説明

防水端子構造、及び電子機器

【課題】電子部材の端子と基板接点部との接続や、コネクタ部の接続が容易に行えて、防水も容易に行えるようにする。
【解決手段】端子31を有する電子部材3と、筐体に形成され、電子部材3を収納する収納部13と、その収納部13に形成された開口14に位置して、筐体内に設けられる基板接点部16と、その基板接点部16に接続され、収納部13に収納される電子部材3の、開口14に位置する端子31に圧接可能な導電性弾性部材21と、その導電性弾性部材21の周囲に一体的に設けられ、収納部13に収納される電子部材3の端子31周囲及び筐体の開口14周囲に圧接する防水部24・25を有する絶縁性弾性部材22と、を備える。電子部材は、具体的には、着脱自在な電池3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部材、コネクタの防水端子構造と、その防水端子構造を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スピーカ等の電子部材の端子と、プリント配線基板の配線のパターンとの導通を、絶縁ゴムと導電ゴムからなる異方性導電部材で確保し、しかも、筐体内の防水も図ったものが特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−364177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、筐体内での防水対策に他ならず、筐体に形成された開口から接点を出すものや、筐体内に挿入するコネクタでは対応することができない。
【0005】
本発明の課題は、電子部材の端子と基板接点部との接続や、コネクタの接続が容易に行えて、防水も容易に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、端子を有する電子部材と、筐体に形成され、前記電子部材を収納する収納部と、前記収納部に形成された開口に位置して、前記筐体内に設けられる基板接点部と、前記基板接点部に接続され、前記収納部に収納される前記電子部材の、前記開口に位置する前記端子に圧接可能な導電性弾性部材と、前記導電性弾性部材の周囲に一体的に設けられ、前記収納部に収納される前記電子部材の前記端子周囲及び前記筐体の前記開口周囲に圧接する防水部を有する絶縁性弾性部材と、を備える防水端子構造を特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の防水端子構造であって、前記電子部材は電池であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の防水端子構造であって、前記電池は着脱自在であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の防水端子構造であって、前記電子部材はアンテナであることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、端子を有するコネクタと、筐体に開口して形成され、前記コネクタを挿入する挿入部と、前記挿入部内に露出させて、前記筐体内に設けられる基板接点部と、前記基板接点部に接続され、前記挿入部に挿入される前記コネクタの前記端子に圧接可能な導電性弾性部材と、前記導電性弾性部材の周囲に一体的に設けられ、前記挿入部内を覆う中空形状であって、前記挿入部に収納される前記コネクタの前記端子周囲及び前記筐体の前記開口周囲に圧接する防水部を有する絶縁性弾性部材と、を備える防水端子構造を特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の防水端子構造を備える電子機器を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板接点部と電子部材の端子との接続が容易に行え、しかも、基板接点部、電子部材端子、筐体内の防水が一度できる。
また、コネクタの接続、防水が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した電子機器の実施形態1の構成を示すもので、携帯電話の電池を分解して示した斜視図である。
【図2】図1の防水端子の拡大図である。
【図3】図1の矢印A−A線に沿った断面図で、電池の収納状態を示した図である。
【図4】本発明を適用した電子機器の実施形態2の構成を示すもので、携帯電話のアンテナ及び防水端子等を分解して示した斜視図である。
【図5】図4の防水端子の拡大図(a)及び(b)である。
【図6】図4の矢印B−B線に沿った断面図で、アンテナの収納状態を示した図である。
