説明

配線基板

【課題】 半導体素子の電極を半導体素子接続用の半田接続パッドに半田バンプを介して強固に接続することができるとともに、外部接続用の半田接続パッドを外部電気回路基板の配線導体に半田ボールを介して強固に接続することができ、それにより配線基板に対する半導体素子の実装信頼性に優れているとともに外部電気回路基板に対する配線基板の実装信頼性に優れた配線基板を提供すること。
【解決手段】 銅から成る半田接続パッド3,4の表面に、銀を含有する無電解錫めっき層6を1.5〜2.0μmの厚みに被着させて成る配線基板であって、前記無電解錫めっき層6は、表面に銀の含有量が1.0〜5.0質量%である銀偏析層が形成されている。錫めっき層6表面の銀の含有量がその内側の銀の含有量よりも少ないことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等を搭載するために用いられる配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体集積回路素子等の半導体素子を搭載するために用いられる配線基板は、例えばガラス−エポキシ板等から成る絶縁板やエポキシ樹脂等から成る絶縁層が複数層積層された絶縁基体の内部および表面に銅箔や銅めっき膜等の銅から成る配線導体が配設されて成る。また絶縁基体の上面中央部には半導体素子の電極が半田バンプを介して電気的に接続される半導体素子接続用の半田接続パッドが複数形成されており、絶縁基体の下面には外部電気回路基板の配線導体に半田ボールを介して電気的に接続される外部接続用の半田接続パッドが形成されている。さらに絶縁基体の上下面には各半田接続パッドの中央部を露出させる開口部を有するソルダーレジスト層が各半田接続パッドの外周部を覆うようにして被着されており、ソルダーレジスト層から露出する半田接続パッドには、半導体素子接続用の半田接続パッドであれば半導体素子と接続するための半田バンプが、外部接続用の半田接続パッドであれば外部電気回路基板の配線導体と接続するための半田ボールを取着するための下地となる半田層が被着されている。
【0003】
そして、半導体素子の電極を半導体素子接続用の半田接続パッドに被着された半田バンプ上に当接させるとともに、その半田バンプを加熱溶融させることによって半導体素子が配線基板上に実装される。また、外部接続用の半田接続パッド上に被着された半田層上に半田ボールを載置するとともにその半田層および半田ボールを加熱溶融させることによって、外部接続用の半田接続パッド上に半田ボールが接合され、この半田ボールを外部電気回路基板の配線導体上に接触させた状態で加熱溶融させることによって、配線基板が半田ボールを介して外部電気回路基板上に実装されることとなる。
【0004】
ところで、このような配線基板は、内部および表面に銅から成る配線導体が配設された絶縁基体の上下面に配線導体の一部を構成する銅から成る半田接続パッドを形成した後、その絶縁基体の上下面に各半田接続パッドの中央部を露出させるようにしてソルダーレジスト層を被着し、しかる後、ソルダーレジスト層から露出する半田接続パッドの表面にニッケルめっき層および金めっき層を順次施した後、その半田接続パッド上に半田を供給するとともにその半田を加熱溶融させることにより半田バンプや半田層が被着される。
【0005】
しかしながら、表面にニッケルめっき層および金めっき層が順次被着された半田接続パッド上に半田を供給するとともにその半田を加熱溶融させて半田層を被着させると、半田ペースト中の半田を加熱溶融する際に、ニッケル層と半田との間にニッケルと錫とを含む脆弱な金属間化合物層が不均一な厚みに形成され易い。そのため、配線基板に半導体素子を実装した後や配線基板を外部電気回路基板に実装した後に、半導体素子の電極と半導体素子接続用の半田接続パッドとを接続する半田や外部接続用の半田接続パッドと外部電気回路基板の配線導体とを接続する半田に熱応力が繰り返し加えられると、半田接続パッドと半田との間が不均一な厚みの脆弱な金属間化合物層から破断が生じ易く、半導体素子および配線基板の実装後の接続信頼性に劣るという問題点があった。
【0006】
そこで、半田接続パッドにニッケルめっき層および金めっき層を被着させることなく、半田接続パッドを構成する銅の上に半田バンプや半田層を直接被着させるダイレクトソルダー法が採用されるようになってきた。この場合、半田接続パッドと半田との間に脆弱な金属間化合物が形成されにくいので配線基板に半導体素子を実装した後や配線基板を外部電気回路基板に実装した後に、半導体素子の電極と半導体素子接続用の半田接続パッドとを接続する半田や外部接続用の半田接続パッドと外部電気回路基板の配線導体とを接続する半田に熱応力が繰り返し加えられたとしても半田接続パッドと半田との間で剥離が発生しにくい配線基板を得ることができる。
