説明

集積回路用高シリコン含量シロキサンポリマー

ICの適用において薄膜として、および他の類似した適用のために適切である薄膜を開示する。特に、本発明は2またはそれよりも多くのシリコン化合物の加水分解によって得ることができる組成物を備える薄膜に関連し、それは少なくとも部分的に架橋されたシロキサン構造を産生する。本発明はまた、適切な反応物の加水分解によってシロキサン組成物を調製することによって、薄層の形態において基材上に加水分解された組成物を適用することによって、そして高いシリコン含量のフィルムを形成するために層をキュアすることによって、そのようなフィルムを生産するための方法に関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICの、および光電子工学の適用における誘電体および他の薄膜として適切な薄膜に関する。とりわけ、本発明は2またはそれよりも多いシリコン化合物の加水分解によって得られる組成物を備える薄膜に関連し、それは少なくとも部分的に架橋されたシロキサン構造を産生する。本発明はまた、適切な反応物および溶媒の加水分解によりシロキサン組成物を調製することによって、加水分解された組成物を薄い層の形態において基材上に適用することによって、および高いシリコン含量を伴うフィルムを形成するために層をキュア(硬化)することによって、そのようなフィルムを生産するための方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
半導体の基材(基板)上に築き上げられ、集積された回路は何百万ものトランジスタおよび他の装置を備え、それらは誘電体において埋められる縦方向および水平方向の配線の複数のレベルを通して互いに、および外側のパッケージング(包装)材料と電気的に連絡する。多層金属化構造内では、“ビア(vias)”は縦方向配線を備え、一方で“相互接続”は水平方向配線を備える。金属化を二次加工することには、トランジスタの間で、そして外側の包装材料までに電気的接続を成し遂げるために、誘電体および金属の複数の層の連続した堆積およびパターニングが含まれる。所定の層のためのパターニングは、基材上での層の堆積、反射防止コーティング(ARC)のスピン、フォトレジストのスピン、フォトレジストの露光、フォトレジストの現像、層のエッチング、およびフォトレジストおよびARCの除去からなる多段階プロセスによって実行されることが多い。あるいはまた、金属は時々、パターン化することができ、それは、最初にパターンを誘電体にエッチングし、パターンを金属で充填し、そして次いで、金属が誘電体の開口部においてだけ埋められたままであるように、金属を化学機械的に研磨することによる。相互接続される物質として、アルミニウムはその高い伝導性(そして、低コスト)のために、長年の間利用されている。アルミニウム合金もまた、純粋なアルミニウムと比較して融点、拡散、エレクトロマイグレーションおよび他の特質を改善するために、長年にわたって開発されている。アルミニウムの連続した層にわたって、タングステンは伝統的に伝導性ビア物質として役目を果した。二酸化ケイ素(約4.0の誘電率)は一般に好まれる誘電体であって、長年の間、アルミニウムを基とする(ベースの、系の)、およびタングステン系の相互接続およびビアとともに用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
より一層速いマイクロプロセッサーおよびより一層強力な電子デバイス(装置)への意欲は、近年において非常に高い回路密度およびより一層速い操作速度を招き、それは次にはより一層高い伝導性金属およびより一層低いkの誘電体を必要とした。ここ数年において、VLSI(およびULSI)プロセスは銅のダマシンプロセスへ移動しており、そこでは銅(または銅の合金)が導体線においてより一層高いコンダクタンスのために用いられ、そしてスピンオンまたはCVDの低いk誘電体が導体線を囲む絶縁物質のために用いられる。エッチングでの問題を回避するため、バリア金属(障壁金属)と並んで銅は、相互接続およびビア開口からなるはめ込まれた誘電体構造の上方に堆積され、およびその後“デュアルダマシン”として知られる処理方法において研磨されるブランケットである。ビア開口の底部分は通常、前の金属層からの相互接続の頂部分、または若干の場合には、基材への接触性層である。
【0004】
フォトパターン可能、またはフォトキュア可能な誘電体IC物質に加え、物質が堆積し、または形成するのに簡単であり、好ましくは高い堆積率で、および比較的低い温度でそうであるのがまた望ましい。一旦堆積され、または形成されれば、物質は簡単にパターン化され、そして好ましくは必要に応じて、小さな特長サイズ(形状、feature sizes)を伴ってパターン化されるのが望ましい。一旦パターン化されれば、物質は低い表面および/または側壁粗さを好ましくは持つべきである。また、そのような物質が、水分(または他の流体)の取り込みを制限するために疎水性であり、そして比較的高いガラス転移温度を伴い(更なる処理の際、あるいは使用の時、分解しないか、さもなければ物理的および/または化学的に変わらないで)安定であるのが望ましいことがある。
【0005】
また、より一層速いパフォーマンス(性能)のための必要条件を満たすように、集積回路装置の特長としての特徴的な寸法は、減少し続けている。より一層小さい特長サイズでの装置の製造は、半導体の製造において慣習的に用いられるプロセスの多くにおいて、新しい挑戦を導入する。これらの製造プロセスの最も重要なもののうちの1種はフォトリソグラフィー(写真平板術)である。
【0006】