【図7】図6の矢印C部の拡大図である。
【図8】本発明を適用した電子機器の実施形態3の構成を示すもので、携帯電話及びコネクタの分解斜視図である。
【図9】図8の防水端子の拡大図である。
【図10】図8の矢印D−D線に沿った断面図で、コネクタの挿入状態を示した図である。
【図11】図10のコネクタに代えて蓋部材の挿入状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は本発明を適用した電子機器の実施形態1の構成として携帯電話の電池を分解して示したもので、1は筐体、2は防水端子、3は電子部材としての電池である。
【0015】
図示のように、筐体1は、上ケース11及び下ケース12により構成され、下ケース12に形成した凹部による電池収納部13に防水端子2が設けられている。この防水端子2は、電池収納部13に収納される電池3の端子に電気的接続される。
【0016】
図2は防水端子2を拡大したもので、導電材入りの弾性部材である導電ラバー21と絶縁ラバー22とを一体に形成したものである。図示例では、2本1組で計6本の導電ラバー21の周囲に絶縁ラバー22が一体成形されていて、絶縁ラバー22には、下端外周に延出するフランジ23、中間部外周に突出する外周防水部24、及び上面周囲に突出する上方防水部25が一体成形されている。
【0017】
ここで、導電ラバー21と絶縁ラバー22をインサート成形する構成や導電部、絶縁部に分離成形する単色成形によっても構成可能である。
【0018】
図3は電池3の収納状態を断面で示したもので、防水端子2は、電池収納部13の一端側に形成された開口14に配置されていて、その開口14に位置する基板15の6個の接点部16に導電ラバー21がそれぞれ圧接して電気的接続状態となっている。また、絶縁ラバー22の下端外周のフランジ23が開口14の周囲面に重なって、外周防水部24が開口14の内周面に圧接している。
【0019】
そして、電池収納部13に収納して固定された電池3の3個の端子31には、2本1組の導電ラバー21がそれぞれ圧接して電気的接続状態となっている。従って、導電ラバー21は、基板15の接点部16と電池3の端子31との間で圧縮状態となって導電材による電気的接続状態となる。このとき、絶縁ラバー22の上方防水部25が電池3の端子部周囲面に圧接している。
【0020】
以上、実施形態1の携帯電話によれば、防水端子2によって、基板15の接点部16と電池3の端子31との接続が容易に行え、しかも、基板接点部16、電池端子31、筐体1内の防水が一度できる。
【0021】
すなわち、基板接点部16と電池端子31とを導電ラバー21により容易に電気的接続できる。
【0022】
そして、導電ラバー21の周囲を絶縁ラバー22で塞いで、電池収納部13の開口14を絶縁ラバー22の外周防水部24により塞ぐとともに、電池3の端子31部分の周囲を上方防水部25により塞いだ構造により、一括して基板接点部16、電池端子31、筐体1内を防水できる。
【0023】
また、防水端子2が基板15から独立しているため、設計、組み立てが容易であるだけでなく、落下衝撃などによって電池端子31や基板15にストレスが加わり難く、耐衝撃性に優れるメリットもある。
【0024】
(実施形態2)
図4は本発明を適用した電子機器の実施形態2の構成として携帯電話のアンテナ及び防水端子等を分解して示したもので、4は防水筐体、5は防水端子、6は電子部材としてのアンテナである。
【0025】
図示のように、防水筐体4の背面に形成された凹部によるアンテナ収納部41の一端側に形成した開口42に防水端子5が設けられている。この防水端子5は、アンテナ収納部41に収納されるアンテナ6の端子に電気的接続される。
【0026】
図5(a)及び(b)は防水端子5を拡大して異なる方向から示したもので、前述した実施形態1と同様に、防水端子5は導電ラバー51と絶縁ラバー52とを一体に形成したものである。図示例では、1個の導電ラバー51の周囲に円筒状の絶縁ラバー52が一体成形されていて、この絶縁ラバー52の円筒部の上部寄りには、外周に突出する外周防水部53と内周に突出する内周防水部54とが一体成形されている。
【0027】
図6はアンテナ6の収納状態を断面で示したもので、防水端子5は、図7に拡大して示したように、アンテナ収納部41の一端側に形成された開口42に配置されていて、その開口42に位置する基板45の1個の接点部46に導電ラバー51が圧接して電気的接続状態となっている。また、絶縁ラバー52の外周防水部53が開口42の内周面に圧接している。
【0028】
