説明

連続式電気脱イオン装置および方法

少なくとも1つの逆浸透装置(6、8)に供給水を通過させて生成水および排出水を生成する工程と、上記生成水を逆浸透装置(6、8)から連続式電気脱イオン装置(12)の希釈ストリームへと導く工程と、上記排出水を第1パスの逆浸透装置(6)から軟化器(7)を通過するように導くことにより第1パスの逆浸透装置(6)からの排出水よりも少ない硬度成分を含む軟化器流出水を生成する工程と、上記軟化器流出水を連続式電気脱イオン装置(12)の濃縮ストリームへと導く工程とを含み、上記連続式電気脱イオン装置(12)が上記希釈ストリームからの水をさらに浄化して浄化水を生成する浄水方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、逆浸透/連続式電気脱イオン化を組み合わせた水処理システムに関し、より詳しくは、高純水を生成するための逆浸透/連続式電気脱イオン化を組み合わせた水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子産業、電力産業、および製薬産業を含むいくつかの産業において、特定の特性を持つ高純水に対する要求が高まってきている。それら産業の中でも、半導体産業における水の純度要求が最も厳しい。典型的には、汚染物質のレベルを減少させるために、これらでの適用には源となる供給水(上水道水など)の処理を必要とする。高純水の処理手順および処理を実行するのに必要なハードウェアは複雑かつ高価である。電子および半導体産業のASTM D 5127−99規格に現在の高純水の仕様が記載されている。
【0003】
イオン交換樹脂は、脱イオン水の生成に使用されてきた。浄水に使用可能な他の周知の処理には、蒸留、電気透析、逆浸透、および液体クロマトグラフィーがある。一般的に、これらのイオン交換樹脂には薬品再生が必要となる。イオン交換および再生の現場では、取り扱いが危険な劇薬が必要となる。使用された薬品の除去は環境に安全であるように対処しなくてはならない。この点に関して、自己再生型脱イオン装置が近年注目されてきた。劇薬の使用を避けるためには、イオン交換樹脂の脱イオン機能およびイオン交換膜の電気透析機能を電気脱イオン装置において組み合わせれば、薬品再生を行うことなく高純度脱イオン水が得られる(米国特許第6,274,019号)。電気脱イオン化は、イオン交換樹脂、イオン交換膜、および電気を利用して水を脱イオン化する浄水技術である(より詳細な説明に関しては、ウィルキンス(Wilkins,F.C.)およびマクコーネリ(McConnelee,P.A.)の『マクロ電子グレード水の調製における連続式脱イオン化』(固体技術、87〜92頁、1988年8月)を参照のこと)。電気脱イオン化は、精製室におけるイオン交換樹脂の存在により電気透析とは異なる。電気透析およびイオン交換樹脂の組み合わせを使用して塩水を浄化する他の従来技術が、米国特許第2,796,395号、第2,947,688号、第2,923,674号、第3,014,855号、第3,384,568号、および第4,165,273号に記載されている。
【0004】
電気脱イオン化の使用は、米国特許第2,689,826号、第2,815,320号、第3,149,061号、第3,291,713号、および第3,330,750号その他多くに記載されている。商業的に成功している電気脱イオン装置および処理が、米国特許第4,632,745号に記載されている。セル対と呼ばれる基本的な繰り返しエレメントは、陰イオン膜および陽イオン膜により両端に境界線が形成され、混床イオン交換樹脂で充填されている精製室、ならびに濃縮室からなる(ウィルキンスおよびマクコーネリを参照のこと)。電気脱イオン装置に流入する供給水は、少なくとも3つに分割される。わずかな割合が電極上を流れ、供給水の大部分が精製室を通過し、残りは濃縮室に沿って流れる。直流電位の影響を受けて精製室のイオンは隣接する濃縮室へと移動する。樹脂で充填された精製室に入ったイオンは、電位勾配の方向に、樹脂およびイオン交換膜を通過して濃縮室へと移動する(リャン(Liang,L.S.)、ウッド(Wood,J.)およびハス(Hass W.)の『発電施設への適用における電気脱イオンシステムの設計および性能』(超純水、41〜48頁、1992年10月)を参照のこと)。その結果、水中のイオンは精製室で除去され、隣接する濃縮室において濃縮されるようになる。第3の水流は、電極を通って流れ、その流れに従って電極反応によりガスを除去する電極ストリームである。入ってくる供給水のうち、浄化生成水になる割合をシステムの回収率という。供給水として逆浸透生成水を用いる従来の電気脱イオンシステムにおいては、典型的には、濃縮ストリームを再循環させて80〜95%の回収率を得ることが可能である(リャンらを参照のこと)。米国特許第6,193,869号には、モジュラーシステム設計の使用が開示されている。
【0005】
電源は定電流または定電圧電源であってもよい。現在、一般的には電気脱イオン装置は、電流が変化して一定の電圧を維持する定電圧電源を使用して作動する。残念なことに、電気脱イオン装置の電気インピーダンスはモジュールの経年に伴い増加することが観察されている。このインピーダンス増加は、定電圧電源で作動する場合に、電気脱イオン装置の経年に伴い装置を流れる電流が減少することを意味する(米国特許第6,365,023号に記載されている通り)。このことにより、電気脱イオン装置により処理された品質が劣化する結果となる。同様に、インピーダンスが低く定電圧で作動する新しい電気脱イオン装置は非常に高い電流を発生させる場合がある。さらに、装置に必要以上の電流を印加した場合、電気脱イオン装置のスケールが問題となることがある。温度が低下するのに従って、電気脱イオン装置のインピーダンスは増加する。結果として、冬にはスケールの危険は低くなる。米国特許第6,365,023号では、定電流電源の使用が提案されている。これによると、理論上最小電流の約1.5〜15倍の範囲における一定の電流を供給することによりイオンの除去が達成される。
【0006】
電気脱イオン装置においては、陰イオン交換膜および陽イオン交換膜の間に位置するガスケットが精製室を形成する。米国特許第4,632,745号、第4,747,929号、第4,925,541号、第4,931,160号、第4,956,071号、および第5,120,416号には、電気脱イオン装置におけるガスケットの設計が記載されている。良好な流量および電流分配を確実にし、かつ流量に対する全体的な圧力低下が少ないガスケットが必要とされている(例えば、米国特許第6,123,823号を参照のこと)。
【0007】
米国特許第4,925,541号には、プレート&フレーム型の電気脱イオン装置および方法が開示されている。プレート&フレーム型の装置は大型であり、大型容器を密閉することが難しいために、通常、漏れという欠点を抱える。さらに、うず巻き型モジュール(米国特許第5,376,253号、ならびにリチェン(Rychen P.)、アロンゾ(Alonso S.)、およびアルト(Alt H.P.)の『最新モジュラー電気脱イオン技術を用いた高純水の生成』(超純水ヨーロッパ、アムステルダム、1996年))、および螺旋状モジュール(米国特許第6,190,528号)も利用可能である。
【0008】
一般的に、イオン交換体は陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂との混合物である(例えば、米国特許第4,632,745号)が、これらの樹脂が交互に配置された層に関する記載もある(例えば、米国特許第5,858,191号および第5,308,467号)。イオン交換樹脂は、対イオン交換能があるため電気伝導性を有する(ヘイマン(Heymann E.)およびオドネル(O‘Donnell I.J.)「コロイド科学ジャーナル」第4巻、395頁、1949年)。樹脂で充填された精製室により、高い抵抗率を持つ非常に高い純度の溶液においても、抵抗が低い電気経路を作成することによって、隣接するイオン交換ビーズに沿ったイオン移動が容易となる(グリフィン(Griffin C.)の『高純水の生成における連続式脱イオン使用の進歩』(超純水、52〜60頁、1991年11月)を参照のこと)。周囲のバルク溶液を通る経路よりも電気抵抗が大幅に低いイオン交換樹脂ビーズを通って経路が形成され、これにより装置からのイオンが容易に除去できるようになる(ガンジー(Ganzi G.C.)の『イオンピュアTM連続式脱イオン処理 電流分配による性能への影響』(米国化学工学会第80回年次大会における発表、ワシントン市、1988年11月)を参照のこと)。強電離イオン交換樹脂は、約100Ω・cmの強さ程度の特定の電気抵抗(例えば、1リットルあたり塩化ナトリウム約0.1グラム当量を含む水溶液とほぼ同じ)を有する。米国特許第5,593,563号には、陰極室における金属粒子および/または炭素粒子などの電子伝導性粒子の使用が開示されている。米国特許第5,868,915号には、耐薬品性、耐温度性および耐ファウリング性がある合成の炭素質吸着剤粒子(直径0.5〜1.0mm)の電解室、精製室、または濃縮室のいずれかにおける使用が開示されている。なお、電解室におけるガスの存在、流量分配の不良、低温、および/または液体の低伝導率によって電流分配が妨げられ、これにより脱イオン化の効率が低下することがある。
【0009】
