説明

透過型寸法測定装置

【課題】投光器及び受光器の光軸をユーザが直感的に且つ容易に調整することが可能で、投光器の投光面及び受光器の受光面に汚れが付着した場合に速やかに適切な処置ができる透過型寸法測定装置を提供する。
【解決手段】光を投光する投光器と所定の間隔を置いて配置される受光器2に入光する投光スポットを受光器2に設けられた入光位置表示部が、入光位置に対応したLEDを点灯させることにより擬似的に表現する。入光位置表示部は受光器2が基台に設置される面である底面と対向する上面側に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型寸法測定装置に関し、特に投光器からの出射光を測定対象物が遮蔽する際の光量変化を受光器によって検出することにより、測定対象物の各種寸法を測定する光学式の透過型寸法測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物体の外径、位置、間隔等を検出するために、光学式の透過型寸法測定装置が用いられている。光学式の透過型寸法測定装置は、測定対象領域に平行光を投光する投光器と、測定対象領域を透過した光を受光する受光器とを備え、受光器が受光した受光量に基づいて、平行光を測定対象物が遮光することにより生じた測定対象物の影の長さを測定し、測定対象物の各種寸法を測定する。
【0003】
この光学式寸法測定装置の測定原理は、大きく分けるとCCD方式とスキャン方式の2つの種類に分類される。CCD方式は発光素子から発光した光を投光レンズで平行光に変換し、この平行光を寸法測定範囲に照射する。受光器は寸法測定範囲からの光を、内蔵する1次元のCCDイメージセンサで受光する。測定対象物が平行光を遮光すると遮光領域の大きさに比例した影が受光部に生じ、この影の大きさや位置に基づいて測定対象物の各種寸法を算出し、出力する。
【0004】
また、スキャン方式は、発光素子から発射した光をポリゴンミラー等の偏向素子により偏向し、コリメータレンズにより平行光線に変換され寸法測定範囲に照射する。寸法測定範囲内にある測定対象物を走査した光は、受光器内部の受光レンズで集光され、光の明暗に応じた電気信号に変換される。この電気信号に基づいて、影を生じている時間の長さを演算することにより、測定対象物の各種寸法を算出して出力する。上記いずれの方式においても、投光器から出射され、受光器が受光する平行光の幅により寸法測定範囲が規定される。
【0005】
ユーザは投光器と受光器を基台に設置する際、基台に垂直な方向及び水平な方向に投光器と受光器の光軸を正確に一致させる必要がある。従来、この光軸を一致させるために、投光器及び受光器が接続されたコントローラや、このコントローラが接続されたPCの表示画面上で光軸の一致度合いを表示し、ユーザはこの表示画面を見ながら光軸の調整を行っていた(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2008−275462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した投光器及び受光器が接続されたコントローラやPC上で光軸の一致度合いを確認する方法では、具体的にどの程度の大きさ、あるいは方向の光軸ずれが生じているのかを直感的に把握することができない。また、コントローラやPCが投光器及び受光器と離れた位置に設置されている場合、光軸調整の作業が非常に不便であり、作業工数が増大する。
【0007】
このような問題が生じるのを防ぐためには、投光器による投光スポットが人の目に見えるように投光される光の光量密度を増大させることが考えられる。しかし、上述したCCD方式の場合、精度の高い平行光を作る為に、発光源と投光レンズとの距離を離さなければならないため、光量密度の増大には限界がある。また、スキャン方式の場合であっても、視認性を上げるために大きく光量密度を上げると、安全上の問題や発光源の寿命低下などの別の問題が浮上する。したがって、投光スポットが人の目に見える程度まで光量密度を増大させることは現実的ではない。
【0008】
また上記問題とは別に、投光器と受光器の光軸を正確に一致させても、ユーザの使用環境によって投光面及び受光面に汚れなどが付着してしまうことがある。投光器の投光面及び受光器の受光面に汚れ等が付着した場合、測定対象物が無い状態にも関わらず受光量の変動が生じてしまうため、不測の誤測定となりかねず、ユーザにとっても何が起きているか分かりにくいという問題がある。汚れの大きさは非常に小さなものであっても、汚れにより本来存在しないはずのエッジが検出されてしまうと、測定値は実際の測定対象物の寸法値とはかけ離れた値として出力される。ユーザは出力された測定値を見ても、実際の測定対象物の寸法値なのか、投光面又は受光面に汚れが付着しているのか、あるいは使用環境に問題があるのか、などを直感的に判断することができず、投光器の投光面及び受光器の受光面を定期的にクリーニングし、適切な寸法測定値が得られるよう配慮するしかない。
【0009】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、投光器及び受光器の光軸をユーザが直感的に且つ容易に調整することが可能である透過型寸法測定装置を提供することを目的とする。