説明

運転姿勢調整装置およびその組立方法

【課題】単一の駆動源によって乗員用シートとフロアボードとの両方の位置調整を行うことが可能で、より低コストの運転姿勢調整装置を提供する。
【解決手段】乗員用シート4のシートクッション35を少なくとも前後方向に駆動するシート位置調整機構38と、上記乗員用シート4に着座した乗員の足元部が載置されるフロアボード5を昇降駆動するフロアボード昇降機構6と、上記シート位置調整機構38の駆動力を上記フロアボード昇降機構6に伝達する駆動力伝達機構10とを設け、上記シート位置調整機構38により前後方向に駆動される乗員用シート4に連動させて、上記フロアボード昇降機構6に上記フロアボード5を昇降駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員の運転姿勢を調整する運転姿勢調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に示されるように、乗員用シートのシートクッションの前後位置等を調整するシート位置調整機構と、車体のフロアボード(フロア床板部)を上下方向に駆動するフロアボード昇降機構とを備えた運転調整装置が提案されている。この特許文献1に開示された運転姿勢調整装置によれば、乗員の体格に応じた最適な位置に上記乗員用シートやフロア床板部を移動させることができるため、足踏みペダルの操作性等を向上させることができる。
【特許文献1】実開昭63−69655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に開示された運転姿勢調整装置では、乗員の体格に応じて上記シート位置調整装置とフロア昇降機構とをそれぞれ独立して駆動させるように構成されているため、上記両機構にそれぞれ専用の駆動源を設置する必要が生じ、製造コストが上昇することが避けられなかった。またこのことは、上記運転姿勢調整装置の組立性を悪化させる要因となっていた。
【0004】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、単一の駆動源によって乗員用シートとフロアボードとの両方の位置調整を行うことが可能で、より低コストの運転姿勢調整装置を提供するとともに、この運転姿勢調整装置のより簡単な組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、乗員の運転姿勢を調整する運転姿勢調整装置であって、乗員用シートのシートクッションを少なくとも前後方向に駆動するシート位置調整機構と、上記乗員用シートに着座した乗員の足元部が載置されるフロアボードを昇降駆動するフロアボード昇降機構と、上記シート位置調整機構の駆動力を上記フロアボード昇降機構に伝達する駆動力伝達機構とを備え、上記シート位置調整機構により前後方向に駆動される乗員用シートに連動して、上記フロアボードが上記フロアボード昇降機構により昇降駆動されるように構成されていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0006】
本発明によれば、シート位置調整機構の駆動力を駆動力伝達機構を介してフロアボード昇降機構に伝達することにより、上記シート位置調整機構によって前後方向に駆動される乗員用シートに連動させて、上記フロアボード昇降機構にフロアボードを昇降駆動させることができるため、上記シート位置調整機構にのみ駆動源を設ければ、当該駆動源によって上記シート位置調整機構とフロアボード昇降機構との両方を駆動させることができる。この結果、上記両機構にそれぞれ専用の駆動源を設置する必要のあった上記特許文献1と異なり、より低コストの運転姿勢調整装置を実現することができる。
【0007】
上記駆動力伝達機構は、上記シート位置調整機構に設けられた駆動源から駆動力を得て軸回りに回転する入力ケーブルと、この入力ケーブルの回転に応じて軸回りに回転し、上記フロアボード昇降機構に駆動力を伝達する出力ケーブルと、これら入力ケーブルと出力ケーブルとを連動可能に連結するギアボックスとを備えることが好ましい(請求項2)。
【0008】
このように、軸回りに回転して駆動力を伝達する入力ケーブルおよび出力ケーブルと、これら両ケーブルを連動可能に連結するギアボックスとによって上記駆動力伝達機構を構成した場合には、簡単な構成で、上記シート位置調整機構の駆動力を上記フロアボード昇降機構に安定して伝達できるという利点がある。
【0009】
上記駆動力伝達機構のギアボックスは、上記入力ケーブルの回転速度を減速させる減速ギア機構と、この減速後の駆動力を上記出力ケーブルに伝達する伝達ギア機構とを備えることが好ましい(請求項3)。
【0010】
このように、上記入力ケーブルの回転速度を一旦減速させてから、この減速後の駆動力を上記出力ケーブルに伝達させるようにした場合には、乗員の体格に応じてある程度大きく前後移動させる必要のある乗員用シートと、この乗員用シートに比べて小さい上下移動量で済むフロアボードとを、それぞれ必要に応じた適正なストロークで駆動することができる。また、上記入力ケーブルの回転速度が減速されるのに伴い、駆動力が増大されて上記出力ケーブルに伝達されることから、ある程度の駆動力の伝達ロスが生じるような場合でも、駆動源を大容量化する必要がない。したがって、上記シート位置調整機構とフロアボード昇降機構とを、小容量の駆動源によって確実に駆動することが可能になる。
