説明

集積回路および集積回路の製造方法

本発明は、誘電層を有する有機半導体、特に有機電界効果トランジスタ(OFET)、を備えた集積回路に関する。この集積回路は、a)少なくとも1つの架橋可能なベースポリマーを100部と、b)少なくとも1つの求電子性の架橋剤を10〜20部と、c)100〜150℃の温度で活性陽子を生成する少なくとも1つの熱性酸触媒を1〜10部と、d)a)〜c)が溶解されている少なくとも1つの溶媒とからなるポリマー組成物により製造可能である。本発明は、さらに、集積回路の製造方法、特にOFET用の、誘電層を有する集積回路を低温で作ることができる方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の集積回路と、請求項8に記載の、有機半導体を有する集積回路の製造方法とに関する。
【0002】
有機電界効果トランジスタ(OFET)に基づいた集積回路を有するシステムは、低価格帯の電子部品の大量生産応用分野において将来的に有望な技術とされている。半導体層が有機材料から作られる場合、特に、電界効果トランジスタが有機製であると考えられる。
【0003】
OFETにより複雑な回路を構成することができるので、数多くの応用の可能性がある。例えば、この技術に基づくRF−ID(radio frequency identification:高周波識別装置)システムは、障害の影響を受けやすくかつスキャナーと直接視覚的に接触した場合にのみ適用可能であるバーコードに代わる技術として用いられる可能性がある。
【0004】
特に、この場合、役割毎(roll-to-roll)の方法工程で大量に製造可能であるフレキシブル基板上の回路が関心事となる。
【0005】
多くの低価格の基板(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN))では、熱による歪みが生じるので、このようなフレキシブル基板の製造では、温度の上限は130℃〜150℃となっている。例えば、基板を事前に熱処理するなどの所定の条件の元では、この温度の上限を200℃まで上げることができるが、この場合、基板の歪みは小さくすることができるが、完全に避けることはできないので、限定的な解決方法である。
【0006】
電子部品の処理における重要な工程は、OFETの誘電層、特にゲート誘電層の堆積である。OFETの誘電体に対しては、熱特性、化学特性、機械特性および電気特性に関して、高い要求がある。
【0007】
シリコン酸化物(SiO)は、半導体技術において広く使われているため、OFETのゲート誘電部として現在最も良く使われている材料である。したがって、ゲート電極として不純物をドープしたシリコンウェハーを用い、その上に熱成長させたSiOをゲート誘電部として形成したトランジスタ構造が記載されている。このSiOは約800℃〜1000℃にて形成される。様々な基板の上にSiOを堆積させるための他の処理方法(例えば、CVD)では、やはり400℃を越える温度で処理を行う。ペンステート大学のあるグループは、高品質のSiOを80℃の処理温度で堆積させることができるイオンビームスパッタリング処理法を開発した。これに関しては、C.D.Sheraw、J.A.Nichols、D.J.Gundlach、J.R.Huang、C.C.Kuo、H.Klauk、T.N.Jackson、M.G.Kane、J.Campi、F.P.CuomoおよびB.K.Greening著の、Tech. Dig. -lot. Electron Devices Meet., 619 (2000年)の論文、ならびに、C.D.Sheraw、L.Zhou、J.R.Huang、D.J.Gundlach、T.N.Jackson、M.G.Kane、I.G.Hili、M.S.Hammond、J.Campi、B.K.Greening、J.Francl、および、J.West著の、Appl. Phys. Lett. 80, 1088 (2002年)の論文に記載されている。
【0008】
しかし、この方法では、大量生産しようとした場合、処理コストが高くなると共に、スループットが小さいという問題がある。無機窒化物(例えばSiN、TaNなど)を用いることも知られている。無機酸化物の製造と同様に、無機窒化物の堆積にも、高い温度または高い製造コストが必要となる。このことに関しては、例えば、B.K.Crone、A.Dodabalapur、R.Sarpeshkar、R.W.Filas、Y.Y.Lin、Z.Bao、J.H.O'Neill、W.LiおよびH.E.Katz著のJ.Appl.Phys. 89,5125 (2001年)の論文に記載されている。
【0009】
ハイブリッド溶液(スピンオングラス)を用いることも知られている。溶液から作られ、熱変換により「ガラスに似た」層に変換され得る有機シロキサンについては記載がある。SiOへの変換は、高温(約400℃)で行なわれるか、または部分的にしか行なわれず、これにより、トランジスタの品質が低下してしまう(これに関しては、Z.Bao、V.Kuck、J.A.RogersおよびM.A.Paczkowski著の論文Adv.Funct.Mater.、12,526 (2002年)を参照)。
