配線基板の接続方法、配線基板
【課題】 接続端子同士を良好に接続する。
【解決手段】 他の基板との接続用の帯状の接続端子34a、34bを有する配線基板31a、31b同士を接続する配線基板の接続方法であって、接続端子同士が、流動体14を間に挟んだ状態で対向するように、配線基板同士を位置合わせする工程と、流動体14を加熱し、その後冷却して、接続端子同士を固着する工程とを備え、流動体14は、加熱により気泡を生ずる材料であり、接続端子34a、34bは、それぞれの配線基板1a、31bに複数併設されており、少なくとも一方の配線基板のそれぞれの少なくとも1つの接続端子には、帯状の接続端子を横断する溝20aが形成されている、配線基板の接続方法。
【解決手段】 他の基板との接続用の帯状の接続端子34a、34bを有する配線基板31a、31b同士を接続する配線基板の接続方法であって、接続端子同士が、流動体14を間に挟んだ状態で対向するように、配線基板同士を位置合わせする工程と、流動体14を加熱し、その後冷却して、接続端子同士を固着する工程とを備え、流動体14は、加熱により気泡を生ずる材料であり、接続端子34a、34bは、それぞれの配線基板1a、31bに複数併設されており、少なくとも一方の配線基板のそれぞれの少なくとも1つの接続端子には、帯状の接続端子を横断する溝20aが形成されている、配線基板の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板と配線基板を電気的に接続する配線基板の接続方法及びそれに用いる配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に電子部品を実装するフリップチップ実装においては、配線端子上にバンプを形成する。配線端子上にバンプを形成する技術として、近年、従来のソルダーペースト法やスーパーソルダー法等の技術と呼ばれる技術に代えて、配線端子上に、導電性粒子(例えば、はんだ粉)を自己集合させて、バンプを形成する方法、あるいは、配線基板と半導体チップの電極間に導電性粒子を自己集合させて、電極間に接続体を形成し、フリップチップ実装する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
図11(a)〜(d)、及び図12(a)〜(d)は、導電性粒子を自己集合させるバンプ形成の技術を説明するための図である。
【0004】
まず、図11(a)に示すように、複数のパッド電極32を有する基板31上に、はんだ粉116と気泡発生剤(不図示)を含有した樹脂114を供給する。次に、図11(b)に示すように、樹脂114表面に、平板140を配設する。
【0005】
この状態で、樹脂114を加熱すると、図11(c)に示すように、樹脂114中に含有する気泡発生剤から気泡30が発生する。そして、図11(d)に示すように、樹脂114は、発生した気泡30が成長することで気泡外に押し出される。
【0006】
押し出された樹脂114は、図12(a)に示すように、基板31のパッド電極32との界面、及び平板140との界面に柱状に自己集合する。なお、基板31の縁部に存在する樹脂114の一部は基板31の外縁から外部に押し出されることになる(図示省略)。
【0007】
次に、樹脂114をさらに加熱すると、図12(b)に示すように、樹脂114中に含有するはんだ粉116が溶融し、パッド電極32上に自己集合した樹脂114中に含有するはんだ粉116同士が溶融結合する。
【0008】
パッド電極32は、溶融結合したはんだ粉116に対して濡れ性が高いので、図12(c)に示すように、パッド電極32上に溶融はんだ粉よりなるバンプ19を形成する。最後に、図12(d)に示すように、樹脂114と平板140を除去することにより、パッド電極32上にバンプ19が形成された基板31が得られる。なお、以上の工程においては、供給する樹脂114の量は誇張して示したものであり、実際には、パッド電極32上に自己集合するのに好適な量、及び誤差を考慮した量の樹脂114が供給される。
【0009】
この方法の特徴は、基板31と平板140の隙間に供給された樹脂114を加熱することによって、気泡発生剤から気泡30を発生させ、気泡30が成長することで樹脂114を気泡外に押し出すことにより、はんだ粉116を含んだまま樹脂114を基板31のパッド電極32と平板140との間に自己集合させる点にある。
【0010】
樹脂114がパッド電極32上に自己集合する現象は、図13(a)、(b)に示すようなメカニズムで起きているものと考えられる。
【0011】
図13(a)は、樹脂114が、成長した気泡(不図示)によって、基板31のパッド電極32上に押し出された状態を示した図である。パッド電極32に接した樹脂114は、その界面における界面張力(いわゆる樹脂の濡れ広がりに起因する力)Fsが、樹脂の粘度ηから発生する応力Fηよりも大きいので、パッド電極32の全面に亙って広がり、最終的に、パッド電極32の端部を境とした柱状樹脂が、パッド電極32と平板140間に形成される。
【0012】
なお、パッド電極32上に自己集合して形成された柱状の樹脂114には、図13(b)に示すように、気泡30の成長(又は移動)による応力Fbが加わるが、樹脂114の粘度ηによる応力Fηの作用により、その形状を維持することができ、一旦自己集合した樹脂114が消滅することはない。
【0013】
ここで、自己集合した樹脂114が一定の形状を維持できるかどうかは、上記界面張力Fsの他に、パッド電極32の面積S及びパッド電極32と平板140との隙間の距離Lや、樹脂114の粘度ηにも依存する。樹脂114を一定形状に維持させる目安をTとすると、定性的には、以下のような関係が成り立つものと考えられる。
【0014】
【数1】
上記の説明のように、この方法は、樹脂114の界面張力による自己集合を利用して、パッド電極32上に樹脂114を自己整合的に形成するものであるが、かかる界面張力による自己集合は、基板31表面に形成されたパッド電極32が凸状に形成されているが故に、基板31と平板140間に形成されたギャップの中で、基板31と平板140との間よりも狭くなっている、平板140とパッド電極32との間で起きる現象を利用したものと言える。
【0015】
上記の方法を用いると、樹脂114中に分散したはんだ粉を効率良く電極上に自己集合させることができ、又、均一性に優れ、かつ、生産性の高いバンプ形成が実現できる。又、樹脂中に分散したはんだ粉を、樹脂が供給された基板上の複数の電極上に分け隔てなく自己集合させることができるので、上記の方法は、樹脂が供給された配線基板上の全ての電極上に一括してバンプを形成する際に特に有用である。
【特許文献1】国際公開WO2006/103949号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上のような樹脂を自己集合させることにより電極にはんだ粉を自己集合させる技術は、バンプ形成のみならず、他の用途に用いることが考えられる。
【0017】
そのような用途として、本発明者は、基板同士の接続に当該技術を利用することを見いだした。
【0018】
とりわけ、携帯電話やデジタルカメラなどの電子機器の内部配線には、薄くて折り曲げ可能なフレキシブルプリント基板(以下、FPCと記す)が多く使用されている。近年、携帯機器の小型化や可動部の増加にともない、FPCの使用比率が高まっている。メインボードに使用される硬質基板にFPCを接続する場合、コネクタ接続が一般的であり、FPCを繰り返して脱着出来ることが大きなメリットである。脱着の必要性がない場合でも容易に基板間接続が出来る利点がある。しかしながら、コネクタが占める三次元的なスペースが機器の小型化・薄型化に対して障害となる。また現行のコネクタの最小ピッチは0.3mmのものが主流で、それよりも狭ピッチの電極端子接続が困難である。
【0019】
一方、硬質基板とFPCを完全に一体化したリジッドフレックス基板も存在する。リジッドフレックス基板は、FPCが硬質基板の内層に挟まれるため外周に接続部を必要としない利点があるが、製造工程が長く、特に層数の異なる硬質基板の組み合わせでは工程が複雑となる。
【0020】
こうした中、最近では、別々の硬質基板の間をFPCで接続すると、リジッドフレックス基板と同等の構造の配線基板を製造することができる。リジッドフレックス基板と比較して工程を簡略化することができ、また配線基板の外形や構造が制約されることが少ない。
【0021】
そこで、かかる狭ピッチの電極端子を有する配線基板同士の接続に上記の技術を用いることは有効と考えられる。
【0022】
一方、本発明者は、上記方法を応用して配線基板と配線基板を接続する方法を検討している際に、以下のような現象をも見いだした。以下、その現象について説明する。
【0023】
図14に、接続検討する際に用いた配線基板を示す。配線基板31aには、帯状の配線33aが複数併設されることにより、図中矢印で示す領域に接続端子34aを形成する。配線33aの幅は0.05mmで隣り合う配線とのスペース35aは0.05mmであり、ピッチ0.1mmの配線ルールである。図14に示した配線基板31aの接続端子34aの中央部に、はんだ粉と気泡発生剤(不図示)を含有した樹脂114を適量塗布する。
【0024】
次に、図15(a)において、一方の配線基板31bを重ね合わせた状態を示している。図15(b)は、図15(a)のA−A直線断面図である。配線基板31bには配線基板31aと同寸法で配線33bが配置され、互いの接続端子34aと接続端子34bが対向し、互いに重なり合っている。この状態で、その塗布した樹脂114を加熱すると、接続端子34aと接続端子34bとが重なる領域にはんだ粉が自己集合した後、溶融固化することで配線基板31aと配線基板31bが接続されることが期待される。
【0025】
しかしながら、実際に加熱を行った場合、図16(a)に示すように、接続端子34aと34bとが重なる領域以外にまで、樹脂114及びはんだ粉が大きく移動した。特に、接続端子34a及び34bに隣接するスペース35a及びスペース35bへの樹脂114及びはんだ粉の移動が顕著であった。
【0026】
図17は、移動、集合したはんだ粉が溶融固化した状態を示している。光学顕微鏡観察においては、移動したはんだ粉が溶融して、隣の接続端子とショートした部位16aや、ショートに至らなくても接続領域外の配線に集合した部位16bが観察された。さらに、X線透視観察をすると、接続端子のはんだが不足した部位16cや、未接続の部位16dが観察され、全てのはんだ粉が接続端子34aと34bとが重なる領域に集合することはなかった。
【0027】
このように、微細な帯状の接続端子を併設してなる配線基板同士を、はんだ粉等の導電性粒子を電極上に自己集合させることにより接続するためには、上述の不具合を解消する必要があることが分かった。
【0028】
本発明は、以上を鑑みてなされたものであり、接続端子同士を良好に接続することができる、配線基板の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記の目的を達成するために、第1の本発明は、他の基板との接続用の帯状の接続端子を有する配線基板同士を接続する配線基板の接続方法であって、
前記接続端子同士が、導電性接合体を間に挟んだ状態で対向するように、前記配線基板同士を位置合わせする工程と、
前記導電性接合体を加熱し、その後冷却して、前記接続端子同士を固着する工程とを備え、
前記導電性接合体は、加熱により気泡を生ずる材料であり、
前記接続端子は、それぞれの前記配線基板に複数併設されており、
少なくとも一方の前記配線基板の少なくとも1つの前記接続端子には、前記帯状の前記接続端子を横断する溝が形成されている、配線基板の接続方法である。
【0030】
また、第2の本発明は、前記溝は前記配線基板の表面まで達する深さを有し、
前記接続端子は前記溝により分離され断続的に前記配線基板の表面上に形成されている、第1の本発明の配線基板の接続方法である。
【0031】
また、第3の本発明は、前記溝は前記接続端子上の凹部として形成されており、
