配電装置
【課題】負荷に電源を供給するプラグをコンセントから引き抜く際に生じやすいアークの発生を防止することが可能な配電装置を提供する。
【解決手段】負荷20に電源を供給するプラグ11と;プラグが接続されると共に、プラグの抜き差し状態を検知する検知手段12を有するコンセント13と;コンセントに電源線14を介して電源を供給すると共に、検知手段による検知信号が信号線15を介して伝送され、電源の供給を制御する制御部16を有する電源部17と;を具備する配電装置10を構成する。
【解決手段】負荷20に電源を供給するプラグ11と;プラグが接続されると共に、プラグの抜き差し状態を検知する検知手段12を有するコンセント13と;コンセントに電源線14を介して電源を供給すると共に、検知手段による検知信号が信号線15を介して伝送され、電源の供給を制御する制御部16を有する電源部17と;を具備する配電装置10を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源に接続されるコンセントにプラグを差し込むことによって負荷に電源を供給する交流または直流の配電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の配電装置においては、プラグをコンセントから引き抜く際に、プラグを遅く緩やかに引き抜くと、プラグの栓刃とコンセントの刃受けとの間でアークが発生する恐れがある。例えば、特許文献1(特に、段落番号[0006])には、太陽電池は日射があれば設置者の意思とは無関係に自動的に発電しており、そういう状態でインバータをコンセントから抜くとスパークが飛ぶ恐れがあると記載されている。
【0003】
一方、近時、太陽光発電の普及に伴って住宅での直流配電の必要性が高まり、これら直流配電装置においては、+極と−極との間で常に所定の電圧がかかっていることからアークが発生し易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−210823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、段落番号[0008]に示されているように、太陽電池から入力される直流電力を交流電力に変換し、この変換した交流電力をインバータのプラグからコンセントを介して商用交流系統に出力する際に、インバータのプラグがコンセントから取り外された場合に、交流電力の供給を停止してアークの発生を防止するようした電力変換装置、その電力変換装置を用いる発電装置、およびそれらの制御方法を提供するものである。具体的には、直流を交流に変換するインバータの出力プラグと、商用交流系統に設けられたコンセントとの間のアークの発生を防止しようとするものである。したがって、住宅等の屋内の配電路に接続されたコンセントから電気器具を取り外す操作、すなわち、一般使用者が日常頻繁に行うプラグの抜き差しにおけるアークの発生を防止することには至っていない。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、負荷に電源を供給するプラグをコンセントから引き抜く際に生じやすいアークの発生を防止することが可能な配電装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の配電装置の発明は、負荷に電源を供給するプラグと;プラグが接続されると共に、プラグの抜き差し状態を検知する検知手段を有するコンセントと;コンセントに電源線を介して電源を供給すると共に、検知手段による検知信号が信号線を介して伝送され、電源の供給を制御する制御部を有する電源部と;を具備していることを特徴とする。
【0008】
本発明において、配電装置は、太陽光発電システム等が設置された直流を電源とした配電装置に適用することが好適であるが、従来の商用交流を電源とした配電装置に適用されてもよい。
【0009】
本発明において、負荷に接続されるプラグは、電圧側および接地側、直流においては+極および−極の2本の栓刃を有するもの、さらに、弱電回路に使用されるジャック式の同軸プラグ等であってもよく、特定された形状のプラグには限定されない。さらには、アース端子付きの3本の栓刃からなるプラグであってもよい。
【0010】
コンセントは、上述した各種のプラグの栓刃が抜き差し可能な刃受けを有する全てのコンセントが許容される。また、プラグの抜き差し状態を検知する検知手段は、手動操作、例えば、プラグを抜き差しする際にボタンを押すことによって生成される信号を検知してもよく、さらに、プラグの安全装置として用いられるプラグの抜け止め機構の動作を検知しても、さらには、赤外線や静電容量等を利用した近接センサによって、手でプラグを掴む、若しくは掴んだ状態を検知するようにしてもよい。さらに、コンセントの刃受けに対しプラグの栓刃を抜き差しする動作を検知してもよく、プラグが抜き差しされる全ての状態を検知することが可能な検知手段が許容される。さらには、上記した各種の検知手段を組み合わせることにより、より確実に検知するようにしてもよい。
【0011】
電源部は、直流配電装置を構成する場合には、商用交流電源に接続され、住宅等の分電盤内に設置されたAC/DCコンバータ等からなる直流電源部で構成されることが好ましいが、太陽電池や充電可能なバッテリ等からなる直流電源部で構成されるものであってもよい。さらには、交流配電装置を構成する場合には、商用交流電源で構成された電源部であってもよい。
【0012】
電源の供給を制御する制御部は、例えば、マイクロコンピュータ等からなる制御回路で構成し、この制御回路へ検知手段で検知した検知信号を入力することによって、電源部からコンセントへの電源の供給・遮断、若しくは、低減等によって電源の供給を制御するようにしてもよい。制御部は、例えば、プラグが引き抜かれる状態を検知した検知信号により、電源の供給を遮断することが好ましいが、供給する電力を、例えば、アークが引き難い低電圧に低減し、常時、配電装置の電路に低電圧の電力が供給できるように制御し、プラグが再度差し込まれることによって通常の所定電力が電路に対して供給されるように制御してもよい。要は、アークの発生を防止することが可能になるように、電源の供給を制御する全ての制御手段が許容される。また、電源の供給を遮断する場合には、瞬時に遮断することが好ましいが、電力の供給を徐々に低減させながら遮断するようにしてもよく、アークの発生を防止することが可能な全ての遮断のための制御手段が許容される。
【0013】
検知信号を伝送する信号線は、2線式の専用の信号線で構成されることが好ましいが、電源線、若しくは電源線の一方に検知信号を重畳させるようにして検知信号を制御部に伝送するようにしてもよい。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の配電装置において、前記コンセントの検知手段は、プラグの抜け止め機構の動作を検知することを特徴とする。
【0015】
本発明において、プラグの抜け止め機構の動作の検知は、例えば、プラグの安全装置として用いられるプラグとコンセントとの抜け止め作用を有する係合機構を解除するための動作、すなわち、プラグの栓刃を引き抜く前に行われる係合機構の解除動作を検知して検知信号を出力するようにしてもよい。具体的には、抜け止めを行う係合機構に連動して設けられたスイッチが、係合機構を解除するための動作に連動して開放若しくは閉止されることにより検知信号が生成されるようにしてもよい。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の配電装置において、前記コンセントの検知手段は、プラグの抜き差し動作を検知することを特徴とする。
【0017】
本発明において、プラグの抜き差し動作の検知は、例えば、プラグを引き抜く際のプラグの移動動作を検知して検知信号を出力するようにしてもよい。または、コンセントに設けられたスイッチが、プラグの抜き差し動作に連動して開放若しくは閉止されることにより検知信号が生成されるようにしてもよく、コンセントの刃受けとプラグの栓刃との抜き差し動作を検知する全ての手段が許容される。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3いずれか一記載の配電装置において、前記検知手段は、プラグとコンセントとの接続が解除される前に、検知信号を制御部に伝送し、電源の供給を制御するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、プラグの抜き差し状態を検知する検知手段を有するコンセントと、コンセントに電源線を介して電源を供給すると共に、検知手段による検知信号が信号線を介して伝送され、電源の供給を制御する制御部を有する電源部により、プラグとコンセントとの間に生じやすいアークの発生を防止することが可能な配電装置を提供することができる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、コンセントの検知手段は、プラグの抜け止め機構の動作を検知するようにしたので、プラグとコンセントとの間に生じやすいアークの発生を、確実に防止することが可能な配電装置を提供することができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、コンセントの検知手段は、プラグの抜き差し動作を検知するようにしたので、プラグとコンセントとの間に生じやすいアークの発生を、確実に防止することが可能な配電装置を提供することができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、検知手段は、プラグとコンセントとの接続が解除される前に、検知信号を制御部に伝送し、電源の供給を制御するようにしたので、プラグとコンセントとの間に生じやすいアークの発生を、より確実に防止することが可能な配電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態である配電装置を示し、(a)は電源部、コンセント、プラグの接続状態と検知手段の動作状態を模式的に示す配電図、(b)はコンセントとプラグが接続された状態および検知手段の作動状態を模式的に示す図。
【図2】同じく配電装置におけるプラグを示し、(a)はプラグカバーを外した状態を示す平面図、(b)はプラグカバーを被せた状態の側面図。
【図3】同じく配電装置におけるコンセントを示し、(a)はコンセントカバーを外した状態を示す平面図、(b)はコンセントカバーを被せた状態を示す平面図、(c)はコンセントカバーを被せた状態を示す斜視図。
【図4】同じく配電装置の変形例を示す、図1(a)に相当する配電図。
【図5】本発明の第2の実施形態である配電装置を示し、(a)は電源部、コンセント、プラグの接続状態と検知手段の動作状態を模式的に示す配電図、(b)はコンセントとプラグが接続される途中の状態および検知手段の動作状態を模式的に示す図、(c)はコンセントとプラグが接続された状態および検知手段の作動状態を模式的に示す図。
【図6】同じく配電装置におけるプラグを示し、(a)はプラグカバーを外した状態を示す平面図、(b)はプラグカバーを被せた状態の側面図、(c)はコンセントからプラグが外される初期状態および検知手段の動作状態を模式的に示す図。
【図7】同じく配電装置におけるコンセントを示し、(a)はコンセントカバーを外した状態を示す平面図、(b)はコンセントカバーを被せた状態を示す平面図、(c)はコンセントカバーを被せた状態を示す斜視図。
【図8】本発明の第3の実施形態である配電装置を示し、(a)は電源部、コンセント、プラグの接続状態と検知手段の動作状態を模式的に示す配電図、(b)はコンセントとプラグが接続される途中の状態および検知手段の動作状態を模式的に示す図、(c)はコンセントとプラグが接続された状態および検知手段の作動状態を模式的に示す図。
【図9】同じく配電装置におけるコンセントを示し、(a)はコンセントカバーを外した状態を示す平面図、(b)はコンセントカバーを被せた状態を示す平面図、(c)はコンセントカバーを被せた状態を示す斜視図。
【図10】本発明の第4の実施形態である配電装置を示し、(a)は電源部、コンセント、プラグの接続状態と検知手段の動作状態を模式的に示す配電図、(b)はコンセントとプラグが接続される途中の状態および検知手段の動作状態を模式的に示す図、(c)はコンセントとプラグが接続された状態および検知手段の作動状態を模式的に示す図。
【図11】同じく配電装置におけるプラグを示し、(a)はプラグカバーを外した状態を示す平面図、(b)はプラグカバーを被せた状態の側面図。
【図12】同じく配電装置におけるコンセントを示し、(a)はコンセントカバーを外した状態を示す平面図、(b)はコンセントカバーを被せた状態を示す平面図、(c)はコンセントカバーを被せた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の配電装置の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0025】
本実施例は、住宅等における直流を電源とした配電装置を構成したもので、配電装置10は、図1に示すように、負荷に電源を供給するプラグ11、プラグが接続されると共に、プラグの抜き差し状態を検知する検知手段12を有するコンセン13、コンセントに電源線14を介して電源を供給すると共に、検知手段による検知信号が信号線15を介して伝送され、電源の供給を制御する制御部16を有する電源部17で構成される。
【0026】
負荷に電源を供給するプラグ11は、図2に示すように、電気絶縁性を有する熱硬化性合成樹脂、本実施例ではユリア樹脂からなるプラグ本体11aと、同形状をなすプラグカバー11bからなる。プラグ本体11a内には、一対の同形状をなす栓刃11cが、その先端部がプラグ本体11aの端面部から突出するようにして収納されている。一方の栓刃11cが+極、他方の栓刃11cが−極の栓刃を構成し、各栓刃11cには、プラグ本体11aの他端面に設けられたコード導出孔11eから挿入されたコード11fがネジ11c1によって接続される。各栓刃11cは導電性の良好な黄銅で構成する。
【0027】
上記のように一対の栓刃11cが収納され、コード11fが接続されたプラグ本体11aは、同形状をなすプラグカバー11bを被せてネジ11gで固定することによってプラグ11が構成される。また、プラグ本体11aのコード導出孔11eから導出されたコード11fには直流機器としての、例えば、発光ダイオードを光源とする照明器具からなる負荷20が、プラグの栓刃11cの極性に合わせて接続される。図1中、Sは、プラグ1の表面側を表示した表示部で、この表示部Sを表側にしてプラグ11をコンセント13に差し込むことによって、プラグ11とコンセント13の極性が自動的に合わせることができるようにしている。
【0028】
プラグ11が接続されるコンセント13は、図3に示すように、電気絶縁性を有する熱硬化性合成樹脂、本実施例ではプラグ11と同様にユリア樹脂からなるコンセント本体13aと、コンセントカバー13bからなる。コンセント本体13a内には、一対の同形状をなす刃受け13cが、長手方向に沿って略平行になるように配置され収納されている。一方の刃受け13cが+極、他方の刃受け13cが−極の刃受けを構成している。各刃受け13cは、導電性の良好な黄銅で構成する。本実施例のコンセントは1個のプラグ11が接続される1口用のコンセントとして構成される。
