説明

開閉扉用クッション支持構造

【課題】 開閉蓋と車体骨格部材との間隔を有効に利用して、衝突エネルギの吸収性能を向上する。
【解決手段】 ラジエータサポートアッパ14の上壁部14Aの下面14Fにブラケット30が取付けられており、ブラケット30に取付けられたフードクッション16がラジエータサポートアッパ14の上壁部14Aに形成した貫通孔50を車両下方側から車両上方側へ貫通している。フードクッション16を介してブラケット30に、フード20の所定値以上の閉止方向力が作用すると、ブラケット30の折り返し部30B、30Dが変形し、フードクッション16が鉛直下方へ移動するため、フード20とラジエータサポートアッパ14との間にフードクッション16の潰れ残りが発生しないようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等に適用され、開閉蓋を閉める際の衝撃音と振動を低減するための開閉扉用クッションの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンフードを閉める際の衝撃音と振動を低減するための開閉扉用緩衝装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、車両の前面側に配置される所要部品が取付けられるバルクヘッドを金属製補強板で補強すると共に、この金属製補強板の上部に形成された孔にクッション材を設け、このクッション材によって車両のボンネットフード(エンジンフード)が閉じられたときの緩衝を行うようになっている。
【特許文献1】特開2001−233250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の開閉扉用クッション支持構造では、エンジンフードに衝突体が衝突し、上方から所定値以上の荷重が付加された場合に、エンジンフードと金属製補強板との間にクッション材の潰れ残りが発生する。この結果、エンジンフードと金属製補強板との間に隙間が残っていてもそれ以上の緩衝作用ができない。このため、衝突エネルギの吸収性能を向上しようとすると、エンジンフードと金属製補強板との間隔を大きくする必要があり、エンジンフードとバルクヘッドとの間のシール構造や意匠が制約を受けることになる。
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、開閉蓋と車体骨格部材との間隔を有効に利用して、衝突エネルギの吸収性能を向上できる開閉扉用クッション支持構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明は、車体骨格部材の裏面側に支持された取付部材と、前記取付部材に取付けられ先端で開閉扉を弾性的に支持する開閉扉用クッションと、前記取付部材に形成され、前記開閉扉の所定値以上の閉止方向力で変形し前記開閉扉用クッションを移動させる変形部と、前記車体骨格部材に形成され、前記開閉扉が前記開閉扉用クッションに当たった後の前記開閉扉用クッションの移動ストロークを確保するストローク確保用貫通部と、を有することを特徴とする。
【0006】
開閉扉用クッションが取付けられた取付部材が車体骨格部材の裏面側に支持されており、開閉扉用クッションの先端が開閉扉を弾性的に支持している。また、開閉扉用クッションに開閉扉の所定値以上の閉止方向力が作用した場合には、取付部材の変形部が変形し、開閉扉用クッションが移動する。この際、車体骨格部材に形成されたストローク確保用貫通部が、開閉扉が開閉扉用クッションに当たった後の開閉扉用クッションの移動ストロークを確保する。このため、開閉蓋と車体骨格部材との間に開閉扉用クッションの潰れ残りが発生しない。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の開閉扉用クッション支持構造において、前記取付部材は前記開閉扉用クッションを取付けるクッション取付部と、前記車体骨格部材に固定する骨格部材固定部と、を備え、前記変形部は前記クッション取付部と前記骨格部材固定部とを連結する折り返し部であることを特徴とする。
【0008】
開閉扉用クッションに開閉扉の所定値以上の閉止方向力が作用した場合に、開閉扉用クッションが取付けられた取付部材におけるクッション取付部と骨格部材固定部とを連結する折り返し部が変形する。このため、変形部を取付部材におけるクッション取付部と骨格部材固定部とを連結する折り返し部とすることで構成が簡単になる。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1またh請求項2に記載の開閉扉用クッション支持構造において、前記ストローク確保用貫通部には前記開閉扉用クッションが貫通して突出していることを特徴とする。
【0010】
ストローク確保用貫通部には開閉扉用クッションが貫通して突出しているため、ストローク確保用貫通部と開閉扉用クッションとの隙間を小さくすることで、見栄えが向上する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の本発明の開閉扉用クッション支持構造は、開閉蓋と車体骨格部材との間隔を有効に利用して、衝突エネルギの吸収性能を向上できる。
