説明

集積VRMパワー電界効果トランジスタ用の集積インタフェース回路構造

ダウンコンバータは、インタフェース部を含み、当該インタフェース部は、当該ダウンコンバータを、複数のスイッチ(104、105)と、それぞれのスイッチのドライバ回路からなる複数のドライバ回路(102、103)とに接続し、前記複数のドライバ回路と前記複数のスイッチとが、集積回路上で組み合わされている。前記複数のドライバ回路は、上側ドライバ回路(102)と下側ドライバ回路(103)とを含む。前記複数のドライバ回路が、前記複数のスイッチと共に集積されることで、寄生インダクタンス、特に電力供給の際の寄生インダクタンスが減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年12月10日に出願の、発明の名称「集積ハーフブリッジ回路」の米国仮出願60/432302号に関連している。このように、この米国仮出願の開示は、言及により且つあらゆる目的のために明確にここに組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
パワーコンバータはしばしば、パワーサプライ、パワーアンプリファイア、及びモータドライブ内で使用される。バックコンバータを含め、ダウンコンバータはしばしば、入力電圧を、マイクロプロセッサのような負荷に電力(パワー)を供給するための、より低い電圧に変換するのに使用される。これらのマイクロプロセッサは、他の電子デバイスと同様にパーソナルコンピュータ(PC)内に適用可能である。PC内に適用する場合、コンバータへの入力電圧は12V程度になり、要求される出力は約1.4V程度つまり約10分の1倍程度になる。加えて、これらのコンバータに要求される出力電流は、50A以上に増加し、更にはこれらの回路及びそれらのデバイスの設計の検討事項を増加させる。
【0003】
ダウンコンバータ回路は多くの場合、制御トランジスタ及び同期整流器を含んでいる。これらのデバイスは多くの場合、金属−酸化物−半導体(MOS)トランジスタであり、シリコンベースの電界効果トランジスタ(FET)である。制御FET(CF)及び同期整流器FET(SF)を使用することには、ある種の利点がある。しかしながら、既知の回路内では、これらのデバイスは、個別素子となっているか、モジュール内に配置されている。そのような回路には、ある種の欠点がある。例えば、より高いスイッチング周波数への要求が増すにつれて、そのようなデバイス内での寄生効果が、これらの要求を満たすためのCF及びSFの性能に悪影響を与えるようになる。
【0004】
ダウンコンバータのon・offスイッチングに関するロスは、できるだけ最小化することが望ましい。これには、PCのバッテリ持続時間(バッテリライフ)の改善、熱散逸の低減、及び容積の最小化のような、一定の利益がある。MOSFETにおける変換ロスは、部分的には抵抗によって、部分的にはデバイスの性能指数(on抵抗Ron及びゲートドレイン間電荷Qgdに比例する)によって決定される。
【0005】
加えて、PCマイクロプロセッサ内への適用の場合、入力電圧は約12Vになり、出力電圧は約1.4Vになる。CFスイッチ及びSFスイッチは、比較的ハイパワー且つハイスピードであり、その上比較的大きなゲート入力容量を含んでおり、比較的素早くon・off状態へとスイッチングされる必要がある。そのため、ゲートにおけるスイッチングは、ナノ秒オーダーの周期で行われ、ゲートとソースとの間のアテンダントスイッチング電流は、アンペアオーダーとなって重要なものとなる。
【0006】
多くの状況において、これらのスイッチ用の電流ドライバはしばしば、既知のデバイス内においては離れて配置されており、そのため、リード線によってスイッチに接続されている。これらの長い接続は、更に、誘導効果と、時間変化電流によるアテンダント遅延とを悪化させる。これは、ゲートにおける電圧の時間変化率を減少させる。更に、off状態へのスイッチングの間において、オーバーシュート・リンギングが発生することがある。理解できるように、ゲートにおける電圧のスイッチングは、これらの誘導効果によって著しく妨害(impede)されることになる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、必要なのは、少なくとも上述の既知のデバイスの欠点を克服するようなパワーダウンコンバータ回路(power down−converter circuit)である。
【0008】
実施例のように、ダウンコンバータは、インタフェース部を含み、当該インタフェース部は、当該ダウンコンバータを、複数のスイッチと、それぞれのスイッチのドライバ回路からなる複数のドライバ回路とに接続し、前記複数のドライバ回路と前記複数のスイッチとが、共通の集積回路上で組み合わされて(コンバインされて)いる。
【0009】