そして、アンテナ収納部41に収納して固定されたアンテナ6の屈曲部先端の端子61には、挿入された絶縁ラバー52の円筒部内において、導電ラバー51が圧接して電気的接続状態となっている。従って、導電ラバー51は、基板45の接点部46とアンテナ6の端子61との間で圧縮状態となって導電材による電気的接続状態となる。このとき、絶縁ラバー52の内周防水部54がアンテナ6の屈曲部周囲面に圧接している。
【0029】
なお、防水筐体4の開口42周囲は凹段部43となっていて、この凹段部43には蓋板44が取り付けられ、これによりアンテナ6の抜け止めが図られている。
【0030】
以上、実施形態2の携帯電話によれば、防水端子5によって、基板45の接点部46とアンテナ6の端子61との接続が容易に行え、しかも、基板接点部46、アンテナ端子61、防水筐体4内の防水が一度でできる。
【0031】
すなわち、基板接点部46とアンテナ端子61とを導電ラバー51により容易に電気的接続できる。
【0032】
そして、導電ラバー51の周囲を絶縁ラバー52で塞いで、アンテナ収納部41の開口42を絶縁ラバー52の外周防水部53により塞ぐとともに、アンテナ6の端子61部分の周囲を内周防水部54により塞いだ構造により、一括して基板接点部46、アンテナ端子61、防水筐体4内を防水できる。
【0033】
また、防水端子5が基板45から独立しているため、設計、組み立てが容易であるだけでなく、落下衝撃などによってアンテナ端子61や基板45にストレスが加わり難く、耐衝撃性に優れるメリットもある。
【0034】
さらに、防水端子5の絶縁ラバー52の円筒部内にアンテナ6の屈曲部を圧入することで、そのアンテナ6の屈曲部周囲において、絶縁ラバー52の外周防水部53及び内周防水部54で防水性を保ちながら、その方向と垂直に向きを変えたアンテナ6の屈曲部の挿入量で接点圧力を調整できる。
【0035】
(実施形態3)
図8は本発明を適用した電子機器の実施形態3の構成として携帯電話及びコネクタを分解して示したもので、7は筐体、8は防水端子、9はコネクタである。
【0036】
図示のように、筐体7は、下ケース71及び上ケース72により構成され、下ケース71及び上ケース72の同一箇所に開口73と挿入部74が形成されていて、下ケース72の挿入部74に防水端子8が設けられている。この防水端子8は、筐体7の開口73から挿入部74に挿入されるコネクタ9の端子に電気的接続される。
【0037】
そして、コネクタ9は、イヤホンジャックのように、丸棒状部の先端から長さ方向に離間した3個の端子91を有している。
【0038】
図9は防水端子8を拡大したもので、前述した実施形態1と同様に、防水端子8は導電ラバー81と絶縁ラバー82とを一体に形成したものである。図示例では、3個の導電ラバー81の周囲に向きを直角に変えた円筒状の絶縁ラバー82が一体成形されていて、この絶縁ラバー82の円筒部の開口寄りには、外周に突出する外周防水部83と内周に突出する内周防水部84とが一体成形されている。さらに、絶縁ラバー82の円筒部の内方には、図11に示すように、導電ラバー81の間に位置する2本の内周防水部84が一体形成されている。
【0039】
図10はコネクタ9の挿入状態を断面で示したもので、筐体7の挿入部74内の防水端子8は、その下方に露出して位置する基板75の3個の接点部76に導電ラバー81がそれぞれ圧接して電気的接続状態となっている。また、絶縁ラバー82の外周防水部83が筐体7の開口73の周囲内周面に圧接している。
【0040】
そして、筐体7の開口73から挿入部74内を覆った絶縁ラバー82の円筒部内に挿入して圧入されたコネクタ9の丸棒状部の3個の端子91には、導電ラバー81がそれぞれ圧接して電気的接続状態となっている。従って、導電ラバー81は、基板75の接点部76とコネクタ9の端子91との間で圧縮状態となって導電材による電気的接続状態となる。このとき、絶縁ラバー82の開口寄りの内周防水部84がコネクタ9の丸棒状部の根元部周囲面に圧接するとともに、絶縁ラバー82の円筒部内方の2本の内周防水部84がコネクタ9の丸棒状部の3個の端子91間の周囲面にそれぞれ圧接している。
【0041】
以上、実施形態3の携帯電話によれば、防水端子8によって、基板75の接点部76とコネクタ9の端子91との接続が容易に行えて、基板接点部76、コネクタ端子91、筐体7内の防水が容易にできる。
【0042】
すなわち、基板接点部76とコネクタ端子91とを導電ラバー81により容易に電気的接続できる。
【0043】
そして、導電ラバー81の周囲を絶縁ラバー82で塞いで、筐体7の開口73の内部周囲を絶縁ラバー82の外周防水部83により塞ぐとともに、コネクタ9の丸棒状部の端子91部分の周囲を内周防水部84により塞いだ構造により、容易に基板接点部76、コネクタ端子91、筐体7内を防水できる。
【0044】