【0012】
請求項2記載の本発明の開閉扉用クッション支持構造は、簡単な構成で、開閉蓋と車体骨格部材との間隔を有効に利用して、衝突エネルギの吸収性能を向上できる。
【0013】
請求項3記載の本発明の開閉扉用クッション支持構造は、見栄えを向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明における開閉扉用クッション支持構造の第1実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0015】
なお、図中矢印UPは車両上方方向を示し、図中矢印FRは車両前方方向を示し、図中矢印INは車幅内側方向を示している。
【0016】
図6に示される如く、本実施形態では、自動車のボデー10の前部10Aに、車体前後方向に沿ってエプロンアッパメンバ12が取付けられており、エプロンアッパメンバ12はボデー10の前部10Aにおける車幅方向両端上部にそれぞれ取付けられている。また、エプロンアッパメンバ12の前端部には、車体骨格部材としての板材からなるラジエータサポートアッパ14が架設されており、ラジエータサポートアッパ14の車幅方向両端上部には開閉扉用クッションとしてのフードクッション16が取付けられている。
【0017】
なお、車体骨格部材とは、車体の骨組みを構成する部材であって、エプロンアッパメンバ12、ピラー、サイドメンバ、ロッカ等である。
【0018】
また、エプロンアッパメンバ12の上部には開閉蓋としてのエンジンフード20(以下フードという)が、後端部に配設されたヒンジ(図示省略)を介して取付けられており、エンジンルーム22が開閉可能となっている。
【0019】
図2に示される如く、フード20は、フード20の車両外側部(閉状態で上部)を構成するフードアウタパネル24と、フード20の車両内側部(閉状態で下部)を構成するフードインナパネル26とを備えており、フードアウタパネル24の外周縁部24Aとフードインナパネル26の外周縁部26Aとがフェミング加工によって互いに結合されている。また、フードクッション16はブラケット30を介してラジエータサポートアッパ14に固定されている。
【0020】
図1に示される如く、ラジエータサポートアッパ14は、その長手方向を車幅方向に沿って配置されており、車幅方向から見た断面形状は開口部を下方へ向けたハット形状となっている。具体的に説明すると、ラジエータサポートアッパ14の上壁部14Aの前端には、車両下方へ向かって前壁部14Bが形成されており、前壁部14Bの下端には、車両前方へ向かってフランジ14Cが形成されている。一方、ラジエータサポートアッパ14の上壁部14Aの後端には車両下方へ向かって後壁部14Dが形成されており、後壁部14Dの下端には、車両後方へ向かってフランジ14Eが形成されている。また、ラジエータサポートアッパ14の上壁部14Aは板状となっており、上壁部14Aにおける車幅方向両端部近傍の裏面側となる下面14Fには、取付部材としてのブラケット30が取付けられている。
【0021】
図3に示される如く、ブラケット30の車両前後方向から見た断面形状は、略W字状となっている。
【0022】
具体的に説明すると、ブラケット30の長手方向(車幅方向)中央部は、クッション取付部としてのクッション取付壁部30Aとなっており、クッション取付壁部30Aは略水平に、その長手方向を車幅方向に沿って配置されている。また、ブラケット30のクッション取付壁部30Aにおける車幅方向外側端には変形部としての折り返し部30Bが車両下方へ向かって形成されている。折り返し部30BはV字状に折り返されており、折り返し先端(上端)には車幅方向外側へ向かって骨格部材固定部としてのフランジ30Cが形成されている。一方、ブラケット30のクッション取付壁部30Aにおける車幅方向内側端には変形部としての折り返し部30Dが車両下方へ向かって形成されている。折り返し部30DはV字状に折り返されており、折り返し先端(上端)には車幅方向内側へ向かって骨格部材固定部としてのフランジ30Eが形成されている。
【0023】
なお、ブラケット30のクッション取付壁部30Aとフランジ30C、30Eとは、略同じ上下位置となっており、フランジ30C、30Eはそれぞれラジエータサポートアッパ14の上壁部14Aの下面14Fに溶接等によって固定されている。
【0024】
図5に示される如く、ブラケット30のクッション取付壁部30Aには、プレス成形によって、取付孔31が形成されており、取付孔31の周縁部には、取付孔31の径方向に沿って伸びる切欠32が一箇所形成されている。また、取付孔31の周縁部は、切欠32を挟んで対向する一方の周縁部32Aから、他方の周縁部32Bにかけて次第に低くなるように傾斜している。これによって、取付孔31の周縁部には雌螺子の一周が形成されている。従って、切欠32を通して取付孔31にフードクッション16が螺合できるようになっている。
【0025】
一方、フードクッション16は円柱状のゴム、樹脂等の弾性部材で構成されており、外周部16Aには、所定のピッチで螺子溝34がフードクッション16の軸線回りにフードクッション16の全長に亘って刻まれており、螺子溝34の間が螺子山36となっている。
【0026】