フォトリソグラフィーによって生産されるパターンにおける線幅のバリエーション(変動)が、半導体ウエハー上での下位層(underlying layer)で反射する光からの光学的干渉に由来することがあることは長く認識されている。下位層のトポグラフィー(形態)のためのフォトレジストの厚さにおける変動もまた、線幅の変動を誘導する。フォトレジスト層下に適用される反射防止コーティング(ARC)は、照射ビームの反射からの干渉を妨げるのに用いられている。そのうえ、反射防止コーティングは部分的にウエハーのトポグラフィーを平坦化し、フォトレジストの厚さがより一層均質であるので、ステップ(段差)について線幅変動を改善するのが助けられる。
【0007】
有機ポリマーフィルム、特にiライン(365nm)およびgライン(436nm)の波長で吸収するものは、フォトレジストを露光するのに慣習的に用いられ、そして、最近用いられる248nmおよび193nmの波長で、反射防止コーティングとして採用されている。しかし、有機のARCによるものが有機フォトレジストを伴う多くの化学的特性を共有するという事実は、使用可能なプロセスシーケンス(処理順序)を制限することがある。さらに、有機のARCによるものはフォトレジスト層と共に混ぜられうる。
【0008】
酸窒化シリコンは、反射防止コーティングとして用いられている別の物質である。しかし、酸窒化シリコンは、吸収によるよりはむしろ、破壊的な干渉プロセスによってARCとして働き、それは酸窒化物の厚さの厳重なコントロールが必要であり、そして物質が高度に可変的なトポグラフィーの上方でARCとして十分に働かないかもしれないことを意味する。さらに、酸窒化シリコンは典型的に化学蒸着によって堆積され、一方でフォトレジスト層は典型的にスピンコーター(回転塗工機)を使って適用される。追加の化学蒸着プロセスは、プロセシング(加工)の複雑さを増すことがある。また、酸窒化シリコンは必要に応じて、装置の構成から除去するのが難しい。
【0009】
反射防止層として用いることができる物質の更なるクラス(部類)は、吸収基を含むシリコンポリマー組成物である。
【0010】
この技術に基づいて、遠紫外線スペクトル領域において吸収するオルガノ(有機)シロキサンポリマー反射防止コーティング物質についての必要性がある。ARC層がフォトレジスト現像剤に影響されないことが望ましい。また、方法にはARCのエッチング選択性を増加させるために、そのようなシロキサンポリマーを伴う相対的に高いシリコン含量を組み込む必要性もある。ポリマーが比較的高いシリコンを持つとき、金属、炭素豊富な層およびフォトレジストのようなICスタック(積重ね)における他の層と比較してその高いエッチング率選択性のため、ポリマーはまた、リソグラフィープロセスにおいてハード(硬質)マスクとして利用することもできる。そのような種類のシリコンポリマーのための更に1つの重要な要件は、液体の形態でのその安定性であり、そして特に室温におけるその安定性であり、それはそれが産業上の加工におけるその有用性を決定するからである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ARC層として適合性であるそのような高いシリコン含量ポリマーを達成するために、硬質のマスク層またはシロキサンポリマーを受けて良好な室温安定性を伴う双方の組合せを合成した。
【0012】
(発明の概略)本発明の目的は、安定なポリ(オルガノシロキサン)組成物を生産する方法を提供することである。
【0013】
本発明はまた、2またはそれよりも多くのシリコン化合物の加水分解によって入手可能な組成物を備える薄膜に関し、それは少なくとも部分的に架橋されたシロキサン構造を産生し、そして本発明はまた、適切な反応物の加水分解によりシロキサン組成物を調製することによって、薄層の形態において基材上に加水分解された組成物を適用することによって、および高いシリコン含量のフィルムを形成するために層をキュアすることによって、そのようなフィルムを生産するための方法に関連する。
【0014】
本発明は、対応するモノマーを加水分解し、およびそれらを重合につながる条件におくことによって、およびポリ(オルガノシロキサン)を、安定化(stabilizing)有機溶媒システムにおいて安定な組成物中に調剤することによってオルガノシロキサンポリマーを生産するというアイデアに基づく。シロキサンポリマー物質を、安定化有機溶媒システムにおいて安定な組成物中に調剤する工程(ステップ)は、その反応媒体において、すなわち、反応媒体を形成し、または回収し、および随意に分離する溶媒システムにおいて、シロキサンポリマーを回収することを備えることができ、ポリマーは次いで、それが別の溶媒システムにおいて懸濁される。
【0015】
本発明に従う安定な組成物は、1重量%よりも多い固形分を持つ組成物を与えるために、安定化有機溶媒システムにおいて懸濁され、および好ましくは溶解されるオルガノシロキサンポリマーを備え、前記溶媒システムは典型的に、有機エーテル、または少なくとも1週間の有効期間(shelf-life)、好ましくは少なくとも2週間、とりわけ少なくとも4週間、有利には少なくとも6週間を提供するように、ポリマーを安定化させることができる類似した溶媒を備える。
【0016】
本発明の組成物は薄膜を作成するために用いることができる。
【0017】
より一層詳しくは、本発明に従う方法は、出願時請求項1の特徴的な部分において述べられるものによって特徴付けられる。
【0018】
本発明に従う安定なポリ(オルガノシロキサン)組成物は、出願時請求項17の特徴的部分において述べられるものによって特徴付けられ、および薄膜は、請求項24の特徴的な部分において述べられるものによる。
【0019】
