説明

通信システム、加入者側終端装置および通信方法

【課題】データ伝送の遅延を抑制することができる通信システムを得ること。
【解決手段】OLTと、OLTと接続するONUと、無線LAN端末と、を備え、OLTとONUがPONシステムを構成し、ONUが無線LAN端末と無線通信を行う通信システムであって、ONUは、上りデータの送信要求を無線LAN端末から受信した場合に、OLTに当該上りデータの送信許可要求を送信する通信要求情報生成部28と、OLTから通知された、当該上りデータの光送信許可時間帯に基づいて、無線LAN端末に自装置への前記上りデータの送信を許可する無線送信許可時間帯を決定して通知する通信許可情報解析部22と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、加入者側終端装置および通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクセスネットワークシステムの宅内装置に無線LAN(Local Area Network)システムを接続する場合、宅内装置が無線LAN基地局を内蔵する。アクセスネットワークシステムが、PONシステムの場合、宅内装置であるONU(Optical Network Unit)が無線LAN基地局を内蔵する。そして、PONシステムと無線LANシステムは、それぞれ独立して通信制御を行っている。PONシステムでは、下記非特許文献1に示すようにOLT(Optical Line Terminal)が各ONUとの間の通信制御を実施している。
【0003】
一方、無線LANの高速化が進んでおり、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11 VHT(Very High Throughput)として、1Gbps以上の高速伝送を実現する60GHz帯無線LANシステムが検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】IEEE,“IEEE802.3 2008(64. Multipoint MAC Control)”,2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、PONシステム内の伝送速度に比べ、無線LANシステム内の伝送速度は低く、PONシステムと無線LANシステムを接続する場合に、PONシステムと無線LANシステムが独立して通信制御を行っていても処理遅延等は問題とならなかった。しかしながら、PONシステムが、上述の60GHz帯無線LANシステムのようにPONシステムと同等な伝送速度の無線LANシステムと接続する場合、PONシステムと無線LANシステムが独立して通信制御を行うと、ONUではある程度の期間送受信データを一旦蓄積する必要がある。そのため、データ伝送に遅延が生じる可能性がある、という問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、PONシステムに高速無線LANシステムを接続する場合に、データ伝送の遅延を抑制することができる通信システム、加入者側終端装置および通信方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、局側終端装置と、前記局側終端装置と接続する加入者側終端装置と、無線端末と、を備え、前記局側終端装置と前記加入者側終端装置とがPONシステムを構成し、前記加入者側終端装置が前記無線端末と無線通信を行う通信システムであって、前記加入者側終端装置は、前記局側終端装置へ送信する上りデータの送信要求を前記無線端末から受信した場合に、前記上りデータを自装置から前記局側終端装置へ転送するための送信許可要求を前記局側終端装置へ送信する光通信要求部と、前記局側終端装置から通知された、前記上りデータを自装置から前記局側終端装置へ送信するために許可された光送信許可時間帯に基づいて、前記無線端末に自装置への前記上りデータの送信を許可する無線送信許可時間帯を決定し、前記無線送信許可時間帯を前記上りデータの送信を要求した前記無線端末へ通知する通信許可解析部と、を備え、前記局側終端装置は、前記送信許可要求に基づいて前記光送信許可時間帯を割当て、前記光送信許可時間帯を前記加入者側終端装置へ通知する送信許可部と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、PONシステムに高速無線LANシステムを接続する場合に、データ伝送の遅延を抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施の形態1の通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1のOLTの機能構成例を示す図である。
【図3】図3は、実施の形態1のONUの機能構成例を示す図である。
【図4】図4は、実施の形態1の無線LAN端末の機能構成例を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態1の無線LAN端末に対するオートディスカバリ処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【図6】図6は、実施の形態1の論理リンク確立後の上り通信手順の一例を示すシーケンス図である。
【図7】図7は、実施の形態2の通信システムの起動動作の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる通信システム、加入者側終端装置および通信方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる通信システムの実施の形態1の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の通信システムは、OLT(局側終端装置)1と、光カプラ2と、光ファイバ3と、ONU(加入者側終端装置)4−1〜4−n(nは1以上の整数)と、無線LAN端末(無線端末)5−1〜5−4と、で構成される。
【0012】
ONU4−1〜4−nは、光ファイバ3および光カプラ2を解してOLT1に接続している。また、ONU4−1,4−2は、無線LAN基地局としての機能も有している。ONU4−1は、無線LAN端末5−1,5−2と接続し、ONU4−2は、無線LAN端末5−3,5−4と接続している。なお、図1で示した通信システムの構成は一例であり、各ONUに接続する無線LAN端末の数は図1の例に限らず、何台としてもよい。
【0013】