本発明は、以下の詳細な説明を添付の図面と共に読むことで最も良く理解される。強調されるのは、種々の特徴が、スケール通りに描かれている必要はないということである。実際、寸法は、説明の明瞭化のために任意に増加又は減少され得る。
【0010】
以下の詳細な説明では、限定ではなく説明を目的として、具体的詳細を開示する実施例が、本発明の完全な理解を与えるために提示される。しかしながら、本開示の利益を享受した当業者にとっては、本発明が、ここで開示された具体的詳細から離れた他の実施形態で実施されてもよいということが、明らかである。加えて、よく知られているデバイス、方法、及び物質については、本発明の説明を不明瞭なものとしないために省略され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、実施例に係るダウンコンバータ回路100の概略図である。シンプルインタフェース部(シンプルインタフェースセクション)が、パワーチップ101上に集積されており、パワーチップ101は、上側(HS:high side)スイッチと、よく知られているような下側(LS:low side)スイッチとを含んでいる。パワーチップ101は、先程言及された仮出願で説明されているタイプのものでもよい。上側(HS)ブロック102は、HSパワーデバイス104を駆動する電流ドライバである。下側(LS)ブロック103は同様に、下側(LS)パワーデバイス105を駆動する電流ドライバである。HSパワーデバイスもLSパワーデバイスも、MOSFETであり、先程言及された仮出願で詳細に説明されているタイプのものである。
【0012】
実施例のように、HSブロック102及びLSブロック103が集積されることで、それぞれのブロックとパワーFETとの間の寄生インダクタンス及び抵抗が減少し、その結果、アクセス時間が改善され、且つ、ドレインとゲートとの間のミラー容量によるゲートプルアップのリスクが減少する。
【0013】
既知の回路において、プリント基板上のドライバとパワーFETとの距離は、10mm以上であり、少なくとも10nHの寄生インダクタをもたらす。パワーFETの入力容量(一般的には2nF)を5n秒間で5Vに充電することは、電流(I=C*dV/dtと表される)を約2A程度とすることを意味する。1n秒間で2Aの応答を得るためには、インダクタその他に約20V程度の電圧(V=L・di/dt)を付加的に印加する必要があり、デバイス速度はこれに応じて減少する。この寄生インダクタは、ここで説明した実施例に係る素子が集積されることにより、一般的には少なくとも10分の1程度に減少する。
【0014】
off状態へのスイッチング時には、出力電流(一般的には10A以上)により、ドレインキャパシタ(一般的には2nF)が、dV/dt=I/C=5V/n秒で充電される。これにより、素早いアクセスと、パワーFETの閾値電圧以下への付加電圧の良好な降下と共に、ゲート(一般的にはCgdは約0.5nF程度)における所定のシンク電流(I=C・dV/dt=2.5A)がもたらされる。本実施例の集積ドライバにより、寄生インダクタンスが減少し、更に、様々な位置にあるパワーFETのゲートに低抵抗且つ低遅延でアクセスできるようになる。
【0015】
ダウンコンバータ100は、制御チップからデコーダブロック106への信号用の、差動センス入力を含んでいる。ダウンコンバータ100は更に、HSブロック102及びHSスイッチ(CF)へのレベルシフタ107を含んでいる。更には、LSブロック103が、LSスイッチ(SyncFET)と共に、レベルシフタ(図示せず)を有していてもよい。HSブロック102及びLSブロック103の各々は、それぞれ外付けキャパシタ108及び109から給電される。HSスイッチ用に、キャパシタは、ブートストラップ回路の一部ともなる。最後に、留意されるのは、デコーダ106への入力として信号グラウンド110が存在する一方で、集積回路の残りの部分では、パワーグラウンド111を使用するということである。
【0016】
図2A及び2Bは、実施例に係る複数の電流ドライバを示しており、これら複数の電流ドライバは、共通の基板上にモノリシックに集積されている。図2A及び2Bの実施例の集積が、シリコンへのモノリシック集積であることが留意される。SiGeのような他の半導体材料及び半導体技術が、実施形態を拡張するのに使用されてもよい、ということが留意される。プロセス及び構造の詳細は、半導体デバイス技術及び半導体プロセス技術の当業者にはよく知られているので、これらについては、全般的に説明が省略される。
【0017】
