説明

鉛フリー及びカドミウムフリー導電性銅厚膜ペースト

【課題】鉛フリー及びカドミウムフリーである導電性銅厚膜ペーストを提供する。
【解決手段】本発明にかかる銅ペーストは、優れたはんだ濡れ性、ワイヤーボンディング能、低い焼成温度、幅広い温度でのプロセシングウィンドウ、アルミナ基板及びガラス被覆ステンレススチール基板を含む様々な基板への優れた接着性、低い低効率を含む望ましい特性を有し、焼成後の微細構造の密度が高く実質的に孔が無いものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路及び電子デバイスの製造に用いるための鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性銅厚膜ペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
厚膜回路は、モノリシック集積マイクロ電子回路の一つのよく知られた形である。このタイプの回路は、たくさんの受動素子が要求される場合や適度に高力の散逸が要求される場合に特に有用である。厚膜回路は製造コストが低く、薄膜回路よりも幅広い抵抗値が得られる。
【0003】
厚膜回路の製造は、シルクスクリーン印刷の周知技術を改良したものである。厚膜回路は、特定の基板上に印刷された導体、抵抗体、及び他の受動回路素子のパターンから構成される。最も知られているプロセスでは、様々なペーストを特定の印刷パターンのスクリーンやテンプレートを通して基板あるいは逐次回路層の上に埋め込まれる。逐次層は、印刷した後に乾燥され、ベルト式の炉の中で材料が焼成される。
【0004】
代表的な厚膜回路において、基板は、アルミナなどのセラミック材料であることが多い。しかしながら、振動による破損を防止することが要求される自動車エレクトロニクスの用途には、ステンレススチール基板のようなガラスで被覆された金属基板が用いられる。これらの用途においては、改善の余地がかなりある。厚膜ペーストは一般的に、ガラス粒子、金属及び/又は金属酸化物粒子、有機溶剤、樹脂及びチキソトロープ剤として知られる粘度調節剤を含む組成物である。これら厚膜ペーストの組成物は、印刷される受動電子素子の種類に依存する。
【0005】
ハイブリッドマイクロエレクトロニクス素子に採用される抵抗体、誘電体及び導体を形成するのに有用な様々な金属含有厚膜組成物(すなわち、ペースト、インク、テープ等)は、ハイブリッドマイクロエレクトロニクスの分野で発展してきた。一般に、そのような組成物、特にペースト又はインク組成物は、導体(例えば、銀、パラジウム、銅、アルミニウム、金、白金等、及びこれらの異なる金属の各種合金)、抵抗成分又は誘電成分、バインダー又は無機溶剤(inorganic fluxing material)(例えば、ガラスあるいは無機酸化物)、樹脂及びチキソトロープ剤及び/又は湿潤剤を混合する溶媒を含むキャリア又はビヒクルを含む。
【0006】
上記ペースト又はインク組成物を適当な基板上に所望の形状(configuration)あるいはパターンに塗布し、ハイブリッドマイクロエレクトロニクス素子として使用するための所望の回路が形成される。これらの用途に使用するために、多くの基板材料が開発されてきた。具体的には、従来の基板材料は、アルミナ(Al)、ガラス被覆金属、チタン酸バリウム(BaTiO)、ベリリア(BeO)、窒化アルミニウム(AlN)、及び炭化ケイ素(SiC)を含むものである。
【0007】
従来技術によって、様々な方法で所望の厚膜性を達成することが検討された。カドミウム及び鉛を従来技術のガラス組成物に追加することにより、適度な線膨張係数、改善された耐はんだ浸出性、及びアルカリ酸化物を高濃度に含むガラスに比べて良好な化学的耐久性、ならびにこれらの厚膜ペースト組成物をかなり低温で焼成できること、というような重要な特性が付与された。無機溶剤(inorganic fluxing materials)、特に厚膜ペーストにおけるガラス組成物は、基板への接着性、厚膜組成物の耐はんだ浸出性などの多くの特性を与える。例えば、酸化鉛(PbO)を含むガラス組成物がHormadalyの特許文献1において例示されている。導電性被膜のガラス組成物における成分としてPbOを使用すると、これらの金属含有厚膜組成物の焼成温度が低下し、優れた表面仕上げの被膜が生成する傾向があることが知られている。このようなそして他の理由のために、酸化鉛(PbO)及び酸化カドミウム(CdO)は、多くの従来技術の厚膜ガラス組成物において重要な構成要素であった。
【特許文献1】米国特許第5114885号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、環境問題の観点から、厚膜又はガラスエナメル組成物における酸化鉛(PbO)及び酸化カドミウム(CdO)の使用は現在できるだけ回避されている状況にある。従って、金属含有厚膜組成物のエレクトロニクス産業において、厚膜ペーストに鉛フリー及びカドミウムフリーのガラスを用いて所望の性質を与えることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、金属成分及びガラス成分を有する鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜ペーストを提供するものである。前記金属成分は、銅を含むものである。前記ガラス成分は、第一ガラス組成物及び第二ガラス組成物を含むものである。