガラスフレーク粒子を含有したエポキシ硬化物を形成するステップを含むことを特徴とする透明プラスチックフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記(a)ステップでは、1μm以下の厚さ(Depth)を有するガラスフレーク粒子を用いることを特徴とする、請求項1に記載の透明プラスチックフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記(a)ステップでは、厚さ(Depth)当たり長さ(Length)の比率(L/D)が50以上であるガラスフレーク粒子を用いることを特徴とする、請求項1に記載の透明プラスチックフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記(b)ステップでは、100重量部の硬化型エポキシ樹脂を基準に20〜1000重量部の硬化剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の透明プラスチックフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記(b)ステップにおいて、前記硬化型エポキシ樹脂は、下記化学式1〜化学式6で示される脂環式エポキシ樹脂および下記化学式7で示されるトリグリシジルイソシアヌレートのうちから選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の透明プラスチックフィルムの製造方法:
【化5】

前記化学式4において、R1はC1〜C6のアルキル基またはトリメチロールプロパン残基であり、pは1〜20の整数であり;
【化6】

前記化学式5において、R2およびR3は互いに同じであるか異なり、各々独立に水素またはC1〜C6のアルキル基であり、qは0〜2の整数であり;
【化7】

前記化学式6において、rは0〜2の整数である。
【化8】

【請求項6】
前記(b)ステップにおいて、前記硬化剤は、フタル酸無水物、マレイン酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルナド酸無水物、ナド酸無水物、グルタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、水素化メチルナド酸無水物、および水素化ナド酸無水物のうちから選択された1種以上の酸無水物型硬化剤であることを特徴とする、請求項4に記載の透明プラスチックフィルムの製造方法。
【請求項7】
前記(b)ステップでは、100重量部の硬化型エポキシ樹脂を基準に0.1〜5重量部の触媒をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の透明プラスチックフィルムの製造方法。
【請求項8】
前記(b)ステップの前記触媒は、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン、トリエチレンジアミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフィニウム、テトラフェニルボレート、4級アンモニウム塩、有機金属塩、およびこれらの誘導体からなる群から選択された1種以上の硬化促進剤であることを特徴とする、請求項7に記載の透明プラスチックフィルムの製造方法。
【請求項9】
前記(b)ステップの前記触媒は、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラ−トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素−アミン錯体、三フッ化ホウ素アンモニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、およびアルミニウム錯体含有カチオン性触媒のうちから選択された1種以上であることを特徴とする、請求項7に記載の透明プラスチックフィルムの製造方法。
【請求項10】
前記(b)ステップにおいて、前記硬化型エポキシ樹脂を準備するステップは、(b1)100重量部の硬化型エポキシ樹脂を基準に20〜1000重量部の硬化剤と0.1〜5重量部の触媒を混合するステップ;および(b2)前記触媒が添加された硬化剤と100重量部の前記硬化型エポキシ樹脂を混合するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の透明プラスチックフィルムの製造方法。
【請求項11】
前記(c)ステップでは、金属、有機金属化合物、ガラス粉末、ダイヤモンド粉末、金属酸化物およびクレーのうちから選択された1種以上の充填剤をさらに添加することを特徴とする、請求項1に記載の透明プラスチックフィルムの製造方法。
【請求項12】
前記充填剤の大きさは0nmより大きく500nm以下であることを特徴とする、請求項11に記載の透明プラスチックフィルムの製造方法。
【請求項13】
前記(d)ステップにおいて、前記エポキシ硬化物は20〜200μmの厚さを有するフィルム形状に成形することを特徴とする、請求項1に記載の透明プラスチックフィルムの製造方法。
【請求項14】
ガラスフレーク(Glass flake)粒子;および
前記ガラスフレーク粒子を含有したエポキシ硬化物として、前記ガラスフレーク粒子との屈折率差が0.01以下であるエポキシ硬化物を含むことを特徴とする透明プラスチックフィルム。