OLT1と、ONU4−1〜4−nと、は、PONシステムを構成し、OLT1は、自装置とONU4−1〜4−nとの間の送受信のタイミング制御(PON制御)を行う。また、ONU4−1と無線LAN端末5−1,5−2は、ONU4−1を無線LAN基地局とする無線LANシステムを構成する。同様に、ONU4−2と無線LAN端末5−3,5−4は、ONU4−2を無線LAN基地局とする無線LANシステムを構成する。
【0014】
図2は、本実施の形態のOLT1の機能構成例を示す図である。OLT1は、送信許可情報生成部(送信許可部)10と、送信フレーム多重部11と、E/O(電気/光変換機能部)12と、O/E(光/電気変換機能部)13と、フレーム識別部14と、送信要求情報解析部15と、フレーム受信部16と、LLID(Logical Link IDentifier)振り分け部17と、フレーム並べ替え部18、フレーム送信部19と、を備える。
【0015】
E/O13は、ONU4−1〜4−nから光信号として受信したフレームを電気信号に変換する。フレーム識別部14は、電気信号に変換されたフレームが、ONU4−1〜4−nと自身との間の通信制御(帯域割当て制御等)に用いられる制御フレームであるか、自身が上位装置等へ転送すべきユーザフレームであるかを識別し、制御フレームを送信要求情報解析部15へ出力し、ユーザデータをフレーム送信部19へ格納する。フレーム送信部19はユーザデータを上位装置等へ送信する。
【0016】
送信要求情報解析部15は、制御フレームとして受信するONU4−1〜4−nからの送信要求を解析し、解析結果を送信許可情報生成部10へ出力する。送信許可情報生成部10は、当該解析結果に基づいてONU4−1〜4−nに対する送信許可時間帯を決定し、決定した送信許可時間帯を通知するための制御フレーム(例えば、GATEフレーム)送信フレーム多重部11へ出力する。
【0017】
フレーム受信部16は、上位装置等から下りユーザフレームを受信し、LLID振り分け部17へ出力する。LLID振り分け部17は、下りユーザフレームをLLIDごとに振り分け、フレーム並び替え部18へ出力する。フレーム並び替え部18は、受けとったフレームを並び替えて送信フレーム多重部11へ出力する。送信フレーム多重部11は、フレーム並び替え部18から受け取ったフレームと、送信許可情報生成部10から受け取ったフレームと、を多重してE/O12へ出力する。E/O12は、電気信号である多重したフレームを光信号に変換してONU4−1〜4−nへ送信する。
【0018】
図3は、本実施の形態のONU4−1,4−2の機能構成例を示す図である。ONU4−1,4−2は、それぞれ、O/E20と、フレーム識別部21と、通信許可情報解析部(通信許可解析部)22と、無線制御部23と、無線MACフレーム生成部24と、送信アンテナ25と、受信アンテナ26と、無線MACフレーム変換部27と、通信要求情報生成部(光通信要求部)28と、フレーム多重部29と、E/O30と、下りフレームバッファ31と、上りフレームバッファ32と、を備える。
【0019】
O/E20は、OLT1から光信号として送信されたフレームを電気信号に変換し、フレーム識別部21は、電気信号に変換されたフレームが、OLT1と自身との間の通信制御に用いられる制御フレームであるか、自身がユーザ装置(例えば無線LAN端末5−1〜5−4等)へ転送すべきユーザフレームであるかを識別し、制御フレームを通信許可情報解析部22へ出力し、ユーザデータを下りフレームバッファ31へ格納する。
【0020】
無線MACフレーム生成部24は、下りフレームバッファ31に格納されたユーザデータを無線MACフレームに変換し、通信許可情報解析部22からの指示に基づいて送信アンテナ25経由で配下の無線LAN端末へ無線MACフレームを無線信号として送信する。また、無線制御部23は、通信許可情報解析部22からの指示に基づいて送信アンテナ25および受信アンテナ26のビーム角度(指向方向)を制御する。
【0021】
無線MACフレーム変換部27は、受信アンテナ26経由で配下の無線LAN端末から受信した無線MACフレームをPONシステム内で使用するフレームに変換し、上りフレームバッファ32に格納する。また、無線MACフレーム変換部27は、受信した無線MACフレームが無線LAN端末との間の無線通信制御に用いる制御フレームであった場合は、当該制御フレームを通信許可情報解析部22および無線制御部23へ出力する。
【0022】
通信要求情報生成部28は、上りフレームバッファ32に格納されているユーザフレームの蓄積量に基づいて、上り方向の送信許可を要求するフレームを生成し、フレーム多重部29へ出力する。フレーム多重部29は、上りフレームバッファ32から出力されるユーザデータと通信要求情報生成部28から出力されるフレームとを多重してE/O30へ出力する。E/O30は、多重されたフレームを光信号に変換してOLT1へ送信する。
【0023】
通信許可情報解析部22は、OLT1から送信された制御フレームによって許可された送信許可時間帯に基づいて、上りフレームバッファ32に対して格納されている上りユーザフレームをフレーム多重部29へ出力するよう指示する。
【0024】
図4は、本実施の形態の無線LAN端末5−1〜5−4の機能構成例を示す図である。無線LAN端末5−1〜5−4は、それぞれ、受信アンテナ40と、フレーム識別部41と、無線送信許可情報解析部42と、下りバッファ部43と、ユーザインタフェース出力部44と、ユーザインタフェース入力部45と、上りバッファ部46と、送信アンテナ47と、無線通信要求情報生成部48と、を備える。
【0025】
フレーム識別部41は、受信アンテナ40経由でONU(ONU4−1またはONU4−2)から受信した無線MACフレームが、自身とONUとの間の無線通信制御に用いる制御フレームであるか、ユーザフレームであるか、を識別し、制御フレームを無線送信許可情報解析部42へ出力し、ユーザフレームを下りバッファ部43へ格納する。ユーザインタフェース出力部44は、下りバッファ部43に格納されたユーザデータに対して所定の出力処理等を実施する。
【0026】
ユーザインタフェース入力部45は、ユーザデータの入力を受付け、受け付けたユーザデータを上りバッファ部46へ格納する。無線送信許可情報解析部42は、受信した制御フレームにより通知された送信許可時間帯に基づいて、上りバッファ部46へユーザデータの出力を指示する。上りバッファ部46は、無線送信許可情報解析部42からの指示に基づいてユーザデータを送信アンテナ47経由でONUへ送信する。また、無線送信許可情報解析部42は、送信先または受信元の情報に基づいて、送信アンテナ47および受信アンテナ40のビーム角度制御を実施する。
【0027】