【0011】
上記駆動力伝達機構のギアボックスは、上記減速ギア機構を有する減速ギアボックスと、上記伝達ギア機構を有する伝達ギアボックスとを備え、これら減速ギアボックスと伝達ギアボックスとが連結可能に構成されていることが好ましい(請求項4)。
【0012】
このように、上記駆動力伝達機構のギアボックスを、連結可能に構成された減速ギアボックスと伝達ギアボックスとによって構成した場合には、運転姿勢調整装置の組立時に、この駆動力伝達機構を2分割した状態で車室内に搬入することができるため、運転姿勢調整装置の組立性を効果的に向上させることができる。
【0013】
上記駆動力伝達機構のギアボックスは、車体フロアの上面に突設されて上記乗員用シートの前端部を支持するクロスメンバもしくはその近傍の車体フロアに固定されていることが好ましい(請求項5)。
【0014】
このように、上記乗員用シートの前端部を支持するクロスメンバもしくはその近傍の車体フロアに上記駆動力伝達機構のギアボックスを固定した場合には、乗員用シート下方のデッドスペースに上記ギアボックスを邪魔にならないように配置できるという利点がある。
【0015】
また、本発明は、乗員用シートのシートクッションを少なくとも前後方向に駆動するシート位置調整機構と、上記乗員用シートに着座した乗員の足元部が載置されるフロアボードを昇降駆動するフロアボード昇降機構と、上記シート位置調整機構の駆動力を上記フロアボード昇降機構に伝達する駆動力伝達機構とを備え、該駆動力伝達機構が、上記シート位置調整機構に設けられた駆動源から駆動力の入力を受ける入力部と、この入力部の駆動力を上記フロアボード昇降機構に伝達する出力部とに分割されて構成された運転姿勢調整装置を組み立てる方法であって、上記フロアボードに上記フロアボード昇降機構と駆動力伝達機構の出力部とを組み付けてフロアボードアッセンブリを形成する工程と、上記乗員用シートに上記シート位置調整機構と駆動力伝達機構の入力部とを組み付けてシートアッセンブリを形成する工程と、上記シートアッセンブリとフロアボードアッセンブリとを別々に車室内に搬入する工程と、これら車室内に搬入した両アッセンブリをそれぞれ車体に取り付けるとともに、上記駆動力伝達機構の入力部と出力部とを連結する工程とを含むことを特徴とするものである(請求項6)。
【0016】
本発明によれば、複雑なフロアボードアッセンブリとシートアッセンブリとの形成をあらかじめ車外の広い場所で行った上で、これら別々に形成された両アッセンブリを車体のドア開口部等から容易に車室内に搬入してこれを車体に取り付けることができるため、運転姿勢調整装置の組立性を効果的に向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、単一の駆動源によって乗員用シートとフロアボードとの両方の位置調整を行うことが可能で、より低コストの運転姿勢調整装置を提供するとともに、この運転姿勢調整装置のより簡単な組立方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明に係る運転姿勢調整装置の実施形態を示している。この運転姿勢調整装置は、運転席等からなる乗員用シート4のシートクッション35の前後位置等を調整するシート位置調整機構38と、上記乗員用シート4に着座した乗員の足元部が載置されるフロアボード5を車体フロア3に対して昇降駆動するフロアボード昇降機構6とを有している。
【0019】
上記車体フロア3は、図2および図3に示すように、車体の左右両側辺部において前後方向に延びるように設置されたサイドシル1と、車体の幅方向中央部おいて前後方向に延びるように設置されたフロアトンネル2との間に設置されており、この車体フロア3の上面を覆うように、上記フロアボード5が設置されている。そして、これらフロアボード5と車体フロア3との間に、上記フロアボード昇降機構6が配設されている。
【0020】
また、上記車体フロア3は、ダッシュパネル7の下端部から後下がりの傾斜状態で車体の後方側に延びるトーボード部8と、その後端部に連続して車体の後方側に延びる略平坦なフロア底部9とを有している。このうち、上記トーボード部8の上方には、運転者により操作されるアクセルペダル11およびブレーキペダル12等からなる足踏みペダルが設置されるとともに、その側方部にはフットレスト13が設置されている。また、上記車体フロア3の上面には、遮音および断熱機能等を有するインシュレータ(メルシート)と、その上面を被覆するカーペット材等の表層材を少なくとも備えた従来周知のフロアトリム材(図示せず)が設置されている。
【0021】
上記フロアボード5は、図4および図5に示すように、ヒンジ部材14により車体フロア3のトーボード部8に前端部が枢支された前側ボード15と、その後端部にヒンジ部材16を介して折曲可能に連結された後側ボード17を有している。上記前側ボード15は、車体フロア3のトーボード部8と同様に前上がりに傾斜したトーボード対応部18と、その後端部に連続して車体の後方側に延びるフロア底対応部19とを有し、これらにより側面から見て逆への字状に形成されている。上記前側ボード15の前方部、つまりトーボード対応部18は、上記アクセルペダル11およびブレーキペダル12等からなる足踏みペダルの下方に延出するように設置されるとともに、その側方部には上記フットレスト13との干渉を回避するように切り欠かれた回避部20が設けられている。