前記接続端子は連続的に前記配線基板の表面上に形成されている、第1の本発明の配線基板の接続方法である。
【0032】
また、第4の本発明は、前記溝は前記接続端子の長手方向と直交するように設けられており、
前記位置合わせの状態において、
対向する一方の前記接続端子の前記溝と、
他方の前記接続端子の前記溝が形成されていない部分と、
が対向している、第1の本発明の配線基板の接続方法である。
【0033】
また、第5の本発明は、前記溝は、対向する双方の前記接続端子のそれぞれに形成されており、
前記溝は前記接続端子上にて等間隔に設けられており、
前記位置合わせの状態において、
対向する一方の前記接続端子の少なくとも1つの前記溝の中心線と、
対向する他方の前記接続端子の、少なくとも2つの前記溝で挟まれる前記部分の中心線と、
が一致している、第4の本発明の配線基板の接続方法である。
【0034】
また、第6の本発明は、前記溝の幅は、前記接続端子の前記部分の長さより短い、第4又は第5の本発明の配線基板の接続方法である。
【0035】
また、第7の本発明は、前記導電性接合体は、導電性粒子と気泡発生剤を含有した流動体であり、
前記流動体は、加熱により沸騰又は熱分解することにより気体を発生させる材料を含む、第1から第6のいずれかの本発明の配線基板の接続方法である。
【0036】
また、第8の本発明は、前記位置合わせは、前記導電性接合体の前記導電性粒子の粒径よりも広い間隔をとって行う、第7の本発明の配線基板の接続方法である。
【0037】
また、第9の本発明は、前記導電性接合体は、異方性導電材料である、第1から第6のいずれかの本発明の配線基板の接続方法である。
【0038】
また、第10の本発明は、他の基板との、加熱により気泡を生ずる導電性接合体による接続用の、帯状の接続端子が複数併設されており、
少なくとも1つの前記接続端子には、前記帯を横断する溝が形成されている、配線基板である。
【発明の効果】
【0039】
以上のような本発明によれば、接続端子同士を良好に接続することができる、配線基板の接続方法等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
(実施の形態1)
図1により、本発明の実施の形態1における配線基板を説明する。
【0042】
配線基板31aには、配線33aが複数併設されており、図中矢印で示す領域は、配線33aの端部により形成される接続端子34aであり、接続端子34aの線路長は0.9mmである。配線33aの幅は0.05mmで隣り合う配線33aとのスペース35aの幅は0.05mmである。したがって配線33aはピッチ0.1mmの配線ルールで形成される。
【0043】
それぞれの配線33aの接続端子34aは、接続端子34aの長手方向と直交する溝20aにより分割され、断続列状のパターンを形成する独立電極21aが形成されている。
【0044】
独立電極21aの線路長は0.3mmであり溝幅0.1mmの溝20aにより分断されることで、線路長0.9mmの接続端子34aの領域内に2つ形成されるようにした。ただし、この例は、あくまで一例であり、この寸法や形状に限定されない。独立電極21aの線路長、幅又は形状、若しくは数量、ならびに、溝20aの線路長、幅、又は形状は、接続基板の配線ルールや接続条件に合わせてその都度、具体的に決定することができる。
【0045】
なお、上記の構成において、配線基板31a又は31bは本発明の配線基板に相当し、接続端子34a又は35bは本発明の接続端子に相当し、溝20a又は20bは本発明の溝に相当する。
【0046】
次に、図2(a)及び、そのA−A直線断面図である図2(b)に示すように、配線基板31aのうち配線33aに設けた、独立電極21aと溝20aからなる接続端子34aの上に、導電性粒子16と気泡発生剤(不図示)を含有した流動体14を供給する。本実施の形態1における流動体14としては樹脂を用いた。なお、導電性粒子16、気泡発生剤の具体例は後述する。
【0047】
次に、図3(a)及び、そのA−A直線断面図である図3(b)に示すように、配線基板31aの上に流動体14を介して、接続対象である第2の配線基板31bを配置する。
第2の配線基板31bは、第1の配線基板31aと同一形状であり、接続端子34aと同一形状、同一寸法の接続端子34bを有する。
【0048】
具体的には、配線基板31bの接続端子34bを、配線基板31aの接続端子34aに対向させ、さらに、独立電極21aの中心線と、溝20bの中心線とが一致するように位置合わせして配置する。このとき配線基板31aと31bとは同一形状、同一寸法を有するので、独立電極21bの中心線と溝20aの中心線も同様に一致する。
【0049】
以上のように位置合わせすることで、溝20a、溝20b、スペース35a及びスペース35bは、流動体14を間に介して互いに連通した構成となる。
【0050】
なお、互いの独立電極の中心線と溝の中心線がそれぞれ重なり合うように配置するためには、独立電極の幅が溝の幅より大きくなる関係にする必要がある。
【0051】
図3(b)に示した状態で接続端子34a、34bを含む領域に集中して加熱すると、流動体14においては、図3(c)に示すように、流動体14中に含有する気泡発生剤から気泡30が発生する。本実施の形態1では、流動体14は、配線基板31bに形成した接続端子34bの独立電極21bに当接した状態で加熱される。
【0052】
又、配線基板31a上に形成された接続端子34aの独立電極21aと、配線基板31b上に形成された接続端子34bの独立電極21bとの間には、一定の隙間wが設けられており、当該一定の隙間wの寸法は、導電性粒子16の粒径よりも大きい。又、ここでは、配線基板31a及び配線基板31bは当該一定の隙間wを維持するように固定又は保持されており、この固定又は保持状態にて流動体14は加熱されている。
【0053】
又、図3(b)及び図3(c)に示すように、接続端子34aに供給された流動体14は、互いの配線基板31a、31bの端部間の表面張力によって接続端子34a、34bを含む領域に留めることができるので、この状態では、流動体14は当該領域を大きく超えて広がることは無い。
【0054】
次に、図3(d)及び図3(e)を参照して、気泡30発生後の過程について説明を続ける。
【0055】
図3(d)に示すように、流動体14は加熱により内部に気泡30を発生させる。加熱に応じて気泡30は成長する。又、流動体14内を動き廻る。これにより流動体14も移動する。
【0056】
詳細に述べると、加熱中の気泡30は、膨張により内圧が高くなると、より圧力が低い大気側に伸びるよう成長する、又は移動を開始する。
【0057】
ここで、上述したように、接続端子34aの独立電極21aと接続端子34bの溝20b、及び接続端子34bの独立電極21bと接続端子34aの溝20aは互いにそれぞれ独立電極の中心線と溝の中心線とがそれぞれ重なり合うように配置されているので、溝20a、溝20b及び隣り合う配線間のスペース35a、35bは互いに連通した構成となっている。気泡30はこれら溝及びスペース内にて成長、あるいは縦横に移動して、大気に排出される。言い換えれば、気泡30は、独立電極21a及び独立電極21bの周りに成長し、一部は残存し、一部は移動して、大気に排出される。
【0058】
気泡30の成長や動きによって移動する流動体14は、図3(e)に示すように、接続端子34aの独立電極21aとの界面、及び接続端子34bの独立電極21bとの界面に柱状に集合する。それとともに、流動体14中の導電性粒子16は、独立電極21a及び独立電極21b上に集合する。
【0059】
次に、流動体14をさらに加熱すると、図3(f)に示すように、流動体14中に含有する導電性粒子16が溶融し、その結果、導電性粒子16の自己集合が完了する。つまり、独立電極21aと独立電極21bの間に溶融した導電性粒子より接続される。
【0060】
次に、加熱を停止して冷却することで溶融した導電性粒子は固化する。これにより、接続端子34aと接続端子34bは完全に接続される。
【0061】
最後に、固化した導電性粒子を除く流動体14を残しておいても構わないが、接続後、微小な導電性粒子が流動体14上に残渣として残る場合もあるので、信頼性の面を考慮して、図3(g)に示すように、残渣と一緒に流動体14を除去することも好適である。
【0062】
以上の動作においては、接続端子34a及び35bにそれぞれ溝20a、20bを設け、接続端子34aの独立電極21a・溝20a及び接続端子34bの独立電極21b・溝20bは互いに独立電極の中心と溝の中心がそれぞれ重なり合うように位置合わせした配置を行うことにより、流動体14の自己集合を独立電極21a、21b上で正確に行わせることが可能となっている。
【0063】
この原理について本発明者が見いだした、従来の配線基板における導電性粒子としてのはんだ粉の形成異常が形成される理由を説明しつつ、以下に説明する。
【0064】
図16(a)及び図17に示した、移動したはんだ粉が溶融して隣の配線とショートする現象には、以下の理由により生ずると考えられる。すなわち、塗布した流動体としての樹脂を加熱した際に、樹脂中に含有する気泡発生剤から気泡が発生し、これが樹脂を移動させる。図1及び2にて説明したメカニズムによって樹脂は接続端子34a、34bにも集合するが、ある程度の量集合すると、図16(a)のA−A直線部分断面図である図16(b)に示すように、樹脂は対向する端子の間で柱を形成する。この柱は配線33a及び32bに沿った壁面として形成されることとなり、気泡はこの壁面を超えて成長又は移動し難くなる。
【0065】
したがって、配線33a及び33b上に樹脂による壁面が形成された以後の気泡の成長の向き、又は移動の向きは、図4(b)に示すように、接続端子33aで囲われたスペース35aの長手方向のみに限定されることになる。また、気泡が生ずる領域が細い矩形状の空間であるため、気泡の圧力も増大する。
【0066】
これらの原因により、本来電極35a上に集合すべき樹脂も、気泡の成長又は移動にともない、接続領域外まで押し出されことにより、図16(a)に示すような樹脂の漏れが発生するものと考えられる。
【0067】
洩れた樹脂に含まれたはんだ粉は、接続領域外の接続配線にて集合し、溶融固化する。
【0068】
一方、本来、接続端子で集合すべきはんだ粉が押し出されることにより、接続端子33a上に形成されるべきはんだの量に不足が生じることで、接続基板間に未接続の部位が生じたものと考えられる。これは、樹脂を集合させる気泡と接続端子34aの界面に当たる配線33a上の領域が、図中斜線部にて示す配線33aの長手方向に限定されることも一因と考えられる。
【0069】
以上の不具合に対し、本実施の形態においては、上述した構成としたことにより、気泡が成長、又は移動可能な領域は、図4(a)に示すように、スペース35aに加えて、スペース35aに直交する溝20aを加えた領域となっている。
【0070】
スペース35a及び溝20aの最外部は外部と連通することから、外部と気泡の内圧の差に基づき、気泡はスペース35a及び溝20aに沿って図中矢印方向に成長又は移動することが可能となる。又、外部との連通箇所が増加することにより、圧力差は小さくなり、過剰な勢いで気泡が成長、移動することはない。さらに、、樹脂を集合させる気泡と接続端子34aの界面に当たる独立電極21a上の領域は、図4(a)中斜線部にて示す縦方向及び横方向に拡大する。
【0071】
これらの原因により、外部へ漏れる流動体14の量は低減されることとなり、流動体14は気泡の成長や移動に伴いその大部分が独立電極21a上に自己集合されることとなる。したがって、隣り合う配線・接続端子のショートや、接続端子の未接続などの課題が解決出来ることになり、均一性に優れ、かつ、生産性の高い配線基板同士の電気接続を行うことができる。
【0072】
ここで、本実施の形態1に使用する流動体14、導電性粒子16、及び気泡発生剤は、本発明の導電性接合体、導電性粒子、気泡発生剤にそれぞれ対応するが、その具体的な組成によって特に限定されない。しかしながら、それぞれ、以下のような材料を使用することができる。
