説明

電力情報報知装置

【課題】自宅駐車場などでの充電を行うことができなかった場合であっても車輌が走行不可能な状態となることがないように、車輌の電力蓄積に係る情報をユーザに対して適切に知らせることができる電力情報報知装置を提供する。
【解決手段】入力された自宅駐車場などの基準位置から最短距離の充電ステーションを検索し、車輌1の前回走行における走行距離及び消費電力量から電力消費率を算出して、基準位置から最短距離の充電ステーションまでの走行に必要な電力量を算出し、算出した必要電力量を蓄電量検知部41が検知した蓄電装置2の蓄電量から減じた電力量を充電量メータ20に表示する。車輌1の始動時に蓄電装置2の蓄電量が閾値を超えるか否かを報知制御装置30が判定し、蓄電量が閾値を超えない場合にカーナビゲーション装置10がメッセージ表示又は音声出力等による警告を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車又はプラグインハイブリッド自動車等のように充電ステーションに設置された給電装置からの給電により蓄電装置への電力蓄積を行い、蓄積した電力にて走行する車輌に搭載され、車輌の電力蓄積に係る情報表示を行う電力情報報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モータ及び蓄電装置等を搭載して、蓄電装置に蓄積した電力にてモータを駆動することで走行する電気自動車及びハイブリッド自動車が普及し始めている。ガソリンなどの燃料を動力源とするエンジンを搭載しない電気自動車では、モータによる走行を行うために、外部の電源から蓄電装置への電力蓄積(充電)を行う必要がある。またエンジンを搭載したハイブリッド自動車であっても、外部電源からの蓄電装置への充電を可能とした車輌、いわゆるプラグインハイブリッド自動車がある。このような車輌においては、電力供給用の充電ケーブルなどが接続される充電口が車体に設けられており、充電ステーション又は自宅駐車場等にてユーザが車輌の充電口へ充電ケーブルを接続することによって、外部電源から車輌の蓄電装置への充電が行われる。
【0003】
例えば電気自動車を所有するユーザは、自宅駐車場に電気自動車を駐車して夜間などに充電を行い、翌朝に充電完了した電気自動車を利用することができる。このような電気自動車の利用態様において、自宅の給電装置が故障して電気自動車の充電を行うことができない場合がある。このような場合であっても、充電ステーションなどに設置された別の給電装置を利用して電気自動車の充電を行うことができるが、ユーザは自宅駐車場での充電を期待しているため、ユーザが電気自動車を自宅駐車場に駐車した時点では、充電ステーションなどへ走行するために必要な電力が残されていない虞がある。このように、不測の事態によって自宅駐車場での充電が行えない場合、電気自動車が走行不可能な状態となる虞がある。
【0004】
特許文献1においては、車載バッテリの充電時間を含む目的地までのトータルな時間予測を行うことができ、充電設備の周辺の食事場所、観光スポット又はレジャー施設等の情報を提供することができる電気自動車のナビゲーションシステムが提案されている。このナビゲーションシステムでは、車載バッテリの残容量、電気自動車の燃費、現在位置から充電設備までの距離及び充電設備から目的地までの距離に基づいて充電設備での充電時間を算出し、充電時間を含む現在位置から目的地までの到達時間を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−112932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし特許文献1のナビゲーションシステムは、ユーザが電気自動車にて長距離走行(少なくとも充電ステーションなどでの1回の充電を必要とする距離の走行)を行う場合を想定した技術であり、通勤又は買い物等のように自宅から比較的短い距離の往復を電気自動車にて行う場合を想定した技術ではない。よって特許文献1の技術は、自宅駐車場での充電が行えずに電気自動車が走行不可能な状態になるという上述の問題点を解決し得るものではない。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、自宅などでの充電を行うことができなかった場合であっても車輌が走行不可能な状態となることがないように、車輌の電力蓄積に係る情報をユーザに対して適切に知らせることができる電力情報報知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電力情報報知装置は、充電ステーションにて供給される電力を蓄積し、蓄積した電力に基づく走行を行う車輌に搭載され、前記車輌の電力蓄積に係る情報を報知する電力情報報知装置において、前記車輌に蓄積された電力量を表示する電力量表示手段と、地図情報上における基準位置の入力を受け付ける受付手段と、前記基準位