著しい利点が本発明によって得られる。このように、安定化溶媒システムを用いることによって、ポリ(オルガノシロキサン)組成物は、老化現象に対して効率的に安定化することができる。以下の例が示すように、若干の好適例において、安定化は組成物の分子量を安定に、すなわち、長期間の間、不変に維持し、すなわち、一般的に、−室温(およそ25℃)であり、分子量(重量平均)がおよそ最大で20%、少なくとも45日の貯蔵(蓄積)時間にわたって、とりわけ分子量は最高でも、およそ10%よりも高くには、少なくとも45日の期間にわたって増加しない。最大限に、分子量は室温で少なくとも60日の貯蔵時間にわたって75%よりも多く増加せず、とりわけ、分子量は、室温および60日の貯蔵時間で、30%よりも多くには、または25%またはそれよりも少なくでさえ増加しない。より一層高い温度(40℃)での貯蔵のために、分子量の最大限の増加は、45日後での、およそ200%、なるべくなら125%、とりわけ100%、および60日後での、400%またはそれよりも少なく、なるべくなら300%またはそれよりも少なく、とりわけ150%またはそれよりも少ない。
【0020】
次に、本発明を詳細な説明の活用をし、そして添付の図面に関して、より一層密接に検討する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】貯蔵時間の関数として、多数のポリ(オルガノシロキサン)組成物の重量平均分子量の変化(パーセントでのもの)を示す。
【図2】貯蔵時間の関数として、類似したポリマー溶液から得られる膜厚の変化(パーセントでのもの)を示す。
【図3】貯蔵時間の関数として、PGMEA(1)でのポリマー溶液のためのサイズ排除クロマトグラフィーのプロファイルにおける変化を示す。
【図4】貯蔵時間の関数として、ポリマー溶液のためのサイズ排除クロマトグラフィーのプロファイルにおける変化を示す。
【図5】貯蔵時間の関数として、ポリマー溶液のためのサイズ排除クロマトグラフィーのプロファイルにおける変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
上述するように、本質的な加水分解によってアルコキシシランから調製されるオルガノシロキサンポリマーは、更なる反応を経、すなわち、物質の老化を引き起こすかもしれない残留する官能基を持つ。この種類の典型的な官能基は、シラノール基(Si−OH基)である。残留する官能基の反応は、好ましくない場合がある分子量における増大を招き、それは記載された適用において用いられるときに物質の特性におけるこの変化がパフォーマンス(性能)を著しく変えうるからである。
【0023】
本発明者らは、有機エーテルにおいて重合性/加水分解性のシロキサンモノマーによって、またはオルガノシロキサンポリマーのための共溶媒として有機エーテルを用いることによって、溶液における前記ポリマーの安定性を増加させることが大いに可能であることを見出した。
【0024】
本発明に従う方法は、安定化有機溶媒システムにおいて部分的に架橋されたオルガノシロキサンポリマーを生産する工程を備え、前記ポリマーは、およそ1,000から10,000g/モルまでの分子量、とりわけおよそ3,000から7,500g/モルまで、例はおよそ4,000から6,000g/モルまでの、ポリスチレン標準に対して測定したものを持つ。
【0025】
部分的に架橋されたオルガノシロキサンポリマーは、少なくとも若干のシラノール基を見せる。典型的に、部分的に架橋されたオルガノシロキサンポリマーは、100個の基につき少なくとも1種のシラノール基、とりわけ10個の基につき1種のシラノール基を見せ、それは式Si−ORHCを持ち、式中RHCはハイドロカルビル残基を表す。ハイドロカルビル残基は、たとえば、以下に言及する炭化水素置換基Rの1種の残基であり、式中nは整数1から9までである。
【0026】
安定化有機溶媒システムは、有機エーテルによって、随意に他の共溶媒または共溶媒群との混合物において形成される。有機エーテルは、概して4から26個までの炭素原子および随意に他の官能基、水酸基のようなものを備える線状または環状のエーテルである。特に、適切な例は、5および6員環の環状エーテルのようなものであり、それは随意にリング(環)上の置換基を有し、およびエーテルで、(C1−20)のアルカンジオール(C1−6)アルキルエーテルのようなものである。前記アルカンジオールアルキルエーテルの例は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびそれらの混合物である。特に、本エーテルの好ましい例は、メチルテトラヒドロフルフリルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn−メチルエーテル、およびそれらの混合物である。安定化溶媒システムは、この種類の単独のエーテル、または加水分解の典型的反応媒体または他の溶媒で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなものを伴うそのようなエーテルの混合物を備える溶媒からなる。エーテルの割合は、そのような場合には、およそ10から90重量%まで、とりわけ溶媒の合計量のおよそ20から80重量%までである。
【0027】
1種の具体例によれば、オルガノシランモノマーの加水分解は、有機エーテルにおいて遂行され、それは次いでフィルム作成性組成物の貯蔵のために、および随意にフィルム形成工程のための実際のもののために用いられる。
【0028】
第2の具体例において、重合は溶媒を伴わずに完全に遂行され、またはそれは上記に挙げたエーテルよりも他の溶媒において遂行され、例えば、アルコール類、エステル類、ケトン類およびエーテル類で、アセトン、エチルメチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルおよびテトラヒドロフランのようなものにおいてである。この具体例を使用し、そこで重合が1種の溶媒において遂行され、それは次いで安定化溶媒のために変化された重合の後、溶液の安定性が安定化エーテルと共に増加され、その一方、また重合体の適した架橋特性が保存される(より一層速くキュアし、またはより一層低い温度でキュアする)。
【0029】
典型的に、組成物は、およそ5から30重量%まで、とりわけおよそ10から25重量%までの固形分を示す。
