説明

遠隔通信分析システムおよび通信方法

【課題】ネットワークにおける通信不良時に、加入者宅側の通信装置が送受信するプロトコル信号を、効率良く迅速に監視する遠隔通信分析システムを提供する。
【解決手段】ネットワークを介して信号の送受信を行う第1の通信装置および第2の通信装置と、第1の通信装置とネットワークを介して接続された管理装置とを備えた遠隔通信分析システムにおける第1の通信装置であって、ネットワークを介して、第2の通信装置とプロトコル信号の送受信を行う通信制御部と、第2の通信装置から通信制御部が受信するプロトコル信号と、通信制御部が第2の通信装置に送信するプロトコル信号とを捕捉する信号捕捉部と、信号捕捉部が捕捉したプロトコル信号に、自身を識別可能な識別情報を付与する識別情報付与部と、識別情報付与部に識別情報が付与されたプロトコル信号を、管理装置に送信する識別情報付与信号送信部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して接続される通信装置が行うプロトコル通信の状態を遠隔で監視する通信装置、遠隔通信分析システムおよび通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディジタル通信ネットワークを介して接続される通信装置が行うプロトコル通信の状態を分析する一般的方法として、プロトコル・アナライザを用いた方法が広く知られている。
図18は、通信会社の局と加入者のいわゆるアクセス系通信システムにおける一般的な通信接続構成を示す。ここでは、通信回線や通信サービスを提供する者を通信会社といい、通信会社の設備が収容されている施設を局という。
【0003】
局500は、送受信信号源510と、加入者線終端装置530とを備えており、利用者設備600は、光回線終端装置610と、ルータ620と、情報端末630とを備えている。局500に設置され、例えば通信サービスを提供するサーバである送受信信号源510は、光ファイバ線路である伝送路700を介して、利用者設備600の情報端末630に接続される。
【0004】
このような通信接続構成において、加入者側の情報端末630と局側の送受信信号源510とのプロトコル通信になんらかの原因で不具合が発生し、通信不良となる場合がある。そこで、コンピュータ・ネットワークやデータ機器間を流れるプロトコル信号を解析するプロトコル・アナライザ(プロトコル分析装置)などの測定器が用いられる。プロトコル・アナライザには、目的に応じて、LAN(Local Area Network)アナライザ、SCSI(Small Computer System Interface:主に周辺機器とコンピュータなどのハードウェア間のデータのやりとりを行うインタフェース)アナライザ、PCI(Peripheral Component Interconnectバス:コンピュータ用拡張バスアーキテクチャ)アナライザ、GP−IB(General Purpose Interface Bus:IEEE 488準拠の短距離ディジタル通信バス仕様)アナライザなどが存在する。
【0005】
通信会社がネットワーク上になんらかの通信不良を発見した場合や、加入者から通信会社への故障申告があった場合などには、通信会社側の作業員が測定器を持参して加入者宅に出向き、通信不良箇所の調査を行うことが一般的である。例えば、図19に示すような分析点(a)、分析点(b)にプロトコル・アナライザ640、プロトコル・アナライザ650を接続して、各点に流れるプロトコル信号を捕捉し、捕捉されたプロトコル信号に基づいて、加入者宅で作業員が通信状態を調査、分析する。加入者宅における調査の際に通信不良が再現しない場合には、測定器を加入者宅に残置し、一定期間経過後に測定器を回収し、測定器に記憶された通信ログ等を参照することなどによっても不具合の調査、分析が可能である。また、特許文献1には、予め監視対象となるシステム側に設置された監視制御ユニットが、時系列に記憶している動作ログである時系列データを圧縮し、圧縮した時系列データを監視制御センターへ送信する技術が示されている。
【特許文献1】特開2001−168948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように、加入者からの故障申告などにより作業員が測定器を持参して加入者宅に出向き、調査を行う方法では、作業員の稼働コストや管理コストがかかるとともに、不具合の発生から調査までにタイムラグが発生し、迅速な不具合原因の究明が困難である場合があった。また、特許文献1に示される方法では、監視対象側に設置された監視制御ユニットが予め時系列データを記憶している前提となっており、利用者設備に流れるプロトコル信号を取得するものではない。
【0007】
また、調査のために作業員が加入者宅に持参する測定器は、加入者宅側に通常設置される各通信装置に比して、高価かつ大型となることが一般的である。このため、加入者宅に測定器を残置している間に測定器が故障するリスクや、加入者宅に大型の測定器が残置されると、加入者にとっては空間的に邪魔になるなどの問題がある。さらに、複数の加入者から故障申告があった場合には、それぞれの加入者宅について作業員が測定器を持参し、調査を行うために複数の測定器を用意しなければならない。このような準備を常時行うことは、通信会社者側の経費的負担が大きい。例えば、局に対してN件(Nは自然数)の故障申告が発生すると、N件分の測定器購入費、移動費、人件費等が必要となる。ここで、通信不良発生時にプロトコル通信を監視する機能を、加入者宅に常設される回線終端装置などに予め実装させておくことも考えられるが、この場合、正常時には必要のない機能を回線終端装置に実装することになり装置のハードウェア資源を圧迫したり、装置規模が大きくなったり、装置価格自体が上昇することが考えられる。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、ネットワークにおける通信不良時に、加入者宅側の通信装置が送受信するプロトコル信号を、時間的、経費的に効率良く迅速に監視する遠隔通信分析システムおよび通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、ネットワークを介して信号の送受信を行う第1の通信装置(例えば、本実施形態における情報端末230、ルータ220)および第2の通信装置(例えば、本実施形態における情報サーバ110)と、第1の通信装置とネットワークを介して接続された管理装置(例えば、本実施形態における管理装置120)とを備えた遠隔通信分析システムにおける第1の通信装置であって、ネットワークを介して、第2の通信装置とプロトコル信号の送受信を行う通信制御部(例えば、本実施形態における情報端末230)と、第2の通信装置から通信制御部が受信するプロトコル信号(例えば、本実施形態における下りディジタル信号)と、通信制御部が第2の通信装置に送信するプロトコル信号(例えば、本実施形態における上りディジタル信号)とを捕捉する信号捕捉部(例えば、本実施形態における信号捕捉部225)と、信号捕捉部が捕捉したプロトコル信号に、自身を識別可能な識別情報を付与する識別情報付与部(例えば、本実施形態における識別情報付与部223)と、識別情報付与部に識別情報が付与されたプロトコル信号を、管理装置に送信する識別情報付与信号送信部(例えば、本実施形態における信号再多重部221)と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述の識別情報付与信号送信部が送信する識別情報が付与されたプロトコル信号は、通信制御部が送受信するプロトコル信号が送受信される際の信号フォーマットを維持した状態で、識別情報が付与されて送信されるものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述の識別情報付与信号送信部は、第2の通信装置とプロトコル信号の送受信を行う回線と同一の回線に、識別情報が付与されたプロトコル信号を送信することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、ネットワークを介して信号の送受信を行う第1の通信装置および第2の通信装置と、第1の通信装置とネットワークを介して接続された