【0022】
また、上記前側ボード15には、その後辺部を除いて下方に凹入する凹入部21が形成され、この凹入部21内に、発泡ウレタン材または合成ゴム材等の弾性体からなる衝撃吸収部材22が配設されて接着されることにより、前側ボード15の上記トーボード対応部18とフロア底対応部19とに亘ってフロアボード5の上面を覆うように衝撃吸収部材22が配置されている。この衝撃吸収部材22は、その幅寸法がフロアボード5と略同一の値に設定されることにより、このフロアボード5の車幅方向略全域に配設されるとともに、上記衝撃吸収部材22の厚みが上記凹入部21の凹入量と略同一に設定されることにより、上記衝撃吸収部材22の上面部と、凹入部21に連続したフロアボード5の上面部、具体的には上記前側ボード15の後辺部とが略同一高さに設定されている。
【0023】
そして、上記フロアボード5の上面には、例えばパイル材および裏打ち材等からなる表層マット材23が設置されている。この表層マット材23は、上記前側ボード15(より具体的には、上記凹入部21内に配設された衝撃吸収部材22の上面部および上記フロア底対応部19の後辺部)と、これに連結される上記後側ボード17とを連続して被覆し得る大きさに形成されている。
【0024】
上記フロアボード5の後側ボード17は、車体フロア3のフロア底部9に対応した位置に配設されるとともに、上記サイドシル1とフロアトンネル2との間の略全域を覆うように、その幅寸法が設定されている。また、上記フロアボード5の設置部後方には、運転座席等からなる上記乗員用シート4が設置されるとともに、この乗員用シート4の前端部下方には、上記フロアトンネル2とサイドシル1とを連結するクロスメンバ24が、車体フロア3の上面から突出する状態で設置されている。そして、このクロスメンバ24の前方側には、上記後側ボード17の後端部をスライド自在に支持する左右一対のガイドレール25が配設されている。
【0025】
上記ガイドレール25は、図5および図6に示すように、ブラケット26を介して車体フロア3上に取り付けられた断面コ字状体からなり、上記後側ボード17の後端部下面に突設されたグロメット27が係脱可能に係止されるスライダー28を保持するように構成されている。そして、後述するフロアボード5の昇降変位に応じ、上記スライダー28がガイドレール25に沿ってスライド変位することにより、後側ボード17の後端部がガイドレール25によって支持された状態で前後移動するようになっている。
【0026】
上記フロアボード昇降機構6は、図5、図7、および図11に示すように、先端部が前側ボード15の後端部下面に枢支された左右一対の駆動リンク31と、前後両端部が車体フロア3の上面に軸受部材32a,32bを介して回転自在に支持された左右一対のねじ軸32と、上記ねじ軸32に螺着されるとともに車体フロア3の上面に沿ってスライド自在に支持されたスライドブロック34とを有し、このスライドブロック34の側面に上記駆動リンク31の基端部が枢支されている。
【0027】
上記フロアボード昇降機構6のねじ軸32は、その後端部が後述する駆動力伝達機構10(図11)の出力ケーブル33と連結されており、この出力ケーブル33の回転力に応じて軸回りに回転駆動されるように構成されている。そして、このねじ軸32が正転駆動されると、上記スライドブロック34がねじ軸32に沿って車体の前方側にねじ送りされることにより、駆動リンク31の後端部が前方に押動されるとともに、これに対応して駆動リンク31の前端部が押し上げられるようになっている。この結果、上記駆動リンク31が倒伏状態から起立状態に移行し、この駆動リンク31を介して前側ボード15の後辺部が上方に押動されることにより、上記ヒンジ部材14を支点として前側ボード15が図1に示す下降位置から図5に示す上昇位置に揺動変位することになる。
【0028】
一方、上記フロアボード5の後側ボード17は、その前辺部がヒンジ部材16により前側ボード15の後端部に連結されているため、この前側ボード15の上昇動作に対応して後側ボード17の前辺部が上方に押動されるとともに、その後端部が上記ガイドレール25によって車体フロア3に支持されつつ、車体の前方側に移動するように構成されている。これにより、上記前側ボード15と後側ボード17との連結部が上昇し、フロアボード5が当該連結部を起点に側面視で山折り状に折り畳まれた状態に移行することになる。
【0029】
また、上記フロアボード昇降機構6のねじ軸32が逆転駆動されて、スライドブロック34がねじ軸32に沿って車体の後方側に移動すると、上記駆動リンク31が起立状態から倒伏状態に移行して、前側ボード15の後辺部が図5に示す上昇位置から図1に示す下降位置に揺動変位するとともに、後側ボード17が車体フロア3に沿った下降位置に移行するようになっている。
【0030】