無線通信要求情報生成部48は、上りバッファ部46へのユーザデータの蓄積量に基づいてユーザデータの送信のための無線リソースを要求する制御メッセージを送信アンテナ47経由でONUへ送信する。
【0028】
つぎに、本実施の形態の動作について説明する。なお、本実施の形態の無線LANシステムでは、どのような通信方式を用いてもよいが、ここでは例えば60GHz帯無線LAN通信のような高速無線LAN通信方式を用いる場合を例に説明する。なお、本実施の形態では、ONU4−1,4−2が配下の無線LAN端末5−1〜5−4とが無線LANシステムを構成する場合を例に説明するが、無線LANシステムは無線通信システムの一例であり、無線LANシステム以外の無線通信システムとしてもよい。
【0029】
60GHz帯無線LAN通信では、指向性の高い周波数帯を使用するため、送受信アンテナの指向方向(ビーム角度)の制御を行う。そのため、無線LAN基地局が無線LAN端末との間の送受信のタイミングを制御し、時分割多重による通信が行われると想定される。60GHz帯無線LAN通信のビーム角度制御方法や送受信のタイミング制御方法などは検討中であり、定まっていないため、ここでは、送受信のタイミング制御方法は、IEEE802.11で標準化されているPCF(PointCoordination Function)(IEEE802.11 2007(9.1.2 PCF)参照)を用いる場合を例に説明する。
【0030】
なお、本実施の形態の動作は、時分割多重による無線LAN通信方式が行なわれる場合に高い効果が現れるが、時分割多重以外の無線LAN通信方式を用いる場合に本実施の形態の動作を適用してもよい。
【0031】
まず、起動動作として、無線LAN端末5−1〜5−4がONU4−1またはONU4−2を経由してOLT1と通信可能な状態となるまでの動作を説明する。OLT1は、従来のPONシステムと同様に、IEEE802.3の規定に基づいて、ONU4−1〜4−nに対してオートディスカバリにおけるレンジングを行う。なお、オートディスカバリとは、OLTがONUを検出するための機能である。また、レンジングは、OLT1が各ONU4−1〜4−nとの間の伝送時間を計測する処理であり、このレンジング結果を用いて、OLT1はONU4−1〜4−nとの間の送受信タイミングを制御する。
【0032】
本実施の形態では、このPONシステムのオートディスカバリ機能を拡張し、OLT1は無線LAN端末に対するディスカバリ処理を行う。図5は、本実施の形態の無線LAN端末に対するオートディスカバリ処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【0033】
まず、OLT1との無線LAN端末5−1〜5−4と間のディスカバリ処理の前に、ONU4−1,4−2が配下の無線LAN端末識別を行う。具体的には、図5に示すように、ONU4−1では、無線MACフレーム生成部24が、配下の端末を検出するためのMAC管理フレームを生成し、MAC管理フレームを送信アンテナ25経由で送信する(ステップS11)。なお、図5では、一例として、無線LAN端末5−1がONU4−1を経由してOLT1と接続する場合を示している。また、図5の例では、ONU4−1については、従来のPONシステムと同様の手順でオートディスカバリ処理が実施済みであるとする。
【0034】
無線LAN端末では、受信したMAC管理フレームに対する応答であるACKフレームを返送する(ステップS12)。具体的には、フレーム識別部41が受信アンテナ40経由で当該MAC管理フレームを受信すると、当該MAC管理フレームを無線送信許可情報解析部42へ出力する。無線送信許可情報解析部42は、受信したMAC管理フレームに対するACKフレームを生成して、上りバッファ部46および送信アンテナ47経由でONU4−1へ送信する。なお、60GHz帯無線LAN通信の場合、各アンテナのビーム角度制御が必要であるが、無線LAN端末を検出するまではアンテナ方向が定まらないため、ステップS11では60GHz帯以外の周波数帯でMAC管理フレームを送信してもよい。ステップS11のMAC管理フレームも60GHz帯で送信する場合には、例えばビーム角度を変更しながら各方向に対してMAC管理フレームを送信するようにする。
【0035】
ステップS12で送信するACKフレームには、無線LAN端末5−1の識別情報等が含まれている。したがって、ACKフレームを受信することにより、ONU4−1は配下の無線LAN端末5−1を識別する(ステップS13)。具体的には、無線MACフレーム変換部27が受信アンテナ26経由でACKフレームを受信すると、通信許可情報解析部22および無線制御部23へ出力する。そして、無線制御部23および通信許可情報解析部22が、無線LAN端末5−1の識別情報を保持する。
【0036】
なお、ステップS11,ステップS12は、従来の無線LAN技術(例えば、IEEE802.11に基づく無線LAN技術)で規定されている無線LAN端末の起動処理と同様である。また、ステップS11で送信するMAC管理フレームおよびステップS12で送信するACKフレームは、従来の無線LAN技術で規定されているフレームと同様である。
【0037】
一方、OLT1は、PONシステムのオートディスカバリと同様にDiscovery Gateメッセージを送信する(ステップS14)。具体的には、送信許可情報生成部10が、Discovery Gateメッセージを生成し、送信フレーム多重部11およびE/O12経由でONU4−1へ当該Discovery Gateメッセージを送信する。
【0038】
ONU4−1は、それに対する応答としてRegister RequestメッセージをOLT1へ送信することにより、無線LAN端末5−1に対応する論理リンクの割当てを要求する(ステップS15)。具体的には、ONU4−1の通信許可情報解析部22が、O/E20およびフレーム識別部21経由でDiscovery Gateメッセージを受信すると、通信要求情報生成部28へRegister Requestメッセージの生成を指示し、通信要求情報生成部28が、指示に基づいてRegister Requestメッセージの生成をフレーム多重部29およびE/O30経由でOLT1へ送信する。
【0039】
OLT1では、Register Requestメッセージを受信すると、その要求に基づいて論理リンクID(LLID)を予約する。そして、予約した論理リンクIDをRegisterメッセージに入れてONU4−1へ通知する(ステップS16)。
【0040】