管理装置とを備えた遠隔通信分析システムであって、第1の通信装置は、ネットワークを介して、第2の通信装置とプロトコル信号の送受信を行う通信制御部と、第2の通信装置から通信制御部に送信されるプロトコル信号と、通信制御部が第2の通信装置に送信するプロトコル信号とを捕捉する信号捕捉部と、信号捕捉部が捕捉したプロトコル信号に、自身を識別可能な識別情報を付与する識別情報付与部と、識別情報付与部に識別情報が付与されたプロトコル信号を、管理装置に送信する識別情報付与信号送信部と、を備え、管理装置は、第1の通信装置の識別情報付与信号送信部から送信されるプロトコル信号を受信する識別情報付与信号受信部を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上述の管理装置は、第1の通信装置において実行されることで、信号捕捉部と、識別情報付与部と、識別情報付与信号送信部とを構成する制御プログラムを予め記憶し、制御プログラムを第1の通信装置に送信する端末制御プログラム送信部(例えば、本実施形態における端末制御プログラム遠隔操作部123)を備え、第1の通信装置は、管理装置の端末制御プログラム送信部から制御プログラムを受信して実行し、信号捕捉部と、識別情報付与部と、識別情報付与信号送信部とを構成する制御プログラムインストール部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上述の第1の通信装置の、信号捕捉部は、予め定められたプロトコルに基づいたプロトコル信号を捕捉することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上述の第1の通信装置は、信号捕捉部によって捕捉されたプロトコル信号が記憶される信号蓄積部を備え、識別情報付与信号送信部は、信号蓄積部に記憶されたプロトコル信号を、予め定められた時間に、管理装置に送信することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上述の管理装置は、特定のプロトコルを示す捕捉プロトコル識別情報を含む信号を、第1の通信装置に送信する捕捉プロトコル識別情報送信部を備え、第1の通信装置の、信号捕捉部は、管理装置の捕捉プロトコル識別情報送信部から送信されるプロトコル信号に含まれる捕捉プロトコル識別情報が示すプロトコルに基づいたプロトコル信号を捕捉することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上述の第1の通信装置は、捕捉プロトコル識別情報の入力を受付ける設定入力部を備え、信号捕捉部は、設定入力部に入力された捕捉プロトコル識別情報が示すプロトコルに基づいたプロトコル信号を捕捉することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上述の管理装置は、複数の第1の通信装置の識別情報付与信号送信部から送信される複数のプロトコル信号を受信する識別情報付与信号受信部と、識別情報付与信号受信部が複数の第1の通信装置のそれぞれから受信した複数のプロトコル信号のそれぞれに付与された識別情報を読み出し、複数のプロトコル信号のうち同一の識別情報が付与された複数のプロトコル信号を、同一の第1の通信装置が送受信した一連のプロトコル信号であると判定する信号判定部と、第1の通信装置が送受信する定められたプロトコルについて、正常通信として定められる複数のプロトコル信号の順序を予め記憶し、記憶した正常通信のプロトコル信号の順序と、信号判定部によって同一の第1の通信装置と送受信されたプロトコル信号と判定された複数のプロトコル信号とを比較し、差異がある場合に、通信に異常があったと判定する信号分析部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、上述の管理装置は、信号判定部が同一の通信装置と送受信されたプロトコル信号と判定した複数のプロトコル信号か、または信号分析部が判定した判定結果かのいずれかまたは双方を表示する表示部を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、上述の第1の通信装置は、第1の通信装置の識別情報付与信号送信部は、第2の通信装置とプロトコル信号の送受信を行う回線と異なる回線を介して、識別情報が付与されたプロトコル信号を送信することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、ネットワークを介して信号の送受信を行う第1の通信装置および第2の通信装置と、第1の通信装置とネットワークを介して接続された管理装置とを備えた遠隔通信分析システムにおける第1の通信装置の、通信制御部が、ネットワークを介して、第2の通信装置とプロトコル信号の送受信を行うステップと、信号捕捉部が、第2の通信装置から通信制御部が受信するプロトコル信号と、通信制御部が第2の通信装置に送信するプロトコル信号とを捕捉するステップと、識別情報付与部が、信号捕捉部が捕捉したプロトコル信号に、自身を識別可能な識別情報を付与するステップと、識別情報付与信号送信部が、識別情報付与部に識別情報が付与されたプロトコル信号を、管理装置に送信するステップと、を含むことを特徴とする通信方法である。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、ネットワークを介して管理装置と接続され、他の通信装置と信号の送受信を行う通信装置が、自身の通信制御部によって送受信されるプロトコル信号を捕捉し、捕捉したプロトコル信号に、自身を識別可能な識別情報を付与して、管理装置に送信するようにしたので、管理装置は、通信装置が送受信するプロトコル信号を取得することができる。これにより、例えば通信装置の故障の際に、通信会社側の作業員が測定器を持参して加入者宅に出向くことなく、ネットワークを介して通信装置の通信状態を調査することが可能となる。
【0023】
また、本発明によれば、通信装置により送受信されるプロトコル信号は、通信装置により送受信されるプロトコル信号が送受信される際の信号フォーマットを維持した状態で、識別情報が付与されて送信されるようにしたので、通信装置において加工処理を行う負荷をかけることなく、かつ即時に、実際に通信装置を流れているプロトコル信号を管理装置に送信することが可能となる。
【0024】
また、本発明によれば、管理装置は、通信装置が備える各機能部を動作させる制御プログラムを送信し、通信装置は、受信した制御プログラムをインストールして動作させ、自身の通信制御部によって送受信されるプロトコル信号を捕捉し、捕捉したプロトコル信号に、自身を識別可能な識別情報を付与して、管理装置に送信するようにしたので、通信装置は、プロトコル信号の捕捉や送信のための機能部を予め有することなく、必要に応じて備えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態:構成>
図1は、本実施形態による遠隔通信分析システムの構成を示すブロック図である。
本実施形態による遠隔通信分析システムは、管理側システム100と、端末側システム200とを備えており、管理側システム100と端末側システム200とは伝送路300によって接続される。ここでは、図1には、1台の情報端末230が含まれる端末側システム200を示しているが、端末側システム200は複数台の情報端末230を備えていても良いし、管理側システム100は複数の端末側システム200と接続されていても良い。
【0026】
管理側システム100は、情報サーバ110と、管理装置120と、加入者線終端装置130とを備えている。
情報サーバ110は、予め定められたプロトコルによるディジタル信号を送受信することにより情報通信サービスを提供する情報通信装置である。情報サーバ110は、定められたプロトコルにより通信接続を確立するプロトコル信号の通信手順に従って、情報端末230とプロトコル信号を送受信し、通信接続が確立した場合には、その端末側システム200と情報通信を行う。情報サーバ110には、例えば、SIP(Session Initiation Protocol)により通信接続を確立し、音声情報などをディジタル信号として通信するSIPサーバや、HTTP(HyperText Transfer Protocol)により通信接続を確立してウェブページなどのテキスト情報や画像情報などをディジタル信号として配信するウェブサーバなどが適用できる。