前記第一ガラス組成物は、約25〜約67モル%のBaO、約33〜約70モル%のSiO+B、約0.1〜約20モル%のTiOを含む。第二ガラス組成物は、約27〜約65モル%のZnO、及び約33〜約70モル%のSiO+Bを含む。第一及び第二ガラス組成物は、ガラス成分中、約1:40から約20:1の重量比で存在してよい。緑の焼成されていない状態で、本発明のペースト組成物は、ブルックフィールドHBT型SC4 14/5R粘度計(Brookfield HBT type SC4 14/5R viscometor)及びスピンドル14アッセンブリで測定した場合に、10rpm、25℃で約200〜約500キロセンチポイズ(kcps)の粘度を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の鉛フリー及びカドミウムフリー厚膜ペーストは、適切なレオロジー、良好な保存性、適度な線膨張係数、良好な基板への接着性、良好な耐薬品性及び機械的耐久性、優れた耐はんだ浸出性、優れたはんだ濡れ性、及び低い抵抗率を含む望ましい性質を有し、このような性質は、幅広いプロセシングウィンドウで比較的低温で焼成することを可能にする鉛フリー及びカドミウムフリーペーストにより達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、ハイブリッドマイクロエレクトロニクス素子の製造に使用するための、銅含有の鉛フリー及びカドミウムフリーの導電性厚膜ペーストを提供する。該厚膜ペーストは、比較的低温の焼成温度で流動するガラス成分を含む。
【0012】
自動車産業では、好ましくない動力消散を最小限にするために軌道中の低電圧落下を制御する力を抑えることのできる、より厚くて大きな軌道を持つ厚膜電子システムを必要とする。このような厚膜システムは、ガラス被覆硬化金属基板、例えば、振動による破損を防ぐためのステンレススチールや、1〜3GHz幅の高調波(RF)用途の損失低下のためのアルミナ基板上に組み立てられる。
【0013】
900℃以上の温度であらかじめ焼成された抵抗体間の相互作用を最小限に抑え、抵抗の熱係数(TCR)および抵抗力の変化を最小限に抑えるために、これらの新たな導体はより低い温度で焼成されることが好ましく、その温度は例えば約750℃、約700℃、最も好ましくは約650℃である。他の用途においては、約800℃又は約850℃にて焼成されることが要されるかもしれない。従って、本発明にかかる幅広いプロセシングウィンドウ(650-850℃)を有する厚膜は、従来品と比べて利点を有するものである。本発明にかかる厚膜は、良好なはんだ性(すなわち優れたはんだ濡れ性)、良好なワイヤーボンディング性、低い抵抗率などの付加的な好ましい特性を有し、96%アルミナやガラス被覆ステンレススチール基板を含む様々な基板への優れた接着性をもたらす。低い抵抗率と同様に、焼成後の微細構造は緻密なものであり、実質的に孔が無いものである。
【0014】
銅は、銀などの他の導体よりも高い電気伝導率、高い熱伝導率、耐はんだ浸出性、耐電子移動性を有するために、厚膜及びパワーエレクトロニクスの用途においては、理想的な導体材料であり、高い電流密度を取り扱うことができる。従来技術によると、低い温度で焼成した銅厚膜システムは、一般的な基板への接着性が低く、はんだ濡れ性に劣り、しばしば望ましくない鉛およびカドミウム等の金属の含有がみられる。
【0015】
前述のとおり、本発明のペースト組成物は導電性である。導体及び抵抗体の境界は不明瞭なものであるのに対し、本発明のペースト組成物は、約20mOhm/squareの最大抵抗を有する。
【0016】
本発明は、鉛フリー及びカドミウムフリーのガラス組成物を用いて電子回路の形状を焼成させた電子デバイスも提供するものである。鉛フリー及びカドミウムフリーのガラス組成物を用いて焼成された電子デバイスは、厚膜デバイス及び/又はハイブリッド厚膜デバイス、例えばサージ抵抗体(アルミナ基板に印刷された厚膜抵抗体を、電話回線の雷からの防御又は他の電気的な電圧状況の防御のために使用)、高電流、ハイパワー自動車エレクトロニクス(例えば、エアバッグ配備センサー、重量センサー、アンチロックブレーキングセンサーシステム、及び様々な他の自動車センサー)、自動車フロントガラス上やソーラーパネルにおけるソーラーセルにおける除水装置や厚膜回路、電子デバイス上に導電性の鉛があるソーラーパネルにおけるソーラーセルを含む。本明細書及びを請求の範囲において、「電子デバイス」とは、厚膜デバイス及び/又はハイブリッド厚膜デバイスを含む電子デバイスを意味し、それは少なくとも本発明に示される焼成温度に耐え、鉛フリー及びカドミウムフリー厚膜ペースト組成物がもたらすプロテクションの長所を存続させる。
【0017】
すなわち本発明は、金属成分とガラス成分を有する鉛フリー及びカドミウムフリー厚膜ペーストを提供するものである。金属成分は銅含む。ガラス成分は、第一ガラス組成物、第二ガラス組成物を含むものであり、鉛フリー、カドミウムフリー、鉛とカドミウムの複合体フリーなものである。
【0018】
本発明にかかる鉛フリー及びカドミウムフリーのペーストは、通常電子デバイスの表面に用いられ、一種又は二種以上の回路、又はその他のエレクトロニクス素子(例えば、コンデンサ及び抵抗体)がそこに形成される。厚膜ペーストは、好ましくは乾燥、焼成されて、より徹底的には以下のようにして鉛フリー及びカドミウムフリーの電子回路が形成される。本明細書および請求の範囲において、「鉛フリー及びカドミウムフリー」という表現は、鉛又は酸化鉛(PbO)、カドミウム又は酸化カドミウム(CdO)を意図的に組成物中に添加しないことを意味し、焼成後の組成物中における鉛(Pb)及びカドミウム(Cd)の含有量が約0.1重量%未満であるものとする。