置から最短距離の充電ステーションを前記地図情報に基づいて検索する検索手段と、前記車輌が走行を行う都度、走行開始から走行終了までの走行距離及び消費電力量を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された前回走行に係る走行距離及び消費電力量から電力消費率を算出する電力消費率算出手段と、該電力消費率算出手段が算出した電力消費率を基に、前記基準位置から最短距離の充電ステーションまでの走行に必要な電力量を算出する必要電力量算出手段とを備え、前記電力量表示手段は、前記車輌に蓄積されている電力量から、前記必要電力量算出手段が算出した必要電力量を減じた電力量を表示するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る電力情報報知装置は、前記車輌が始動された場合に、前記車輌に蓄積された電力量が所定量より少ないか否かを判定する電力量判定手段と、前記車輌に蓄積された電力量が前記所定量より少ないと前記電力量判定手段が判定した場合に警告を行う警告手段とを更に備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る電力情報報知装置は、前記車輌の位置が前記基準位置であるか否かを判定する位置判定手段を備え、前記警告手段は、前記車輌に蓄積された電力量が前記所定量より少ないと前記電力量判定手段が判定し、且つ、前記車輌の位置が前記基準位置であると前記位置判定手段が判定した場合に、前記検索手段が検索した充電ステーションに係る情報を示して警告を行うようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る電力情報報知装置は、前記警告手段が、前記基準位置から前記検索手段が検索した充電ステーションまでの経路を表示するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明においては、充電ステーションなどにて外部の給電装置から供給される電力をバッテリなどの蓄電装置に蓄積し、蓄積した電力による走行を行うことができる電気自動車又はプラグインハイブリッド自動車等の車輌に、蓄電装置に蓄積された電力の量を表示する電力量表示手段(ガソリン車の燃料計に相当する)を設ける。
電力情報報知装置は、カーナビゲーション装置などにて地図情報上における自宅などの基準位置の登録を受け付けて、基準位置から最短距離の充電ステーションの位置を検索する。また電力情報報知装置は、車輌が走行を行う都度に走行距離及び消費電力量を記憶し、この車輌の前回走行(例えば前回のイグニッションスイッチオンからオフまでの期間)における走行距離及び消費電力量から電力消費率を算出すると共に、電力消費率に基づいて基準位置から最短距離の充電ステーションまでの走行に必要な電力量を算出する。電力情報報知装置は、算出した必要電力量を車輌の蓄積電力量から減じた電力量を電力量表示手段に表示させる。
これにより、ユーザが確認できる車輌の蓄積電力量は、実際の量より少なく表示されたものとなる。よって自宅の駐車場などに戻ってきた際に蓄積電力量が0と表示されていても、自宅から最短距離の充電ステーションまで走行する電力は蓄積されているため、自宅の給電装置が故障した場合であっても、ユーザは充電ステーションまで車輌を走行させて充電を行うことができる。
【0013】
上述のように自宅などから最短距離の充電ステーションまで走行する電力が蓄積されていても、ユーザが自宅などの給電装置の故障に気付かずに車輌の走行を開始し、蓄積された電力を使い切る虞がある。そこで本発明においては、車輌の始動時に蓄積電力量が所定量(充電ステーションまでの走行に必要な電力量と同じ値であってもよく、異なる値であってもよい)より少ないか否かを判定し、蓄積電力量が所定量より少ない場合にメッセージ表示又は音声出力等による警告を行う。これにより、電力が十分に蓄積されていない状態でユーザが車輌の走行を開始することを防止できる。
【0014】
また、本発明においては、車輌の位置が登録された自宅などの基準位置であるか否かをカーナビゲーション装置などにより判定し、車輌の位置が基準位置であれば、上述の警告を行う際に、基準位置から最短距離の充電ステーションに係る情報を示して警告を行う。これによりユーザは、車輌の蓄積電力量が少ない場合に、最短距離の充電ステーションへ向かうことができる。
【0015】