【0027】
図2および図3は、情報サーバ110が情報端末230と送受信するプロトコル信号の例を示す図である。図2は、プロトコル信号の送受信により通信接続状態の確立が正常に行われた場合のプロトコル信号のシーケンス例を示す図である。例えば、接続要求を示すビット列を「01010011」とすると、情報端末230が、情報サーバ110へ接続要求ビット列「01010011」を送信する(ステップS101)。情報サーバ110は、端末側システム200から送信された接続要求を受信すると、接続を許容するビット列「00001111」を情報端末230に送信する(ステップS102)。
【0028】
情報端末230は、情報サーバ110から送信された接続許容を示すビット列を受信すると、情報サーバ110に対して、ACK(ACKnowledgement:肯定的な応答信号)信号を送信し、接続許容ビット列を正常に受信完了したことを情報サーバ110に通知する(ステップS103)。情報サーバ110が、情報端末230から送信されたACK信号を受信すると、正常応答を示すOK応答信号を情報端末230に送信する(ステップS104)。情報端末230が、情報サーバ110から送信されたOK応答信号の受信を完了した時点で、情報端末230と情報サーバ110との通信接続手続きが完了して通信が確立し、実際の情報通信を行うようになる。
【0029】
一方、図3は、通信接続状態の確立が正常に行われなかった場合のプロトコル信号のシーケンス例を示す図である。情報端末230が、情報サーバ110への接続要求を示すビット列「01010011」を送信(ステップS105)したところ、情報サーバ110に何らかの故障があり、正常な応答ビット列「00001111」が応答されず、異常な応答ビット列として「00001011」が送信されたとする(ステップS106−1)。このような場合、端末側システム200は、情報サーバ110から送信されるビット列「00001011」を受信しても、情報サーバ110が接続を許容したとは認識しないため、ACK信号を送信しない。一方、情報サーバ110は、端末側システム200からACK信号を受信しないため、異常な応答ビット列「00001011」を情報端末230に再送し続ける(ステップS106−2)。情報サーバ110は、定められた回数(例えば、N回)、異常な応答ビット列「00001011」を情報端末230に送信し(ステップS106−N)、情報端末230からのACK応答がなければ、通信接続状態確立の手続きが不調に終わったとして、プロトコル信号の通信接続シーケンスを終了させ、実際の情報通信状態は行わない。
【0030】
図4および図5は、IETF(Internet Engineering Task Force)におけるRFC3261(Request For Comment)で規定されたSIPによる通信接続状態を確立するプロトコル信号のシーケンス例を示す図である。図4は、SIPによる通信接続の確立に成功した場合のシーケンス例を示し、図5は、SIPによる通信接続の確立に失敗した場合のプロトコル信号のシーケンス例を示している。これらは、RFC3261で定義されたUser Agent Clientを情報端末230、Proxy Serverを情報サーバ110としたときのシーケンス例を記述したものである。
【0031】
図1に戻り、管理装置120は、情報サーバ110と加入者線終端装置130との間で送受信されるディジタル信号を中継する機能を有し、識別情報付与信号分岐部121と、信号判定部122、端末制御プログラム遠隔操作部123と、分析部124と、表示部125とを備えている。
【0032】
識別情報付与信号分岐部121は、端末側システム200から送信されるプロトコル信号を分岐する。例えば、識別情報付与信号分岐部121は、加入者線終端装置130から情報サーバ110に送信されるプロトコル信号のうち、ヘッダ部に含まれるIPアドレス、ポートを参照し、定められたIPアドレス、ポートをヘッダ部に含むプロトコル信号を分岐する。
【0033】
信号判定部122は、複数の端末側システム200から受信する複数のプロトコル信号のそれぞれに付与された識別情報を読み出し、複数のプロトコル信号のうち同一の識別情報が付与された複数のプロトコル信号を、同一の端末側システム200が送受信した一連のプロトコル信号であると判定する。ここで、識別情報とは、伝送路300を介して複数の情報端末230が接続される場合に、接続された複数の情報端末230のうち、特定の情報端末230を識別する情報である。識別情報には、例えば、情報端末230のIPアドレスとポート、またはMACアドレスなどが適用できる。
【0034】
分析部124は、予め定められたプロトコルについて、正常通信として定められる複数のプロトコル信号のシーケンスを予め記憶し、記憶した正常通信のプロトコル信号のシーケンスと、信号判定部122によって同一の情報端末230との一連のプロトコル信号と判定されたシーケンスとを比較する。比較の結果、差異がある場合には、通信接続の確立に失敗し異常があったと判定し、差異がない場合には、通信接続の確立に成功し、正常であったと判定する。
【0035】
表示部125は、端末側システム200から送信された一連のプロトコル信号を表示するディスプレイである。例えば、表示部125は、分析部124の判定結果が異常を示す場合には、「NG」の文字列を表示する。一方、分析部124の判定結果が正常を示す場合には、「OK」の文字列を表示する。さらに、表示部125は、信号判定部122によって一連のシーケンスと判定されたプロトコル信号を、図6または図7に示したような画像として表示するようにしても良い。図6は、一連のプロトコル信号の送受信が正常に終了し、通信接続状態の確立に成功した場合の表示例を示す。図7は、一連のプロトコル信号の送受信が異常終了し、通信接続状態の確立に失敗した場合の表示例を示す。
【0036】
端末制御プログラム遠隔操作部123は、ネットワークを介して端末側システム200のルータ220が備える制御プログラムインストール部226と通信を行い、遠隔でルータ220に制御プログラムのインストールまたはアンインストールを行わせる。端末制御プログラム遠隔操作部123は、自身の記憶領域にルータ220の各部を動作させる制御プログラムを予め記憶しており、制御プログラムインストール部226を備えるルータ220に送信してインストールさせる。または、制御プログラムのアンインストール命令を送信して、制御プログラムをアンインストールさせる。例えば、管理装置120にキーボードやマウスなどの入力部を設け、管理ユーザから入力部に、制御プログラムの送信命令が入力されると、端末側システム200に送信する。このような制御プログラムの遠隔操作には、例えば、URL「http://www.osgi.org/Main/HomePage」に記載されたOSGiが適用できる。
【0037】
OSGiは、1999年3月に設立された標準化団体OSGi Alliance(従来の名称は Open Services Gateway initiative)が規定しているミドルウエアであり、ネットワークから遠隔で管理できるサービスプラットフォームが定義されている。このフレームワークにより、バンドル(bundle)形式で配布される制御プログラムやコンポーネントを、遠隔からリブートせずにインストール・起動・停止・アンインストールできる環境が実現される。
【0038】
次に、図8を参照して、管理装置120の実施例を詳細に説明する。管理装置120は、加入者線終端装置130から情報サーバ110に送信される上り信号と、情報サーバ110から加入者線終端装置130に送信される下り信号とのそれぞれの入出力を行う入出力ポートとして、情報サーバ110側に入出力ポート1201を、加入者線終端装置130側に入出力ポート1202を備える。入出力ポート1201はI/O(Input/Output)1203のデータバスを介して、また入出力ポート1202はI/O1204からのデータバスを介して、それぞれCPU(Central Processing Unit (中央演算処理装置))1205に接続される。
【0039】