【0029】
上記に構成された各刃受け13cには、コンセント本体13aの端部に設けられたコード導出孔13eから挿入された電源線14がネジ13c1によって接続されている。また、コンセント本体13a内には、一対の信号線15がコード導出孔13eから導入される。各信号線15は絶縁被覆がなされた一対のコードで形成され、各刃受け13cと電気的に絶縁されるようにしてコンセント本体13a内に導入されている。
【0030】
さらに、コンセント本体13aには、検知手段12が設けられる。検知手段12は、本実施例ではON/OFF機能を有する押しボタンスイッチ12aからなり、その操作ボタン12a1が、コンセント13の表面から、すなわち、コンセントカバー13bの表面から突出するようにして、コンセント本体13a内に内蔵される。このスイッチは、プッシュプッシュ式の押しボタンスイッチ12aで構成され、操作ボタン12a1を押すと、操作ボタンが押し込まれた位置にロックされてスイッチがONし、再度操作ボタンを押すことによってロックが解除され、操作ボタン12a1が元の位置に戻ると共にスイッチがOFFされるように作動する。
【0031】
この操作ボタン12a1は、コンセントカバー13bのプラグ挿入口13b2から離間させて突出するように位置させ、使用者がプラグ11に邪魔されることなく押圧操作ができるように構成する。また、押しボタンスイッチ12aの両端子には、コンセント本体13a内に導入された一対の信号線15が、それぞれ接続され押しボタンスイッチ12aの押圧操作により、信号線15の一端部が電気的に接続され、または接続が解除されるように構成される。図中13hは、押しボタンスイッチ12aがONされると赤色に点灯し、OFFされると消灯する電源表示用の表示ランプである。
【0032】
上記のように一対の刃受け13cおよび押しボタンスイッチ12aが収納され、電源線14および信号線15が接続されたコンセント本体13aは、コンセントカバー13bを被せてネジ13gで固定することによってコンセント13が構成される。また、コンセント本体13aのコード導出孔13eから導出された電源線14および信号線15は、屋内配線を介して後述する電源部17に接続される(図1(a))。
【0033】
上記のように、本実施例における検知手段12は、手動による押しボタンスイッチ12aのON/OFF操作による信号線15の一端部の電気的な接続作用と接続の解除作用によって、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号と、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知信号、すなわち、プラグの抜き差し状態の検知信号を生成する。
【0034】
そして、検知手段12が押しボタンスイッチ12aで構成されることによって、プラグ11をコンセント13に差し込む際には、先に、栓刃11cと刃受け13cとの接続を行い、次に、押しボタンスイッチ12aを押圧してONし、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号が生成され電源が供給される。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が行われてから後に、電源が供給される。
【0035】
また、プラグ11をコンセント13から引き抜く際は、先に、押しボタンスイッチ12aを再度押圧してOFFし、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知信号を生成し電源の供給が遮断され、次に、栓刃11cと刃受け13cとの接続の解除が行われる。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が解除される前に、電源の供給が遮断される。
【0036】
電源部17は、図1に示すように、商用交流電源Eに接続された住宅等における分電盤18内に、AC/DCコンバータからなる電力変換部19と制御部16で構成され、この電源部17から住宅の屋内等に対して直流配電の電路が配線され、この電路に対して、上述したコンセント13や引掛シーリング等の直流出力部材が設けられ、本実施例における直流の配電装置10が構成される。本実施例においては、電源部17とコンセント13は、2本の電源線14と1本のアース線(図示せず)および2本の信号線15の合計5線で接続されている。本実施例の配電装置は、電源部17から48Vまたは24V程度の電圧が出力される弱電圧配電装置として構成される。
【0037】
制御部16は、マイクロコンピュータを有する制御回路で構成され、検知手段12で生成されるプラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号と、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知信号が入力されることによって、電源部17の電力の供給および遮断を行うように制御する。
【0038】
次に、上記のように構成された配電装置10の作用につき説明する。本実施例の配電装置によれば、検知手段12を構成する押しボタンスイッチ12aにより、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知と、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知が行われることによって、特に、直流配電で生じ易いアークの発生を防止することができる。
【0039】
先ず、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知は、次のようにして行われる。先ず、プラグ11を、その表示部Sを表側にして極性を合わせ、栓刃11cをコンセント13の刃受け13cに差し込む。次に、押しボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1を押圧してスイッチをONする(図1(b))。これによって各信号線15の一端部が閉回路となる。
【0040】
この各信号線15の一端部が閉回路となる状態を、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号として捉え、この検知信号を、信号線15を介して電源部17の制御部16に伝送し、この検知信号、すなわち、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号が制御部16に入力され、所定の電力が電源線14を介してコンセント13に供給され、さらに、コンセントに差し込まれたプラグ11を介して負荷20に供給される。同時に表示ランプ13hが点灯し電源が供給されたことを表示する。
【0041】
また、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知は、次のようにして行われる。図1(b)に示す状態から、先ず、押しボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1を押圧してスイッチをOFFする。これによって、各信号線15の一端部の閉回路が開放され、先に伝送されていたコンセント13に差し込まれたことの検知信号が制御部16に入力されなくなり、電力の供給が遮断される。同時に表示ランプ13hが消灯し電源が遮断されたことを表示する。
【0042】
換言すれば、各信号線15の閉回路が開放される状態を、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知信号として捉え、先に伝送されていたコンセント13に差し込まれたことの検知信号を伝送しなくなるようにすることで電力の供給を遮断している。
【0043】
そして、次に、プラグ11を引き抜くことによって、栓刃11cがコンセント13の刃受け13cから引き抜かれる(図1(a))。この際、上記のように、先に、押しボタンスイッチ12aがOFFすることによって、既に電力の供給が遮断されているので、プラグ11の一対の栓刃11c間には直流電圧がかかっておらず、+極と−極間でアークを引くことがない。
【0044】
本実施例において、検知手段を押しボタンスイッチ12aで構成し、手動操作によってプラグが引き抜かれる状態を検知するようにしたが、例えば、静電容量を使った近接センサで検知手段を構成し、プラグを引き抜くために手をプラグに近付けた状態を検知することにより、プラグが引き抜かれる状態を検知するようにしてもよい。
【0045】
以上、本実施例の配電装置によれば、検知手段12により、プラグ11が引き抜かれる状態を検知して電源の供給を遮断するようにしたので、プラグ11をコンセント13から引き抜く際に、プラグの栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が解除される前に、電力の供給を遮断することが可能となり、プラグ11とコンセント13との間に生じやすいアークの発生を防止することができ、安全な配電装置を提供することができる。
【0046】
また、プラグ11をコンセント13に差し込む際には、検知手段12により、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことを検知して電源の供給を行うようにしたので、プラグ11とコンセント13との接続が先に行われてから後に、電源を供給することが可能となり、プラグ栓刃の半露出状態等で生じ易い感電を防止することができ安全である。
【0047】
また、プラグ11は、アークの発生を防止するための格別な構成を有することなく、例えば、既存の直流用のプラグをそのまま使用することができ、簡単な構成で、かつ確実にアークの発生を防止することができる。
【0048】
本実施例において、電源部17とコンセント13は、2本の電源線14と1本のアース線および2本の信号線15の合計5線で接続したが、図4に示すように、信号線15の一方の信号線を2本の電源線の内の一方と共用させて4線(アース線は図示せず)で構成し、共用された電源線に検知手段12からの検知信号を重畳させて制御部16に伝送するように構成してもよい。
【0049】
また、本実施例では1口のコンセントで構成したが、2口、3口等、多口のコンセントを構成する場合には、上記に構成された1口のコンセントと同様構成のコンセントを口数分構成して連接し、それぞれのコンセントに検知手段である押ボタンスイッチを設け、それぞれの押しボタンスイッチの各端子に、それぞれの信号線を接続して構成する。これにより、個々のコンセントにおいて、それぞれが独立した検知信号を制御部に伝送することによって、上記1口のコンセントと同様の作用効果を、多口用のコンセントで得ることができる。
【実施例2】
【0050】
本実施例は、上述した実施例1と同様に住宅等における直流を電源とした配電装置を構成したもので、本実施例の配電装置10における検知手段は、プラグの抜け止め機構に連動して動作するスイッチで構成し、プラグの抜き差し状態、すなわち、プラグ11がコンセント13に差し込まれた状態と、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態を自動的に検知するように構成し、プラグ11とコンセント13との間に生じやすいアークの発生を防止するようにしたものである。
【0051】
すなわち、プラグ11は、図6に示すように、実施例1で構成されたプラグ本体11aの両側部に、プラグの抜け止め機構30を設ける。抜け止め機構30は、電気絶縁性を有する熱硬化性の合成樹脂、本実施例では、プラグ本体11aと同様にユリア樹脂で略U字形状をなす抜け止め本体30aを一体に形成する。抜け止め本体30aは、U字の先端部に一対の係合爪30bを、また、両側部に一対の操作ボタン30cを一体に形成する。
【0052】
上記に構成された抜け止め本体30aは、その両側部がプラグ11の各栓刃11cと離間して外側に位置し、操作ボタン30cがプラグ本体11a両側面のガイド孔11hから突出するように構成する。また、一対の係合爪30bを、その先端部が栓刃11cの両側の外側で、プラグ11の端面部から突出するようにして収納する。一対の係合爪30bの突出寸法L2は、栓刃11cの突出寸法L1より短く形成する(L1>L2)。そして、抜け止め本体30aは、合成樹脂によりU字形状に一体に樹脂成型されていることから、その弾性によって操作ボタン30cを指で両側から摘むことによってU字の先端部に設けられた係合爪30bが、図6(a)中、矢印aで示す方向に撓み、元の状態に復帰することができる。
【0053】
上記に構成された抜け止め機構30は、その係合爪30bを、後述するコンセント13の爪挿入口13b3に挿入して係合させ、プラグ11をコンセント13に係止する。また係合爪30bと爪挿入口13b3の係合を解除することによってプラグ11をコンセント13から引き抜くことができるように構成される。これにより、コンセント13に差し込まれたプラグ11が容易に外れないように構成され、抜け止め機構付きのプラグ11が構成される。この抜け止め機構30は、後述するコンセント13のスイッチ12aと共に、プラグ11の抜き差し状態を検知する検知手段12を構成する。
【0054】
上記のように一対の栓刃11cおよびプラグの抜け止め機構30が収納され、コード11fが接続されたプラグ本体11aは、同形状をなすプラグカバー11bを被せてネジ11gで固定することによってプラグ11が構成される。なおプラグカバー11bにも、プラグ本体11aと同様のガイド孔11hが形成されている。このプラグ本体11aのガイド孔とプラグカバー11bのガイド孔は切欠で形成され、両者の切欠を合わせることによってガイド孔11hが構成される。このガイド孔11hに対して、操作ボタン30cが挿入され、指の摘み操作によって操作ボタン30cがガイドされる(図6(b))。
【0055】
コンセント13は、図7に示すように、実施例1で構成されたコンセント本体13a内の一側部に、上記プラグの抜け止め機構30における一方の係合爪30bに対応する位置に、ON/OFF式のマイクロスイッチからなるスイッチ12aを支持し収納する。このスイッチ12aは、抜け止め機構30と共にプラグの抜き差し状態を検知する検知手段12を構成するもので、プラグ11がコンセント13に差し込まれ、抜け止め機構30の係合爪30bが爪挿入口13b3に挿入され係合された状態で、一方(図6(c)中、上方)の係合爪30bによってスイッチ12aが押圧されてONする。
【0056】
また、プラグ11をコンセント13から引き抜く際に、事前に行われる抜け止め機構30の解除動作、すなわち、係合爪30bと爪挿入口13b3との係合を解除する操作によって、一方の係合爪30bがスイッチ12aから離反してOFFされる。また、スイッチ12aの両端子には、コンセント本体13a内に導入された一対の信号線15が、それぞれ接続されてスイッチ12aのON/OFFにより、信号線15の一端部が電気的に接続され、または接続が解除されるように構成される。
【0057】
