説明

通信機器

【課題】設計上の自由を阻害させずにメインアンテナの利得を向上することができる通信機器を提供すること。
【解決手段】ヒンジ機構4内を介してプリント基板80とプリント基板50とを電気的に接続する信号線と、表示部側筐体部3及び操作部側筐体部2の少なくともいずれか一方に配設されると共に、プリント基板80又はプリント基板50に電気的に接続されたメインアンテナ51と、を有し、表示部側筐体部3内には、プリント基板80と電気的に接続される金属部が配設され、操作部側筐体部2内には、プリント基板50と電気的に接続されると共に、開状態において金属部と容量結合される磁界アンテナ53(第2のアンテナ)が配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを有する通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、通信機器においては、ユーザによる操作の用に供される操作部側としての第1の筐体と、様々な情報の表示の用に供されるディスプレイ側としての第2の筐体とが、ヒンジ機構により連結され、ヒンジ機構の回転軸を中心にして、開状態と閉状態との間を相対的に移動できるように構成されているものが主流となっている。また、このような通信機器においては、通話・データ通信用のメインアンテナは、第1筐体の一方端部、若しくは第2の筐体の一方端部に配置されている。
【0003】
また、通信機器では、例えば、特許文献1に示すように、第1の筐体に内蔵されている回路基板の基準電位部(GND)と第2の筐体の回路基板の基準電位部(GND)とを容量結合させることにより、機器全体の基準電位(GND)を高周波的に安定化させ、メインアンテナの利得の劣化を防ぐ技術が知られている。
【0004】
ここで、特許文献1に係る通信端末は、第1の筐体と、第2の筐体と、第1の筐体と第2の筐体とが重ね合わせられる閉状態と当該閉状態に比べて重ね合わせられる程度が小さい開状態との間を移動可能に第1の筐体と第2の筐体とを連結する連結部と、第1の筐体内及び第2の筐体内に配設された導体部(回路基板)と、連結部近傍に配設された第1のアンテナと、を有し、前記第1の筐体内の導体部と前記第2の筐体内の導体部とを容量結合するために、両者の距離を所定間隔L以下にされている。
【特許文献1】特開2004−134975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、第1の筐体に内蔵されている導電部と第2の筐体に内蔵されている導電部を容量結合するために所定間隔L以下にする必要があり、通信端末を設計する上で自由度が制限されてしまう。
【0006】
本発明では、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、設計上の自由の阻害要因を低減しつつ第1のアンテナの利得を向上することができる通信機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る通信機器は、上記課題を解決するために、第1の筐体と、第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが重ね合わせられる閉状態と前記閉状態に比べて前記重ね合わせられる程度が小さい開状態との間を移動可能に前記第1の筐体と前記第2の筐体とを連結する連結部と、前記第1の筐体内に配設される第1の導電部と、前記第2の筐体内に配設される第2の導電部と、前記連結部内を介して前記第1の導電部と前記第2の導電部とを電気的に接続する信号線と、前記第1の筐体及び前記第2の筐体の少なくともいずれか一方に配設されると共に、前記第1の導電部又は前記第2の導電部に電気的に接続される第1のアンテナと、を有し、前記第1の筐体及び前記第2の筐体の少なくとも一方に配設されると共に、前記第1の導電部又は前記第2の導電部に容量結合される第2のアンテナと、を有することを特徴とする。
【0008】
(2)本発明では、(1)の通信機器において、前記第1のアンテナは、第1の周波数帯に係る信号を送信又は受信するように構成され、前記第2のアンテナの高次の副次共振点は、前記第1の周波数帯に含まれることが好ましい。
【0009】
(3)本発明では、(1)の通信機器において、前記第1のアンテナは、第1の周波数帯に係る信号を送信又は受信するように構成され、前記第2のアンテナは、高次の副次共振点が前記第1の周波数帯に含まれない第2の周波数帯に係る信号を送信又は受信するように構成され、前記第2の周波数帯を調整する調整手段を有し、前記調整手段は、前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整することが好ましい。
【0010】
(4)本発明では、(3)の通信機器において、前記開状態を検出する検出手段を有し、前記調整手段は、前記検出手段により前記開状態が検出されると前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整することが好ましい。
【0011】
(5)本発明では、(4)の通信機器において、前記閉状態を検出する検出手段を有し、前記調整手段は、前記検出手段により前記閉状態が検出されると前記調整を抑制することが好ましい。
【0012】
(6)本発明では、(3)の通信機器において、前記第1のアンテナにより送信又は受信される第1の周波数帯に係る信号に基づく第1の所定の制御を行う第1の制御手段を有し、前記調整手段は、前記第1の制御手段により前記第1の所定の制御が行われると前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整する、ことが好ましい。
【0013】
(7)本発明では、(6)の通信機器において、前記調整手段は、前記第1の制御手段により前記第1の所定の制御が抑制されると前記調整を抑制する、ことが好ましい。
【0014】
(8)本発明では、(3)の通信機器において、前記第1のアンテナにより送信又は受信される前記第1の周波数帯に係る信号の強度を測定する第1の強度測定手段を有し、前記調整手段は、前記第1の強度測定手段により所定値以上の値の強度が測定されると前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整する、ことが好ましい。
【0015】
(9)本発明では、(8)の通信機器において、前記調整手段は、前記第1の強度測定手段により所定値より小さい値の強度が測定されると前記調整を抑制する、ことが好ましい。
【0016】