【0030】
開示した薄膜は、ICの適用において薄膜として、および他の類似した適用のために適切である。
【0031】
好適例に従い、薄膜の生産のために適切な組成物は、次の
− シリコンに付着する少なくとも3つの加水分解性基を持つ第1のモノマーシリコン化合物を、次の
− 第2のモノマーシリコン化合物で、少なくとも1種のハイドロカルビルラジカルを持ち、不飽和炭素−対−炭素結合またはエポキシ基、および化合物のシリコン原子に付着する少なくとも1種の加水分解性基を含むものと、および随意に、次の
− 第3のモノマーシリコン化合物で、シロキサン物質を形成するために少なくとも1種のアリール基および化合物のシリコン原子に付着する少なくとも1種の加水分解性基を持つものと共に
加水分解すること、および
− シロキサン物質を、上記に議論するように安定化有機溶媒システムにおいて安定な組成物中に調剤すること
によって形成される。
【0032】
本発明は特に、ポリ(オルガノシロキサン)を備える組成物の生産のために十分にふさわしいものであり、それは、次の
一般式I
3−a−SiR
(式中、
は加水分解性基を示し、
はアルケニル、アルキニルまたはエポキシ基であり、それは随意に1種またはそれよりも多くの置換基を有し、
およびRは無関係に、水素、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニルおよびアルキニル基、および置換または非置換アリール基から選ばれ、
aは、整数0、1または2であり、
bは、整数a+1であり、
cは、整数0、1または2であり、
dは、整数0または1であり、および
b+c+d=3である)
を持つ第1のシリコン化合物を加水分解し、
一般式II
3−a−SiR
(式中、
は加水分解性基を示し、
はアルケニル、アルキニルまたはエポキシ基であり、それは随意に1種またはそれよりも多くの置換基を有し、
およびRは無関係に、水素、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニルおよびアルキニル基、および置換または非置換アリール基から選ばれ、
aは、整数0、1または2であり、
bは、整数a+1であり、
cは、整数0、1または2であり、
dは、整数0または1であり、および
b+c+d=3である)
を持つ第1のシリコン化合物を
一般式II
3−e−SiR II
(式中、
は加水分解性基を示し、
はアリール基であり、それは随意に1種またはそれよりも多くの置換基を有し、
およびRは無関係に、水素、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニルおよびアルキニル基、および置換または非置換アリール基から選ばれ、
eは、整数0、1または2であり、
fは、整数e+1であり、
gは、整数0、1または2であり、
hは、整数0または1であり、および
f+g+h=3である)
を持つ第2のシリコン化合物と共に加水分解することによって得られるポリ(オルガノシロキサン)を備える。
【0033】
そのような組成物から、ICのものにおいておよび他のものにおいて優れた特性を持つ薄膜を生産することができる。
【0034】
1種の好適例に従い、薄膜は、第1および第2のシリコン化合物を、一般式IIIを持つ第3のシリコン化合物と共に加水分解することによって得られる組成物から生産し、その式は、次の
3−i−SiR II
(式中、
は加水分解性基を示し、
はアルキル基であり、それは随意に1種またはそれよりも多くの置換基を有し、
およびRは無関係に、水素、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニルまたはアルキニル基、および置換または非置換アリール基から選ばれ、
iは、整数0、1または2であり、
jは、整数i+1であり、
kは、整数0、1または2であり、
lは、整数0または1であり、および
j+k+l=3である)
を持つ。
【0035】
モノマー化合物のモル比(第1のシリコンモノマー対第2のシリコンモノマー)は、概して、およそ1:1000から1000:1であり、とりわけ1:100から100:1まで、好ましくはおよそ10:1から1:10までであり、および第3のシリコンモノマー対第1および第2のモノマーの和のモル比は、およそ1:1000から10:1までである。
【0036】
組成物において、加水分解性基X、XおよびXは無関係に、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシおよびハロゲンから選ぶことができる。
【0037】
加水分解性基X、XおよびXは、異なるか、または同じである。
【0038】
“ハロゲン”の意味において、各々の加水分解性基X、XおよびXは、好ましくは、および無関係に、塩素または臭素を表す。
【0039】
置換基RからRまで、R、R、RおよびRの意味において、アルケニルは、好ましくは2から18個まで、なるべくなら2から14個まで、およびとりわけ2から12個までの炭素原子を含む線状または分枝状のアルケニル基を表し、エチレン(性)二重結合は位置2またはそれよりも高くに位置付けられ、分枝状アルケニルは、C1からC6までのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含み、それは随意に全フッ素置換され、または炭化水素鎖のアルファまたはベーター位置で部分的にフッ素化される。
【0040】
とりわけ、アルケニル基はビニルまたはアリルである。
【0041】
置換基RからRまで、RおよびRの意味において、アリールは、好ましくはモノ−、ビ−、または多環式(multicyclic)芳香族炭素環式基を表し、それは随意にCからCまでのアルキル基またはハロゲンで置換される。
【0042】