図2Aは、実施例に係るHSスイッチ用のドライバブロック200を示す。当該HSドライバ200は、図1の実施例に関連して説明したものと実質的に同じものであり、当該HSスイッチ(ここではHSパワースイッチとも呼ばれる)は、言及済みの仮出願で説明されているものと実質的に同じものである。図2Bは、実施例に係るLSスイッチ(ここではLSパワースイッチとも呼ばれる)用のLSドライバブロック201を示す。当該LSドライバ201は、図1の実施例に関連して説明したものと実質的に同じものであり、当該LSスイッチは、言及済みの仮出願で説明されているものと実質的に同じものである。最後に、留意されるのは、図2A及び2Bの実施例のHSドライバブロック及びLSドライバブロックは、共通の基板(同一の集積回路)上に設けられるのが望ましいということである。当該共通の基板は、ここで説明する実施例では高nドープドシリコン基板である。本説明では、これらは明瞭化のために分離されている。
【0018】
初めに図2Aを参照すると、HSドライバが示されている。HSブロック200は、CMOSブロックであり、パワーNMOSステージ202とパワーPMOSステージ203とを備え、このCMOSブロックの「グラウンド」側は、出力(209−210)に接続されている。HS・CMOSブロック200は、HSパワーFETを駆動し、当該HSパワーFETは、図中のHSスイッチ204として機能する。動作時、PMOSステージ203は、ゲート206をCブート205から帯電させ、NMOSステージ204は、ゲートを(高濃度ドープドシンカー210を介して)出力209へと放電させる。当該出力209は、ここでは+12Vとして図示されている。本実施例では、基板211は、ウェルとして高濃度にドープされており、HSスイッチのpウェル212に接している。
【0019】
ここで説明するように、HS・CMOSブロック200は、レベルシフタによって駆動される上側ラッチ回路を必要とし、このレベルシフタは、パワーグラウンドに関するデコーダからの5V信号を、HSスイッチのソースに関するゲートとソースとの間の5V信号(当該5V信号は、出力電圧「Out」に応じて立ち上がったり立ち下がったりする)に適合させる。加えて、HS・CMOSブロックは、外付けブートストラップ・キャパシタと外付け(25V)ブートストラップ・ダイオードとを必要とし、図1に示されている。ダイオードは集積するのが困難なので、外付けダイオード(図示せず)が必要となる。
【0020】
図2Bに示す実施例では、LS・CMOSブロック201が、LSスイッチ213のLSパワーFETゲート212を、いずれもパワーグラウンドを基準として駆動する。LS・CMOSブロック201は、HS・CMOSブロック200と同様に、NMOSステージ214とPMOSステージ215とを含んでいる。LSドライバ218のこのCMOSブロック(pウェル216)の「グラウンド」側は、パワーグラウンド219に接続されている。n基板211(「Out」)は、+12Vとゼロとの間で変化し、更には短時間のあいだ約−0.1Vになり得るが、LSパワーFET(LSスイッチ213)がまだスイッチonされていない場合には、pウェル216を基準として−0.7V未満に留まっている必要がある。この後者の状況により、寄生NPN構造(NMONドレイン、PMOSウェル)の一部である寄生ダイオード内に電気伝導が生じ、集積回路内に更なる散逸及び電荷収集(charge collection)がもたらされる。これは、LSパワースイッチの素早いon切替(turn−on)により最小に抑える必要がある。最後に、LS・CMOSブロック201は更に、望ましくはキャパシタを有していてもよく、グラウンドレール内の電位差が大きいような場合には更にレベルシフタを有していてもよい。
【0021】
先に言及したように、ここまで説明した実施例のダウンコンバータにおいて、寄生電流は、当該ダウンコンバータの動作中に増加し得る。図2A及びBの実施例では、HSスイッチ204がon状態の場合には、基板211が12Vへと帯電され、電流がダウンコンバータの負荷インダクタンス内を流れる。HSスイッチ204がoff状態の場合には、負荷インダクタンスが、基板111を、LSスイッチ213のon切替時間(turn−on time)に応じて−0.1Vと−0.7Vとの間に引き下げる。これにより、NMOSステージ及びPMOSステージのpウェルへの、スパイク・ダイオード電流がもたらされ得る。理由は、pウェルがパワーグラウンド219に接続されているからである。これにより更に、NPN電気伝導におけるスパイクが生じ得る。
【0022】
図1において、HSレベルシフタ107は、約25Vという比較的高電圧のNMOデバイスを必要とし、実施例が図3に示されている。当該HSレベルシフタ300は、上述のHSブロック、LSブロック、及びパワーFETと共に共通の基板上に配置されていてもよい。これは、p型ウェル303内のNMOS構造301と共に集積される形で作製されてもよく、当該p型ウェル303では、PMOSnウェル302が、NMOSドレイン304用のドリフト領域として機能する。ソース/pウェルが、信号グラウンド(コントローラからの入力)に接続されている場合、当該信号グラウンドが、インダクタンスのために、パワーグラウンドと数ボルト分異なっていると、それにより問題が生じ得る。実施例では、異なるドライブが、入力デコーダから提供される。当該レベルシフタのソース/pウェルは、図示のようにパワーグラウンドに接続されており、LS・CMOSブロックに関連して説明したのと同じ問題を有する。