【0010】
さらに、有機ポリマー(例えば、ポリ−4−ビニルフェノール(PVP)、ポリ−4−ビニルフェノール−コ−2−ヒドロキシエチルメタクリル酸塩またはポリイミド(PI))が、すでに用いられている。これらのポリマーの特徴は、比較的容易に処理可能であることである。したがって、これらは、例えばスピンコーティングまたは印刷用の溶液から使用され得る。このような材料の優れた誘電特性については、すでに示されている(H.Klauk、M.Halik、U.Zschieschang、G.Schmid、W.RadlikおよびW.Weber著の論文J Appl.Phys.(印刷中、2002年11月、92巻10号で公開予定)参照)。
【0011】
IC中の応用もすでに示されている。この場合、誘電層のパターン化のため、および誘電層の上に設けられるソース・ドレイン層のパターン化のために必要な誘電層の化学的および機械的な安定性は、ポリマーの架橋によって得られる(M.Halik、H.Klauk、U.Zschieschang、T.Kriem、G.SchmidおよびW.Radlik著の論文、Appl.Phys.Lett.、81,289 (2002年)参照)。
【0012】
しかし、この架橋は、200℃の温度において行なわれるので、広い面積のフレキシブル基板を製造する場合には問題となる。
【0013】
本発明の目的は、低温でOFETの誘電層を製造可能な方法、および有機半導体を備えた集積回路を提供することである。
【0014】
この目的は、請求項1の特徴を有する集積回路により達成される。
【0015】
本発明によれば、
a)少なくとも1つの架橋可能なベースポリマーを100部と、
b)少なくとも1つの求電子性の架橋剤を10〜20部と、
c)100〜150℃の温度で活性陽子を生成する少なくとも1つの熱性酸触媒を1〜10部と、
d)少なくとも1つの溶媒と、からなるポリマー組成物からなる有機半導体を備えた集積回路が製造可能である。
【0016】
本発明の集積回路は、特に優れた誘電特性を有する有機層を備えたOFETである。特定のポリマー組成物を用いることにより、この集積回路は、低温(150℃以下)で容易に製造可能である。原理的には、このポリマー組成物は、別の電子素子と組み合わせて用いられ得る。
【0017】
ここで、少なくとも1つのベースポリマーが、フェノール含有ポリマーまたはコポリマーであり、特に、ポリ−4−ビニルフェノール、ポリ−4−ビニルフェノール−コ−メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルエステル、または、ポリ−4−ビニルフェノール−コ−メタクリル酸−メチルエステルである場合、より有利である。
【0018】
少なくとも1つの求電子性の架橋剤は、ジベンジルアルコール化合物またはトリベンジルアルコール化合物であり、特に、4−ヒドロキシメチル−ベンジルアルコールである場合、より有利である。
【0019】
少なくとも1つの架橋剤は、以下の構造のうちの1つを有する場合、有利である。
【0020】
【化1】

【0021】
なお、R1は、−O−、−S−、−SO−、−S−、−(CH−であり、x=1〜10である。さらにR1は、以下に示す構造である。
【0022】
【化2】

【0023】
少なくとも1つの熱性酸触媒として、少なくとも1つのスルホン酸、特に、4−トルエンスルホン酸を用いれば、より有利である。これは、この物質は、150℃以下で、陽子をベンジルアルコールのヒドロキシ基に渡すことができるからである。
【0024】
利点のある溶媒は、アルコールであり、特に、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル酢酸塩(PGMEA)、ジオキサン、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、キシレン、または混合物である。
【0025】
ベースポリマーと、架橋剤と、酸発生剤との割合は、5〜20質量%である場合、より良く処理できるので有利である。
【0026】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有する集積回路、特に誘電層を備えたOFETを製造する方法により、達成される。本発明によれば、
a)請求項1に記載のポリマー組成物を、特に、予めパターン化されたゲート電極を有する基板上に塗布し、続いて、
b)ゲート誘電層の形成のために、架橋反応を100℃〜150℃で行う。
【0027】
OFETを製造するために、続いて、さらに少なくとも1つのパターン化の工程を行う場合、より有利である。
【0028】
ポリマー組成物の塗布は、スピンコーティング、印刷または噴射により行う場合、より有利である。
【0029】
架橋反応は、不活性ガス雰囲気、特にN雰囲気中で行う場合、有利である。
【0030】