上記のように一対の刃受け13cおよびスイッチ12aが収納され、電源線14および信号線15が接続されたコンセント本体13aは、コンセントカバー13bを被せてネジ13gで固定することによってコンセント13が構成される。なお、コンセントカバー13bの表面には、プラグ挿入口13b2の両側に一対の爪挿入口13b3を形成し、プラグ11の差し込み操作によって、抜け止め機構30の係合爪30bが爪挿入口13b3に挿入され、係合爪30bが爪挿入口13b3の裏面に係合することによってプラグ11をコンセント13に係止する。また、コンセント本体13aのコード導出孔13eから導出された電源線14および信号線15は、屋内配線を介して電源部17に接続される。
【0058】
上記のように、本実施例の検知手段12は、プラグの抜け止め機構30および抜け止め機構30に連動して動作するスイッチ12aで構成され、このスイッチ12aのON/OFFによって、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号と、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知信号、すなわち、プラグの抜き差し状態の検知信号を生成する。
【0059】
そして、栓刃11cの突出寸法L1が係合爪30bの突出寸法L2より長く構成されることによって(L1>L2)、プラグ11をコンセントに差し込む際には、図5(b)に示すように、先に、栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が行われ、次に、図5(c)に示すように、係合爪30bとコンセントカバー11bの爪挿入口13b3との係合が行われて一方の係合爪30bがスイッチ12aを押圧してONし、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号が生成され電源が供給される。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が行われてから後に、電源が供給される。
【0060】
また、プラグ11をコンセント13から引き抜く際は、係合爪30bの突出寸法L2が栓刃11cの突出寸法L1より短く構成されることによって(L2<L1)、図5(b)に示すように、先に、係合爪30bと爪挿入口13b3の係合が解除されて、一方の係合爪30bがスイッチ12aから離反することでOFFされ、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知信号が生成されて電源の供給が遮断される。そして、次に、図5(a)に示すように、栓刃11cと刃受け13cとの接続の解除が行われる。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が解除される前に、電源の供給が遮断される。
【0061】
電源部17、制御部16は、実施例1と同様に構成され、上述した検知手段12で生成されるプラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号と、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知信号が入力されることによって、電源部17の電力の供給および遮断を行うように制御する。
【0062】
次に、上記のように構成された配電装置10の作用につき説明する。本実施例の配電装置によれば、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知と、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知が、プラグの抜け止め機構30の操作に連動して自動的に行われることによって、抜け止め機構を備えたプラグにおける通常の差込み、または、引き抜き操作を行うことで、特に、直流配電で生じ易いアークの発生を防止することができる。
【0063】
先ず、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知は、次のようにして行われる。図5(b)に示すように、先ず、プラグ11の栓刃11cをコンセント13の刃受け13cに差し込む。この差し込み動作により、栓刃11cの突出寸法L1が抜け止め機構30の係合爪30bの突出寸法L2はより長いので、先に、栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が行われ、これに、若干遅れて、プラグ11の係合爪30bがコンセント13の爪挿入口13b3に差し込まれる。これにより、図5(c)に示すように、プラグ11の一対の係合爪30bとコンセントカバー11bの爪挿入口13bとの係合が行われ、一方の係合爪30bがスイッチ12aを押圧してONし、各信号線15の一端部が閉回路となる。
【0064】
この各信号線15の一端部が閉回路となる状態を、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号として捉え、この検知信号を、信号線15を介して電源部17の制御部16に伝送し、この検知信号、すなわち、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号が制御部16に自動的に入力されて所定の電力が電源線14を介してコンセント13に供給され、さらに、コンセントに差し込まれたプラグ11を介して負荷20に供給される。
【0065】
また、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知は次のようにして行われる。図5(c)の状態から図6(c)に上下の矢印で示すように、プラグ11における抜け止め機構30の操作ボタン30cを指で摘み、係合爪30bと爪挿入口13b3の係合を解除しながら、栓刃11cをコンセント13の刃受け13cから引き抜く。この動作によって、栓刃11cより突出寸法の短い係合爪30bと爪挿入口13b3の係合が、先に解除される。
【0066】
この際、先に、係合爪30bと爪挿入口13b3の係合が解除されることにより、スイッチ12aがOFFし、スイッチ12aのON動作により形成されていた各信号線15の一端部の閉回路が開放され、先に伝送されていたコンセント13に差し込まれたことの検知信号が制御部16に自動的に入力されなくなり、電力の供給が遮断される。
【0067】
換言すれば、各信号線15の閉回路が開放される状態を、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知信号として捉え、先に伝送されていたコンセント13に差し込まれたことの検知信号を伝送しなくなるようにすることで電力の供給を遮断している。
【0068】
そして、次に、プラグ11のさらなる引き抜き動作によって、図5(b)→図5(a)に示すように、係合爪30bより突出寸法の長い栓刃11cが刃受け11dから引き抜かれる。この際、上記のように、先に、係合爪30bと爪挿入口13b3との係合が解除され、既に、自動的に電力の供給が遮断されているので、一対の栓刃11c間には直流電圧がかかっておらず、+極と−極間でアークを発生することがない。
【0069】
以上、本実施例の配電装置によれば、検知手段12は、プラグの抜け止め機構30に連動して動作するスイッチ12aで構成し、プラグ11が引き抜かれる状態を、抜け止め機構30の操作に連動して自動的に検知するように構成し、電源の供給を遮断するようにした。これにより、プラグ11をコンセント13から引き抜く際に、プラグの栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が解除される前に、確実かつ簡単な操作で電力の供給を遮断することが可能となり、プラグ11とコンセント13との間に生じやすいアークの発生を防止することができ、安全な配電装置を提供することができる。
【0070】
また、検知手段12は、プラグの抜け止め機構30を利用して構成したので、抜け止め機構30を備えたプラグは、アークの発生を防止するための格別な構成を有することなく、例えば、既存の抜け止め機構30付きのプラグをそのまま使用することができ、簡単な構成で、かつ確実にアークの発生を防止することができる。また、プラグの抜け止め機構30が故障し、使用中にプラグがコンセントから外れかかったような場合にも、係合爪30bと爪挿入口13b3との係合が解除され、電力の供給を自動的に遮断することが可能となり、一層安全な配電装置を提供することができる。
【0071】
また、プラグ11をコンセント13に差し込む際にも、検知手段12により、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことを自動的に検知して電源の供給を行うようにしたので、プラグ11とコンセント13との接続が先に行われてから後に、確実かつ簡単な操作で電源を供給することが可能となり、プラグ栓刃の半露出状態等で生じ易い感電を確実に防止することができ、より一層安全な配電装置を提供することができる。
【0072】
本実施例において、上記とは逆に、コンセント13側に係合爪30bを形成し、プラグ11側に、この係合爪が係合する爪挿入口13b3を設けるように構成してもよい。これによれば、プラグ11側には、爪挿入口のみを形成すればよく、プラグが大きくなることがなく、既存の大きさのプラグを構成することができる。
【0073】
なお、本実施例において、実施例1と同一部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略した。また、本実施例におけるその他の構成、作用、作用効果、変形例等は、実施例1と同様である。
【実施例3】
【0074】
本実施例は、上述した実施例1、2と同様に、住宅等における直流を電源とした配電装置を構成したもので、本実施例の配電装置10における検知手段は、プラグの抜き差しに連動してON/OFFするスイッチで構成し、プラグの抜き差し状態、本実施例では、プラグの抜き差し動作、すなわち、プラグ11を差し込む動作と、プラグ11の引き抜き動作を行ったことを自動的に検知するように構成し、プラグ11とコンセント13との間に生じやすいアークの発生を防止するようにしたものである。
【0075】
すなわち、本実施例のプラグ11は、実施例1で構成されたプラグと同様に、プラグは、アークの発生を防止するための格別な構成を有することなく形成される。また、コンセント13は、図9に示すように、コンセント本体13aに検知手段12が設けられる。検知手段12は、ON/OFF機能を有する押しボタンスイッチ12aからなり、その操作ボタン12a1が、コンセント13の表面から、すなわち、コンセントカバー13bの表面から突出するようにして、コンセント本体13a内に内蔵される。この操作ボタン12a1は、コンセントカバー13bのプラグ挿入口13b2に近接して突出するように位置させ、プラグ11をコンセントのプラグ挿入口13b2に差し込んだときに、連動して同時にプラグ本体11aの端面部で押圧されるように構成する。
【0076】
また、押しボタンスイッチ12aの両端子には、コンセント本体13a内に導入された一対の信号線15が、それぞれ接続され押しボタンスイッチ12aの操作により、信号線15の一端部が電気的に接続され、または、接続が解除されるように構成される。
【0077】
上記のように一対の刃受け13cおよび押しボタンスイッチ12aが収納され、電源線14および信号線15が接続されたコンセント本体13aは、コンセントカバー13bを被せてネジ13gで固定することによってコンセント13が構成される。また、コンセント本体13aのコード導出孔13eから導出された電源線14および信号線15は、屋内配線を介して電源部17に接続される。
【0078】
上記のように、本実施例における検知手段12は、押しボタンスイッチ12aで構成され、プラグ11をコンセント13に差し込むことによって操作ボタン12a1を押し込んでスイッチをONし、プラグ11をコンセント13から引き抜くことによって操作ボタン12a1の押し込みを解除し、操作ボタン12a1を元の位置に復帰させてスイッチをOFFする。すなわち、押しボタンスイッチ12aのON/OFFによる信号線15の一端部の電気的な接続作用と接続の解除作用によって、プラグ11を差し込む動作の検知信号と、プラグ11の引き抜き動作の検知信号を生成する。
【0079】
すなわち、プラグ11をコンセント13に差し込む際には、栓刃11cのプラグ11一端面からの突出寸法L3が押しボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1の突出寸法L4より長く構成されることによって(L3>L4)、図8(b)に示すように、先に、栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が行われ、次に、図8(c)に示すように、押しボタンスイッチ12aがプラグ11の端面部によって押圧されてONし、プラグ11をコンセントに13に差し込む動作の検知信号が生成され電源が供給される。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が行われてから後に、電源が供給される。
【0080】
また、プラグ11をコンセント13から引き抜く際は、押しボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1の突出寸法L4が栓刃11cのプラグ11一端面からの突出寸法L3より短く構成されることによって(L4<L3)、図8(b)に示すように、先に、押しボタンスイッチ12aがOFFされ、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知信号を生成し電源の供給が遮断される。そして、次に、図8(a)に示すように、栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続の解除が行われる。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が解除される前に、電源の供給が遮断される。
【0081】
電源部17および制御部16は、実施例1と同様に構成され、上述した押しボタンスイッチ12aからなる検知手段12で生成されるプラグ11をコンセントに13に差し込む動作の検知信号と、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知信号が入力されることによって、電源部17の電力の供給および遮断を行うように制御する。
【0082】
次に、上記のように構成された配電装置10の作用につき説明する。本実施例の配電装置によれば、プラグ11を差し込む動作の検知と、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知がプラグの抜き差し動作に連動して自動的に行われることによって、通常のプラグの差込み、または、引き抜き操作を行うことで、特に、直流配電で生じ易いアークの発生を防止することができる。
【0083】
先ず、プラグ11を差し込む動作の検知は、次のようにして行われる。図8(b)に示すように、先ず、プラグ11の栓刃11cをコンセント13の刃受け13cに差し込む。この差し込み動作により、栓刃11cの突出寸法L3が押しボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1の突出寸法L2より長いので、先に、栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が行われ、これに、若干遅れて、図8(c)に示されるように、押しボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1が押圧されてスイッチがONし各信号線15の一端部が閉回路となる。