その後、OLT1は、(無線LAN端末5−1の論理リンクID確保のための)ONU4−1からのRegister ACKメッセージ送信に対して許可する上り帯域(送信許可時間帯)を通知するNormal GATEメッセージを送信する(ステップS17)。ONU4−1は、Normal GATEにより指定された送信許可時間帯でRegister ACKメッセージを送信する(ステップS18)。また、ONU4−1は、Registerメッセージにより通知された論理リンクIDを設定し、配下の無線LAN端末5−1との対応付けを行う(ステップS19)。OLT1がRegister ACKメッセージを受信すると、当該論理リンク(無線LAN端末5−1に対応する論理リンク)が確定(論理リンク確立)し、当該論理リンクの通信が開始可能となる(ステップS20)。
【0041】
つぎに、論理リンク確立後の上り通信動作を説明する。図6は、論理リンク確立後の上り通信手順の一例を示すシーケンス図である。この例では、ONU4−1の配下の無線LAN端末5−1,5−2がそれぞれ、上述の起動動作を実施し、それぞれに対応する論理リンクが確立しているとする。また、無線LAN端末5−1,5−2ともに上りユーザデータが上りバッファ部46に蓄積しており、無線通信要求情報生成部48が、制御フレームによりONU4−1に対して無線リソースの割当てを要求済みであるとする。そして、ONU4−1では、通信要求情報生成部28が、受信アンテナ26および無線MAC制御フレーム変換部27経由で無線LAN端末5−1,5−2からユーザデータの送信のための無線リソースの割当て要求を受信し、当該割当て要求に基づいてOLT1に対して、上り通信の帯域割当てを要求する帯域割当て要求フレームを送信済みであるとする。帯域割当て要求フレームは、LLIDごと(すなわち無線LAN端末5−1,5−2ごと)に送信する。
【0042】
OLT1は、ONU4−1から受信した帯域割当て要求フレームに基づいて、送信許可情報生成部10が、LLIDごとに送信許可時間帯を割当て、LLIDごとに送信許可時間帯を通知するGATEフレームを送信する。ここでは、OLT1では、無線LAN端末5−1に対応するLLIDに対する送信許可時間帯の後に、無線LAN端末5−2に対応するLLIDに対する送信許可時間帯を割当てたとする。この場合、OLT1は、ONU4−1に対して、無線LAN端末5−1に対応するLLIDに対して割当てた送信許可時間帯(光送信許可時間帯)T1の送信を許可する送信許可情報を例えばGATEフレームによりONU4−1へ通知する(ステップS21)。
【0043】
ONU4−1は、無線LANビーコン信号を送信するとともに(ステップS22,ステップS23)、無線LAN端末5−1へ無線送信許可時間帯を通知するCF(Contention Free)−Poll#1を送信する(ステップS24)。具体的には、通信許可情報解析部22が、OLT1から受信した送信許可に基づいて、光送信許可時間帯T1内に無線LAN端末5−1から受信したユーザデータを光信号に変換して送信可能なように無線LAN端末5−1に無線送信許可時間帯t1を割当てる。具体的には、例えば、無線送信許可時間帯t1の開始時間については、光送信許可時間帯T1の開始時間と同一でもよい。例えば、無線送信許可時間帯t1の終了時間については、光送信許可時間帯T1の終了時間より所定の時間だけ前となるようにする。この所定の時間は、無線LAN端末5−1からONU4−1までの伝送時間とONU4−1から無線LAN端末5−1からの無線信号を受信してから当該無線信号を光信号としてOLT1へ送信するまでの処理時間とを加算した時間以上とする。
【0044】
無線LAN端末5−1は、受信したCF−Poll#1で指定された無線送信許可時間帯t1で、送信フレーム#1および送信フレーム#2を送信する(ステップS24,S25)。具体的には、無線送信許可情報解析部42が、受信アンテナ40およびフレーム識別部41経由で受信したCF−Pollに格納された無線送信許可時間帯t1内でユーザデータを送信するよう上りバッファ部46へ指示し、上りバッファ部46が送信アンテナ47経由で蓄積していたユーザデータを送信する。そして、ONU4−1が、これらの受信したフレームを光信号に変換して送信許可時間帯T1内にOLT1へ送信する(ステップS26,S27)。
【0045】
同様に、OLT1は、ONU4−1に対して、無線LAN端末5−2に対応するLLIDに対して割当てた送信許可時間帯T2の送信を許可する送信許可情報を例えばGATEフレームによりONU4−2へ通知する(ステップS28)。ONU4−1は、送信許可時間帯T2に基づいて決定した無線送信許可時間帯t2を通知するCF(Contention Free)−Poll#2を無線LAN端末5−2へ送信する(ステップS29)。以下、無線LAN端末5−1と同様に、無線LAN端末5−2から送信フレーム#3〜送信フレーム#5の送信とONU4−1による当該フレームの中継が行なわれる(ステップS30〜ステップS35)。
【0046】
なお、上述の送信フレーム#1〜#5の送受信の際、60GHz無線LANシステムのように指向性の高い周波数を用いる通信の場合、ONU4−1との無線通信、および無線LAN端末5−2とONU4−1との無線通信では、各アンテナのビーム角度制御が行われる。ONU4−1では、通信許可情報解析部22が、LLIDと無線LAN端末5−1との対応を把握しており、無線送信許可時間帯を割当てた無線LAN端末(無線LAN端末5−1,5−2)を把握できるため、当該無線送信許可時間帯では当該無線送信許可時間帯を割当てた無線LAN端末を指向するよう無線制御部23へ指示し、無線制御部23が指示に基づいて受信アンテナ26のビーム角度を制御する。ビーム角度と無線LAN端末との対応は、60GHz無線LANシステム等の高速無線LANシステムの規定に従って把握するとする。
【0047】
また、無線LAN端末5−1,5−2では、無線送信許可情報解析部42が、CF−Pollにより指定された無線送信許可時間帯でONU4−1を指向するよう送信アンテナ47のビーム角度を制御する。
【0048】
以上のように、ONU4−1は、OLT1から通知された光送信許可時間帯に基づいて、無線LAN端末に対する無線送信許可時間帯を決定するため、無線LAN端末から受信したユーザデータを効率よくOLT1へ転送することができる。従来は、光送信許可時間帯と無線送信許可時間帯が一致しないため、無線LAN端末から受信したユーザデータを光送信許可時間帯が到来するまで上りフレームバッファ32に蓄積しておく必要があった。これに対し、本実施の形態では、光送信許可時間帯が到来するまでの待機時間がなくOLT1への伝送時間を従来に比べ低減することができる。また、上りフレームバッファ32の容量を従来に比べ削減することができる。
【0049】