上記乗員用シート4は、車室前部の運転席側および助手席側にそれぞれ個別に設置されたセパレートタイプのシートであり、図1に示すように、乗員の着座面を構成するシートクッション35と、このシートクッション35の後端部から上方に立ち上がるシートバック36と、このシートバック36の上端部に取り付けられたヘッドレスト37とを備え、上記シート位置調節機構38により、シートクッション35の前後位置および上下位置と、車体フロア3に対する設置角度とが調節可能な状態で車体フロア3上に支持されている。
【0031】
上記シート位置調節機構38は、図8および図9に示すように、前上がりの傾斜状態で車体フロア3上に設置された左右一対のガイドレール39と、このガイドレール39に沿ってシートクッション35を車体の前後方向にスライド変位させるスライド駆動手段40と、シートクッション35の前後移動に連動してシートクッション35の後端部を昇降変位させるチルト手段41とを有している。
【0032】
上記シートクッション35は、その本体部(クッション材)を下方から覆うように配設されたクッションフレーム42を有し、このクッションフレーム42の下方には、上面が開口した断面コ字状部材からなる上記ガイドレール39が設けられている。このガイドレール39内には上面に突片45が突設されたスライダー44がスライド自在に配設されるとともに、この突片45の上端部がクッションフレーム42の下方部に連結ピン46を介して枢支されている。また、上記スライダー44には、スライド駆動手段40のねじ軸47が螺合されるねじ孔が形成されている。
【0033】
上記スライド駆動手段40のねじ軸47は、ガイドレール39内に配設されて前後両端部が軸受部材により回転自在に支持されるとともに、その後端部が図示を省略した動力伝達ケーブルを介して駆動モータ(駆動源)に連結されている。そして、上記駆動モータから動力伝達ケーブルを介してねじ軸47に駆動力が伝達され、このねじ軸47が回転駆動されることにより、上記スライダー44がガイドレール39に沿ってねじ送りされるように構成されている。また、上記ねじ軸47の前端部には、後述する駆動力伝達機構10(図11)の入力ケーブル48が、カップリング49を介して接続されている。
【0034】
上記シート位置調節機構38のチルト手段41は、クッションフレーム42の後部下方に突設された支持プレート50と、ガイドレール25の側面に固定されて鉛直方向に立設されたガイド板51と、上記支持プレート50に突設されたガイドピン52とを有し、上記ガイド板51には、前上がりの傾斜部を有するガイド溝53が形成され、このガイド溝53に沿って上記ガイドピン52が摺動自在に支持されている。そして、上記スライド駆動手段40のねじ軸47により上記スライダー44がねじ送りされて、シートクッション35の前方部がガイドレール25に沿って前後移動するのに応じ、上記ガイド板51のガイド溝53に沿って上記ガイドピン52が摺動することにより、シートクッション35の後方部が昇降駆動されるようになっている。
【0035】
上記スライド駆動手段40によりシートクッション35を、例えば図1および図8に示す後方位置から図10に示す前方位置にスライド変位させた場合には、シートクッション35の前方部がガイドレール39に沿ってスライド変位して徐々に上昇するとともに、上記ガイドピン52がガイド板51のガイド溝53に沿って車体の前方側に摺動することにより、シートクッション35の後端部が押し上げられてシートクッション35が揺動変位する。この結果、シートクッション35の前方移動に応じ、水平面に対するその傾斜角度が次第に小さくなってシートクッション35が水平に近い設置状態となるとともに、これに対応してシートバック36が後傾状態から直立に近い状態に変位することになる。
【0036】
上記乗員用シート4に背の低い乗員Aが着座する際に、図外の操作スイッチを操作して上記スライド駆動手段40の駆動モータを作動させることにより、乗員用シート4を車体の前方側にスライド変位させると、図10に示すようにシートクッション35の前方部がガイドレール25に沿って上昇するとともに、シートクッション35の後方部が押し上げられることになるため、シートクッション35に対する乗員の着座中心を表すヒップポイントが、上記乗員Aの身長に対応して前部上方に移動することにより、この乗員Aの視線が適正ラインLに一致することになる。また、上記乗員用シート4の前方移動に応じてシートクッション35の後端部が押し上げられて、その設置角度が水平に近い状態となることにより、身長に応じて足の長さが短くなる低身長者Aが膝を大きく折り曲げてその膝下部を所定角度で垂下させた状態で着座するため、床面から足先が離間した状態となることが防止される。
【0037】
一方、上記乗員用シート4に背の高い乗員Bが着座する際に、上記スライド駆動手段40により乗員用シート4を車体の後方側にスライド変位させると、図1に示すように、シートクッション35の前方部がガイドレール25に沿って下降するとともに、シートクッション35の後方部が押し下げられることになるため、シートクッション35に対する乗員Bの着座中心を表すヒップポイントが、乗員Bの身長に対応して後部下方に移動することにより、この乗員Bの視線が適正ラインLに一致することになる。また、上記乗員用シート4の後方移動に応じてシートクッション35が前上がりの傾斜状態となることにより、身長に応じて足の長さが長くなる高身長者Bが膝の折曲げ角度を小さくしてその膝下部を前方に延ばした状態となるため、安定した着座姿勢が得られることになる。