また、投光器の投光面及び受光器の受光面に汚れが付着した場合に速やかに適切な処置が可能な透過型寸法測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、光を投光する投光器と、投光器と所定の間隔を置いて配置可能で投光器からの光を受光する受光器とを備え、受光器が受光する受光量の変化に基づき、投光器と受光器との間の寸法測定範囲内を通過する測定対象物のエッジ位置や測定対象物の中心位置等を検出したりすることにより、投光器と受光器との間を通過する測定対象物の寸法を測定する透過型寸法測定装置であって、投光器は、光を発光する発光素子と該発光素子により発光した光を平行光に変換する投光レンズとを内部に含む略直方体形状(直方体・立方体やそれらの一部を変形・切欠させたもの等)の投光器筐体と、投光器筐体の底面(光軸調整の際の基準面となりうる面であり、例えば、基台等の水平面に設置された際の設置面や壁面等の垂直面に設置された際の設置面)に対して略水平方向である寸法測定方向に所定幅を有する形状で、平行光を出射する投光スリットとを備え、受光器は、光を受光する受光素子を内部に含む略直方体形状の受光器筐体と、受光器筐体の底面に対して略水平方向である寸法測定方向に所定幅を有する形状で、平行光を入射する受光スリットとを備え、投光器及び受光器の少なくともいずれか一方に、寸法測定方向に配列され、受光スリットの寸法測定方向の所定幅を分割する各領域に対する受光状態を各々表示する複数の表示灯(例えば、複数のLEDを一体型として提供しているものや分離型のもの)により、平行光の前記受光器における受光位置を表示する受光位置表示部を備えたことを特徴とする。
【0011】
これにより、投光スポットを擬似的に表現する入光位置表示部の点灯状態に基づいて、底面に対して水平な方向の光軸の一致度合いを確認しながら、ユーザが投光器、受光器の相対位置を調整することができる。また、測定時に投光器の投光面、受光器の受光面に汚れ等が付着した場合や、投光器や受光器に衝撃が加わり光軸がずれてしまった場合に、入光位置表示部の点灯状態に基づいて、障害の原因を判断し、速やかに適切な処置を行うことが可能となる。
【0012】
より詳細な一態様では、投光器は、基台に設置される基準面から垂直に立設した一側面に基準面に対して略水平な方向に所定幅を有する細長い形状の投光スリットを有した略直方体形状の投光器筐体と、該投光器筐体内部に、光を発光する発光素子と、該発光素子により発光した光を平行光に変換し、投光スリットを介して寸法測定範囲に帯状等の投光ビームを出射する投光レンズとを含む。発光素子としてはレーザダイオードやLEDなど各種のものが使用できる。受光器は、基台に設置される基準面から垂直に立設した一側面に基準面に対して略水平な方向に所定幅を有する細長い受光スリットを有する略直方体形状の受光器筐体と、該受光器筐体内部に受光スリットを介して測定エリアからの光を受光する受光素子を含む。受光素子としてはフォトダイオードやCCD、CMOSなどが使用できる。投光器及び受光器の各々の基準面に対向する上面側の少なくともいずれか一方には、寸法測定範囲の寸法測定方向に対応して投光スリット又は受光スリットの長手方向に一列に配列した複数の表示灯からなる入光位置表示部が形成され、寸法測定範囲を表示灯の数で分割した領域に対応する受光素子の出力に基づいて、投光ビームが入射した位置に対応する表示灯が点灯又は消灯するよう構成されている。
【0013】
これにより、投光器と受光器の各々の基準面を基台に設置した際に、投光スポットを擬似的に表現する入光位置表示部の点灯状態に基づいて、基台に対して水平な方向の光軸の一致度合いを確認しながら、ユーザが投光器、受光器の相対位置を調整することができる。また、測定時に投光器の投光面、受光器の受光面に汚れ等が付着した場合や、投光器や受光器に衝撃が加わり光軸がずれてしまった場合に、入光位置表示部の点灯状態に基づいて、障害の原因を判断し、速やかに適切な処置を行うことが可能となる。また、投光スポットを擬似的に表現する入光位置表示部は、基台に設置した場合に基台に設置される面である基準面に対向する上面側に設けられているため、常にユーザにとって視認性の良い場所に位置し、基台に接面して見えなくなることが無い。
【0014】
また、入光位置表示部が受光器の基準面に対向する上面側に設けられ、入光位置表示部の寸法測定方向の幅が寸法測定範囲の寸法測定方向の幅と略同一に構成されていてもよい。
【0015】
これにより、入光位置表示部は受光スリットに入射する投光スポットをより擬似的に表現できる。
【0016】
また、測定対象物のエッジ位置に基づいて、測定値として出力する測定領域を選択する複数の動作モードの設定を受け付ける動作モード設定手段を更に備え、動作モード設定手段により設定された動作モードに応じた測定領域に対応した測定値を出力するようにしてもよい。
【0017】
これにより、ユーザが測定したい領域を動作モードを切り替えることにより容易に設定できる。
【0018】
また、寸法測定範囲の寸法測定方向に対応して入光位置表示部と並んで配列した複数の表示灯からなる測定位置表示部を更に有し、該測定位置表示部は動作モード設定手段により設定された動作モードに応じて、測定値として出力する対象となる測定領域に対応した表示灯が点灯するよう構成されていてもよい。
【0019】
また、入光位置表示部は、動作モード設定手段により設定された動作モードに応じて、測定値として出力する対象となる測定領域に対応した表示灯が、投光ビームの入射状態にある表示灯の表示態様とは異なる表示態様で点灯するよう構成されていてもよい。
【0020】
これにより、実際にどの測定領域の寸法を測定しているのかを直感的に把握することができるため、ユーザが測定したい領域を測定するために、現在設定している動作モードが適切か否かを速やかに判断できる。また、測定結果を測定値表示だけでなく、視覚的に把握することが可能となる。更に、動作モードの切り替えに応じて表示灯の表示パターンが変化するため、ユーザが測定したい領域を測定するための動作モードを容易に選択することが可能となる。
【0021】
また、入光位置表示部の各表示灯を点灯させるための受光素子が受光する受光量の閾値が、測定値の基準となるエッジ位置を検出するための受光量の閾値よりも高く設定されていてもよい。
【0022】
これにより、測定値が異常状態になる前に、入光位置表示部の表示状態に基づいて、投光面又は受光面の汚れや、使用環境の変化が確認でき、測定値異常を未然に防止することができる。
【0023】
また、投光器と受光器の光軸を一致させるための光軸調整モードの設定を受け付ける光軸調整モード設定手段を更に備え、光軸調整モードが設定された際に、入光位置表示部は受光素子が受光する受光量のピーク位置を視認するための表示態様へ切り替わるよう構成してもよい。