さらに、ビーム角度制御を行う場合、ONU4−1は、無線LAN端末5−1,5−2からの無線送信許可時間帯をあらかじめ把握できるため効率よくビーム角度制御を行うことができる。
【0050】
また、ONU4−1は、ステップS26、S27,S33,S34,S35で送信フレーム#1〜送信フレーム#5を送信する際、フレーム多重部29が、次の送信サイクルでの送信許可を要求するための通信要求フレームと、ユーザフレームと、を多重して送信する。通信要求フレームは、通信要求情報生成部28が、上りフレームバッファ32に蓄積しているLLIDごとのユーザデータ量に基づいてLLIDごとに生成する。OLT1では、この通信要求フレームに基づいて次の送信サイクルでの送信許可時間帯を決定する。
【0051】
つぎに、下り通信について説明する。OLT1では、フレーム受信部16が受信したユーザデータは、LLID振り分け部17に出力される。LLID振り分け部17は、ユーザデータに対してフレームごとに宛先LLID(論理リンク)すなわち無線LAN端末の識別を行い、宛先LLIDごとにフレームを振り分ける。フレーム並べ替え部18は、所定の期間の間に受信したユーザデータについて、振り分け結果に基づいて、複数のフレームが存在するLLIDについては、LLIDごとにフレームが連続するよう(LLIDごとにフレームをまとめるよう)並べ替えを実施する。このように同一のLLIDの送信データをまとめることにより、ONU4−1,4−2から無線LAN端末5−1〜5−4への無線送信時のアンテナ角度の切り替え頻度を低減し、アンテナ制御のオーバヘッドを減少させることができる。
【0052】
フレーム多重部11は、フレーム並べ替え部18によりLLIDごとにまとめられたユーザデータフレームを受信すると、LLIDごとに、送信許可情報生成部10に対して、当該LLIDに対応する送信許可情報の生成を指示する。送信許可情報生成部10は、当該LLIDのONUに対する送信許可情報(送信許可時間帯を含む)を生成し、送信フレーム多重部11へ出力する。なお、送信許可情報部10は、送信要求情報解析部15から解析結果(送信要求の会席結果)に基づいて当該LLIDに対する送信許可情報を生成し、送信許可情報を格納した制御フレームである送信許可フレームを生成する。フレーム多重部11は、送信許可情報生成部10により生成された送信許可フレームと、当該LLIDに対応するユーザデータフレームと、を多重して、E/O12経由で、当該LLIDに対応するONU4−1,4−2へ送信する。
【0053】
当該LLIDに対応するONU4−1,4−2では、フレーム識別部21が、OLT1からO/E20経由でユーザデータフレームと送信許可フレームとの多重信号を受信すると、送信許可フレームを送信許可情報解析部22へ出力し、ユーザデータフレームを下りフレームバッファ31へ格納する。送信許可情報解析部22は、上述のように光送信許可時間帯に基づいて無線送信許可時間帯を決定し、決定した無線送信許可時間帯を通知するためのCS−Pollを生成するよう無線MACフレーム生成部24へ指示する。無線MACフレーム生成部24は、指示に基づいてCS−Pollを送信アンテナ25経由で宛先の無線LAN端末へ送信する。また、無線MACフレーム生成部24は下りフレームバッファ31からユーザデータフレームを読み出して、無線MACフレームに変換して、送信アンテナ25経由で宛先の無線LAN端末へ送信する。
【0054】
また、送信許可情報解析部22は、宛先の無線LAN端末を無線制御部23へ通知し、無線制御部23は、宛先の無線LAN端末に基づいて送信アンテナ25のビーム角度制御を行う。また、送信許可情報解析部22は、送信元の無線LAN端末と無線送信許可時間帯とを無線制御部23へ通知し、無線制御部23は、送信元の無線LAN端末に基づいて受信アンテナ26のビーム角度制御を行う。
【0055】
無線LAN端末5−1〜5−4では、フレーム識別部41が、受信アンテナ40を介して、ONU(ONU4−1またはONU4−2)から受信した無線MACフレームを制御フレームとユーザフレームに識別し、制御フレームを無線送信許可情報解析部42へ出力し、ユーザフレームを下りバッファ部43へ出力する。無線送信許可情報解析部42は、制御フレームに基づいて上りバッファ部46に対して上りユーザフレームの送信タイミングを指示する。下りバッファ部43に格納されたユーザフレームはユーザインタフェース出力部44を介してユーザデータとして出力される。
【0056】
なお、以上の動作では、無線LANシステム内ではPCFによる帯域割り当て制御が行われる例を説明したが、ONU4−1,4−2が、配下の無線LAN端末に対応する光送信時間帯内で、当該無線LAN端末から送信されたデータを受信してOLT1へ送信するよう制御できる帯域割当て方法であれば、無線LANシステム内の割当て方法はこれに限らずどのような帯域割割当て制御方法を用いてもよい。
【0057】
このように、本実施の形態では、ONU4−1,4−2が、配下の無線LAN端末5−1〜5−4ごとにLLIDの割当てを要求し、OLT1からLLIDごとに割当てられた光送信許可時間帯に基づいて、LLIDごとに、光送信時間帯内で当該LLIDに対応する無線LAN端末から送信されたデータを受信してOLT1へ送信できるよう当該無線LAN端末に無線送信許可時間帯を割当てるようにした。そのため、PONシステムに高速無線LANシステムを接続する場合に、データ伝送の遅延を抑制することができる。また、本実施の形態の無線LAN端末5−1〜5−4の構成は、従来の無線LAN端末の構成と同様でよい。そのため、従来の無線LAN端末に特別な機能を追加する必要がない。
【0058】
また、60GHz帯無線LANシステムでは、指向性の高い周波数帯を使用するため、アンテナ制御を行い、送信先端末宛フレーム毎に送信電波ビーム角度を制御が必要となる。同様に、フレームを受信する際にも、アンテナ制御が必要となる。従来の通信システムでは、PONシステムと無線LANシステムが独立して通信制御を行っており、ONUでの送信アンテナおよび受信アンテナの指向方向の変更の頻度を抑えるような制御はできない。そのため、ONUでの送信アンテナおよび受信アンテナのビーム制御のオーバヘッドが生じる可能性がある。
【0059】
これに対し、本実施の形態では、OLT1のフレーム並び替え部18が、LLIDごとに下りユーザフレームがまとまるように下りユーザフレームの並び替えを実施するようにした。そのため、ONU4−1,4−2には、同一の無線LAN端末に対応する下りユーザフレームがまとめて到着するようになり、アンテナのビーム角度制御を行う場合のビーム角度制御のオーバヘッドを低減することができる。
【0060】
実施の形態2.