【0038】
上記シート位置調整機構38のスライド駆動手段40と、上記フロアボード昇降機構6とは、図11に示す駆動力伝達機構10によって連結されている。この駆動力伝達機構10は、上記スライド駆動手段40の駆動力を上記フロアボード昇降機構6に伝達するものであり、上記スライド駆動手段40により前後方向に駆動される乗員用シート4に連動させて、上記フロアボード昇降機構6にフロアボード5を昇降駆動させるように構成されている。
【0039】
上記駆動力伝達機構10は、上記スライド駆動手段40のねじ軸47に連結された入力ケーブル48と、上記フロアボード昇降機構6のねじ軸32に連結された出力ケーブル33と、これら入力ケーブル48と出力ケーブル33とを連動可能に連結するギアボックス60とから構成されている。
【0040】
上記入力ケーブル48は、可撓性を有する筒状体の内部に、回転力を伝達可能なケーブル材が軸回りに回転可能に保持されたものであり、上記シート位置調節機構38のスライド駆動手段40から入力された回転力を上記ギアボックス60に伝達するように構成されている。また、上記出力ケーブル33は、上記入力ケーブル48と同様の構造を有しており、上記入力ケーブル48から上記ギアボックス60を介して入力された回転力を、上記フロアボード昇降機構6のねじ軸32に伝達するように構成されている。
【0041】
上記ギアボックス60は、上記入力ケーブル48の回転速度を減速させる減速ギアボックス61と、この減速後の駆動力を上記出力ケーブル33に伝達する伝達ギアボックス64とから構成されている。これら減速ギアボックス61と伝達ギアボックス64とは着脱可能に連結されており(詳細は後述する)、当該箇所で駆動力伝達機構10が2分割されるようになっている。すなわち、駆動力伝達機構10は、上記減速ギアボックス61および入力ケーブル48とからなる入力部74と、上記伝達ギアボックス64および出力ケーブル33とからなる出力部75とから構成されている。
【0042】
上記減速ギアボックス61は、図12に示すように、入力ケーブル48の先端部が連結されてこれと一体に回転するウォームギア62と、このウォームギア62により回転駆動されるウォームホイール63とが、箱体161内に配設されて構成されている。上記ウォームホイール63には、下方の伝達ギアボックス64に突設されたスプライン軸65が挿入されて係合される係合孔が形成されている。そして、上記入力ケーブル48の回転力がウォームギア62を介してウォームホイール63に伝達されることにより、このウォームホイール63が回転駆動されるとともに、その回転力が上記スプライン軸65を介して上記伝達ギアボックス64に伝達されるようになっている。
【0043】
上記伝達ギアボックス64は、スプライン軸65と一体に回転する第1ベベルギア66と、この第1ベベルギア66により回転駆動される第2ベベルギア67とが、箱体164内に配設されて構成されている。上記第2ベベルギア67には、上記フロアボード昇降機構6に連結される出力ケーブル33が一体に回転するように止着されることにより、この第2ベベルギア67の回転力が上記出力ケーブル33に伝達されるようになっている。また、上記のようなウォームギア62およびウォームホイール63からなる減速ギア機構を介することにより、上記入力ケーブル48から出力ケーブル33に回転駆動力が伝達される際に、その回転速度が約10分の1に減速されるようになっている。
【0044】
また、上記伝達ギアボックス64は、乗員用シート4の前方側に配設された上記クロスメンバ24の前端部近傍に配設されて取付ボルトにより車体フロア3に固定されるとともに、その上方に減速ギアボックス61が重ね合わされた状態で、これらが連結ボルトにより一体に連結されるように構成されている。さらには、これら伝達ギアボックス64と減速ギアボックス61とがボルト止めされる際に、上記減速ギアボックス61内に配設されたウォームホイール63の係合孔に上記伝達ギアボックス64のスプライン軸65が挿入されることにより、これらが一体に連結されるようになっている。
【0045】
そして、上記スライド駆動手段40のねじ軸47が駆動モータによって回転駆動され、それに応じて上記スライダー44がねじ送りされてシートクッション35がガイドレール25に沿って前後移動すると、その駆動力が上記入力ケーブル48、ギアボックス60を介して出力ケーブル33に伝達されるとともに、この出力ケーブル33がフロアボード昇降機構6のねじ軸32を回転駆動することにより、上記スライドブロック34が車体の前後方向にねじ送りされ、上記駆動リンク31が倒伏状態から起立状態に移行し、あるいは起立状態から倒伏状態に移行して上記前側ボード15の後辺部が昇降駆動されるように構成されている。
【0046】
例えば、低身長者Aが乗員用シート4に着座する際に、乗員用シート4を車体の前方側に移動させると、これに連動して上記駆動リンク31が倒伏状態から起立状態に移行し、フロアボード5の前側ボード15の後辺部が図5および図10に示す上昇位置に変位する。一方、高身長者Bが乗員用シート4に着座する際に、乗員用シート4を車体の後方側に移動させると、これに連動して上記駆動リンク31が起立状態から倒伏状態に移行し、フロアボード5の前側ボード15の後辺部が図1に示す下降位置に変位する。このようにして乗員の踵部が載置される上記フロアボード5の設置高さが、乗員A,Bの足の長さに適した位置に調節されるようになっている。