【0019】
すなわち本発明にかかるペーストは、スクリーン印刷の手法を用いて基板に塗布されてもよい。ペーストは、有機キャリア又はビヒクルを含んでもよく、これによってスクリーン中を通過するための適度な粘度を与える。ペーストは、スクリーン化された後に良好な形で速やかに転写させるためにチキソトロピー性の材料を含んでもよい。レオロジー特性は主要な重要性である一方で、キャリアによって、固体及び基板の適度な濡れ性、良好な乾燥速度、粗い取り扱いにも耐えるのに十分な乾燥膜の強度、良好な焼成特性も与えられることが好ましい。焼成された組成物の十分な外観も重要である。
【0020】
前述の全ての基準の観点から、様々な不活性液体がキャリアに利用される。多くの導電性組成物に用いられるキャリアは一般的に溶媒に溶解される樹脂溶液であり、流動性があり、樹脂及びチキソトロープ剤を含む溶媒溶液である。溶媒は通常約130℃〜約350℃の範囲内で沸騰する。この目的のために最も頻繁に用いられる樹脂は、エチルセルロースである。ただし、エチルヒドロキシエチルセルロース、木製ロジン、エチルセルロースとフェノール樹脂の混合物、低級アルコールとエチレングリコールモノアセテートのモノブチルエーテルからなるポリメタクリレートなどの樹脂も用いることが可能である。厚膜用途のために最も広く用いられる溶媒は、アルファ又はベータのターピネオール(terpineol)などのテルペン、又はこれらと他の溶媒、例えばケロセン、ジブチルフタレート、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、ヘキシレングリコール、テキサノール、高沸点アルコールやアルコールエステル等との混合物が挙げられる。これらと他の溶媒を種々混合することにより、各用途に求められる所望の粘度や揮発性が形成される。
【0021】
通常用いられるチキソトロープ剤の中で、有機系のチキソトロープ剤、例えば、水添ヒマシ油及びその誘導体がある。もちろん、チキソトロープ剤を添加することは常に必要とされるものではない。なぜなら、懸濁液の希薄性と結びつけられる溶媒/樹脂の特性はこの点において適することもあるからである。さらに、湿潤剤として脂肪酸エステル、例えば、N-タロー-1,3-ジアミノプロパンジオレート、N-タロートリメチレンジアミンジアセテート、N-ココトリメチレンジアミン、ベータジアミン、N-オレイルトリメチレンジアミン、N-タロートリメチレンジアミン及び/又はN-タロートリメチレンジアミンジオレートが用いられる。
【0022】
本発明にかかる導電性組成物中の固体分に対するキャリアの比はかなり異なるものであり、導電性組成物の用途および使用するキャリアの種類に依存する。導電性組成物は通常良好な範囲として、60〜90重量%の固体分及び10〜40重量%のリキッドキャリアを含む。このような導電性組成物はしばしば半流動性を有し、「ペースト」と称される。
【0023】
本発明の目的のために、銅ペーストは約70〜約90重量%の固体分と、約10〜約30重量%のリキッドキャリアを含む。さらに、本発明にかかるペースト組成物の固体分における成分の好ましい範囲は以下の通りである:
a)銅又は銅合金を含む金属成分は固体分において約65〜約99重量%、より好ましくは約80〜約98重量%;b)ガラス成分は固体分において約1〜35重量%、より好ましくは約2〜約20重量%。キャリアに関し、本発明にかかる好ましい組成物は以下の通りである。
1)少なくとも約90重量%の有機溶剤;2)多くとも約15重量%の樹脂;3)多くとも約4重量%のチキソトロープ剤;4)多くとも約2重量%の湿潤剤。具体的な市販のビヒクルとして、ターピネオールに溶解されたエチルセルロースとエルバサイト(elvacite)から成るFerro Corporation 社製の2752及び308-5Vが挙げられる。銅金属は粉末状及び/又はフレーク状の形状を呈していると好都合である。本発明において適している銅粉末は、Ferro Corporation社製(オハイオ州、クリーブランド)のCu-015, Cu-030, Cu-10Kという製品名の銅製品として市販されている。
【0024】
ガラス成分は一種又はニ種以上のガラスを含み、これらは最初は一種又はニ種以上のガラス粉末の形状を呈したものである。一例を挙げると、本発明は厚膜導電性ペーストを提供するが、前記ペーストは鉛フリー及びカドミウムフリーのガラス成分を含む。前記ガラス成分は第一ガラス組成物;約25〜約67モル%のBaO、約33〜約70モル%のSiO+B、約0.1〜約20モル%のTiO、及び第二ガラス組成物;約27〜約65モル%のZnO、約33〜 約70モル%のSiO+Bを含み、第一及び第二ガラス組成物は重量比で約1:40〜約20:1の範囲で存在する。第一ガラス組成物はさらにSrOを含んでもよく、BaO+SrOの合計量は第一ガラス組成物中約10〜約70モル%である。第一ガラス組成物はさらにCaOを含んでもよく、BaO+CaOの合計量は第一ガラス組成物中約10〜約70モル%である。
【0025】
