説明

防犯機能付き画像形成装置

【課題】 赤外線センサや大容量のハードディスクを必要とせず、且つ不審者が侵入した場合に外部に通知するとともに、不審者の特定も可能な防犯機能付き画像形成装置を低コストで提供する。
【解決手段】 画像形成装置1は、画像読取部6、画像形成部3、CCDカメラ31、制御部32、記憶部33、操作パネル34、送信部35、電話回線インターフェース36により構成されている。画像形成装置1は、通常の画像形成を行う画像形成モードと、侵入者の有無を検知する防犯モードとに設定可能となっており、防犯モードに設定されている場合は、制御部32はCCDカメラ31で撮影された画像の画像データを所定時間毎に取り込み、記憶部33に記憶されている前回取り込み分の画像データと比較して異常の有無を判断する。制御部32が異常を検知したときは記憶部33に格納されているメッセージを選択し、送信部35より電話回線インターフェース36を介して外部に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークや電話回線等に接続されているプリンタやファクシミリ、複写機などの画像形成装置に関し、特に、防犯用センサとしての機能を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内への侵入者を監視するための監視装置が種々開発されており、例えば特許文献1には、赤外線センサと画像センサを組み合わせ、センサから人体までの距離や人体の速度に応じて赤外線の感度を調整する複合型監視装置が開示されている。このようなセキュリティ装置は、壁若しくは天井等に固定されているのが一般的である。しかし、監視装置や配線が壁や天井に固定されていると、オフィス内のレイアウト変更や、セキュリティ強化のための装置の増設或いは移動等を行う場合、装置の取り外しが困難であり、工事費用も高額になるという問題点があった。
【0003】
そこで、コピー、ファクシミリ、プリンタ等の複数の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)を防犯装置として利用する方法が提案されており、例えば特許文献2には、MFPに赤外線検出手段と撮像手段とを搭載し、撮像した画像を公衆回線を介して送信する画像形成装置が開示されている。この方法によれば、配線の埋め込み等を伴わないため、レイアウト変更等による監視装置の移動が容易で、常に効果的な監視を行うことが可能である。
【0004】
また、特許文献3には、複写機に監視カメラを接続し、複写される原稿が特定の要件を満たす場合に複写機のユーザを撮影することにより、不正複写を防止するとともに不正使用者を特定可能な複写機監視システムが開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献2の方法では、カメラの他に赤外線検出手段が別途必要となるため画像形成装置の高コスト化につながる。さらに、撮像手段により撮影された画像はハードディスク内に順次蓄積され、画像データとして送信されるため、大容量のハードディスクが必要となる上、送信負担も大きくなっていた。また、特許文献3の方法では、複写機の不正使用者を特定することはできるものの、室内に侵入した不審者を検出したり、特定したりすることは不可能であった。
【特許文献1】特開2000−341675号公報
【特許文献2】特開2003−87775号公報
【特許文献3】特開平7−44777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、赤外線センサや大容量のハードディスクを必要とせず、且つ不審者が侵入した場合に外部に通知するとともに、不審者の特定も可能な防犯機能付き画像形成装置を低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、所定の監視領域を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像を画像データとして蓄積する第1の記憶手段と、所定の信号を外部に送信する送信手段と、前記撮像手段及び前記送信手段を制御する制御手段と、を含む画像形成装置において、前記制御手段は、前記撮像手段により撮像された画像の画像データを所定時間毎に取り込み、前記第1の記憶手段に蓄積された前回取り込み分の画像データと比較して所定以上の差があるとき、前記送信手段を用いて外部に通報することを特徴としている。
【0008】