(10)本発明では、(3)の通信機器において、前記第1のアンテナにより送信又は受信される前記第1の周波数帯に係る信号の強度を測定する第1の強度測定手段を有し、前記調整手段は、前記第1の強度測定手段により所定値より小さい値の強度が測定されると前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整する、ことが好ましい。
【0017】
(11)本発明では、(10)の通信機器において、前記調整手段は、前記第1の強度測定手段により所定値以上の値の強度が測定されると前記調整を抑制する、ことが好ましい。
【0018】
(12)本発明では、(3)の通信機器において、前記第2のアンテナにより送信又は受信される第2の周波数帯に係る信号に基づく第2の所定の制御を行う第2の制御手段、を有し、前記調整手段は、前記第2の制御手段による前記第2の所定の制御が行われていない状態においては前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整する、ことが好ましい。
【0019】
(13)本発明では、(12)の通信機器において、前記調整手段は、前記第2の制御手段による前記第2の所定の制御が行われている状態においては前記調整を抑制する、ことが好ましい。
【0020】
(14)本発明では、(3)の通信機器において、前記第2のアンテナにより送信又は受信される前記第2の周波数帯に係る信号の強度を測定する第2の強度測定手段を有し、前記調整手段は、前記第2の強度測定手段により所定値より小さい値の強度が測定されると前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整する、ことが好ましい。
【0021】
(15)本発明では、(14)の通信機器において、前記調整手段は、前記第2の強度測定手段により所定値以上の値の強度が測定されると前記調整を抑制する、ことが好ましい。
【0022】
(16)本発明では、(3)の通信機器において、前記第2のアンテナにより送信又は受信される前記第2の周波数帯に係る信号の強度を測定する第2の強度測定手段を有し、前記調整手段は、前記第2の強度測定手段により所定値より大きい値の強度が測定されると前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整する、ことが好ましい。
【0023】
(17)本発明では、(16)の通信機器において、前記調整手段は、前記第2の強度測定手段により所定値以下の値の強度が測定されると前記調整を抑制する、ことが好ましい。
【0024】
(18)本発明では、(1)乃至(17)の通信機器において、前記第1のアンテナは、前記第1の筐体内に配設される、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、設計の自由度の阻害要因を低減しつつメインアンテナの利得を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、以下、通信機器の一例として携帯電話機について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等のアンテナを備えた他の通信機器であっても良い。
【0027】
<第1の実施形態>
図1は、ホスト装置と通信を行う本発明に係る通信機器の一例である携帯電話装置1の外観斜視図を示す。また、図2は、携帯電話装置1を折畳んだ状態の斜視図を示す。
【0028】
携帯電話装置1は、図1及び図2に示すように、表面がフロントパネル2aとフロントケース2bとリアケース2cと図示しないリアパネル2dとにより構成される操作部側筐体部2(第2の筐体)と、表面がフロントパネル3aとフロントケース3bとリアケース3cとリアパネル3dとにより構成される表示部側筐体部3(第1の筐体)と、を備えて構成される。
【0029】
操作部側筐体部2は、フロントパネル2aの表面に、操作ボタン群11と、携帯電話装置1の使用者が通話時に発した音声が入力される音声入力部12とが露出するように構成される。また、操作ボタン群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作ボタン13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作ボタン14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン15と、から構成されている。また、操作部側筐体部2の側面には、外部機器(例えば、ホスト装置)と通信を行うためのインターフェースを覆うキャップが設けられている。
【0030】
また、表示部側筐体部3は、フロントパネル3aに、各種情報を表示するためのディスプレイ21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバ22とが露出するように構成される。
【0031】
また、操作部側筐体部2の上端部と表示部側筐体部3の下端部とは、図1に示すように、ヒンジ機構4(連結部)を介して連結されている。また、携帯電話装置1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを相対的に動かすことにより、操作部側筐体部2の表面と表示部側筐体部3の表面とが互いに向き合って折り畳まれた状態(互いに重なり合う第1の状態、開状態)にしたり、操作部側筐体部2の表面と表示部側筐体部3との表面とが外部に露出して互いに開いた状態(重なり合う程度が折畳み状態よりも小さい第2の状態、開状態)にしたりすることができる。なお、本実施形態において、ヒンジ機構4による折り畳み式の携帯電話装置1の説明をしているが、折り畳み式ではなく、両筐体2、3を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式や、両筐体2、3を2軸ヒンジを介して連結したものでも良い。
【0032】
操作部側筐体部2は、図2に示すように、一方の側面に、所定の機能が割り当てられているサイドキー30と、外部メモリの挿入及び取り出しが行われるインターフェース用のキャップ31と、を備えている。また、表示部側筐体部3は、一方の側面に、詳細は後述するスライドキー32が備えられている。また、表示部側筐体部3のリアパネル3d表面には、被写体を撮像するカメラ33と、被写体に光を照射するライト34と、が露出して形成されている。なお、カメラ33とライト34は、カメラモジュールを構成する。
【0033】