アリール基がフェニルであるとき、それは随意にリング上でハロゲン、アルキルまたはアルケニルから選ばれる1から5個までの置換基を有し、それがナフチルであるとき、それは随意に、リング構造上でハロゲンアルキルまたはアルケニルから選ばれる1から11個までの置換基を有する。これらの置換基は随意にフッ素化される。
【0043】
置換基R、R、RからRまでの意味において、“アルキル”は、1から18個まで、好ましくは1から14個まで、およびとりわけ1から12個までの炭素原子を含む線状または分枝状のアルキル基を表し、分枝状アルキルは、CからCまでのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含み、それは随意に全置換され、それは炭化水素鎖のアルファまたはベーター位置で、言及された好適例に対してのものである。
【0044】
とりわけ、アルキル基が低アルキルであるとき、それは1から6個までの炭素原子を含むもので、それは随意に、メチルおよびハロゲンから選ばれる1から3個までの置換基を有する。
【0045】
特に興味深い薄膜は、シリコン原子に付着するビニル基を持つトリクロロシランを、シリコン原子に付着するフェニルまたはナフチル基を持つトリクロロシランと共に加水分解することによって得られる物質に基づく。
【0046】
別の興味深い薄膜は、シリコン原子に付着するビニル基を持つトリクロロシランを、シリコン原子に付着するフェニルまたはナフチル基を持つトリクロロシランと共に、およびシリコン原子に付着する低アルキル基を持つトリクロロシランと共に加水分解することによって得られる物質に基づく。
【0047】
薄膜において、シリコン含量は、典型的におよそ30から43重量%まで、とりわけおよそ37から43重量%までである。
【実施例】
【0048】
以下の略称を例において用いる。すなわち
PGMEA:プロピレングリコールn−メチルエーテルアセテート、
MeOTHF:メチルテトラヒドロフルフリルエーテル、
PNP:プロピレングリコールn−プロピルエーテル、
DPGDME:ジプロピレングリコールジメチルエーテル、
PGME:プロピレングリコールn−メチルエーテル、および
ETACAC:エチルアセチルアセトネート。
【0049】
溶媒はVLSIまたはSLSI等級のいずれかであり、またはそれらは使用の前に蒸留された。
【例1】
【0050】
ビニルトリメトキシシラン(14.72g、99mmol(ミリモル))、フェニルトリメトキシシラン(39.40g、199mmol)、メチルトリエトキシシラン(35.42g、199mmol)およびテトラエトキシシラン(310.44g、1490mmol)を、アセトン(800g)において溶解させた。希塩酸(0.01M、134.28g、7454mmol)を、その中に加え、そしてシステムを30分間撹拌した。フラスコは次いで5時間還流された。その後それをロータリーエバポレーター(回転蒸発器)に収容し、縮合物が集められなくなるまで、150mbarで蒸発させた。プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、PGMEA、(219.95g)を加え、そして蒸発を1時間の間45mbarで続けた。蒸発後、固形分をPGMEAで25%にまで調整し、そして分子量を120℃で2時間加熱することによって調節した。
【0051】
ポリマーを、4つの異なる溶媒システムにおいて調剤した。すなわち
A:11.6%のPGMEA溶液、
B:11.6%の溶液が得られるようにメチルテトラヒドロフルフリルエーテルの添加、
C:11.4%の溶液が得られるようにプロピレングリコールプロピルエーテルの添加、
D:12.5%の溶液が得られるようにジプロピレングリコールジメチルエーテルの添加、および
C-1E:12.5%の溶液が得られるようにエチルアセチルアセトネートの添加。
【例2】
【0052】
ビニルトリメトキシシラン(14.72g、99mmol)、フェニルトリメトキシシラン(39.40g、199mmol)、メチルトリエトキシシラン(106.26g、597mmol)およびテトラエトキシシラン(227.66g、1093mmol)を、アセトン(776g)において溶解した。希塩酸(0.01M、127.13g、7057mmol)をその中に加え、そしてシステムを30分間撹拌した。フラスコは次いで5時間還流された。それは次いで回転蒸発器に収容され、縮合物が集められなくなるまで、150mbarで蒸発させた。PGMEA(219.95g)を加え、そして蒸発を1時間の間45mbarで続けた。蒸発後、固形分をPGMEAで25%に調整し、そして分子量を2時間120℃で加熱することによって調節した。
【例3】
【0053】
1,5-(o-フェニレン)-2,2-ジエトキシ-1-オキサ-2-シラペンタン(silapentane)を、2-アリルフェノールとトリエトキシシランとの反応によって、次いでカルスト白金(Karsted platinum)を用いるヒドロシリル化による環化によって続けて調製した。
【0054】
1,5-(o-フェニレン)-2,2-ジエトキシ-1-オキサ-2-シラペンタン(8.06g、149mmol)、フェニルトリメトキシシラン(6.33g、298mmol)およびテトラエトキシシラン(75.42g、2235mmol)を、アセトン(179.63g)において溶解し、そして希塩酸(0.01M、29.54g、1640mmol)を加えた。溶液をRT(室温)で28分間撹拌し、次いで5時間還流することによって続けた。それは次いで回転蒸発器に収容され、縮合物が集められなくなるまで、150mbarで蒸発させた。PGME(219.95g)を加え、そして蒸発を1時間45mbarで続けた。蒸発後、固形分をPGMEAで25%に調整し、そして材料を2時間120℃で加熱することによって更に反応させた。
【例4】
【0055】