CPU1205は、情報サーバ110側と加入者線終端装置130側とで送受信される上り下りのディジタル信号を転送する。CPU1205上では、OS(Operating System(オペレーティングシステム))が動作する。OSには、例えば、Linux(登録商標) CentOS(以下、単にOSという)を適用することができる。OS上では、識別情報付与信号分岐部121としてのプログラムが動作する。また、OS上には、JAVA−VM(Java Virtual Machine、Java仮想マシン、JAVAは登録商標。以下、単に仮想マシンという)がインストールされており、仮想マシン上で、信号判定部122及び分析部124としての制御プログラムが動作する。
【0040】
ここで、上述のOSは、URL「http://www.centos.org/」に詳細が記述されており、PC(パーソナルコンピュータ)に限らず、携帯電話のような組み込みシステムから、メインフレームやHPC(高性能計算:high performance computing)クラスタ等のスーパーコンピュータまで、幅広く適用される。
【0041】
また、上述の仮想マシンは、URL「http://java.sun.com/」にその詳細が記述されている。このような仮想マシンは、プログラムバイトコードとして定義された命令セットを実行するスタック型の仮想マシンであり、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース、Application Programming Interface)やいくつかのツールとセットでJava Runtime Environment(JRE)(Javaは登録商標)としてリリースされている。ここで、APIとは、アプリケーションから利用できる、オペレーティングシステムやプログラミング言語で用意されたライブラリなどの機能の入り口である。この環境を、様々なOS上に移植・実装することで、さまざまな環境において同一のプログラムを実行することができるようになる。
【0042】
図8の例では、CPU1205上で動作する制御プログラムが、予め指定された識別情報を指定して、OSに実装されているsocketをopenすることにより、識別情報付与信号分岐部121として動作する。このように、指定した識別情報とともにsocketを利用することにより、CPU1205を経由する信号のうち、定められたヘッダを有するプロトコル信号を捕捉する。また、制御プログラムは、捕捉したプロトコル信号を分岐し、プログラムのread()メソッドを呼び出すことにより、捕捉したプロトコル信号のbyte配列を、OSから制御プログラムの管理下にある配列Aに受け渡す。
【0043】
また、制御プログラム中では、配列Aに格納されている各プロトコル信号のbyte配列から同一の識別情報が付与されたプロトコル信号を取り出し、取り出したプロトコル信号の到着順が制御プログラムで予め定義した正常なシーケンスの順序と一致している場合は正常、一致していない場合は異常と判断する。例えば、SIPのプロトコル信号のシーケンスを分析する場合には、分析部124としての制御プログラムが、配列Aに格納されている各ディジタル信号のbyte配列から、IPヘッダに格納されたプロトコル識別子がUDPで、かつ、ポート番号が5060である一連のプロトコル信号を取り出す。ここで、SIPのスタートラインが格納されているbyte列を取得し、byte列が図4に示したようなSIPによる正常なプロトコル信号のシーケンスである場合に、正常と判断し、それ以外を異常と判断する。その判断結果は、例えば、PC本体とD−sub15ピンコネクタの同軸ケーブルで接続されたディスプレイである表示部125に表示される。
【0044】
図1に戻り、加入者線終端装置130は、管理装置120側と伝送路300側とが送受信する信号の変換を行う。例えば、加入者線終端装置130は、いわゆるSLT(Subscriber Line Terminal)であり、加入者線終端装置130から管理装置120側ではIETFによる標準プロトコルであるところのTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)のプロトコルで動作し、Ethernetフレーム(Ethernetは登録商標。以下、単にフレームという)を有した上り下りのディジタル信号により情報通信が行われる。
【0045】
一方、加入者線終端装置130から伝送路300側では、例えばITU−T(International Telecommunication Union - Telecommunication Standardization Sector:国際電気通信連合 電気通信標準化部門)G.984シリーズで標準化されたG−PON(Gigabit PON:Passive Optical Network)による光ディジタル信号により情報通信が行われる。加入者線終端装置130は、管理装置120側から送信されるディジタル信号を、光ディジタル信号に変換して伝送路300側に送出し、伝送路300側から送信される光ディジタル信号を、ディジタル信号に変換して管理装置120に送出する。このように、加入者線終端装置130は、伝送路300を介したディジタル双方向通信の管理側システム100におけるディジタル入出力インタフェースとして作用する。
伝送路300は、管理側システム100と端末側システム200とを接続する回線であり、例えば、ディジタル双方向通信を行う光ファイバ線路である。
【0046】
端末側システム200は、光回線終端装置210と、ルータ220と、管理側システム100による通信状態の監視対象である情報端末230とを備えている。
光回線終端装置210は、ルータ220側と伝送路300側とが送受信する光信号と電気信号との変換、およびディジタル信号(IPパケット)の多重・分離を行い、端末側システム200のディジタル入出力インタフェースとして作用する。光回線終端装置210は、例えば、いわゆるONU(Optical Network Unit)であり、管理側システム100側の加入者線終端装置130に対応する通信処理を行う。光回線終端装置210は、伝送路300側ではG−PONのインタフェースを有した光ディジタル信号によって通信を行い、ルータ220側ではフレームを有しTCP/IPのプロトコルで通信動作をする電気ディジタル信号によって通信するようにディジタル信号を変換する。
【0047】
ルータ220は、ネットワークを介したIPパケットの通信を中継しルーティングを行う通信装置である。ここでは、ブロードバンドルータ(BBR)を想定するが、通信装置には、PBX(Private Branch eXchange)、STB(Set-top box)などを適用しても良い。ルータ220は、光回線終端装置210と情報端末230との間で送受信されるディジタル信号を中継する。また、ルータ220は、信号再多重部221と、信号分岐部222と、識別情報付与部223と、信号蓄積部224と、信号捕捉部225と、制御プログラムインストール部226とを備えている。
【0048】
制御プログラムインストール部226は、管理側システム100の端末制御プログラム遠隔操作部123から送信される制御プログラムを受信し、端末制御プログラム遠隔操作部123から送信される命令に応じて、ルータ220に制御プログラムをインストールして動作可能状態にし、またはアンインストールして削除する。このような制御プログラムインストール部226の機能により、管理側システム100は、伝送路300を介した遠隔から任意の制御プログラムをルータ220にインストールまたはアンインストールすることが可能である。制御プログラムインストール部226には、例えば、上述したようにOSGiが適用できる。本実施形態では、管理装置120は、制御プログラムインストール部226と通信を行うことにより、信号分岐部222、信号捕捉部225、信号蓄積部224、識別情報付与部223、信号再多重部221の各部として機能する制御プログラムを構成してインストールし、または削除してアンインストールする。
【0049】
信号分岐部222は、情報サーバ110から情報端末230に送信される上りディジタル信号、または情報端末230から情報サーバ110に送信される下りディジタル信号のうち、予め定められたヘッダを有するディジタル信号を分岐する。信号分岐部222は、例えば、OSが備えるsocketの機能により実現され、特定のIPアドレス、ポートのIPヘッダをもつディジタル信号のみを分岐する。