また、図3は、操作部側筐体部2に内蔵される部材の分解斜視図である。図3に示すように、操作部側筐体部2は、フロントパネル2aと、フロントケース2bと(本図においてはフロントパネル2aとフロントケース2bとは結合されている)、上述した操作ボタン群11を構成するキーシート40と、フレキシブル配線基板45と、基準電位パターン層及びRF(Radio Frequency)モジュール等の各種電子部品を備えるプリント基板50(第2の導電部)と、ヒンジ機構4a、4bと、メインアンテナ51(第1のアンテナ)と、磁界アンテナ53(第2のアンテナ)と、リアケース2cと、充電池60を保護するリアパネル2dとを備える。
【0034】
また、操作部側筐体部2において、フロントケース2bと、キーシート40と、プリント基板50と、リアケース2cとは、積層的に配置される。また、充電池60は、リアパネル2dの外側から挿脱可能に収納される。
【0035】
図3に示すように、フロントケース2bとリアケース2cとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース2bとリアケース2cとの間には、キーシート40と、プリント基板50と、とが挟まれるようにして内蔵される。つまり、プリント基板50の上面にキーシート40が積層配置される。
【0036】
フレキシブル配線基板45は、フロントパネル2a側の面に複数のキースイッチを有し、それぞれのキースイッチは、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する構造になっている。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、フレキシブル配線基板45の表面に印刷された不図示の電気回路に形成されるスイッチ端子に接触して電気的に導通する。なお、フレキシブル配線基板45は、複数の絶縁フィルムの間に配線を挟み込んだものである。
【0037】
また、プリント基板50には、不図示の各種電子部品が配置される。各種電子部品は、所定の組み合わせにより複数の回路ブロックを形成する。例えば、無線回路、電源回路、デジタル回路等を含む各種回路ブロックが形成される。
【0038】
フロントパネル2aには、携帯電話装置1を折り畳んだ状態で表示部側筐体部3のディスプレイ21と対向する内側面に、キー孔が複数形成される。複数のキー孔それぞれからは、キーシート40上に形成される機能設定操作ボタン13、入力操作ボタン14及び決定操作ボタン15の押圧面が露出する。この露出した操作ボタン群11を構成する機能設定操作ボタン13、入力操作ボタン14及び決定操作ボタン15の押圧面を押し下げるように押圧することで、対応するキースイッチそれぞれにおけるメタルドーム(椀状形状)の頂点が押圧され、スイッチ端子に接触して電気的に導通する。
【0039】
リアケース2cの一端側には、基台に収納されたメインアンテナ51が配置される。つまり、メインアンテナ51は、携帯電話装置1における一端側に配置される。具体的には、メインアンテナ51は、携帯電話装置1におけるヒンジ機構4側と反対の端部側に配置される。また、メインアンテナ51は、帯状の板金で形成される。
【0040】
メインアンテナ51(第1のアンテナ)は、通話や電子メール等に係る電磁波の送受信を行うアンテナであり、不図示の給電端子を介してプリント基板50から給電されて構成される。これにより、メインアンテナ51は、給電端子を介してプリント基板50から給電されると共に、プリント基板50に設けられたRFモジュール等と接続される。なお、本実施形態においては、メインアンテナ51の位置をリアケース2cの一端に設けるようにしたが、操作部側筐体部2の内部のいずれの場所に配置しても良い。また、メインアンテナ51の位置を表示部側筐体部3の内部のいずれの場所に配置しても良い。
【0041】
図4は、表示部側筐体部3に内蔵される部材の分解斜視図である。図4に示すように、表示部側筐体部3は、フロントパネル3aと、フロントケース3bと、ヒンジ機構4と、スピーカ70a,70bと、モータ75と、ディスプレイ21と、ディスプレイ21が接続されたプリント基板80(第1の導電部)と、リアケース3cと、リアパネル3dとを備える。また、表示部側筐体部3において、フロントパネル3aと、フロントケース3bと、ディスプレイ21と、プリント基板80と、リアケース3cと、リアパネル3dとが積層的に配置される。
【0042】
図4に示すように、フロントケース3bとリアケース3cとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース3bとリアケース3cとの間には、ディスプレイ21と、プリント基板80とが挟まれるようにして内蔵される。また、スピーカ70a,70bと、モータ75とがプリント基板80に接続される。
【0043】
また、図5は、携帯電話装置1の機能を示す機能ブロック図である。携帯電話装置1は、図5に示すように、RFID(Radio Frequency Identification)部としての第2の通信部5と、外部の端末と通信を行う第1の通信部6と、第1の通信部6により通信される情報を処理する処理部7と、を備えている。
【0044】
<第2の通信部5の構成>
第2の通信部5は、上述したRFID部により構成されており、RFIDチップ9と、第2の使用周波数帯(例えば、13.56MHz)(第2の周波数帯)により外部装置と通信を行う磁界アンテナ53と、調整用のコンデンサ54と、を備える。
【0045】
磁界アンテナ53は、例えば、PET(polyethylene terephthalate)材料からなるシート上に複数回渦巻き状に巻かれたコイルを備えて構成されており、外部装置から送信される第2の使用周波数帯の信号を受信する。なお、磁界アンテナ53は、導線が巻回されて構成されていても良い。
【0046】
RFIDチップ9は、磁界アンテナ53で受信された信号によって誘起された電力に基づいて所定の電圧を生成する電源回路55と、磁界アンテナ53により通信される信号に対して変調処理又は復調処理等の信号処理を行うRF回路56と、所定の演算処理を行うCPU57と、所定のデータが格納されているメモリ58と、を備えている。電源回路55は、例えば、DC−DCコンバータにより構成されている。また、CPU57は、後述するCPU71と信号線Sで結ばれており、信号線Sを介して第2の通信部5により処理された情報がCPU71に供給される。
【0047】
ここで、第2の通信部5の動作について説明する。磁界アンテナ53は、外部に設置されているリーダ・ライタ装置に対して、所定距離まで接近したときに、当該リーダ・ライタ装置から送信される磁界(第2の使用周波数帯であるキャリア周波数(例えば、13.56MHz)に対して変調されている)を受信する。なお、コンデンサ54は、第2の使用周波数帯の磁界が磁界アンテナ53を介してRF回路56に供給されるように、所定の調整(チューニング)がされている。