望ましくはないが、混床イオン交換体が使用される場合、樹脂を通過し膜へと動く不純物イオンの移動効率を最大化するために精製室の厚さは必然的に薄くなくてはならない(米国特許第6,197,174号)。希釈室をより薄くすることによって、製造コストがより高くなる。米国特許第4,636,296号には、この問題を緩和するため、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂が交互に配置された層を含む電気脱イオン装置が開示されている。米国特許第6,197,174号には、陽イオン樹脂および陰イオン樹脂の混床相を1つ、およびこの混床相に隣接する単相を少なくとも1つの用いることが開示されている。米国特許第6,156,180号には、精製室における第2イオン交換樹脂材クラスタの分散相を含む第1イオン交換樹脂材の連続相の使用が開示されている。この構成によって、精製室の厚さおよびサイズの増大が可能になり、その結果、精製室により多くの樹脂を収容することができ、かつ、与えられた流量に対して必要な膜面積を減少することができる。
【0010】
均一なビーズサイズの樹脂が精製室に配置された場合、イオン交換率が上昇し、これにより脱塩がよりよく行われることが分かった(グリフィンを参照のこと)。これは樹脂表面積が増加するためであり、かつ、システム内の電気回路において活性樹脂の量が効果的に増加するためである。米国特許第5,308,466号には、樹脂または膜の抵抗を低下させるための、低架橋度イオン交換樹脂または膜の使用が開示されている。このような樹脂または膜は、高架橋度イオン交換樹脂および膜と比較して、より大きな間隙水分含有量、より大きい孔径、および、より低い電荷密度を有する。米国特許第5,858,191号には、電流分配、樹脂再生度、および脱イオン性能を向上するために、陰イオン透過膜および/または樹脂における、陰イオン交換樹脂材II型の単独の使用、または陰イオン交換樹脂材I型との併用が開示されている。米国特許第6,284,124号には、交互に配置された層の間の伝導率の差を減少させるために、精製室においてドープ陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂材I型を使用することが開示されている。米国特許第6,312,577号には、高架橋度であり、かつ高い水分含有量を有するマクロ孔質イオン交換樹脂の使用が開示されている。このシステムにより、イオン化度の低いイオン、特にシリカの除去率が向上される。
【0011】
供給水中にイオンがかなり存在する場合、イオンが濃縮室へと移動するのに従い、電荷が精製室を通過する。しかし、イオンが除去されるのに従って、電気脱イオンシステムにおいて電極で発生する電荷を運搬するのに十分なイオンが得られない状態に達する。セルの抵抗は大幅に増加し、その結果電圧が上昇する。精製室の電圧差は水をH+イオンおよびOH-イオンに分離するのに十分な程度まで増大する(バーン(Byrne W.)の「水処理百科辞典」(第10巻、EDR&EDI、U1.0バージョン、ウェス・バーンおよび教育発展社(CEA)、1999年)を参照のこと)。電気脱イオン装置においては、電気脱イオン装置が効率よく水の脱イオン化を実行することが可能となるように、水を電離させてH+イオンおよびOH-イオンを生成し、精製室に充填されているイオン交換樹脂を継続的に再生する。希釈室における高電圧は水を分離するだけではなく、先行する逆浸透システムを通過したいくつかの低分子量有機物を破壊する(アウアウォルド(Auerswald,D.)『逆浸透/連続式電気脱イオンシステム性能の最適化』、超純水、35〜52頁、1996年5/6月)。供給水からイオンを放出するのに理論上必要とされる量よりも大きな電流を供給し、精製室における水の電離を引き起こし、これにより、イオン交換樹脂を継続的に再生する。理論上、96,500クーロン(1ファラデー)の通電を行った場合、塩1化学当量が移動する。
【0012】
精製室から隣接する濃縮室へとイオンを除去するメカニズムには、イオンの樹脂相への拡散、および、それに伴った、樹脂相における精製室の境界膜への電気伝導が含まれることが示されている(グルキエフ(Glueckauf E.)『充填層による電気脱イオン化』(英国化学工学、646〜651頁1959年12月)を参照のこと)。高いイオン除去率を得るためには、陽イオン交換樹脂は主として水素型とされるべきであり、かつ陰イオン交換樹脂は主として水酸化物型とされるべきである。水からイオンが比較的遊離している精製室の端において、電界により水が分離される。このことにより、水素イオンおよびヒドロキシルイオンが生じる。水を電離してH+イオンおよびOH-イオンを生成することによって、樹脂の水素型および水酸化物型を維持することができる。さらに、再生された型の樹脂はイオン化度の低い物質と反応することが可能であり、それらの物質が、さもなくば起こり得ない移動を可能とする(ガンジーによる記載の通り)。
【0013】
陽イオンと陰イオンとの混合交換樹脂のランダムな性質により樹脂の一部が不必要に高い程度にまで再生され、他の部分の再生が不十分となる傾向がある。水分離の均一な分布を達成することは非常に難しい問題であり、これを達成する構造を設計するために多くの努力が費やされてきた(例えば、米国特許第6,241,867号、第5,858,191号、第5,868,915号、および第5,308,467号を参照のこと)。
【0014】
スケールは、電気脱イオン装置の局所、特に、典型的に高いpHが存在する箇所において発生することが知られている。電流に従って境界層におけるpHが上昇するとされている。従って、スケールの発生を防止または少なくとも改善するためには、電流を十分に低いレベルに維持しなくてはならない。電流が低すぎる場合、水質が劣化する。電流が高すぎる場合、スケールの発生が増加する(米国特許第6,365,023号)。電気脱イオン装置を利用する際の問題点の1つとして、主として、陰極室の基本的環境に接する液体中のカルシウム、マグネシウムおよび重炭酸塩イオンの存在により引き起こされる陰極室内の不溶性スケールの堆積が挙げられる。水回収率が高い場合には濃縮室においてもスケールが発生することがある。炭酸カルシウムが溶液中で析出するには、ランゲリア飽和指数(LSI)が正でなくてはならない。陰極室においては、LSIが正となるのに十分な程度までpHが上昇することがある。逆浸透生成水のLSIは常に負となる。電気脱イオン化濃縮ストリームにおいてもLSIは負となる。よって、LSIのみの考察に基づくと、濃縮室に発生する炭酸カルシウムの析出は考えられないが、局所的状況によって生じると考えれば説明がつく(米国特許第6,296,751号)。電気脱イオン装置の作動中に、陰イオン交換膜表面付近のpHは局所的にアルカリ性を示す。精製室からの陰イオン交換膜を透過するCO32-またはHCO3-およびHO-は陰イオン交換膜付近で濃縮される。さらに、濃縮室における水中の硬度の高い多価陽イオンは陰イオン交換膜側に引き付けられるか動かされ、これによりCO32-またはHCO3-およびHO-がCa2+と反応して陰イオン交換膜上に炭酸カルシウムのスケールを形成する。スケールが堆積すると、この堆積物を通過する電流および水に対する抵抗が増加する結果となる。スケールが形成されると、スケールが形成された領域の電気抵抗が増加してその部位においては電流が低下する。極端な場合、装置の最大電圧範囲内でイオンの除去に十分な電流を印加することが不可能となり、処理水の品質が低下する。スケール形成の防止策としては、典型的には、軟水剤を添加することによって供給ストリームから多価陽イオンを除去することに焦点が当てられる。電気脱イオン装置のメーカは、システムに対する供給水中のカルシウム濃度を非常に低いレベル(例えば、0.5ppm未満)とすることを提案している(米国フィルタ文献No. US2006)。米国特許第5,308,466号には、イオン交換樹脂を含む濃縮室を利用した電気脱イオン装置が開示されている。濃縮室がイオン交換樹脂で充填されている場合、陰イオン交換膜を透過するOH-イオンが濃縮室に移動しやすくなり、これによりスケールが分散される(米国特許第6,379,518号)。酸を添加して、いくつかのアルカリ性物質を炭酸へと変換し、炭酸塩および硫酸塩の溶解度を上昇させてもよい。米国特許第6,274,019号には、濃縮水に対する酸性溶液の添加が開示されている。濃縮水中における酸性溶液の使用は、濃縮水中の硬度成分の溶解度を上昇させ、スケールの形成を防止する。スケールの析出を阻止するために、濃縮室、陽極室、および陰極室におけるスケール防止剤を有効量使用することが、米国特許第6,056,878号において開示されている。スケールが多い場合、堆積物質により物理的なダメージが与えられることもある。
【0015】
米国特許第6,296,751号には、電気脱イオン装置における第1ステージおよび第2ステージの適用が開示されている。第1ステージの精製室は、陰イオン交換樹脂材または陽イオン交換樹脂材のみを含み、これにより陰イオンまたは陽イオンのいずれか一方のみを除去する。第2ステージの精製室は第1ステージの精製室からの流出水を受け取り、他方の交換樹脂または混合樹脂材を含み逆極性のイオンを除去する。第1ステージからの濃縮水を第2ステージから隔離することにより、濃縮室においてやや溶けにくい塩によるスケール形成を防止する。
【0016】