【0007】
従来、半導体素子を配線基板に接続したり配線基板を外部電気回路基板に接続したりするために使用される半田としては、鉛−錫共晶半田が一般的であったものの、近時においては、環境への配慮から鉛を含有しない鉛フリー半田が多用されるようになってきている。ところが、鉛フリー半田は、従来の鉛−錫共晶半田に比べて銅から成る半田接続パッドに対する濡れ性が劣っており、そのため半田接続パッドの全面に良好に濡れ広がりにくい。そこで、銅から成る半田接続パッドの表面に錫めっき層を被着させ、その錫めっき層上に半田を供給して加熱溶融させることにより半田接続パッド上に半田を良好に濡れ広がらせて半田バンプや半田層を形成する技術が採用されるようになってきている。なお、半田接続パッドの表面に錫めっき層を被着させるには一般的に半田接続パッドを構成する銅と無電解めっき液中の錫との置換作用を利用した無電解錫めっき法が用いられる。
【0008】
銅から成る半田接続パッドの表面に錫めっき層を被着させる場合、錫がウィスカーを発生させやすい金属であることから、錫めっき層におけるウィスカーの発生を防止するために1〜3質量%程度の銀を含有させることが行なわれている。
【0009】
なお、半田接続パットの表面に被着させる無電解錫めっき層の厚みは、該無電解錫めっき層における被膜の欠陥を防止する観点から1.5〜2.0μmの範囲とすることが好ましい。ところが、半田接続パッドの表面に析出する無電解錫めっき層の厚みが1.5μm以上となると、半田接続パッドを構成する銅が錫めっき層により略完全に覆われてしまうので、錫めっき層の下の銅と無電解錫めっき液中の錫との置換反応が抑制されてそれ以上進行しにくくなる。他方、無電解錫めっき液中に含有される銀は、反応が抑制されることなく析出するので、無電解錫めっき層の表面近傍における銀の含有量が5質量%を超える程度に増加してしまう。
【0010】
このように、半田接続パッドに被着された無電解錫めっき層の表面近傍における銀の含有量が5質量%を超える程度に増加した場合、半田接続パッドに被着させた無電解錫めっき層と半田との濡れ性が低下してしまい、その結果、半導体素子の電極を半導体素子接続用の半田接続パッドに半田バンプを介して強固に接続することができずに、配線基板に対する半導体素子の実装信頼性が低いものとなるとともに、外部接続用の半田接続パッドを外部電気回路基板の配線導体に半田ボールを介して強固に接続することができずに、外部電気回路基板に対する配線基板の実装信頼性が低いものとなってしまうという問題点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−181423号公報
【特許文献2】特開2006−173143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、かかる従来の問題に鑑み案出されたものであり、その目的は、半田接続パッドに被着させた無電解錫めっき層と半田との濡れ性が良好であり、その結果、半導体素子の電極を半導体素子接続用の半田接続パッドに半田バンプを介して強固に接続することができるとともに、外部接続用の半田接続パッドを外部電気回路基板の配線導体に半田ボールを介して強固に接続することができ、それにより配線基板に対する半導体素子の実装信頼性に優れているとともに外部電気回路基板に対する配線基板の実装信頼性に優れた配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の配線基板は、銅から成る半田接続パッドの表面に、銀を含有する無電解錫めっき層を1.5〜2.0μmの厚みに被着させて成る配線基板であって、前記無電解錫めっき層は、表面に銀の含有量が1.0〜5.0質量%である銀偏析層を有していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の配線基板によれば、半田接続パッドの表面に1.5〜2.0μmの厚みに被着させた無電解錫めっき層は、その表面に銀の含有量が1.0〜5.0質量%である銀偏析層が形成されていることから、該銀偏析層が無電解錫めっき層と半田との濡れ性を阻害することなく、無電解錫めっき層におけるウィスカーの発生を良好に防止し、その結果、ウィスカーによる電気的な絶縁信頼性の低下がないとともに配線基板に対する半導体素子の実装信頼性および外部電気回路基板に対する配線基板の実装信頼性に優れた配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の配線基板の一実施形態例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の配線基板を添付の図面に基づき説明する。