【0048】
また、磁界アンテナ53により磁界が受信されると、電磁誘導作用により起電力が発生する。電源回路55は、電磁誘導作用により発生した起電力から所定の電源電圧を生成し、RF回路56と、CPU57と、メモリ58とに供給する。また、RF回路56と、CPU57と、メモリ58とは、電源回路55から所定の電源電圧が供給されることにより停止状態から起動状態に移行する。
【0049】
RF回路56は、磁界アンテナ53を介して供給された第2の使用周波数帯の信号に対して復調等の信号処理を行い、処理後の信号をCPU57に供給する。
【0050】
CPU57は、RF回路56から供給された信号に基づいて、メモリ58にデータを書き込む、又は、メモリ58からデータを読み出す。CPU57は、メモリ58からデータを読み出した場合には、当該データをRF回路56に供給する。RF回路56は、メモリ58から読み出されたデータに対して変調等の信号処理を行い、磁界アンテナ53を介して外部のリーダ・ライタ装置に送信する。
【0051】
また、第2の通信部5は、上述では、電源部を有さない、いわゆる受動型(Passive)の誘導電磁界方式(電磁誘導方式)であるものとして説明を行ったが、これに限られず、受動型の相互誘導方式(電磁結合方式)又は放射電磁界方式(電波方式)であっても良いし、又は、電源部を有する能動型(Active)であっても良い。また、第2の通信部5のアクセス方式として、リード・ライト型であるものとして説明を行ったが、これに限られず、リードオンリー型や、ライトワンス型等であっても良い。
【0052】
<第1の通信部6の構成>
また、第1の通信部6は、図5に示すように、第2の使用周波数帯よりも高い周波数帯である第1の使用周波数帯(第1の周波数帯)により外部装置と通信を行うメインアンテナ51と、RF回路を含み、変調処理又は復調処理等の信号処理を行う通信処理部52と、を備える。また、第1の通信部6は、充電池60から電源の供給を受けている。
【0053】
メインアンテナ51は、第1の使用周波数帯(例えば、800MHz)で外部装置と通信を行う。なお、本実施の形態では、第1の使用周波数帯として、800MHzとしたが、これ以外の周波数帯であっても良い。また、メインアンテナ51は、第1の使用周波数帯の他に、第3の使用周波数帯(例えば、2GHz)に対応できる、いわゆるデュアルバンド対応型による構成であっても良いし、さらに、第4の使用周波数帯にも対応できる複数バンド対応型により構成されていても良い。
【0054】
通信処理部52は、メインアンテナ51によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を処理部7に供給し、処理部7から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ51を介して外部装置に送信する。
【0055】
<処理部7の構成>
また、処理部7は、図5に示すように、操作ボタン群11と、音声入力部12と、ディスプレイ21と、レシーバ22と、所定の演算処理を行うCPU71と、所定のデータが格納されているメモリ72と、所定の音処理を行う音響処理部73と、所定の画像処理を行う画像処理部74と、一定周期で振動するモータ75と、被写体を撮像するカメラ33と、着信音等が出力されるスピーカ70a、70bと、を備えている。また、処理部7は、充電池60から電源の供給を受けている。なお、携帯電話装置1は、図5に示すように、CPU57とCPU71とが、信号線Sで結ばれており、信号線Sを介して第2の通信部5により処理された情報がCPU71に供給され、必要に応じた処理がなされるようになっている。
【0056】
本発明では、磁界アンテナ53の高次共振点を積極的に利用して、メインアンテナ51のアンテナ利得を向上させることを目的の一つにしている。
【0057】
ここで、上記目的を達成するための具体的な構成について以下に説明する。なお、以下では、メインアンテナ51と磁界アンテナ53は、操作部側筐体部2に配設されているものとして説明するが、本発明はこれに限定されず、例えば、メインアンテナ51と磁界アンテナ53が、表示部側筐体部3に配設されていても良いし、メインアンテナ51が、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3の一方に配設され、磁界アンテナ53が、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3の他方に配設されても良い。
【0058】
<第1の構成>
携帯電話装置1は、ヒンジ機構4内を介してプリント基板80とプリント基板50とを電気的に接続する信号線と、表示部側筐体部3及び操作部側筐体部2の少なくともいずれか一方に配設されると共に、プリント基板80又はプリント基板50に電気的に接続されたメインアンテナ51(第1のアンテナ)と、を有し、表示部側筐体部3内には、プリント基板80と電気的に接続される金属部が配設され、表示部側筐体部3及び操作部側筐体部2の少なくともいずれか一方には、開状態において金属部又はプリント基板50若しくはプリント基板80と容量結合される磁界アンテナ53(第2のアンテナ)が配設される。また、金属部は、例えば、スピーカ70a,70bやモータ75等が該当する。なお、磁界アンテナ53は、金属部を介さずにプリント基板80と直接容量結合されていても良い。
【0059】
このように構成されることにより、本発明では、開状態において、金属部又はプリント基板80と磁界アンテナ53とが容量結合することにより、表示部側筐体部3(第1の筐体)と操作部側筐体部2(第2の筐体)の高周波的なグランドレベルを安定化することができるので、磁界アンテナ53を利用してメインアンテナ51の感度向上を図ることができ、また、筐体内の設計上の自由度を向上することができる。
【0060】
<第2の構成>
また、本発明では、メインアンテナ51は、第1の使用周波数帯(第1の周波数帯)に係る信号を送信又は受信するように構成され、磁界アンテナ53の高次の副次共振点は、第1の使用周波数帯に含まれる、ことが好ましい。
【0061】
このように構成されることにより、本発明では、金属部又はプリント基板80と磁界アンテナ53との容量結合の程度が上がり、開状態におけるメインアンテナ51の感度をさらに向上することができる。
【0062】
<第3の構成>