ポリマー組成物の塗布後、およびポリマー薄膜の製造後に、特に100℃で乾燥工程を行う場合、有利である。
【0031】
OFETを製造するために、ゲート誘電層上に、ソースドレイン層を塗布する場合、有利である。
【0032】
最後に、ソースドレイン層上に、OFETを形成するために、特に半導体であるペンタセンからなる能動層を塗布する場合、有利である。能動層の上に、パッシベーション層が設けられる場合、有利である。
【0033】
本発明について、以下に、添付の図面を参照して複数の実施形態についてより詳細に説明する。
【0034】
図1は、有機電界効果トランジスタの概略図である。
【0035】
図2は、PVPと、架橋剤として4−ヒドロキシメチルベンジルアルコールとを含むポリマーゲート誘電層の架橋反応の例である。
【0036】
図3aは、求電子的に架橋されたゲート誘電層を有するOFETの出力特性を示す図である。
【0037】
図3bは、求電子的に架橋されたゲート誘電層を有するOFETの伝導特性を示す図である。
【0038】
図4は、オシロスコープ画像の軌跡を示す図である。
【0039】
OFETは、全てパターン化された複数の層(膜)からなる電子素子であり、各層の結合により集積回路が形成される。ここで、図1に、下部コンタクトアーキテクチャ中のこのようなトランジスタの基本的な構成を示す。
【0040】
基板1上に、ゲート電極2が形成される。ゲート電極2は、ゲート誘電層3によって覆われている。後述するように、本発明の方法に係る実施形態では、既にゲート電極部2が上に形成された基板1を、出発材料とし、その上にゲート誘電層3を設ける。ゲート誘電層3上にはドレイン層4aと、ソース層4bとが形成される。このドレイン層4aと、ソース層4bとは、両方とも、能動半導体層5に結合されている。能動層5の上には、パッシベーション層6が形成される。
【0041】
ここに記載する本発明の実施形態にとって決定的であるのは、ゲート誘電層3の堆積および処理である。
【0042】
本発明の回路およびその製造方法により、ゲート誘電層を有するOFETを提供するという目的を、特に、優れた機械的、化学的および電気的特性を有するとともに、処理温度を低くした有機ICによって達成している。
【0043】
この場合、OFETは、基本的に4つの構成要素を有する混合物(ポリマー組成物)から製造可能である誘電層を有する。この4つの構成要素とは、ベースポリマーと、架橋剤と、熱性酸発生剤と、溶媒とである。ここで本発明の回路の一実施形態では、ポリマー組成物は以下の構成要素を有する。すなわち、
a)架橋可能なベースポリマーとして、PVPと、
b)求電子性の架橋剤として、4−ヒドロキシメチル−ベンジルアルコールと、
c)酸触媒として、100℃〜150℃の温度の間で活性陽子(activating proton)を発生させる4−トルエンスルホン酸と、
d)溶媒として、例えばアルコールまたはPGMEAと、を有する。
【0044】
このポリマー組成物は、これに応じて準備されている基板1(ゲート構造2は、すでに基板1の上に規定されている)上に塗布される。ポリマー組成物は、例えば、印刷、スピンコーティングまたは噴射により塗布される。これに引き続く乾燥工程では、適度な温度(約100℃)で、ポリマー組成物が基板上に固定され、続く熱架橋工程で、このポリマー組成物が最終的な構造に変換される。
【0045】
図2は、PVPが、150℃の温度の下で、水を除きながら、4−ヒドロキシメチル−ベンジルアルコールによって架橋されることを示す概略図である。あるいは、以下に示す化合物を、求電子性架橋剤として用いてもよい。
【0046】
【化1】

【0047】
なお、R1は、−O−、−S−、−SO2−、−S2−、−(CH2)x−であり、x=1〜10である。さらにR1は以下に示す構造である。
【0048】
【化2】

【0049】
なお、R2は1〜10個の炭素原子を有するアルキルまたはアリールである。
【0050】
必要とされる特性を有するゲート誘電層3を製造するにあたっての重要な工程は、架橋反応とこの架橋反応の開始とを、基板にとって問題とならない温度で行うことである。この温度とは、20℃から最高150℃である。
【0051】
この方法を用いることにより、公知の方法(Halik他の論文(2002年)参照)に比べて、架橋に必要な温度を50℃以上下げることができる。
【0052】
ここで、ゲート誘電層3の基本的な特性は、ベースポリマーによって決定される。ベースポリマーとしては、原則的にはすべてのフェノール含有ポリマーおよびコポリマーが適しており、例えば、ポリ−4−ビニルフェノール、ポリ−4−ビニルフェノール−コ−メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルエステル、または、ポリ−4−ビニルフェノール−コ−メタクリル酸−メチルエステルである。
【0053】
ポリマー組成物中の架橋剤とその濃度とを選択することにより、ポリマー層の機械的特性と、化学物質に対する抵抗性とを決定的に制御することができる。