また本発明は、上記構成の防犯機能付き画像形成装置において、前記制御手段により取り込まれた最新の画像データと、前記第1の記憶手段に蓄積された前回取り込み分の画像データとに所定以上の差がない場合は、前回取り込み分の画像データ上に最新の画像データを上書きすることを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の防犯機能付き画像形成装置において、音声又は文字メッセージを記憶する第2の記憶手段が設けられており、前記送信手段は、前記第2の記憶手段に記憶された音声メッセージを電話で送信する電話送信手段、文字メッセージをファクシミリで送信するファクシミリ送信手段、電子メールで送信する電子メール送信手段のうち少なくとも1つから成ることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の防犯機能付き画像形成装置において、前記撮像手段は、被写体からの光を画像光として結像させる光学系と、前記画像光を電気信号に変換する光電変換素子と、から成ることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の防犯機能付き画像形成装置において、携帯電話機を接続して画像データの取り込みを行う接続手段が設けられており、前記撮像手段として、携帯電話機に搭載されたカメラを用いることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の防犯機能付き画像形成装置において、原稿を照射するスキャナランプと、原稿からの反射光を画像光として導くミラーとから成る走査光学系を備え、原稿を走査して読み取る画像読取手段が設けられており、前記制御手段は、前記撮像手段により監視領域を撮像するとき、前記スキャナランプを点灯させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の構成によれば、赤外線センサ等を別途設けることなく簡単な構成で不審者の侵入を確実に検知することができる。また、蓄積された画像データを再生することにより不審者の特定も可能となり、さらに画像データ自体は送信されないため、送信手段に過度の負担がかかるおそれもなくなる。
【0014】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の防犯機能付き画像形成装置において、取り込まれた最新の画像データと、蓄積された前回取り込み分の画像データとに所定以上の差がない場合は、前回取り込み分の画像データ上に最新の画像データが上書きされるため、第1の記憶手段に記憶される画像データ量が少なくなり、記憶容量の負担が軽減される。
【0015】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の防犯機能付き画像形成装置において、音声メッセージを電話で送信する電話送信手段、文字メッセージをファクシミリで送信するファクシミリ送信手段、電子メールで送信する電子メール送信手段のうち少なくとも1つを送信手段として備えたことにより、異常があったことを外部に確実に通知することができる。
【0016】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成の防犯機能付き画像形成装置において、被写体からの光を画像光として結像させる光学系と、画像光を電気信号に変換する光電変換素子とから成るCCDカメラを撮像手段として用いることにより、監視領域の画像を感度良く撮像し、データ化することができる。
【0017】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第4の構成の防犯機能付き画像形成装置において、携帯電話機を接続して画像データの取り込みを行う接続手段を設け、撮像手段として、CCDカメラ付きの携帯電話機を用いることにより、高価なCCDカメラを別途接続する必要がなくなる。
【0018】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の防犯機能付き画像形成装置において、撮像手段により監視領域を撮像するとき、画像読取手段のスキャナランプを点灯させることにより、撮像手段が暗視カメラでない場合であっても別途照明装置を用いることなく監視領域を鮮明に撮像可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。図1において、1は画像形成装置であり、ここでは一例としてデジタル複合機を示している。画像形成装置1では、コピー動作を行う場合、複合機本体2内の画像形成部3において、帯電ユニット4により図中のA方向に回転する小径の感光体ドラム5が一様に帯電され、画像読取部6で読み取られた原稿画像データに基づく露光ユニット(レーザ走査ユニット等)7からのレーザビームにより感光体ドラム5上に静電潜像が形成され、現像ユニット8により静電潜像に現像剤(以下、トナーという)が付着されてトナー像が形成される。この現像ユニット8へのトナーの供給はトナーコンテナ9から行われる。
【0020】
上記のようにトナー像が形成された感光体ドラム5に向けて、用紙が給紙機構10から用紙搬送路11及びレジストローラ対12を経由して画像形成部3に搬送され、この画像形成部3において転写ローラ13(画像転写部)により感光体ドラム5の表面におけるトナー像が用紙に転写される。そして、トナー像が転写された用紙は感光体ドラム5から分離され、定着ローラ対14aを有する定着部14に搬送されてトナー像が定着される。定着部14を通過した用紙は、複数方向に分岐した用紙搬送路15に送られて、用紙搬送路15の分岐点に設けられた複数の経路切換ガイドを有する経路切換機構21、22、23によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、用紙搬送路16に送られて両面コピーされた後に)、第1排出トレイ17a、第2排出トレイ17b又は第3排出トレイ17cの用紙排出部に排出される。