図1は、本発明の配線基板の一実施形態例を示す概略断面図であり、図中、1は絶縁板1aおよび絶縁層1bから成る絶縁基体、2は配線導体、3は半導体素子接続用の半田接続パッド、4は外部接続用の半田接続パッド、5はソルダーレジスト層、6は無電解錫めっき層である。なお、本例では、ガラス織物に熱硬化性樹脂を含浸させて成る絶縁板1aの上下面に熱硬化性樹脂から成る絶縁層1bを2層ずつ積層して絶縁基体1を形成しており、最表層の絶縁層1b上にソルダーレジスト層5が積層されている。また、絶縁基体1の上面中央部にはそれぞれ半導体素子Sの電極が半田バンプB1を介して電気的に接続される半導体素子接続用の半田接続パッド3が形成されているとともに絶縁基体1の下面にはそれぞれ図示しない外部電気回路基板に半田ボールB2を介して電気的に接続される外部接続用の半田接続パッド4が形成されており、絶縁基体1の上面から下面にかけてはそれぞれ対応する半導体素子接続用の半田接続パッド3と外部接続用の半田接続パッド4とを互いに電気的に接続する配線導体2が配設されている。そして、半導体素子接続用の半田接続パッド3および外部接続用の半田接続パッド4には無電解錫めっき層6がそれぞれ置換めっき法により被着されている。
【0017】
絶縁板1aは、本例の配線基板のコアとなる部材であり、例えばガラス繊維束を縦横に織り込んだガラス織物にエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて成り、厚みが0.3〜1.5mm程度であり、その上面から下面にかけて直径が0.1〜1mm程度の複数のスルーホール8を有している。そして、その上下面および各スルーホール8の内面には配線導体2の一部が被着されており、上下面の配線導体2がスルーホール8を介して電気的に接続されている。
【0018】
このような絶縁板1aは、ガラス織物に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させた絶縁シートを熱硬化させた後、これに上面から下面にかけてドリル加工を施すことにより製作される。なお、絶縁板1a上下面の配線導体2は、絶縁板1a用の絶縁シートの上下全面に厚みが3〜50μm程度の銅箔を貼着しておくとともに、この銅箔をシートの硬化後にエッチング加工することにより所定のパターンに形成される。また、スルーホール8内面の配線導体2は、絶縁板1aにスルーホール8を設けた後に、このスルーホール8内面に無電解めっき法および電解めっき法により厚みが3〜50μm程度の銅めっき膜を析出させることにより形成される。
【0019】
さらに、絶縁板1aは、そのスルーホール8の内部にエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂から成る孔埋め樹脂9が充填されている。孔埋め樹脂9は、スルーホール8を塞ぐことによりスルーホール8の直上および直下に配線導体2および各絶縁層1bを形成可能とするためのものであり、未硬化のペースト状の熱硬化性樹脂をスルーホール8内にスクリーン印刷法により充填し、それを熱硬化させた後、その上下面を略平坦に研磨することにより形成される。そして、この孔埋め樹脂9を含む絶縁板1aの上下面に絶縁層1bがこの例ではそれぞれ2層ずつ積層されている。
【0020】
絶縁板1aの上下面に積層された各絶縁層1bは、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に酸化珪素粉末等の無機絶縁物フィラーを30〜70質量%程度分散させた絶縁材料から成り、それぞれの厚みが20〜60μm程度であり、各層の上面から下面にかけて直径が30〜100μm程度の複数のビアホール10を有している。これらの各絶縁層1bは、配線導体2を高密度に配線するための絶縁間隔を提供するためのものである。そして、上層の配線導体2と下層の配線導体2とをビアホール10を介して電気的に接続することにより高密度配線が立体的に形成可能となっている。このような各絶縁層1bは、厚みが20〜60μm程度の未硬化の熱硬化性樹脂から成る絶縁フィルムを絶縁板1aの上下面に貼着し、これを熱硬化させるとともにレーザ加工によりビアホール10を穿孔し、さらにその上に同様にして次の絶縁層1bを順次積み重ねることによって形成される。なお、各絶縁層1bの表面およびビアホール10内に被着された配線導体2は、各絶縁層1bを形成する毎に各絶縁層1bの表面およびビアホール10内に5〜50μm程度の厚みの銅めっき膜を公知のセミアディティブ法等のパターン形成法により所定のパターンに被着させることによって形成される。