【0084】
この各信号線15の一端部が閉回路となる状態を、プラグ11を差し込む動作の検知信号として捉え、この検知信号を、信号線15を介して電源部17の制御部16に伝送し、この検知信号、すなわち、プラグ11を差し込む動作の検知信号が制御部16に自動的に入力されて所定の電力が電源線14を介してコンセント13に供給され、さらに、コンセントに差し込まれたプラグ11を介して負荷20に供給される。
【0085】
また、プラグ11の引き抜き動作検知は、次のようにして行われる。図8(b)に示すように、プラグ11の栓刃11cをコンセント13の刃受け13cから引き抜くことによって、栓刃11cより突出寸法が短い操作ボタン12a1が先にOFFする。
【0086】
この際、先に、押しボタンスイッチ12aがOFFされるこれにより、スイッチによって形成されていた各信号線15の一端部の閉回路が開放され、先に伝送されていたプラグ11を差し込む動作の検知信号が制御部16に自動的に入力されなくなり、電力の供給が遮断される。
【0087】
換言すれば、各信号線15の閉回路が開放される状態を、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知信号として捉え、先に伝送されていたプラグ11を差し込む動作の検知信号を伝送しなくなるようにすることで電力の供給を遮断している。
【0088】
そして、次に、プラグ11のさらなる引き抜き動作によって、図8(a)に示すように、押しボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1より突出寸法が長い栓刃11cがコンセントの刃受け13cから引き抜かれる。この際、上記のように、先に、押しボタンスイッチ12aがOFFすることによって、既に、自動的に電力の供給が遮断されているので、一対の栓刃11c間には直流電圧がかかっておらず、+極と−極間でアークを引くことがない。
【0089】
以上、本実施例の配電装置によれば、検知手段12は、プラグの抜き差しに連動してON/OFFする押しボタンスイッチ12aで構成し、プラグの抜き差し状態、本実施例では、プラグの抜き差し動作、すなわち、プラグ11の引き抜き動作を行ったことを、プラグ11の引き抜き操作に連動して自動的に検知するように構成し、電源の供給を遮断するようにした。これにより、プラグ11をコンセント13から引き抜く際に、プラグの栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が解除される前に、確実かつ簡単な操作で電力の供給を遮断することが可能となり、プラグ11とコンセント13との間に生じやすいアークの発生を防止することができ、安全な配電装置を提供することができる。
【0090】
また、プラグ11の引き抜き動作を行ったことを、プラグ11の引き抜き操作に連動して自動的に検知するようにしたので、例えば、使用中にプラグがコンセントから外れかかったような場合でも、押しボタンスイッチ12aがOFFすることによって、電力の供給を自動的に遮断することが可能となり、一層安全な配電装置を提供することができる。
【0091】
また、プラグは、アークの発生を防止するための格別な構成を有することなく、例えば、既存の直流用のプラグをそのまま使用することができ、簡単な構成で、かつ確実にアークの発生を防止することができる。また、実施例2と同様に、プラグ11をコンセント13に差し込む際にも、プラグ栓刃の半露出状態等で生じ易い感電を確実に防止することができる。
【0092】
本実施例において、検知手段12における押ボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1がプラグを抜いたときにコンセント13の表面から突出させるように構成したが、プラグ11を引き抜いたときに操作ボタン12a1がコンセント13の表面から突出しないように構成してもよい。これによれば、例えば、子供などが不用意に操作ボタン12a1を押すことができず、より安全な配電装置を構成することができる。
【0093】
なお、本実施例において、実施例1、2と同一部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略した。また、本実施例におけるその他の構成、作用、作用効果、変形例等は、実施例1、2と同様である。
【実施例4】
【0094】
本実施例は、上述した各実施例と同様に住宅等における直流を電源とした配電装置を構成したもので、本実施例の配電装置10における検知手段は、プラグに設けられた導電体とコンセントに設けられた導電体受け刃で構成し、プラグの抜き差し状態、本実施例では、プラグの抜き差し動作、すなわち、プラグ11を差し込む動作と、プラグ11の引き抜き動作を行ったことを自動的に検知するように構成し、プラグ11とコンセント13との間に生じやすいアークの発生を防止するようにしたものである。
【0095】
すなわち、プラグ11は、図11に示すように、実施例1で構成されたプラグ本体11aの両側部に、各栓刃11cと離間して電気的に絶縁された一対の導電体11dを、その先端部が栓刃11cの両側の外側で、かつ、プラグ11の端面部から突出するようにして収納する。一対の導電体11dの突出寸法L6は、栓刃11cの突出寸法L5より短く形成する(L6<L5)。一対の導電体11dは、後述するコンセント13の導電体受け刃13dと共に、プラグの抜き差し状態、本実施例では、プラグの抜き差し動作を検知する検知手段12を構成するもので、各栓刃11cと同様に導電性の良好な黄銅によって栓刃状をなすように形成する。上記に構成された一対の導電体11dの各端部には、リード線11d1の両端がネジ11d2によって接続されている。
【0096】
上記のように一対の栓刃11cおよび一対の導電体11dが収納され、コード11fおよびリード線11d1が接続されたプラグ本体11aは、同形状をなすプラグカバー11bを被せてネジ11gで固定することによってプラグ11が構成される。
【0097】
コンセント13は、図12に示すように、実施例1で構成されたコンセント本体13a内の両側部に、各刃受け13cと離間して電気的に絶縁された一対の導電体受け刃13dが、各刃受け13cの両側の外側に沿って長手方向に配置され収納されている。一対の導電体受け刃13dは、プラグ11の導電体11dと共にプラグの抜き差し動作を検知する検知手段12を構成するもので、各刃受け13cと同様に導電性の良好な黄銅によって形成されている。
【0098】
上記に構成された一対の導電体受け刃13dの端部には、各信号線15がネジ13d1によって接続されている。なお、コンセントカバー13bの表面には、プラグ挿入口13b2の両側に一対の導電体挿入口13b4を形成し、プラグ11の差し込み操作によって、導電体11dが導電体挿入口13b4に挿入され、プラグ11の導電体11dとコンセント13の導電体受け刃13dとの接続が行われる。また、コンセント本体13aのコード導出孔13eから導出された電源線14および信号線15は、屋内配線を介して電源部17に接続される。
【0099】
検知手段12は、プラグ11の導電体11dおよびコンセント13の導電体受け刃13dで構成され、この導電体11dと導電体受け刃13dの電気的な接続作用と接続の解除作用によって、プラグ11を差し込む動作の検知信号と、プラグ11の引き抜き動作の検知信号を生成する。すなわち、栓刃11cの突出寸法L6が導電体11dの突出寸法L5より長く構成されることによって(L6>L5)、プラグ11をコンセント13に差し込む際には、図10(b)に示すように、先に、栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が行われ、次に、図10(c)に示すように、導電体11dと導電体受け刃13dの接続が行われ、プラグ11を差し込む動作の検知信号が生成され電源が供給される。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が行われてから後に、電源が供給される。
【0100】
また、プラグ11をコンセント13から引き抜く際は、導電体11dの突出寸法L6が栓刃11cの突出寸法L5より短く構成されていることによって(L6<L5)、図10(b)に示すように、先に、導電体11dと導電体受け刃13dの接続の解除が行われ、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知信号を生成し電源の供給が遮断される。そして、次に、図10(a)に示すように、栓刃11cと刃受け13cとの接続の解除が行われる。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が解除される前に、電源の供給が遮断される。
【0101】
電源部17、制御部16は、実施例1と同様に構成され、上述した検知手段12で生成されるプラグ11を差し込む動作の検知信号と、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知信号が入力されることによって、電源部17の電力の供給および遮断を行うように制御する。
【0102】
次に、上記のように構成された配電装置10の作用につき説明する。本実施例の配電装置によれば、プラグ11を差し込む動作の検知と、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知がプラグの抜き差し動作に連動して自動的に行われることによって、通常のプラグの差込み、または、引き抜き操作を行うことで、特に、直流配電で生じ易いアークの発生を防止することができる。
【0103】
先ず、プラグ11を差し込む動作の検知は、次のようにして行われる。図10(b)に示すように、先ず、プラグ11の栓刃11cをコンセント13の刃受け13cに差し込む。この差し込み動作によって、栓刃11cの突出寸法L5が導電体11dの突出寸法L6より長いので、先に、栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が行われ、これに、若干遅れて、図10(c)に示すように、プラグ11の導電体11dがコンセント13の導電体受け刃13dに差し込まれる。これにより、図11(a)に示すように、プラグ11の一対の導電体11dの間がリード線11d1によって電気的に接続されていることから、各導電体受け刃13dに、それぞれ接続された各信号線15の一端部が閉回路となる。
【0104】
この各信号線15の一端部が閉回路となる状態を、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号として捉え、この検知信号を導電体受け刃15dに接続された信号線15を介して電源部17の制御部16に伝送し、この検知信号、すなわち、プラグ11を差し込む動作の検知信号が制御部16に自動的に入力されて所定の電力が電源線14を介してコンセント13に供給され、さらに、コンセントに差し込まれたプラグ11を介して負荷に供給される。
【0105】
また、プラグ11の引き抜き動作の検知は、次のようにして行われる。図10(b)に示すように、プラグ11の栓刃11cをコンセント13の刃受け13cから引き抜く動作によって、栓刃11cの突出寸法より短い導電体11dが、先に、コンセント13の導電体受け刃13dから引き抜かれる。
【0106】
この際、先に、プラグの導電体11dがコンセント13の導電体受け刃13dから引き抜かれることにより、プラグ11の一対の導電体11dの間を接続したリード線11d1によって形成されていた各信号線15の一端部の閉回路が開放され、先に伝送されていたプラグ11を差し込む動作の検知信号が制御部16に自動的に入力されなくなり、電力の供給が遮断される。
【0107】
換言すれば、各信号線15の閉回路が開放される状態を、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知信号として捉え、先に伝送されていたプラグ11を差し込む動作の検知信号を伝送しなくなるようにすることで電力の供給を遮断している。
【0108】
そして、次に、プラグ11のさらなる引き抜き動作によって、図10(a)に示すように導電体11dより突出寸法の長い栓刃11cが刃受け11dから引き抜かれる。この際、上記のように、先に導電体11dが導電体受け刃13dから引き抜かれ、既に、自動的に電力の供給が遮断されているので、一対の栓刃11c間には直流電圧がかかっておらず、+極と−極間でアークを引くことがない。
【0109】
以上、本実施例の配電装置によれば、検知手段12は、プラグ11に設けられた導電体11dとコンセント13に設けられた導電体受け刃13dで構成し、プラグの抜き差し状態、本実施例ではプラグ11の抜き差し動作、すなわち、プラグ11の引き抜き動作を行ったことを、プラグの引き抜き操作に連動して自動的に検知するように構成し、電源の供給を遮断するようにした。これにより、プラグ11をコンセント13から引き抜く際に、プラグの栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が解除される前に、確実かつ簡単な操作で電力の供給を遮断することが可能となり、プラグ11とコンセント13との間に生じやすいアークの発生を防止することができ、安全な配電装置を提供することができる。
【0110】
また、実施例3と同様に、使用中にプラグがコンセントから外れかかったような場合でも、先に導電体11dが導電体受け刃13dから引き抜かれて電力の供給を自動的に遮断することが可能となる。さらに、実施例2、3と同様に、プラグ11をコンセント13に差し込む際にも、プラグ栓刃の半露出状態等で生じ易い感電を確実に防止することができる。
【0111】
なお、本実施例において、実施例1、2、3と同一部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略した。また、本実施例におけるその他の構成、作用、作用効果、変形例等は、実施例1、2、3と同様である。以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の各実施例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0112】
10 配電装置
11 プラグ
12 検知手段
13 コンセント
14 電源線
15 信号線
16 制御部
17 電源部
20 負荷
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源に接続されるコンセントにプラグを差し込むことによって負荷に電源を供給する交流または直流の配電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の配電装置においては、プラグをコンセントから引き抜く際に、プラグを遅く緩やかに引き抜くと、プラグの栓刃とコンセントの刃受けとの間でアークが発生する恐れがある。例えば、特許文献1(特に、段落番号[0006])には、太陽電池は日射があれば設置者の意思とは無関係に自動的に発電しており、そういう状態でインバータをコンセントから抜くとスパークが飛ぶ恐れがあると記載されている。