【0073】
流動体14としては、室温から導電性粒子16の溶融温度の範囲内において、流動可能な程度の粘度を有するものであればよく、又、加熱することによって流動可能な粘度に低下するものも含む。代表的な例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエステルエストラマ、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂等の熱可塑性樹脂、又は光(紫外線)硬化樹脂等、あるいはそれらを組み合わせた材料を使用することができる。樹脂以外にも、高沸点溶剤、オイル等も使用することができる。
【0074】
又、導電性粒子16及び気泡発生剤としては、図5及び図6に示すような材料から適宜組み合わせて使用することができる。なお、導電性粒子16の融点を、気泡発生剤の沸点よりも高い材料を用いれば、流動体14を加熱して気泡発生剤から気泡を発生させて、流動体を自己集合させた後、さらに、流動体14を加熱して、自己集合した流動体中の導電性粒子を溶融させ、導電性粒子同士を金属結合させることができる。
【0075】
又、気泡発生剤は、沸点の異なる2種類以上の材料からなるものであってもよい。沸点が異なれば、気泡の発生、及び成長するタイミングに差が生じ、その結果、気泡の成長による流動体14の移動が、段階的に行なわれるので、流動体14の自己集合過程が均一化され、これにより、安定して配線基板接続を行うことができる。
【0076】
なお、気泡発生剤としては、図6に挙げた材料以外に、流動体14が加熱されたときに、気泡発生剤が熱分解することにより気泡を発生する材料も使用することができる。そのような気泡発生剤としては、図7に挙げた材料を使用することができる。例えば、結晶水を含む化合物(水酸化アルミニウム)を使用した場合、流動体14が加熱されたときに熱分解し、水蒸気が気泡となって発生する。
【0077】
又、以上の工程を示す各図においては、供給する流動体14の量は誇張して示したものであり、実際には、接続端子34a、34bの間に自己集合するのに好適な量、及び誤差を考慮した量が供給される。
【0078】
又、接続端子34a上に供給される流動体(例えば、樹脂)14の体積(VB)中に含有される導電性粒子16の全てが、独立電極21aと独立電極21bの接続に寄与したとすると、接続部の総体積(VA)と、流動体14の体積(VB)とは以下のような関係式(1)が成り立つ。
【0079】
【数2】
ここで、SAは独立電極21aの総面積、SBは接続端子34aの面積をそれぞれ表す。これにより、流動体14中に含まれる導電性粒子16の含有量は、以下のような式(2)で表される。
【0080】
【数3】
よって、流動体14中に含まれる導電性粒子16の最適な含有量は、概ね、以下のような式(3)に基づいて設定することができる。
【0081】
【数4】
なお、上記パラメータ(±α)は、導電性粒子16が独立電極21aと21bの間に自己集合する際の過不足分を調整するためのもので、種々の条件により決めることができる。
【0082】
式(3)により、流動体14中に分散する導電性粒子16は、0.5〜30体積%の割合で流動体14中に含有していれば足りることになる。なお、一般に、導電性粒子16と流動体14との重量比は約7程度なので、上記0.5〜30体積%の割合は、概ね4〜75重量%の割合に相当する。
【0083】
なお、上述した実施の形態1では、接続端子34a上に流動体14を供給した後、接続端子34bを配置したが、それに限らず、先に、接続端子34aの独立電極21aの中心線と接続端子34bの溝20bの中心線とを一致させ、かつ隙間wを生じるようにあらかじめ対向配置しておき、その後に導電性粒子16と気泡発生剤を含有した流動体14を、この隙間wに供給するようにしてもよい。要するに、接続基板同士の位置合わせを行う工程と、流動体14を供給する工程の順序によって本発明は限定されるものではない。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における配線基板を説明する。
【0084】
図8(a)は、配線基板の平面図、図8(b)は、図8(a)のA−A直線断面図である。
【0085】
各図に示すように、本実施の形態の配線基板41aは、接続端子44aが、配線層を一部残した配線33a上の凹部を溝120aとして有することを特徴とする。
【0086】
さらに、配線33aが複数併設されており、図中矢印で示す領域は、配線33aの端部により形成される接続端子44aであり、接続端子44aの線路長は0.9mmである。配線33aの幅は実施の形態1と同様0.05mmであり、隣り合う配線33aとのスペース35aの幅は0.05mmである。したがって配線33aはピッチ0.1mmの配線ルールで形成される。
【0087】
それぞれの配線33aの接続端子44aは溝120aによって表面のみ分離した電極パターン121aが形成されている。
【0088】
電極パターン121aをなす個別の電極表面の線路長は0.3mmであり溝幅0.1mmの溝20aにより分離することで、線路長0.9mmの接続端子34aの領域内に2つ形成されるようにした。
【0089】
図8(c)は、電極パターン121aの表面を配線33aの表面よりも高く形成した例である。接続端子44aを含む領域において、選択的にメッキ処理を施して配線33a上に電極パターン121aを形成したものである。ここで、メッキ処理を施さなかった部分が凹部としての溝120aとなる。
【0090】
又、配線33a上に電極パターン121aを形成する方法としては、メッキ処理のほかに、スパッタリング・蒸着などの方法を用いてもよい。
【0091】
ただし、図8(a)〜8(c)に示した例は、あくまで一例であり、この寸法や形状に限定されない。電極パターン121aの寸法・形状及び数量(電極パターン121aを構成する各電極形状の線路長、幅、形状及び個数)、ならびに、溝120aの寸法・形状・深さは、配線ルール・接続条件に合わせてその都度、具体的に決定することができる。
【0092】
図8(d)は、以上のような配線基板を一組用いて接続する状態を説明するための図であり、配線基板41aと同一形状であり、接続端子44aと同一形状、同一寸法の接続端子44bを有する配線基板41bを用意し、これと配線基板41aとを接続する例を示すものである。
【0093】
接続端子44aの上には導電性粒子と気泡発生剤を含有した流動体14が供給されており、一方の独立した電極パターン121bと溝120bからなる接続端子44bが対向するように配置されている。接続端子44aの電極パターン121aの個々の電極の中心線と、溝120bの中心線とが一致するように位置合わせして配置することにより、溝120a、溝120b、スペース35a及びスペース35bは、流動体14を間に介して互いに連通した構成となる。
【0094】
次に、流動体14を集中して加熱して、該流動体14中に含有する気泡発生剤から気泡を発生させる工程、気泡発生剤から発生した気泡によって導電性粒子を接続端子44a、44b上に自己集合させる工程により、配線基板41a、41bを接続する方法の説明は、本発明の実施の形態1と同様であるので省略する。
【0095】
本実施の形態2の配線基板の接続方法においても、流動体14の加熱により発生した気泡は溝及びスペースを縦横に成長する、又は移動して大気に排出される。これにより、スペースのみを気泡が移動して樹脂及び導電性粒子を接続領域以外に押し出すことがないので、流動体14は大部分が接続端子44a、44b上に自己集合されることとなり、隣り合う配線・接続端子のショートや、接続端子の未接続などの課題が解決出来る。
【0096】
なお、上記の構成において、配線基板41a又41bは本発明の配線基板に相当し、接続端子44a又は45bは本発明の接続端子に相当し、溝120a又は120bは本発明の溝に相当する。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における配線基板を説明する。
【0097】
本実施の形態3を図9に示す。配線基板41aは、図8(a)等に示す実施の形態2と同様の構成であり、詳細な説明は省略する。
【0098】
他方の配線基板31bは、図15に示す構成例と同様であり、接続端子34bの領域には溝を設けていない。
【0099】
これら配線基板41a及び31bを対向させ、位置合わせした場合でも、配線基板41aの接続端子44aには溝120aが設けられていることから、溝120aと、配線33a間のスペースは互いに連通した構成となっている。これにより、実施の形態1,2と同様、流動体14の加熱により発生した気泡は溝10a及び配線33aのスペース間を縦横に成長する、又は移動して大気に排出される。スペースのみを気泡が移動して樹脂及び導電性粒子を接続領域以外に押し出すことがないので、流動体14は大部分配線基板41aの電極パターン121aの電極と配線基板31bの接続端子34bの配線33bとの間の領域に自己集合させることができる。続いて、自己集合した流動体14中に含有する導電性粒子を溶融させることによって、当該領域にて溶融した導電性粒子からなる接続を自己整合的に形成することができ、生産性の高い配線基板の電気接続を行うことができる。
【0100】
なお、上記の説明においては、溝のない配線基板31aは、実施の形態2の配線基板41aと対向させるものとして説明を行ったが、実施の形態1の配線基板31aと対向させるものとしてもよい。溝の深さがより深いため、溝方向における気泡の成長又は移動を促進し、より効果的に電極上に流動体14を集積できる効果がある。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4における配線基板の接続方法及び配線基板を説明する。
【0101】
本実施の形態4では、導電性粒子を含む熱硬化性樹脂のフィルムを一方の配線基板の接続端子に貼り、その上からもう一方の配線基板の接続端子を重ねて加圧加熱し、対向する接続端子間に導電性粒子が挟まれることで電気導通を得る方法について説明する。
【0102】
図10(a)は、配線基板の平面図、図10(b)は図10(a)のA−A直線断面図である。
【0103】
各図に示すように、配線基板51aは、接続端子54aが、配線層を一部残した配線33a上の凹部として形成された溝220aを有することを特徴とする。
【0104】
さらに、配線33aが複数併設されており、図中矢印で示す領域がその接続端子54aであり、その線路長は0.9mmである。配線33aの幅は他の実施の形態と同様0.05mmであり、隣り合う配線とのスペース35aは0.05mmである。したがって配線33はピッチ0.1mmの配線ルールで形成される。
【0105】
それぞれの配線33aの接続端子54aは溝220aにより表面によって表面のみ分離した電極パターン221aが形成されている。
【0106】
電極パターン221aをなす個別の電極表面の線路長は0.1mmであり、溝幅0.05mmの溝220aにより分離することで、線路長0.9mmの接続端子54aの領域内に8つ形成されるようにした。
【0107】
ただし、図10(a)及び10(b)に示した例は、あくまで一例であり、この寸法や形状に限定されない。電極パターン221aの寸法・形状及び数量(電極パターン221aを構成する各電極形状の線路長、幅、形状及び個数)、ならびに、溝120aの寸法・形状・深さは、配線ルール・接続条件に合わせてその都度、具体的に決定することができる。
【0108】
図10(c)は、以上のような配線基板を一組用いて接続する状態を説明するための図であり、配線基板51aと同一形状であり、接続端子54aと同一形状、同一寸法の接続端子54bを有する配線基板51bを用意し、これと配線基板51aとを接続する例を示すものである。
【0109】
図10(c)において、フィルム15は異方性導電材料である導電性粒子を含む熱硬化性樹脂のフィルムであり、配線基板51aの接続端子54a上に仮固定されている。フィルム15を仮固定した状態で基板同士を挟み込むと、気泡がフィルム15との接続界面に混入することが多々ある。