ビニルトリメトキシシラン(14.71g、99mmol)、フェニルトリメトキシシラン(39.40g、199mmol)、メチルトリエトキシシラン(35.42g、199mmol)およびテトラエトキシシラン(310.44g、1490mmol)をアセトン(800g)において溶解した。希塩酸(0.01M、134.28g、7454mmol)をその中に加え、そしてシステムを30分間撹拌した。フラスコを次いで5時間還流させた。それはそれから回転蒸発器に収容され、そして縮合物が集められなくなるまで150mbarで蒸発させた。PGME(219.90g)を加え、そして蒸発を1時間55mbarで続けた。蒸発後、固形分をPGMEで25%に調整し、そして分子量を2時間120℃で加熱することによって調整した。最終生成物を、8.3%の溶液を得るためにPGMEにおいて溶解した。
【例5】
【0056】
ポリマーを、PNPがPGMEの代わりに用いられた以外、例4に記載したように調製した。分子量調整の後、最終生成物を、10.5%のポリマー溶液が与えられるように、PNPを用いて希釈した。
(ポリマーの安定性)
【0057】
本明細書に与える例において記載されているように調製された材料は、貯蔵安定性試験を受けさせた。加えて、老化の調査における一定の組成物は、偶然の触媒残留物を除去するために、更に精製を受けさせた。さらにまた、共溶媒の効果を、老化効果に対するそれらの効果を評価するために検討した。
【0058】
例1において記載するように調製したポリマーの老化の性能に及ぼすそれらの効果を評価するために以下の溶媒を共溶媒として用いた。すなわち
− メチルテトラヒドロフルフリルエーテル(MeOTHF、1B)、
− プロピレングリコールn−プロピルエーテル(PNP、1C)、
− ジプロピレングリコールジメチルエーテル(DPGDME、1D)、および
− プロピレングリコールn−メチルエーテル(PGME)およびエチルアセチルアセトネート(ETACAC、比較の例C-1E)。
【0059】
さらにまた、PGME(4)およびPNP(5)を、完全にPGMEAを置き換えるために合成において用いた。
【0060】
ポリマーが老化し、すなわち溶液において貯蔵されるとき分子量において増えるので、若干の特性が変化する。そのようなものは、ポリマー溶液の粘性および同様の様式において表面上にコーティングされるときに結果として生じる膜厚である。変化するのが見出されていない特性は、ポリマー溶液および結果として生じるフィルムの双方の屈折率、キュアの間のフィルムの収縮、ならびにポリマー溶液の色である。
【0061】
(ポリマー溶液を貯蔵するために用いるフラスコの調製)
125mlのNalgene(R)(ナルジーン(商標))ボトルを、ボトルの表面から任意の残留する有機化合物が除去されるように、3回、SLSI等級のイソプロパノールを用いてリンスした。ボトルを希釈HNO3で満たし、そして少なくとも12時間そのままにしておいた。ボトルを次いで、超純水、SLSI等級のイソプロパノール、SLSI等級のアセトンで完全にリンスし、そして乾燥させた。ポリマー溶液は、浄化したフラスコに0,2μmのPALL Acrodisc(ポール・アクロディスク)フィルターを通して直接ろ過した。
【0062】
(ポリマー溶液の精製)
1000mlの丸底(rb)フラスコを、2回、2-プロパノールを用いてリンスし、超高純度の水で満たし、そして1時間そのままにさせておいた。フラスコを次いで空にし、それぞれ2-プロパノールおよびアセトンを用いてリンスし、そして乾燥させた。テフロン被覆された磁性の撹拌バー(撹拌子)、および例1において記載するポリマー溶液濃縮物(100.23g、固形分=24.96%)を浄化したrb-フラスコに置いた。ポリマーを次いで、メチルタート-ブチルエーテル(MTBE、200g)の2倍の量で希釈した。水(40g)を加え、そして溶液を10分間撹拌した(300-400rpm)。2つの相を分かれさせ、そして水性層をプラスチックピペットを使って取り除き、それをアセトンで十分にリンスした。洗浄工程を、25gの水で2回繰り返した。それぞれの場合に、溶液を5分間撹拌した(1200rpm)。水性および有機層は、相分離の後曇っていた。MTBE(50ml)を、第2の洗浄サイクルの間、さらに相分離を改善するために加えた。次いで、99.97gのPGMEAを有機相に加え、それは添加の結果として清澄になった。この後、MTBEを減圧下に回転蒸発器を使って取り除いた。浴温度は50℃であり、その一方、圧力を270-330mbarの間で維持した。一旦MTBEを除去してから、圧力を20mbarにまで緩徐に減少させ、5分間そこで保持し、さらに15mbarにまで下げ、そしてこの圧力で追加の5分間の保持をした。このような仕方で、清澄な、無色の123.5g(固形分18.66%)の溶液が得られた。収率は92%である。GC分析は、PGMEAが溶液の唯一の揮発性成分であることを確認した。
【0063】
(フィルムコーティング)
最終的なポリマー溶液を4”Si-ウエハー上でコーティングとして直接適用した。分配中の回転速度は2500rpmであった。得られたコーティングを130℃で2分間、そして次いで別の2分間250℃で加熱した。結果として生じる膜厚を測定した。
【0064】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(オルガノシロキサン)組成物を生産する方法であって、次の工程
− モノマーシリコン化合物を、シロキサンポリマー物質が形成されるように化合物の重合につながる条件下に加水分解する工程、および
− シロキサンポリマー物質を安定化有機溶媒システムにおいて安定な組成物中に調剤する工程
を具える、方法。
【請求項2】
部分的に架橋されたオルガノシロキサンポリマーを安定化有機溶媒システムにおいて生産する工程を備え、前記ポリマーはおよそ1,000から10,000g/モルまで、とりわけポリスチレン標準に対して測定されるおよそ3,000から7,500g/モルまでの分子量を持つ、請求項1に従う方法。
【請求項3】