実施態様のバリエーションとして、第二ガラス組成物はさらに約0.1〜約10モル%のTiO+ZrOを含んでもよい。該実施態様において第二ガラス組成物はさらに約0.1〜約15モル%のLiO+NaO+KOを含んでもよく、約0.1〜 約10モル%のAl23、約0.1〜約20モル%のNb、約0.1〜約15モル%のLiO+NaO+KOをさらに含んでもよい。また、第二ガラス組成物は、CuOを含んでもよく、ZnO+CuOの合計量が第二ガラス組成物中約0.1〜約65モル%である。
【0026】
本発明にかかるガラス成分は、さらに第三ガラス組成物を含んでもよく、前記第三ガラス組成物は約5〜約80モル%のBiを含む。第三ガラス組成物は、任意に約10〜約65モル%のBi又はより好ましく約15〜約50モル%のBiを含んでもよい。第三ガラス組成物はさらに約0.1〜約25モル%のCuO、及び約0.1〜約10モル%のNiOを含んでもよい。
【0027】
さらに他の実施態様として、本発明は厚膜ペーストを提供し、前記ペーストは鉛フリー及びカドミウムフリーのガラス成分を含み、前記ガラス成分は、約35〜約65モル%のBaO、約35〜約66モル%のSiO+B、及び約0.1〜約10モル%のTiOを含む第一ガラス組成物、及び第二ガラス組成物約30〜約60モル%のZnO、約40〜約60モル%のSiO+B、及び約0.1〜約10モル%のZrOの第二ガラス組成物を含み、第一及び第二ガラス組成物は約1:40〜約20:1の比で存在する。第一ガラス組成物はさらにSrOを含んでもよく、BaO+SrOの合計量は約25〜約75モル%である。第一ガラス組成物はさらに約15〜約30モル%のZnOを含んでもよい。
【0028】
その他の実施態様として、ガラス成分はさらに第三ガラス組成物を含んでもよく、該第三ガラス組成物は約15〜約65モル%のBi又は約20〜約50モル%のBiを含んでもよい。ガラス成分は約2.5〜約80重量%の第一ガラス組成物及び約2〜約97.5重量%の第二ガラス組成物を含む。第三ガラス組成物が存在する場合、ガラス成分は約2〜約80重量%の第三ガラス組成物を含む。
【0029】
さらに別の実施態様として、本発明は厚膜ペーストを提供するものであり、前記ペーストは鉛フリー及びカドミウムフリーのガラス成分を含み、前記ガラス成分は、約5〜約35モル%のZnO、約5〜約40モル%のSiO、約2〜約35モル%のBを含む第一カラス、及び約20〜約70モル%のBi、約20〜約55モル%のSiO、約2〜約30モル%のBを含む第二ガラス組成物を含み、第一及び第二ガラス組成物は約1:40〜約20:1の比で存在する。その他の実施態様として、第一ガラス組成物は約10〜約30モル%のZnOを含む。
【0030】
前述の組成範囲は好ましい領域のものであり、これらの範囲に限定されるものではなく、当業者は特定の用途、特定の組成物および最終物へ導き形成させる条件に応じ、これらの組成範囲を変更するものである。
【0031】
本発明にかかるペーストは、都合の良いことに3ーロールミルを用いて調製してもよい。使用するキャリアの量及び種類は、所望する組成物の粘度、ペーストの挽きやすさ、ウエット印刷の厚さによって主に決定される。本発明にかかる組成物を調製するにあたり、無機固体微粒子はキャリアに混合され、3ーロールミルのような適当な装置によって分散された懸濁液となり、その結果得られる組成物の粘度は、ブルックフィールドHBT型スピンドル14粘度計を用いて25℃、せん断速度9.6sec-1の条件下で測定した値で、約100〜約500キロセンチポイズ(kcps)、より好ましくは、約300〜約400キロセンチポイズ(kcps)となる。
【0032】
本発明にかかる回路基板は、本発明の導電性ペーストを塗布した基板を採用し、通常スクリーン印刷のプロセスにのっとり、望むウエット厚さ、例えば約60〜約80マイクロンになるように調製されることが好ましい。自動スクリーン印刷技術では200〜325メッシュスクリーンを用いることが可能である。印刷されたパターンは、その後200℃より低い温度で乾燥され、例えば約120℃にて約5〜15分間、焼成前に乾燥されることが好ましい。ガラスは溶着され、金属は無酸化雰囲気ベルトコンベア炉の中で焼結される。焼成は一般に、約300〜約550℃、ピーク温度約650〜約850℃で約5〜15分間保持するという有機材料を完全燃焼させる温度プロファイルに従ってなされる。引き続き、基板があまりに急速に冷却された場合に起こり得る過剰な焼結、中間温度における望ましくない化学反応、又は基板の破砕を避けるために、循環冷却がコントロールされる。窒素、アルゴン、又はそれらの混合気体のような無酸化雰囲気の条件が採用され、室温で空気中で酸化される傾向がある特に銅などの金属酸化を防止する。本発明の目的のために窒素雰囲気下で行われることが好ましい。焼成全過程は約30分間サイクルであり、焼成温度に達するまでに約8〜12分、焼成温度において約5〜10分、そして冷却に約8〜12分であることが好ましい。中にはトータルサイクル時間が約75分に及ぶこともあり、その場合は焼成温度に達するまでに約20〜25分、焼成温度において約10分、そして冷却に約30〜40分である。
【0033】
典型的な焼成サイクルは、室温を20℃と仮定し、毎分22.5℃で上昇させこれを28分間、その後ピーク温度650℃に達し、650℃にて12分間保持、毎分15.5℃で降温させこれを38分間経過すると炉の温度は約60℃になるというものである。その他の典型的な焼成サイクルとして、毎分29.6℃で上昇させこれを28分間、その後ピーク温度850℃に達し、850℃にて12分間保持、毎分20.8℃で降温させこれを38分間経過すると炉の温度は約60℃になるというものである。