【0110】
このとき、接続端子54aの電極パターン221aの個々の電極の中心線と、溝220bの中心線とが一致するように位置合わせして配置する。
【0111】
図10(d)は、フィルム15に集中的に熱を加えながら、接続端子54a及び54bを加圧している状態を示す。フィルム15は加熱により熱硬化性樹脂が軟化するとともに、加圧されるので、薄くなる。このとき、フィルム15に含有した導電性粒子40は、接続端子54aと接続端子54b間に挟まれ、互いに強く接触する。
【0112】
この加圧工程中に混入した気泡は、フィルム15が軟化すると、溝220a、220b及び配線33a間のスペースに流動する動きに連れて外部へ排出される。さらに、フィルム15に内存及び、加熱により発生した気泡も、同様に排出される。このことから、導電性接合体としてフィルム15を用いた場合でも、実施の形態1〜3と同様、接続端子間に気泡が残存することが解消できる。
【0113】
さらに、加熱加圧状態を維持して熱硬化性樹脂を硬化させた後、加熱部を冷却してすることで、配線基板の接続ができる。
【0114】
なお、上記の説明においては、導電性粒子を含む熱硬化性樹脂のフィルムを用いた例で説明したが、本発明の導電性接合体としては、導電性粒子を含む熱硬化性樹脂のペーストであっても同様な効果が得られる。
【0115】
これにより、従来の、フィルムと端子電極界面に混入した気泡が吸湿・加熱により膨張することで導電性粒子と端子電極との点接触部が剥離して電気接続が不安定になったり、オープンし易いなどの信頼性の課題をも解決できる。
【0116】
なお、上記の構成において、配線基板51a又51bは本発明の配線基板に相当し、接続端子54a又は55bは本発明の接続端子に相当し、溝220a又は220bは本発明の溝に相当する。
【0117】
又、上記の実施の形態2〜4においては、溝120a、220a等は、配線上にメッキ処理のほかに、スパッタリング・蒸着などによって電極パターン121a、221a等を形成することにより作成したが、これは本発明の溝の凹部は当該電極パターンの反転形状に対応する。しかしながら、本発明の溝の凹部は、配線上にエッチング等により直接凹みを形成することにより形成してもよい。要するに、凹部は、その形成方法によって限定されるものではない。
【0118】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、いずれの実施の形態においても、接続端子領域を集中して加熱するので、能動部品や受動部品などの実装済み部品には、加熱による熱ダメージを与えないと言う利点もある。
【0119】
又、以上のような本発明は、配線基板としてフレキシブルプリント基板(FPC)、硬質基板、リジッドフレックス基板等を用いることができ、これら各基板同士の接続に好適である。
【0120】
なお、上記の各実施の形態においては、溝はいずれも帯状の接続端子と直交して設けるものとして説明したが、斜行して設けるようにしてもよい。又、溝は等間隔に形成されるものとして説明したが、不均等な間隔で形成するようにしてもよい。要するに、各接続端子間のスペースが外部まで連通することができるような構成をつくることができるものであれば、本発明の溝は、その具体的な形状によって限定されるものではない。
【0121】
又、上記の各実施の形態においては、各配線基板において、それぞれの接続端子毎に溝を設けるものとして説明を行ったが、少なくとも一部の接続端子にのみ溝を設けるような構成としてもよい。各接続端子間のスペースが外部まで連通できる、又は連通しているに等しい状態を作り出すことができれば、本発明の溝は、各接続端子後の配置の個数によって限定されるものではない。
【0122】
又、上記の各実施の形態においては、本発明の配線基板の接続方法を中心に説明を行ったが、当該方法にて用いられる配線基板も、本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明にかかる配線基板の接続方法等は、接続端子同士を良好に接続することができる効果を有し、配線基板と配線基板を電気的に接続する配線基板の接続方法及びそれに用いる配線基板等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法に用いる配線基板の構成図
【図2】(a)本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法を説明するための工程を示す平面図(b)図2(a)のA−A直線断面図
【図3(a)】本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法を説明するための平面図
【図3(b)】図3(a)のA−A直線断面図
【図3(c)】図3(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図3(d)】図3(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図3(e)】図3(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図3(f)】図3(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図3(g)】図3(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図4】(a)本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法の原理を説明するための模式図(b)本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法の原理に対比する分析を説明するための模式図
【図5】本発明の各実施の形態に係る導電性粒子の材料の一例を示す図
【図6】本発明の各実施の形態に係る気泡発生剤の材料の一例を示す図
【図7】本発明の各実施の形態に係る気泡発生剤粉の材料の一例を示す図
【図8(a)】本発明の実施の形態2の配線基板の接続方法を説明するための平面図
【図8(b)】図8(a)のA−A直線断面図
【図8(c)】図8(a)のA−A直線断面図に対応する位置における本発明の実施の形態2の配線基板の接続方法に用いる配線基板の他の例を示す図
【図8(d)】図8(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態2の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図9】本発明の実施の形態3の配線基板の接続方法を説明するための断面図
【図10(a)】本発明の実施の形態4の配線基板の接続方法を説明するための平面図
【図10(b)】図10(a)のA−A直線断面図
【図10(c)】図10(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態4の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図10(d)】図10(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態4の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図11】(a)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図(b)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図(c)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図(d)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図
【図12】(a)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図(b)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図(c)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図(d)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図
【図13】(a)樹脂の自己集合のメカニズムを説明するための図(b)樹脂の自己集合のメカニズムを説明するための図
【図14】樹脂の自己集合を利用して配線基板同士を接続する方法を説明するための図
【図15】(a)樹脂の自己集合を利用して配線基板同士を接続する方法を説明するための平面図(b)図15(a)のA−A直線断面図
【図16】(a)樹脂とはんだ粉が接続領域から押し出された状態を示す図(b)樹脂とはんだ粉が接続領域から押し出される原理を説明するための図
【図17】はんだ粉が集合した後に、溶融固化した状態を説明するための図
【符号の説明】
【0125】
14 流動体
16 導電性粒子
20a、20b 溝
21a、21b 独立電極
30 気泡
31a、31b 配線基板
33a、33b 配線
34a、34b 接続端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板と配線基板を電気的に接続する配線基板の接続方法及びそれに用いる配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に電子部品を実装するフリップチップ実装においては、配線端子上にバンプを形成する。配線端子上にバンプを形成する技術として、近年、従来のソルダーペースト法やスーパーソルダー法等の技術と呼ばれる技術に代えて、配線端子上に、導電性粒子(例えば、はんだ粉)を自己集合させて、バンプを形成する方法、あるいは、配線基板と半導体チップの電極間に導電性粒子を自己集合させて、電極間に接続体を形成し、フリップチップ実装する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
図11(a)〜(d)、及び図12(a)〜(d)は、導電性粒子を自己集合させるバンプ形成の技術を説明するための図である。
【0004】
まず、図11(a)に示すように、複数のパッド電極32を有する基板31上に、はんだ粉116と気泡発生剤(不図示)を含有した樹脂114を供給する。次に、図11(b)に示すように、樹脂114表面に、平板140を配設する。
【0005】
この状態で、樹脂114を加熱すると、図11(c)に示すように、樹脂114中に含有する気泡発生剤から気泡30が発生する。そして、図11(d)に示すように、樹脂114は、発生した気泡30が成長することで気泡外に押し出される。
【0006】
押し出された樹脂114は、図12(a)に示すように、基板31のパッド電極32との界面、及び平板140との界面に柱状に自己集合する。なお、基板31の縁部に存在する樹脂114の一部は基板31の外縁から外部に押し出されることになる(図示省略)。
【0007】
次に、樹脂114をさらに加熱すると、図12(b)に示すように、樹脂114中に含有するはんだ粉116が溶融し、パッド電極32上に自己集合した樹脂114中に含有するはんだ粉116同士が溶融結合する。
【0008】
パッド電極32は、溶融結合したはんだ粉116に対して濡れ性が高いので、図12(c)に示すように、パッド電極32上に溶融はんだ粉よりなるバンプ19を形成する。最後に、図12(d)に示すように、樹脂114と平板140を除去することにより、パッド電極32上にバンプ19が形成された基板31が得られる。なお、以上の工程においては、供給する樹脂114の量は誇張して示したものであり、実際には、パッド電極32上に自己集合するのに好適な量、及び誤差を考慮した量の樹脂114が供給される。
【0009】