【請求項15】
前記ガラスフレーク粒子は、厚さ(Depth)が0μmより大きく1μm以下であることを特徴とする、請求項14に記載の透明プラスチックフィルム。
【請求項16】
透明プラスチックフィルムの熱膨張係数(CTE)は、0ppm/Kより大きく80ppm/K以下であることを特徴とする、請求項14に記載の透明プラスチックフィルム。
【請求項17】
前記ガラスフレーク粒子の厚さ(Depth)は0μmより大きく1μm以下であり、前記ガラスフレーク粒子を含有する透明プラスチックフィルムの熱膨張係数(CTE)は0ppm/Kより大きく80ppm/K以下であることを特徴とする、請求項14に記載の透明プラスチックフィルム。
【請求項18】
前記ガラスフレーク粒子は、厚さ(Depth)が0μmより大きく0.1μm以下であることを特徴とする、請求項14に記載の透明プラスチックフィルム。
【請求項19】
前記ガラスフレーク粒子の厚さ(Depth)は0μmより大きく0.1μm以下であり、前記ガラスフレーク粒子を含有する透明プラスチックフィルムの熱膨張係数(CTE)は0ppm/Kより大きく60ppm/K以下であることを特徴とする、請求項14に記載の透明プラスチックフィルム。
【請求項20】
前記ガラスフレーク粒子は、厚さ(Depth)が0μmより大きく0.1μm以下であり、0重量%より大きく20重量%以下で含まれ、前記透明プラスチックフィルムの熱膨張係数(CTE)は0ppm/Kより大きく40ppm/K以下であることを特徴とする、請求項14に記載の透明プラスチックフィルム。
【請求項21】
金属、有機金属化合物、ガラス粉末、ダイヤモンド粉末、金属酸化物およびクレーのうちから選択された1種以上の充填剤をさらに含むことを特徴とする、請求項14に記載の透明プラスチックフィルム。
【請求項22】
前記充填剤の大きさは0nmより大きく500nm以下であることを特徴とする、請求項21に記載の透明プラスチックフィルム。
【請求項23】
請求項14〜22のうちのいずれか一項による透明プラスチックフィルムを含むことを特徴とする光学フィルム。
【請求項24】
請求項14〜22のうちのいずれか一項による透明プラスチックフィルムを含むことを特徴とするプラスチック基板。
【請求項25】
ガスバリアー層をさらに含むことを特徴とする、請求項24に記載のプラスチック基板。
【請求項26】
有機−無機ハイブリッド層をさらに含むことを特徴とする、請求項24に記載のプラスチック基板。
【請求項27】
前記プラスチック基板はディスプレイ素子用基板である、請求項24に記載のプラスチック基板。
【請求項28】
請求項14〜22のうちのいずれか一項による透明プラスチックフィルムを含むことを特徴とする電子デバイス。
【請求項29】
ガラスフレーク(Glass flake)粒子;および
前記ガラスフレーク粒子を含有したエポキシ硬化物として、前記ガラスフレーク粒子との屈折率差が0.01以下であるエポキシ硬化物を含むことを特徴とする透明複合材料。
【請求項30】
前記ガラスフレーク粒子は、厚さ(Depth)が0μmより大きく1μm以下であることを特徴とする、請求項29に記載の透明複合材料。
【請求項31】
透明プラスチックフィルムの熱膨張係数(CTE)は、0ppm/Kより大きく80ppm/K以下であることを特徴とする、請求項29に記載の透明複合材料。
【請求項32】
前記ガラスフレーク粒子の厚さ(Depth)は0μmより大きく1μm以下であり、前記ガラスフレーク粒子を含有する透明プラスチックフィルムの熱膨張係数(CTE)は0ppm/Kより大きく80ppm/K以下であることを特徴とする、請求項29に記載の透明複合材料。
【請求項33】
前記ガラスフレーク粒子は、厚さ(Depth)が0μmより大きく0.1μm以下であることを特徴とする、請求項29に記載の透明複合材料。
【請求項34】
前記ガラスフレーク粒子の厚さ(Depth)は0μmより大きく0.1μm以下であり、前記ガラスフレーク粒子を含有する透明プラスチックフィルムの熱膨張係数(CTE)は0ppm/Kより大きく60ppm/K以下であることを特徴とする、請求項29に記載の透明複合材料。
【請求項35】
前記ガラスフレーク粒子は、厚さ(Depth)が0μmより大きく0.1μm以下であり、0重量%より大きく20重量%以下で含まれ、前記透明プラスチックフィルムの熱膨張係数(CTE)は0ppm/Kより大きく40ppm/K以下であることを特徴とする、請求項29に記載の透明複合材料。
【請求項36】
金属、有機金属化合物、ガラス粉末、ダイヤモンド粉末、金属酸化物およびクレーのうちから選択された1種以上の充填剤をさらに含むことを特徴とする、請求項29に記載の透明複合材料。
【請求項37】
前記充填剤の大きさは0nmより大きく500nm以下であることを特徴とする、請求項36に記載の透明複合材料。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−531913(P2010−531913A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514629(P2010−514629)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003749
【国際公開番号】WO2009/002125
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】