供給ストリームおよび濃縮ストリームに対する逆方向通水の適用が米国特許第6,248,226号において開示されている。逆方向通水の適用に関連して、スケールを防止するために、多孔性隔壁またはイオン伝導膜を導入することにより、濃縮室を第1室および第2室へ分割することが米国特許第6,149,788号において開示されている。多孔性隔壁またはイオン伝導膜は、濃縮室の陽イオン交換膜側から濃縮室の陰イオン交換膜側への、スケールを形成する金属陽イオンの対流移動を効果的に防ぎ、これにより陰イオン交換膜上のスケール形成を阻止する。
【0017】
一般的に、膜およびイオン交換樹脂表面上にコロイド、有機汚染物質、および他の不純物が堆積すると、電気抵抗の増加を引き起こす。これは、この堆積物が存在する室内における水に対する抵抗の増加、および電流効率の減少をも引き起こす可能性がある(米国特許第5,026,465号)。
【0018】
塩析出物、コロイド、有機汚染物質、および他の不純物によるスケールおよびファウリングの発生傾向を減少するための、電気脱イオン化極性反転の使用が米国特許第5,026,465号に開示されている。電気透析処理における極性反転の使用が米国特許第2,863,813号、第3,341, 441号、第4,115, 225号、および第4,381,232号に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、水を浄化するための逆浸透および電気脱イオン化を組み合わせたシステムを改良することにあり、少なくとも、有用な選択を公共に対して提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によると、少なくとも1つの逆浸透装置に供給水を通過させて生成水および排出水を生成する工程と、上記生成水を逆浸透装置から連続式電気脱イオン装置の希釈ストリームへと導く工程と、上記排出水を第1パスの逆浸透装置から軟化器を通過するように導くことにより第1パスの逆浸透装置からの排出水よりも少ない硬度成分を含む軟化器流出水を生成する工程と、上記軟化器流出水を連続式電気脱イオン装置の濃縮ストリームへと導く工程とを含み、上記連続式電気脱イオン装置が上記希釈ストリームからの水をさらに浄化して浄化水を生成する浄水方法が提供される。
【0021】
逆浸透装置において、供給水は2つの部分、すなわち、排出水部分および生成水部分に分けられる。逆浸透装置において、排出水部分からの水分子が少なくとも1つの膜を通過して生成水部分に流入するのにつれて、排出水部分はより濃縮され生成水部分はより希釈される。排出水部分は排出水として逆浸透装置から流出し、生成水部分は生成水として逆浸透装置から流出する。
【0022】
連続式電気脱イオン装置は、陽極、陰極、複数の陽イオン交換膜、および複数の陰イオン交換膜を有する。陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜は陽極室、陰極室、少なくとも2つの濃縮室、および少なくとも1つの精製室を形成するように配置される。これらの室は陽極と陰極との間に形成される。第1パスの逆浸透操作からの排出水を含む濃縮ストリームが、濃縮室、陽極室、および陰極室へと加えられる。逆浸透生成水の供給ストリームが、精製室へと加えられる。電気脱イオン装置の陽極および陰極に十分な電力が加えられる場合、供給ストリーム中の陰イオンが陰イオン交換膜を通過して濃縮室へと流入し、供給ストリーム中の陽イオンが陽イオン交換膜を通過して濃縮室へと流入する。このことにより精製室内の水中イオンが減少する。水は浄化生成水として精製室から流出する。
【0023】
第1パスの逆浸透装置からの排出水は、連続式電気脱イオン装置へと加えられる前に、硬度を取り除く処理を受けなくてはならない。4つの異なった軟化処理が好ましい。すなわち、粒径が均一な強酸陽イオン樹脂を含む標準的な逆流軟化器、カルボン酸基の樹脂を含む弱酸陽イオン交換器、適切なマクロレティキュラー型のアミノホスホン官能基キレート樹脂を含むイオン交換器、または適切なマクロレティキュラー型のイミノ二酢酸官能基キレート樹脂を含むイオン交換器である。
【0024】
以下の図面を参照して、これらに限定することを意図せずに、一例としてのみ本発明をさらに説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本実施例において使用される高純水システムを示す。同図は、本発明を実施する一実施形態のフローチャートである。
【0026】
水道水は、原水貯蔵槽1で受け入れられ、浮遊固形分を減少させるためにマルチステージ垂直遠心ポンプP1によってマルチメディアフィルタ3を通って送出される。浮遊固形分を凝固させるために凝固剤(PAC)がマルチメディアフィルタ3よりも前の段階で加えられ、凝固剤と水との適切な混合を確実に行うためにインライン静的ミキサ2が配設される。有機物および残留塩素を除去するために、マルチメディアフィルタ3からの濾過水は活性炭フィルタ4を通過する。遊離塩素および溶存酸素を除去するために、重亜硫酸ナトリウムを活性炭フィルタ4よりも前の段階で添加する。次いで、微小固形分を除去するために、活性炭フィルタ4からの処理水を1ミクロンカートリッジフィルタ5に通水する。
【0027】
2パスの逆浸透(RO)システムは、高圧流吸引マルチステージ垂直遠心ポンプP2およびP3、第1パスの逆浸透膜フィルタ6、および第2パスの逆浸透膜フィルタ8を含む。第2パスの逆浸透膜フィルタ8における弱イオン化したシリカ、ホウ素、および有機物の排出に関して膜フィルタの性能を向上するために、2つのパスの間で苛性ソーダを添加する。逆浸透フィルタ6および8として、渦巻状に成形されたポリアミド複合逆浸透膜が使用される。第2パスの逆浸透膜フィルタ8からの排出ストリームは、第1パスの供給ストリームに戻るよう再循環される。2パスの逆浸透システムからの透過水(生成水)は透過水貯蔵槽9に送水される。透過水貯蔵槽9から、水中有機物含有量を低減するために、水はマルチステージ垂直遠心ポンプP4によって1次UV TOC低減器10を通って送出される。1次UV TOC低減器10からの水は、溶存ガスおよび揮発性有機物を除去するために1次膜脱気器11を通過する。最終的には、水中のイオン不純物を低減するために、CEDI装置12、次いで1次混床脱イオン装置13を通過する。
【0028】
このような補給処理ループから、水は脱イオン水貯蔵槽14に送水される。槽14は、槽中の水が外気により汚染されないように、窒素で充填されている。水は、温度を低下させるために高圧流吸引マルチステージ垂直遠心ポンプP5によって熱交換器15を通って送出され、次いで残留有機物を除去するために2次UV TOC低減器16を通過する。従来のようにポリシングループにおける再循環率が33%の場合、2次UV TOC低減器16によって、TOCはサブppbレベルにまで除去される。この2次UV TOC器16の流出口からの水は、犠牲ポリシング混床脱イオン装置17、次いで2次膜脱気器18を通過する。犠牲ポリシング混床脱イオン装置17内の樹脂は非再生型である。犠牲ポリシング混床脱イオン装置17により、イオン不純物はpptレベルにまで除去される。2次膜脱気器18により、溶存酸素はサブppbレベルにまで除去される。2次膜脱気器18からの水は、UV消毒器19、次いで絶対値0.1ミクロンカートリッジフィルタ20を通過する。UV消毒器19は、高純水の調製において滅菌装置として使用される。UV消毒器19からの滅菌水は、次いで超微粒子を除去するために絶対値0.1ミクロンカートリッジフィルタ20に送水される。限外濾過(UF)器21は、ポリシングループにおける最終装置であり、このUF器21からの生成水については、その流量、圧力、温度、抵抗率、粒子カウント、TOC、および溶存酸素が継続的にモニターされる。使用ポイント(POU)におけるUF器21は、超微粒子除去作用をさらに強化して、粒子カウントを50nm径粒子300/リットル未満にまで低減する。POUから戻された水は、滅菌状態を維持するために復路UV消毒器22を通って脱イオン水貯蔵槽14に戻される。
【0029】
図1は2パスの逆浸透システムを示すが、システムにおける回収率を向上するために、逆浸透システムは濃縮段階の使用の必要性に応じて単一のまたは連続した複数の配列であってもよい。より多くの、またはより少ない逆浸透システムが使用されてもよい。例えば、逆浸透システムを1つだけ使用してもよい。
【0030】
第1パスの逆浸透の前に、排出ストリームが連続式電気脱イオン装置へと加えられ、硬度成分を除去するためにその排出ストリームはイオン交換器7を通過する。イオン交換器7によって排出ストリームから多価陽イオンが除去される。これにより、電気脱イオン装置における濃縮ストリームの伝導率が適切となるようにされる。この場合、濃縮ストリーム中の局所的なランゲリア飽和指数(LSI)を負とするために、第1パスの排出ストリームにおける多価陽イオンを除去することが好ましい。本発明の好適な実施形態においては、標準的な逆流軟化、弱酸陽イオン樹脂の通過/透過による軟化、適切なアミノホスホン酸のまたはイミノ二酢酸の官能基キレート樹脂を用いた軟化という4つのシステムのうち1つが、第1パスの逆浸透排出ストリームから硬度成分を除去するために使用される。
【0031】
好適な実施形態においては、軟水システムにおいて、粒径が均一な強酸陽イオン樹脂を含む標準的な逆流軟化器が使用される場合、強酸陽イオン樹脂はナトリウム型とされる。
【0032】