この方法の特徴は、基板31と平板140の隙間に供給された樹脂114を加熱することによって、気泡発生剤から気泡30を発生させ、気泡30が成長することで樹脂114を気泡外に押し出すことにより、はんだ粉116を含んだまま樹脂114を基板31のパッド電極32と平板140との間に自己集合させる点にある。
【0010】
樹脂114がパッド電極32上に自己集合する現象は、図13(a)、(b)に示すようなメカニズムで起きているものと考えられる。
【0011】
図13(a)は、樹脂114が、成長した気泡(不図示)によって、基板31のパッド電極32上に押し出された状態を示した図である。パッド電極32に接した樹脂114は、その界面における界面張力(いわゆる樹脂の濡れ広がりに起因する力)Fsが、樹脂の粘度ηから発生する応力Fηよりも大きいので、パッド電極32の全面に亙って広がり、最終的に、パッド電極32の端部を境とした柱状樹脂が、パッド電極32と平板140間に形成される。
【0012】
なお、パッド電極32上に自己集合して形成された柱状の樹脂114には、図13(b)に示すように、気泡30の成長(又は移動)による応力Fbが加わるが、樹脂114の粘度ηによる応力Fηの作用により、その形状を維持することができ、一旦自己集合した樹脂114が消滅することはない。
【0013】
ここで、自己集合した樹脂114が一定の形状を維持できるかどうかは、上記界面張力Fsの他に、パッド電極32の面積S及びパッド電極32と平板140との隙間の距離Lや、樹脂114の粘度ηにも依存する。樹脂114を一定形状に維持させる目安をTとすると、定性的には、以下のような関係が成り立つものと考えられる。
【0014】
【数1】
上記の説明のように、この方法は、樹脂114の界面張力による自己集合を利用して、パッド電極32上に樹脂114を自己整合的に形成するものであるが、かかる界面張力による自己集合は、基板31表面に形成されたパッド電極32が凸状に形成されているが故に、基板31と平板140間に形成されたギャップの中で、基板31と平板140との間よりも狭くなっている、平板140とパッド電極32との間で起きる現象を利用したものと言える。
【0015】
上記の方法を用いると、樹脂114中に分散したはんだ粉を効率良く電極上に自己集合させることができ、又、均一性に優れ、かつ、生産性の高いバンプ形成が実現できる。又、樹脂中に分散したはんだ粉を、樹脂が供給された基板上の複数の電極上に分け隔てなく自己集合させることができるので、上記の方法は、樹脂が供給された配線基板上の全ての電極上に一括してバンプを形成する際に特に有用である。
【特許文献1】国際公開WO2006/103949号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上のような樹脂を自己集合させることにより電極にはんだ粉を自己集合させる技術は、バンプ形成のみならず、他の用途に用いることが考えられる。
【0017】
そのような用途として、本発明者は、基板同士の接続に当該技術を利用することを見いだした。
【0018】
とりわけ、携帯電話やデジタルカメラなどの電子機器の内部配線には、薄くて折り曲げ可能なフレキシブルプリント基板(以下、FPCと記す)が多く使用されている。近年、携帯機器の小型化や可動部の増加にともない、FPCの使用比率が高まっている。メインボードに使用される硬質基板にFPCを接続する場合、コネクタ接続が一般的であり、FPCを繰り返して脱着出来ることが大きなメリットである。脱着の必要性がない場合でも容易に基板間接続が出来る利点がある。しかしながら、コネクタが占める三次元的なスペースが機器の小型化・薄型化に対して障害となる。また現行のコネクタの最小ピッチは0.3mmのものが主流で、それよりも狭ピッチの電極端子接続が困難である。
【0019】
一方、硬質基板とFPCを完全に一体化したリジッドフレックス基板も存在する。リジッドフレックス基板は、FPCが硬質基板の内層に挟まれるため外周に接続部を必要としない利点があるが、製造工程が長く、特に層数の異なる硬質基板の組み合わせでは工程が複雑となる。
【0020】
こうした中、最近では、別々の硬質基板の間をFPCで接続すると、リジッドフレックス基板と同等の構造の配線基板を製造することができる。リジッドフレックス基板と比較して工程を簡略化することができ、また配線基板の外形や構造が制約されることが少ない。
【0021】
そこで、かかる狭ピッチの電極端子を有する配線基板同士の接続に上記の技術を用いることは有効と考えられる。
【0022】
一方、本発明者は、上記方法を応用して配線基板と配線基板を接続する方法を検討している際に、以下のような現象をも見いだした。以下、その現象について説明する。
【0023】
図14に、接続検討する際に用いた配線基板を示す。配線基板31aには、帯状の配線33aが複数併設されることにより、図中矢印で示す領域に接続端子34aを形成する。配線33aの幅は0.05mmで隣り合う配線とのスペース35aは0.05mmであり、ピッチ0.1mmの配線ルールである。図14に示した配線基板31aの接続端子34aの中央部に、はんだ粉と気泡発生剤(不図示)を含有した樹脂114を適量塗布する。
【0024】
次に、図15(a)において、一方の配線基板31bを重ね合わせた状態を示している。図15(b)は、図15(a)のA−A直線断面図である。配線基板31bには配線基板31aと同寸法で配線33bが配置され、互いの接続端子34aと接続端子34bが対向し、互いに重なり合っている。この状態で、その塗布した樹脂114を加熱すると、接続端子34aと接続端子34bとが重なる領域にはんだ粉が自己集合した後、溶融固化することで配線基板31aと配線基板31bが接続されることが期待される。
【0025】
しかしながら、実際に加熱を行った場合、図16(a)に示すように、接続端子34aと34bとが重なる領域以外にまで、樹脂114及びはんだ粉が大きく移動した。特に、接続端子34a及び34bに隣接するスペース35a及びスペース35bへの樹脂114及びはんだ粉の移動が顕著であった。
【0026】
図17は、移動、集合したはんだ粉が溶融固化した状態を示している。光学顕微鏡観察においては、移動したはんだ粉が溶融して、隣の接続端子とショートした部位16aや、ショートに至らなくても接続領域外の配線に集合した部位16bが観察された。さらに、X線透視観察をすると、接続端子のはんだが不足した部位16cや、未接続の部位16dが観察され、全てのはんだ粉が接続端子34aと34bとが重なる領域に集合することはなかった。
【0027】
このように、微細な帯状の接続端子を併設してなる配線基板同士を、はんだ粉等の導電性粒子を電極上に自己集合させることにより接続するためには、上述の不具合を解消する必要があることが分かった。
【0028】
本発明は、以上を鑑みてなされたものであり、接続端子同士を良好に接続することができる、配線基板の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記の目的を達成するために、第1の本発明は、他の基板との接続用の帯状の接続端子を有する配線基板同士を接続する配線基板の接続方法であって、
前記接続端子同士が、導電性接合体を間に挟んだ状態で対向するように、前記配線基板同士を位置合わせする工程と、
前記導電性接合体を加熱し、その後冷却して、前記接続端子同士を固着する工程とを備え、
前記導電性接合体は、加熱により気泡を生ずる材料であり、
前記接続端子は、それぞれの前記配線基板に複数併設されており、
少なくとも一方の前記配線基板の少なくとも1つの前記接続端子には、前記帯状の前記接続端子を横断する溝が形成されている、配線基板の接続方法である。
【0030】
また、第2の本発明は、前記溝は前記配線基板の表面まで達する深さを有し、
前記接続端子は前記溝により分離され断続的に前記配線基板の表面上に形成されている、第1の本発明の配線基板の接続方法である。
【0031】
また、第3の本発明は、前記溝は前記接続端子上の凹部として形成されており、
前記接続端子は連続的に前記配線基板の表面上に形成されている、第1の本発明の配線基板の接続方法である。
【0032】
また、第4の本発明は、前記溝は前記接続端子の長手方向と直交するように設けられており、
前記位置合わせの状態において、
対向する一方の前記接続端子の前記溝と、
他方の前記接続端子の前記溝が形成されていない部分と、
が対向している、第1の本発明の配線基板の接続方法である。
【0033】
また、第5の本発明は、前記溝は、対向する双方の前記接続端子のそれぞれに形成されており、
前記溝は前記接続端子上にて等間隔に設けられており、
前記位置合わせの状態において、
対向する一方の前記接続端子の少なくとも1つの前記溝の中心線と、
対向する他方の前記接続端子の、少なくとも2つの前記溝で挟まれる前記部分の中心線と、
が一致している、第4の本発明の配線基板の接続方法である。
【0034】
また、第6の本発明は、前記溝の幅は、前記接続端子の前記部分の長さより短い、第4又は第5の本発明の配線基板の接続方法である。
【0035】
また、第7の本発明は、前記導電性接合体は、導電性粒子と気泡発生剤を含有した流動体であり、
前記流動体は、加熱により沸騰又は熱分解することにより気体を発生させる材料を含む、第1から第6のいずれかの本発明の配線基板の接続方法である。
【0036】
また、第8の本発明は、前記位置合わせは、前記導電性接合体の前記導電性粒子の粒径よりも広い間隔をとって行う、第7の本発明の配線基板の接続方法である。
【0037】
また、第9の本発明は、前記導電性接合体は、異方性導電材料である、第1から第6のいずれかの本発明の配線基板の接続方法である。
【0038】
また、第10の本発明は、他の基板との、加熱により気泡を生ずる導電性接合体による接続用の、帯状の接続端子が複数併設されており、
少なくとも1つの前記接続端子には、前記帯を横断する溝が形成されている、配線基板である。
【発明の効果】
【0039】
以上のような本発明によれば、接続端子同士を良好に接続することができる、配線基板の接続方法等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
(実施の形態1)
図1により、本発明の実施の形態1における配線基板を説明する。
【0042】
配線基板31aには、配線33aが複数併設されており、図中矢印で示す領域は、配線33aの端部により形成される接続端子34aであり、接続端子34aの線路長は0.9mmである。配線33aの幅は0.05mmで隣り合う配線33aとのスペース35aの幅は0.05mmである。したがって配線33aはピッチ0.1mmの配線ルールで形成される。
【0043】
それぞれの配線33aの接続端子34aは、接続端子34aの長手方向と直交する溝20aにより分割され、断続列状のパターンを形成する独立電極21aが形成されている。
【0044】
独立電極21aの線路長は0.3mmであり溝幅0.1mmの溝20aにより分断されることで、線路長0.9mmの接続端子34aの領域内に2つ形成されるようにした。ただし、この例は、あくまで一例であり、この寸法や形状に限定されない。独立電極21aの線路長、幅又は形状、若しくは数量、ならびに、溝20aの線路長、幅、又は形状は、接続基板の配線ルールや接続条件に合わせてその都度、具体的に決定することができる。
【0045】
なお、上記の構成において、配線基板31a又は31bは本発明の配線基板に相当し、接続端子34a又は35bは本発明の接続端子に相当し、溝20a又は20bは本発明の溝に相当する。
【0046】
次に、図2(a)及び、そのA−A直線断面図である図2(b)に示すように、配線基板31aのうち配線33aに設けた、独立電極21aと溝20aからなる接続端子34aの上に、導電性粒子16と気泡発生剤(不図示)を含有した流動体14を供給する。本実施の形態1における流動体14としては樹脂を用いた。なお、導電性粒子16、気泡発生剤の具体例は後述する。
【0047】
次に、図3(a)及び、そのA−A直線断面図である図3(b)に示すように、配線基板31aの上に流動体14を介して、接続対象である第2の配線基板31bを配置する。