図7は、本実施の形態の通信システムの起動動作の一例を示すシーケンス図である。本実施の形態の通信システムの構成は実施の形態1と同様である。また、本実施の形態のOLT1,ONU4−1,4−2,無線LAN端末5−1〜5−4の構成は、実施の形態1と同様である。以下、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0061】
本実施の形態の通信システムの起動動作(無線LAN端末5−1〜5−4に対応する論理リンクの確立動作)は実施の形態1と異なり、ONU4−1,4−2と配下の無線LAN端末5−1〜5−4との間の制御としてIEEE802.11などの無線LAN技術にて規定される起動処理を使用せず、IEEE802.3にて規定されるPONシステムのオートディスカバリを使用する。その後、IEEE802.3にて規定されるPONシステム同様にOLT1と無線LAN端末5−1〜5−4間でGateフレームとReportフレームを送受信し、通信をおこなう。ONU4−1〜4−2はGateフレームとReportフレームを透過転送する。
【0062】
図7に示すように、OLT1は、実施の形態1の図5で説明したステップS14と同様に、Discovery Gateメッセージを送信する(ステップS41)。ここでは、図5の場合と同様に、無線LAN端末5−1がONU4−1の配下に存在する。OLT1は、配下に接続する無線LAN端末に対して直接IEEE802.3にて規定される起動シーケンス(オートディスカバリ)を実施し、ONU4−1は起動シーケンスについて透過転送する。
【0063】
ONU4−1は、Discovery Gateメッセージを受信すると、当該Discovery Gateメッセージを無線LAN端末5−1へ転送する(ステップS42)。具体的には、通信許可情報解析部22が、O/E20およびフレーム識別部21経由でOLT1からDiscovery Gateメッセージを送信すると当該メッセージを無線LANフレーム生成部24へ出力する。また、通信許可情報解析部22は、当該Discovery Gateメッセージに含まれる、Register Requestメッセージを送信するための送信許可時間帯を保持する。
【0064】
無線LANフレーム生成部24は、当該メッセージを無線LANフレームとして成形し、送信アンテナ25経由で配下の無線LAN端末(無線LAN端末5−1を含む)へ送信する(ステップS43)。
【0065】
無線LAN端末5−1では、無線送信許可情報解析部42が、受信アンテナ40およびフレーム識別部41経由でONU4−1からDiscovery Gateメッセージを受信すると、Discovery Gateメッセージに対する応答としてRegister Requestメッセージを生成し、上りバッファ部46および送信アンテナ47経由で、Register RequestメッセージをONU4−1へ送信することにより、論理リンクの割当てを要求する(ステップS43)。
【0066】
ONU4−1では、無線MACフレーム変換部27が、Register RequestメッセージをPONシステム内で使用するフレーム形式に変換し、変換したRegister Requestメッセージを上りフレームバッファ32、フレーム多重部29およびE/O30経由でOLT1へ送信する(ステップS44)。この際、通信許可情報解析部22が、保持している送信許可時間帯内でRegister Requestメッセージを送信するよう上りフレームバッファ32に指示する。
【0067】
OLT1は、Register Requestメッセージを受信すると、実施の形態1のステップS16と同様に、その要求に基づいてLLIDを予約し、予約した論理リンクIDをRegisterメッセージに入れてONU4−1へ通知する(ステップS45)。
【0068】
ONU4−1では、Registerメッセージを受信すると、当該Register Requestメッセージを無線LAN端末5−1へ転送する(ステップS46)。具体的には、通信許可情報解析部22が、O/E20およびフレーム識別部21経由でOLT1からRegisterメッセージを送信すると当該メッセージを無線LANフレーム生成部24へ出力する。また、通信許可情報解析部22は、当該Registerメッセージに含まれるLLIDを無線LAN端末5−1の識別情報と対応付けて保持する。また、無線LANフレーム生成部24は、当該メッセージを無線LANフレームとして成形し、送信アンテナ25経由で無線LAN端末5−1へ送信する。
【0069】
また、実施の形態1のステップS17と同様に、ONU4−1からのRegister ACKメッセージ送信に対して許可する上り帯域(送信許可時間帯)を通知するNormal GATEメッセージを送信する(ステップS47)。ONU4−1は、Normal GATEメッセージを受信すると、当該Normal GATEメッセージを無線LAN端末5−1へ転送する(ステップS48)。具体的には、通信許可情報解析部22が、O/E20およびフレーム識別部21経由でOLT1からNormal GATEメッセージを送信すると当該メッセージを無線LANフレーム生成部24へ出力する。また、通信許可情報解析部22は、当該Normal GATEメッセージに含まれる送信許可時間帯をLLIDと対応付けて保持する。
【0070】
無線LAN端末5−1は、ONU4−1からRegisterメッセージおよびNomal Gateメッセージを受信すると、Registerメッセージへの応答であるRegister ACKメッセージをONU4−1へ送信する(ステップS49)。
【0071】
具体的には、無線送信許可情報解析部42が、受信アンテナ40およびフレーム識別部41経由でONU4−1からRegisterメッセージおよびNomal Gateメッセージを受信すると、Registerメッセージに対する応答としてRegister ACKメッセージを生成して上りバッファ部46へ格納する。そして、無線送信許可情報解析部42は、生成したRegister ACKメッセージを、上りバッファ部46および送信アンテナ47経由でONU4−1へ送信する。