【0021】
また、図示しないが、感光体ドラム5の表面の残留電荷を除去する除電装置がクリーニング装置18の下流側に設けられている。さらに、給紙機構10は、複合機本体2に着脱自在に取り付けられ、用紙を収納する複数の給紙カセット10a、10bと、その上方に設けられるスタックバイパス(手差しトレイ)10cとを備えてなり、これらは用紙搬送路11によって感光体ドラム5及び現像ユニット8等からなる画像形成部3に繋がっている。24は、画像読取部6上に載置される原稿を押さえて保持するプラテン(原稿押さえ板)である。
【0022】
用紙搬送路15は、具体的には、定着ローラ対14aの下流側において、まず左右二股に分岐し、一方の経路(図1では右方向に分岐する経路)は第1排出トレイ17aに連通するように構成されている。そして、他方の経路(図1では左方向に分岐する経路)は搬送ローラ対19を経由して、上下二股に分岐し、一方の経路(図1では上方向に分岐する経路)は第2排出トレイ17bに連通するように構成されている。これに対し、他方の経路(図1では下方向に分岐する経路)は、上記分岐点の直下において二股に分岐し、一方の経路は排出ローラ対20を経由して第3排出トレイ17cに用紙を排出するように構成されており、他方の経路は用紙搬送路16に連通するように構成されている。なお、用紙搬送路16は、片面に画像形成された用紙がスイッチバックされて搬送される経路であり、再び画像形成部3により異なる片面が画像形成されて排出される(両面複写)。
【0023】
次に、図2を参照して、本実施形態の画像形成装置の動作について説明する。図2は本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、画像形成部3、画像読取部6、CCDカメラ31、制御部32、記憶部33、操作パネル34、送信部35、電話回線インターフェース36により構成されている。本発明においては、画像形成装置1は通常の画像形成を行う画像形成モードと、侵入者の有無を検知する防犯モードとに設定可能となっている。
【0024】
画像読取部6は、複写時に原稿を照明するスキャナランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCD等から構成される。画像読取部6で読み取られた画像信号は制御部32に送出され、階調処理等の画像処理を適宜行い、画像信号を画像データに変換する。画像形成部3は、制御部32において変換された画像データをもとに感光体上に潜像を形成し、現像した後に用紙上にトナー画像を転写する。
【0025】
CCDカメラ31は、画像形成装置1が防犯モードに設定されている時、所定の監視領域を撮影する。撮影された画像は画像データに変換されて所定時間毎に制御部32に送信される。CCDカメラ31としては、動画の撮影を行うビデオカメラを用いても良く、静止画像のみを撮影できるスチールカメラを用いても良い。スチールカメラを用いる場合は、所定時間毎にシャッターを作動させて撮影を行うとともに、撮影された画像をデータ化して取り込みを行う。
【0026】
また、ユーザが業務を終了して退室する際、通常、室内の照明は消灯されるため、室内は暗くなっている。そこで、防犯モード設定時にプラテン24(図1参照)を開放しておき、CCDカメラ31による撮像時に画像読取部6のスキャナランプが点灯するようにしておけば、CCDカメラ31で撮影された画像が鮮明となり、制御部32において画像データの比較を正確に行うことができる。CCDカメラ31がビデオカメラの場合は画像データの取り込み時にスキャナランプが点灯し、スチールカメラの場合は、シャッターと連動してスキャナランプが点灯するように設定すれば良い。なお、CCDカメラ31として暗闇でも撮影可能な赤外線暗視カメラを用いた場合は、スキャナランプの点灯は不要である。
【0027】
制御部32は、設定されたプログラムに従って画像読取部6、画像形成部3や後述する送信部35、電話回線インターフェース36を全般的に制御する。また、画像形成装置1が防犯モードに設定されている場合は、CCDカメラ31で撮影された画像データを所定時間毎に取り込み、記憶部33に記憶されている前回取り込み分の画像データと比較して異常の有無を判断する。
【0028】
画像データの比較は、対応する各画素の濃度(階調)変化を検知して行う。例えば、前回取り込み分の画像には見られなかった人影等が撮影されると、その部分の階調が高く(或いは低く)変化し、また、人影等が撮影されない場合でも、侵入者が照明を使用した場合は室内が明るくなって画像全体の階調が低くなるため、異常有りと判断される。制御部32が異常を検知したときは記憶部33に格納されているメッセージを選択し、送信部35より外部に送信する。