第2の配線基板31bは、第1の配線基板31aと同一形状であり、接続端子34aと同一形状、同一寸法の接続端子34bを有する。
【0048】
具体的には、配線基板31bの接続端子34bを、配線基板31aの接続端子34aに対向させ、さらに、独立電極21aの中心線と、溝20bの中心線とが一致するように位置合わせして配置する。このとき配線基板31aと31bとは同一形状、同一寸法を有するので、独立電極21bの中心線と溝20aの中心線も同様に一致する。
【0049】
以上のように位置合わせすることで、溝20a、溝20b、スペース35a及びスペース35bは、流動体14を間に介して互いに連通した構成となる。
【0050】
なお、互いの独立電極の中心線と溝の中心線がそれぞれ重なり合うように配置するためには、独立電極の幅が溝の幅より大きくなる関係にする必要がある。
【0051】
図3(b)に示した状態で接続端子34a、34bを含む領域に集中して加熱すると、流動体14においては、図3(c)に示すように、流動体14中に含有する気泡発生剤から気泡30が発生する。本実施の形態1では、流動体14は、配線基板31bに形成した接続端子34bの独立電極21bに当接した状態で加熱される。
【0052】
又、配線基板31a上に形成された接続端子34aの独立電極21aと、配線基板31b上に形成された接続端子34bの独立電極21bとの間には、一定の隙間wが設けられており、当該一定の隙間wの寸法は、導電性粒子16の粒径よりも大きい。又、ここでは、配線基板31a及び配線基板31bは当該一定の隙間wを維持するように固定又は保持されており、この固定又は保持状態にて流動体14は加熱されている。
【0053】
又、図3(b)及び図3(c)に示すように、接続端子34aに供給された流動体14は、互いの配線基板31a、31bの端部間の表面張力によって接続端子34a、34bを含む領域に留めることができるので、この状態では、流動体14は当該領域を大きく超えて広がることは無い。
【0054】
次に、図3(d)及び図3(e)を参照して、気泡30発生後の過程について説明を続ける。
【0055】
図3(d)に示すように、流動体14は加熱により内部に気泡30を発生させる。加熱に応じて気泡30は成長する。又、流動体14内を動き廻る。これにより流動体14も移動する。
【0056】
詳細に述べると、加熱中の気泡30は、膨張により内圧が高くなると、より圧力が低い大気側に伸びるよう成長する、又は移動を開始する。
【0057】
ここで、上述したように、接続端子34aの独立電極21aと接続端子34bの溝20b、及び接続端子34bの独立電極21bと接続端子34aの溝20aは互いにそれぞれ独立電極の中心線と溝の中心線とがそれぞれ重なり合うように配置されているので、溝20a、溝20b及び隣り合う配線間のスペース35a、35bは互いに連通した構成となっている。気泡30はこれら溝及びスペース内にて成長、あるいは縦横に移動して、大気に排出される。言い換えれば、気泡30は、独立電極21a及び独立電極21bの周りに成長し、一部は残存し、一部は移動して、大気に排出される。
【0058】
気泡30の成長や動きによって移動する流動体14は、図3(e)に示すように、接続端子34aの独立電極21aとの界面、及び接続端子34bの独立電極21bとの界面に柱状に集合する。それとともに、流動体14中の導電性粒子16は、独立電極21a及び独立電極21b上に集合する。
【0059】
次に、流動体14をさらに加熱すると、図3(f)に示すように、流動体14中に含有する導電性粒子16が溶融し、その結果、導電性粒子16の自己集合が完了する。つまり、独立電極21aと独立電極21bの間に溶融した導電性粒子より接続される。
【0060】
次に、加熱を停止して冷却することで溶融した導電性粒子は固化する。これにより、接続端子34aと接続端子34bは完全に接続される。
【0061】
最後に、固化した導電性粒子を除く流動体14を残しておいても構わないが、接続後、微小な導電性粒子が流動体14上に残渣として残る場合もあるので、信頼性の面を考慮して、図3(g)に示すように、残渣と一緒に流動体14を除去することも好適である。
【0062】
以上の動作においては、接続端子34a及び35bにそれぞれ溝20a、20bを設け、接続端子34aの独立電極21a・溝20a及び接続端子34bの独立電極21b・溝20bは互いに独立電極の中心と溝の中心がそれぞれ重なり合うように位置合わせした配置を行うことにより、流動体14の自己集合を独立電極21a、21b上で正確に行わせることが可能となっている。
【0063】
この原理について本発明者が見いだした、従来の配線基板における導電性粒子としてのはんだ粉の形成異常が形成される理由を説明しつつ、以下に説明する。
【0064】
図16(a)及び図17に示した、移動したはんだ粉が溶融して隣の配線とショートする現象には、以下の理由により生ずると考えられる。すなわち、塗布した流動体としての樹脂を加熱した際に、樹脂中に含有する気泡発生剤から気泡が発生し、これが樹脂を移動させる。図1及び2にて説明したメカニズムによって樹脂は接続端子34a、34bにも集合するが、ある程度の量集合すると、図16(a)のA−A直線部分断面図である図16(b)に示すように、樹脂は対向する端子の間で柱を形成する。この柱は配線33a及び32bに沿った壁面として形成されることとなり、気泡はこの壁面を超えて成長又は移動し難くなる。
【0065】
したがって、配線33a及び33b上に樹脂による壁面が形成された以後の気泡の成長の向き、又は移動の向きは、図4(b)に示すように、接続端子33aで囲われたスペース35aの長手方向のみに限定されることになる。また、気泡が生ずる領域が細い矩形状の空間であるため、気泡の圧力も増大する。
【0066】
これらの原因により、本来電極35a上に集合すべき樹脂も、気泡の成長又は移動にともない、接続領域外まで押し出されことにより、図16(a)に示すような樹脂の漏れが発生するものと考えられる。
【0067】
洩れた樹脂に含まれたはんだ粉は、接続領域外の接続配線にて集合し、溶融固化する。
【0068】
一方、本来、接続端子で集合すべきはんだ粉が押し出されることにより、接続端子33a上に形成されるべきはんだの量に不足が生じることで、接続基板間に未接続の部位が生じたものと考えられる。これは、樹脂を集合させる気泡と接続端子34aの界面に当たる配線33a上の領域が、図中斜線部にて示す配線33aの長手方向に限定されることも一因と考えられる。
【0069】
以上の不具合に対し、本実施の形態においては、上述した構成としたことにより、気泡が成長、又は移動可能な領域は、図4(a)に示すように、スペース35aに加えて、スペース35aに直交する溝20aを加えた領域となっている。
【0070】
スペース35a及び溝20aの最外部は外部と連通することから、外部と気泡の内圧の差に基づき、気泡はスペース35a及び溝20aに沿って図中矢印方向に成長又は移動することが可能となる。又、外部との連通箇所が増加することにより、圧力差は小さくなり、過剰な勢いで気泡が成長、移動することはない。さらに、、樹脂を集合させる気泡と接続端子34aの界面に当たる独立電極21a上の領域は、図4(a)中斜線部にて示す縦方向及び横方向に拡大する。
【0071】
これらの原因により、外部へ漏れる流動体14の量は低減されることとなり、流動体14は気泡の成長や移動に伴いその大部分が独立電極21a上に自己集合されることとなる。したがって、隣り合う配線・接続端子のショートや、接続端子の未接続などの課題が解決出来ることになり、均一性に優れ、かつ、生産性の高い配線基板同士の電気接続を行うことができる。
【0072】
ここで、本実施の形態1に使用する流動体14、導電性粒子16、及び気泡発生剤は、本発明の導電性接合体、導電性粒子、気泡発生剤にそれぞれ対応するが、その具体的な組成によって特に限定されない。しかしながら、それぞれ、以下のような材料を使用することができる。
【0073】
流動体14としては、室温から導電性粒子16の溶融温度の範囲内において、流動可能な程度の粘度を有するものであればよく、又、加熱することによって流動可能な粘度に低下するものも含む。代表的な例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエステルエストラマ、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂等の熱可塑性樹脂、又は光(紫外線)硬化樹脂等、あるいはそれらを組み合わせた材料を使用することができる。樹脂以外にも、高沸点溶剤、オイル等も使用することができる。
【0074】
又、導電性粒子16及び気泡発生剤としては、図5及び図6に示すような材料から適宜組み合わせて使用することができる。なお、導電性粒子16の融点を、気泡発生剤の沸点よりも高い材料を用いれば、流動体14を加熱して気泡発生剤から気泡を発生させて、流動体を自己集合させた後、さらに、流動体14を加熱して、自己集合した流動体中の導電性粒子を溶融させ、導電性粒子同士を金属結合させることができる。
【0075】
又、気泡発生剤は、沸点の異なる2種類以上の材料からなるものであってもよい。沸点が異なれば、気泡の発生、及び成長するタイミングに差が生じ、その結果、気泡の成長による流動体14の移動が、段階的に行なわれるので、流動体14の自己集合過程が均一化され、これにより、安定して配線基板接続を行うことができる。
【0076】
なお、気泡発生剤としては、図6に挙げた材料以外に、流動体14が加熱されたときに、気泡発生剤が熱分解することにより気泡を発生する材料も使用することができる。そのような気泡発生剤としては、図7に挙げた材料を使用することができる。例えば、結晶水を含む化合物(水酸化アルミニウム)を使用した場合、流動体14が加熱されたときに熱分解し、水蒸気が気泡となって発生する。
【0077】
又、以上の工程を示す各図においては、供給する流動体14の量は誇張して示したものであり、実際には、接続端子34a、34bの間に自己集合するのに好適な量、及び誤差を考慮した量が供給される。
【0078】
又、接続端子34a上に供給される流動体(例えば、樹脂)14の体積(VB)中に含有される導電性粒子16の全てが、独立電極21aと独立電極21bの接続に寄与したとすると、接続部の総体積(VA)と、流動体14の体積(VB)とは以下のような関係式(1)が成り立つ。
【0079】
【数2】
ここで、SAは独立電極21aの総面積、SBは接続端子34aの面積をそれぞれ表す。これにより、流動体14中に含まれる導電性粒子16の含有量は、以下のような式(2)で表される。
【0080】
【数3】
よって、流動体14中に含まれる導電性粒子16の最適な含有量は、概ね、以下のような式(3)に基づいて設定することができる。
【0081】
【数4】
なお、上記パラメータ(±α)は、導電性粒子16が独立電極21aと21bの間に自己集合する際の過不足分を調整するためのもので、種々の条件により決めることができる。
【0082】
式(3)により、流動体14中に分散する導電性粒子16は、0.5〜30体積%の割合で流動体14中に含有していれば足りることになる。なお、一般に、導電性粒子16と流動体14との重量比は約7程度なので、上記0.5〜30体積%の割合は、概ね4〜75重量%の割合に相当する。
【0083】
なお、上述した実施の形態1では、接続端子34a上に流動体14を供給した後、接続端子34bを配置したが、それに限らず、先に、接続端子34aの独立電極21aの中心線と接続端子34bの溝20bの中心線とを一致させ、かつ隙間wを生じるようにあらかじめ対向配置しておき、その後に導電性粒子16と気泡発生剤を含有した流動体14を、この隙間wに供給するようにしてもよい。要するに、接続基板同士の位置合わせを行う工程と、流動体14を供給する工程の順序によって本発明は限定されるものではない。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における配線基板を説明する。