【0003】
一方、近時、太陽光発電の普及に伴って住宅での直流配電の必要性が高まり、これら直流配電装置においては、+極と−極との間で常に所定の電圧がかかっていることからアークが発生し易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−210823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、段落番号[0008]に示されているように、太陽電池から入力される直流電力を交流電力に変換し、この変換した交流電力をインバータのプラグからコンセントを介して商用交流系統に出力する際に、インバータのプラグがコンセントから取り外された場合に、交流電力の供給を停止してアークの発生を防止するようした電力変換装置、その電力変換装置を用いる発電装置、およびそれらの制御方法を提供するものである。具体的には、直流を交流に変換するインバータの出力プラグと、商用交流系統に設けられたコンセントとの間のアークの発生を防止しようとするものである。したがって、住宅等の屋内の配電路に接続されたコンセントから電気器具を取り外す操作、すなわち、一般使用者が日常頻繁に行うプラグの抜き差しにおけるアークの発生を防止することには至っていない。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、負荷に電源を供給するプラグをコンセントから引き抜く際に生じやすいアークの発生を防止することが可能な配電装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の配電装置の発明は、負荷に電源を供給するプラグと;プラグが接続されると共に、プラグの抜き差し状態を検知する検知手段を有するコンセントと;コンセントに電源線を介して電源を供給すると共に、検知手段による検知信号が信号線を介して伝送され、電源の供給を制御する制御部を有する電源部と;を具備していることを特徴とする。
【0008】
本発明において、配電装置は、太陽光発電システム等が設置された直流を電源とした配電装置に適用することが好適であるが、従来の商用交流を電源とした配電装置に適用されてもよい。
【0009】
本発明において、負荷に接続されるプラグは、電圧側および接地側、直流においては+極および−極の2本の栓刃を有するもの、さらに、弱電回路に使用されるジャック式の同軸プラグ等であってもよく、特定された形状のプラグには限定されない。さらには、アース端子付きの3本の栓刃からなるプラグであってもよい。
【0010】
コンセントは、上述した各種のプラグの栓刃が抜き差し可能な刃受けを有する全てのコンセントが許容される。また、プラグの抜き差し状態を検知する検知手段は、手動操作、例えば、プラグを抜き差しする際にボタンを押すことによって生成される信号を検知してもよく、さらに、プラグの安全装置として用いられるプラグの抜け止め機構の動作を検知しても、さらには、赤外線や静電容量等を利用した近接センサによって、手でプラグを掴む、若しくは掴んだ状態を検知するようにしてもよい。さらに、コンセントの刃受けに対しプラグの栓刃を抜き差しする動作を検知してもよく、プラグが抜き差しされる全ての状態を検知することが可能な検知手段が許容される。さらには、上記した各種の検知手段を組み合わせることにより、より確実に検知するようにしてもよい。
【0011】
電源部は、直流配電装置を構成する場合には、商用交流電源に接続され、住宅等の分電盤内に設置されたAC/DCコンバータ等からなる直流電源部で構成されることが好ましいが、太陽電池や充電可能なバッテリ等からなる直流電源部で構成されるものであってもよい。さらには、交流配電装置を構成する場合には、商用交流電源で構成された電源部であってもよい。
【0012】
電源の供給を制御する制御部は、例えば、マイクロコンピュータ等からなる制御回路で構成し、この制御回路へ検知手段で検知した検知信号を入力することによって、電源部からコンセントへの電源の供給・遮断、若しくは、低減等によって電源の供給を制御するようにしてもよい。制御部は、例えば、プラグが引き抜かれる状態を検知した検知信号により、電源の供給を遮断することが好ましいが、供給する電力を、例えば、アークが引き難い低電圧に低減し、常時、配電装置の電路に低電圧の電力が供給できるように制御し、プラグが再度差し込まれることによって通常の所定電力が電路に対して供給されるように制御してもよい。要は、アークの発生を防止することが可能になるように、電源の供給を制御する全ての制御手段が許容される。また、電源の供給を遮断する場合には、瞬時に遮断することが好ましいが、電力の供給を徐々に低減させながら遮断するようにしてもよく、アークの発生を防止することが可能な全ての遮断のための制御手段が許容される。
【0013】
検知信号を伝送する信号線は、2線式の専用の信号線で構成されることが好ましいが、電源線、若しくは電源線の一方に検知信号を重畳させるようにして検知信号を制御部に伝送するようにしてもよい。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の配電装置において、前記コンセントの検知手段は、プラグの抜け止め機構の動作を検知することを特徴とする。
【0015】
本発明において、プラグの抜け止め機構の動作の検知は、例えば、プラグの安全装置として用いられるプラグとコンセントとの抜け止め作用を有する係合機構を解除するための動作、すなわち、プラグの栓刃を引き抜く前に行われる係合機構の解除動作を検知して検知信号を出力するようにしてもよい。具体的には、抜け止めを行う係合機構に連動して設けられたスイッチが、係合機構を解除するための動作に連動して開放若しくは閉止されることにより検知信号が生成されるようにしてもよい。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の配電装置において、前記コンセントの検知手段は、プラグの抜き差し動作を検知することを特徴とする。
【0017】
本発明において、プラグの抜き差し動作の検知は、例えば、プラグを引き抜く際のプラグの移動動作を検知して検知信号を出力するようにしてもよい。または、コンセントに設けられたスイッチが、プラグの抜き差し動作に連動して開放若しくは閉止されることにより検知信号が生成されるようにしてもよく、コンセントの刃受けとプラグの栓刃との抜き差し動作を検知する全ての手段が許容される。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3いずれか一記載の配電装置において、前記検知手段は、プラグとコンセントとの接続が解除される前に、検知信号を制御部に伝送し、電源の供給を制御するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、プラグの抜き差し状態を検知する検知手段を有するコンセントと、コンセントに電源線を介して電源を供給すると共に、検知手段による検知信号が信号線を介して伝送され、電源の供給を制御する制御部を有する電源部により、プラグとコンセントとの間に生じやすいアークの発生を防止することが可能な配電装置を提供することができる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、コンセントの検知手段は、プラグの抜け止め機構の動作を検知するようにしたので、プラグとコンセントとの間に生じやすいアークの発生を、確実に防止することが可能な配電装置を提供することができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、コンセントの検知手段は、プラグの抜き差し動作を検知するようにしたので、プラグとコンセントとの間に生じやすいアークの発生を、確実に防止することが可能な配電装置を提供することができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、検知手段は、プラグとコンセントとの接続が解除される前に、検知信号を制御部に伝送し、電源の供給を制御するようにしたので、プラグとコンセントとの間に生じやすいアークの発生を、より確実に防止することが可能な配電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態である配電装置を示し、(a)は電源部、コンセント、プラグの接続状態と検知手段の動作状態を模式的に示す配電図、(b)はコンセントとプラグが接続された状態および検知手段の作動状態を模式的に示す図。
【図2】同じく配電装置におけるプラグを示し、(a)はプラグカバーを外した状態を示す平面図、(b)はプラグカバーを被せた状態の側面図。
【図3】同じく配電装置におけるコンセントを示し、(a)はコンセントカバーを外した状態を示す平面図、(b)はコンセントカバーを被せた状態を示す平面図、(c)はコンセントカバーを被せた状態を示す斜視図。
【図4】同じく配電装置の変形例を示す、図1(a)に相当する配電図。
【図5】本発明の第2の実施形態である配電装置を示し、(a)は電源部、コンセント、プラグの接続状態と検知手段の動作状態を模式的に示す配電図、(b)はコンセントとプラグが接続される途中の状態および検知手段の動作状態を模式的に示す図、(c)はコンセントとプラグが接続された状態および検知手段の作動状態を模式的に示す図。
【図6】同じく配電装置におけるプラグを示し、(a)はプラグカバーを外した状態を示す平面図、(b)はプラグカバーを被せた状態の側面図、(c)はコンセントからプラグが外される初期状態および検知手段の動作状態を模式的に示す図。
【図7】同じく配電装置におけるコンセントを示し、(a)はコンセントカバーを外した状態を示す平面図、(b)はコンセントカバーを被せた状態を示す平面図、(c)はコンセントカバーを被せた状態を示す斜視図。
【図8】本発明の第3の実施形態である配電装置を示し、(a)は電源部、コンセント、プラグの接続状態と検知手段の動作状態を模式的に示す配電図、(b)はコンセントとプラグが接続される途中の状態および検知手段の動作状態を模式的に示す図、(c)はコンセントとプラグが接続された状態および検知手段の作動状態を模式的に示す図。
【図9】同じく配電装置におけるコンセントを示し、(a)はコンセントカバーを外した状態を示す平面図、(b)はコンセントカバーを被せた状態を示す平面図、(c)はコンセントカバーを被せた状態を示す斜視図。
【図10】本発明の第4の実施形態である配電装置を示し、(a)は電源部、コンセント、プラグの接続状態と検知手段の動作状態を模式的に示す配電図、(b)はコンセントとプラグが接続される途中の状態および検知手段の動作状態を模式的に示す図、(c)はコンセントとプラグが接続された状態および検知手段の作動状態を模式的に示す図。
【図11】同じく配電装置におけるプラグを示し、(a)はプラグカバーを外した状態を示す平面図、(b)はプラグカバーを被せた状態の側面図。
【図12】同じく配電装置におけるコンセントを示し、(a)はコンセントカバーを外した状態を示す平面図、(b)はコンセントカバーを被せた状態を示す平面図、(c)はコンセントカバーを被せた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の配電装置の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0025】
本実施例は、住宅等における直流を電源とした配電装置を構成したもので、配電装置10は、図1に示すように、負荷に電源を供給するプラグ11、プラグが接続されると共に、プラグの抜き差し状態を検知する検知手段12を有するコンセン13、コンセントに電源線14を介して電源を供給すると共に、検知手段による検知信号が信号線15を介して伝送され、電源の供給を制御する制御部16を有する電源部17で構成される。
【0026】
負荷に電源を供給するプラグ11は、図2に示すように、電気絶縁性を有する熱硬化性合成樹脂、本実施例ではユリア樹脂からなるプラグ本体11aと、同形状をなすプラグカバー11bからなる。プラグ本体11a内には、一対の同形状をなす栓刃11cが、その先端部がプラグ本体11aの端面部から突出するようにして収納されている。一方の栓刃11cが+極、他方の栓刃11cが−極の栓刃を構成し、各栓刃11cには、プラグ本体11aの他端面に設けられたコード導出孔11eから挿入されたコード11fがネジ11c1によって接続される。各栓刃11cは導電性の良好な黄銅で構成する。
【0027】
上記のように一対の栓刃11cが収納され、コード11fが接続されたプラグ本体11aは、同形状をなすプラグカバー11bを被せてネジ11gで固定することによってプラグ11が構成される。また、プラグ本体11aのコード導出孔11eから導出されたコード11fには直流機器としての、例えば、発光ダイオードを光源とする照明器具からなる負荷20が、プラグの栓刃11cの極性に合わせて接続される。図1中、Sは、プラグ1の表面側を表示した表示部で、この表示部Sを表側にしてプラグ11をコンセント13に差し込むことによって、プラグ11とコンセント13の極性が自動的に合わせることができるようにしている。
【0028】
プラグ11が接続されるコンセント13は、図3に示すように、電気絶縁性を有する熱硬化性合成樹脂、本実施例ではプラグ11と同様にユリア樹脂からなるコンセント本体13aと、コンセントカバー13bからなる。コンセント本体13a内には、一対の同形状をなす刃受け13cが、長手方向に沿って略平行になるように配置され収納されている。一方の刃受け13cが+極、他方の刃受け13cが−極の刃受けを構成している。各刃受け13cは、導電性の良好な黄銅で構成する。本実施例のコンセントは1個のプラグ11が接続される1口用のコンセントとして構成される。
【0029】
上記に構成された各刃受け13cには、コンセント本体13aの端部に設けられたコード導出孔13eから挿入された電源線14がネジ13c1によって接続されている。また、コンセント本体13a内には、一対の信号線15がコード導出孔13eから導入される。各信号線15は絶縁被覆がなされた一対のコードで形成され、各刃受け13cと電気的に絶縁されるようにしてコンセント本体13a内に導入されている。
【0030】
さらに、コンセント本体13aには、検知手段12が設けられる。検知手段12は、本実施例ではON/OFF機能を有する押しボタンスイッチ12aからなり、その操作ボタン12a1が、コンセント13の表面から、すなわち、コンセントカバー13bの表面から突出するようにして、コンセント本体13a内に内蔵される。このスイッチは、プッシュプッシュ式の押しボタンスイッチ12aで構成され、操作ボタン12a1を押すと、操作ボタンが押し込まれた位置にロックされてスイッチがONし、再度操作ボタンを押すことによってロックが解除され、操作ボタン12a1が元の位置に戻ると共にスイッチがOFFされるように作動する。
【0031】