【0047】
次に、以上のような運転姿勢調整装置を組み立てる手順について、図13および図14を用いて説明する。
【0048】
まず、上記フロアボード5に、フロアボード昇降機構6と、これに連結される駆動力伝達機構10の出力部75とを組み付けることにより、フロアボードアッセンブリ72を形成する。同様に、乗員用シート4に、シート位置調整機構38と、これに連結される駆動力伝達機構10の入力部74とを組み付けることにより、シートアッセンブリ70を形成する。これらフロアボードアッセンブリ72およびシートアッセンブリ70を形成する作業は、あらかじめ車外で行っておく。
【0049】
次いで、図13に示すように、上記両アッセンブリ70,72のうち、まずフロアボードアッセンブリ72を、車体のドア開口部等から車室内に搬入し、これを車体に取り付ける。具体的には、フロアボード昇降機構6の軸受部材32a,32bと、出力部75の伝達ギアボックス64と、フロアボード5の前側ボード15の前端部に取り付けられたヒンジ部材14とを、車体フロア3上に固定する。ただしこの段階では、後側ボード17の後端部下面に突設されたグロメット27を、車体フロア3上に固定されたガイドレール25内のスライダー28に嵌合させることは行わず、後側ボード17を車両前方に跳ね上げた状態のまま保持しておく。
【0050】
次いで、図14に示すように、上記シートアッセンブリ70を車室内に搬入し、これを車体に取り付ける。具体的には、乗員用シート4のクッションフレーム42下面に取り付けられたガイドレール39の前端部を、ブラケットを介して車体のクロスメンバ24に固定するとともに、上記ガイドレール39の後端部を後部クロスメンバ68(図8)に固定する。
【0051】
そして、図14の矢印aに示すように、上記シートアッセンブリ70とともに車室内に搬入された駆動力伝達機構10の入力部74と、車体フロア3上に固定された上記出力部75とを連結する。具体的には、入力部74の減速ギアボックス61を出力部75の伝達ギアボックス64に重ね合わせた状態で、これら両ボックス61,64を連結ボルトによって連結固定する。この際、減速ギアボックス61内に配設されたウォームホイール63の係合孔に、伝達ギアボックス64のスプライン軸65が挿入されることにより、上記両ボックス61,64内のギア機構が連動可能に連結されることになる。そして最後に、図14の矢印bに示すように、フロアボード5の後側ボード17を車両後方に倒伏させることにより、この後側ボード17下面に突設されたグロメット27を、車体フロア3上に固定されたガイドレール25内のスライダー28に嵌合させれば、本実施形態の運転姿勢調整装置が完成する。
【0052】
以上説明したように、上記構成によれば、シート位置調整機構38のスライド駆動手段40の駆動力を、駆動力伝達機構10を介してフロアボード昇降機構6に伝達することにより、上記スライド駆動手段40によって前後方向に駆動される乗員用シート4に連動させて、上記フロアボード昇降機構6にフロアボード5を昇降駆動させることができるため、上記スライド駆動手段40にのみ駆動源を設ければ、当該駆動源によって上記シート位置調整機構38(のスライド駆動手段40)とフロアボード昇降機構6との両方を駆動させることができる。この結果、上記両機構にそれぞれ専用の駆動源を設置する必要のあった上記特許文献1と異なり、より低コストの運転姿勢調整装置を実現することができる。
【0053】
また、上記実施形態のように、軸回りに回転して駆動力を伝達する入力ケーブル48および出力ケーブル33と、これら両ケーブル48,33を連動可能に連結するギアボックス60とによって上記駆動力伝達機構10を構成した場合には、簡単な構成で、上記シート位置調整機構38の駆動力を上記フロアボード昇降機構6に安定して伝達できるという利点がある。
【0054】
すなわち、例えば、上記入力ケーブル48を、シートクッション35の前後移動に応じて軸方向にスライドする引張ケーブルによって構成するとともに、上記ギアボックス60を、上記引張ケーブルによって巻回されるローラ(滑車)やギア機構等を有する構成とすることも可能であるが、このようにした場合には、上記シートクッション35の前方移動時に引っ張られるケーブルと、後方移動時に引っ張られるケーブルとの2本のケーブルを配設する必要が生じることなどから、構造が複雑化してしまう。これに対し、上記実施形態では、より簡単に上記駆動力伝達機構10を構成することができるのである。
【0055】
また、上記実施形態のように、上記入力ケーブル48の回転速度を減速ギアボックス61によって一旦減速させてから、この減速後の駆動力を伝達ギアボックス64を介して出力ケーブル33に伝達させるようにした場合には、乗員の体格に応じて例えば100mm程度前後移動させる必要のある乗員用シート4と、この乗員用シート4に比べて小さい上下移動量で済むフロアボード5、具体的には、このフロアボード5を昇降させるために例えば10mm程度前後方向に駆動されるスライドブロック34とを、それぞれ必要に応じた適正なストロークで駆動することができる。また、上記入力ケーブル48の回転速度が減速されるのに伴い、駆動力が増大されて上記出力ケーブル33に伝達されることから、ある程度の駆動力の伝達ロスが生じるような場合でも、駆動源を大容量化する必要がない。したがって、上記シート位置調整機構38とフロアボード昇降機構6とを、小容量の駆動源によって確実に駆動させることが可能になる。