【0084】
図8(a)は、配線基板の平面図、図8(b)は、図8(a)のA−A直線断面図である。
【0085】
各図に示すように、本実施の形態の配線基板41aは、接続端子44aが、配線層を一部残した配線33a上の凹部を溝120aとして有することを特徴とする。
【0086】
さらに、配線33aが複数併設されており、図中矢印で示す領域は、配線33aの端部により形成される接続端子44aであり、接続端子44aの線路長は0.9mmである。配線33aの幅は実施の形態1と同様0.05mmであり、隣り合う配線33aとのスペース35aの幅は0.05mmである。したがって配線33aはピッチ0.1mmの配線ルールで形成される。
【0087】
それぞれの配線33aの接続端子44aは溝120aによって表面のみ分離した電極パターン121aが形成されている。
【0088】
電極パターン121aをなす個別の電極表面の線路長は0.3mmであり溝幅0.1mmの溝20aにより分離することで、線路長0.9mmの接続端子34aの領域内に2つ形成されるようにした。
【0089】
図8(c)は、電極パターン121aの表面を配線33aの表面よりも高く形成した例である。接続端子44aを含む領域において、選択的にメッキ処理を施して配線33a上に電極パターン121aを形成したものである。ここで、メッキ処理を施さなかった部分が凹部としての溝120aとなる。
【0090】
又、配線33a上に電極パターン121aを形成する方法としては、メッキ処理のほかに、スパッタリング・蒸着などの方法を用いてもよい。
【0091】
ただし、図8(a)〜8(c)に示した例は、あくまで一例であり、この寸法や形状に限定されない。電極パターン121aの寸法・形状及び数量(電極パターン121aを構成する各電極形状の線路長、幅、形状及び個数)、ならびに、溝120aの寸法・形状・深さは、配線ルール・接続条件に合わせてその都度、具体的に決定することができる。
【0092】
図8(d)は、以上のような配線基板を一組用いて接続する状態を説明するための図であり、配線基板41aと同一形状であり、接続端子44aと同一形状、同一寸法の接続端子44bを有する配線基板41bを用意し、これと配線基板41aとを接続する例を示すものである。
【0093】
接続端子44aの上には導電性粒子と気泡発生剤を含有した流動体14が供給されており、一方の独立した電極パターン121bと溝120bからなる接続端子44bが対向するように配置されている。接続端子44aの電極パターン121aの個々の電極の中心線と、溝120bの中心線とが一致するように位置合わせして配置することにより、溝120a、溝120b、スペース35a及びスペース35bは、流動体14を間に介して互いに連通した構成となる。
【0094】
次に、流動体14を集中して加熱して、該流動体14中に含有する気泡発生剤から気泡を発生させる工程、気泡発生剤から発生した気泡によって導電性粒子を接続端子44a、44b上に自己集合させる工程により、配線基板41a、41bを接続する方法の説明は、本発明の実施の形態1と同様であるので省略する。
【0095】
本実施の形態2の配線基板の接続方法においても、流動体14の加熱により発生した気泡は溝及びスペースを縦横に成長する、又は移動して大気に排出される。これにより、スペースのみを気泡が移動して樹脂及び導電性粒子を接続領域以外に押し出すことがないので、流動体14は大部分が接続端子44a、44b上に自己集合されることとなり、隣り合う配線・接続端子のショートや、接続端子の未接続などの課題が解決出来る。
【0096】
なお、上記の構成において、配線基板41a又41bは本発明の配線基板に相当し、接続端子44a又は45bは本発明の接続端子に相当し、溝120a又は120bは本発明の溝に相当する。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における配線基板を説明する。
【0097】
本実施の形態3を図9に示す。配線基板41aは、図8(a)等に示す実施の形態2と同様の構成であり、詳細な説明は省略する。
【0098】
他方の配線基板31bは、図15に示す構成例と同様であり、接続端子34bの領域には溝を設けていない。
【0099】
これら配線基板41a及び31bを対向させ、位置合わせした場合でも、配線基板41aの接続端子44aには溝120aが設けられていることから、溝120aと、配線33a間のスペースは互いに連通した構成となっている。これにより、実施の形態1,2と同様、流動体14の加熱により発生した気泡は溝10a及び配線33aのスペース間を縦横に成長する、又は移動して大気に排出される。スペースのみを気泡が移動して樹脂及び導電性粒子を接続領域以外に押し出すことがないので、流動体14は大部分配線基板41aの電極パターン121aの電極と配線基板31bの接続端子34bの配線33bとの間の領域に自己集合させることができる。続いて、自己集合した流動体14中に含有する導電性粒子を溶融させることによって、当該領域にて溶融した導電性粒子からなる接続を自己整合的に形成することができ、生産性の高い配線基板の電気接続を行うことができる。
【0100】
なお、上記の説明においては、溝のない配線基板31aは、実施の形態2の配線基板41aと対向させるものとして説明を行ったが、実施の形態1の配線基板31aと対向させるものとしてもよい。溝の深さがより深いため、溝方向における気泡の成長又は移動を促進し、より効果的に電極上に流動体14を集積できる効果がある。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4における配線基板の接続方法及び配線基板を説明する。
【0101】
本実施の形態4では、導電性粒子を含む熱硬化性樹脂のフィルムを一方の配線基板の接続端子に貼り、その上からもう一方の配線基板の接続端子を重ねて加圧加熱し、対向する接続端子間に導電性粒子が挟まれることで電気導通を得る方法について説明する。
【0102】
図10(a)は、配線基板の平面図、図10(b)は図10(a)のA−A直線断面図である。
【0103】
各図に示すように、配線基板51aは、接続端子54aが、配線層を一部残した配線33a上の凹部として形成された溝220aを有することを特徴とする。
【0104】
さらに、配線33aが複数併設されており、図中矢印で示す領域がその接続端子54aであり、その線路長は0.9mmである。配線33aの幅は他の実施の形態と同様0.05mmであり、隣り合う配線とのスペース35aは0.05mmである。したがって配線33はピッチ0.1mmの配線ルールで形成される。
【0105】
それぞれの配線33aの接続端子54aは溝220aにより表面によって表面のみ分離した電極パターン221aが形成されている。
【0106】
電極パターン221aをなす個別の電極表面の線路長は0.1mmであり、溝幅0.05mmの溝220aにより分離することで、線路長0.9mmの接続端子54aの領域内に8つ形成されるようにした。
【0107】
ただし、図10(a)及び10(b)に示した例は、あくまで一例であり、この寸法や形状に限定されない。電極パターン221aの寸法・形状及び数量(電極パターン221aを構成する各電極形状の線路長、幅、形状及び個数)、ならびに、溝120aの寸法・形状・深さは、配線ルール・接続条件に合わせてその都度、具体的に決定することができる。
【0108】
図10(c)は、以上のような配線基板を一組用いて接続する状態を説明するための図であり、配線基板51aと同一形状であり、接続端子54aと同一形状、同一寸法の接続端子54bを有する配線基板51bを用意し、これと配線基板51aとを接続する例を示すものである。
【0109】
図10(c)において、フィルム15は異方性導電材料である導電性粒子を含む熱硬化性樹脂のフィルムであり、配線基板51aの接続端子54a上に仮固定されている。フィルム15を仮固定した状態で基板同士を挟み込むと、気泡がフィルム15との接続界面に混入することが多々ある。
【0110】
このとき、接続端子54aの電極パターン221aの個々の電極の中心線と、溝220bの中心線とが一致するように位置合わせして配置する。
【0111】
図10(d)は、フィルム15に集中的に熱を加えながら、接続端子54a及び54bを加圧している状態を示す。フィルム15は加熱により熱硬化性樹脂が軟化するとともに、加圧されるので、薄くなる。このとき、フィルム15に含有した導電性粒子40は、接続端子54aと接続端子54b間に挟まれ、互いに強く接触する。
【0112】
この加圧工程中に混入した気泡は、フィルム15が軟化すると、溝220a、220b及び配線33a間のスペースに流動する動きに連れて外部へ排出される。さらに、フィルム15に内存及び、加熱により発生した気泡も、同様に排出される。このことから、導電性接合体としてフィルム15を用いた場合でも、実施の形態1〜3と同様、接続端子間に気泡が残存することが解消できる。
【0113】
さらに、加熱加圧状態を維持して熱硬化性樹脂を硬化させた後、加熱部を冷却してすることで、配線基板の接続ができる。
【0114】
なお、上記の説明においては、導電性粒子を含む熱硬化性樹脂のフィルムを用いた例で説明したが、本発明の導電性接合体としては、導電性粒子を含む熱硬化性樹脂のペーストであっても同様な効果が得られる。
【0115】
これにより、従来の、フィルムと端子電極界面に混入した気泡が吸湿・加熱により膨張することで導電性粒子と端子電極との点接触部が剥離して電気接続が不安定になったり、オープンし易いなどの信頼性の課題をも解決できる。
【0116】
なお、上記の構成において、配線基板51a又51bは本発明の配線基板に相当し、接続端子54a又は55bは本発明の接続端子に相当し、溝220a又は220bは本発明の溝に相当する。
【0117】
又、上記の実施の形態2〜4においては、溝120a、220a等は、配線上にメッキ処理のほかに、スパッタリング・蒸着などによって電極パターン121a、221a等を形成することにより作成したが、これは本発明の溝の凹部は当該電極パターンの反転形状に対応する。しかしながら、本発明の溝の凹部は、配線上にエッチング等により直接凹みを形成することにより形成してもよい。要するに、凹部は、その形成方法によって限定されるものではない。
【0118】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、いずれの実施の形態においても、接続端子領域を集中して加熱するので、能動部品や受動部品などの実装済み部品には、加熱による熱ダメージを与えないと言う利点もある。
【0119】
又、以上のような本発明は、配線基板としてフレキシブルプリント基板(FPC)、硬質基板、リジッドフレックス基板等を用いることができ、これら各基板同士の接続に好適である。
【0120】
なお、上記の各実施の形態においては、溝はいずれも帯状の接続端子と直交して設けるものとして説明したが、斜行して設けるようにしてもよい。又、溝は等間隔に形成されるものとして説明したが、不均等な間隔で形成するようにしてもよい。要するに、各接続端子間のスペースが外部まで連通することができるような構成をつくることができるものであれば、本発明の溝は、その具体的な形状によって限定されるものではない。
【0121】
又、上記の各実施の形態においては、各配線基板において、それぞれの接続端子毎に溝を設けるものとして説明を行ったが、少なくとも一部の接続端子にのみ溝を設けるような構成としてもよい。各接続端子間のスペースが外部まで連通できる、又は連通しているに等しい状態を作り出すことができれば、本発明の溝は、各接続端子後の配置の個数によって限定されるものではない。
【0122】
又、上記の各実施の形態においては、本発明の配線基板の接続方法を中心に説明を行ったが、当該方法にて用いられる配線基板も、本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明にかかる配線基板の接続方法等は、接続端子同士を良好に接続することができる効果を有し、配線基板と配線基板を電気的に接続する配線基板の接続方法及びそれに用いる配線基板等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法に用いる配線基板の構成図