また、本発明では、メインアンテナ51は、第1の使用周波数帯に係る信号を送信又は受信するように構成され、磁界アンテナ53は、高次の副次共振点が第1の使用周波数帯に含まれない第2の使用周波数帯(第2の周波数帯)に係る信号を送信又は受信するように構成されるものであっても良い。また、この場合には、携帯電話装置1は、第2の使用周波数帯を調整する調整手段を有することが好ましい。調整手段は、磁界アンテナ53の高次の共振点が第1の使用周波数帯に含まれるように第2の使用周波数帯を調整する機能を有している。なお、調整手段の具体的な構成については、後述する<調整手段の具体的構成1>及び<調整手段の具体的構成2>に示す。
【0063】
このように構成されることにより、本発明では、ある条件下において、磁界アンテナ53の高次共振点による調整によって、金属部又はプリント基板80と磁界アンテナ53との容量結合の程度が上がり、メインアンテナ51の感度向上を図ることができる。
【0064】
<第4の構成>
また、携帯電話装置1は、図5に示すように、開状態を検出する検出部76(検出手段)を有する。このような構成では、調整手段は、検出部76により開状態が検出されると磁界アンテナ53の高次の共振点が第1の使用周波数帯に含まれるように第2の使用周波数帯を調整する。
【0065】
このように構成されることにより、本発明では、メインアンテナ51を利用して通信を行う可能性の高い状態、すなわちメインアンテナ51の感度向上を図る必要性の高い開状態においては、金属部又はプリント基板80と磁界アンテナ53との容量結合の程度が上がり、メインアンテナ51の感度向上を図ることができる。なお、本発明では、閉状態においては、第2の使用周波数帯の調整を行わないので、調整手段による磁界アンテナ53の調整に基づく磁界アンテナ53の劣化を低減することができる。
【0066】
<第5の構成>
また、携帯電話装置1は、図5に示すように、閉状態を検出する検出部76を有する。このような構成では、調整手段は、検出部76により閉状態が検出されると前記調整を抑制する。
【0067】
このように構成されることにより、本発明では、<第4の構成>において、開状態のときに第2の使用周波数帯を調整しているときに、開状態から閉状態に状態が変位したときには、当該調整を抑制するので、調整手段による磁界アンテナ53の調整に基づく磁界アンテナ53の劣化を低減することができる。
【0068】
<第6の構成>
また、携帯電話装置1は、メインアンテナ51により送信又は受信される第1の使用周波数帯に係る信号に基づく第1の所定の制御(例えば、メインアンテナ51により通話・データ通信を行う際の通信制御)を行う通信処理部52(第1の制御手段)を有する(図5を参照。)。このような構成では、調整手段は、通信処理部52により第1の所定の制御が行われると磁界アンテナ53の高次の共振点が第1の使用周波数帯に含まれるように第2の使用周波数帯を調整する。
【0069】
このように構成されることにより、本発明では、メインアンテナ51の感度向上を図る必要性の高い状態(通信処理部52による第1の所定の制御が行われる状態)において、金属部又はプリント基板80と磁界アンテナ53との容量結合の程度が上がり、メインアンテナ51の感度向上を図ることができる。
【0070】
<第7の構成>
また、調整手段は、通信処理部52により第1の所定の制御が抑制されると前記調整を抑制する、すなわち、調整を行わないことが好ましい。
【0071】
このように構成されることにより、本発明では、<第6の構成>において、第2の使用周波数帯を調整しているときに、メインアンテナ51の感度向上を図る必要性の低い状態(通信処理部52による第1の所定の制御が抑制されている状態)になった場合は、調整手段による調整が抑制されるため、調整手段による磁界アンテナ53の調整に基づく磁界アンテナ53の劣化を低減することができる。
【0072】
<第8の構成>
また、携帯電話装置1は、図5に示すように、メインアンテナ51により送信又は受信される第1の使用周波数帯に係る信号の強度を測定する強度測定部78(第1の強度測定手段)を有する。このような構成では、調整手段は、強度測定部78により所定値以上の値の強度が測定されると磁界アンテナ53の高次の共振点が第1の使用周波数帯に含まれるように第2の使用周波数帯を調整する。
【0073】
このように構成されることにより、本発明では、メインアンテナ51の感度向上を図る必要性の高い状態(強度測定部78により所定値以上の値の強度が測定された状態であって、メインアンテナ51を用いて通信する可能性が高い状態)において、金属部又はプリント基板80と磁界アンテナ53との容量結合の程度が上がり、メインアンテナ51の感度向上を図ることができる。
【0074】
<第9の構成>
また、調整手段は、強度測定部78により所定値より小さい値の強度が測定されると前記調整を抑制する、すなわち、調整を行わないことが好ましい。
【0075】
このように構成されることにより、本発明では、<第8の構成>において、第2の使用周波数帯を調整しているときに、メインアンテナ51の感度向上を図る必要性の低い状態(強度測定部78により所定値より小さい値の強度が測定された状態であって、メインアンテナ51を用いて通信する可能性が低い状態)になった場合には、当該調整を抑制するので、調整手段による磁界アンテナ53の調整に基づく磁界アンテナ53の劣化を低減することができる。
【0076】
<第10の構成>
携帯電話装置1は、メインアンテナ51により送信又は受信される第1の使用周波数帯に係る信号の強度を測定する強度測定部78を有する。このような構成では、調整手段は、強度測定部78により所定値より小さい値の強度が測定されると磁界アンテナ53の高次の共振点が第1の使用周波数帯に含まれるように第2の使用周波数帯を調整する。
【0077】
このように構成されることにより、本発明では、例えば、メインアンテナ51の電波状況が弱いときに磁界アンテナ53の高次の共振点を第1の使用周波数帯に含まれるように調整することにより、金属部又はプリント基板80と磁界アンテナ53との容量結合の程度が上がり、メインアンテナ51の感度を向上させることができる。
【0078】
<第11の構成>
調整手段は、強度測定部78により所定値以上の値の強度が測定されると前記調整を抑制する、すなわち、調整を行わないことが好ましい。
【0079】
このように構成されることにより、本発明では、<第10の構成>において、第2の使用周波数帯を調整しているときに、メインアンテナ51の感度が良好な状態になった場合には、当該調整を抑制するので、無駄な消費電力を抑制することができ、また、調整手段による磁界アンテナ53の調整に基づく磁界アンテナ53の劣化を低減することができる。
【0080】
<第12の構成>