【0024】
これにより、受光スリットに入射する受光量分布のピーク位置をユーザが確認でき、このピーク位置が寸法測定範囲の中心に位置するように投光器と受光器の相対位置を調整することで、光軸調整を更に精度良く行うことが可能になる。
【0025】
また、投光器と受光器の少なくともいずれか一方に、投光器と受光器の寸法測定範囲内の全ての光軸が一致しているか否かを示す光軸一致表示部を更に備えるようにしてもよい。
【0026】
また、基準面と対向する上面と、投光スリット及び/又は受光スリットが形成された前面との角部に斜面部が形成され、この斜面部に入光位置表示部が形成されていてもよい。
【0027】
これにより、ユーザは投光器及び受光器の前面側から入光位置表示部が視認でき、光軸調整時の作業性が更に向上する。
【発明の効果】
【0028】
投光器及び受光器の光軸をユーザが直感的に且つ容易に調整することが可能である。また、投光器の投光面及び受光器の受光面に汚れが付着した場合に速やかに適切な処置が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態における透過型寸法測定装置について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態においては、投光部としてレーザダイオード(以下、LD)を用い、受光素子として1次元CCDイメージセンサ(以下、CCD)を用いたCCD方式の透過型寸法測定装置を例として説明する。
【0030】
図1は、本実施の形態における透過型寸法測定装置の全体システムを示すシステム構成図である。本実施の形態における透過型寸法測定装置は、測定対象領域に光を投光する投光器1と、測定対象領域を透過した光を受光する受光器2と、投光器1ならびに受光器2に接続され、これらを制御するコントローラ3とからなる。投光器1には光を出射する部位である投光スリット10(投光窓)が形成され、投光スリット10を介して測定対象領域に照射された光は、投光器1と受光器2の間を通過する測定対象物Wにより光の一部が遮光される。受光器2は測定対象物Wにより遮光されなかった光を受光スリット20(受光窓)を介して受光する。
【0031】
図2は、投光器1、受光器2、コントローラ3の内部構成を説明するためのブロック図である。投光器1には発光素子であるLD11が内蔵され、LD11から発したレーザ光は投光レンズ15により帯状の平行光に変換されて測定対象領域に照射される。LD11には、LD11を駆動するためのレーザ駆動回路12が接続され、レーザ駆動回路12はMCU(Micro Controller Unit)13によって制御される。受光器2は測定対象領域からの光を受光するCCD29と、CCD29で受光した電気信号をフィルタリングするフィルタ回路30と、フィルタリングされた電気信号をA/D変換するA/D変換器31と、表示部34やCCD29を制御すると共にA/D変換された電気信号からエッジ位置を検出するFPGA(Field Programmable Gate Array)32、エッジ位置を検出するための閾値並びにCCD画素数等を記憶するEEPROM33を備える。コントローラ3は、投光器1及び受光器2とコントローラ用通信ドライバ46を介して通信すると共に、各種演算を実行するMCU41、算出された寸法値等を表示するコントローラ表示部42、外部I/F45、各種動作モードの設定、閾値の設定操作を受け付けるSW44、各種設定データを記憶するEEPROM43を備える。外部I/F45はオープンコレクタ出力、アナログ出力、外部入力線等を含む。尚、本実施の形態では投光器1、受光器2の各々が専用機能を有するように説明しているが、本実施形態の投光器としての機能及び受光器としての機能双方を有する機器を投光器や受光器として用いても良い。
【0032】
コントローラ3のMCU41は外部入力線を介して、外部機器から各種信号の入力を受け付ける。MCU41は内部タイマにより定期的にコントローラ用通信ドライバ46a、46bを介して投光器1に投光制御信号、受光器2に受光制御信号を送信する。投光制御信号を受信した投光器1のMCU13はレーザ駆動回路12を制御し、レーザ駆動回路12はLD11を駆動し、測定対象領域に投光レンズ15、投光スリット10を介して平行光を照射する。一方、受光器2のFPGA32は、受光制御信号を受けてCCD29を駆動する。CCD29は一次元に配列された複数の画素を有し、受光スリット20を介して測定対象領域からの光を受光し、フィルタ回路30、A/D変換器31を介してFPGA32に各画素の受光量を送信する。
【0033】
FPGA32は、取得した各画素の受光量から、複数の画素により形成される測定対象領域の受光量分布を作成し、作成した受光量分布とEEPROM33に記憶された測定用閾値P1とを比較することにより、物体により遮光されたエッジ位置を検出する。検出されたエッジ位置及びその近傍の受光量情報は受光器用通信ドライバ38、コントローラ用通信ドライバ46を介してコントローラ3に送信される。このように、本実施の形態ではCCD29の各画素が受光した受光量分布をそのままコントローラ3に送信するのではなく、受光器2でエッジ位置を検出した後、エッジ位置及びその近傍の受光量情報のみをコントローラ3に送信することで、通信負荷の低減ならびに処理速度の向上を図っている。
【0034】
受光素子としては、代表的にはCCDイメージセンサが適用される。ただし受光素子としてはCCDイメージセンサに代えてCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを用いることも可能である。
【0035】