【0050】
信号捕捉部225は、信号分岐部222により分岐されたディジタル信号のうち、定められた情報が含まれるディジタル信号のみを検出してフィルタリングし、信号蓄積部224に蓄積させる。例えば、信号蓄積部224は、捕捉対象プロトコル信号のコードを自身の記憶領域に予め記憶し、フレームにおけるペイロード部に含まれるビット列が、定められたプロトコル信号のコードに対応する場合のみ、そのプロトコル信号を捕捉して信号蓄積部224に記憶させる。ここで、信号捕捉部225がフィルタリングの捕捉対象とするプロトコル信号のコードは、ルータ220または情報端末230にキーボードやマウスなどのマウスを有する設定変更入力部を設けて、ルータ220または情報端末230からの情報入力に従って変更するようにしても良い。
信号蓄積部224には、信号捕捉部225によって捕捉されたプロトコル信号が記憶される。
【0051】
識別情報付与部223は、信号蓄積部224に蓄積されたプロトコル信号を読み出して、ヘッダ部に識別情報を付与する。例えば、図9に示すようなフレームが信号蓄積部224に記憶されている場合、識別情報付与部223は、図10に示すように、フレームの先頭に識別情報を付与する。ここで、識別情報付与部223が付与する識別情報は、管理装置120によって、監視対象である情報端末230を識別することが可能な情報であれば良い。例えば、識別情報は、ルータ220を通過するフレームに含まれるIPアドレスとポートなどでも良いし、情報端末230またはルータ220に付与されたMACアドレスを適用しても良い。識別情報付与部223は、信号蓄積部224に記憶されたディジタル信号を、即時に取り出して識別情報を付与するようにしても良いし、一定時間毎に、信号蓄積部224から読み出すようにしても良い。
【0052】
信号再多重部221は、識別情報付与部223によって識別情報が付与されたプロトコル信号を再多重化し、光回線終端装置210を介して管理側システム100に送信する。ここで、信号再多重部221が送信するプロトコル信号は、光回線終端装置210と情報端末230との間で送受信際の信号フォーマットを維持し、加工されずにそのままの状態で、識別情報が付与されて送信される。ここで、信号再多重部221は、光回線終端装置210と情報端末230との間で送受信されるディジタル信号に対して、識別情報が付与されたプロトコル信号の優先度を下げて、または上げて送信するなどの制御を行うようにしても良い。
【0053】
ここで、図11を参照して、ルータ220の実施例を詳細に説明する。端末側システム200は、情報端末230から光回線終端装置210に送信される上り信号と、光回線終端装置210から情報端末230に送信される下り信号とのそれぞれの入出力を行う入出力ポートとして、光回線終端装置210側に入出力ポート2201を、情報端末230側に入出力ポート2202を備える。入出力ポート2201はI/O(Input/Output)2203のデータバスを介してCPU(Central Processing Unit (中央演算処理装置))2205に接続され、また入出力ポート2202はI/O2204のデータバスを介してCPU2205に接続される。
【0054】
CPU2205は、光回線終端装置210側と情報端末230側とで送受信される上り下りのディジタル信号をそれぞれ転送する。CPU2205上では、OS(Operating System(オペレーティングシステム))が動作する。OS上には、仮想マシンがインストールされており、仮想マシン上で、制御プログラムインストール部226、信号分岐部222、信号蓄積部224、識別情報付与部223、信号再多重部221、制御プログラムインストール部226としての制御プログラムが動作する。また、OS上には、ディジタル信号を捕捉するプログラム、例えばURL「http://www.tcpdump.org/」に詳細が記述されているC言語で開発された「libpcap 0.9.8」のソフトウェアが実装され、信号捕捉部225として動作する。
【0055】
ここで、信号捕捉部225であるディジタル信号捕捉プログラムは、例えば、上述の「libpcap 0.9.8」で定義されているpcap_compile()関数を利用して、特定のプロトコル信号を示す文字列を指定して作成して論理的なバンドパスフィルタを生成し、pcap_setfilter()関数で設定する。このとき、ディジタル信号捕捉プログラムはOSの setsocket()を使用してフィルタを設定し、例えば、図9に示したEthenetフレームにおけるIPヘッダに含まれるIPアドレスやプロトコル、ポートを示すコードが指定され、指定された条件に沿ったパケットのみが制御プログラムの配列Aに格納される。
【0056】
図11の例では、CPU2205上で動作するOSに実装されるsocketを適用することにより、OSが信号分岐部222として動作して、光回線終端装置210と情報端末230との間で通信される上り下りディジタル信号が分岐され、信号捕捉部225としてのディジタル信号捕捉プログラムに導かれる。例えば、OSで定義されたPF_PACKETを指定してsocketをopenし、信号捕捉部225としてのOSのrecvfrom()関数を呼び出し、受信した上り下りディジタル信号のデータ列をそのままbyte配列でディジタル信号捕捉プログラムに受信させる。
【0057】
また、ディジタル信号捕捉プログラムと、仮想マシンとの間では、データ受け渡しのためのAPIを独自に定義する。その上で、ディジタル信号捕捉プログラムで捕捉したbyte配列の上り下りディジタル信号を、仮想マシン上で動作する制御プログラムの配列Aに受け渡す。
【0058】
また、制御プログラム中では、識別情報付与部223として動作する制御プログラムが、配列Aに格納されている捕捉したディジタル信号列に対して、予め定められた識別情報を付与する。ここでは、制御プログラムとしての識別情報付与部223が、識別情報を付与したディジタル信号を、配列Bに格納する。
【0059】
さらに、制御プログラムとOSとの間では、OSGi上に実装されている制御プログラムの配列Bに格納されている識別情報が付与されたプロトコル信号とともに、プログラムにおけるDatagramSocketを生成する。生成されたDatagramSocketについて、send()メソッドを呼び出して、識別情報が付与されたプロトコル信号のbyte配列を、信号再多重部221として作用するOSのsocket機能に渡して上り信号に多重し、光回線終端装置210を介して伝送路300へ送出する。
【0060】
情報端末230は、伝送路300を介して情報サーバ110と定められたプロトコルにより情報の送受信を行う。情報端末230は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)やIP電話装置が適用できる。
【0061】
<第1の実施形態:動作>
次に、図12を参照して、本実施形態による遠隔通信分析システムの動作例を説明する。
まず、管理側システム100の管理ユーザは、ネットワーク上になんらかの通信不良を発見した場合や、加入者からの故障申告があった場合などに、管理装置120に、制御プログラムを端末側システム200に送信する命令を入力する。管理側システム100の端末制御プログラム遠隔操作部123は、管理ユーザから入力される命令に従って、自身の記憶領域に予め記憶されている制御プログラムを、ルータ220に送信する(ステップS1)。
【0062】
ルータ220の制御プログラムインストール部226は、管理側システム100から送信される制御プログラムを受信すると、受信したプログラムをルータ220にインストールし、動作可能な制御プログラムとしての識別情報付与部223と、信号蓄積部224と、信号捕捉部225とを構成する(ステップS2)。そして、管理側システム100の情報サーバ110は、情報端末230と通信接続を確立するためのプロトコル信号を、情報端末230を宛先として送信する(ステップS3)。
【0063】