好適な実施形態においては、軟水システムにおいて、弱酸陽イオン樹脂の通過または透過を用いて水を軟化する場合、弱酸陽イオン樹脂はナトリウム型とされる。
【0033】
水の硬度(スケール)を形成する構成要素であるカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを除去するために水が軟化される。標準的な逆流軟化器は非常に効果的である上、比較的単純である。硬水が、ナトリウム型の強酸陽イオン交換樹脂のカラムを通過すると、そこで望ましくないカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを望ましいナトリウムイオンに置換する。カルシウムイオンおよびマグネシウムイオンを吸着する樹脂の能力が消耗すると、カラムは供給水流とは反対の方向の塩水により再生される。逆流軟化器通過後の第1パスの逆浸透排出水のほとんどにおいて、炭酸カルシウムとしての硬度は約1.5ppm未満となる。逆流軟化器が消耗した場合、再生する必要がある。樹脂1リットルあたり約150グラムの再生レベルで、10%の塩水により再生を行うことが可能である。
【0034】
硬度を取り除くための、ナトリウム型の弱酸陽イオン樹脂の使用は、炭素軟化処理と同等である。全溶存固形物質(TDS)が多い水を効果的に軟化するためには、ナトリウム型の弱酸陽イオン樹脂を利用する必要がある。2段階再生によるこの技術は炭素軟化処理と呼ばれる。ナトリウム型は、カルシウムおよびマグネシウムに対して、従来の強酸陽イオン交換器が示すよりも強い選択性を有する。消耗した樹脂は、まず比較的高レベルの酸、次いで水酸化ナトリウムにより再生される。ナトリウムサイクルにおける軟化には、酸で再生された形態を、作用ナトリウム型に直接的に変換することが必要である。この樹脂は、水素型からナトリウム型へと変換されるときに約50〜60%膨張する。イオン交換容器は、この膨張を許容するのに十分な大きさを備えている必要がある。ナトリウム型の弱酸陽イオン樹脂を使用する場合、第1パスの逆浸透排出水のほとんどにおいて、得られる水における炭酸カルシウムとしての硬度を約0.5ppm未満とすることが可能である。弱酸陽イオン樹脂に流入する供給水は、供給水のアルカリ性を総硬度レベルまで上昇させるために水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムのいずれかを使用することでpHを調整することが必要になる場合がある。弱酸陽イオン樹脂が消耗すると、再生する必要がある。再生は5%の塩酸で約110%の再生率で処理し、次いで5%の水酸化ナトリウム溶液で調整される。床の圧縮を避けるために、ナトリウム変換に際して、弱酸陽イオン樹脂にはアップフロー技術を使用してもよい。
【0035】
アミノホスホン酸のまたはイミノ二酢酸の官能基を用いたマクロレティキュラー型のキレート樹脂は、重金属陽イオンだけではなくカルシウム、マグネシウム、およびストロンチウムに対しても、ナトリウムのようなアルカリ金属イオンに対するよりも強い選択性を有する。このような樹脂の選択的性質により、溶液から重金属を除去することが可能となるだけではなく、水ストリームから硬度を取り除いてppbレベルにまで低減することが可能となる。消耗した樹脂は、まず比較的高レベルの酸、次いで水酸化ナトリウムにより再生される。ナトリウム循環における軟化には、酸で再生された組成を、作用するナトリウム組成に直接的に変換することが必要である。この樹脂は、水素組成からナトリウム組成へと変換されるときに約40〜45%膨張する。イオン交換容器は、この膨張を可能とする大きさを備えている必要がある。
【0036】
マクロレティキュラー型のアミノホスホン官能基キレート樹脂を使用した軟化作業の際、第1パスの逆浸透排出水のほとんどにおいて、軟化作業によって得られる水における炭酸カルシウムとしての硬度を約25ppb未満とすることが可能である。作業効率を最適化するために、マクロレティキュラー型のアミノホスホン官能基キレート樹脂は約15BV/hの空間速度で流される。床の圧縮を避けるために、ナトリウム変換に際して、マクロレティキュラー型のアミノホスホン官能基キレート樹脂にはアップフロー技術が使用される。
【0037】
マクロレティキュラー型のイミノ二酢官能基キレート樹脂を使用した軟化作業の際、第1パスの逆浸透排出水のほとんどにおいて、軟化作業によって得られる水における炭酸カルシウムとしての硬度を約25ppb未満とすることが可能である。作業効率を最適化するために、マクロレティキュラー型のイミノ二酢官能基キレート樹脂は約15BV/hの空間速度で流される。床の圧縮を避けるために、ナトリウム変換に際して、マクロレティキュラー型のイミノ二酢官能基キレート樹脂にはアップフロー技術が使用される。
【0038】
図2は、本実施例において使用されるCEDI装置12の一部を示す断面図である。CEDI装置12は、陽極24を備える陽極室23、および陰極26を備える陰極室25を含む。複数の陽イオン交換膜27および陰イオン交換膜28が、陽極室23と陰極室25との間に交互に配置されて、精製室29および濃縮室30を形成する。精製室29は陽極側では陰イオン透過膜28により、陰極側では陽イオン透過膜27により境界が形成される。隣接する濃縮室30は陽極側では陽イオン透過膜27により、陰極側では陰イオン透過膜28によりそれぞれ境界が形成される。精製室29において利用される電気活性媒体は、陰イオン31および陽イオン32のイオン交換樹脂ビーズ混合物を含む。イオン交換体31および32は、ビーズ状のイオン交換樹脂粒子であることが好ましい。第2パスの逆浸透生成水は、実質的に均一なサイズの樹脂ビーズを含む精製室29に流入する前に、1次UV TOC低減器10および1次膜脱気器11においてさらに処理される。同様に、第1パスの逆浸透排出水は、濃縮室30、陽極室23、および陰極室25に流入する前に、硬度を取り除くためにイオン交換器7においてさらに処理される。
【0039】
なお、連続式電気脱イオン装置は、1つよりも多い精製室および2つよりも多い濃縮室を含んでいてもよい。
【0040】
イオン交換膜はシート状に製造されたイオン交換樹脂からなる。特定の固定荷電膜は、対イオンに対しては透過性を有し、共イオンに対しては透過性を有しない。イオン交換膜は水に対しては透過性を有さないので、これにより電位の影響下で対イオンの移動を許容しつつバルク液体の流れに対するバリアとして作用する。
【0041】
濃縮水を循環および再利用することによって、水の利用率が向上し、濃縮室の合理的なイオン濃縮が維持される。室を通過する濃縮水の流量は、乱流を維持し、かつ圧力低下を望ましい範囲内で維持するのに十分でなくてはならない。システムからのより良好な水回収率を得る手段としての流量の低減には、あまり柔軟性がない。濃縮水流の一定の割合が排水管へと送られなくてはならない。濃縮水の電気伝導度がより高くなると電流が増大し、印加電圧を低下させることが可能となるために、装置の電力消費量が抑えられる。逆拡散によって流出水の品質を制限することが可能である一方、濃縮ストリームの伝導率が高いほど電流の流れが促進される。濃縮ストリームの流量増加によって、濃縮室におけるスケールの形成が防止される。望ましくは、従来のシステムにおいては、回収率を制限することにより、濃縮室におけるスケールの形成速度を低下させることができ、場合によれば逆拡散の効果を低減することも可能になる。
【0042】
図3を参照して、本発明に係るCEDI装置12についてさらに詳しく説明する。電気脱イオンシステムへの供給水は2つのストリーム、すなわち、濃縮ループ34へと続く供給ストリーム33および補給ストリーム37に分離される。処理される水は供給ストリーム33から精製室29へと導入される。供給ストリーム33はシステムにおける精製室29を通って流れるにつれて脱イオン化される。目標とする流出水の水質を得るために、濃縮ループ34内の水は必要とする電流が流れるのに十分な伝導率を有していなくてはならない。濃縮ループ34は、濃縮溶液を再循環させるポンプP6、配水管36への濃縮ブリードオフライン35、供給ストリーム33からの補給ストリーム37、およびイオン交換器7からの別の高伝導軟水補給ストリーム38を含む。イオン交換器7は、ナトリウム型の標準的な逆流軟化器または弱酸陽イオン交換器、あるいはマクロレティキュラー型のアミノホスホンのまたはイミノ二酢の官能基キレート樹脂を含むイオン交換器であってもよい。精製室の流入ストリームよりも5〜10psig低い圧力で、濃縮および電極供給ストリームが導入されることを確実にするために、補給ストリーム38内で減圧バルブ(PRV)41が使用される。軟化器からの流出水に適切なスケール防止剤を注入して、シリカの過飽和によるスケールを防止する。スケール防止剤と軟化器からの流出ストリームとの適切な混合を確実に行うためにインライン静的ミキサ42が備えられる。補給ストリーム37はイオン交換器7からの高伝導軟水補給ストリーム38と混合されて、十分な伝導率を有する濃縮ストリーム39となる。結果として得られる濃縮ストリーム39は、濃縮室30、陽極室23、および陰極室25にそれぞれ導入される。塩素、水素、および酸素ガスを微量含んでいるため、電極ブリードオフストリーム40は配水管36へと分岐する。
【0043】