【0034】
本発明者等は、Bi単独(Biガラス)ガラスシステムが優れたはんだ濡れ性、650℃での焼成の後における耐はんだ浸出性、銅焼結を示すことを見出した(ただし、何にも最適な範囲に渡り銅厚膜が基板に結合することを除いて)。また、本発明者等は、ZnO単独(Znガラス)ガラスシステムがより優れた接着性を示すことも見出した。ただしこの場合、はんだ濡れ性および耐はんだ浸出性には劣るものであった。これらの課題を解決するために、本発明者等は、厚膜銅システムにおいてZnガラスをBiガラスに混合させ、その結果、耐はんだ浸出性及びはんだ濡れ性と共に良好な基板接着性を与えた。酸化銅(CuO)もガラスとは別に、もしくはガラスフリットの一部として加えられ、それにより接着性の向上が促進された。酸化銅はガラスの中に溶け出し、アルミナ基板と相互作用し、これによって銅アルミナが形成されてアルミナ基板に良好な接着性が付与されるものと考えられる。本発明者等は、ガラス成分中のZnガラスがステンレススチール基板を被覆するマグネシウム含有ガラスに、一部が溶けてペーストガラス成分と混ざり基板表面の被覆ガラスに凝固することによって、又はZn2+及びMg2+が被覆ガラス内で相互拡散することによって、あるいは前記の両者の過程により結合すると推測している。その他の酸化物は、本発明の厚膜ペーストに、ガラス組成物とは別に混ぜ込まれているかもしれない。前記その他の酸化物としては、例えばBi、MgO、TiO、ZrO、LiO、NaO、KO、BaO、SrO、CaO、Nb、及びNiO等が挙げられる。
【0035】
BaOとSrO、又はBaOとCaOをベースにしたガラスのさらなる拡張は、Biガラス及びZnガラスを加えて用いることによって、焼成後の厚膜組成物が熱膨張係数(CTE)が、十分にステンレススチール基板と合ったもとして与えられる。同様に、アルカリ土類ガラスは、焼成温度特性が高くなると安定性が再度出現すると考えられる。Bi及びZnの両方を含むガラスは、容易に大量のアルカリ土類カチオン(Ba、Sr及びCaを含む)を取り入れるので、前述の良好な基板接着性、良好な金属焼結およびワイドプロセシングウィンドウのような望む特性を示すと考えられる。
【実施例】
【0036】
下記に示す実施例は、本発明の一部を示すものに過ぎず、請求の範囲に基づき限定したものと解釈されるべきものではない。下記の実施例の方法、条件及び装置は、以下の実施例ガラスの調製に用いたものである。
【0037】
グリーンペースト:銅厚膜ペーストは銅粉末、添加酸化物、ガラス粉末を有機ビヒクル中で最初は均質にするためにプラネタリーミキサーで混合し、次に3ーロールミル14μm未満の挽き具体になるようした。グリーンペーストの粘度は、ブルックフィールドHBT型スピンドル14粘度計を用い、25℃、10rpmの条件で測定された。グリーンペーストの保存性は良好である。
【0038】
ガラス:表1に示すような鉛フリー及びカドミウムフリーの様々な混合ガラス組成物が銅厚膜ペーストの形成に用いられ、それは表2に示すとおりである。
【0039】
銅粉末:金属成分は、銅金属を含む。銅金属は通常、粉末及び/又はフレーク状の少なくとも一種の形状のものが用いられる。銅粉末の微粒子サイズは約0.1〜約30マイクロである。特に、銅微粒子のサイズが複数であってもよい。例えば、第一に微細な銅粉末は、d10=0.1−0.3マイクロ、d50=0.6−1.1マイクロ、d50=0.6−1.1マイクロ、d90=1.5−3.5マイクロである。第ニに、粗い銅粉末は、d10=2−5マイクロ、d50=3−8マイクロ、d90=15−25マイクロである。実施例における銅粉末、酸化物、有機ビヒクルのは全てFerro Corporation社(USA、オハイオ州クリーブランド)から市販されている。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
基板:用いられる基板は、(1)Ca-Mgシリケートガラスで上塗りされた400シリーズステンレススチール、及び(2)96%アルミナ
【0044】
スクリーン印刷:ペーストは200〜325メッシュスクリーン及び試験に適したパターンを用いて基板にスクリーン印刷された。スクリーン印刷されたグリーンペーストの厚さは、約60〜80μm、焼成後では25〜40μmに減少した。
【0045】
焼成プロファイル及び条件:ベルト式の炉は、ベルトスピード毎分1.88インチ(4.78cm)の条件で用いられた。サンプルは28分周期でピーク温度まで加熱された。サンプルはピーク温度で12分間保持された。サンプルは速度をコントロールしながら、約38分間かけて約60℃まで冷却された。サンプルは、酸素濃度が10ppm未満である窒素雰囲気下で焼成された。ピーク温度は650℃又は850℃、又はこの間の温度であった。
【0046】
実施された試験には、電気的特性、初期の基板接着性、時間経過後の基板接着性、はんだ濡れ性、耐はんだ浸出性、ワイヤーボンディング性、火ぶくれ、外観が含まれる。電気的特性は、0.020インチ(50.8μm)幅、200平方、焼成厚さ約30μm(正確には25.4μm)でジグザグパターンの抵抗率の測定でありミリオーム/スクエア(mOhm/square)で表現される。
【0047】