端末側システム200の情報端末230は、情報サーバ110から送信されるプロトコル信号を受信すると、定められたシーケンスによるプロトコル信号の送受信を開始し、情報サーバ110との通信接続状態を確立する処理を開始する。ルータ220の信号分岐部222が、ルータ220を通過するプロトコル信号を分岐する(ステップS4)。信号捕捉部225は、信号分岐部222に分岐されたプロトコル信号のうち、捕捉対象プロトコル信号を捕捉すると(ステップS5)、信号蓄積部224に蓄積させる(ステップS6)。識別情報付与部223が、信号蓄積部224に蓄積されたプロトコル信号を読み出し、識別情報を付与すると(ステップS7)、信号再多重部221は、識別情報が付与されたプロトコル信号を、管理側システム100に送信する(ステップS8)。
【0064】
管理側システム100の識別情報付与信号分岐部121が、端末側システム200から送信される識別情報が付与されたプロトコル信号を分岐すると(ステップS9)、信号判定部122は、分岐されたプロトコル信号のうち、同一の識別情報が付与されたプロトコル信号を、一連のシーケンスと判定する(ステップS10)。分析部124は、信号判定部122が判定した一連のシーケンスと、予め記憶された正常シーケンスとを比較して、シーケンスが正常であるか否かを判定し、表示部125が、判定結果を出力する。このような管理装置120による判定処理が終了すると、管理装置120の端末制御プログラム遠隔操作部123は、ユーザ操作に従って制御プログラムのアンインストール命令をルータ220に送信する(ステップS13)。ルータ220の制御プログラムインストール部226は、管理側システム100から送信される制御プログラムのアンインストール命令を受信すると、ステップS2でインストールした制御プログラムをアンインストールし、識別情報付与部223と、信号蓄積部224と、信号捕捉部225とを削除する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態によれば、高価かつ大型のプロトコル・アナライザ等の測定器を測定系に設置することなく、また特別なハードウェアを加入者宅の通信装置に付加することなく、加入者宅の通信装置の通信状態を通信会社側の管理側システム100から遠隔で監視することが可能となる。これにより、測定器設置や実際に測定を実施するための人的、または加入者宅への移動のための乗用車等による物理的移動費を労することがなくなる。また、通信装置およびシステムの故障分析、故障原因の同定、または故障が重篤である場合、人的派遣が必要であるかどうかの第一次判断等の時間的、経費的効率を向上させることができる。さらに、これらの人的、物理的経費を必要としない上に、測定から分析・故障原因同定までの時間を大幅に短縮することが出来る。
【0066】
<第2の実施形態>
次に、図13を参照して、本発明の第2の実施形態による遠隔通信管理システムを説明する。本実施形態における遠隔通信管理システムは、第1の実施形態と同様の構成をしており、同様の構成、動作については、その説明を省略する。
本実施形態による管理側システム100の管理装置120−2は、制御信号多重部126と、制御信号送信部127と、制御信号入力部128とを備えている。
【0067】
制御信号入力部128は、端末側システム200のルータ220−2が備える信号捕捉部225において、捕捉対象となるディジタル信号のコードの入力を受付ける。例えば、制御信号入力部128は、入力手段としてのキーボードを有し、ユーザからのコード入力を受付ける。ここで、捕捉対象とするディジタル信号を入力するコードは、プロトコルの種別や、任意の文字列やビット列などとしても良い。
制御信号送信部127は、制御信号入力部128に入力された捕捉対象ディジタル信号のコードをペイロード部に埋め込み、ルータ220−2を宛先とするパケットを制御信号として生成し、送信する。
制御信号多重部126は、制御信号送信部127が送信した制御信号を、下りディジタル信号に多重する。
【0068】
また、ルータ220−2は、制御信号分岐部227を備える。制御信号多重部126から送信された制御信号を分岐し、制御信号に含まれる捕捉対象ディジタル信号のコードを、信号捕捉部225の記憶領域に記憶させる。以降、信号捕捉部225は、制御信号分岐部227によって記憶された捕捉対象ディジタル信号のコードに表されたディジタル信号を捕捉対象として動作する。
【0069】
なお、図14に示されるように、制御信号多重部126から送信される制御信号が信号分岐部222によって分岐され、制御信号分岐部228に転送されるように構成しても良い。
このようにして、管理側システム100からの遠隔操作によって、ルータ220−2が備える信号捕捉部225の捕捉対象ディジタル信号のコードを変更することが可能である。
【0070】
<第3の実施形態>
次に、図15を参照して、本発明の第3の実施形態による遠隔通信管理システムを説明する。本実施形態における遠隔通信管理システムは、第1の実施形態と同様の構成をしており、同様の構成、動作については、その説明を省略する。
本実施形態における端末側システム200が備えるルータ220−3は、スケジューリング部229を備えている。スケジューリング部229は、信号蓄積部224に蓄積されたディジタル信号を、一定のタイミングで、例えば伝送路300の通信トラヒックが混み合わない時間帯であるところの午前5時を指定して、識別情報付与部223に出力させる。このようにすれば、ネットワーク負荷を時間的に分散させ、情報端末230の通信状態を監視することが可能となる。
【0071】
<第4の実施形態>
次に、図16を参照して、本発明の第4の実施形態による遠隔通信管理システムを説明する。本実施形態における遠隔通信管理システムは、第1の実施形態と同様の構成をしており、同様の構成、動作については、その説明を省略する。
本実施形態による遠隔通信管理システムは、管理側システム100と端末側システム200とを接続する第2の伝送路400を備えている。端末側システム200の信号送信部231は、信号蓄積部224に蓄積されたディジタル信号を、第2の伝送路400を介して管理側システム100に送信する。信号受信部129は、信号送信部231から送信されるディジタル信号を、信号判定部122に転送する。信号判定部122は、第1の実施形態において識別情報付与信号分岐部121に分岐された信号と同様に、同一の識別情報が付与されたディジタル信号を判定する処理を行う。分析部124、表示部125の処理は、第1の実施形態と同様である。
【0072】
ここでは、伝送路300が光ファイバの場合、加入者線終端装置130と光回線終端装置210との間の通信を波長λ1で構成し、信号送信部231と信号受信部129との間の通信をλ2(λ1≠λ2)で構成し、いわゆる波長多重通信により実現してもよい。この場合、伝送路300と第2の伝送路400とは単一の光ファイバで構成することが可能である。
このようにすれば、通常の情報通信のための信号が流れる伝送路300の負荷を圧迫することなく、端末側システム200の通信状態を監視することが可能となる。
【0073】
なお、上述の実施形態の他にも、以下のような実施形態を適用することができる。
上述の実施形態の説明では、信号分岐部222の実現には、OSのsocket機能によりCPUを介してソフトウェア処理により実現したが、分岐そのものは別回路のハードウェア処理でも実現できる。例えば、図17に示すように、LANケーブルのメタルのペア線端子2210と端子2211との間に、分岐回路2206を構成するようにしても良い。ここでは、端子2210と端子2211との間の上り下りディジタル信号を分岐し、端子2212に導くように構成する。端子2212に出力されたディジタル信号は、再度I/O2204を介して、データバスからCPUを経て、ディジタル信号捕捉プログラムに導くことができる。
【0074】
また、上述の実施形態の説明では、信号捕捉部225にはC言語で開発されたディジタル信号捕捉プログラムを適用したが、同様の機能をアセンブラで直接構成して適用しても実現できる。また、実施形態で適用したOSの他にも、CPU動作を制御する様々なOSが適用可能である。OS上で動作する各ソフトウェア言語、ミドルウエア言語にも、OSや環境に応じた最適なソフトウェアが適用可能である。
【0075】