【0021】
また、絶縁基体1の上面に形成された半導体素子接続用の半田接続パッド3ならびに絶縁基体1の下面に形成された外部接続用の半田接続パッド4は、厚みが3〜50μm程度の銅めっき膜から成り、最表層の配線導体2の一部として外部に露出するように形成されている。そして、半導体素子接続用の半田接続パッド3は半導体素子Sを配線基板に接続するための端子として機能し、外部接続用の半田接続パッド4は配線基板を外部電気回路に接続するための端子として機能する。このような半導体素子接続用の半田接続パッド3および外部接続用の半田接続パッド4は、最外層の絶縁層1bの表面に配線導体2を形成する際にセミアディティブ法による銅めっき膜を所定のパターンに被着させることにより形成される。
【0022】
半導体素子接続用の半田接続パッド3および外部接続用の半田接続パッド4の表面に被着された無電解錫めっき層6は、厚みが1.5〜2.0μであり、半田接続パッド3,4と半田バンプB1,半田ボールB2との濡れ性を向上させるための下地金属層として機能する。そして、これらの無電解錫めっき層6を介して半導体素子接続用の半田接続パッド3には半田バンプB1が接合され、外部接続用の半田接続パッド4には半田ボールB2が接合される。このように、本発明の配線基板においては、半田接続パッド3,4の表面に無電解錫めっき層6が被着されていることから、これらの半田接続パッド3,4と半田バンプB1,半田ボールB2との濡れ性が向上し、それにより半田接続パッド3,4に半田バンプB1や半田ボールB2を良好に接合させることができる。なお、半導体素子接続用の半田接続パッド3に半田バンプB1を接合するには、半導体素子接続用の半田接続パッド3の上に、半田粉末およびフラックスを含有する半田ペーストを印刷塗布するとともに該半田ペースト中の半田を加熱溶融させることにより溶着させる方法が採用される。また、外部接続用の半田接続パッド4に半田ボールB2を接合させるには、外部接続用の半田接続パッド4上に半田ボールB2を載置するとともに該半田ボールB2を加熱溶融させることにより溶着する方法が採用される。そして、半田接続パッド3に接合された半田バンプB1に半導体素子Sの電極を接触させた状態で半田バンプB1を加熱溶融させることにより半導体素子の電極と半田接続パッド3とが電気的に接続されて半導体素子Sが配線基板上に実装される。また、外部接続用の半田接続パッド4に接合された半田ボールB2を外部電気回路基板の配線導体に接触させた状態で半田ボールB2を加熱溶融させることにより配線基板が外部電気回路基板上に実装されることとなる。
【0023】
また、最表層の絶縁層1bの上に積層されたソルダーレジスト層5は、例えばアクリル変性エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂にシリカやタルク等のフィラーを含有させて成り、上面側のソルダーレジスト層5であれば、半導体素子接続用の半田接続パッド3の中央部を露出させる開口部5aを有しているとともに、下面側のソルダーレジスト層5であれば、外部接続用の半田接続パッド4の中央部を露出させる開口部5bを有している。これらのソルダーレジスト層5は、半導体素子接続用の半田接続パッド3同士や外部接続用の半田接続パッド4同士の電気的な絶縁信頼性を高めるとともに、半導体素子接続用の半田接続パッド3や外部接続用の半田接続パッド4の絶縁層1bへの接合強度を大きなものとする作用をなす。このようなソルダーレジスト層5は、その厚みが10〜50μm程度であり、感光性を有するソルダーレジスト層5用の未硬化樹脂ペーストをロールコーター法やスクリーン印刷法を採用して最表層の絶縁層1b上に塗布し、これを乾燥させた後、露光および現像処理を行なって半導体素子接続用の半田接続パッド3や外部接続用の半田接続パッド4の中央部を露出させる開口部5a,5bを形成した後、これを熱硬化させることによって形成される。あるいは、ソルダーレジスト層5用の未硬化の樹脂フィルムを最表層の絶縁層1b上に貼着した後、これを熱硬化させ、しかる後、半導体素子接続用の半田接続パッド3や外部接続用の半田接続パッド4の中央部に対応する位置にレーザ光を照射し、硬化した樹脂フィルムを部分的に除去することによって半導体素子接続用の半田接続パッド3や外部接続用の半田接続パッド4の中央部を露出させる開口部5a,5bを有するように形成される。
【0024】
