説明

遊技台

【課題】基板ケースが不正に再生されたものであるか否かの判断を可能とすること。
【解決手段】制御基板を収容する基板ケースを備えた遊技台において、前記基板ケースが、互いに組み合わされて前記制御基板の収容空間を形成する第1及び第2ケース部材を備え、前記第1及び第2ケース部材が、ケース部材の組合せの正否を判別するための第1、第2識別子が形成された第1、第2識別子形成部をそれぞれ対向するように備え、前記第1及び第2識別子形成部の少なくともいずれか一方が透明又は半透明の部材から形成され、前記第2識別子は、前記第1識別子形成部と前記第2識別子形成部とが重なる方向から見た場合に前記第1識別子を囲むように見える、前記第1識別子の外形と相似形の縁取り部を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン(パチスロ)、パチンコ機等の遊技台に関し、特に制御基板を収納する基板ケースを備えた遊技台に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技の大当りや入賞装置を制御する制御基板は、外部から不正に改変されないように、基板ケース内に収納して、管理者以外が開封できないようにされているのが一般的である。特に最近では、更にセキュリティを高めるために、一度封印すると破断しなければ基板ケースを開封できないように、所謂カシメ構造にて基板ケースを封印している(例えば特許文献1)。一度カシメ操作を行って封印した基板ケースを開封すると、その痕跡が残るため、後から開封履歴がわかるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−328385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、基板ケースの破壊の仕方によっては、基板ケースの一部の構成部品については開封の痕跡が残らないようにすることが可能な場合がある。このため、最近では、複数の基板ケースから、互いに異なる構成部品を開封の痕跡が残らないようにそれぞれ取り出し、取り出した部品を再利用して開封の痕跡のない新たな基板ケースを再生し、改造基板を収納する不正行為が行われている。このように再生された不正な基板ケース及び改造基板については、真正な基板ケース及び制御基板か否かの判断が困難である。
【0005】
本発明の目的は、基板ケースが不正に再生されたものであるか否かの判断を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、制御基板を収容する基板ケースを備えた遊技台において、前記基板ケースが、互いに組み合わされて前記制御基板の収容空間を形成する第1及び第2ケース部材を備え、前記第1ケース部材が、前記第2ケース部材との組合せの正否を判別するための第1識別子が形成された第1識別子形成部を備え、前記第2ケース部材が、前記第1ケース部材との組合せの正否を判別するための第2識別子が形成され、前記第1識別子形成部に対向するように設けられた第2識別子形成部を備え、前記第1及び第2識別子形成部の少なくともいずれか一方が透明又は半透明の部材から形成され、前記第2識別子は、前記第1識別子形成部と前記第2識別子形成部とが重なる方向から見た場合に前記第1識別子を囲むように見える、前記第1識別子の外形と相似形の縁取り部を有することを特徴とする遊技台が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、制御基板を収容する基板ケースを備えた遊技台において、前記基板ケースが、前記制御基板との組合せの正否を判別するための第1識別子が形成された第1識別子形成部を備え、前記制御基板が、前記基板ケースとの組合せの正否を判別するための第2識別子が形成され、前記第1識別子形成部に対向するように設けられた第2識別子形成部を備え、前記第1識別子形成部が透明又は半透明の部材から形成され、前記第1及び第2識別子の一方の識別子は、前記第1識別子形成部と前記第2識別子形成部とが重なる方向から見た場合に他方の識別子を囲むように見える、前記他方の識別子の外形と相似形の縁取り部を有することを特徴とする遊技台が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板ケースが不正に再生されたものであるか否かの判断が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るスロットマシン100の外観斜視図。
【図2】制御基板2を収容した基板ケース1の斜視図。
【図3】基板ケース1及び制御基板2の分解斜視図。
【図4】分離状態のケース部材10、20を背面側から見た斜視図。
【図5】(A)乃至(C)は識別子形成部11、12及び識別子SY1、SY2の説明図。
【図6】(A)は組合せが正しい場合に現出する識別子SYの例を、(B)は組合せが誤っている場合に現出する識別子SYの例を、それぞれ示す。
【図7】(A)乃至(D)は識別子SY1、SY2の構成例を示す図。