【0072】
ONU4−1は、Register ACKメッセージを受信すると、保持している送信許可時間帯(Nomal Gateメッセージで指定された送信許可時間)内でOLT1へ転送する(ステップS50)。OLT1がRegister ACKメッセージを受信すると、当該論理リンクし、当該論理リンクの通信が開始可能となる(ステップS51)。
【0073】
論理リンク確立後の本実施の形態の上り通信動作のうち、OLT1の動作は実施の形態1と同様である。ONU4−1,4−2は、本実施の形態では、OLT1から受信した送信許可メッセージ(GATEフレーム)を、無線LANシステム内の制御フレーム(実施の形態1ではCS−Poll)の形式に変換せず、IEEE802.3にて規定される送信許可情報をそのままの形式で無線LAN端末5−1〜5−4へ送信する。
【0074】
すなわち、通信許可情報解析部22が、O/E20およびフレーム識別部21経由でOLT1から送信許可メッセージを受信すると、当該メッセージを無線LANフレーム生成部24へ出力する。また、通信許可情報解析部22は、当該送信許可メッセージに含まれる送信許可情報を対応する無線LAN端末の識別情報と対応付けて保持する。そして、また、無線LANフレーム生成部24は、当該メッセージを無線LANフレームとして成形し、送信アンテナ25経由で宛先の無線LAN端末へ送信する。このようにして、実施の形態1のCS−Pollの代わりに、OLTから受信した送信許可メッセージをそのままの形式で送信する。
【0075】
無線LAN端末5−1〜5−4では、無線送信許可情報解析部42が、IEEE802.11など無線LAN技術にて規定される無線送信許可情報でなく、IEEE802.3にて規定される送信許可メッセージに含まれる送信許可情報に基づいて、上りバッファ部46へ対して読み出しと送信タイミングを通知する。その他の動作は、実施の形態1と同様である。なお、この際、送信許可メッセージに格納される送信許可情報には、光送信許可時間帯が含まれている。したがって、無線LAN端末5−1〜5−4の無線送信許可情報解析部42は、自端末から無線通信相手のONU4−1,4−2までの伝送時間と無線通信相手のONU4−1,4−2内での処理時間とを考慮して、無線通信相手のONU4−1,4−2から送信されるユーザフレームが光送信許可時間帯で送信されるようなタイミングで送信する。
【0076】
また、OLT1は、PONシステムでは、ONU4−1〜4−nとの間の往復時間を考慮して送信許可時間帯を割当てるが、この代わりに、無線LAN端末5−1〜5−3との間の往復時間(無線LAN端末5−1〜5−4の無線送信許可情報解析部42は、自端末から無線通信相手のONU4−1,4−2までの伝送時間と無線通信相手のONU4−1,4−2内での処理時間とを含む)を計測し、無線LAN端末5−1〜5−3との間の往復時間に基づいて、対応するLLIDに割当てる送信許可時間帯を決定してもよい。この場合は、無線LAN端末5−1〜5−4では、自端末から無線通信相手のONU4−1,4−2までの伝送時間と無線通信相手のONU4−1,4−2内での処理時間とを考慮する必要はない。
【0077】
また、ONU4−1,4−2の通信許可情報解析部22が、O/E20およびフレーム識別部21経由でOLT1から送信許可メッセージを受信すると、当該メッセージを無線LANフレーム生成部24へ出力する際に、実施の形態1と同様に光送信許可時間帯と所定の時間(無線LAN端末から自装置までの伝送時間と自装置での処理時間)とに基づいて無線送信許可時間帯を決定し、当該メッセージの光送信許可時間帯を無線送信許可時間帯に書き換えて出力するようにしてもよい。
【0078】
また、ここでは、無線LAN端末5−1〜5−4からの帯域割当要求の方法については、実施の形態1と同様としたが、帯域割当要求についてもIEEE802.3にて規定される帯域割当要求メッセージを無線LAN端末5−1〜5−4を送信するようにしてもよい。
【0079】
本実施の形態の下り通信動作については、実施の形態1と同様である。また、以上述べた以外の本実施の形態の動作は、実施の形態1と同様である。
【0080】
このように、本実施の形態では、無線LAN端末5−1〜5−4がIEEE802.3で規定されるPONシステムの接続手順の際に用いられるメッセージ(以下、接続制御メッセージという)と送信許可メッセージとを解釈する機能を有し、ONU4−1,ONU4−2は、OLT1から受信した接続制御メッセージおよび送信許可メッセージを無線LANシステムでのメッセージに変換せずに、そのままの形式で無線LAN端末5−1〜5−4へ送信するようにした。そのため、データ伝送の遅延を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明にかかる通信システム、加入者側終端装置および通信方法は、PONシステムと高速無線LANシステムとを備える通信システムに有用であり、特に、指向性の周波数帯を用いる高速無線LANシステムを備える通信システムに適している。
【符号の説明】
【0082】
1 OLT
2 光カプラ
3 光ファイバ
4−1〜4−n ONU
5−1〜5−4 無線LAN端末
10 送信許可情報生成部
11 送信フレーム多重部
12,30 E/O
13,20 O/E
14,21,41 フレーム識別部
15 送信要求情報解析部
16 フレーム受信部
17 LLID振り分け部
18 フレーム並び替え部
19 フレーム送信部
22 通信許可情報解析部
23 無線制御部
24 無線MACフレーム生成部
25,47 送信アンテナ
26,40 受信アンテナ
27 無線MACフレーム変換部
28 通信要求情報生成部
29 フレーム多重部
31 下りフレームバッファ
32 上りフレームバッファ