【0029】
なお、画像データ取り込みの時間間隔、及び異常有りと判断する画像データの変化量のしきい値は適宜設定可能であるが、時間間隔及びしきい値を大きく設定し過ぎると、侵入者を確実に検知できないおそれがあり、逆にしきい値を小さく設定し過ぎると、朝になって室内が明るくなった時に誤検知を起こすおそれがある。そのため、画像データを取り込む時間間隔は数分〜10分間程度とし、異常有りと判断するしきい値は、その時間内に部屋が自然に明るくなる変化量以上に設定しておく。
【0030】
記憶部33は、画像データ格納メモリ37と、メッセージ格納メモリ38と、ユーザにより登録されたファクシミリ番号が格納されるファクシミリ番号格納メモリ39と、制御部32の制御に用いられる基本プログラムを格納するプログラム記憶メモリ40とを備えている。
【0031】
画像データ格納メモリ37は、CCDカメラ31により撮影され、制御部32により取り込まれた画像データを記憶する。メッセージ格納メモリ38には、外部に送信する音声メッセージ及び文字メッセージがデータ化されて格納されている。メッセージ格納メモリ38は、例えば、ROM(リードオンリーメモリ)により構成されているが、書き換え可能なPROM(例えば、データの消去を紫外線で行うEPROMや、データの消去を電気的に行うEEPROM)を用いてユーザによるメッセージの変更が可能な構成としても良い。画像データ格納メモリ37としては、データの書き換えや消去が可能なPROMが用いられる。
【0032】
操作パネル34は、ユーザが印刷条件やファクシミリ送信先の設定を行う他、記憶部33にファクシミリ送信先を登録し、登録された送信先の読み出しを行う等の種々の設定にも使用され、複数の操作キーから成る操作部と、設定条件や装置の状態等を表示する表示部(いずれも図示せず)とから構成される。また、画像形成装置1を画像形成モード若しくは防犯モードに設定するとともに、防犯モードにおいて異常を検知した時に、送信部35のいずれの送信手段を用いて外部に送信するかを設定する。
【0033】
送信部35は、制御部32により選択された音声メッセージを電話回線インターフェース36を通じて送信する音声送信部51と、制御部32により選択された文字メッセージをファクシミリ又は電子メールにより電話回線インターフェース36を通じて送信するメール送信部52から構成される。ユーザが使用する送信手段を操作パネル34により入力しておくと、これら3つの送信手段のうち予め設定された送信手段により、室内の異常が外部に通報される。
【0034】
電話回線インターフェース36は、制御部32の制御を受けて電話回線と画像形成装置側への通話路を形成するNCU(Network Control Unit)53と、制御部32の制御を受けてNCUを通じて入力されるアナログ信号をデジタル信号に復調し、制御部32から提供されるデジタル信号をアナログ信号に変調するモデム54から構成される。この電話回線インターフェース36を介してファクシミリ通信の他、前述したような音声メッセージや電子メールの送信が行われる。
【0035】
本実施形態の画像形成装置1が防犯モードに設定されると、CCDカメラ31は監視領域の撮影を開始し、制御部32は所定時間毎に画像データを取り込む。CCDカメラ31から最新の画像データが送信されると、制御部32は、先ず画像データ格納メモリ37に保存されている前回取り込み分の画像データを読み出し、両データを比較して所定の差があるかを判断する。そして、前回の画像には見られなかった人影が写っていた、或いは撮影された画像の明るさが大きく異なっていた等、その差が所定以上である場合は、侵入者有りと判断してメッセージ格納メモリ38からメッセージを読み出し、送信部35から所定の送信手段により外部に送信する。
【0036】
例えば、予め電子メールによる送信が設定されていると、メッセージ格納メモリ38から文字メッセージデータが選択されてメール送信部52に読み出され、電話回線インターフェース36を通じて「異常が発生しました」等の文字メッセージが電子メールにより特定の送信先に送信される。また、電話回線を通じて音声メッセージを送信する設定では、メッセージ格納メモリ38から音声メッセージデータが選択されて音声送信部51に読み出され、電話回線インターフェース36を通じて「異常が発生しました」等の音声メッセージが特定の送信先に送信される。これにより、不審者の侵入を確実に察知して通報することができる。さらに、画像データ格納メモリ37に保存された画像データを再生し、人影が撮影されていた場合は不審者を特定する手がかりにもなる。
【0037】
なお、送信先の電子メールアドレスや電話番号は、予め記憶部33に登録しておくこともできるし、防犯モード設定時に操作パネル34より入力しても良い。また、個人IDカード等に送信先情報を記憶させておき、ユーザが防犯モードを設定する際に装置に設けられたカードリーダにより読み取らせることも可能である。
【0038】