図4を参照して、濃縮再循環を行わないCEDI装置12について説明する。この構成は本実施例において用いられたものである。なお、濃縮水中にもともと少量存在していた硬度成分は、濃縮水が循環および再利用されるのに従ってますます濃縮され、時間が経つにつれて、より急速に濃縮チャンバまたは電極チャンバに沈殿するようになり、スケールが形成される。本発明に係る濃縮ループにおいては貫流式操作を使用することによりこのようなスケールが防止される。電気脱イオンシステムへの供給水は2つのストリーム、すなわち、精製チャンバへ流入する供給ストリーム33と、濃縮ストリーム39に交わる補給ストリーム37とに分離される。処理される水は供給ストリーム33から1つまたは複数の精製室29へと導入される。供給ストリーム33はシステムにおける1つまたは複数の精製室29を通って流れるのに従って脱イオン化される。補給ストリーム37はイオン交換器7からの高伝導軟水補給ストリーム38と混合されて、十分な伝導率を有する濃縮ストリーム39となる。イオン交換器7は、ナトリウム型の標準的な逆流軟化器または弱酸陽イオン交換器、あるいはマクロレティキュラー型のアミノホスホンのまたはイミノ二酢の官能基キレート樹脂を含むイオン交換器であってもよい。確実に精製室の流入ストリームよりも5〜10psig低い圧力で濃縮および電極供給ストリームが導入されるように、補給ストリーム38内で減圧バルブ(PRV)41が使用される。軟化器からの流出水に適切なスケール防止剤を注入して、シリカの過飽和によるスケールを防止する。スケール防止剤と軟化器からの流出ストリームとの適切な混合を確実に行うためにインライン静的ミキサ42が備えられる。結果として得られる濃縮ストリーム39は、濃縮室30、陽極室23、および陰極室25にそれぞれ導入される。濃縮ブリードオフストリーム35および電極ブリードオフストリーム40は配水管36へと分岐する。
【0044】
以前のCEDI装置においては、濃縮ストリーム内のイオン濃縮度を適切にするために、塩水などの薬品が添加された。第1パスの逆浸透装置からの排出水によりCEDIの濃縮ストリームが高い伝導率を有するようになる。第1パスの逆浸透排出水の伝導率は十分に高いので、CEDI濃縮ストリームに薬品を添加する必要がない。このことにより、コストおよび薬品処理を節約することができる。第1パスの逆浸透排出水をCEDI濃縮ストリームの一部として使用することのさらなる利点は、濃縮ストリームの導電率がさらに高くなることによりCEDIが低温において作動可能となることにある。濃縮ストリームの伝導率が高くなると、電気脱イオンセル全体の総電圧低下が装置の最大電圧限界内に収まる。別の利点として、CEDI装置の濃縮チャンバにおける伝導率の上昇により、電流が一般的に増大することが挙げられる。
【実施例】
【0045】
以下の実施例において、本発明はさらに説明、明確化され、本発明の利用方法が示される。しかしながら、これらの実施例はいかなる方法においても本発明の範囲を制限または制約することを意図せず、本発明を実施するにあたって排他的に利用しなくてはならない条件、パラメータ、または値を提供するものとして解釈してはならない。
【0046】
本実施例において用いられる上水道水の典型的な特徴は以下の通りである。
【0047】
平均供給水pH :7.5
平均供給水温度 :摂氏28度(華氏82度)
平均全溶存固形物質(TDS) :240ppm
平均供給水中シリカ :10ppm
平均供給水中ホウ素 :50ppb
平均全有機炭素(TOC) :3.0ppm
【0048】
水道水は、原水貯蔵槽によって受け入れれた後、浮遊固形分を減少させるためにマルチステージ垂直遠心ポンプによってマルチメディアフィルタを通って送出される。マルチメディアフィルタよりも前の段階で、浮遊固形分を凝固させるために凝固剤(PAC)が加えられ、凝固剤と水との適切な混合を確実に行うためにインライン静的ミキサが配設されている。マルチメディアフィルタの性能を決定するために、濁度、汚れ指標(SDI)15分、およびゼータ電位を測定する。
【0049】
濁度は、水サンプルにおける透明性欠如の測定により得られる。濁度計は、水サンプルにおける種々の粒子および浮遊物質により引き起こされる光散乱を測定する。通常、測定値は比濁計濁度単位(NTU)で表される。濁度測定値が1.0を超える場合、膜ファウリング傾向がより強いことを示す。SDI試験のように、濁度はファウリングの可能性を示すものに過ぎない。実際、光路において透明であり濁度試験において現れない汚染物質も存在する。これらは分析ツールとして完璧ではないが、濁度およびSDI測定値はRO供給水の特徴を捉える上で有用である。
【0050】
実験結果によると、PAC添加量が2ppmの場合に流出水濁度が約0.1NTUとなる。GLI社のAccu4TM低量濁度システムを用いて、マルチメディアフィルタからの流出口における濁度のオンラインモニタリングを行った。このシステムには自動範囲設定目盛りが配設されており、0〜100NTUの範囲で継続的モニタリングを行うことができる。ケメテック社(米国、ポートランド)のフィルタプラギング解析器モデルFPA−3300を用いて、PAC添加量を変動させながら、マルチメディアフィルタからの流出口におけるSDIのオンラインモニタリングを行った。実験結果によると、PACを2ppm添加した場合に流出水SDI(15分)が約2.5となる。マルバーン社のゼータサイザ3000HSを用いて、マルチメディアフィルタへの流入口におけるゼータ電位のオフラインモニタリングを行った。PAC添加量が約2ppmの場合にマルチメディアフィルタ流入口におけるゼータ電位は0に近づく。
【0051】
有機物および残留塩素を除去するために、マルチメディアフィルタからの濾過水を活性炭フィルタに通した。遊離塩素および溶存酸素を除去するために、重亜硫酸ナトリウムを活性炭フィルタよりも前の段階で添加した。次いで、微小固形分を除去するために、活性炭フィルタからの処理水を1ミクロンカートリッジフィルタに送水した。重亜硫酸ナトリウムによって、塩素は完全に除去され、かつ溶存酸素レベルは約2.5〜3.0ppmに低減された。活性炭生成水中の全有機炭素(TOC)レベルは、3.0ppmから1.8ppm未満に低減された。
【0052】
好適な実施形態における以下の機器操作は、電気脱イオン装置12よりも前の段階で行われるイオン不純物の除去に関わる。
【0053】
第1パスの逆浸透膜フィルタ6。膜フィルタは、CPA2−4040膜エレメント(ハイドラノーティックス社製)の3:2配列によるものを含み、容器1つあたり4つのエレメントが備えられる。第1パスの逆浸透エレメントは、1平方フィートおよび1日あたり12ガロン(GFD)の平均流速、ならびに70%の回収率で作動する。
【0054】
第2パスの逆浸透膜フィルタ8。膜フィルタは、CPA2−4040膜エレメント(ハイドラノーティックス社製)の2:1配列によるものを含み、容器1つあたり4つのエレメントが備えられる。第2パスの逆浸透エレメントは、1平方フィートおよび1日あたり17ガロン(GFD)の平均流速、ならびに85%の回収率で作動する。その結果、全体としての回収率は約66.5%となる。
【0055】
第1パスの逆浸システムからの排出ストリームにおいてLSIを確実に負にするために、2.0ppmの塩酸を第1パスの供給水に添加した。本実施例において得られた2重パス生成水の典型的特徴は以下の通りである。
【0056】
平均生成水pH :5.2
平均全溶存固形物質(TDS) :0.3ppm
平均生成水中シリカ :10ppb
平均生成水中ホウ素 :8ppb
平均全有機炭素(TOC) :50ppb
【0057】
上記の好適な実施形態を用いて、電気脱イオン装置周辺の回収率を変動させながら、第1パスの逆浸透排出ストリームに対して様々な軟化器を使用する逆浸透/電気脱イオン化を組み合わせた装置について、一連の実験を行った。最大出力電圧600ボルトの整流器を使用して、電気脱イオン装置を流れる直流電流を4.6アンペアに設定した。
【0058】
我々の実験において、軟化器の種類、ならびにスケール防止剤の種類および濃度が電気脱イオン装置の性能に強い影響を与えることが分かった。パイロットテスト器の操作結果は、実施例1〜5を参照することによってよりよく理解されるであろう。
【0059】
本研究においては、ホウ素、シリカ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムの微量元素分析にフィニガン社のエレメント2を使用した。エレメント2は、多くの異なった基質における化合物(特に、微量元素)の分析が可能な高解像度誘導結合プラズマ質量スペクトロメトリである。本研究においては、脱イオン水中の陰イオン不純物を分析するために、ダイオネクス社のDX500イオン交換クロマトグラフィー(IC)を使用した。本研究においては、2重パス逆浸透システムの流入口および流出口においてTOCレベルをオンラインモニタリングするために、シーバーズ(米国、ボルダ、イオニックインストルメントビジネスグループ)社の800TOCアナライザを用いた。
【0060】
表1に示す品質の上水道水を2重パス逆浸透装置で処理して、同表に示す品質の透過水を得た。透過水は、電気脱イオン水生成装置における精製室および濃縮室をそれぞれ通過する供給水および部分的な濃縮水として使用された。逆浸透装置からの第1パスの排出ストリームは、標準的な逆流軟化器または好ましくはナトリウム型の弱酸陽イオン樹脂、あるいは適切なキレート樹脂を通過し、硬度成分が除去される。第1パスの排出ストリームの品質も表1に示す。シリカの過飽和によるスケールを防止するために適切なスケール防止剤を添加した後、軟化した第1パスの排出ストリームを使用して、電気脱イオン水生成装置における適切な濃縮ストリーム伝導率が得られた。