【0054】
熱性酸触媒を選択することにより、架橋反応の開始温度を制御することができる。
【0055】
溶媒を選択することにより、組成物の薄膜形成特性を決めることができる。
【0056】
以下に、2つのポリマー組成物の例を示す。この2つ組成物は架橋剤の割合のみが互いに異なる。
【0057】
組成物1は、プロピレングリコールモノメチルエーテル酢酸塩(PGMEA)の10%溶液である。この中に、100部のベースポリマーと、10部の架橋剤と、2.5部の酸発生剤とが存在する。
【0058】
ベースポリマーとして2gのPVP(MWは約20000)と、架橋剤として200mgの4−ヒドロキシメチル−ベンジルアルコールとの混合物を、振盪機上で、溶媒としての20.5gのPGMEA中に溶かす(約3時間)。
【0059】
続いて、酸発生剤として、50mgの4−トルエンスルホン酸を加え、溶液全体をさらに1時間振盪する。使用の前に、ポリマー溶液を、0.2μmのフィルターにかける。
【0060】
組成物2は、PGMEAの10%溶液である。この中に、100部のベースポリマーと、20部の架橋剤と、2.5部の酸発生剤とが存在する。したがって、架橋剤の割合は、組成物1の2倍である。
【0061】
ベースポリマーとして2gのPVP(MWは約20000)と、架橋剤として400mgの4−ヒドロキシメチル−ベンジルアルコールとの混合物を、振盪機上で、溶媒としての20.5gPGMEA中に溶かす(約3時間)。続いて、酸発生剤として、50mgの4−トルエンスルフォン酸を加え、溶液全体をさらに1時間振盪する。使用の前に、ポリマー溶液を、0.2μmのフィルターにかける。
【0062】
薄膜調製
2mlの組成物1を、準備済みの基板(Tiゲート構造を有するPEN(ポリエチレンナフタレート))上に、スピンコーターにて4000回転/分で22秒間塗布する。続いて、100℃で2分間、ホットプレート上で乾燥を行う。架橋反応は、400mバールのN雰囲気の炉中、150℃で行う。組成物2のフィルム調製も同様に行う。
【0063】
ゲート誘電層のパターン化
架橋されたポリマー層(ゲート誘電層3)上に、フォトレジストを設け(S1813;3000回転/分;30秒)、100℃で2分間乾燥させる。続いて、フォトラックの露光と現像とにより、後にコンタクトホールになる部分を規定する。コンタクトホールの開口は、酸素プラズマ(100Wで、45秒を2回)を用いて設けられる。
【0064】
続いて、ソースドレイン層4が、通常の方法(30nmのAuを熱蒸着により、フォトリソグラフィによりパターン化し、I/KI溶液を用いたウェット化学エッチングを行なう。)で堆積させ、パターン化される。
【0065】
組成物1の場合、ゲート誘電層2の層の厚さは、210nmである。層の粗さは、50μm上で0.5nmである。
【0066】
組成物2の場合、ゲート誘電層の層の厚さは、230nmである。層の粗さは、50μm上で0.6nmである。
【0067】
能動素子5(ここでは、ペンタセン)を熱蒸着させることにより、トランジスタおよび回路は完成する。パッシベーション層6を除き、図1で示すOFETの構造は、このように作られている。
【0068】
本明細書中では、OFETに基づいた集積回路にゲート誘電層3を低温で製造するための、ポリマー組成物およびその利用の実施形態について説明した。このゲート誘電層3の特徴は、製造時の処理温度が低いことに加え、優れた熱特性、化学特性、機械特性および電気特性を有することである。
【0069】
図3aは、求電子性的に架橋されたゲート誘電部を有するペンタセンOFETの出力特性を示す。図3bは、同じ構造について、OFETの伝導特性を示す図である(μ=0.5cm/Vs、on/off比=10)。図4は、オシロスコープの軌跡を再現した図である。段毎に120μ秒の信号遅延で動作する5段のリングオシレータの特性曲線を示す。
【0070】
本発明は、上述の好適な実施形態に限定されるものではない。むしろ、本発明の装置および本発明の方法を、根本的に全く異なる実施形態において用いる多くの変形例が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】有機電界効果トランジスタの概略図である。
【図2】PVPと、架橋剤として4−ヒドロキシメチルベンジルアルコールとを含むポリマーゲート誘電層の架橋反応の例である。
【図3a】求電子的に架橋されたゲート誘電層を有するOFETの出力特性を示す図である。
【図3b】求電子的に架橋されたゲート誘電層を有するOFETの伝導特性を示す図である。
【図4】オシロスコープ画像の軌跡を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
1 基板
2 ゲート電極
3 ゲート誘電層
4a ドレイン層
4b ソース層
5 能動層
6 パッシベーション層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電層を有する有機半導体、特に有機電界効果トランジスタ(OEFT)、を備えた集積回路であって、