コントローラ3は受光器2から受信したエッジ位置情報に基づいて、各種演算を実行する。EEPROM43には、ユーザにより設定された動作モード、ならびに公差範囲を規定するHI/LOの閾値が記憶されている。動作モードの詳細については後述するが、例えば遮光幅、入光幅、外径、内径、指定されたエッジ間幅など、ユーザが測定したい領域を各種選択するための複数のモードが用意されている。コントローラ3のMCU41は受信したエッジ位置情報から、設定された動作モードに対応した測定値を算出し、コントローラ表示部42に表示すると共に、測定値が公差範囲内にあるか否かのOK/NG判定を行い、外部I/F45を介して判定結果を外部に出力する。なお、上述した動作モード及びHI/LOの閾値はSW44により設定変更が可能であり、MCU41は設定変更を受け付け、EEPROM43に変更内容を記憶させる。
【0036】
外部I/F45の外部入力としては、他にもピークホールド入力、ボトムホールド入力、アプリケーションに応じて測定用閾値P1やHI/LO閾値、動作モード等の各種設定を纏めて切り替えるバンク切替入力、あるいは測定のタイミングを制御するタイミング入力等が入力可能である。
【0037】
FPGA32は、エッジ位置情報をコントローラ3に送信すると共に、受光器1に設けられた表示部34の表示制御を行っている。EEPROM33には測定用閾値P1の他に入光表示用閾値P2が記憶されており、取得した受光量分布と入光表示用閾値P2とを比較する。詳細については後述するが、表示部34は物体により遮光されず光が入光した画素位置、即ち受光面上における投光スポットを擬似的に表現する。
【0038】
図3は表示部34が設けられた受光器2の外観を示す斜視図である。受光器2は、略直方体形状のケーシングを有し、このケーシングは、基準面27と、基準面27から垂直に立設した受光面28を除く両側面及び背面を塞ぐ下側ケーシング21と、基準面27と対向する上面を塞ぐ上側ケーシング23と、受光スリット20を有し、投光器1からの光を受光する受光面28からなる前面カバー22とからなる。
【0039】
上側ケーシング23には基台に対して取り付けるための取付孔25a、25bが設けられ、取付孔25a、25bに螺子を螺合して受光器2を基台に取り付ける。上側ケーシング23と受光面28の角部には透明な傾斜面24が形成され、この傾斜面24内部に外部から視認可能な表示部34が設けられている。表示部34が透明な傾斜面24内部に設けられているため、表示部34は上面側及び受光面側の双方に露出し、ユーザにとって非常に視認性が良い。また、傾斜面24の近傍には光軸調整完了を示すための光軸一致表示用LED37が設けられている。下側ケーシング23には受光面28と対向する背面側にケーブル引出部26が設けられている。ケーブル引出部26は背面の一部を切り欠いて形成されているため、ケーブルを折り曲げて引き出す場合にも、背面側に無駄なスペースを取らずにケーブルを引き出すことができる。
【0040】
また、表示部34は基台に設置される基準面27に対向する上面側に配置されているため、表示部34が基台に隠れて設置されてしまうことがない。基台に対して垂直な方向、即ち高さ方向の光軸は、投光器1及び受光器2の各々の基準面27を基台に取り付けることにより自動的に一致する。基準面27を水平な基台に取り付けた後、ユーザは基台に水平な面内で投光器1と受光器2の相対位置を調整するだけで投光器1と受光器2の光軸を完全に一致させることができる。この時、表示部34は基準面27と対向する上面側に配置されているため、ユーザはこの表示部34を確認しながら水平面内での光軸調整を実施できる。基準面27に歪み等が発生していると、基準面27を基台に設置しても高さ方向の光軸が正確に一致しなくなる。したがって、本実施の形態では基準面27を有する下側ケーシング21のみを水平精度が高いダイキャストで形成し、上側ケーシング23と前面カバー22については安価な樹脂で形成している。なお、下側ケーシング21は両側面及び背面を塞いでおり、両側面のいずれかを基台に設置し、縦置きで受光器2を設置することも可能である。
【0041】
図4は、受光器2の別の外観を示す斜視図であり、対応する箇所については図3と同じ符号を与えている。CCD方式の透過型寸法測定装置における寸法測定範囲は、受光器2が内蔵する受光素子の幅方向の長さにより物理的に規定され、それに合わせた幅を持つ平行光を出射する投光器1を採用する。したがって、広い寸法測定範囲を確保したい場合には図4に示すように幅広な受光スリット20を備える受光器2が用いられる。
【0042】
図5は表示部34及び光軸一致表示用LED37の機能を模式的に示す図である。表示部34はCCD29の配列方向の長さ、すなわち寸法測定範囲の寸法測定方向の長さと略同一の長さを有し、複数のLEDの配列からなる入光位置表示部35を備える。入光位置表示部35は受光器2の上面において寸法測定範囲の延長上に配置され、入光位置表示部35を構成する各LEDの点灯状態によって、CCD29に入射する投光スポットを擬似的に表現する。なお、本実施の形態では入光位置表示部35をCCD29の配列方向の長さと略同一としたが、必ずしもこれに限られず、入光位置表示部35をCCD29の配列方向の長さに対して拡大もしくは縮小されていてもよい。また、必ずしも寸法測定範囲の延長上に配置される必要は無いが、投光スポットを擬似的に表現し、ユーザが直感的に光軸を一致させるためには入光位置表示部35が寸法測定範囲の延長上に配置されている方が好ましい。なお、入光位置表示部35に設けられた縦線は対応するLEDが点灯状態にあることを示している。
【0043】
入光位置表示部35を構成する各LEDはそれぞれがCCD29の対応する位置にある画素の受光量に対応して点灯及び消灯を行う。より具体的には、例えばLEDの数が10個であり、CCD29の画素数が1000画素であるとすると、各LEDに均等に画素数を割り当てると一つのLEDは100画素に対応する。各LEDはその配列方向一端から順番に、CCDの画素配列方向に100画素ずつ割り当てられ、受光器2のFPGA32はこの100画素の受光量の夫々が入光表示用閾値P2を超えているか否かを判定し、P2を超えている画素が所定数以上ある場合に対応するLEDを点灯させる。なお、LEDの点灯条件はこれに限らず、画素の受光量の合計や平均に基づいて対応するLEDを点灯させるようにしてもよい。また、光が入光しないCCD29の画素位置に対応したLEDを点灯させておき、光が入光するCCD29の画素位置に対応したLEDのみ消灯させるようにしても良い。