接着性は浸せき方式はんだ付けによって測定され、この測定には22 AWG Cu-Sn ワイヤーが0.080”×0.080”平方のパッドに62Sn/36Pv/2Agはんだ及びKESTERTMRMA solder flux 197を用いてはんだ付けされたものを用いている。KESTERTMはKester Solder, Des Plaines, III. 60018-2675で商標登録されている。ワイヤーはその後90℃で引っ張られ、シェパードクロック法により破断された。接着強度はワイヤーを切断するために必要とされる力のポンドとして表される。経時接着性は、はんだ付けされて150℃で48時間経過後に測定された。
【0048】
はんだ濡れ性は、RMA flux 197を用いて62Sn/36Pb/2Agはんだをはんだ付けした0.080”×0.080”平方のパッドの被覆率が視覚的な検査よって決定された。耐はんだ浸出性は、RMA flux 197を用いて62Sn/36Pb/2Agはんだに10秒間3回浸した後、0.020”厚膜銅線のエリアパーセント損失を視覚的な検査によって決定した。ワイヤーボンディング性は、0.010”アルミナワイヤーで、オルトダイン20ワイヤーボンダー(Orthodyne 20 wirebonder)を用いて試験した。ワイヤー引っ張りは、Dage 22 pull testerを用いて計測された。
【0049】
火ぶくれ試験(ブリスターテスト):0.3”×0.3” 平方のパターンが火ぶくれ試験に用いられた。印刷−乾燥−焼成の3層全体が200メッシュを通して印刷されたものが用いられ、70μmを超える焼成厚膜を全体として与えた。サンプルは、光学顕微鏡により火ぶくれ度が視覚的に検査された。表面の粗さ、ライン解像度、うねり、印刷されたラインの収縮度の外観観察が光学顕微鏡により実施された。
【0050】
実施例1
本発明にかかる厚膜ペースト、表2に中のペーストAは、以下の銅粉末;Cu-015 (23.3重量%)、Cu-030(19.8重量%)、Cu-10K(30.7重量%)、及びBi(2.9重量%)、CuO(4.9重量%)、本発明にかかるガラス1(1.9重量%)、本発明にかかるガラス2(2.9重量%)、本発明にかかるガラス3(1.5重量%)、R2752と308-5Vの二種の有機ビヒクルを各々5.8重量%含む。ペースト組成物は、ガラス被覆された400シリーズステンレススチール上で窒素雰囲気下、650℃にて焼成された。ペーストに用いられたガラス組成物の選択された特性を表3に示す。ガラス被覆されたステンレススチール上で焼成された後の、ペーストの選択された特性を表4に示す。焼成後の接着パッドの滑らな表面が観察され、良好なレベルの特性が確認された。前述の銅厚膜ペースト断面の走査電子顕微鏡(SEM)観察により、優れたガラス濡れ性、銅粒子への延展、ガラス/銅厚膜の界面における剥離又はひび割れが結晶及びガラス質層に存在しないことが確認された。下記の表4に、ガラス被覆ステンレススチール基板上への本発明にかかる銅厚膜ペーストの接着性が極めて良好であることが示されている。焼成後の本発明にかかる厚膜の濡れ性の良好さが、62Sn/36Pb/2Agはんだとの結合によって認められた。
【0051】
実施例2
本発明にかかる実施例1の厚膜ペーストが、96%アルミナ基板上で窒素雰囲気下、650℃にて焼成された。焼成後の第一ペーストの選択された特性を表4に示す。銅-アルミナ界面断面のSEM観察により、銅と基板の間に、薄い(〜1μm)の界面にガラス層が形成されているのが確認された。ペースト由来の界面ガラスがひび割れることなく、良好な濡れ性、銅粒子及びアルミナ(Al)粒子が良好に延展していることが明らかである。エネルギー分散型X線分析(EDAX)により、ガラス/アルミナ界面におけるガラスへのアルミナ基板の若干の溶解が確認され、この現象は基板への優れた化学的結合をもたらすと考えられる。銅へのはんだの侵入は観察されず、焼成後は銅の良好な焼結が認められた。印刷−乾燥−焼成のサイクルを3回繰り返した後の火ぶくれは認められなかった。はんだ付けされた銅トラックを、熱せられたはんだへ3回浸せきした後のろ過物は、極微量であった。これは、たった650℃の焼成後において、アルミナ基板上の厚膜印刷銅の接着性が良好であることに起因している。
【0052】
実施例3
本発明にかかる実施例1の厚膜ペーストが、96%アルミナ基板上で窒素雰囲気下、850℃にて焼成された。焼成後のペーストの選択された特性を表4に示す。850℃での焼成後の接着性は650℃での焼成に比べて若干の低下がみられたが、これはおそらく界面のガラス層が厚くなった(1μmから6μm)ためと考えられる。650℃における焼成のように、850℃での焼成後、銅とアルミナの間に界面ガラス層が形成される。また、ガラスは優れた濡れ性、剥離又はひび割れすることなく、銅のアルミナの両方の粒子が良好に延展していることが示される。ガラス/アルミナ界面においてガラスへアルミナが溶解すると、界面層にアルミナがしみ込み、そして層の粘度がある程度上昇し、過剰なアルミナが界面から界面層中に拡散するようになって初めて、アルミナの溶解現象が低下すると考えられる。厚膜印刷システムのガラスは、高温度、例えば850℃での焼成後の接着性を低下させてしまうと考えられる厚い界面ガラス層の形成を制限するように設計されている。62Sn/36Pb/2Agはんだによる銅の良好な濡れ性が確認された。銅の層は高密度であった。
【0053】
実施例4