【0056】
また、上記実施形態のように、乗員用シート4の前端部を支持するクロスメンバ24近傍の車体フロア3上に上記駆動力伝達機構10のギアボックス60を固定した場合には、乗員用シート4下方のデッドスペースに上記ギアボックス60を邪魔にならないように配置できるという利点がある。
【0057】
また、上記実施形態のように、上記駆動力伝達機構10のギアボックス60を、連結可能に構成された減速ギアボックス61と伝達ギアボックス64との2つのギアボックスから構成した場合には、上記駆動力伝達機構10を、一方の減速ギアボックス61と上記入力ケーブル48とからなる入力部74と、もう一方の伝達ギアボックス64と上記出力ケーブル33とからなる出力部75とに2分割することができるため、運転姿勢調整装置の組立性を向上させることができる。すなわち、駆動力伝達機構10を上記のように入力部74と出力部75とからなる2分割構造とした場合には、上記実施形態において説明した組立方法のように、上記出力部75とフロアボード昇降機構6とをフロアボード5に組み付けてフロアボードアッセンブリ72を形成する作業と、上記入力部74とシート位置調整機構38とを乗員用シート4に組み付けてシートアッセンブリ70を形成する作業とをあらかじめ車外の広い場所で行った上で、これら別々に形成されたシートアッセンブリ70とフロアボードアッセンブリ72とを車体のドア開口部等から容易に車室内に搬入してそれぞれ車体に取り付けることができるため、運転姿勢調整装置の組立を容易に行うことができる。
【0058】
また、上記実施形態のように、フロアボード5を、曲折可能に連結された前側ボード15と後側ボード17とから構成した場合には、上記運転姿勢調整装置の組立時に、上記駆動力伝達機構10のギアボックス60(具体的には、減速ギアボックス61および伝達ギアボックス64)を車体フロア3に取り付ける作業を、上記後側ボード17を車両前方に跳ね上げた状態(図14参照)で容易に行うことができるという利点がある。
【0059】
さらに、上記後側ボード17の後端部下面に突設されたグロメット27を、車体フロア3上に固定されたガイドレール25内のスライダー28に係脱可能に係止させることによって、上記後側ボード17を車体フロア3に取り付ける構造としたため、例えばフロアボード5の下方にごみ等の異物が入り込んだ場合に、乗員は、上記グロメット27をスライダー28から取り外して上記後側ボード17を跳ね上げることにより、容易に上記異物を除去することができる。このように、後側ボード17を車体フロア3に係脱可能に支持させた場合には、フロアボード5下方の清掃を容易に行うことができるという利点がある。
【0060】
また、上記実施形態では、フロアボード5の前側ボード15と後側ボード17との連結部を起点に山折り状に折り畳みながら上記フロアボード5を昇降させるようにしたため、このフロアボード5の前端部または後端部が大きく昇降変位して当該部に大きな隙間が生じるという事態を生じさせることなく、上記フロアボード5の設置高さを容易かつ適正に調節することができる。
【0061】
すなわち、上記フロアボード5を、前端部が車体フロアに支持された前側ボード15と、この前側ボード15の後端部にヒンジ部材16からなる連結部材を介して折曲可能に連結された後側ボード17とに分割し、これら両ボード15,17の連結部を昇降変位させることにより、上記フロアボード5の設置高さを調節するように構成したため、例えば大面積を有する一枚板のフロアボードを設置して、その一端部を支点にして他端部を昇降駆動することにより上記フロアボードの設置高さを調整するように構成した場合と異なり、フロアボード5の前端部または後端部が大きく揺動変位して当該部における車体フロア3との隙間が大きく変化するという事態を生じることなく、上記フロアボード5の設置高さを適正に調節することができる。しかも、一枚板のフロアボードを一体に昇降駆動してその設置高さを調節する場合に比べ、小さい駆動力で上記フロアボード5を容易に昇降駆動できるという利点がある。
【0062】
なお、上記実施形態では、駆動力伝達機構10のギアボックス60を、ウォームギア62およびウォームホイール63からなる減速ギア機構を有した減速ギアボックス61と、第1・第2ベベルギア66,67からなる伝達ギア機構を有した伝達ギアボックス64とから構成したが、例えばこのうちの減速ギアボックス61については、入力ケーブル48の回転速度を減速できるものであれば上記のような構造に限るものではなく、歯数の異なる複数の歯車を組み合わせる等によって上記減速ギアボックス61を構成してもよい。また、伝達ギアボックス64についても、上記のような構造に限らず、各種ギア機構等を適用可能である。
【0063】
また、上記実施形態では、駆動力伝達機構10のギアボックス60を、車体のクロスメンバ24近傍の車体フロア3上に固定したが、これをクロスメンバ24の前面部等に固定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係る運転姿勢調整装置の全体構成を示す図である。