【0044】
図6は投光器1と受光器2の光軸がずれている場合の、入光位置表示部35の点灯状態を示す図である。図6に示すように、光軸ずれにより光が入光しないCCD29の画素位置に対応したLEDは消灯する。したがって、投光器1の投光スポットがユーザに見えない場合でも、入光位置表示部35のLEDの点灯パターンを確認することで、投光器1及び受光器2の相対位置をどちらの方向にどの程度調整すれば、光軸が完全に一致するかを容易に判断することができる。
【0045】
図7は投光器1と受光器2の光軸が一致した場合の、入光位置表示部35の点灯状態を示す模式図である。投光器1と受光器2の光軸が一致すると、入光位置表示部35の全てのLEDが点灯する。加えて、光軸が理想的な状態で一致していると光軸一致表示用LED37が点灯する。一般に、投光器1から照射される平行光の光量密度は均一ではなく、中心軸に近ければ近いほど光量密度が高く、中心軸から離れるに従い徐々に光量密度が低下する。したがって、入光位置表示部35の全てのLEDが点灯し、一見して光軸が完全に一致しているように見えても、実際には平行光の中心軸が僅かにずれていることがあり、理想的な光軸一致状態とはいえないことがある。そのため、光軸一致表示用LED37は、CCD29の各画素値の中で最も受光量が小さくなる画素の受光量が所定レベル以上である場合にのみ点灯するよう構成されている。このような構成により、ユーザは外部機器を一切確認することなく、投光器1、受光器2を最適な相対位置に容易に調整することができる。なお、光軸一致表示用LED37の点灯条件は上記のものに限られず、CCD29の全画素の受光量の合計や平均等で点灯するようにしてもよく、入光位置表示部35のLEDが全て点灯した場合に自動的に点灯させるようにしてもよい。
【0046】
図8は入光位置表示部35の変形例の点灯状態を示す図である。投光器1と受光器2の理想的な光軸一致状態をユーザが直感的に認識するには、CCD29が受光した受光量分布のピーク位置を認識する必要がある。この変形例では、入光状態にある画素に対応し、点灯しているLEDの中で、特に受光量の大きい画素に対応するLEDの色を変更したものである。本変形例における透過型寸法測定装置は、最適な光軸一致状態を実現するために、光軸調整を行うための表示モードを備えており、この光軸調整モードに設定された際に、LEDの色による受光量ピーク位置の概略位置の表示を行う。ユーザはLEDの色を視認することで、受光量のピーク位置を確認することができるため、最適な光軸一致状態を容易に実現することができる。なお、この変形例では受光量の大きい画素に対応するLEDの色を変更するようにしたが、これに限られず、LEDの発光量や表示態様(点滅など)を変更するようにしてもよい。
【0047】
また、この変形例における入光位置表示部35の表示パターンは光軸調整時のみではなく、通常の測定時にも有用である。投光器1の照射量が減少したり、使用環境の変化により受光器1が受光する受光量が減少した場合、入光位置表示部35の表示色や表示態様を確認することで、測定値に異常が発生する前に必要な対処を行うことができる。また、測定対象物が透明体である場合、測定対象物の透過率によってLEDの色や光量が変化する。したがって、測定対象物の透過率によって、エッジを検出するための測定用閾値P1を設定する際には、入光位置表示部35の点灯パターンを参考にして設定できる。
【0048】
図9は更に入光位置表示部35の別の変形例の点灯状態を示す図である。この変形例は、受光量分布のピーク位置に対応するLEDのみを点灯させるものであり、点灯するLEDがLED配列の中心にくるように、投光器1と受光器2の相対位置を調整することで、容易に理想的な光軸一致状態を実現できる。
【0049】
ところで、透過型の寸法測定装置では、投光面又は受光面に塵や埃が付着すると、この塵や埃が平行光の一部を遮光するため、本来存在しないはずのエッジが検出されてしまうことがある。この場合、測定値は実際の測定対象物の寸法値とはかけ離れた値として出力され、ユーザにとっては何が原因で測定値に異常が発生しているかを容易に判断できない。図10は投光面又は受光面に汚れが付着している場合の入光位置表示部35の表示パターンを模式的に示す図である。図10に示すように、投光面又は受光面に汚れが付着している場合、入光位置表示部35の汚れが付着している画素位置に対応するLEDが消灯する。したがって、本実施の形態によればユーザは入光位置表示部35のLEDの点灯パターンに基づいて、汚れの有無及び汚れの位置を認識し、早急にメンテナンスすることができる。
【0050】
以上示したように、本実施の形態では、受光器1の基台に設置される基準面27とは対向する上面側に表示部34を設け、この表示部34が、投光器1から照射されCCD29が受光する投光スポットを擬似的に表現する。したがって、投光スポットが人の目には見えなくても直感的な操作で投光器1と受光器2の光軸を調整することが可能である。また、最適な光軸一致状態とするために、光軸一致表示用LED37を設け、光軸調整の完了を明示的に示すことができる。更に、投光スポットを擬似的に表現すると共に、投光面又は受光面に付着した汚れを可視化できるため、ユーザにとってメンテナンスが容易になる。
【0051】
また、本実施の形態における透過型の寸法測定装置はユーザが測定値として出力したい測定領域を設定するための複数の動作モードを備えている。図11は複数の動作モードを説明するための図である。ここでは動作モードの例として、遮光幅測定モード、入光幅測定モード、外径測定モード、中心位置測定モード、エッジ位置指定測定モードの5つの測定モードを例示する。
【0052】