【0061】
【表1】

【0062】
本実施例において使用される電気脱イオン水生成装置の詳細を以下の表2に示す。
【表2】

【0063】
電気脱イオン装置に対する観察された供給水のパラメータを以下の表3に示す。
【表3】

【0064】
この場合に、第1パスの逆浸透排出ストリームに対する軟化器の使用に以下のような変動を加えて脱イオン処理を行った。本実施例を通して、濃縮室を流れる流量は4.5gpmの一定値に維持された。このように高い流量で濃縮ストリームを操作することによって、濃縮室におけるスケールの形成が防止される。さらに、軟化された第1パスの逆浸透排出ストリームから適切な濃縮水の流量が得られるため、濃縮水を再循環させなかった。なお、濃縮水中にもともと少量存在していた硬度成分は、濃縮水が循環および再利用されるのに従ってますます濃縮され、時間が経つにつれて、より急速に濃縮チャンバまたは電極チャンバに沈殿するようになり、スケールが形成される。濃縮ループにおいて貫流式操作を使用することによりこのようなスケールが防止される。本実施例においては、生成水流量を12.5gpmの一定値に維持された。逆浸透装置から濃縮室を流れる軟化した第1パスの排出ストリームの流量を変動させて、電気脱イオン水生成装置周辺の回収率を変動させた。結果は、堆積物電圧および処理水の電気抵抗を計測し、操作を30日間継続的に行った後に濃縮チャンバおよび電極チャンバのあらゆるスケール堆積物を観察することによって評価された。必要な印加電圧が装置の最大電圧を超えた場合に、スケールの存在は各部位の電流を低下させる。この場合、イオンの除去に十分な電流を印加することが不可能となり、処理水の品質が低下する。
【0065】
最大出力電圧600ボルトの整流器を使用して、電気脱イオン装置を流れる直流電流を4.6アンペアに設定した。
【0066】
実施例1
標準的な逆流軟化器を使用して、第1パスの逆浸透排出ストリームから硬度成分を除去した。イオン交換樹脂は、スルホン酸タイプの陽イオン交換樹脂(商標:アンバージェット1200Na、ローム アンド ハース社製)であった。本実施例においては、最大流量7.0gpmおよび循環時間8.0時間を実現するために、外径250mmの逆流軟化器を使用した。樹脂量は50リットルであった。容器を通過する空間速度は、流量7.0gpmで32.4BV/hであった。樹脂1リットルあたり150グラムのレベルで、10%の塩水を用いて再生を行った。この標準的な逆流軟化器により、約1.5ppmの硬度流出物を炭酸カルシウムとして得た。軟水の伝導率は1300〜1600マイクロジーメンス/cmの範囲内であった。全体としての回収率66.5%で逆浸透システムを作動させたので、軟水の伝導率は源となる供給水の約3倍となった。電気脱イオン装置における精製室の流入ストリームよりも5〜10psig低い圧力で濃縮および電極供給ストリームが確実に導入されるように、標準的な逆流軟化器からの流出ストリームにおいて減圧バルブ(PRV)タイプV82(ジョージフィッシャー社製)を使用した。
【0067】
静的ミキサを用いてプレトリートプラスTM0100スケール防止剤(キング・リーテクノロジーズ社製)を脱イオン化濃縮ストリームに注入してシリカの重合および析出を遅らせた。このスケール防止剤は、溶存イオン/酸化アルミニウム/シリカ複合体を凝集させない。これは、4.5ppmの添加量において有用であった。
【0068】
電気脱イオン水生成装置周辺の回収率を90%に設定した。実験の開始時点では、600ボルトの最大印加電圧により2.9アンペアの電流が生じたが、電圧が480ボルトに低下し、実験の持続時間(720時間)を通してこのレベルに止まった一方、電流は4.6アンペアの設定値まで上昇した。実験の持続時間中、生成水は17.1マイクロジーメンス/cmよりも高い抵抗値に維持された。生成水中のシリカレベルは、10ppbから100ppt未満に低下した。生成水中のホウ素レベルは、8ppbから100ppt未満に低下した。一定の電圧および一貫して高い生成水抵抗により、濃縮チャンバおよび電極チャンバ内に目立ったスケールがないことが分かる。
【0069】
実施例2
脱イオン装置を回収率95%で作動させたこと以外は上記の通りの標準的な逆流軟化器を使用して、比較実験を行った。標準的な逆流軟化器により、約1.5ppmの硬度流出物を炭酸カルシウムとして得た。軟水の伝導率は1300〜1600マイクロジーメンス/cmの範囲内であった。全体としての回収率66.5%で逆浸透システムを作動させたので、軟水の伝導率は源となる供給水の約3倍となった。電気脱イオン装置における精製室の流入ストリームよりも5〜10psig低い圧力で濃縮および電極供給ストリームが導入されることを確実にするために、標準的な逆流軟化器からの流出ストリームにおいて減圧バルブ(PRV)タイプV82(ジョージフィッシャー社製)を使用した。任意の適切な減圧バルブを使用してもよい。本実施例においては、添加量4.5ppmのプレトリートプラスTM0100スケール防止剤(キング・リーテクノロジーズ社製)の注入が維持された。最初の数時間は、利用可能な直流600Vで4.6アンペアの目標操作電流が通電され、その後、実験の持続時間(720時間)を通して電流は1.8アンペアにまで着々と低下した。生成水の抵抗は、初期値が16.8マイクロジーメンス/cmであったが、160時間の操作後9.0マイクロジーメンス/cmに低下し、720時間の操作後1.2マイクロジーメンス/cm未満にさらに低下した。この結果から、陰イオン膜の濃縮チャンバ側にスケールが形成されたことが明らかである。スケールの堆積が観察され、流れの一部が妨害された。
【0070】
実施例3
ナトリウム型の弱酸陽イオン樹脂を使用して、第1パスの逆浸透排出ストリームから硬度成分を除去した。アルカリ性が総硬度を超えるようにするために水酸化ナトリウムを供給ストリームに添加した。イオン交換樹脂は、炭酸タイプの陽イオン交換樹脂(商標:アンバーライトIRC86、ローム アンド ハース社製)であった。本実施例においては、最大流量8.0gpmおよび循環時間20.0時間を実現するために、外径300mmの弱酸陽イオン軟化器を使用した。樹脂量は75リットルであった。容器を通過する空間速度は、流量8.0gpmで24.0BV/hであった。樹脂1リットルあたり78グラムのレベルで、5%の塩酸を用いて、110%の再生率に相当する再生を行った。続いて、水酸化ナトリウムによる調整を行い、再生した樹脂をナトリウム組成へと変換した。床の圧縮を避けるために、このナトリウム変換はアップフロー法により行われた。樹脂(水素組成で届けられる)は50〜60%膨張してナトリウム組成となるため、これに準じて容器のサイジングを行った。ナトリウム型の弱酸陽イオン交換器により、約0.5ppmの硬度流出物を炭酸カルシウムとして得た。軟水の伝導率は1300〜1600マイクロジーメンス/cmの範囲内であった。全体としての回収率66.5%で逆浸透システムを作動させたので、軟水の伝導率は源となる供給水の約3倍となった。電気脱イオン装置における精製室の流入ストリームよりも5〜10psig低い圧力で濃縮および電極供給ストリームが導入されることを確実にするために、弱酸陽イオン交換器からの流出ストリームにおいて減圧バルブ(PRV)タイプV82(ジョージフィッシャー社製)を使用した。
【0071】
本実施例においては、添加量4.5ppmのプレトリートプラスTM0100スケール防止剤(キング・リーテクノロジーズ社製)の注入が維持された。
【0072】
電気脱イオン水生成装置周辺の回収率を95%に設定した。実験の開始時点では、600ボルトの最大印加電圧により3.1アンペアの電流が生じたが、電圧が480ボルトに低下し、実験の持続時間(720時間)を通してこのレベルに止まった一方、電流は4.6アンペアの設定値まで上昇した。実験の持続時間中、生成水は17.0マイクロジーメンス/cmよりも高い抵抗値に維持された。生成水中のシリカレベルは、10ppbから100ppt未満に低下した。生成水中のホウ素レベルは、8ppbから100ppt未満に低下した。一定の電圧および一貫して高い生成水抵抗により、濃縮チャンバおよび電極チャンバ内に目立ったスケールがないことが分かる。
【0073】
実施例4
適切なキレート樹脂を使用して、第1パスの逆浸透排出ストリームから硬度成分を除去した。イオン交換樹脂は、アミノホスホン官能基樹脂を用いたマクロレティキュラー型(商標:アンバーライトIRC747、ローム アンド ハース社製)であった。この基は、金属イオンで錯体を形成するという薬学的性質を有する。アンバーライトIRC747は水ストリームにおける硬度成分および他の金属を除去するのに効果的な樹脂である。イオン交換器は、空間速度15BV/hで作動させた。ナトリウム型のマクロレティキュラー型のアミノホスホン官能基キレート樹脂を含むイオン交換器により、約25ppbの硬度流出物を炭酸カルシウムとして得た。軟水の伝導率は1300〜1600マイクロジーメンス/cmの範囲内であった。全体としての回収率66.5%で逆浸透システムを作動させたので、軟水の伝導率は源となる供給水の約3倍となった。電気脱イオン装置における精製室の流入ストリームよりも5〜10psig低い圧力で濃縮および電極供給ストリームが導入されることを確実にするために、マクロレティキュラー型のアミノホスホン官能基キレート樹脂を含むイオン交換器からの流出ストリームにおいて減圧バルブ(PRV)タイプV82(ジョージフィッシャー社製)を使用した。