【図2】フロアボードの具体的構成を示す平面図である。
【図3】フロアボードおよびフロアボード昇降機構の斜視図である。
【図4】フロアボードの分解斜視図である。
【図5】フロアボードおよびフロアボード昇降機構の具体的構成を示す図である。
【図6】フロアボードの後辺部の支持構造を示す正面断面図である。
【図7】フロアボードおよびフロアボード昇降機構を示す正面断面図である。
【図8】シート位置調節機構の構造を示す側面断面図である。
【図9】シート位置調節機構の構造を示す正面断面図である。
【図10】乗員用シートを前方移動させた状態を示す側面図である。
【図11】駆動力伝達機構の具体的構成を示す斜視図である。
【図12】駆動力伝達機構の具体的構成を示す断面図である。
【図13】本実施形態にかかる運転姿勢調整装置の組立方法の前半部を説明するための図である。
【図14】本実施形態にかかる運転姿勢調整装置の組立方法の後半部を説明するための図である。
【符号の説明】
【0065】
3 車体フロア
4 乗員用シート
5 フロアボード
6 フロアボード昇降機構
10 駆動力伝達機構
24 クロスメンバ
33 出力ケーブル
35 シートクッション
38 シート位置調整機構
48 入力ケーブル
60 ギアボックス
61 減速ギアボックス
64 伝達ギアボックス
70 シートアッセンブリ
72 フロアボードアッセンブリ
74 入力部
75 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員の運転姿勢を調整する運転姿勢調整装置であって、
乗員用シートのシートクッションを少なくとも前後方向に駆動するシート位置調整機構と、
上記乗員用シートに着座した乗員の足元部が載置されるフロアボードを昇降駆動するフロアボード昇降機構と、
上記シート位置調整機構の駆動力を上記フロアボード昇降機構に伝達する駆動力伝達機構とを備え、
上記シート位置調整機構により前後方向に駆動される乗員用シートに連動して、上記フロアボードが上記フロアボード昇降機構により昇降駆動されるように構成されていることを特徴とする運転姿勢調整装置。
【請求項2】
請求項1記載の運転姿勢調整装置において、
上記駆動力伝達機構は、上記シート位置調整機構に設けられた駆動源から駆動力を得て軸回りに回転する入力ケーブルと、この入力ケーブルの回転に応じて軸回りに回転し、上記フロアボード昇降機構に駆動力を伝達する出力ケーブルと、これら入力ケーブルと出力ケーブルとを連動可能に連結するギアボックスとを備えることを特徴とする運転姿勢調整装置。
【請求項3】
請求項2記載の運転姿勢調整装置において、
上記駆動力伝達機構のギアボックスは、上記入力ケーブルの回転速度を減速させる減速ギア機構と、この減速後の駆動力を上記出力ケーブルに伝達する伝達ギア機構とを備えることを特徴とする運転姿勢調整装置。
【請求項4】
請求項3記載の運転姿勢調整装置において、
上記駆動力伝達機構のギアボックスは、上記減速ギア機構を有する減速ギアボックスと、上記伝達ギア機構を有する伝達ギアボックスとを備え、これら減速ギアボックスと伝達ギアボックスとが連結可能に構成されていることを特徴とする運転姿勢調整装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の運転姿勢調整装置において、
上記駆動力伝達機構のギアボックスは、車体フロアの上面に突設されて上記乗員用シートの前端部を支持するクロスメンバもしくはその近傍の車体フロアに固定されていることを特徴とする運転姿勢調整装置。
【請求項6】
乗員用シートのシートクッションを少なくとも前後方向に駆動するシート位置調整機構と、上記乗員用シートに着座した乗員の足元部が載置されるフロアボードを昇降駆動するフロアボード昇降機構と、上記シート位置調整機構の駆動力を上記フロアボード昇降機構に伝達する駆動力伝達機構とを備え、該駆動力伝達機構が、上記シート位置調整機構に設けられた駆動源から駆動力の入力を受ける入力部と、この入力部の駆動力を上記フロアボード昇降機構に伝達する出力部とに分割されて構成された運転姿勢調整装置を組み立てる方法であって、
上記フロアボードに上記フロアボード昇降機構と駆動力伝達機構の出力部とを組み付けてフロアボードアッセンブリを形成する工程と、
上記乗員用シートに上記シート位置調整機構と駆動力伝達機構の入力部とを組み付けてシートアッセンブリを形成する工程と、
上記シートアッセンブリとフロアボードアッセンブリとを別々に車室内に搬入する工程と、
これら車室内に搬入した両アッセンブリをそれぞれ車体に取り付けるとともに、上記駆動力伝達機構の入力部と出力部とを連結する工程とを含むことを特徴とする運転姿勢調整装置の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−216734(P2007−216734A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37015(P2006−37015)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】