また、上述の実施形態の説明では、伝送路300には、光ファイバ伝送路を適用したが、光ファイバ伝送路以外にも、メタルのペアケーブル、同軸ケーブル、無線通信を適用してもよい。この場合、メタルペアケーブル、同軸ケーブルなどのメタル系の伝送路を使用した場合には、管理側システム100と端末側システム200との伝送路300側のインタフェースはそれぞれ電気ディジタル信号のままとなる。また無線通信の場合は、管理側システム100と端末側システム200との伝送路300側のインタフェースはそれぞれ無線通信インタフェースとなり、これにより上り下り双方向通信が構成される。
【0076】
また、上述の実施形態の説明では、情報サーバ110と管理装置120とを管理側システム100が備え、管理側システム100の情報サーバ110と端末側システム200の情報端末230とが行う情報通信についてのプロトコル信号を、管理装置120が分岐する構成としたが、端末側システム200と、他の端末側システム200との間で行われる通信の遠隔監視を行ようにしても良い。この場合、端末側システム200と他の端末側システム200との間で行われるプロトコル信号を、端末側システム200が捕捉し、識別情報を付与して管理装置120に送信するように構成することが可能である。
【0077】
また、上述の仮想マシン、OSGi、制御プログラムは、管理側システム100からFTP(File Transfer Protocol)コマンドによりルータ220に送信して動作させ、遠隔通信分析作業が終了した段階で、送信した仮想マシン、OSGi、制御プログラムをルータ220から管理装置120にFTPコマンドにより送信しても良い。このようにしても、上述のような実施形態に利用される際に必要となるソフトウェアを、必要なときだけルータ220にて動作させることが可能であり、情報サーバ110と情報端末230との通常の通信時において不要なメモリ空間を常時占有することがないようにすることが可能である。
【0078】
また、光回線終端装置210、情報端末230のそれぞれにも、ルータ220における制御プログラムインストール部226と同等の機能を実装して、光回線終端装置210、ルータ220、情報端末230の各点に流れるプロトコル信号を捕捉して管理装置120に送信するようにしても良い。このようにすれば、それぞれの光回線終端装置210、ルータ220、情報端末230のそれぞれの通信装置について通信状態の分析を行うことで、故障区間の切り分けなどの遠隔からの故障点評定が可能となる。
【0079】
また、管理側システム100は、複数の端末側システム200の通信装置に接続されている場合には、それぞれの通信装置の特性や利用するサービスに応じて異なるディジタル信号を捕捉することで、個々の通信装置に特化した故障点評定を行うことが可能となる。
【0080】
以上説明したように、本発明によれば、ディジタル双方向通信システムにおいて、分析側通信装置から被分析側通信装置における双方向通信の通信確立過程または通信中の送受ディジタル信号を、被分析側通信装置の上り下りディジタル通信信号を遠隔に捕捉することにより、これを分析側通信装置に転送・解析し、被分析側通信装置の通信状態の正常性を即時的に分析する遠隔分析を行うことが可能となる。
【0081】
また、本発明によれば、加入者側の通信装置として、例えばBBR(ブロードバンドルータ)を実現するハードウェア上に、本発明を実現するための特別なハードウェアを付加する必要がなく、ハードウェアの規模増加を伴わずに実行可能である。これにより、例えばBBRの装置価格を増加することなく遠隔通信の分析が実現可能である。すなわち、通信システムの保守を行う上で、加入者設備の故障申告があった場合、必要なときだけソフトウエアをダウンロードすればよく、常時は必要としないようにすることが可能となる。
【0082】
また、本発明によれば、通信故障時の原因分析のために、特別な高価なプロトコル・アナライザなどの測定器を用意する必要が無く、また加入者通信設備あるいはLANにおける故障点評定を遠隔から行うことが可能となり、測定器を運搬・設置・調整・操作するための人的稼働の削減を図り、故障対応経費ならびに対応時間を削減することが可能となる。
【0083】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより遠隔通信の分析を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0084】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施形態による遠隔通信分析システムの端末構成を示すブロック図である。
【図2】正常時のプロトコル信号のシーケンス例を示す図である。
【図3】異常時のプロトコル信号のシーケンス例を示す図である。
【図4】SIP通信における正常時のプロトコル信号のシーケンス例を示す図である。
【図5】SIP通信における異常時のプロトコル信号のシーケンス例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による表示部に表示される画面例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態による表示部に表示される画面例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態による管理装置の詳細な構成を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態による管理装置と通信装置とが送受信するフレームの例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態により識別情報が付与されたフレームの例を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施形態によるルータの詳細な構成を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施形態による遠隔通信分析システムの動作例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施形態による遠隔通信分析システムの端末構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第2の実施形態による遠隔通信分析システムの端末構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第3の実施形態による遠隔通信分析システムの端末構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第4の実施形態による遠隔通信分析システムの端末構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の他の実施形態による信号分岐部の回路構成を示すブロック図である。
【図18】従来技術による遠隔通信分析システムの端末構成を示すブロック図である。
【図19】従来技術による遠隔通信分析システムの端末構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0086】
100 管理側システム
110 情報サーバ
120 管理装置
121 識別情報付与信号分岐部
122 信号判定部
123 端末制御プログラム遠隔操作部
124 分析部
125 表示部
126 制御信号多重部
127 制御信号送信部
128 制御信号入力部
129 信号受信部
130 加入者線終端装置
200 端末側システム
210 光回線終端装置
220 ルータ
221 信号再多重部
222 信号分岐部
223 識別情報付与部
224 信号蓄積部
225 信号捕捉部
226 制御プログラムインストール部
227 制御信号分岐部
229 スケジューリング部
230 情報端末
231 信号送信部
300 伝送路
400 第2の伝送路
500 局
510 送受信信号源
530 加入者線終端装置
600 利用者設備
610 光回線終端装置
620 ルータ
630 情報端末
640 プロトコル・アナライザ
650 プロトコル・アナライザ
700 伝送路
1201 入出力ポート
1202 入出力ポート
1203 I/O
1204 I/O
1205 CPU