部分的に架橋されたオルガノシロキサンポリマーは少なくとも若干のシラノール基を示す、請求項1または2に従う方法。
【請求項4】
部分的に架橋されたオルガノシロキサンポリマーは、100個の基につき少なくとも1種のシラノール基、とりわけ10個の基につき1種のシラノール基を示し、式Si−ORHCを持ち、式中RHCはハイドロカルビル残基を表す、請求項3に従う方法。
【請求項5】
安定化有機溶媒システムは、有機エーテルによって、随意に別の溶媒、例は、有機エステルとの混合物において形成される、請求項1〜4のいずれか1項に従う方法。
【請求項6】
有機エーテルは、4から26個までの炭素原子を備える環状または線状の有機エーテルおよびその混合物の群から選ばれる、請求項5に従う方法。
【請求項7】
有機エーテルは、5−または6−員環を備える環状エーテルから選ばれる、請求項6に従う方法。
【請求項8】
有機エーテルは(C1−20)アルカンジオール(C1−6)アルキルエーテルから選ばれる請求項6に従う方法。
【請求項9】
安定化有機溶媒システムは、メチルテトラヒドロフルフリルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn−メチルエーテル、およびその混合物の群から選ばれる少なくとも1種の溶媒を備える、先行する番号の請求項のいずれか1項に従う方法。
【請求項10】
有機エーテルはプロピレングリコールn−メチルエーテルアセテートと混合される、請求項6〜9のいずれか1項に従う方法。
【請求項11】
組成物は、およそ5から30重量%まで、とりわけおよそ10から25重量%までの固形分を示す、先行する番号の請求項のいずれか1項に従う方法。
【請求項12】
薄膜の生産に適切な組成物を、以下の
− シリコンに付着する少なくとも3つの加水分解性基を持つ第1のモノマーシリコン化合物を、次の
− 少なくとも1種のハイドロカルビルラジカルを持ち、不飽和炭素−対−炭素結合またはエポキシ基、および化合物のシリコン原子に付着する少なくとも1種の加水分解性基を含む第2のモノマーシリコン化合物と、および随意に、次の
− 第3のモノマーシリコン化合物で、シロキサン物質を形成するために少なくとも1種のアリール基および化合物のシリコン原子に付着する少なくとも1種の加水分解性基を持つ第3のモノマーシリコン化合物と共に
加水分解すること、および
− シロキサン物質を、安定化有機溶媒システムにおいて安定な組成物中に調剤すること
によって形成する、先行する番号の請求項のいずれか1項に従う方法。
【請求項13】
シリコンモノマーの重合は安定化有機溶媒において遂行される、請求項1〜12のいずれか1項に従う方法。
【請求項14】
シリコンモノマーの重合は、第1の溶媒において、または任意の溶媒(solent)を伴わずに遂行され、および重合されたシロキサン物質は、第2の、安定化有機溶媒においてシロキサン組成物中に調剤される、請求項1〜12のいずれか1項に従う方法。
【請求項15】
重合は、アルコール、エステル、ケトンまたはエーテルで、アセトン、エチルメチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルまたはテトラヒドロフランまたはその混合物のようなものにおいて遂行される、請求項14に従う方法。
【請求項16】
組成物であって、請求項1〜15のいずれか1項に従う方法によって生産される、組成物。
【請求項17】
安定なポリ(オルガノシロキサン)組成物であって、安定化有機溶媒システムにおいて溶解されるオルガノシロキサンポリマーを備える、組成物。
【請求項18】
およそ5から30重量%まで、とりわけおよそ10から25重量%までの固形分を示す、請求項17に従う組成物。
【請求項19】
安定化有機溶媒システムは、有機エーテルによって、随意に別の溶媒、例は、有機エステルとの混合物において形成される、請求項17または18に従う組成物。
【請求項20】
有機エーテルは、4から26個の炭素原子を備える環状または線状の有機エーテルおよびその混合物の群から選ばれる、請求項19に従う組成物。
【請求項21】
有機エーテルは、5−または6−員環を備える環状エーテルから選ばれる、請求項20に従う組成物。
【請求項22】
有機エーテルは(C1−20)アルカンジオール(C1−6)アルキルエーテルから選ばれる、請求項20に従う組成物。
【請求項23】
安定化有機溶媒システムは、メチルテトラヒドロフルフリルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn−メチルエーテル、およびその混合物の群から選ばれる少なくとも1種の溶媒を備える、先行する番号の請求項のいずれか1項に従う組成物。
【請求項24】
薄膜であって、請求項16〜23のいずれか1項に従う組成物から形成される、薄膜。
【請求項25】
組成物は、次の
一般式I
3−a−SiR
(式中、
は加水分解性基を示し、
はアルケニル、アルキニルまたはエポキシ基であり、それは随意に1種またはそれよりも多くの置換基を有し、
およびRは無関係に、水素、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニルおよびアルキニル基、および置換または非置換アリール基から選ばれ、
aは、整数0、1または2であり、
bは、整数a+1であり、
cは、整数0、1または2であり、
dは、整数0または1であり、および
b+c+d=3である)
を持つ第1のシリコン化合物を加水分解し、
一般式II
3−a−SiR
(式中、
は加水分解性基を示し、
はアルケニル、アルキニルまたはエポキシ基であり、それは随意に1種またはそれよりも多くの置換基を有し、
およびRは無関係に、水素、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニルおよびアルキニル基、および置換または非置換アリール基から選ばれ、
aは、整数0、1または2であり、