図3に示される如く、ブラケット30の取付孔31にフードクッション16の螺子溝34が螺合しており、ブラケット30の取付孔31を形成した部位の板厚M1に比べて、フードクッション16の螺子溝34の溝幅W1(フードクッション16の軸線方向における隣接する螺子山36間の距離)が若干小さくなっている。このため、ブラケット30の取付孔31の周縁部とフードクッション16の螺子山36との間に強い張力が生じて通常使用時にフードクッション16が緩まず、且つ、螺合作業時の負荷が大きすぎない関係になっている。また、溝幅W1によって螺合可能となる板厚M1に、所定の許容範囲を持たせることができる。即ち、板厚M1が僅かに異なる場合にも、フードクッション16を螺合できるようになっており、フードクッション16は螺子溝34と螺子山36とがブラケット30の取付孔31に螺合することでエプロンアッパメンバ12に取付けられている。また、フードクッション16におけるブラケット30のクッション取付壁部30Aから突出した突出部の先端としての上端部16Cは、フード20が閉止状態にある時にフードインナパネル26の下面26Bに当接して、フードクッション16は軸方向へ弾性圧縮変形し、フードクッション16を支持するようになっている。
【0027】
フードクッション16のブラケット30のクッション取付壁部30Aからの突出部の高さH1は、フードクッション16の下端部16Bのブラケット30への捩じ込み量によって調整できるようになっている。
【0028】
図1に示される如く、フードクッション16の貫通配置される部位となるラジエータサポートアッパ14の上壁部14Aの部位には、ストローク確保用貫通部としての貫通孔(逃がし孔)50が形成されている。この貫通孔50は、フードクッション16の軸線上L1に中心を有し、フードクッション16の軸径(直径)R1より大きな直径R2(R2>R1)とされた円形となっており、フードクッション16と干渉しないようになっている。
【0029】
従って、エンジンフード20がフードクッション16に当たった後のフードクッション16の移動ストロークを確保できるようになっている。また、図1に示されるように、通常状態では、ラジエータサポートアッパ14の上壁部14Aとブラケット30のクッション取付壁部30Aとが略同じ高さになっており、フードクッション16が貫通孔50に貫通し車両上方へ突出している。
【0030】
図2及び図3に示される如く、フードクッション16を介してブラケット30のクッション取付壁部30Aに、フード20の所定値以上の閉止方向力(図2及び図3の矢印F1)が作用した場合には、ブラケット30の折り返し部30B、30Dが、図4に示されるように開く(図4の矢印A方向へ変形する)ようになっている。このため、フードクッション16が鉛直下方(図2及び図3の矢印B方向)へ移動するようになっており、フード20とラジエータサポートアッパ14との間にフードクッション16の潰れ残りが発生しないようになっている。
【0031】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0032】
本実施形態では、フード20を閉めた際に、フードクッション16におけるブラケット30のクッション取付壁部30Aから突出した突出部(高さH1の部位)がフード20の閉止方向力によって弾性変形する。この結果、フード20のストロークと、フードクッション16からフード20が受ける力との関係は、ストロークの増加に対して力は緩やかに上昇する。このため、通常フード20を閉める際のストロークに対して力が小さいので、フード20を容易に閉めることができる。
【0033】
また、フード20が強閉された場合には、フードクッション16の突出部が大きく弾性変形する。この結果、ストロークの増加に対して力Fは緩やかに上昇した後、急激に上昇する。このため、フード20を強閉した際の力に対してストロークが小さくなるので、フード20がフード20の下方に取付けられた他部品に干渉するのを防止できる。
【0034】
また、衝突体がフード20に車体上方向から車体下方へ向かって当接した場合には、フード20の閉止方向力によって、フードクッション16の突出部が更に大きく弾性変形する。この結果、ストロークの増加に対して力は緩やかに上昇した後、急激に上昇するので、フード20に歩行者等の衝突体が当接した際のフードクッション16のエネルギ吸収量を増加できる。
【0035】
また、本実施形態では、図1に示される如く、フードクッション16を取付けたブラケット30がラジエータサポートアッパ14の上壁部14Aの下面14Fに取付けられており、フードクッション16がラジエータサポートアッパ14の上壁部14Aに形成した貫通孔50に貫通配置されている。更に、ブラケット30におけるクッション取付壁部30Aと骨格部材固定部としてのフランジ30C、30Eとの間には折り返し部30B、30Dが形成されている。
【0036】
この結果、衝突体の衝突によって、フードクッション16を介してブラケット30のクッション取付壁部30Aに、フード20の所定値以上の閉止方向力(図2及び図3の矢印F1)が作用した場合には、ラジエータサポートアッパ14の上壁部14Aの下面14Fに配置したブラケット30の折り返し部30B、30Dが、図4に示されるように開く(図4の矢印A方向へ変形する)ことで、フードクッション16が鉛直下方(図2及び図3の矢印B方向)へ移動する。