この操作ボタン12a1は、コンセントカバー13bのプラグ挿入口13b2から離間させて突出するように位置させ、使用者がプラグ11に邪魔されることなく押圧操作ができるように構成する。また、押しボタンスイッチ12aの両端子には、コンセント本体13a内に導入された一対の信号線15が、それぞれ接続され押しボタンスイッチ12aの押圧操作により、信号線15の一端部が電気的に接続され、または接続が解除されるように構成される。図中13hは、押しボタンスイッチ12aがONされると赤色に点灯し、OFFされると消灯する電源表示用の表示ランプである。
【0032】
上記のように一対の刃受け13cおよび押しボタンスイッチ12aが収納され、電源線14および信号線15が接続されたコンセント本体13aは、コンセントカバー13bを被せてネジ13gで固定することによってコンセント13が構成される。また、コンセント本体13aのコード導出孔13eから導出された電源線14および信号線15は、屋内配線を介して後述する電源部17に接続される(図1(a))。
【0033】
上記のように、本実施例における検知手段12は、手動による押しボタンスイッチ12aのON/OFF操作による信号線15の一端部の電気的な接続作用と接続の解除作用によって、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号と、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知信号、すなわち、プラグの抜き差し状態の検知信号を生成する。
【0034】
そして、検知手段12が押しボタンスイッチ12aで構成されることによって、プラグ11をコンセント13に差し込む際には、先に、栓刃11cと刃受け13cとの接続を行い、次に、押しボタンスイッチ12aを押圧してONし、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号が生成され電源が供給される。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が行われてから後に、電源が供給される。
【0035】
また、プラグ11をコンセント13から引き抜く際は、先に、押しボタンスイッチ12aを再度押圧してOFFし、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知信号を生成し電源の供給が遮断され、次に、栓刃11cと刃受け13cとの接続の解除が行われる。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が解除される前に、電源の供給が遮断される。
【0036】
電源部17は、図1に示すように、商用交流電源Eに接続された住宅等における分電盤18内に、AC/DCコンバータからなる電力変換部19と制御部16で構成され、この電源部17から住宅の屋内等に対して直流配電の電路が配線され、この電路に対して、上述したコンセント13や引掛シーリング等の直流出力部材が設けられ、本実施例における直流の配電装置10が構成される。本実施例においては、電源部17とコンセント13は、2本の電源線14と1本のアース線(図示せず)および2本の信号線15の合計5線で接続されている。本実施例の配電装置は、電源部17から48Vまたは24V程度の電圧が出力される弱電圧配電装置として構成される。
【0037】
制御部16は、マイクロコンピュータを有する制御回路で構成され、検知手段12で生成されるプラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号と、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知信号が入力されることによって、電源部17の電力の供給および遮断を行うように制御する。
【0038】
次に、上記のように構成された配電装置10の作用につき説明する。本実施例の配電装置によれば、検知手段12を構成する押しボタンスイッチ12aにより、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知と、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知が行われることによって、特に、直流配電で生じ易いアークの発生を防止することができる。
【0039】
先ず、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知は、次のようにして行われる。先ず、プラグ11を、その表示部Sを表側にして極性を合わせ、栓刃11cをコンセント13の刃受け13cに差し込む。次に、押しボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1を押圧してスイッチをONする(図1(b))。これによって各信号線15の一端部が閉回路となる。
【0040】
この各信号線15の一端部が閉回路となる状態を、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号として捉え、この検知信号を、信号線15を介して電源部17の制御部16に伝送し、この検知信号、すなわち、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号が制御部16に入力され、所定の電力が電源線14を介してコンセント13に供給され、さらに、コンセントに差し込まれたプラグ11を介して負荷20に供給される。同時に表示ランプ13hが点灯し電源が供給されたことを表示する。
【0041】
また、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知は、次のようにして行われる。図1(b)に示す状態から、先ず、押しボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1を押圧してスイッチをOFFする。これによって、各信号線15の一端部の閉回路が開放され、先に伝送されていたコンセント13に差し込まれたことの検知信号が制御部16に入力されなくなり、電力の供給が遮断される。同時に表示ランプ13hが消灯し電源が遮断されたことを表示する。
【0042】
換言すれば、各信号線15の閉回路が開放される状態を、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知信号として捉え、先に伝送されていたコンセント13に差し込まれたことの検知信号を伝送しなくなるようにすることで電力の供給を遮断している。
【0043】
そして、次に、プラグ11を引き抜くことによって、栓刃11cがコンセント13の刃受け13cから引き抜かれる(図1(a))。この際、上記のように、先に、押しボタンスイッチ12aがOFFすることによって、既に電力の供給が遮断されているので、プラグ11の一対の栓刃11c間には直流電圧がかかっておらず、+極と−極間でアークを引くことがない。
【0044】
本実施例において、検知手段を押しボタンスイッチ12aで構成し、手動操作によってプラグが引き抜かれる状態を検知するようにしたが、例えば、静電容量を使った近接センサで検知手段を構成し、プラグを引き抜くために手をプラグに近付けた状態を検知することにより、プラグが引き抜かれる状態を検知するようにしてもよい。
【0045】
以上、本実施例の配電装置によれば、検知手段12により、プラグ11が引き抜かれる状態を検知して電源の供給を遮断するようにしたので、プラグ11をコンセント13から引き抜く際に、プラグの栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が解除される前に、電力の供給を遮断することが可能となり、プラグ11とコンセント13との間に生じやすいアークの発生を防止することができ、安全な配電装置を提供することができる。
【0046】
また、プラグ11をコンセント13に差し込む際には、検知手段12により、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことを検知して電源の供給を行うようにしたので、プラグ11とコンセント13との接続が先に行われてから後に、電源を供給することが可能となり、プラグ栓刃の半露出状態等で生じ易い感電を防止することができ安全である。
【0047】
また、プラグ11は、アークの発生を防止するための格別な構成を有することなく、例えば、既存の直流用のプラグをそのまま使用することができ、簡単な構成で、かつ確実にアークの発生を防止することができる。
【0048】
本実施例において、電源部17とコンセント13は、2本の電源線14と1本のアース線および2本の信号線15の合計5線で接続したが、図4に示すように、信号線15の一方の信号線を2本の電源線の内の一方と共用させて4線(アース線は図示せず)で構成し、共用された電源線に検知手段12からの検知信号を重畳させて制御部16に伝送するように構成してもよい。
【0049】
また、本実施例では1口のコンセントで構成したが、2口、3口等、多口のコンセントを構成する場合には、上記に構成された1口のコンセントと同様構成のコンセントを口数分構成して連接し、それぞれのコンセントに検知手段である押ボタンスイッチを設け、それぞれの押しボタンスイッチの各端子に、それぞれの信号線を接続して構成する。これにより、個々のコンセントにおいて、それぞれが独立した検知信号を制御部に伝送することによって、上記1口のコンセントと同様の作用効果を、多口用のコンセントで得ることができる。
【実施例2】
【0050】
本実施例は、上述した実施例1と同様に住宅等における直流を電源とした配電装置を構成したもので、本実施例の配電装置10における検知手段は、プラグの抜け止め機構に連動して動作するスイッチで構成し、プラグの抜き差し状態、すなわち、プラグ11がコンセント13に差し込まれた状態と、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態を自動的に検知するように構成し、プラグ11とコンセント13との間に生じやすいアークの発生を防止するようにしたものである。
【0051】
すなわち、プラグ11は、図6に示すように、実施例1で構成されたプラグ本体11aの両側部に、プラグの抜け止め機構30を設ける。抜け止め機構30は、電気絶縁性を有する熱硬化性の合成樹脂、本実施例では、プラグ本体11aと同様にユリア樹脂で略U字形状をなす抜け止め本体30aを一体に形成する。抜け止め本体30aは、U字の先端部に一対の係合爪30bを、また、両側部に一対の操作ボタン30cを一体に形成する。
【0052】
上記に構成された抜け止め本体30aは、その両側部がプラグ11の各栓刃11cと離間して外側に位置し、操作ボタン30cがプラグ本体11a両側面のガイド孔11hから突出するように構成する。また、一対の係合爪30bを、その先端部が栓刃11cの両側の外側で、プラグ11の端面部から突出するようにして収納する。一対の係合爪30bの突出寸法L2は、栓刃11cの突出寸法L1より短く形成する(L1>L2)。そして、抜け止め本体30aは、合成樹脂によりU字形状に一体に樹脂成型されていることから、その弾性によって操作ボタン30cを指で両側から摘むことによってU字の先端部に設けられた係合爪30bが、図6(a)中、矢印aで示す方向に撓み、元の状態に復帰することができる。
【0053】
上記に構成された抜け止め機構30は、その係合爪30bを、後述するコンセント13の爪挿入口13b3に挿入して係合させ、プラグ11をコンセント13に係止する。また係合爪30bと爪挿入口13b3の係合を解除することによってプラグ11をコンセント13から引き抜くことができるように構成される。これにより、コンセント13に差し込まれたプラグ11が容易に外れないように構成され、抜け止め機構付きのプラグ11が構成される。この抜け止め機構30は、後述するコンセント13のスイッチ12aと共に、プラグ11の抜き差し状態を検知する検知手段12を構成する。
【0054】
上記のように一対の栓刃11cおよびプラグの抜け止め機構30が収納され、コード11fが接続されたプラグ本体11aは、同形状をなすプラグカバー11bを被せてネジ11gで固定することによってプラグ11が構成される。なおプラグカバー11bにも、プラグ本体11aと同様のガイド孔11hが形成されている。このプラグ本体11aのガイド孔とプラグカバー11bのガイド孔は切欠で形成され、両者の切欠を合わせることによってガイド孔11hが構成される。このガイド孔11hに対して、操作ボタン30cが挿入され、指の摘み操作によって操作ボタン30cがガイドされる(図6(b))。
【0055】
コンセント13は、図7に示すように、実施例1で構成されたコンセント本体13a内の一側部に、上記プラグの抜け止め機構30における一方の係合爪30bに対応する位置に、ON/OFF式のマイクロスイッチからなるスイッチ12aを支持し収納する。このスイッチ12aは、抜け止め機構30と共にプラグの抜き差し状態を検知する検知手段12を構成するもので、プラグ11がコンセント13に差し込まれ、抜け止め機構30の係合爪30bが爪挿入口13b3に挿入され係合された状態で、一方(図6(c)中、上方)の係合爪30bによってスイッチ12aが押圧されてONする。
【0056】
また、プラグ11をコンセント13から引き抜く際に、事前に行われる抜け止め機構30の解除動作、すなわち、係合爪30bと爪挿入口13b3との係合を解除する操作によって、一方の係合爪30bがスイッチ12aから離反してOFFされる。また、スイッチ12aの両端子には、コンセント本体13a内に導入された一対の信号線15が、それぞれ接続されてスイッチ12aのON/OFFにより、信号線15の一端部が電気的に接続され、または接続が解除されるように構成される。
【0057】
上記のように一対の刃受け13cおよびスイッチ12aが収納され、電源線14および信号線15が接続されたコンセント本体13aは、コンセントカバー13bを被せてネジ13gで固定することによってコンセント13が構成される。なお、コンセントカバー13bの表面には、プラグ挿入口13b2の両側に一対の爪挿入口13b3を形成し、プラグ11の差し込み操作によって、抜け止め機構30の係合爪30bが爪挿入口13b3に挿入され、係合爪30bが爪挿入口13b3の裏面に係合することによってプラグ11をコンセント13に係止する。また、コンセント本体13aのコード導出孔13eから導出された電源線14および信号線15は、屋内配線を介して電源部17に接続される。
【0058】
上記のように、本実施例の検知手段12は、プラグの抜け止め機構30および抜け止め機構30に連動して動作するスイッチ12aで構成され、このスイッチ12aのON/OFFによって、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号と、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知信号、すなわち、プラグの抜き差し状態の検知信号を生成する。
【0059】