【図8】(A)及び(B)は識別子SY1、SY2の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1は本発明の実施形態に係るスロットマシン100の外観斜視図である。本実施形態ではスロットマシンに本発明を適用した例を例示するが、本発明はパチンコ機等、他の遊技台にも適用可能である。
【0011】
<全体構成>
図1に示すスロットマシン100は、本体101と、本体101の正面に取り付けられ、本体101に対して開閉可能な前面扉102と、を備える。本体101の中央内部には、(図示省略)外周面に複数種類の図柄が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。これらのリール110乃至112はステッピングモータ等の駆動装置により回転駆動される。
【0012】
本実施形態において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形筒状の枠材に貼り付けられて各リール110乃至112が構成されている。リール110乃至112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。つまり、各リール110乃至112は複数種類の図柄の組み合せを変動可能に表示する表示装置として機能する。なお、このような表示装置としてはリール以外にも液晶表示装置等の電子画像表示装置も採用できる。また、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
【0013】
各々のリール110乃至112の背面には、図柄表示窓113に表示される個々の図柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の図柄ごとに遮蔽されて個々の図柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。なお、スロットマシン100内部において各々のリール110乃至112の近傍には、投光部と受光部から成る光学式センサ(図示省略)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部の間をリールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン上に表示されるようにリール110乃至112を停止させる。
【0014】
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ライン114を示すランプである。有効となる入賞ラインは、遊技媒体としてベットされたメダルの数によって予め定まっている。入賞ライン114は5ラインあり、例えば、メダルが1枚ベットされた場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚ベットされた場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚ベットされた場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5ラインが入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5ラインに限定されるものではなく、また、例えば、メダルが1枚ベットされた場合に、中段の水平入賞ライン、上段水平入賞ライン、下段水平入賞ライン、右下り入賞ラインおよび右上り入賞ラインの5ラインを入賞ラインとして有効としてもよい。
【0015】
告知ランプ123は、例えば、入賞役の内部抽選において特定の入賞役(具体的には、ボーナス)に内部当選していること、または、ボーナス遊技中であることを遊技者に知らせるランプである。遊技メダル投入可能ランプ124は、遊技者が遊技メダルを投入可能であることを知らせるためのランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。リールパネルランプ128は演出用のランプである。
【0016】
ベットボタン130乃至132は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダル(クレジットという)を所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、ベットボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、ベットボタン131が押下されると2枚投入され、ベットボタン132が押下されると3枚投入されるようになっている。以下、ベットボタン132はMAXベットボタンとも言う。なお、遊技メダル投入ランプ129は、投入されたメダル数に応じた数のランプを点灯させ、規定枚数のメダルの投入があった場合、遊技の開始操作が可能な状態であることを知らせる遊技開始ランプ121が点灯する。
【0017】