【0074】
本実施例においては、添加量4.5ppmのプレトリートプラスTM0100スケール防止剤(キング・リーテクノロジーズ社製)の注入が維持された。
【0075】
電気脱イオン水生成装置周辺の回収率を98%に設定した。実験の開始時点では、600ボルトの最大印加電圧により3.2アンペアの電流が生じたが、電圧が450ボルトに低下し、実験の持続時間(720時間)を通してこのレベルに止まった一方、電流は4.6アンペアの設定値まで上昇した。実験の持続時間中、生成水は17.4マイクロジーメンス/cmよりも高い抵抗値に維持された。生成水中のシリカレベルは、10ppbから100ppt未満に低下した。生成水中のホウ素レベルは、8ppbから100ppt未満に低下した。一定の電圧および一貫して高い生成水抵抗により、濃縮チャンバおよび電極チャンバ内に目立ったスケールがないことが分かる。
【0076】
実施例5
適切なキレート樹脂を使用して、第1パスの逆浸透排出ストリームから硬度成分を除去した。イオン交換樹脂は、ナトリウム型のマクロレティキュラー型のイミノ二酢酸官能キレート樹脂(商標:アンバーライトIRC740、ローム アンド ハース社製)であった。この基は、金属イオンで錯体を形成するという薬学的性質を有する。アンバーライトIRC748は水ストリームにおける硬度成分および他の金属を除去するのに効果的な樹脂である。イオン交換器は、空間速度15BV/hで作動させた。ナトリウム型のマクロレティキュラー型のイミノ二酢酸官能キレート樹脂を含むイオン交換器により、約25ppbの硬度流出物を炭酸カルシウムとして得た。軟水の伝導率は1300〜1600マイクロジーメンス/cmの範囲内であった。全体としての回収率66.5%で逆浸透システムを作動させたので、軟水の伝導率は源となる供給水の約3倍となった。電気脱イオン装置における精製室の流入ストリームよりも5〜10psig低い圧力で濃縮および電極供給ストリームが導入されることを確実にするために、マクロレティキュラー型のイミノ二酢酸官能キレート樹脂を含むイオン交換器からの流出ストリームにおいて減圧バルブ(PRV)タイプV82(ジョージフィッシャー社製)を使用した。
【0077】
本実施例においては、添加量4.5ppmのプレトリートプラスTM0100スケール防止剤(キング・リーテクノロジーズ社製)の注入が維持された。
【0078】
電気脱イオン水生成装置周辺の回収率を98%に設定した。実験の開始時点では、600ボルトの最大印加電圧により3.1アンペアの電流が生じたが、電圧が460ボルトに低下し、実験の持続時間(720時間)を通してこのレベルに止まった一方、電流は4.6アンペアの設定値まで上昇した。実験の持続時間中、生成水は17.3マイクロジーメンス/cmよりも高い抵抗値に維持された。生成水中のシリカレベルは、10ppbから100ppt未満に低下した。生成水中のホウ素レベルは、8ppbから100ppt未満に低下した。一定の電圧および一貫して高い生成水抵抗により、濃縮チャンバおよび電極チャンバ内に目立ったスケールがないことが分かる。
【0079】
実施例4および5において説明したようなマクロレティキュラー樹脂の使用は、ゲルタイプ樹脂(例えば、実施例1〜3において使用したもの)よりも浸透圧ショックへの耐性が高くイオン交換の反応速度が向上されているという利点を有する。
【0080】
以上、好適な形態を含めて本発明を説明した。当業者には明らかな変更および改良は、特許請求の範囲により定義される本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る浄水方法の好適な実施形態の流れ図である。
【図2】基本的な連続式電気脱イオン装置の概略を示す。
【図3】逆浸透および連続式電気脱イオン化を組み合わせた装置の一実施形態の流れ図である。
【図4】逆浸透および連続式電気脱イオン化を組み合わせた装置の別の実施形態の流れ図である。
【符号の説明】
【0082】
1 原水貯蔵槽
2 インライン静的ミキサ
3 マルチメディアフィルタ
4 活性炭フィルタ
5 公称値1ミクロンカートリッジフィルタ
6 第1パスの逆浸透膜フィルタ
7 硬度除去用イオン交換器
8 第2パスの逆浸透膜フィルタ
9 透過水貯蔵槽
10 1次UV TOC(全有機炭素)低減器
11 1次膜脱気器
12 連続式電気脱イオン装置(CEDI)
13 1次混床脱イオン装置
14 脱イオン水貯蔵槽
15 プレート型熱交換器
16 2次UV TOC低減器
17 犠牲ポリシング混床脱イオン装置
18 2次膜脱気器
19 UV消毒器
20 絶対値0.1ミクロンカートリッジフィルタ
21 限外濾過膜
22 復路のUV消毒器
23 陽極室
24 陽極
25 陰極室
26 陰極
27 陽イオン交換膜
28 陰イオン交換膜
29 精製室
30 濃縮室
31 陰イオン交換体
32 陽イオン交換体
33 供給ストリーム
34 濃縮ループ
35 濃縮ブリードオフライン
36 配水管
37 補給ストリーム
38 補給ストリーム
39 濃縮ストリーム
40 電極ブリードオフストリーム
41 減圧バルブ(PRV)
42 インライン静的ミキサ
P1〜P6 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの逆浸透装置を通過するように供給水を導いて生成水および排出水を生成する工程と、
前記生成水を逆浸透装置から連続式電気脱イオン装置の希釈ストリームへと導く工程と、
第1パスの逆浸透装置からの排出水を、軟化器を通過するように導いて、第1パスの逆浸透装置からの排出水よりも少ない硬度成分を含む軟化器流出水を生成する工程と、
前記軟化器流出水を前記連続式電気脱イオン装置の濃縮および電極ストリームへと導く工程とを含み、
前記連続式電気脱イオン装置が前記希釈ストリームからの水をさらに浄化して浄化水を生成する浄水方法。
【請求項2】
前記水軟化器は、標準的な逆流軟化を行う請求項1に記載の浄水方法。
【請求項3】
前記水軟化器は、弱酸陽イオン樹脂への通過または透過により軟化を行う請求項1に記載の浄水方法。
【請求項4】
前記水軟化器は適切なキレート樹脂を用いて軟化を行う請求項1に記載の浄水方法。
【請求項5】
前記軟化器の後の排出水にスケール防止剤が添加される請求項1に記載の浄水方法。
【請求項6】
前記逆浸透装置からの生成水は、前記連続式電気脱イオン装置の希釈ストリームへと導かれる前に、1次UV TOC処理を通過する請求項1に記載の浄水方法。
【請求項7】
前記連続式電気脱イオン操作において濃縮ストリームを一度だけ前記電気脱イオン装置に通して、濃縮および/または電極チャンバにおけるスケールを最小限にする請求項1に記載の浄水方法。
【請求項8】
前記供給水は前記第1パスの逆浸透装置よりも前に前処理システムを通過する請求項1に記載の浄水方法。
【請求項9】
前記前処理には、供給水中に凝固剤を混合して供給水中の浮遊固形分を凝固させ、凝固剤と混合した供給水をマルチメディアフィルタに通して供給水中の浮遊固形分を除去することが含まれる請求項8に記載の浄水方法。
【請求項10】
前記前処理には、前記マルチメディアフィルタからの流出水を活性炭フィルタに通して供給水から有機物および残留塩素を除去することが含まれる請求項9に記載の浄水方法。
【請求項11】
前記前処理には、前記活性炭フィルタからの流出水をカートリッジフィルタに通して微小固形分を除去することが含まれる請求項10に記載の浄水方法。
【請求項12】
前記供給水を前記前処理システムに通すことにより、供給水のほとんどにおいて、遊離塩素レベルが約0.05ppmとなる請求項8に記載の浄水方法。
【請求項13】
前記供給水を前記前処理システムに通すことにより、供給水のほとんどにおいて、汚れ指標(15分)が約3.0未満となる請求項8に記載の浄水方法。
【請求項14】
前記供給水を前記前処理システムに通すことにより、供給水のほとんどにおいて、濁度が約1.0NTU未満となる請求項8に記載の浄水方法。
【請求項15】
前記逆浸透システムにより、供給水のほとんどにおいて、生成水のpH値が約5〜9の間で維持される請求項1に記載の浄水方法。
【請求項16】
前記逆浸透システムにより、供給水のほとんどにおいて、伝導率が約62マイクロジーメンス/cm未満となる請求項1に記載の浄水方法。
【請求項17】
前記逆浸透システムにより、供給水のほとんどにおいて、全交換可能陰イオンが約25ppm未満となる請求項1に記載の浄水方法。
【請求項18】
前記逆浸透システムにより、供給水のほとんどにおいて、全交換可能陽イオンが約25ppm未満となる請求項1に記載の浄水方法。
【請求項19】
前記逆浸透システムにより、供給水のほとんどにおいて、炭酸カルシウムとしての硬度が約0.5ppm未満となる請求項1に記載の浄水方法。
【請求項20】
前記逆浸透システムにより、供給水のほとんどにおいて、シリカが500ppb未満となる請求項1に記載の浄水方法。
【請求項21】
前記逆浸透システムにより、供給水のほとんどにおいて、ホウ素が約300ppb未満となる請求項1に記載の浄水方法。
【請求項22】
前記逆浸透システムにより、供給水のほとんどにおいて、イオン、マンガン、および硫化水素がそれぞれ約0.01ppm未満となる請求項1に記載の浄水方法。
【請求項23】