そして、栓刃11cの突出寸法L1が係合爪30bの突出寸法L2より長く構成されることによって(L1>L2)、プラグ11をコンセントに差し込む際には、図5(b)に示すように、先に、栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が行われ、次に、図5(c)に示すように、係合爪30bとコンセントカバー11bの爪挿入口13b3との係合が行われて一方の係合爪30bがスイッチ12aを押圧してONし、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号が生成され電源が供給される。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が行われてから後に、電源が供給される。
【0060】
また、プラグ11をコンセント13から引き抜く際は、係合爪30bの突出寸法L2が栓刃11cの突出寸法L1より短く構成されることによって(L2<L1)、図5(b)に示すように、先に、係合爪30bと爪挿入口13b3の係合が解除されて、一方の係合爪30bがスイッチ12aから離反することでOFFされ、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知信号が生成されて電源の供給が遮断される。そして、次に、図5(a)に示すように、栓刃11cと刃受け13cとの接続の解除が行われる。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が解除される前に、電源の供給が遮断される。
【0061】
電源部17、制御部16は、実施例1と同様に構成され、上述した検知手段12で生成されるプラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号と、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知信号が入力されることによって、電源部17の電力の供給および遮断を行うように制御する。
【0062】
次に、上記のように構成された配電装置10の作用につき説明する。本実施例の配電装置によれば、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知と、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知が、プラグの抜け止め機構30の操作に連動して自動的に行われることによって、抜け止め機構を備えたプラグにおける通常の差込み、または、引き抜き操作を行うことで、特に、直流配電で生じ易いアークの発生を防止することができる。
【0063】
先ず、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知は、次のようにして行われる。図5(b)に示すように、先ず、プラグ11の栓刃11cをコンセント13の刃受け13cに差し込む。この差し込み動作により、栓刃11cの突出寸法L1が抜け止め機構30の係合爪30bの突出寸法L2はより長いので、先に、栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が行われ、これに、若干遅れて、プラグ11の係合爪30bがコンセント13の爪挿入口13b3に差し込まれる。これにより、図5(c)に示すように、プラグ11の一対の係合爪30bとコンセントカバー11bの爪挿入口13bとの係合が行われ、一方の係合爪30bがスイッチ12aを押圧してONし、各信号線15の一端部が閉回路となる。
【0064】
この各信号線15の一端部が閉回路となる状態を、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号として捉え、この検知信号を、信号線15を介して電源部17の制御部16に伝送し、この検知信号、すなわち、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号が制御部16に自動的に入力されて所定の電力が電源線14を介してコンセント13に供給され、さらに、コンセントに差し込まれたプラグ11を介して負荷20に供給される。
【0065】
また、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知は次のようにして行われる。図5(c)の状態から図6(c)に上下の矢印で示すように、プラグ11における抜け止め機構30の操作ボタン30cを指で摘み、係合爪30bと爪挿入口13b3の係合を解除しながら、栓刃11cをコンセント13の刃受け13cから引き抜く。この動作によって、栓刃11cより突出寸法の短い係合爪30bと爪挿入口13b3の係合が、先に解除される。
【0066】
この際、先に、係合爪30bと爪挿入口13b3の係合が解除されることにより、スイッチ12aがOFFし、スイッチ12aのON動作により形成されていた各信号線15の一端部の閉回路が開放され、先に伝送されていたコンセント13に差し込まれたことの検知信号が制御部16に自動的に入力されなくなり、電力の供給が遮断される。
【0067】
換言すれば、各信号線15の閉回路が開放される状態を、プラグ11がコンセント13から引き抜かれる状態の検知信号として捉え、先に伝送されていたコンセント13に差し込まれたことの検知信号を伝送しなくなるようにすることで電力の供給を遮断している。
【0068】
そして、次に、プラグ11のさらなる引き抜き動作によって、図5(b)→図5(a)に示すように、係合爪30bより突出寸法の長い栓刃11cが刃受け11dから引き抜かれる。この際、上記のように、先に、係合爪30bと爪挿入口13b3との係合が解除され、既に、自動的に電力の供給が遮断されているので、一対の栓刃11c間には直流電圧がかかっておらず、+極と−極間でアークを発生することがない。
【0069】
以上、本実施例の配電装置によれば、検知手段12は、プラグの抜け止め機構30に連動して動作するスイッチ12aで構成し、プラグ11が引き抜かれる状態を、抜け止め機構30の操作に連動して自動的に検知するように構成し、電源の供給を遮断するようにした。これにより、プラグ11をコンセント13から引き抜く際に、プラグの栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が解除される前に、確実かつ簡単な操作で電力の供給を遮断することが可能となり、プラグ11とコンセント13との間に生じやすいアークの発生を防止することができ、安全な配電装置を提供することができる。
【0070】
また、検知手段12は、プラグの抜け止め機構30を利用して構成したので、抜け止め機構30を備えたプラグは、アークの発生を防止するための格別な構成を有することなく、例えば、既存の抜け止め機構30付きのプラグをそのまま使用することができ、簡単な構成で、かつ確実にアークの発生を防止することができる。また、プラグの抜け止め機構30が故障し、使用中にプラグがコンセントから外れかかったような場合にも、係合爪30bと爪挿入口13b3との係合が解除され、電力の供給を自動的に遮断することが可能となり、一層安全な配電装置を提供することができる。
【0071】
また、プラグ11をコンセント13に差し込む際にも、検知手段12により、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことを自動的に検知して電源の供給を行うようにしたので、プラグ11とコンセント13との接続が先に行われてから後に、確実かつ簡単な操作で電源を供給することが可能となり、プラグ栓刃の半露出状態等で生じ易い感電を確実に防止することができ、より一層安全な配電装置を提供することができる。
【0072】
本実施例において、上記とは逆に、コンセント13側に係合爪30bを形成し、プラグ11側に、この係合爪が係合する爪挿入口13b3を設けるように構成してもよい。これによれば、プラグ11側には、爪挿入口のみを形成すればよく、プラグが大きくなることがなく、既存の大きさのプラグを構成することができる。
【0073】
なお、本実施例において、実施例1と同一部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略した。また、本実施例におけるその他の構成、作用、作用効果、変形例等は、実施例1と同様である。
【実施例3】
【0074】
本実施例は、上述した実施例1、2と同様に、住宅等における直流を電源とした配電装置を構成したもので、本実施例の配電装置10における検知手段は、プラグの抜き差しに連動してON/OFFするスイッチで構成し、プラグの抜き差し状態、本実施例では、プラグの抜き差し動作、すなわち、プラグ11を差し込む動作と、プラグ11の引き抜き動作を行ったことを自動的に検知するように構成し、プラグ11とコンセント13との間に生じやすいアークの発生を防止するようにしたものである。
【0075】
すなわち、本実施例のプラグ11は、実施例1で構成されたプラグと同様に、プラグは、アークの発生を防止するための格別な構成を有することなく形成される。また、コンセント13は、図9に示すように、コンセント本体13aに検知手段12が設けられる。検知手段12は、ON/OFF機能を有する押しボタンスイッチ12aからなり、その操作ボタン12a1が、コンセント13の表面から、すなわち、コンセントカバー13bの表面から突出するようにして、コンセント本体13a内に内蔵される。この操作ボタン12a1は、コンセントカバー13bのプラグ挿入口13b2に近接して突出するように位置させ、プラグ11をコンセントのプラグ挿入口13b2に差し込んだときに、連動して同時にプラグ本体11aの端面部で押圧されるように構成する。
【0076】
また、押しボタンスイッチ12aの両端子には、コンセント本体13a内に導入された一対の信号線15が、それぞれ接続され押しボタンスイッチ12aの操作により、信号線15の一端部が電気的に接続され、または、接続が解除されるように構成される。
【0077】
上記のように一対の刃受け13cおよび押しボタンスイッチ12aが収納され、電源線14および信号線15が接続されたコンセント本体13aは、コンセントカバー13bを被せてネジ13gで固定することによってコンセント13が構成される。また、コンセント本体13aのコード導出孔13eから導出された電源線14および信号線15は、屋内配線を介して電源部17に接続される。
【0078】
上記のように、本実施例における検知手段12は、押しボタンスイッチ12aで構成され、プラグ11をコンセント13に差し込むことによって操作ボタン12a1を押し込んでスイッチをONし、プラグ11をコンセント13から引き抜くことによって操作ボタン12a1の押し込みを解除し、操作ボタン12a1を元の位置に復帰させてスイッチをOFFする。すなわち、押しボタンスイッチ12aのON/OFFによる信号線15の一端部の電気的な接続作用と接続の解除作用によって、プラグ11を差し込む動作の検知信号と、プラグ11の引き抜き動作の検知信号を生成する。
【0079】
すなわち、プラグ11をコンセント13に差し込む際には、栓刃11cのプラグ11一端面からの突出寸法L3が押しボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1の突出寸法L4より長く構成されることによって(L3>L4)、図8(b)に示すように、先に、栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が行われ、次に、図8(c)に示すように、押しボタンスイッチ12aがプラグ11の端面部によって押圧されてONし、プラグ11をコンセントに13に差し込む動作の検知信号が生成され電源が供給される。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が行われてから後に、電源が供給される。
【0080】
また、プラグ11をコンセント13から引き抜く際は、押しボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1の突出寸法L4が栓刃11cのプラグ11一端面からの突出寸法L3より短く構成されることによって(L4<L3)、図8(b)に示すように、先に、押しボタンスイッチ12aがOFFされ、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知信号を生成し電源の供給が遮断される。そして、次に、図8(a)に示すように、栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続の解除が行われる。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が解除される前に、電源の供給が遮断される。
【0081】
電源部17および制御部16は、実施例1と同様に構成され、上述した押しボタンスイッチ12aからなる検知手段12で生成されるプラグ11をコンセントに13に差し込む動作の検知信号と、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知信号が入力されることによって、電源部17の電力の供給および遮断を行うように制御する。
【0082】
次に、上記のように構成された配電装置10の作用につき説明する。本実施例の配電装置によれば、プラグ11を差し込む動作の検知と、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知がプラグの抜き差し動作に連動して自動的に行われることによって、通常のプラグの差込み、または、引き抜き操作を行うことで、特に、直流配電で生じ易いアークの発生を防止することができる。
【0083】
先ず、プラグ11を差し込む動作の検知は、次のようにして行われる。図8(b)に示すように、先ず、プラグ11の栓刃11cをコンセント13の刃受け13cに差し込む。この差し込み動作により、栓刃11cの突出寸法L3が押しボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1の突出寸法L2より長いので、先に、栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が行われ、これに、若干遅れて、図8(c)に示されるように、押しボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1が押圧されてスイッチがONし各信号線15の一端部が閉回路となる。
【0084】
この各信号線15の一端部が閉回路となる状態を、プラグ11を差し込む動作の検知信号として捉え、この検知信号を、信号線15を介して電源部17の制御部16に伝送し、この検知信号、すなわち、プラグ11を差し込む動作の検知信号が制御部16に自動的に入力されて所定の電力が電源線14を介してコンセント13に供給され、さらに、コンセントに差し込まれたプラグ11を介して負荷20に供給される。
【0085】
また、プラグ11の引き抜き動作検知は、次のようにして行われる。図8(b)に示すように、プラグ11の栓刃11cをコンセント13の刃受け13cから引き抜くことによって、栓刃11cより突出寸法が短い操作ボタン12a1が先にOFFする。
【0086】
この際、先に、押しボタンスイッチ12aがOFFされるこれにより、スイッチによって形成されていた各信号線15の一端部の閉回路が開放され、先に伝送されていたプラグ11を差し込む動作の検知信号が制御部16に自動的に入力されなくなり、電力の供給が遮断される。
【0087】