メダル投入口141は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、ベットボタン130乃至132により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入(投入操作)することもでき、投入とは両者を含む意味である。メダル投入口141に投入されたメダルは、スロットマシン100の内部に設けられたメダルセレクタを通過し、正規メダルの選別がなされると共に、メダルの通過が検出される。
【0018】
貯留枚数表示器125は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技情報表示器126は、各種の内部情報(例えば、ボーナス遊技中のメダル払出枚数)を数値で表示するための表示器である。払出枚数表示器127は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。貯留枚数表示器125、遊技情報表示器126、および、払出枚数表示器127は、7セグメント(SEG)表示器とした。
【0019】
スタートレバー135は、リール110乃至112の回転を開始させるためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口134に所望するメダル枚数を投入するか、ベットボタン130乃至132を操作して、スタートレバー135を操作すると、リール110乃至112が回転を開始することとなる。スタートレバー135に対する操作を遊技の開始操作と言う。
【0020】
ストップボタンユニット136には、ストップボタン137乃至139が設けられている。ストップボタン137乃至139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110乃至112を個別に停止させるためのボタン型のスイッチであり、各リール110乃至112に対応づけられている。以下、ストップボタン137乃至139に対する操作を停止操作と言い、最初の停止操作を第1停止操作、次の停止操作を第2停止操作、最後の停止操作を第3停止操作という。なお、各ストップボタン137乃至139の内部に発光体を設けてもよく、ストップボタン137乃至139の操作が可能である場合、該発光体を点灯させて遊技者に知らせることもできる。
【0021】
メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。精算ボタン134は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル、ベットされたメダルを精算し、メダル払出口155から排出するためのボタンである。ドアキー孔140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。
【0022】
ストップボタンユニット136の下部には、機種名の表示と各種証紙の貼付とを行うタイトルパネル162が設けられている。タイトルパネル162の下部には、メダル払出口155、メダルの受け皿161が設けられている。
【0023】
音孔180はスロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。前面扉102の左右各部に設けられたサイドランプ144は遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。前面扉102の上部には演出装置160が配設されており、演出装置160の上部には音孔143が設けられている。この演出装置160は、水平方向に開閉自在な2枚の右シャッタ163a、左シャッタ163bからなるシャッタ(遮蔽装置)163と、このシャッタ163の奥側に配設された液晶表示装置157(図示省略、演出画像表示装置)を備えており、右シャッタ163a、左シャッタ163bが液晶表示装置157の手前で水平方向外側に開くと液晶表示装置157(図示省略)の表示画面がスロットマシン100正面(遊技者側)に出現する構造となっている。
【0024】
なお、液晶表示装置でなくとも、種々の演出画像や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、複数セグメントディスプレイ(7セグディスプレイ)、ドットマトリクスディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、リール(ドラム)、或いは、プロジェクタとスクリーンとからなる表示装置等でもよい。
【0025】
また、表示画面は、方形をなし、その全体を遊技者が視認可能に構成している。本実施形態の場合、表示画面は長方形であるが、正方形でもよい。また、表示画面の周縁に不図示の装飾物を設けて、表示画面の周縁の一部が該装飾物に隠れる結果、表示画面が異形に見えるようにすることもできる。表示画面は本実施形態の場合、平坦面であるが、曲面をなしていてもよい。
【0026】