42 無線送信許可情報解析部
43 下りバッファ部
44 ユーザインタフェース出力部
45 ユーザインタフェース入力部
46 上りバッファ部
48 無線通信要求情報生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局側終端装置と、前記局側終端装置と接続する加入者側終端装置と、無線端末と、を備え、前記局側終端装置と前記加入者側終端装置とがPONシステムを構成し、前記加入者側終端装置が前記無線端末と無線通信を行う通信システムであって、
前記加入者側終端装置は、
前記局側終端装置へ送信する上りデータの送信要求を前記無線端末から受信した場合に、前記上りデータを自装置から前記局側終端装置へ転送するための送信許可要求を前記局側終端装置へ送信する光通信要求部と、
前記局側終端装置から通知された、前記上りデータを自装置から前記局側終端装置へ送信するために許可された光送信許可時間帯に基づいて、前記無線端末に自装置への前記上りデータの送信を許可する無線送信許可時間帯を決定し、前記無線送信許可時間帯を前記上りデータの送信を要求した前記無線端末へ通知する通信許可解析部と、
を備え、
前記局側終端装置は、
前記送信許可要求に基づいて前記光送信許可時間帯を割当て、前記光送信許可時間帯を前記加入者側終端装置へ通知する送信許可部と、
を備える、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記加入者側終端装置は、前記無線通信において規定される帯域割当通知手順に従って前記無線送信許可時間帯を前記上りデータの送信を要求した前記無線端末へ通知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記加入者側終端装置は、前記局側終端装置から受信した前記光送信許可時間帯を通知するためのPONシステム内のメッセージ形式を用いて、前記無線送信許可時間帯を前記上りデータの送信を要求した前記無線端末へ送信し、
前記無線端末は、
前記メッセージ形式で送信されたメッセージを解析して前記無線送信許可時間帯を抽出する無線送信許可情報解析部、
を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記光通信要求部は、前記無線端末ごとに論理リンク識別子の割当てを要求する、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記無線通信を、送信アンテナおよび受信アンテナの指向制御を伴う高速無線通信とする、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の通信システム。
【請求項6】
前記加入者側終端装置は、
配下の前記無線端末ごとに割当てた前記無線送信許可時間帯に基づいて、受信アンテナの指向制御を行う無線制御部、
をさらに備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記局側終端装置は、同一の前記無線端末宛の下りデータフレームが複数存在する場合は、同一の前記無線端末宛の下りデータフレームが連続して送信されるように前記無線端末宛の下りデータフレームを並べ替えるフレーム並び替え部、
をさらに備える、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の通信システム。
【請求項8】
局側終端装置と、前記局側終端装置と接続する加入者側終端装置と、無線端末と、を備え、前記局側終端装置と前記加入者側終端装置とがPONシステムを構成し、前記加入者側終端装置が前記無線端末と無線通信を行う通信システムにおける加入者側終端装置であって、
前記加入者側終端装置は、
前記局側終端装置へ送信する上りデータの送信要求を前記無線端末から受信した場合に、前記上りデータを自装置から前記局側終端装置へ転送するための送信許可要求を前記局側終端装置へ送信する光通信要求部と、
前記局側終端装置から通知された、前記上りデータを自装置から前記局側終端装置へ送信するために許可された光送信許可時間帯に基づいて、前記無線端末に自装置への前記上りデータの送信を許可する無線送信許可時間帯を決定し、前記無線送信許可時間帯を前記上りデータの送信を要求した前記無線端末へ通知する通信許可解析部と、
を備える、
ことを特徴とする加入者側終端装置。
【請求項9】
局側終端装置と、前記局側終端装置と接続する加入者側終端装置と、無線端末と、を備え、前記局側終端装置と前記加入者側終端装置とがPONシステムを構成し、前記加入者側終端装置が前記無線端末と無線通信を行う通信システムにおける通信方法であって、
前記加入者側終端装置が、前記局側終端装置へ送信する上りデータの送信要求を前記無線端末から受信した場合に、前記上りデータを自装置から前記局側終端装置へ転送するための送信許可要求を前記局側終端装置へ送信する光通信要求ステップと、
前記加入者側終端装置が、前記局側終端装置から通知された、前記上りデータを自装置から前記局側終端装置へ送信するために許可された光送信許可時間帯に基づいて、前記無線端末に自装置への前記上りデータの送信を許可する無線送信許可時間帯を決定し、前記無線送信許可時間帯を前記上りデータの送信を要求した前記無線端末へ通知する通信許可解析ステップと、
前記局側終端装置が、前記送信許可要求に基づいて前記光送信許可時間帯を割当て、前記光送信許可時間帯を前記加入者側終端装置へ通知する送信許可ステップと、
を含むことを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−4828(P2012−4828A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137636(P2010−137636)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】