図3は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、画像形成装置1に携帯電話機用接続コネクタ41を設け、接続ケーブル42を用いてカメラ付き携帯電話機43を画像形成装置1に接続することにより、カメラ付き携帯電話機43を撮像手段として用いている。本実施形態の他の構成については第1実施形態の図2と同様であるため説明を省略する。
【0039】
防犯カメラとして用いられる高性能CCDカメラは高価なため、画像形成装置に搭載すると装置のコストアップにつながる。また、画像データを比較して異常の有無を検知する目的であれば、一定以上の解像度を有するCCDカメラで十分である。そこで、図3に示すように、近年急速に普及しつつあるカメラ付き携帯電話機43を画像形成装置に接続し、CCDカメラとして用いる構成とすれば、専用のCCDカメラを搭載する必要がなくなる。さらに、防犯モード設定時にのみ携帯電話機を接続すれば良いので、画像形成装置のコスト面、デザイン面からも好ましい。
【0040】
図4は本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、第1実施形態の構成に加えて、画像形成装置をLANネットワークに接続するLANインターフェース55が設けられている。本実施形態の他の構成については第1実施形態の図2と同様であるため説明を省略する。
【0041】
このような構成とすることにより、メール送信部52から送信される文字メッセージはLANインターフェース55を用いてLANネットワーク上のパソコンに送信することができる。例えば、建物内の集中警備室に専用のパソコンを設置しておき、このパソコンと各画像形成装置とをLANネットワークで繋ぐことにより、電子メールによる異常の通知を一層迅速且つ確実に行うことができ、しかも通信料も不要となる。なお、本実施形態においても、第2実施形態と同様に携帯電話機用接続コネクタ41を設け、CCDカメラ31に代えてカメラ付き携帯電話機43を撮像手段として用いる構成としても良い。
【0042】
次に、本発明の画像形成装置の防犯機能について説明する。図5は、第1実施形態の画像形成装置が防犯モードに設定された場合の動作手順を示すフローチャートである。図2を参照しながら、図5のステップに従い第1実施形態の画像形成装置の防犯モードについて説明する。ここでは、CCDカメラ31がビデオカメラである場合について示している。まず、ユーザが業務を終了すると、画像形成装置1の操作パネル34を操作して防犯モードに設定し(ステップS1)、スキャナランプを点灯させる場合はプラテン24(図1参照)を開放した後、室内の照明を消灯して退室する。一方、CCDカメラ31により所定の監視領域の撮影を開始する(ステップS2)。
【0043】
次いで、所定時間が経過したか否かが判断され(ステップS3)、まだ経過していない場合はステップS2に戻り撮影を継続する。所定時間が経過した場合は、CCDカメラ31で撮影中の画像を画像データとして取り込む。このとき、CCDカメラ31が暗視カメラでない場合はスキャナランプの点灯も同時に行う(ステップS4)。そして、制御部32は、記憶部33の画像データ格納メモリ37に蓄積されている前回取り込み分の画像データと比較して所定以上の変化が有るか否かを判断する(ステップS5)。なお、初回の画像データの取り込み時には、先の画像データが存在しないため比較は行われない。
【0044】
画像データに所定以上の変化があった場合は、記憶部33のメッセージ格納メモリ38からメッセージを読み出し、送信部35より所定の送信先に送信する(ステップS6)。一方、ステップS5において画像データに所定以上の変化がない場合は、前回取り込み分の画像データに最新の画像データを上書き保存する(ステップS7)。次に、ユーザにより防犯モードが解除されたか否かを判断し(ステップS8)、まだ設定中である場合はステップS2に戻り上記処理を同様に繰り返す(ステップS2〜S7)。ステップS8において防犯モードが解除されている場合は処理を終了する。
【0045】
図6は、第2実施形態の画像形成装置が防犯モードに設定された場合の動作手順を示すフローチャートである。図3を参照しながら、図6のステップに従い第2実施形態の画像形成装置の防犯モードについて説明する。まず、ユーザが業務を終了すると、接続ケーブル42を用いて携帯電話機用接続コネクタ41にカメラ付き携帯電話機43を接続し(ステップS1)、所定の監視領域を擦像可能となる位置に設置する。次に、画像形成装置1の操作パネル34を操作して防犯モードに設定し(ステップS2)、プラテン24(図1参照)を開放した後、室内の照明を消灯して退室する。一方、制御部32により経過時間の測定が開始される(ステップS3)。
【0046】
次に、所定時間が経過したか否かが判断され(ステップS4)、まだ経過していない場合はステップS3に戻り経過時間の測定を継続する。所定時間が経過した場合は、カメラ付き携帯電話機43で監視領域を撮像する。このとき、スキャナランプの点灯も同時に行う(ステップS5)。次に、制御部32は、接続ケーブル42を介して送信された画像データを、画像データ格納メモリ37に蓄積されている前回撮像分の画像データと比較して所定以上の変化が有るか否かを判断する(ステップS6)。なお、初回の撮像時には、先の画像データが存在しないため比較は行われない。