また、本発明においては、上述の警告を行う際に、カーナビゲーション装置などによって、基準位置から最短距離の充電ステーションまでの経路表示を行う。これによりユーザは、最短距離の充電ステーションへ向けて車輌を走行させ、容易に充電ステーションへ到達することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による場合は、入力された基準位置から最短距離の充電ステーションを検索し、前回走行の走行距離及び消費電力量から算出した電力消費率に基づいて基準位置から最短距離の充電ステーションまでの走行に必要な電力量を算出し、算出した必要電力量を車輌の蓄積電力量から減じた電力量を表示する構成とすることにより、蓄積電力量が0と表示されていても、自宅などから最短距離の充電ステーションまで走行する電力は蓄積されているため、自宅などでの充電を行うことができなかった場合であっても、充電ステーションまで走行して充電を行うことができるため、車輌が走行不可能な状態となることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る電力情報報知装置の構成を示すブロック図である。
【図2】カーナビゲーション装置が自宅登録受付時に行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】報知制御装置が車輌の走行開始時及び走行終了時に行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】車輌の起動時に報知制御装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】カーナビゲーション装置が行う警告処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係る電力情報報知装置の構成を示すブロック図である。図において破線で示す1は電気自動車又はプラグインハイブリッド自動車等の車輌であり、車輌1にはネットワーク5を介して接続された複数の装置が搭載されており、本実施の形態に係る電力情報報知装置は、これら複数の装置がネットワーク5を介した情報の送受信を行って協調動作することにより実現されるものである。
【0019】
本実施の形態に係る電力情報報知装置は、カーナビゲーション装置10、充電量メータ20及び報知制御装置30等を備えて構成されている。なお、カーナビゲーション装置10は通信機能を有するECU(Electronic Control Unit)51を介してネットワーク5に接続され、充電量メータ20は通信機能を有するECU52を介してネットワーク5に接続されている。また車輌1には、走行のための電力を蓄積する蓄電装置2、この蓄電装置2に蓄積された電力量を検知する蓄電量検知部41、車輌1の走行距離を検知する走行距離検知部42等が搭載されている。蓄電量検知部41及び走行距離検知部42は通信機能を有するECU53を介してネットワーク5に接続され、検知結果をカーナビゲーション装置10又は報知制御装置30等へ送信する。
【0020】
カーナビゲーション装置10は、GPS(Global Positioning System)などを利用した車輌1の位置判断、地図情報を用いた目的地までの経路検索、及び、現在位置から目的地までの経路案内等を行う装置である。カーナビゲーション装置10は、処理部11、記憶部12、表示部13及び操作部14等を備えて構成されており、車輌1の運転席近傍などに配設される。
【0021】
カーナビゲーション装置10の処理部11は、上述の位置判断、経路検索及び経路案内等に係る演算処理を行うものであり、具体的にはCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等で構成される。記憶部12は、フラッシュメモリ又はハードディスク等で構成され、経路検索及び経路案内等に必要な地図情報などが記憶されている。特に本実施の形態においては、記憶部12に記憶された地図情報には、車輌1の蓄電装置2への充電を行う給電装置が設置された充電ステーションの位置情報が含まれている。
【0022】
カーナビゲーション装置10の表示部13は、液晶パネルなどで構成されており、処理部11からの指示に基づいて、経路案内のための地図画像を表示することができると共に、ユーザの操作受け付けのためのメニュー表示及びユーザへの警告メッセージの表示等を行うことができる。操作部14は、表示部13の近傍に配設された複数のスイッチ又は表示部13に対する接触操作を検知するタッチパネル等により実現されるものであり、ユーザの操作を受け付けて処理部11へ通知する。特に本実施の形態においては、カーナビゲーション装置10の操作部14は、車輌1のユーザの自宅位置を登録するために用いられる。
【0023】
ECU51は、ネットワーク5を介して他の装置との間でデータの送受信を行う機能を有しており、他の装置から受信したデータをカーナビゲーション装置10へ与えると共に、カーナビゲーション装置10から与えられたデータを他の装置へ送信する。特に本実施の形態においては、カーナビゲーション装置10は、報知制御装置30との間でデータの送受信を行う。
【0024】