【0037】
この際、貫通孔50がフードクッション16の軸線上L1に中心を有し、フードクッション16の軸径(直径)R1より大きな直径R2(R2>R1)となっているため、フードクッション16は貫通孔50の内周部と干渉することなく、下方(図2及び図3の矢印B方向)へ移動する。
【0038】
従って、本実施形態では、衝突体の衝突によって、フードクッション16を介してブラケット30のクッション取付壁部30Aに、フード20の所定値以上の閉止方向力(図2及び図3の矢印F1)が作用した場合に、図4に示される如く、フード20とラジエータサポートアッパ14との間にフードクッション16の潰れ残りが発生しない。この結果、フード20の車両下方(矢印B方向)の変形ストロークを大きくできる。このため、フード20とラジエータサポートアッパ14との間隔を有効に利用して、衝突エネルギの吸収性能を向上できる。
【0039】
次に、本発明における開閉扉用クッション支持構造の第2実施形態を図7に従って説明する。
【0040】
なお、第1実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
【0041】
図7に示される如く、本実施形態では、貫通孔50の直径R2が第1実施形態に比べて大きくなっており、ブラケット30のクッション取付壁部30Aの上端部が、ラジエータサポートアッパ14の貫通孔50から車両上方へ突出している。即ち、ブラケット30の上部が貫通孔50に貫通配置されており、ブラケット30のクッション取付壁部30Aと折り返し部30B、30Dの下端との車両上下方向の間隔V1が、第1実施形態に比べて大きくなっている。
【0042】
従って、本実施形態では第1実施形態と同様な作用効果が得られると共に、ブラケット30のクッション取付壁部30Aと折り返し部30B、30Dの下端との間隔V1を第1実施形態に比べて大きくしたため、ブラケット30の折り返し部30B、30Dが変形する際のエネルギ吸収量を第1実施形態に比べて大きくできる。このため、衝突エネルギの吸収性能を更に向上できる。
【0043】
次に、本発明における開閉扉用クッション支持構造の第3実施形態を図8及び図9に従って説明する。
【0044】
なお、第1実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図9に示される如く、本実施形態では、貫通孔50の直径R2が第1実施形態に比べて小さくなっており、フードクッション16と貫通孔50の周縁部との間隔S1が第1実施形態に比べて小さくなっている。
【0046】
従って、本実施形態では第1実施形態と同様な作用効果が得られると共に、図8に示される如く、車両上方からフードクッション16を見た場合に、フードクッション16と貫通孔50の周縁部との間隔から、ブラケット30のクッション取付壁部30Aが見え難い。このため、フード20を開いた際に、エンジンルーム22の周縁部の見栄えが良い。
【0047】
次に、本発明における開閉扉用クッション支持構造の第4実施形態を図10に従って説明する。
【0048】
なお、第3実施形態と同一部材は、同一符号を付してその説明を省略する。
【0049】
図10に示される如く、本実施形態では、ブラケット30のクッション取付壁部30Aとラジエータサポートアッパ14の上壁部14Aとの間隔W1が、第3実施形態に比べて大きくなっている。
【0050】
従って、本実施形態では第3実施形態と同様な作用効果が得られると共に、車両上方からフードクッション16を見た場合に、フードクッション16と貫通孔50の周縁部との間隔から、ブラケット30のクッション取付壁部30Aが更に見え難い。このため、フード20を開いた際に、エンジンルーム22の周縁部の見栄えが更に向上する。
【0051】
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態ではブラケット30におけるクッション取付壁部30Aの両端部に一対の折り返し部30B、30Dとフランジ30C、30Eとを設けたが、ブラケット30におけるクッション取付壁部30Aの一方の端部にのみ折り返し部30Bとフランジ30Cとを設けた片持ち構造としても良い。
【0052】
また、ブラケット30の変形部としての折り返し部30B、30DはV字状に限定されず、U字状等の他の形状としても良い。
【0053】
また、変形部は折り返し部折に限定されず、蛇腹部等の他の変形部としても良い。
【0054】
また、上記各実施形態では、ブラケット30のクッション取付部としてのクッション取付壁部30Aと骨格部材固定部としてのフランジ30C、30Eとの間を変形部としての折り返し部30B、30Dとしたが、これに代えて、クッション取付壁部30Aやフランジ30C、30Eの一部に変形部を設けた構成としても良い。
【0055】
また、上記各実施形態では、ラジエータサポートアッパ14の上壁部14Aにストローク確保用貫通部としての円形の貫通孔50を形成したが、貫通孔50の形状は円形に限定されず、矩形等の他の形状としても良い。
【0056】