本発明にかかる実施例1の厚膜ペーストが、アルミニウムワイヤーボンディング用途に使用された。表4に、96%アルミナ基板の850℃における焼成後の特性を示す。ここにおける銅も良好なはんだ濡れ性を示す。0.010”アルミナワイヤーが調べられ、厚膜印刷銅とアルミナ基板間の良好な接着性を維持する、厚膜銅/アルミナ界面部以外でのワイヤー破損によるものと分かった。ペーストも22AWGスズめっきされた銅ワイヤーをはんだ付けした場合に、良好な接着性を示す。アルミナ基板上の厚膜印刷銅の大部分がはんだ浸出を起こすことが明らかとなる。表4中の特に試験例2及び4に、銅ペーストが650℃又は850℃において、アルミナ基板上で焼成され得ることが示され、いずれの場合においても極めて優れた機械的および電子的特性を与えることが認められる。
【0054】
【表4】

【0055】
前記の実施例では、用いる基板はガラス被覆ステンレススチール及びアルミナに限定されているが、本発明の厚膜ペーストは、磁器エナメル被覆スチール、ベリリア基板、ガラス基板、チタン酸バリウム基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板等を含む様々な基板に塗布してもよいものである。さらに、スクリーン印刷技術に、本発明にかかる前述の実施例厚膜ペーストを組み合わせ、溶射(スプレーイング)、ブラッシング、浸漬(ディッピング)、インクジェット法又はドクターブレード法を含む従来技術に応用することも可能である。
【0056】
本発明における「ガラス」とは、幅広く解釈されてもよく、ガラス及び、結晶化をある程度発揮するセラミックガラスの両者を含むものである。
【0057】
付加的な利点及び変更が従来技術に対して容易になされるであろう。従って、より幅広い見地でなされる本発明は、本明細書に示される詳細な説明及び実施例に限定されるものではない。様々な改良が、本発明の請求の範囲及びそれと同等な内容に規定される本発明の概念の基礎及び範囲から逸脱することなくなされてもよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス成分と金属成分を含む固体分を含む鉛フリー及びカドミウムフリー導電性厚膜ペーストにおいて、前記ガラス成分が
(a)下記(i)〜(iii)を含む第一ガラス組成物、
(i)約25〜約67モル%のBaO
(ii)約33〜約70モル%のSiO+B
(iii)約0.1〜約20%のTiO
(b)下記(iv)〜(v)を含む第二ガラス組成物とを含み、
(iv)約27〜約65モル%のZnO
(v)約33〜約70%のSiO+B
(c)前記第一ガラス組成物と前記第二ガラス組成物が、約1:40〜約20:1の重量比で存在する、
ことを特徴とする厚膜ペース。
【請求項2】
請求項1に記載の厚膜ペーストにおいて、前記第二ガラス組成物がさらに約0.1〜約10モル%のTiO+ZrO2、及び約0.1〜約15モル%のLiO+NaO+KOを含むことを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項3】
請求項1に記載の厚膜ペーストにおいて、前記金属成分が銅を含むことを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項4】
請求項1に記載の厚膜ペーストにおいて、前記第二ガラス組成物がさらに0.1〜10モル%のAlを含むことを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項5】
請求項1に記載の厚膜ペーストにおいて、前記ガラス成分がさらに第三ガラス組成物を含み、該第三ガラス組成物が約5〜約80モル%のBiを含むことを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項6】
請求項1に記載の厚膜ペーストにおいて、前記第一ガラス組成物がさらにSrOを含み、第一ガラス組成物中に存在するBaO+SrOの総量が約10〜約70モル%であることを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項7】
請求項1に記載の厚膜ペーストにおいて、前記第一ガラス組成物がさらにCaOを含み、第一ガラス組成物中に存在するBaO+CaOの総量が約10〜約70モル%であることを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項8】
請求項6に記載の厚膜ペーストにおいて、前記第二ガラス組成物がさらに約0.1〜約10モル%のZrOを含むことを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項9】
請求項1に記載の厚膜ペーストにおいて、前記第二ガラス組成物がさらにTiOを含み、第二ガラス組成物中に存在するTiO+ZrOの総量が約0.1〜約10モル%であることを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項10】
請求項9に記載の厚膜ペーストにおいて、前記第二ガラス組成物がさらに約0.1〜約20モル%のNbを含むことを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項11】
請求項10に記載の厚膜ペーストにおいて、前記第二ガラス組成物がさらに約0.1〜約15モル%のLiO+NaO+KOを含むことを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項12】