係る構成のスロットマシン100では、遊技者がメダルを投入し、スタートレバー135に対して開始操作を行うと、リール110乃至112が一斉に回転すると共に入賞役の内部抽選が行われる。続いて、ストップボタン137乃至139に対する遊技者の各停止操作が行われると、対応するリールの回転を停止させる。このとき、内部抽選結果に応じたリールの停止制御が行われる。そして、全リール110乃至112停止時にこれらのリールにより表示された図柄の組み合わせがいずれかの入賞役に対応する図柄の組み合わせであった場合にはその入賞役に入賞し、入賞した入賞役にメダルの払い出しが定められている場合はメダルが払い出される。このようなスロットマシン100の遊技の進行に関わる制御は、CPU等を搭載した制御基板により行われる。以下、制御基板を収納する基板ケースについて説明する。
【0027】
<基板ケース>
図2は、スロットマシン100の内部に設けられ、制御基板2を収容する基板ケース1の斜視図、図3は基板ケース1及び制御基板2の分解斜視図、図4は分離状態のケース部材10、20を背面側から見た斜視図である。制御基板2は、CPU、ROM、RAM等のIC(集積回路)や抵抗等の各種電子部品が実装された基板であり、スロットマシン100の遊技の進行に関わる制御を司る。
【0028】
基板ケース1は、上ケース部材10と下ケース部材20とを互いに組み合わせて箱状に構成されており、その内部に制御基板2を収容する収容空間を形成する。上ケース部材10と下ケース部材20とには、これらを嵌め合わせるための幾つかの係止部14、24が設けられ、対応する係止部14、24を互いに係止することで基板ケース1が完成する。
【0029】
上ケース部材10及び下ケース部材20は透明又は半透明のプラスチック材料から構成することが望ましい。本実施形態の場合、上ケース部材10及び下ケース部材20はその全体が透明の部材から構成される場合を想定している。
【0030】
ICタグシール3は制御基板2の個体情報等を記憶し、非接触で無線通信が可能なICタグを有するシールであり、基板ケース1に貼着されている。
【0031】
基板ケース1は、上ケース部材10及び下ケース部材20を分離すると不可逆的に破壊される封印部として、上ケース部材10に設けた挿入部12、下ケース部材20に設けた挿嵌部22及び封印ピンP1を備える。封印ピンP1は挿入部12を通って挿嵌部22に離脱不能に嵌合する。
【0032】
封印ピンP1が嵌合された状態で、上ケース部材10及び下ケース部材20を分離するためには挿嵌部12を上ケース部材10から切除し、封印ピンP1の先端を切断する必要があり、その痕跡が残ることになる。
【0033】
また、基板ケース1は基板ケース1をスロットマシン100から分離すると不可逆的に破壊される封印部として、上ケース部材10に設けた挿嵌部13、下ケース部材20に設けた挿通部23及び封印ピンP2を備える。挿嵌部13には封印ピンP2が離脱不能に嵌合する。挿通部23は封印ピンP2の先端が通過して下ケース部材20の背面に突出させるための貫通穴形成部である。
【0034】
封印ピンP2は、基板ケース1が装着されるスロットマシン100内部の装着部材(不図示)と係合する。詳細は割愛するが、封印ピンP2が挿嵌された状態で、基板ケース1を装着部材から取り外すためには、挿嵌部13を上ケース部材10から切除して封印ピンP2を取り外す必要があり、その痕跡が残ることになる。
【0035】
このように本実施形態では、制御基板2が不正基板に交換することを困難とするため、基板ケース1により制御基板2を封印している。しかし、複数個の基板ケース1から、上ケース部材10、下ケース部材20、封印ピンP1、P2を破壊痕が残らないように取り出して組み合わせて基板ケース1を再生する不正行為が存在する。
【0036】
そこで、本実施形態では以下に述べるように上ケース部材10と、下ケース部材20との組合せの正否を判別する仕組みを設け、基板ケース1が不正に再生されたもの(以下、不正再生品ともいう。)であるか否かの判断を可能としている。
【0037】
上ケース部材10は識別子形成部11を備え、下ケース部材20は識別子形成部11に対向するように設けられた識別子形成部21を備える。本実施形態の場合、識別子形成部11、12はいずれも板状をなし、上ケース部材10と下ケース部材20とを互いに組み合わせときに内側表面となる、当接面11a、21aが互いに当接している。
【0038】
当接面11a、21aには、それぞれ、上ケース部材10と下ケース部材20との組合せの正否を判別するための識別子SY1、SY2が形成されている。図5(A)乃至(C)は識別子形成部11、12及び識別子SY1、SY2の説明図である。
【0039】
図5(A)は識別子形成部11単独を、図5(B)は識別子形成部21単独を、図5(C)は上ケース部材10と下ケース部材20とを互いに組み合わせたことで、識別子形成部11と識別子形成部21とが重なった状態を、それぞれ示している。
【0040】
識別子SY1、SY2は、例えば、レーザ刻印やインクを用いた印刷、シールの貼り付け、金型によるケース部材との同時成型等により形成できる。識別子SY1、SY2は、文字、数字、記号、図形、或いはこれらの組合せ等とすることができ、図5(A)及び(B)の例では英字(A)と数字列(012345)からなる。
【0041】