bは、整数a+1であり、
cは、整数0、1または2であり、
dは、整数0または1であり、および
b+c+d=3である)
を持つ第1のシリコン化合物を
一般式II
3−e−SiR II
(式中、
は加水分解性基を示し、
はアリール基であり、それは随意に1種またはそれよりも多くの置換基を有し、
およびRは無関係に、水素、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニルおよびアルキニル基、および置換または非置換アリール基から選ばれ、
eは、整数0、1または2であり、
fは、整数e+1であり、
gは、整数0、1または2であり、
hは、整数0または1であり、および
f+g+h=3である)
を持つ第2のシリコン化合物と共に加水分解することによって得られるポリ(オルガノシロキサン)を備える、請求項24に従う薄膜。
【請求項26】
組成物は、第1および第2のシリコン化合物を、一般式III
3−i−SiR II
(式中、
は加水分解性基を示し、
はアルキル基であり、それは随意に1種またはそれよりも多くの置換基を有し、
およびRは無関係に、水素、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニルまたはアルキニル基、および置換または非置換アリール基から選ばれ、
iは、整数0、1または2であり、
jは、整数i+1であり、
kは、整数0、1または2であり、
lは、整数0または1であり、および
j+k+l=3である)
を持つ第3のシリコン化合物と共に加水分解することによって得られる、請求項24または25に従う薄膜。
【請求項27】
加水分解性基X、XおよびXは無関係に、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基およびハロゲンから選ばれる、請求項25または26に従う薄膜。
【請求項28】
加水分解性基X、XおよびXは異なる、請求項25または26に従う薄膜。
【請求項29】
加水分解性基X、XおよびXは同じである、請求項25または26に従う薄膜。
【請求項30】
各々の加水分解性基X、XおよびXは、ハロゲン、なるべくなら塩素または臭素を表す、請求項25〜29のいずれか1項に従う薄膜。
【請求項31】
置換基RからRまで、R、R、RおよびRの意味におけるアルケニルは、2から18個まで、なるべくなら2から14個まで、およびとりわけ2から12個までの炭素原子を含む線状または分枝状のアルケニル基を表し、エチレン二重結合は位置2またはそれよりも高くに位置付けられ、分枝状アルケニルにはC1からC6までのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基が含まれ、それは随意に、炭化水素鎖のアルファまたはベーターの位置で、全フッ素置換されるか、または部分的にフッ素化される、請求項25〜30のいずれか1項に従う薄膜。
【請求項32】
アルケニル基はビニルまたはアリルである、請求項31に従う薄膜。
【請求項33】
置換基RからRまで、RおよびRの意味においてアリールは、モノ−、ビ−、または多環式芳香族炭素環式基を表し、それは随意にCからCまでのアルキル基またはハロゲンにより置換される、請求項25〜32のいずれか1項に従う薄膜。
【請求項34】
アリール基はフェニルであり、それは随意に、ハロゲンアルキルまたは環(リング)上のアルケニル、またはナフチルから選ばれる1から5個までの置換基を有し、それは随意に、環構造上のハロゲンアルキルまたはアルケニルから選ばれる1から11個までの置換基を有し、置換基は随意にフッ素化される、請求項33に従う薄膜。
【請求項35】
置換基R、R、RからRまでの意味においてアルキルは、1から18個まで、なるべくなら1から14個まで、およびとりわけ1から12個までの炭素原子を含む線状または分枝状アルキル基を表し、分枝状アルキルは、CからCまでのアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を含み、それは随意に、炭化水素鎖のアルファまたはベーターの位置で、全フッ素置換される、請求項25〜35のいずれか1項に従う薄膜。
【請求項36】
アルキル基は1から6個までの炭素原子を含む低アルキルであり、それは随意に、メチルおよびハロゲンから選ばれる1から3個までの置換基を有する、請求項35に従う薄膜。
【請求項37】
物質は、シリコン原子に付着するビニル基を持つトリクロロシランを、シリコン原子に付着するフェニルまたはナフチル基を持つトリクロロシランと共に加水分解すること、および重合につながる条件におくことによって得られる、請求項25〜36のいずれか1項に従う薄膜。
【請求項38】
物質は、シリコン原子に付着するビニル基を持つトリクロロシランを、シリコン原子に付着するフェニルまたはナフチル基を持つトリクロロシランと共に、およびシリコン原子に付着する低アルキル基を持つトリクロロシランと共に加水分解すること、および重合につながる条件におくことによって得られる、請求項25〜37のいずれか1項に従う薄膜。
【請求項39】
膜のシリコン含量は30から43重量%まで、とりわけ37から43重量%までである、請求項24〜38のいずれか1項に従う薄膜。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−519375(P2010−519375A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550737(P2009−550737)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050080
【国際公開番号】WO2008/102060
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(504275591)
【Fターム(参考)】