【0047】
画像データに所定以上の変化があった場合は、メッセージ格納メモリ38からメッセージを読み出し、送信部35より所定の送信先に送信する(ステップS7)。一方、ステップS6において画像データに所定以上の変化がない場合は、画像データ格納メモリ37内の前回撮像分の画像データに最新の画像データを上書きして保存する(ステップS8)。次に、ユーザにより防犯モードが解除されたか否かを判断し(ステップS9)、まだ設定中である場合はステップS3に戻り上記処理を同様に繰り返す(ステップS3〜S8)。ステップS9において防犯モードが解除された場合は処理を終了する。
【0048】
なお、第1実施形態においてCCDカメラ31にスチールカメラを用いた場合は、ステップS1を除いて図6と同様の制御手順になる。また、第3実施形態の場合はLANインターフェース55を用いたメッセージの送信が可能となる点以外は、第1、第2実施形態の画像形成装置と全く同様の制御手順であるため、ここでは説明を省略する。
【0049】
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態においては、送信手段として電話回線インターフェース36を通じて電話により音声を送信する手段、ファクシミリを送信する手段、電話回線インターフェース36或いはLANインターフェース55を通じて電子メールを送信する手段の3つを備えた画像形成装置について説明したが、これらの送信手段のうち少なくとも1つを備えた画像形成装置であればよい。
【0050】
例えば、第2実施形態の画像形成装置において、電話回線インターフェース36が設けられておらず、電話送信機能やファクシミリ通信機能をもたない場合は、外部に異常を通報する手段として、LANインターフェース55を用いてLANネットワーク上のパソコンに電子メールを送信する手段のみを備えておくこともできる。
【0051】
また、ここでは音声又は文字メッセージを記憶するメッセージ格納メモリ38を備え、メッセージ送信により異常を通報する構成について説明したが、外部への通報手段としてはメッセージの送信に限られるものではなく、例えば電話回線を通じて通報する場合、所定の連絡先の電話機に画像形成装置の発信番号を登録しておき、その連絡先に発呼のみを行うことにより、電話機のディスプレイを見るだけで異常の発生及び発生場所を認知することができ、通話料も不要となる。
【0052】
或いは、電話回線インターフェース36やLANインターフェース55を用いて何らかの信号を送信し、警報ランプや警報ブザー等により警備室やセキュリティ会社に通報する構成としても良い。また、電話回線やLANネットワーク以外の通信回線、例えば光ファイバによる通信回線を用いた送信や、近距離無線通信を用いた送信を行うこともできる。
【0053】
また、上記各実施形態では、ユーザが手動で防犯モードを設定、解除する構成としているが、予め防犯モードを設定及び解除する時刻を入力しておき、タイマーにより防犯モードの自動設定、自動解除が可能な構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、所定の監視領域を撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像された画像を画像データとして蓄積する第1の記憶手段と、所定の信号を外部に送信する送信手段と、撮像手段及び送信手段を制御する制御手段と、を含む画像形成装置において、制御手段は、撮像手段により撮像された画像の画像データを所定時間毎に取り込み、第1の記憶手段に蓄積された前回取り込み分の画像データと比較して所定以上の差があるとき、送信手段を用いて外部に通報することとする。
【0055】
これにより、赤外線センサ等を別途設けることなく不審者の侵入を確実に検知して通報する簡単な構成の防犯機能付き画像形成装置を提供することができる。また、蓄積された画像データを再生することにより不審者の特定も可能となり、さらに異常の発生のみを通報し、画像データの送信は行わないため、送信手段に過度の負担がかかるおそれもなくなる。
【0056】
また、取り込まれた最新の画像データと、蓄積された前回取り込み分の画像データとに所定以上の差がない場合は、前回取り込み分の画像データ上に最新の画像データが上書きされるため、記憶される画像データ量の増加による容量不足が発生するおそれがない。
【0057】
また、電話送信手段、ファクシミリ送信手段、電子メール送信手段のうち少なくとも1つを送信手段として備えたので、異常の発生を外部に確実に通知することができる。
【0058】
また、撮像手段としてCCDカメラを用いたので、監視領域の画像を感度良く撮像可能となり、画像データの送信や比較も容易となる。さらに、近年普及しつつあるカメラ付き携帯電話機をCCDカメラとして使用すれば、専用のCCDカメラを搭載する必要がなくなり、装置の低コスト化に貢献するとともに、防犯モード設定時にのみ携帯電話機を接続すれば良いので、デザイン的にも優れたものとなる。