【0023】
この実施例において、入力デコーダは、LS・CMOSブロック(200)用の信号とHS・CMOSブロック(201)用の信号とをブレイク・ビフォア・メイク・タイミング(break−before−make timing)用に分離する必要がある。実施例では、差動信号センスが、コントローラからの入力用に使用されてもよい。図示のように、これは、PMOSデバイスを使用して実現されてもよく、当該PMOSデバイスが、VRM信号線と信号グラウンド線との間における差分を検知する。その場合、それら2本の線は、実施例のPMOSステージのソース及びゲートに接続される。上記差分は、PMOSステージのドレイン電流から得られる。これは、ゲートとソースとの間の抵抗によって、レベルシフタ回路のトランジスタ用のゲートソース(GS)信号に変換される。これは、コントローラにおける局部パワーグラウンドと局部信号グラウンドとの間の差(中心電圧検知点で検知される)の原因となる。
【0024】
本発明は、このように説明され、同発明が、本開示の利益を享受した当業者により様々に変形可能であることは、明白である。そのような変形形態は、本発明の精神及び範囲から逸脱するものと看做されるものではなく、そのような、当業者にとって明白な修正形態は、本特許請求の範囲及びその法的な均等の範囲内に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例に係るダウンコンバータの概略図である。
【図2A】実施例に係る一のドライバ回路及び複数のスイッチからなる集積回路の断面図(上側)である。
【図2B】実施例に係る一のドライバ回路及び複数のスイッチからなる集積回路の断面図(下側)である。
【図3】実施例に係るレベルシフタである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダウンコンバータであって、
インタフェース部を備え、当該インタフェース部は、当該ダウンコンバータを、少なくとも1つのスイッチに接続し、各スイッチは、それぞれの電流ドライバ回路に接続されており、複数の前記電流ドライバ回路と複数の前記スイッチとが、共通の集積回路上に配置されている、ダウンコンバータ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの電流ドライバ回路の各々は、高電流ドライバ回路であり、前記少なくとも1つのスイッチの各々は、パワースイッチである、請求項1に記載のダウンコンバータ。
【請求項3】
前記インタフェース部は、少なくとも1つのパワースイッチと共にモノリシックに集積されている、請求項1に記載のダウンコンバータ。
【請求項4】
前記ダウンコンバータは、上側電流ドライバを含み、前記上側電流ドライバは、上側パワースイッチに接続されている、請求項1に記載のダウンコンバータ。
【請求項5】
前記ダウンコンバータは、下側電流ドライバを含み、前記下側電流ドライバは、下側パワースイッチに接続されている、請求項1に記載のダウンコンバータ。
【請求項6】
前記上側電流ドライバは、レベルシフタに接続されている、請求項4に記載のダウンコンバータ。
【請求項7】
デコーダが、下側電流ブロックとレベルシフタとに接続されている、請求項5に記載のダウンコンバータ。
【請求項8】
前記上側電流ドライバは、CMOSデバイスである、請求項4に記載のダウンコンバータ。
【請求項9】
前記下側電流ドライバは、CMOSデバイスである、請求項5に記載のダウンコンバータ。
【請求項10】
電流ドライバ回路とスイッチとの間の寄生インダクタンスが、約1nH程度又はそれ未満である、請求項1に記載のダウンコンバータ。
【請求項11】
前記集積回路は、シリコンベースの集積回路である、請求項1に記載のダウンコンバータ。
【請求項12】
前記集積回路は、SiGeベースの集積回路である、請求項1に記載のダウンコンバータ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−509592(P2007−509592A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530940(P2006−530940)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051898
【国際公開番号】WO2005/031958
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】