充電量メータ20は、車輌1の運転席近傍のインストルメントパネルなど、車輌1を運転するユーザが視認できる箇所に配設され、車輌1の蓄電装置2の蓄電量を表示する。ECU52は、ネットワーク5を介して他の装置との間でデータの送受信を行う機能を有しており、他の装置から受信したデータを充電量メータ20へ与える。充電量メータ20は、ネットワーク5を介して報知制御装置30から与えられるデータに応じて蓄電量の表示を行う。
【0025】
充電量メータ20は、例えば蓄電装置2の蓄電量を0%〜100%の数値で表示する構成とすることができ、また例えば蓄電量に比例して増減する棒グラフ状のインジケータなどで表示する構成とすることができる。また蓄電量を割合で表示するのではなく、例えばWh(ワットアワー)又はAh(アンペアアワー)等の単位で電力量の数値を直接的に表示する構成としてもよい。
【0026】
報知制御装置30は、車輌1の走行用に搭載された蓄電装置2の電力蓄積に係る情報をユーザに報知すべく、カーナビゲーション装置10及び充電量メータ20の表示を制御する装置である。報知制御装置30は、通信機能を備えているためネットワーク5に直接に接続される。換言すれば、報知制御装置30は、通信機能を有するECUに、報知制御に係る処理を行う機能を設けて構成したものである。報知制御装置30は、演算処理部31、記憶部32及び通信部33等を備えて構成されている。
【0027】
報知制御装置30の演算処理部31は、CPU又はMPU等で構成されるものであり、記憶部32に予め記憶されたプログラム及びデータを読み出して実行することによって、報知制御に係る演算処理を行う。記憶部32は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子で構成され、演算処理部31の処理に必要なプログラム及びデータ等が予め記憶されると共に、演算処理部31の処理結果及びネットワーク5を介して受信したデータ等を記憶することができる。通信部33は、ネットワーク5を介して他の装置との間でデータの送受信を行うものであり、他の装置から受信したデータを演算処理部31へ与えると共に、演算処理部31から与えられたデータを他の装置へ送信する。
【0028】
蓄電装置2は、車輌1に搭載された走行用のモータ(図示は省略する)を駆動する電力を蓄積するための装置である。車輌1には、充電ステーション又はユーザの自宅駐車場等に設置された給電装置の充電ケーブルを接続する充電口が設けられており、この充電口に接続された充電ケーブルを介して外部の給電装置から供給された電力を蓄電装置2に蓄積することができる。蓄電量検知部41は、蓄電装置2の近傍に設けられており、蓄電装置2の端子電圧又は入出力電流等を測定することによって、蓄電装置2に蓄積された電力量を検知する(蓄電装置2に蓄積された電力量の検知は、既存の技術を用いて実現することができるため、詳細な説明は省略する)。
【0029】
走行距離検知部42は、車輌1の走行距離を検知するものである。走行距離の検知は、例えば車輌1の車速と走行時間との積分値を算出することで行ってもよく、また例えば車輌1の車輪の回転数から算出してもよく、他の方法で検知を行ってもよい。更には、カーナビゲーション装置10のGPS機能などを利用して走行距離を検知する構成であってもよく、この場合には走行距離検知部42はカーナビゲーション装置10の一機能として実現される。本実施の形態においては、走行距離検知部42は検知結果として車輌1の積算の走行距離を出力する(ただし、これに限るものではない)。
【0030】
ECU53は、ネットワーク5を介して他の装置との間でデータの送受信を行う機能を有しており、蓄電量検知部41及び走行距離検知部42の検知結果を他の装置へ送信する。特に本実施の形態においては、蓄電量検知部41及び走行距離検知部42の検知結果は報知制御装置30へ送信され、これらを受信した報知制御装置30は受信した検知結果を記憶部32に記憶する。
【0031】
本実施の形態に係る電力情報報知装置を利用する場合、まずユーザは装置に対して自宅駐車場(又は、車輌1を走行させない場合にユーザが最も高い頻度で車輌1を駐車しておく場所)などの基準位置の登録を行う必要がある。ユーザによる自宅駐車場の入力受け付けはカーナビゲーション装置10の操作部14にて行われ、例えばユーザは表示部13に表示された地図を上下左右移動又は拡大縮小等することにより特定位置を指定して自宅駐車場の登録を行ってもよく、また例えば操作部14から自宅の郵便番号又は住所等を入力することにより自宅駐車場の登録を行ってもよく、またその他の方法で行ってもよい。カーナビゲーション装置10は入力された自宅駐車場の位置を記憶部12に記憶する。
【0032】
自宅駐車場の入力を受け付けたカーナビゲーション装置10は、記憶部12に記憶された地図情報に基づいて、入力された自宅駐車場から最も近い充電ステーションの位置を検索し、検索結果の位置を記憶部12に記憶する。次いでカーナビゲーション装置10は、記憶部12に記憶した自宅駐車場の位置及び充電ステーションの位置に基づいて、自宅駐車場から充電ステーションまでの走行経路を地図情報にて検索することによって、自宅駐車場から充電ステーションまでの走行距離を算出する。カーナビゲーション装置10は、算出した走行距離の情報を、ネットワーク5を介して報知制御装置30へ送信する。報知制御装置30は、カーナビゲーション装置10から送信された情報(自宅駐車場から最短距離の充電ステーションまでの距離)を受信して記憶部32に記憶する。