【0059】
また、撮像手段による撮像時の照明として、画像読取手段のスキャナランプを点灯させることとすれば、撮像手段が暗視カメラでない場合であっても別途照明装置を用いることなく監視領域を鮮明に撮像可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】は、本発明の画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。
【図2】は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図4】は、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図5】は、第1実施形態の画像形成装置が防犯モードに設定された場合の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】は、第2実施形態の画像形成装置が防犯モードに設定された場合の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1 画像形成装置
3 画像形成部
6 画像読取部
31 CCDカメラ(撮像手段)
32 制御部
33 記憶部
34 操作パネル
35 送信部
36 電話回線インターフェース
37 画像データ格納メモリ(第1の記憶手段)
38 メッセージ格納メモリ(第2の記憶手段)
39 ファクシミリ番号格納メモリ
40 プログラム記憶メモリ
41 携帯電話機用接続コネクタ(接続手段)
42 接続ケーブル(接続手段)
43 カメラ付き携帯電話機
51 音声送信部
52 メール送信部
53 NCU
54 モデム
55 LANインターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の監視領域を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像を画像データとして蓄積する第1の記憶手段と、
所定の信号を外部に送信する送信手段と、
前記撮像手段及び前記送信手段を制御する制御手段と、を含む画像形成装置において、
前記制御手段は、前記撮像手段により撮像された画像の画像データを所定時間毎に取り込み、前記第1の記憶手段に蓄積された前回取り込み分の画像データと比較して所定以上の差があるとき、前記送信手段を用いて外部に通報することを特徴とする防犯機能付き画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段により取り込まれた最新の画像データと、前記第1の記憶手段に蓄積された前回取り込み分の画像データとに所定以上の差がない場合は、前回取り込み分の画像データ上に最新の画像データを上書きすることを特徴とする請求項1に記載の防犯機能付き画像形成装置。
【請求項3】
音声又は文字メッセージを記憶する第2の記憶手段が設けられており、前記送信手段は、前記第2の記憶手段に記憶された音声メッセージを電話で送信する電話送信手段、文字メッセージをファクシミリで送信するファクシミリ送信手段、電子メールで送信する電子メール送信手段のうち少なくとも1つから成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防犯機能付き画像形成装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、被写体からの光を画像光として結像させる光学系と、前記画像光を電気信号に変換する光電変換素子と、から成ることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の防犯機能付き画像形成装置。
【請求項5】
携帯電話機を接続して画像データの取り込みを行う接続手段が設けられており、前記撮像手段として、携帯電話機に搭載されたカメラを用いることを特徴とする請求項4に記載の防犯機能付き画像形成装置。
【請求項6】
原稿を照射するスキャナランプと、原稿からの反射光を画像光として導くミラーとから成る走査光学系を備え、原稿を走査して読み取る画像読取手段が設けられており、前記制御手段は、前記撮像手段により監視領域を撮像するとき、前記スキャナランプを点灯させることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の防犯機能付き画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−130835(P2006−130835A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323968(P2004−323968)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】