遮光幅測定モードは寸法測定範囲の一端から、最後のエッジ位置までの距離を算出する。入光幅測定モードは寸法測定範囲の一端から最初のエッジ位置までの距離を算出する。外径測定モードは寸法測定範囲の一端から数えて最初のエッジ位置と最後のエッジ位置の間の距離を算出する。中心位置測定モードは寸法測定範囲の一端から最初のエッジ位置と次のエッジ位置の中心位置までの距離を算出する。中心位置は検出された2つのエッジ位置の中点を算出することにより決定される。エッジ位置測定モードは、ユーザが指定したエッジ位置に関連する距離を算出するものであり、例えば遮光物が2つ以上存在する場合などに寸法測定範囲の一端から数えて何番目のエッジ位置を測定の対象とするかを自由に設定することができるモードである。図10では寸法測定範囲の一端と2つ目のエッジ位置が指定された例を示している。これら動作モードは、コントローラ3に設けられたSW44を操作することにより設定、切替が可能である。
【0053】
図12は、受光器2に設けられた表示部34の別の実施の形態を示す模式図である。表示部34にはユーザが設定した動作モードに対応した測定領域を示す複数のLEDが一列に配列した測定位置表示部36が設けられている。図12の例では、動作モードとして外径測定モードが選択されており、寸法測定範囲の一端から数えて最初のエッジ位置と2つ目のエッジ位置の間の距離が算出されている。図12に示すように測定位置表示部36は、実際に測定の対象となっている測定領域にある画素位置に対応したLEDのみを点灯する。したがって、ユーザは現在設定している動作モードが所望のモードであるか否かを直感的に判断できる。また、動作モードの切替に応じて、測定位置表示部36を構成するLEDの点灯パターンが変化するため、各動作モードがどの測定領域の測定値を出力するものであるかを視覚的に認識することができる。
【0054】
この実施の形態の場合、図2に示した受光器2のFPGA32は、ユーザにより設定されてコントローラ3のEEPROM43に記憶されている動作モードを読み出し、検出されたエッジ位置と読み出された動作モードに応じて点灯すべきLEDを決定し、測定位置表示部36の表示を制御する。測定位置表示部36は上述した入光位置表示部35と同様、寸法測定範囲の延長上、且つ寸法測定範囲の幅と略同一の幅を有しているため、測定値の概略値を直感的に把握できる。また、測定位置表示部36を構成する複数のLEDのピッチを例えば1mmなど切りのよい数値とすることで、LEDの点灯個数により測定値の概略を知ることも可能である。
【0055】
図13は、受光器2に設けられた表示部34の更に別の実施の形態を示す模式図である。図13に示すように、本実施の形態の表示部34には複数のLEDからなる入光位置表示部35及び測定位置表示部36が寸法測定範囲の延長上に平行に配列している。
【0056】
入光位置表示部35を構成する各LEDは、測定対象物により遮光されず、平行光が入射するCCD29の画素位置に対応したLEDが点灯する。一方、測定位置表示部36を構成する各LEDは、設定された動作モードに対応した測定領域、すなわち実際に得られている測定値に対応したLEDが点灯する。図13の例の場合、動作モードとして遮光幅測定モードが選択されており、寸法測定範囲の一端から2つ目のエッジ位置までの距離が測定値として出力されている。このような構成により、測定対象物により遮光されている領域と、実際に測定している領域を同時に確認することができる。また、入光位置表示部35の発光色を例えば赤色にし、測定位置表示部36の発光色を緑色にするなど、夫々の発光色を異ならせることによりユーザによる混同を防ぐことができる。
【0057】
次に、エッジ位置を検出するための測定用閾値P1の設定について詳細に説明する。一般に、透過型の寸法測定装置の測定用閾値P1は非遮光状態における受光量に対して、25%の受光量となる高さ位置に設定される。図14に示す受光量分布W1は投光器1と受光器2が比較的近接して配置された場合の受光量分布を示し、受光量分布W2は投光器1と受光器2が比較的離れて配置された場合の受光量分布を示している。図14に示すように受光量分布W1とW2の交点は測定用閾値P1(25%)にほぼ一致する。これは投光器1と受光器2が設置される相対距離に依存せず、同じ画素位置をエッジ位置として検出可能であることを意味する。したがって、測定用閾値P1が上述した25%点に設定されている場合、投光器1と受光器2の相対距離に依存せず、常に同一のエッジ位置が測定できるため、一般的には測定用閾値P1は非遮光状態の25%の受光量となる高さ位置に固定されている。
【0058】
本実施の形態では測定用閾値P1の高さ位置を変更可能としている。そのため、測定用閾値P1を変更した場合、投光器1と受光器2の相対距離に依存して僅かに検出されるエッジ位置にズレが発生する虞がある。しかし、ユーザの使用環境あるいは測定対象物の透明度によっては25%位置に設定された測定用閾値P1では、そもそも測定対象物のエッジ位置のみを適切に検出することができない場合がある。
【0059】
例えば、透過型の寸法測定装置では、透明度の高い測定対象物の測定を行うことがある。このような透明度の高い測定対象物は、遮光領域の光が受光器2にある程度入光してしまうため、寸法測定を行うためのエッジ位置を適切に検出することができないことがある。図15はCCD29から出力された受光量分布の一例を示す図である。横軸はCCD29の画素の配置位置、縦軸は各画素が受光した受光量を示している。また、R1は非透明体による遮光領域、R2は透明体による遮光領域である。図15に示すように、非透明体による遮光領域は測定用閾値P1により検出可能だが、透明体による遮光領域R2は測定用閾値P1では検出できない。そこで、測定用閾値P1をP1よりも高いP1'に変更することにより、透明体による遮光領域をエッジ位置として確実に検出することができる。
【0060】
しかし、測定用閾値P1を高くしすぎると、図16に示すように、ノイズ要因の多い使用環境下では、ノイズを誤って検出してしまうことがある。図16は、ノイズにより受光量が減少した画素位置を測定用閾値P1’により誤ってエッジ位置として検出してしまっている場合の受光量分布の一例を示す図である。このような場合は、測定用閾値P1’をノイズの影響を受けない低い値に更に変更する必要がある。
【0061】