識別子SY1、SY2を、例えば、基板ケース1毎に割り振られた固有の識別子(例えば、製造番号、管理番号)としこれらを照合することで、基板ケース1のシリアル管理と共にこれが不正再生品であるか否かを判別することができる。尤も、識別子SY1、SY2は基板ケース1毎に割り振られた固有の識別子とするほか、店舗単位、地域単位等、グループ単位で固有の識別子としてもよい。この場合であっても、グループが異なる複数の基板ケース1から再生された不正再生品についてはこれを判別することができ、不正行為の発見、抑制に一定の効果がある。
【0042】
識別子SY1、SY2を照合する際、これらを基板ケース1の異なる部位に形成して目線の移動を要するとすると照合が面倒になる。そこで、本実施形態では、上記の通り識別子形成部11、21を対向して配置し、識別子SY1、SY2が重なって識別子SYが現出するように構成している(図5(C))。
【0043】
ここで、識別子SY2は、識別子形成部11、21が重なる方向(本実施形態の場合、当接面11a、21aの法線方向)から見た場合に識別子SY1を囲むように見える、識別子SY1の外形と相似形の縁取り部を有している。このため、識別子SYは、識別子SY1を縁取った識別子として現出する。図6(A)は組合せが正しい場合に現出する識別子SYの例を示している。
【0044】
同図の例では識別子SY2は識別子SY1の外形と相似形で僅かに大きく、これにより、識別子SY1と識別子SY2とは、それらを構成する縁辺が互いに重ならず、かつ、識別子SY2を構成する縁辺が識別子SY1を構成する縁辺の外側に位置している。
【0045】
このように本実施形態では、識別子SY1、SY2とが同じ位置において識別子SYとして現出するので照合が容易である共に省スペース化を図ることができ、しかも、互いの縁辺が重ならないので識別子SY1及びSY2の個々の存在を確認できるので、その見落としを回避できる。なお、本実施形態では識別子SY1を上ケース部材10側に、識別子SY2を下ケース部材20側に、それぞれ形成したが逆の関係であってもよいことは言うまでもない。
【0046】
図6(B)は組合せが誤っている場合に現出する識別子SYの例を示している。同図の例では、識別子SY1が「A012345」であり、識別子SY2’が「B123450」となっている。識別子SY1と識別子SY2’とは、それらを構成する縁辺が互いに重なっており、識別子SY’は、識別子SY1を縁取った識別子として現出していない。よって、直ちに不正再生品であると判断することができる。
【0047】
識別子SY1と識別子SY2とは多様な形態を採用可能である。図7(A)乃至(D)は識別子SY1、SY2の構成例を示す図であり、いずれも識別子SY1を「A]とした場合に適用可能な識別子SY2の例を示している。図7(A)の例は、識別子SY2が識別子SY1の外形と相似形の縁取り部を線で示した例であり、図5や図6に示した例と同様の例となっている。図7(B)の例も識別子SY2が識別子SY1の外形と相似形の縁取り部を線で示した例であるが、識別子SY1の内側の部分にも縁取り部を形成しており、識別子SY1全体の相似形となっている。
【0048】
なお、図7(A)及び(B)の例では、識別子SY1と識別子SY2とで、その線の太さを異ならせており(識別子SY2の方が太い)、識別子SY1と識別子SY2との区別を、その線の太さによって容易化している。
【0049】
図7の例は、識別子SY2が識別子SY1の外形と相似形の縁取り部を、型抜き状或いは白抜き状で示して周囲を着色した例であり、型抜き状或いは白抜き状の部分の縁辺が縁取り部を構成している。の例は、図7(A)の例の識別子SY2において内側を着色した例である。
【0050】
図8(A)及び(B)も識別子SY1、SY2の構成例を示す図であり、いずれも識別子SY1を図形(円)とした例を示している。図8(A)の例では識別子SY2が識別子SY1と同心円であって、直径を大きくして着色を異なるものとしている。図8(B)の例は識別子SY2が識別子SY1と同心のリング状となっている。このように識別子SY1、SY2は様々な形態を採用できる。
【0051】
次に、識別子SYが現出するためには、識別子形成部11、21が互いに当接している必要は必ずしもないが、本実施形態のように互いに当接させ、かつ、当接面11a、21aに識別子SY1、SY2を形成する方が識別子SYがより鮮明に現出して視認性がよい。
【0052】
識別子SY1、SY2は識別子形成部11、21の外側表面に形成することも可能であるが、本実施形態のように内側表面となる部位(当接面11a、21a)に形成することで、その保護を図ることができる。
【0053】
識別子SYが現出するためには、視認方向で表側の識別子形成部を透過して背後の識別子が見えればよい。本実施形態の場合、識別子形成部11、21は、それぞれ、上ケース部材10、下ケース部材20に一体的に形成されており、いずれも透明であるが、識別子形成部11、21の少なくともいずれか一方が透明又は半透明の部材で形成されればよく、また、上ケース部材10、下ケース部材20とは、成形上一体でなく別体であってもよい。
【0054】
識別子形成部11、21が透明又は半透明の場合、その背後とのコントラストが弱く、識別子SYが視認しづらい場合があり、特に、本実施形態のように透明とした場合には識別子SYが視認しづらい場合がある。そこで、識別子形成部11、21の一方の外側表面に不透明のシールを貼着することが好ましい。