また、ストローク確保用貫通部は貫通孔50に限定されず、ブラケット30等の取付部材が支持されたラジエータサポートアッパ14等の車体骨格部材に形成され、開閉扉としてのエンジンフード20が開閉扉用クッションとしてのフードクッション16に当たった後のフードクッション16の移動ストロークを確保する構成であれば、図11に示される如く、ラジエータサポートアッパ14の上壁部14Aと後壁部14Dとに跨る切欠70等の他のストローク確保用貫通部としても良い。
【0057】
また、本発明の開閉扉用クッション支持構造は、図6に示される如く、エプロンアッパメンバ12の前方上部に取付けられたフードクッション18にも適用可能である。
【0058】
また、本発明の開閉扉用クッション支持構造は、フード20に限定されず、ラゲージドア、バックドア、スライドドア等の他の開閉蓋に適用可能であり、自動車以外の車体の開閉扉や車体以外の開閉蓋にも適用可能である。
【0059】
なお、上記各実施形態における、フード20の所定値以上の閉止方向力F1は、同一とは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態に係る開閉扉用クッション支持構造の要部を示す車両斜め前方内側から見た斜視図である。
【図2】図6の2−2線に沿った拡大断面図である。
【図3】図2の3−3線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る開閉扉用クッション支持構造の変形状態を示す図3に対応する断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る開閉扉用クッション支持構造の一部を示す車両前方斜め内側から見た分解斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る開閉扉用クッション支持構造が適用された車体前部を示す車体斜め前方から見た斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る開閉扉用クッション支持構造を示す図3に対応する断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る開閉扉用クッション支持構造の要部を示す車両斜め前方内側から見た斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る開閉扉用クッション支持構造の変形状態を示す図3に対応する断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る開閉扉用クッション支持構造の変形状態を示す図3に対応する断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る開閉扉用クッション支持構造の要部を示す車両斜め前方内側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
14 ラジエータサポートアッパ(車体骨格部材)
14A ラジエータサポートアッパの上壁部
14F ラジエータサポートアッパの下面(裏面側)
16 フードクッション(開閉扉用クッション)
20 エンジンフード(開閉扉)
24 フードアウタパネル
26 フードインナパネル
30 ブラケット(取付部材)
30A ブラケットの上壁部(クッション取付部)
30B ブラケットの折り返し部(変形部)
30C ブラケットのフランジ(骨格部材固定部)
30D ブラケットの折り返し部(変形部)
30E ブラケットのフランジ(骨格部材固定部)
50 貫通孔(ストローク確保用貫通部)
70 切欠(ストローク確保用貫通部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体骨格部材の裏面側に支持された取付部材と、
前記取付部材に取付けられ先端で開閉扉を弾性的に支持する開閉扉用クッションと、
前記取付部材に形成され、前記開閉扉の所定値以上の閉止方向力で変形し前記開閉扉用クッションを移動させる変形部と、
前記車体骨格部材に形成され、前記開閉扉が前記開閉扉用クッションに当たった後の前記開閉扉用クッションの移動ストロークを確保するストローク確保用貫通部と、
を有することを特徴とする開閉扉用クッション支持構造。
【請求項2】
前記取付部材は前記開閉扉用クッションを取付けるクッション取付部と、前記車体骨格部材に固定する骨格部材固定部と、を備え、前記変形部は前記クッション取付部と前記骨格部材固定部とを連結する折り返し部であることを特徴とする請求項1に記載の開閉扉用クッション支持構造。
【請求項3】
前記ストローク確保用貫通部には前記開閉扉用クッションが貫通して突出していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開閉扉用クッション支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−91079(P2007−91079A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−284219(P2005−284219)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】