そして、本発明の配線基板においては、半田接続パッド3,4の表面に被着させた無電解錫めっき層6は、厚みが1.5〜2.0μmであるとともに、その表面に銀の含有量が1.0〜5.0質量%である銀偏析層が形成されている。無電解錫めっき層6の厚みが1.5μm未満であると、無電解錫めっき層6にピンホール等の欠陥が形成されやすく、その結果、半田接続パッド3,4の表面が酸化されてしまい、無電解錫めっき層6と半田バンプB1や半田ボールB2との濡れ性が低下してしまう危険性が高くなり、逆に無電解錫めっき層6の厚みが2.0μmを越えると、無電解錫めっき6の表面における銀の含有量が5.0質量%を超えてしまい、無電解錫めっき層6と半田バンプB1や半田ボールB2との濡れ性が低下してしまう。したがって、半田接続パッド3,4の表面に被着させた無電解錫めっき層6の厚みは1.5〜2.0μmの範囲に特定される。
【0025】
また、半田接続パッド3,4の表面に被着させた無電解錫めっき層6は、その表面に銀の含有量が1.0〜5.0質量%である銀偏析層が形成されていることにより、無電解錫めっき層6におけるウィスカーの発生が前記銀偏析層により有効に防止される。さらに、該銀偏析層は銀の含有量が1.0〜5.0質量%と少ないことから、無電解錫めっき層6と半田バンプB1や半田ボールB2との濡れ性を大きく阻害することがない。したがって本発明の配線基板によれば、半導体素子Sの電極を半導体素子接続用の半田接続パッド3に半田バンプB1を介して強固に接続することができるとともに、外部接続用の半田接続パッド4を外部電気回路基板の配線導体に半田ボールB2を介して強固に接続することができ、配線基板に対する半導体素子Sの実装信頼性および外部電気回路基板に対する配線基板の実装信頼性に優れた配線基板を提供することができる。なお、銀偏析層における銀の含有量が1.0質量%未満の場合、無電解錫めっき層6におけるウィスカーの発生を有効に防止することが困難となる傾向にあり、逆に銀偏析層における銀の含有量が5.0質量%を超える場合、無電解錫めっき層6と半田バンプB1や半田ボールB2との濡れ性が大きく阻害されてしまう傾向にある。したがって、銀偏析層における銀の含有量は、1.0〜5.0質量%の範囲に特定される。なお、銀偏析層における銀の含有量を1.0〜5.0質量%の範囲とするには、無電解錫めっき層6を被着させるための無電解錫めっき液中に含有される銀の含有量を少なく整整する方法が採用される。
【0026】
さらに、半田接続パッド3,4の表面に被着させた無電解錫めっき層6は、その表面における銀の含有量がその内側の銀の含有量よりも少ないことが好ましい。このように無電解錫めっき層6の表面における銀の含有量がその内側の銀の含有量より少ないことで無電解錫めっき層6と半田バンプB1や半田ボールB2との濡れ性をより改善することができるとともに、その内側の銀の含有量が多い領域によりウィスカーの発生がより有効に防止される。なお、半田接続パッド3,4の表面の銀の含有量を、その内側の銀の含有量よりも少なくするには、半田接続パッド3,4の表面に銀を含有する無電解錫めっき層6を披着させる際に、まず銀の含有量の多い無電解錫めっき液によりめっきを行ない、引き続きその上に銀の含有量の少ない無電解錫めっき液によりめっきを行なえばよい。あるいは、半田接続パッド3,4の表面に銀を含有する無電解錫めっき6を被着させた後に前記表面に銀のエッチングを施せばよい。
【符号の説明】
【0027】
1:絶縁基体
2:配線導体
3,4:半田接続パッド
5:ソルダーレジスト層
6:無電解錫めっき層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅から成る半田接続パッドの表面に、銀を含有する無電解錫めっき層を1.5〜2.0μmの厚みに被着させて成る配線基板であって、前記無電解錫めっき層は、表面に銀の含有量が1.0〜5.0質量%である銀偏析層を有していることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記無電解錫めっき層表面の銀の含有量が該表面の内側の銀の含有量よりも少ないことを特徴とする請求項1記載の配線基板。

【図1】
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【公開番号】特開2010−171367(P2010−171367A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131454(P2009−131454)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(304024898)京セラSLCテクノロジー株式会社 (213)
【Fターム(参考)】