【0055】
本実施形態では、識別子形成部21の外側表面に不透明のシール25が貼着されている。識別子形成部11、21が重なる方向から見た場合にシール25は識別子SYの背後に位置し、識別子SYが視認しやすくなる。なお、本実施形態ではシール25の保護のため、図4に示すようにシール貼着面となる識別子形成部21の外側表面を凹設してその周囲か一段落とした構成としている。また、識別子形成部11の外側表面にシール25を貼着する構成でもよい。
【0056】
識別子SYの視認性向上の他の方法として、識別子SY1、SY2を有色の識別子とすることも挙げられ、この場合、有色透明としてもよいし有色不透明としてもよい。また、更に、識別子SY1、SY2を互いに異なる色にすることで、識別子SYにおいて、識別子SY1の部分と識別子SY2の部分とを視覚的に区別し易くなり、上ケース部材10と下ケース部材20との組合せの正否の判別を容易化する。着色の手法としては塗料の塗布の他、例えば、レーザ刻印により識別子SY1、SY2を形成した場合にはその焼け色による着色であってもよい。
【0057】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、上ケース部材10、下ケース部材20にそれぞれ識別子形成部11、21を設けて両者の組合せの正否を判別するようにしたが、同様の手法により基板ケース1と制御基板2との組合せの正否を判別するようにすることもできる。
【0058】
具体的には、基板ケース1と制御基板1とに、識別子形成部11、21に相当する識別子形成部をそれぞれ互いに対向するように設け、一方に識別子SY1に相当する識別子を、他方に識別子SY2に相当する識別子を、それぞれ形成する。
【0059】
基板ケース1に設ける識別子形成部については、上ケース部材10、下ケース部材20のいずれでもよいが、制御基板1は通常不透明であるため、基板ケース1側の識別子形成部は透明又は半透明とする。
【0060】
このような構成により、上記第1実施形態と同様に識別子SYに相当する識別子が現出するので、これを確認することで、基板ケース1と制御基板2との組合せの正否を判別することができる。
【0061】
<実施形態のまとめ>
1.上記実施形態の遊技台(例えば100)は、制御基板(例えば2)を収容する基板ケース(例えば1)を備えた遊技台において、前記基板ケースが、互いに組み合わされて前記制御基板の収容空間を形成する第1及び第2ケース部材(例えば10、20)を備え、前記第1ケース部材が、前記第2ケース部材との組合せの正否を判別するための第1識別子(例えばSY1)が形成された第1識別子形成部(例えば11)を備え、前記第2ケース部材が、前記第1ケース部材との組合せの正否を判別するための第2識別子(例えばSY2)が形成され、前記第1識別子形成部に対向するように設けられた第2識別子形成部(例えば21)を備え、前記第1及び第2識別子形成部の少なくともいずれか一方が透明又は半透明の部材から形成され、前記第2識別子は、前記第1識別子形成部と前記第2識別子形成部とが重なる方向から見た場合に前記第1識別子を囲むように見える、前記第1識別子の外形と相似形の縁取り部を有することを特徴とする。
【0062】
この構成によれば、第1及び第2識別子を照合することで、基板ケースが不正に再生されたものであるか否かの判断が可能となる。また、第1及び第2識別子が重なって識別子(例えばSY)が現出するので照合が容易となる。
【0063】
2.また、上記実施形態の遊技台は、前記第1及び第2識別子は、それぞれ、前記第1及び第2識別子形成部の内側表面に形成されていることを特徴とする。この構成によれば、第1及び第2識別子を保護することができる。
【0064】
3.また、上記実施形態の遊技台は、前記第1及び第2識別子形成部は、互いに当接する当接面をそれぞれ有し、各当接面に前記第1及び第2識別子を形成したことを特徴とする。この構成によれば、第1及び第2識別子を保護することができると共に、第1及び第2識別子が重なって現出する識別子がより鮮明に現出して視認性がよい。
【0065】
4.また、上記実施形態の遊技台は、前記第1及び第2識別子が有色の識別子であることを特徴とする。この構成によれば、第1及び第2識別子が重なって現出する識別子の視認性がよくなる。
【0066】
5.また、上記実施形態の遊技台は、前記第1及び第2識別子が互いに異なる色の識別子であることを特徴とする。この構成によれば、第1及び第2識別子が重なって現出する識別子の視認性がよくなると共に、第1識別子と第2識別子の区別が容易化する。
【0067】
6.また、上記実施形態の遊技台は、前記第1及び第2識別子形成部の双方が透明又は半透明の部材から形成され、前記第1及び第2識別子形成部の一方の外側表面に不透明のシール25を貼着したことを特徴とする。この構成によれば、第1及び第2識別子が重なって現出する識別子の視認性がよくなる。
【0068】