請求項1に記載の厚膜ペーストにおいて、前記第二ガラス組成物がさらにCuOを含み、第二ガラス組成物中におけるZnO+CuOの総量が約0.1〜約65モル%であることを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項13】
請求項5に記載の厚膜ペーストにおいて、前記第三ガラス組成物がさらに約0.1〜約25モル%のCuOを含むことを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項14】
請求項13に記載の厚膜ペーストにおいて、前記第三ガラス組成物がさらに約0.1〜約10モル%のNiOを含むことを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項15】
請求項1に記載の厚膜ペーストにおいて、前記ガラス成分が
(a)下記(vi)〜(viii)を含む第一ガラス組成物、
(vi)約35〜約65モル%のBaO
(vii)約35〜約66モル%のSiO+B
(viii)約0.1〜約10モル%のTiO
(b)下記(ix)〜(xi)を含む第二ガラス組成物とを含み、
(ix)約30〜約60モル%のZnO
(x)約40〜約60モル%のSiO+B
(xi)約0.1〜約10モル%のZrO
(c)前記第一ガラス組成物と前記第二ガラス組成物が、約1:40〜約20:1の重量比で存在する、
ことを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項16】
請求項15に記載の厚膜ペーストにおいて、さらに第三ガラス組成物を含み、該第三ガラス組成物が約15〜約65モル%のBiを含むことを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項17】
請求項15に記載の厚膜ペーストにおいて、前記ガラス成分が約2.5〜約80重量%の第一ガラス組成物と、約2〜約97.5重量%の第二ガラス組成物を含むことを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項18】
請求項1に記載の厚膜ペーストにおいて、前記固体分が約80〜約98重量%の前記金属成分と、約2〜約20重量%の前記ガラス成分を含むことを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項19】
焼成後の最大抵抗値が約20mohm/squareである請求項1に記載の厚膜ペースト。
【請求項20】
請求項1に記載の厚膜ペーストにおいて、前記ガラス成分が下記(a)及び(b)を有することを特徴とする厚膜ペースト。
(a)下記(i)〜(iii)を含む第一ガラス組成物
(i)約5〜約35モル%のZnO
(ii)約5〜約40モル%のSiO
(iii)約2〜約35モル%のB
(b)下記(iv)〜(vii)を含む第二ガラス組成物
(iv)約20〜約70モル%のBi
(v)約20〜約50モル%のSiO
(vi)約2〜約30モル%のB
(vii)前記第一ガラス組成物と前記第二ガラス組成物が、約1:40〜約20:1の重量比で存在する。
【請求項21】
請求項1に記載の厚膜ペーストにおいて、さらに液体分を含み、該ペーストが約10〜約30重量%の液体分を含むことを特徴とする厚膜ペースト。
【請求項22】
導電性のパスを有する電子デバイスにおいて、前記パスが鉛フリー及びカドミウムフリー導電性厚膜ペーストを焼成することによって形成され、前記ペーストがガラス成分を含み、前記ガラス成分が下記(a)〜(c)を有することを特徴とする電子デバイス。
(a)下記(xii)〜(xiv)を含む第一ガラス組成物
(xii)約25〜約67モル%のBaO
(xiii)約33〜約70モル%のSiO+B
(xiv)約0.1〜約20モル%のTiO
(b)下記(xv)〜(xvi)を含む第二ガラス組成物
(xv)約27〜約65モル%のZnO
(xvi)約33〜約70モル%のSiO+B
(c)前記第一ガラス組成物と前記第二ガラス組成物が、約1:40〜約20:1の重量比で存在する。
【請求項23】
請求項22に記載の電子デバイスにおいて、前記電子デバイスがソーラーパネル、ヒーター、フロントガラスパネルからなる群より選択される製品を含むことを特徴とする電子デバイス。
【請求項24】
下記工程を含む電子デバイスの製造方法。
(i)請求項1記載の導電性厚膜ペースト及び基板を準備する。
(ii)前記ペーストを前記基板上に塗布する。
(iii)前記工程(ii)後の基板を約650〜約850℃の温度で焼成する。
【請求項25】
請求項24に記載の電子デバイスの製造方法において、前記基板がアルミナ基板、磁器エナメル被覆スチール、ベリリア基板、チタン酸バリウム基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板からなる群より選択されることを特徴とする電子デバイスの製造方法。

【公表番号】特表2008−504667(P2008−504667A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527233(P2007−527233)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/012743
【国際公開番号】WO2006/001882
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(503468695)フエロ コーポレーション (26)
【Fターム(参考)】