前記逆浸透システムにより、供給水のほとんどにおいて、全有機炭素が約500ppb未満となる請求項1に記載の浄水方法。
【請求項24】
前記逆浸透システムにより、供給水のほとんどにおいて、油およびグリースが装置検出レベル未満まで除去される請求項1に記載の浄水方法。
【請求項25】
前記逆浸透システムにより、供給水のほとんどにおいて、汚れ指標(15分)が約1.0未満となる請求項1に記載の浄水方法。
【請求項26】
UV TOC低減器により、前記逆浸透装置からの生成水のほとんどにおいて、TOCが50ppb未満のUV TOC生成水が生成される請求項6に記載の浄水方法。
【請求項27】
前記UV TOC生成水は、前記連続式電気脱イオン装置の前記希釈ストリームへと導かれる前に、1次膜脱気器を通過する請求項6に記載の浄水方法。
【請求項28】
UV TOC生成水のほとんどにおいて、膜脱気器生成水の溶存酸素が約100ppb未満となる請求項27に記載の浄水方法。
【請求項29】
UV TOC生成水のほとんどにおいて、膜脱気器生成水の溶存二酸化炭素が約5ppm未満となる請求項27に記載の浄水方法。
【請求項30】
前記標準的な逆流軟化器には、粒径が均一なナトリウム型の強酸陽イオン樹脂が含まれる請求項2に記載の浄水方法。
【請求項31】
前記逆浸透装置からの第1パスの排出ストリームを前記標準的な逆流軟化器を通過するように導く工程によって、第1パスの逆浸透排出水のほとんどにおいて、軟化器流出水の炭酸カルシウムとしての硬度が約1.5ppm未満となる請求項30に記載の浄水方法。
【請求項32】
前記標準的な逆流軟化器における樹脂は、樹脂1リットルあたり約150グラムの再生レベルで、10%の塩水を用いて消耗後に再生する必要がある請求項30に記載の浄水方法。
【請求項33】
前記弱酸陽イオン樹脂には、ナトリウム型のカルボン酸基が含まれる請求項3に記載の浄水方法。
【請求項34】
前記逆浸透装置からの第1パスの排出ストリームを、前記弱酸陽イオン交換樹脂を通過するように導く工程によって、第1パスの逆浸透排出水のほとんどにおいて、軟化器流出水中の炭酸カルシウムとしての硬度が約0.5ppm未満となる軟化器流出水を生成する請求項33に記載の浄水方法。
【請求項35】
前記逆浸透装置からの第1パスの排出ストリームを、前記弱酸陽イオン交換樹脂を通過するように導く工程において、アルカリ性を総硬度レベルまで上昇させるために、水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムのいずれかを使用した前記供給水のpH調整が必要となる請求項33に記載の浄水方法。
【請求項36】
前記逆浸透装置からの第1パスの排出ストリームを、前記弱酸陽イオン交換樹脂を通過するように導くことにより軟化器流出水を生成する工程において、床の圧縮を避けるために、ナトリウム変換に際してアップフロー技術が使用される請求項33に記載の浄水方法。
【請求項37】
前記逆浸透装置からの第1パスの排出ストリームを、前記弱酸陽イオン交換樹脂を通過するように導くことにより軟化器流出水を生成する工程は、イオン交換容器のサイジングにおいて、水素型からナトリウム型への50〜60%の膨張を考慮する必要がある請求項33に記載の浄水方法。
【請求項38】
前記逆浸透装置からの第1パスの排出ストリームを、前記弱酸陽イオン交換樹脂を通過するように導くことにより軟化器流出水を生成する工程は、約110%の再生率で、消耗後に5%の塩酸により再生され、次いで5%の水酸化ナトリウム溶液により調整される必要がある請求項33に記載の浄水方法。
【請求項39】
前記軟化器には、ナトリウム型でマクロレティキュラー型のアミノホスホン官能基キレート樹脂が使用されている請求項4に記載の浄水方法。
【請求項40】
前記第1パスの逆浸透排出水をマクロレティキュラー型のアミノホスホン官能基キレート樹脂を通過するように導く工程によって、第1パス逆浸透排出水のほとんどにおいて、軟化器流出水の炭酸カルシウムとしての硬度が約25ppb未満となる請求項39に記載の浄水方法。
【請求項41】
前記第1パスの逆浸透排出水をマクロレティキュラー型のアミノホスホン官能基キレート樹脂を通過するように導く工程が、最適な作業効率のために、空間速度約15BV/hで流される請求項39に記載の浄水方法。
【請求項42】
前記第1パスの逆浸透排出水をマクロレティキュラー型のアミノホスホン官能基キレート樹脂を通過するように導く工程において、床の圧縮を避けるために、ナトリウム変換に際してアップフロー技術が使用される請求項39に記載の浄水方法。
【請求項43】
前記第1パスの逆浸透排出水をマクロレティキュラー型のアミノホスホン官能基キレート樹脂を通過するように導く工程は、イオン交換容器のサイジングにおいて、水素型からナトリウム型への約45%の膨張を考慮する必要がある請求項39に記載の浄水方法。
【請求項44】
前記軟化器には、ナトリウム型でマクロレティキュラー型のイミノ二酢酸官能基キレート樹脂が使用されている請求項4に記載の浄水方法。
【請求項45】
前記第1パスの逆浸透排出水を、ナトリウム型でマクロレティキュラー型のイミノ二酢酸官能基キレート樹脂を通過するように導く工程によって、第1パスの逆浸透排出水のほとんどにおいて、軟化器流出水の炭酸カルシウムとしての硬度が約25ppb未満となる請求項44に記載の浄水方法。
【請求項46】
前記第1パスの逆浸透排出水を、ナトリウム型でマクロレティキュラー型のイミノ二酢酸官能基キレート樹脂を通過するように導く工程が、最適な作業効率のために、空間速度約15BV/hで流される請求項44に記載の浄水方法。
【請求項47】
前記第1パスの逆浸透排出水を、ナトリウム型でマクロレティキュラー型のイミノ二酢酸官能基キレート樹脂を通過するように導く工程において、床の圧縮を避けるために、ナトリウム変換に際してアップフロー技術が使用される請求項44に記載の浄水方法。
【請求項48】
前記第1パスの逆浸透排出水を、ナトリウム型でマクロレティキュラー型のイミノ二酢酸官能基キレート樹脂を通過するように導く工程は、イオン交換容器のサイジングにおいて、水素からナトリウムへの約40%の膨張を考慮する必要がある請求項44に記載の浄水方法。
【請求項49】
軟化器を通過するように前記第1パスの逆浸透排出水を導いた後に、スケール防止剤が軟化器流出水に1〜25ppmの範囲において添加され、これによりシリカの過飽和による前記電気脱イオン装置の濃縮チャンバにおけるスケールを阻止することが可能である請求項1に記載の浄水方法。
【請求項50】
前記軟化器の流出ストリームにおいて減圧バルブを使用することにより、精製室の流入ストリームよりも5〜10psig低い圧力で濃縮および電極ストリームが導入される請求項1に記載の浄水方法。
【請求項51】
前記水軟化器が、ナトリウム型の粒径が均一な強酸陽イオン樹脂を含む標準的な逆流軟化器である場合、前記連続式電気脱イオン装置は約90%の回収率を得る請求項1に記載の浄水方法。
【請求項52】
前記水軟化器が、ナトリウム型のカルボン酸基の樹脂を含む弱酸陽イオン交換器である場合、前記連続式電気脱イオン装置は約95%の回収率を得る請求項1に記載の浄水方法。
【請求項53】
前記水軟化器が、ナトリウム型の適切なマクロレティキュラー型のアミノホスホン官能基キレート樹脂を含むイオン交換器である場合、前記連続式電気脱イオン装置は約98%の回収率を得る請求項1に記載の浄水方法。
【請求項54】
前記水軟化器が、ナトリウム型の適切なマクロレティキュラー型のイミノ二酢酸官能基キレート樹脂を含むイオン交換器である場合、前記連続式電気脱イオン装置は約98%の回収率を得る請求項1に記載の浄水方法。
【請求項55】
前記逆浸透システムが全体としての回収率60〜85%の範囲で作動する場合、前記電気脱イオン化濃縮ストリームの伝導率が供給水の約2.5〜約6.67倍となる請求項1に記載の浄水方法。
【請求項56】
前記連続式電気脱イオン装置からの浄化水のシリカレベルが100ppt未満となる請求項1に記載の浄水方法。
【請求項57】
前記連続式電気脱イオン装置により、シリカが約99%除去される請求項1に記載の浄水方法。
【請求項58】
前記連続式電気脱イオン装置からの浄化水のホウ素レベルが100ppt未満となる請求項1に記載の浄水方法。
【請求項59】
前記連続式電気脱イオン装置により、ホウ素が約98.75%除去される請求項1に記載の浄水方法。
【請求項60】
前記連続式電気脱イオン装置により、25(C(77(F)で抵抗が約17.0メガオーム・cmとなる請求項1に記載の浄水方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−528781(P2007−528781A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508063(P2006−508063)
【出願日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際出願番号】PCT/SG2004/000071
【国際公開番号】WO2004/085318
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(505094043)ケミトリート ピーティーイー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CHEMITREAT PTE LTD
【Fターム(参考)】