磁界アンテナ53により送信又は受信される第2の使用周波数帯に係る信号に基づく第2の所定の制御(例えば、磁界アンテナ53により通信を行う際の通信制御)を行うRFIDチップ9(第2の制御手段)を有する。このような構成では、調整手段は、RFIDチップ9による第2の所定の制御が行われていない状態においては磁界アンテナ53の高次の共振点が第1の使用周波数帯に含まれるように第2の使用周波数帯を調整する。
【0081】
このように構成されることにより、磁界アンテナ53の感度向上を図る必要性の低い状態(RFIDチップ9により行われる第2の所定の制御が抑制された状態であって、例えば、RFIDチップ9が不使用状態)においては、当該調整がなされる。したがって、磁界アンテナ53の感度向上を図る必要性が低い状態においては、調整手段による調整がなされるため、金属部又はプリント基板80と磁界アンテナ53との容量結合の程度が上がり、メインアンテナ51の感度向上を図ることができる。
【0082】
<第13の構成>
調整手段は、RFIDチップ9による第2の所定の制御が行われている状態においては前記調整を抑制する、すなわち、調整を行わないことが好ましい。
【0083】
このように構成されることにより、本発明では、<第12の構成>において、第2の使用周波数帯を調整しているときに、磁界アンテナ53の感度向上を図る必要性の高い状態(RFIDチップ9により第2の所定の制御が行われた状態)になった場合には、当該調整を抑制するので、調整手段による磁界アンテナ53の調整に基づく磁界アンテナ53の劣化を低減することができる。
【0084】
<第14の構成>
また、携帯電話装置1は、図5に示すように、磁界アンテナ53により送信又は受信される第2の使用周波数帯に係る信号の強度を測定する強度測定部78(第2の強度測定手段)を有する。このような構成では、調整手段は、強度測定部78により所定値より小さい値の強度が測定されると磁界アンテナ53の高次の共振点が第1の使用周波数帯に含まれるように第2の使用周波数帯を調整する。なお、本実施例においては、強度測定部78は、メインアンテナ51による第1の使用周波数帯に係る信号の強度を測定し、磁界アンテナ53による第2の使用周波数帯に係る信号の強度を測定するものとしたが、これに限られず、それぞれ専用に設けられていても良い。
【0085】
このように構成されることにより、本発明では、磁界アンテナ53の感度向上を図る必要性が低い状態(例えば、磁界アンテナ53による磁界通信が行われない状態)において、金属部又はプリント基板80と磁界アンテナ53との容量結合の程度が上がり、メインアンテナ51の感度向上を優先的に図ることができる。
【0086】
<第15の構成>
調整手段は、強度測定部78により所定値以上の値の強度が測定されると前記調整を抑制する、すなわち、調整を行わないことが好ましい。
【0087】
このように構成されることにより、本発明では、<第14の構成>において、第2の使用周波数帯を調整しているときに、磁界アンテナ53を利用して磁界通信を行う状態においては、当該調整を抑制するので、調整手段による磁界アンテナ53の調整に基づく磁界アンテナ53の劣化を低減することができる。
【0088】
<第16の構成>
また、携帯電話装置1は、図5に示すように、磁界アンテナ53により送信又は受信される第2の使用周波数帯に係る信号の強度を測定する強度測定部78を有する。このような構成では、調整手段は、強度測定部78により所定値より大きい値の強度が測定されると磁界アンテナ53の高次の共振点が第1の使用周波数帯に含まれるように第2の使用周波数帯を調整する。
【0089】
このように構成されることにより、本発明では、磁界アンテナ53の感度が良好な状態においては、積極的に調整手段によって調整を行うことにより、金属部又はプリント基板80と磁界アンテナ53との容量結合の程度が上がり、メインアンテナ51の感度も好適な状態にすることができる。
【0090】
<第17の構成>
調整手段は、強度測定部78により所定値以下の値の強度が測定されると前記調整を抑制する、すなわち、調整を行わないことが好ましい。
【0091】
このように構成されることにより、本発明では、<第16の構成>において、第2の使用周波数帯を調整しているときに、強度測定部78により所定値以下の強度を測定、すなわち、磁界アンテナ53による磁界通信の必要性が低下した場合には、当該調整を抑制するので、メインアンテナ51の感度劣化を抑制することができる。
【0092】
<第18の構成>
メインアンテナ51と磁界アンテナ53とは異なる筐体内に配設されることが好ましい。このように構成されることにより、メインアンテナ51と磁界アンテナ53との距離を物理的に離すことができ、メインアンテナ51と磁界アンテナ53とが近接することにより生ずる不利益を回避することができる。
【0093】
<調整手段の具体的構成1>
以下に、磁界アンテナ53の高次共振点をメインアンテナ51の使用周波数帯にシフトする調整手段の具体的な構成について説明する。
【0094】
携帯電話装置1は、図6に示すように、メインアンテナ51の周波数特性を調整するために、一定条件下において、磁界アンテナ53のアンテナパターンの接続経路をスイッチングにより変更し、磁界アンテナ53のインダクタンス値を適宜変更可能な構成になっている。
【0095】
磁界アンテナ53は、一方側において、第1のスイッチ部81と、第2のスイッチ部82と、集中定数回路83(調整手段)と、が配線パターンに付加されることにより、第1の経路と第2の経路とが選択可能に構成されている。
【0096】
第1のスイッチ部81は、端子A1と、端子B1と、端子C1と、から構成されており、第2のスイッチ部82は、端子A2と、端子B2と、端子C2と、から構成されている。
【0097】
集中定数回路83は、例えば、コイルや並列共振回路等の位相回転素子により構成されており、一方端側が第1のスイッチ部81の端子C1に接続されており、他方端側が第2のスイッチ部82の端子C2に接続されている。なお、本実施例では、集中定数回路83を付加しているが、インダクタンス値を変更できるものであれば他の構成要素であっても良く、例えば、フェライト等を付加する構成であっても良い。
【0098】
CPU71(制御部)は、一定条件下において、第1のスイッチ部81と第2のスイッチ部82とを制御し、端子A1と端子B1を導通させ、かつ端子A2と端子B2とを導通させることにより第1の経路を構成し、一方、端子A1と端子C1とを導通させ、かつ端子A2と端子C2とを導通させることにより集中定数回路83を介して接続される第2の経路を構成する。
【0099】