2201 入出力ポート
2202 入出力ポート
2203 I/O
2204 I/O
2205 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して信号の送受信を行う第1の通信装置および第2の通信装置と、前記第1の通信装置と前記ネットワークを介して接続された管理装置とを備えた遠隔通信分析システムにおける前記第1の通信装置であって、
前記ネットワークを介して、前記第2の通信装置とプロトコル信号の送受信を行う通信制御部と、
前記第2の通信装置から前記通信制御部が受信する前記プロトコル信号と、前記通信制御部が前記第2の通信装置に送信する前記プロトコル信号とを捕捉する信号捕捉部と、
前記信号捕捉部が捕捉した前記プロトコル信号に、自身を識別可能な識別情報を付与する識別情報付与部と、
前記識別情報付与部に識別情報が付与された前記プロトコル信号を、前記管理装置に送信する識別情報付与信号送信部と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記識別情報付与信号送信部が送信する前記識別情報が付与された前記プロトコル信号は、前記通信制御部が送受信する前記プロトコル信号が送受信される際の信号フォーマットを維持した状態で、前記識別情報が付与されて送信されるものである
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記識別情報付与信号送信部は、前記第2の通信装置と前記プロトコル信号の送受信を行う回線と同一の回線に、前記識別情報が付与された前記プロトコル信号を送信する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
ネットワークを介して信号の送受信を行う第1の通信装置および第2の通信装置と、前記第1の通信装置と前記ネットワークを介して接続された管理装置とを備えた遠隔通信分析システムであって、
前記第1の通信装置は、
前記ネットワークを介して、前記第2の通信装置とプロトコル信号の送受信を行う通信制御部と、
前記第2の通信装置から前記通信制御部に送信される前記プロトコル信号と、前記通信制御部が前記第2の通信装置に送信する前記プロトコル信号とを捕捉する信号捕捉部と、
前記信号捕捉部が捕捉した前記プロトコル信号に、自身を識別可能な識別情報を付与する識別情報付与部と、
前記識別情報付与部に識別情報が付与された前記プロトコル信号を、前記管理装置に送信する識別情報付与信号送信部と、
を備え、
前記管理装置は、
前記第1の通信装置の前記識別情報付与信号送信部から送信される前記プロトコル信号を受信する識別情報付与信号受信部
を備えることを特徴とする遠隔通信分析システム。
【請求項5】
前記管理装置は、
前記第1の通信装置において実行されることで、前記信号捕捉部と、前記識別情報付与部と、前記識別情報付与信号送信部とを構成する制御プログラムを予め記憶し、前記制御プログラムを前記第1の通信装置に送信する端末制御プログラム送信部を備え、
前記第1の通信装置は、
前記管理装置の端末制御プログラム送信部から前記制御プログラムを受信して実行し、前記前記信号捕捉部と、前記識別情報付与部と、前記識別情報付与信号送信部とを構成する制御プログラムインストール部と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の遠隔通信分析システム。
【請求項6】
前記第1の通信装置の、
前記信号捕捉部は、予め定められたプロトコルに基づいた前記プロトコル信号を捕捉する
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の遠隔通信分析システム。
【請求項7】
前記第1の通信装置は、
前記信号捕捉部によって捕捉された前記プロトコル信号が記憶される信号蓄積部を備え、
前記識別情報付与信号送信部は、前記信号蓄積部に記憶された前記プロトコル信号を、予め定められた時間に、前記管理装置に送信する
ことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の遠隔通信分析システム。
【請求項8】
前記管理装置は、
特定のプロトコルを示す捕捉プロトコル識別情報を含む信号を、前記第1の通信装置に送信する捕捉プロトコル識別情報送信部を備え、
前記第1の通信装置の、
前記信号捕捉部は、前記管理装置の前記捕捉プロトコル識別情報送信部から送信される前記プロトコル信号に含まれる捕捉プロトコル識別情報が示すプロトコルに基づいた前記プロトコル信号を捕捉する
ことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の遠隔通信分析システム。
【請求項9】
前記第1の通信装置は、
捕捉プロトコル識別情報の入力を受付ける設定入力部を備え、
前記信号捕捉部は、前記設定入力部に入力された前記捕捉プロトコル識別情報が示すプロトコルに基づいた前記プロトコル信号を捕捉する
ことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の遠隔通信分析システム。
【請求項10】
前記管理装置は、
複数の前記第1の通信装置の前記識別情報付与信号送信部から送信される複数の前記プロトコル信号を受信する識別情報付与信号受信部と、
前記識別情報付与信号受信部が前記複数の第1の通信装置のそれぞれから受信した複数の前記プロトコル信号のそれぞれに付与された前記識別情報を読み出し、複数の前記プロトコル信号のうち同一の識別情報が付与された複数の前記プロトコル信号を、同一の前記第1の通信装置が送受信した一連のプロトコル信号であると判定する信号判定部と、
前記第1の通信装置が送受信する定められたプロトコルについて、正常通信として定められる複数のプロトコル信号の順序を予め記憶し、記憶した正常通信のプロトコル信号の順序と、前記信号判定部によって同一の第1の通信装置と送受信されたプロトコル信号と判定された前記複数のプロトコル信号とを比較し、差異がある場合に、通信に異常があったと判定する信号分析部と、
を備えることを特徴とする請求項4から請求項9のいずれか1項に記載の遠隔通信分析システム。
【請求項11】
前記管理装置は、
前記信号判定部が同一の通信装置と送受信されたプロトコル信号と判定した前記複数のプロトコル信号か、または前記信号分析部が判定した判定結果かのいずれかまたは双方を表示する表示部
を備えることを特徴とする請求項10に記載の遠隔通信分析システム。
【請求項12】
前記第1の通信装置の、
前記識別情報付与信号送信部は、前記第2の通信装置と前記プロトコル信号の送受信を行う回線と異なる回線を介して、前記識別情報が付与された前記プロトコル信号を送信する
ことを特徴とする請求項4から請求項11のいずれか1項に記載の遠隔通信分析システム。
【請求項13】
ネットワークを介して信号の送受信を行う第1の通信装置および第2の通信装置と、前記第1の通信装置と前記ネットワークを介して接続された管理装置とを備えた遠隔通信分析システムにおける前記第1の通信装置の、
通信制御部が、前記ネットワークを介して、前記第2の通信装置とプロトコル信号の送受信を行うステップと、
信号捕捉部が、前記第2の通信装置から前記通信制御部が受信する前記プロトコル信号と、前記通信制御部が前記第2の通信装置に送信する前記プロトコル信号とを捕捉するステップと、
識別情報付与部が、前記信号捕捉部が捕捉した前記プロトコル信号に、自身を識別可能な識別情報を付与するステップと、
識別情報付与信号送信部が、前記識別情報付与部に識別情報が付与された前記プロトコル信号を、前記管理装置に送信するステップと、
を含むことを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−296060(P2009−296060A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144971(P2008−144971)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000102739)エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 (265)
【Fターム(参考)】