換言すれば、各信号線15の閉回路が開放される状態を、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知信号として捉え、先に伝送されていたプラグ11を差し込む動作の検知信号を伝送しなくなるようにすることで電力の供給を遮断している。
【0088】
そして、次に、プラグ11のさらなる引き抜き動作によって、図8(a)に示すように、押しボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1より突出寸法が長い栓刃11cがコンセントの刃受け13cから引き抜かれる。この際、上記のように、先に、押しボタンスイッチ12aがOFFすることによって、既に、自動的に電力の供給が遮断されているので、一対の栓刃11c間には直流電圧がかかっておらず、+極と−極間でアークを引くことがない。
【0089】
以上、本実施例の配電装置によれば、検知手段12は、プラグの抜き差しに連動してON/OFFする押しボタンスイッチ12aで構成し、プラグの抜き差し状態、本実施例では、プラグの抜き差し動作、すなわち、プラグ11の引き抜き動作を行ったことを、プラグ11の引き抜き操作に連動して自動的に検知するように構成し、電源の供給を遮断するようにした。これにより、プラグ11をコンセント13から引き抜く際に、プラグの栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が解除される前に、確実かつ簡単な操作で電力の供給を遮断することが可能となり、プラグ11とコンセント13との間に生じやすいアークの発生を防止することができ、安全な配電装置を提供することができる。
【0090】
また、プラグ11の引き抜き動作を行ったことを、プラグ11の引き抜き操作に連動して自動的に検知するようにしたので、例えば、使用中にプラグがコンセントから外れかかったような場合でも、押しボタンスイッチ12aがOFFすることによって、電力の供給を自動的に遮断することが可能となり、一層安全な配電装置を提供することができる。
【0091】
また、プラグは、アークの発生を防止するための格別な構成を有することなく、例えば、既存の直流用のプラグをそのまま使用することができ、簡単な構成で、かつ確実にアークの発生を防止することができる。また、実施例2と同様に、プラグ11をコンセント13に差し込む際にも、プラグ栓刃の半露出状態等で生じ易い感電を確実に防止することができる。
【0092】
本実施例において、検知手段12における押ボタンスイッチ12aの操作ボタン12a1がプラグを抜いたときにコンセント13の表面から突出させるように構成したが、プラグ11を引き抜いたときに操作ボタン12a1がコンセント13の表面から突出しないように構成してもよい。これによれば、例えば、子供などが不用意に操作ボタン12a1を押すことができず、より安全な配電装置を構成することができる。
【0093】
なお、本実施例において、実施例1、2と同一部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略した。また、本実施例におけるその他の構成、作用、作用効果、変形例等は、実施例1、2と同様である。
【実施例4】
【0094】
本実施例は、上述した各実施例と同様に住宅等における直流を電源とした配電装置を構成したもので、本実施例の配電装置10における検知手段は、プラグに設けられた導電体とコンセントに設けられた導電体受け刃で構成し、プラグの抜き差し状態、本実施例では、プラグの抜き差し動作、すなわち、プラグ11を差し込む動作と、プラグ11の引き抜き動作を行ったことを自動的に検知するように構成し、プラグ11とコンセント13との間に生じやすいアークの発生を防止するようにしたものである。
【0095】
すなわち、プラグ11は、図11に示すように、実施例1で構成されたプラグ本体11aの両側部に、各栓刃11cと離間して電気的に絶縁された一対の導電体11dを、その先端部が栓刃11cの両側の外側で、かつ、プラグ11の端面部から突出するようにして収納する。一対の導電体11dの突出寸法L6は、栓刃11cの突出寸法L5より短く形成する(L6<L5)。一対の導電体11dは、後述するコンセント13の導電体受け刃13dと共に、プラグの抜き差し状態、本実施例では、プラグの抜き差し動作を検知する検知手段12を構成するもので、各栓刃11cと同様に導電性の良好な黄銅によって栓刃状をなすように形成する。上記に構成された一対の導電体11dの各端部には、リード線11d1の両端がネジ11d2によって接続されている。
【0096】
上記のように一対の栓刃11cおよび一対の導電体11dが収納され、コード11fおよびリード線11d1が接続されたプラグ本体11aは、同形状をなすプラグカバー11bを被せてネジ11gで固定することによってプラグ11が構成される。
【0097】
コンセント13は、図12に示すように、実施例1で構成されたコンセント本体13a内の両側部に、各刃受け13cと離間して電気的に絶縁された一対の導電体受け刃13dが、各刃受け13cの両側の外側に沿って長手方向に配置され収納されている。一対の導電体受け刃13dは、プラグ11の導電体11dと共にプラグの抜き差し動作を検知する検知手段12を構成するもので、各刃受け13cと同様に導電性の良好な黄銅によって形成されている。
【0098】
上記に構成された一対の導電体受け刃13dの端部には、各信号線15がネジ13d1によって接続されている。なお、コンセントカバー13bの表面には、プラグ挿入口13b2の両側に一対の導電体挿入口13b4を形成し、プラグ11の差し込み操作によって、導電体11dが導電体挿入口13b4に挿入され、プラグ11の導電体11dとコンセント13の導電体受け刃13dとの接続が行われる。また、コンセント本体13aのコード導出孔13eから導出された電源線14および信号線15は、屋内配線を介して電源部17に接続される。
【0099】
検知手段12は、プラグ11の導電体11dおよびコンセント13の導電体受け刃13dで構成され、この導電体11dと導電体受け刃13dの電気的な接続作用と接続の解除作用によって、プラグ11を差し込む動作の検知信号と、プラグ11の引き抜き動作の検知信号を生成する。すなわち、栓刃11cの突出寸法L6が導電体11dの突出寸法L5より長く構成されることによって(L6>L5)、プラグ11をコンセント13に差し込む際には、図10(b)に示すように、先に、栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が行われ、次に、図10(c)に示すように、導電体11dと導電体受け刃13dの接続が行われ、プラグ11を差し込む動作の検知信号が生成され電源が供給される。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が行われてから後に、電源が供給される。
【0100】
また、プラグ11をコンセント13から引き抜く際は、導電体11dの突出寸法L6が栓刃11cの突出寸法L5より短く構成されていることによって(L6<L5)、図10(b)に示すように、先に、導電体11dと導電体受け刃13dの接続の解除が行われ、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知信号を生成し電源の供給が遮断される。そして、次に、図10(a)に示すように、栓刃11cと刃受け13cとの接続の解除が行われる。これにより、プラグ11とコンセント13との接続が解除される前に、電源の供給が遮断される。
【0101】
電源部17、制御部16は、実施例1と同様に構成され、上述した検知手段12で生成されるプラグ11を差し込む動作の検知信号と、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知信号が入力されることによって、電源部17の電力の供給および遮断を行うように制御する。
【0102】
次に、上記のように構成された配電装置10の作用につき説明する。本実施例の配電装置によれば、プラグ11を差し込む動作の検知と、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知がプラグの抜き差し動作に連動して自動的に行われることによって、通常のプラグの差込み、または、引き抜き操作を行うことで、特に、直流配電で生じ易いアークの発生を防止することができる。
【0103】
先ず、プラグ11を差し込む動作の検知は、次のようにして行われる。図10(b)に示すように、先ず、プラグ11の栓刃11cをコンセント13の刃受け13cに差し込む。この差し込み動作によって、栓刃11cの突出寸法L5が導電体11dの突出寸法L6より長いので、先に、栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が行われ、これに、若干遅れて、図10(c)に示すように、プラグ11の導電体11dがコンセント13の導電体受け刃13dに差し込まれる。これにより、図11(a)に示すように、プラグ11の一対の導電体11dの間がリード線11d1によって電気的に接続されていることから、各導電体受け刃13dに、それぞれ接続された各信号線15の一端部が閉回路となる。
【0104】
この各信号線15の一端部が閉回路となる状態を、プラグ11がコンセント13に差し込まれたことの検知信号として捉え、この検知信号を導電体受け刃15dに接続された信号線15を介して電源部17の制御部16に伝送し、この検知信号、すなわち、プラグ11を差し込む動作の検知信号が制御部16に自動的に入力されて所定の電力が電源線14を介してコンセント13に供給され、さらに、コンセントに差し込まれたプラグ11を介して負荷に供給される。
【0105】
また、プラグ11の引き抜き動作の検知は、次のようにして行われる。図10(b)に示すように、プラグ11の栓刃11cをコンセント13の刃受け13cから引き抜く動作によって、栓刃11cの突出寸法より短い導電体11dが、先に、コンセント13の導電体受け刃13dから引き抜かれる。
【0106】
この際、先に、プラグの導電体11dがコンセント13の導電体受け刃13dから引き抜かれることにより、プラグ11の一対の導電体11dの間を接続したリード線11d1によって形成されていた各信号線15の一端部の閉回路が開放され、先に伝送されていたプラグ11を差し込む動作の検知信号が制御部16に自動的に入力されなくなり、電力の供給が遮断される。
【0107】
換言すれば、各信号線15の閉回路が開放される状態を、プラグ11の引き抜き動作を行ったことの検知信号として捉え、先に伝送されていたプラグ11を差し込む動作の検知信号を伝送しなくなるようにすることで電力の供給を遮断している。
【0108】
そして、次に、プラグ11のさらなる引き抜き動作によって、図10(a)に示すように導電体11dより突出寸法の長い栓刃11cが刃受け11dから引き抜かれる。この際、上記のように、先に導電体11dが導電体受け刃13dから引き抜かれ、既に、自動的に電力の供給が遮断されているので、一対の栓刃11c間には直流電圧がかかっておらず、+極と−極間でアークを引くことがない。
【0109】
以上、本実施例の配電装置によれば、検知手段12は、プラグ11に設けられた導電体11dとコンセント13に設けられた導電体受け刃13dで構成し、プラグの抜き差し状態、本実施例ではプラグ11の抜き差し動作、すなわち、プラグ11の引き抜き動作を行ったことを、プラグの引き抜き操作に連動して自動的に検知するように構成し、電源の供給を遮断するようにした。これにより、プラグ11をコンセント13から引き抜く際に、プラグの栓刃11cとコンセントの刃受け13cとの接続が解除される前に、確実かつ簡単な操作で電力の供給を遮断することが可能となり、プラグ11とコンセント13との間に生じやすいアークの発生を防止することができ、安全な配電装置を提供することができる。
【0110】
また、実施例3と同様に、使用中にプラグがコンセントから外れかかったような場合でも、先に導電体11dが導電体受け刃13dから引き抜かれて電力の供給を自動的に遮断することが可能となる。さらに、実施例2、3と同様に、プラグ11をコンセント13に差し込む際にも、プラグ栓刃の半露出状態等で生じ易い感電を確実に防止することができる。
【0111】
なお、本実施例において、実施例1、2、3と同一部分には同一の符号を付し、詳細な説明は省略した。また、本実施例におけるその他の構成、作用、作用効果、変形例等は、実施例1、2、3と同様である。以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の各実施例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0112】
10 配電装置
11 プラグ
12 検知手段
13 コンセント
14 電源線
15 信号線
16 制御部
17 電源部
20 負荷
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電源を供給するプラグと;
プラグが接続されると共に、プラグの抜き差し状態を検知する検知手段を有するコンセントと;
コンセントに電源線を介して電源を供給すると共に、検知手段による検知信号が信号線を介して伝送され、電源の供給を制御する制御部を有する電源部と;
を具備していることを特徴とする配電装置。
【請求項2】
前記コンセントの検知手段は、プラグの抜け止め機構の動作を検知することを特徴とする請求項1記載の配電装置。
【請求項3】
前記コンセントの検知手段は、プラグの抜き差し動作を検知することを特徴とする請求項1記載の配電装置。
【請求項4】
前記検知手段は、プラグとコンセントとの接続が解除される前に、検知信号を制御部に伝送し、電源の供給を制御するようにしたことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の配電装置。
【請求項1】
負荷に電源を供給するプラグと;
プラグが接続されると共に、プラグの抜き差し状態を検知する検知手段を有するコンセントと;
コンセントに電源線を介して電源を供給すると共に、検知手段による検知信号が信号線を介して伝送され、電源の供給を制御する制御部を有する電源部と;
を具備していることを特徴とする配電装置。
【請求項2】
前記コンセントの検知手段は、プラグの抜け止め機構の動作を検知することを特徴とする請求項1記載の配電装置。
【請求項3】
前記コンセントの検知手段は、プラグの抜き差し動作を検知することを特徴とする請求項1記載の配電装置。
【請求項4】
前記検知手段は、プラグとコンセントとの接続が解除される前に、検知信号を制御部に伝送し、電源の供給を制御するようにしたことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の配電装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−146328(P2011−146328A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7968(P2010−7968)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
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