ここで、第1の経路は、第2の通信部5における通信品質が最も良く、通信電力効率が最も良い経路である。また、第2の経路は、集中定数回路83を経由する経路であり、この状態においては、磁界アンテナ53のインダクタンス値が変更され、メインアンテナ51の使用周波数帯に磁界アンテナ53による高次共振点が重なるように構成されている。したがって、第2の経路が選択されている場合には、磁界アンテナ53の高次共振点によるメインアンテナ51の利得を向上することができる。なお、磁界アンテナ53は、第2の経路が選択された場合であっても、第2の使用周波数帯により外部装置と通信を行うことが可能なスペックの範囲内にある。
【0100】
なお、図6においては、第1のスイッチ部81と、第2のスイッチ部82と、集中定数回路83と、により構成される第2の経路は、磁界アンテナ53を構成する一部の線にのみ付加されるものとして示しているが、これに限られず、全線に第2の経路を付加する構成であっても良い。
【0101】
<調整手段の具体的構成2>
また、携帯電話装置1は、上述した構成(図6)以外でも良く、例えば、図7に示すように、磁界アンテナ53を構成する線の所定の位置に第1のスイッチ部81及び第2のスイッチ部82をそれぞれ設け、一定条件下において、CPU71により第1のスイッチ部81と第2のスイッチ部82とを制御し、端子A1と端子B1を導通させ、かつ端子A2と端子B2とを導通させることにより第1の経路を構成し、一方、端子A1と端子C1とを導通させ、かつ端子A2と端子C2とを導通させることにより第2の経路を構成して、第1の経路による場合と第2の経路による場合とで、磁界アンテナ53のエレメント長(インダクタンス値)を変更するような構成であっても良い。
【0102】
このような構成によれば、第1の経路が選択されているときには、磁界アンテナ53による通信を良好に行うことができ、また、第2の経路が選択されているときには磁界アンテナ53の高次共振点がメインアンテナ51の使用周波数帯に重なるため、メインアンテナ51の利得を向上することができる。
【0103】
<磁界アンテナ53と金属部との配置関係>
ここで、図8は、第1の実施形態に係る携帯電話装置1の第1の内観斜視図を示す図である。図8に示すように、操作部側筐体部2のリアケース2c上にプリント基板50が配置され、表示部側筐体部3のリアケース3c上にプリント基板80と、ディスプレイ21とが配置されている。
【0104】
操作部側筐体部2のリアケース2cとプリント基板50との間には、電波を受信するためのメインアンテナ51が配置され、表示部側筐体部3のリアケース3cとプリント基板80との間には、受話音声を発生するためのレシーバ22が配置されている。また、表示部側筐体部3のレシーバ22とは反対側のリアケース3cとプリント基板80との間には金属等の導電部を有すると共にプリント基板80を電気的に接続されたスピーカ70a,70b(金属部)が配置されている。
【0105】
また、操作部側筐体部2のプリント基板50上にはヒンジ機構4間を挿通すると共に複数の信号線とシールド線とからなる同軸ケーブル90の一端がコネクタ95aを介して接続されており、表示部側筐体部3のプリント基板80には同軸ケーブル90の他端がコネクタ95bを介して接続されている。また、操作部側筐体部2に配置されたメインアンテナ51とは反対側の一端には、図3に示すヒンジ機構4aを構成する金属ヒンジ4c(金属部)がスピーカ70a,70bと対向する部位に配置されており、金属ヒンジ4cはプリント基板50と電気的に接続されている。なお、金属ヒンジ4cは、プラスチックや樹脂等からなる非導電性のヒンジの内側表面に金属蒸着を施した物(擬似的な金属ヒンジ)を用いても良い。
【0106】
以下、図9を参照して、本実施形態の携帯電話装置1における特徴的な作用効果について説明する。図9に示すように、磁界アンテナ53と金属ヒンジ4cとスピーカ70aとの間には容量結合がなされているので、ホスト装置から空中を伝搬して到来する電波の到来波Wが携帯電話装置1に設けられたメインアンテナ51により共振され高周波電流が誘起され、電気力線101が形成される。このため、到来波Wにより誘起した高周波電流は、メインアンテナ51からプリント基板50−磁界アンテナ53−スピーカ70a、70b−プリント基板80へと伝搬され電気的な高周波グランドが形成される。このときの概略的な様子を図9においては、高周波電流W1、W2、W3、W4、W5として示す。
【0107】
このような構成によれば、本発明では、設計上の自由を阻害させずにメインアンテナ51の利得を向上することができる。
【0108】
また、上述した実施例においては、表示部側筐体部3に配置されている金属部(スピーカ70a,70b等)と、操作部側筐体部2に配置されている磁界アンテナ53とが直接的に容量結合を行うものとして説明したが、これに限られず、当該金属部と磁界アンテナ53とが間接的に容量結合を行う構成(例えば、磁界アンテナ53とヒンジ機構4を構成する金属部とが容量結合を行い、かつヒンジ機構4を構成する金属部と表示部側筐体部3に配置されている金属部(スピーカ70a,70b等)とが容量結合を行うように構成)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明に係る携帯電話装置1の外観斜視図を示す。
【図2】携帯電話装置1を折畳んだ状態の斜視図を示す図である。
【図3】操作部側筐体部2に内蔵される部材の分解斜視図である。
【図4】表示部側筐体部3に内蔵される部材の分解斜視図である。
【図5】本発明に係る携帯電話装置1の機能を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る携帯電話装置1に備えられている磁界アンテナ53の第1の構成を示す図である。
【図7】本発明に係る携帯電話装置1に備えられている磁界アンテナ53の第2の構成を示す図である。
【図8】本発明に係るホスト装置と通信を行う携帯電話装置の第1の実施形態である携帯電話装置1の内観斜視図を示す図である。
【図9】図8に示す携帯電話装置1をA−A線により切断したときの断面図である。
【符号の説明】
【0110】
1 携帯電話装置
2 操作部側筐体部
2a フロントパネル
2b フロントケース
2c リアケース
2d リアパネル
3 表示部側筐体部
3c リアケース
3a フロントパネル
3b フロントケース
3c リアケース
3d リアパネル
4 ヒンジ機構
4a ヒンジ機構
4b ヒンジ機構
4c 金属ヒンジ
50 プリント基板
55 アンテナエレメント
56 近距離通信用アンテナ
70a,70b スピーカ
75 モータ