本実施の形態では、ユーザの使用環境(ノイズ要因)や測定したい測定対象物の透明度等に応じて、測定用閾値P1を変更可能としているため、適切に測定用閾値P1が設定されていれば、ノイズの影響を受けず、且つ様々な透明度の測定対象物のエッジ位置を検出することができる。測定用閾値P1を変更することによってエッジ位置にズレが発生する虞はあるものの、ユーザの精度要求(公差範囲の幅)によってはこの僅かな位置ズレは問題とならないことがある。また、投光器1と受光器2の相対距離関係は一度固定された後、多くの場合、変更されることは少ない。したがって、測定値が実際値に対して僅かに乖離していたとしても測定値自体が変動することはなく、例えば寸法精度が保証された測定対象物の測定値からの変動幅に基づいてOK/NG判定を行う場合は、このエッジ位置のズレは全く問題とならない。
【0062】
図17は測定対象物が透明体である場合の入光位置表示部35及び測定位置表示部36の点灯パターンを示す模式図である。図17(a)は透明体により遮光される光が少なく、透明体のエッジ位置が適切に検出できていない場合の一例を示している。この状態では入光位置表示部35が全て点灯し、測定位置表示部36が全て消灯しており、ユーザは現在の測定用閾値P1の設定では、測定しようとする透明体のエッジ位置が検出できていないことが確認できる。図17(b)は、コントローラ3に設けられたSW44が操作され、測定用閾値P1がP1よりも高い値に変更された場合の入光位置表示部35及び測定位置表示部36の点灯パターンを示す模式図である。測定用閾値P1を変更したことにより、遮光幅を測定する動作モードにおいて遮光領域に対応した測定位置表示部36が点灯し、透明体のエッジ位置検出が可能となったことが分かる。なお、本実施の形態では入光位置表示部35を点灯させる入光表示用閾値P2が測定用閾値P1と同一である場合の例を示しているため、入光位置表示部35は遮光領域部分について消灯している。
【0063】
このように、本実施の形態では、測定用閾値P1を変更する必要があった場合に、入光位置表示部35及び測定位置表示部36を確認しながら測定用閾値P1の変更が行えるため、容易に適切な測定用閾値P1の設定が可能となる。
【0064】
入光位置表示部35を点灯させるための入光表示用閾値P2は、測定用閾値P1と同一であっても良いが、別であってもよい。図18は入光位置表示部35及び測定位置表示部36及び受光器2の受光量分布の比較図である。図18の例では、入光位置表示部35を点灯させるための入光表示用閾値P2が測定用閾値P1とは別に設定された場合の例を示している。測定対象物により遮光された遮光領域の受光量は測定用閾値P1及び入光表示用閾値P2の閾値を下回っている。一方、塵による遮光領域の受光量は入光表示用閾値P2は下回っているものの、測定用閾値P1を下回っていないため、塵による遮光領域に対応する入光位置表示部35は消灯するものの、測定用のエッジ位置としては検出されない。したがって、塵による遮光領域は測定位置表示部36の点灯パターン及び測定値に一切反映されない。このように、入光表示用閾値P2を測定用閾値P1よりも高い値に設定することにより、異常な測定値が出力される前に、塵や汚れによる受光量の減少及びその具体的な箇所が分かる。したがって、ユーザが適切な時期にメンテナンスをすることが可能になる。
【0065】
本実施の形態では、入光位置表示部35を構成する複数のLEDと測定位置表示部36を構成する複数のLEDを二列に並べて配置したが、必ずしもこのような配置である必要はなく、寸法測定方向に一列に配置した複数のLEDに入光位置表示部35と測定位置表示部36の両方の機能を包含させることも可能である。図19は表示部42の変形例を示す図である。図19の例では、二色に発光するLEDを用いて、入光領域に対応したLEDを例えば赤色で発光させ、動作モードに対応した測定領域を入光領域とは別色である緑色で点灯させている。図19の例では寸法測定範囲の一端から最初のエッジ位置と最後のエッジ位置の間を測定する外径測定モードが選択されている。また、入光領域に対応したLEDを点灯させる第1表示パターンモードと、測定領域に対応したLEDを点灯させる第2表示パターンモードを備えて、これらを切替え可能に構成してもよく、この場合、例えば光軸調整時に第1表示モード、通常の測定時に第2表示モードに切替設定されるようにしてもよい。また、動作モードの設定時のみ第2表示モードとすることも可能である。
【0066】
なお、以上示した実施の形態はいずれも受光器2に表示部42が設けられている例を示したが、投光器1に表示部42が設けられていても良いことは云うまでもない。この場合、受光器2における受光状態を、コントローラ3を介して投光器1に通信することにより、投光器1において同様の表示が可能である。また、投光器1及び受光器2の双方に表示部42を設けることも可能である。また、測定原理としてはCCD方式に限定されず、上述したスキャン方式の透過型寸法測定器にも適用可能である。本発明はここに説明した実施例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく必要に応じて種々の変形及び変更を実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施の形態におけるシステム構成図である。
【図2】本実施の形態における投光器1、受光器2、コントローラ3の内部構成を説明するためのブロック図である。
【図3】本実施の形態における受光器2の外観斜視図である。
【図4】本実施の形態における受光器2の別の外観斜視図である。
【図5】本実施の形態における入光位置表示部35の点灯パターンの例を示す図である。
【図6】本実施の形態において光軸ずれが発生した場合の入光位置表示部35の点灯パターンの例を示す図である。
【図7】本実施の形態において光軸が完全に一致している場合の入光位置表示部35の点灯パターンの例を示す図である。
【図8】入光位置表示部35の第1の変形例を示す図である。
【図9】入光位置表示部35の第2の変形例を示す図である。