【図2】(a)本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法を説明するための工程を示す平面図(b)図2(a)のA−A直線断面図
【図3(a)】本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法を説明するための平面図
【図3(b)】図3(a)のA−A直線断面図
【図3(c)】図3(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図3(d)】図3(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図3(e)】図3(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図3(f)】図3(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図3(g)】図3(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図4】(a)本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法の原理を説明するための模式図(b)本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法の原理に対比する分析を説明するための模式図
【図5】本発明の各実施の形態に係る導電性粒子の材料の一例を示す図
【図6】本発明の各実施の形態に係る気泡発生剤の材料の一例を示す図
【図7】本発明の各実施の形態に係る気泡発生剤粉の材料の一例を示す図
【図8(a)】本発明の実施の形態2の配線基板の接続方法を説明するための平面図
【図8(b)】図8(a)のA−A直線断面図
【図8(c)】図8(a)のA−A直線断面図に対応する位置における本発明の実施の形態2の配線基板の接続方法に用いる配線基板の他の例を示す図
【図8(d)】図8(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態2の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図9】本発明の実施の形態3の配線基板の接続方法を説明するための断面図
【図10(a)】本発明の実施の形態4の配線基板の接続方法を説明するための平面図
【図10(b)】図10(a)のA−A直線断面図
【図10(c)】図10(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態4の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図10(d)】図10(a)のA−A直線断面図により本発明の実施の形態4の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図11】(a)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図(b)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図(c)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図(d)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図
【図12】(a)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図(b)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図(c)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図(d)樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図
【図13】(a)樹脂の自己集合のメカニズムを説明するための図(b)樹脂の自己集合のメカニズムを説明するための図
【図14】樹脂の自己集合を利用して配線基板同士を接続する方法を説明するための図
【図15】(a)樹脂の自己集合を利用して配線基板同士を接続する方法を説明するための平面図(b)図15(a)のA−A直線断面図
【図16】(a)樹脂とはんだ粉が接続領域から押し出された状態を示す図(b)樹脂とはんだ粉が接続領域から押し出される原理を説明するための図
【図17】はんだ粉が集合した後に、溶融固化した状態を説明するための図
【符号の説明】
【0125】
14 流動体
16 導電性粒子
20a、20b 溝
21a、21b 独立電極
30 気泡
31a、31b 配線基板
33a、33b 配線
34a、34b 接続端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の基板との接続用の帯状の接続端子を有する配線基板同士を接続する配線基板の接続方法であって、
前記接続端子同士が、導電性接合体を間に挟んだ状態で対向するように、前記配線基板同士を位置合わせする工程と、
前記導電性接合体を加熱し、その後冷却して、前記接続端子同士を固着する工程とを備え、
前記導電性接合体は、加熱により気泡を生ずる材料であり、
前記接続端子は、それぞれの前記配線基板に複数併設されており、
少なくとも一方の前記配線基板の少なくとも1つの前記接続端子には、前記帯状の前記接続端子を横断する溝が形成されている、配線基板の接続方法。
【請求項2】
前記溝は前記配線基板の表面まで達する深さを有し、
前記接続端子は前記溝により分離され断続的に前記配線基板の表面上に形成されている、請求項1に記載の配線基板の接続方法。
【請求項3】
前記溝は前記接続端子上の凹部として形成されており、
前記接続端子は連続的に前記配線基板の表面上に形成されている、請求項1に記載の配線基板の接続方法。
【請求項4】
前記溝は前記接続端子の長手方向と直交するように設けられており、
前記位置合わせの状態において、
対向する一方の前記接続端子の前記溝と、
他方の前記接続端子の前記溝が形成されていない部分と、
が対向している、請求項1に記載の配線基板の接続方法。
【請求項5】
前記溝は、対向する双方の前記接続端子のそれぞれに形成されており、
前記溝は前記接続端子上にて等間隔に設けられており、
前記位置合わせの状態において、
対向する一方の前記接続端子の少なくとも1つの前記溝の中心線と、
対向する他方の前記接続端子の、少なくとも2つの前記溝で挟まれる前記部分の中心線と、
が一致している、請求項4に記載の配線基板の接続方法。
【請求項6】
前記溝の幅は、前記接続端子の前記部分の長さより短い、請求項4又は5に記載の配線基板の接続方法。
【請求項7】
前記導電性接合体は、導電性粒子と気泡発生剤を含有した流動体であり、
前記流動体は、加熱により沸騰又は熱分解することにより気体を発生させる材料を含む、請求項1から6のいずれかに記載の配線基板の接続方法。
【請求項8】
前記位置合わせは、前記導電性接合体の前記導電性粒子の粒径よりも広い間隔をとって行う、請求項7に記載の配線基板の接続方法。
【請求項9】
前記導電性接合体は、異方性導電材料である、請求項1から6のいずれかに記載の配線基板の接続方法。
【請求項10】
他の基板との、加熱により気泡を生ずる導電性接合体による接続用の、帯状の接続端子が複数併設されており、
少なくとも1つの前記接続端子には、前記帯を横断する溝が形成されている、配線基板。
【請求項1】
他の基板との接続用の帯状の接続端子を有する配線基板同士を接続する配線基板の接続方法であって、
前記接続端子同士が、導電性接合体を間に挟んだ状態で対向するように、前記配線基板同士を位置合わせする工程と、
前記導電性接合体を加熱し、その後冷却して、前記接続端子同士を固着する工程とを備え、
前記導電性接合体は、加熱により気泡を生ずる材料であり、
前記接続端子は、それぞれの前記配線基板に複数併設されており、
少なくとも一方の前記配線基板の少なくとも1つの前記接続端子には、前記帯状の前記接続端子を横断する溝が形成されている、配線基板の接続方法。
【請求項2】
前記溝は前記配線基板の表面まで達する深さを有し、
前記接続端子は前記溝により分離され断続的に前記配線基板の表面上に形成されている、請求項1に記載の配線基板の接続方法。
【請求項3】
前記溝は前記接続端子上の凹部として形成されており、
前記接続端子は連続的に前記配線基板の表面上に形成されている、請求項1に記載の配線基板の接続方法。
【請求項4】
前記溝は前記接続端子の長手方向と直交するように設けられており、
前記位置合わせの状態において、
対向する一方の前記接続端子の前記溝と、
他方の前記接続端子の前記溝が形成されていない部分と、
が対向している、請求項1に記載の配線基板の接続方法。
【請求項5】
前記溝は、対向する双方の前記接続端子のそれぞれに形成されており、
前記溝は前記接続端子上にて等間隔に設けられており、
前記位置合わせの状態において、
対向する一方の前記接続端子の少なくとも1つの前記溝の中心線と、
対向する他方の前記接続端子の、少なくとも2つの前記溝で挟まれる前記部分の中心線と、
が一致している、請求項4に記載の配線基板の接続方法。
【請求項6】
前記溝の幅は、前記接続端子の前記部分の長さより短い、請求項4又は5に記載の配線基板の接続方法。
【請求項7】
前記導電性接合体は、導電性粒子と気泡発生剤を含有した流動体であり、
前記流動体は、加熱により沸騰又は熱分解することにより気体を発生させる材料を含む、請求項1から6のいずれかに記載の配線基板の接続方法。
【請求項8】
前記位置合わせは、前記導電性接合体の前記導電性粒子の粒径よりも広い間隔をとって行う、請求項7に記載の配線基板の接続方法。
【請求項9】
前記導電性接合体は、異方性導電材料である、請求項1から6のいずれかに記載の配線基板の接続方法。
【請求項10】
他の基板との、加熱により気泡を生ずる導電性接合体による接続用の、帯状の接続端子が複数併設されており、
少なくとも1つの前記接続端子には、前記帯を横断する溝が形成されている、配線基板。
【図1】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図3(d)】
【図3(e)】
【図3(f)】
【図3(g)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図8(d)】
【図9】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図10(c)】
【図10(d)】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図3(d)】
【図3(e)】
【図3(f)】
【図3(g)】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図8(d)】
【図9】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図10(c)】
【図10(d)】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−288325(P2008−288325A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130744(P2007−130744)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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