80 プリント基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、
第2の筐体と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とが重ね合わせられる閉状態と前記閉状態に比べて前記重ね合わせられる程度が小さい開状態との間を移動可能に前記第1の筐体と前記第2の筐体とを連結する連結部と、
前記第1の筐体内に配設される第1の導電部と、
前記第2の筐体内に配設される第2の導電部と、
前記連結部内を介して前記第1の導電部と前記第2の導電部とを電気的に接続する信号線と、
前記第1の筐体及び前記第2の筐体の少なくともいずれか一方に配設されると共に、前記第1の導電部又は前記第2の導電部に電気的に接続される第1のアンテナと、を有し、
前記第1の筐体及び前記第2の筐体の少なくとも一方に配設されると共に、前記第1の導電部又は前記第2の導電部に容量結合される第2のアンテナと、を有することを特徴とする通信機器。
【請求項2】
前記第1のアンテナは、第1の周波数帯に係る信号を送信又は受信するように構成され、
前記第2のアンテナの高次の副次共振点は、前記第1の周波数帯に含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の通信機器。
【請求項3】
前記第1のアンテナは、第1の周波数帯に係る信号を送信又は受信するように構成され、
前記第2のアンテナは、高次の副次共振点が前記第1の周波数帯に含まれない第2の周波数帯に係る信号を送信又は受信するように構成され、
前記第2の周波数帯を調整する調整手段を有し、
前記調整手段は、前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整する、ことを特徴とする請求項1に記載の通信機器。
【請求項4】
前記開状態を検出する検出手段を有し、
前記調整手段は、前記検出手段により前記開状態が検出されると前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整する、ことを特徴とする請求項3に記載の通信機器。
【請求項5】
前記閉状態を検出する検出手段を有し、
前記調整手段は、前記検出手段により前記閉状態が検出されると前記調整を抑制することを特徴とする請求項4に記載の通信機器。
【請求項6】
前記第1のアンテナにより送信又は受信される第1の周波数帯に係る信号に基づく第1の所定の制御を行う第1の制御手段を有し、
前記調整手段は、前記第1の制御手段により前記第1の所定の制御が行われると前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整する、ことを特徴とする請求項3に記載の通信機器。
【請求項7】
前記調整手段は、前記第1の制御手段により前記第1の所定の制御が抑制されると前記調整を抑制する、ことを特徴とする請求項6に記載の通信機器。
【請求項8】
前記第1のアンテナにより送信又は受信される前記第1の周波数帯に係る信号の強度を測定する第1の強度測定手段を有し、
前記調整手段は、前記第1の強度測定手段により所定値以上の値の強度が測定されると前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整する、ことを特徴とする請求項3に記載の通信機器。
【請求項9】
前記調整手段は、前記第1の強度測定手段により所定値より小さい値の強度が測定されると前記調整を抑制する、ことを特徴とする請求項8に記載の通信機器。
【請求項10】
前記第1のアンテナにより送信又は受信される前記第1の周波数帯に係る信号の強度を測定する第1の強度測定手段を有し、
前記調整手段は、前記第1の強度測定手段により所定値より小さい値の強度が測定されると前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整する、ことを特徴とする請求項3に記載の通信機器。
【請求項11】
前記調整手段は、前記第1の強度測定手段により所定値以上の値の強度が測定されると前記調整を抑制する、ことを特徴とする請求項10に記載の通信機器。
【請求項12】
前記第2のアンテナにより送信又は受信される第2の周波数帯に係る信号に基づく第2の所定の制御を行う第2の制御手段、を有し、
前記調整手段は、前記第2の制御手段による前記第2の所定の制御が行われていない状態においては前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整する、ことを特徴とする請求項3に記載の通信機器。
【請求項13】
前記調整手段は、前記第2の制御手段による前記第2の所定の制御が行われている状態においては前記調整を抑制する、ことを特徴とする請求項12に記載の通信機器。
【請求項14】
前記第2のアンテナにより送信又は受信される前記第2の周波数帯に係る信号の強度を測定する第2の強度測定手段を有し、
前記調整手段は、前記第2の強度測定手段により所定値より小さい値の強度が測定されると前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整する、ことを特徴とする請求項3に記載の通信機器。
【請求項15】
前記調整手段は、前記第2の強度測定手段により所定値以上の値の強度が測定されると前記調整を抑制する、ことを特徴とする請求項14に記載の通信機器。
【請求項16】
前記第2のアンテナにより送信又は受信される前記第2の周波数帯に係る信号の強度を測定する第2の強度測定手段を有し、
前記調整手段は、前記第2の強度測定手段により所定値より大きい値の強度が測定されると前記第2のアンテナの高次の共振点が前記第1の周波数帯に含まれるように前記第2の周波数帯を調整する、ことを特徴とする請求項3に記載の通信機器。
【請求項17】
前記調整手段は、前記第2の強度測定手段により所定値以下の値の強度が測定されると前記調整を抑制する、ことを特徴とする請求項16に記載の通信機器。
【請求項18】
前記第1のアンテナは、前記第1の筐体内に配設される、ことを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか一項に記載の通信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−290480(P2009−290480A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139942(P2008−139942)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】