また、防水端子8が基板75から独立しているため、設計、組み立てが容易であるだけでなく、落下衝撃などによってコネクタ端子91や基板75にストレスが加わり難く、耐衝撃性に優れるメリットもある。
【0045】
さらに、防水端子8の絶縁ラバー82の円筒部内にコネクタ9の丸棒状部を圧入することで、そのコネクタ9の丸棒状部周囲において、絶縁ラバー82の内周防水部84で防水性を保ちながら、その挿入方向と垂直に向きを変えた導電ラバー81で接点圧力を確保できる。
【0046】
次に、図11はコネクタ9に代えて蓋部材99の挿入状態を示したもので、コネクタ9を接続しない場合は、図示のように、蓋部材99の丸棒状部を筐体7の開口73から絶縁ラバー82の円筒部内に挿入しておく。これにより、絶縁ラバー82の開口寄りの内周防水部84が蓋部材99の丸棒状部に圧接して気密を保持できる。
【0047】
(変形例)
なお、以上の実施形態においては、携帯電話としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、カメラ、PDA、ノートパソコン、ウェアラブルパソコン、電卓、電子辞書などの防水端子を備える機器全てに用いることができる。
また、端子を備える電子部材として、実施形態1では電池としたが、スピーカやマイクなど、実施形態2ではアンテナとしたが、センサー類や防水スピーカなど、他の電子部材でもよい。
【0048】
さらに、導電性弾性部材及び絶縁性弾性部材の材質や形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
例えば、実施形態2では固定式のアンテナとしたが、可動式のアンテナでもよい。
また、実施形態3では円形のコネクタとしたが、平型のコネクタなど、適宜の形状に変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 筐体
13 収納部
14 開口
15 基板
16 接点部
2 防水端子
21 導電性弾性部材
22 絶縁性弾性部材
23 フランジ
24 防水部
25 防水部
3 電子部材(電池)
31 端子
4 防水筐体
41 収納部
42 開口
43 凹段部
44 蓋板
45 基板
46 接点部
5 防水端子
51 導電性弾性部材
52 絶縁性弾性部材
53 防水部
54 防水部
6 電子部材(アンテナ)
61 端子
7 筐体
73 開口
74 挿入部
75 基板
76 接点部
8 防水端子
81 導電性弾性部材
82 絶縁性弾性部材
83 防水部
84 防水部
9 コネクタ
91 端子
99 蓋部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を有する電子部材と、
筐体に形成され、前記電子部材を収納する収納部と、
前記収納部に形成された開口に位置して、前記筐体内に設けられる基板接点部と、
前記基板接点部に接続され、前記収納部に収納される前記電子部材の、前記開口に位置する前記端子に圧接可能な導電性弾性部材と、
前記導電性弾性部材の周囲に一体的に設けられ、前記収納部に収納される前記電子部材の前記端子周囲及び前記筐体の前記開口周囲に圧接する防水部を有する絶縁性弾性部材と、を備えることを特徴とする防水端子構造。
【請求項2】
前記電子部材は電池であることを特徴とする請求項1に記載の防水端子構造。
【請求項3】
前記電池は着脱自在であることを特徴とする請求項2に記載の防水端子構造。
【請求項4】
前記電子部材はアンテナであることを特徴とする請求項1に記載の防水端子構造。
【請求項5】
端子を有するコネクタと、
筐体に開口して形成され、前記コネクタを挿入する挿入部と、
前記挿入部内に露出させて、前記筐体内に設けられる基板接点部と、
前記基板接点部に接続され、前記挿入部に挿入される前記コネクタの前記端子に圧接可能な導電性弾性部材と、
前記導電性弾性部材の周囲に一体的に設けられ、前記挿入部内を覆う中空形状であって、前記挿入部に収納される前記コネクタの前記端子周囲及び前記筐体の前記開口周囲に圧接する防水部を有する絶縁性弾性部材と、を備えることを特徴とする防水端子構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の防水端子構造を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−182602(P2010−182602A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26908(P2009−26908)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】