7.また、上記実施形態の遊技台は、前記第1及び第2識別子が、前記基板ケース毎に割り振られた固有の識別子であることを特徴とする。この構成によれば、基板ケースのシリアル管理と共にこれが不正再生品であるか否かを判別することができる。
【0069】
8.また、上記実施形態の遊技台は、前記基板ケースが、前記第1及び第2ケース部材を分離すると不可逆的に破壊される封印部(例えば13、23、P1)を備えたことを特徴とする。このような封印部を備えた基板ケースの更なる防犯に本実施形態は有効である。
【0070】
9.また、上記実施形態の遊技台(例えば第2実施形態)は、制御基板を収容する基板ケースを備えた遊技台において、前記基板ケースが、前記制御基板との組合せの正否を判別するための第1識別子が形成された第1識別子形成部を備え、前記制御基板が、前記基板ケースとの組合せの正否を判別するための第2識別子が形成され、前記第1識別子形成部に対向するように設けられた第2識別子形成部を備え、前記第1識別子形成部が透明又は半透明の部材から形成され、前記第1及び第2識別子の一方の識別子は、前記第1識別子形成部と前記第2識別子形成部とが重なる方向から見た場合に他方の識別子を囲むように見える、前記他方の識別子の外形と相似形の縁取り部を有することを特徴とする。
【0071】
この構成によれば、第1及び第2識別子を照合することで、基板ケースが不正に再生されたものであるか否かの判断が可能となり、特に、基板ケースと制御基板との組合せの正否を判別することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御基板を収容する基板ケースを備えた遊技台において、
前記基板ケースが、
互いに組み合わされて前記制御基板の収容空間を形成する第1及び第2ケース部材を備え、
前記第1ケース部材が、
前記第2ケース部材との組合せの正否を判別するための第1識別子が形成された第1識別子形成部を備え、
前記第2ケース部材が、
前記第1ケース部材との組合せの正否を判別するための第2識別子が形成され、前記第1識別子形成部に対向するように設けられた第2識別子形成部を備え、
前記第1及び第2識別子形成部の少なくともいずれか一方が透明又は半透明の部材から形成され、
前記第2識別子は、
前記第1識別子形成部と前記第2識別子形成部とが重なる方向から見た場合に前記第1識別子を囲むように見える、前記第1識別子の外形と相似形の縁取り部を有することを特徴とする遊技台。
【請求項2】
前記第1及び第2識別子は、それぞれ、前記第1及び第2識別子形成部の内側表面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技台。
【請求項3】
前記第1及び第2識別子形成部は、互いに当接する当接面をそれぞれ有し、各当接面に前記第1及び第2識別子を形成したことを特徴とする請求項1に記載の遊技台。
【請求項4】
前記第1及び第2識別子が有色の識別子であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の遊技台。
【請求項5】
前記第1及び第2識別子が互いに異なる色の識別子であることを特徴とする請求項4に記載の遊技台。
【請求項6】
前記第1及び第2識別子形成部の双方が透明又は半透明の部材から形成され、
前記第1及び第2識別子形成部の一方の外側表面に不透明のシールを貼着したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の遊技台。
【請求項7】
前記第1及び第2識別子が、前記基板ケース毎に割り振られた固有の識別子であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の遊技台。
【請求項8】
前記基板ケースが、前記第1及び第2ケース部材を分離すると不可逆的に破壊される封印部を備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の遊技台。
【請求項9】
制御基板を収容する基板ケースを備えた遊技台において、
前記基板ケースが、前記制御基板との組合せの正否を判別するための第1識別子が形成された第1識別子形成部を備え、
前記制御基板が、
前記基板ケースとの組合せの正否を判別するための第2識別子が形成され、前記第1識別子形成部に対向するように設けられた第2識別子形成部を備え、
前記第1識別子形成部が透明又は半透明の部材から形成され、
前記第1及び第2識別子の一方の識別子は、前記第1識別子形成部と前記第2識別子形成部とが重なる方向から見た場合に他方の識別子を囲むように見える、前記他方の識別子の外形と相似形の縁取り部を有することを特徴とする遊技台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−217648(P2012−217648A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86728(P2011−86728)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(597044139)株式会社大都技研 (1,470)
【Fターム(参考)】