【図10】投光面又は受光面に汚れが付着している場合の入光位置表示部35の点灯パターンの例を示す図である。
【図11】各動作モードの測定領域を説明するための図である。
【図12】測定位置表示部36の点灯パターンの例を示す図である。
【図13】第2の実施の形態における入光位置表示部35、測定位置表示部36の点灯パターンの例を示す図である。
【図14】投光器1と受光器2の相対距離が異なる場合の受光量分布を示す図である。
【図15】透明体測定時の受光量分布と測定用閾値P1との関係を示す図である。
【図16】ノイズ要因の多い使用環境下での受光量分布と測定用閾値P1との関係を示す図である。
【図17】透明体測定時に測定用閾値P1を変更した場合の入光位置表示部35、測定位置表示部36の点灯パターンの変化を示す図である。
【図18】入光位置表示部35及び測定位置表示部36及び受光器2の受光量分布の比較図である。
【図19】表示部42の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 投光器
2 受光器
3 コントローラ
10 投光スリット
11 LD(レーザダイオード)
12 レーザ駆動回路
13 MCU
15 投光レンズ
20 受光スリット
21 下側ケーシング
22 前面カバー
23 上側ケーシング
29 CCD
34 表示部
35 入光位置表示部
36 測定位置表示部
37 光軸一致表示用LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を投光する投光器と、当該投光器と所定の間隔を置いて配置され、前記投光器からの光を受光する受光器とを備え、当該受光器が受光する受光量の変化に基づいて、前記投光器と前記受光器との間を通過する測定対象物の寸法を測定する透過型寸法測定装置であって、
前記投光器は、
光を発光する発光素子と当該発光素子により発光した光を平行光に変換する投光レンズとを内部に含む略直方体形状の投光器筐体と、
当該投光器筐体の底面に対して略水平方向である寸法測定方向に所定幅を有する形状を有し、前記平行光を出射する投光スリットとを備え、
前記受光器は、
光を受光する受光素子を内部に含む略直方体形状の受光器筐体と、
当該受光器筐体の底面に対して略水平方向である寸法測定方向に所定幅を有する形状を有し、前記平行光が入光する受光スリットとを備え、
前記投光器及び前記受光器の少なくともいずれか一方に、前記寸法測定方向に配列され、前記受光スリットの寸法測定方向の所定幅を分割する各領域における受光状態を各々表示する複数の表示灯からなり、前記平行光の前記受光器への入光位置を表示する受光位置表示部を備えたことを特徴とする透過型寸法測定装置。
【請求項2】
前記受光スリットは前記受光器筐体の底面から略垂直に立設した一側面に設けられ、前記受光位置表示部は前記受光器筐体の底面に対向する上面側に、前記受光位置表示部の寸法測定方向の幅が寸法測定エリアの幅と略同一となるよう設けられ、前記複数の表示灯は前記各領域に対する受光量に基づいて、各々点灯又は消灯することを特徴とする請求項1記載の透過型寸法測定装置。
【請求項3】
測定対象物による前記平行光の遮光位置に基づいて、測定値として出力する測定領域を選択する複数の動作モードの設定を受け付ける動作モード設定手段を更に備え、
前記動作モード設定手段により設定された動作モードに対応した測定値を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の透過型寸法測定装置。
【請求項4】
前記入光位置表示部と並んで配列した複数の表示灯からなる測定位置表示部を更に有し、該測定位置表示部は前記動作モード設定手段により設定された動作モードに応じて、測定値として出力する測定領域に対応した表示灯が点灯又は消灯するよう構成されていることを特徴とする請求項3に記載の透過型寸法測定装置。
【請求項5】
前記入光位置表示部は、前記動作モード設定手段により設定された動作モードに応じて、測定値として出力する測定領域に対応した表示灯が、前記平行光の入光位置にある表示灯の表示態様とは異なる表示態様で点灯するよう構成されていることを特徴とする請求項3に記載の透過型寸法測定装置。
【請求項6】
前記入光位置表示部の各表示灯を点灯させるための前記受光素子が受光する受光量の閾値が、寸法測定の基準となるエッジ位置を検出するための受光量の閾値よりも高く設定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の透過型寸法測定装置。
【請求項7】
前記投光器と前記受光器の光軸を一致させるための光軸調整モードの設定を受け付ける光軸調整モード設定手段を更に備え、
前記光軸調整モードが設定された際に、前記入光位置表示部は前記受光素子が受光する受光量のピーク位置を表示するための表示態様へ切り替わることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の透過型寸法測定装置。
【請求項8】
前記投光器と前記受光器の少なくともいずれか一方に、前記投光器と前記受光器の寸法測定エリア内の光軸が一致しているか否かを示す光軸一致表示部を更に備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の透過型寸法測定装置。
【請求項9】
前記基準面と対向する上面と、前記投光スリット及び/又は受光スリットが形成された前面との角部に斜面部が形成され、
前記斜面部に前記入光位置表示部が形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の透過型寸法測定装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−256149(P2010−256149A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105969(P2009−105969)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】