前記誘電層が、
a)少なくとも1つの架橋可能なベースポリマーを100部と、
b)少なくとも1つの求電子性の架橋剤を10〜20部と、
c)100〜150℃の温度で活性陽子を生成する少なくとも1つの熱性酸触媒を1〜10部と、
d)前記a)〜c)が溶解されている少なくとも1つの溶媒と、からなるポリマー組成物により製造可能である、集積回路。
【請求項2】
前記少なくとも1つのベースポリマーが、フェノール含有ポリマーまたはコポリマーであり、特に、ポリ−4−ビニルフェノール、ポリ−4−ビニルフェノール−コ−メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルエステル、または、ポリ−4−ビニルフェノール−コ−メタクリル酸−メチルエステルであることを特徴とする請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記少なくとも1つの熱性酸発生剤は、スルホン酸、特に、4−トルエンスルホン酸であることを特徴とする請求項1または2に記載の集積回路。
【請求項4】
前記少なくとも1つの求電子性の架橋剤は、ジベンジルアルコール化合物またはトリベンジルアルコール化合物であり、特に、4−ヒドロキシメチル−ベンジルアルコールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の集積回路。
【請求項5】
前記少なくとも1つの架橋剤は、以下の構造のうちの1つを有することを特徴とする1〜4のいずれか1項に記載の集積回路。
【化1】

(なお、R1は、−O−、−S−、−SO−、−S−、−(CH−であり、x=1〜10であり、さらにR1は、
【化2】

なお、R2は1〜10個の炭素原子を有するアルキルまたはアリールである)
【請求項6】
前記少なくとも1つの溶媒は、アルコールであり、特に、n−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル酢酸塩(PGMEA)、ジオキサン、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン、キシレン、または混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の集積回路。
【請求項7】
前記ベースポリマーと、架橋剤と、酸発生剤との割合は、5〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の集積回路。
【請求項8】
誘電層を有する有機半導体、特に有機電界効果トランジスタ(OFET)、を備えた集積回路を製造する方法において、
a)請求項1に記載のポリマー組成物を、特に、予めパターン化されたゲート電極(2)を有する基板(1)上に塗布し、
b)ゲート誘電層(3)の形成のために、架橋反応を100℃〜150℃で行う、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
続いて、OFETを構成するために、さらに少なくとも1つのパターン化の工程を行うことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー組成物の塗布は、スピンコーティング、印刷または噴射により行うことを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記架橋反応は、不活性ガス雰囲気、特にN雰囲気中で行うことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー組成物の塗布後に、特に100℃で乾燥工程を行うことを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ゲート誘電層(3)上に、ソースドレイン層(4a,4b)を塗布することを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ソースドレイン層(4a,4b)上に、OFETを形成するために、特にペンタセンからなる能動層(5)を塗布することを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記能動層(5)の上に、パッシベーション層(6)が設けられることを特徴とする請求項8〜14のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−504642(P2007−504642A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524221(P2006−524221)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001904
【国際公開番号】WO2005/023876
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】