【0033】
図2は、カーナビゲーション装置10が自宅登録受付時に行う処理の手順を示すフローチャートである。カーナビゲーション装置10の処理部11は、操作部14にてユーザによる自宅駐車場の入力を受け付けたか否かを判定し(ステップS1)、自宅駐車場の入力を受け付けていない場合は(S1:NO)、自宅駐車場の入力を受け付けるまで待機する。自宅駐車場の入力を受け付けた場合(S1:YES)、処理部11は、入力された自宅駐車場の位置を記憶部12に記憶し(ステップS2)、自宅駐車場から最短距離の充電ステーションを検索し(ステップS3)、検索した充電ステーションの位置を記憶部12に記憶する(ステップS4)。
【0034】
次いで、カーナビゲーション装置10の処理部11は、記憶部12に記憶した自宅駐車場の位置及び充電ステーションの位置に基づいて、自宅駐車場から充電ステーションまでの走行距離を算出し(ステップS5)、算出した走行距離をECU51へ与えることによって報知制御装置30へ送信する(ステップS6)。
【0035】
報知制御装置30は、車輌1の一回の走行が行われる都度、車輌1が走行した距離と消費した電力量とを算出して記憶部32に記憶しておく処理を行っている。車輌1の一回の走行とは、車輌1の走行開始から走行終了までの期間であり、例えばシフトレバーのシフトポジションが「P(パーキング)」から「D(ドライブ)」に切り替えられたときを走行開始とし、シフトレバーのシフトポジションが「D」から「P」に切り替えられたときを走行終了とすることができる。また例えば、イグニッションスイッチがオンされたときを走行開始とし、イグニッションスイッチがオフされたときを走行終了とすることができる。また例えば、カーナビゲーション装置10に対してユーザが目的地を設定したときを走行開始とし、車輌1がこの目的地に到着したときを走行終了とすることができる。このように、車輌1の走行距離及び消費電力量を算出する一回の走行期間は、上記の方法に限らず、種々の方法で決定することができる。
【0036】
報知制御装置30は、車輌1の走行開始時と走行終了時とに走行距離検知部42からの走行距離の検知結果をそれぞれ取得し、走行終了時に取得した走行距離から、走行開始時に取得した走行距離を減じることによって、車輌1が今回走行した走行距離を算出して記憶部32に記憶する。
【0037】
同様に報知制御装置30は、車輌1の走行開始時と走行終了時とに蓄電量検知部41からの蓄電量の検知結果をそれぞれ取得し、走行終了時に取得した蓄電量から、走行開始時に取得した蓄電量を減じることによって、車輌1が今回の走行によって消費した電力量を算出し、記憶部32に記憶する。
【0038】
図3は、報知制御装置30が車輌1の走行開始時及び走行終了時に行う処理の手順を示すフローチャートである。報知制御装置30の演算処理部31は、車輌1のシフトレバーのシフトポジションが「D」に切り替えられたか否かを判定し(ステップS11)、シフトポジションが「D」に切り替えられていない場合(S11:NO)、切り替えが行われるまで待機する。シフトポジションが「D」に切り替えられた場合(S11:YES)、演算処理部31は、走行距離検知部42からネットワークを介して与えられる車輌1の走行距離を取得し(ステップS12)、蓄電量検知部41からネットワーク5を介して与えられる蓄電装置2の蓄電量を取得する(ステップS13)。
【0039】
次いで、報知制御装置30の演算処理部31は、車輌1のシフトレバーのシフトポジションが「P」に切り替えられたか否かを判定し(ステップS14)、シフトポジションが「P」に切り替えられていない場合(S14:NO)、切り替えが行われるまで待機する。シフトポジションが「P」に切り替えられた場合(S14:YES)、演算処理部31は、演算処理部31は、走行距離検知部42からネットワークを介して与えられる車輌1の走行距離を取得し(ステップS15)、蓄電量検知部41からネットワーク5を介して与えられる蓄電装置2の蓄電量を取得する(ステップS16)。
【0040】
次いで、報知制御装置30の演算処理部31は、ステップS15にて取得した走行終了時の走行距離から、ステップS12にて取得した走行開始時の走行距離を減算することによって、車輌1による今回の走行に係る走行距離を算出する(ステップS17)。同様にして演算処理部31は、ステップS13にて取得した走行開始時の蓄電量から、ステップS16にて取得した走行終了時の蓄電量を減算することによって、車輌1による今回の走行に係る消費電力量を算出する(ステップS18)。演算処理部31は、算出した今回の走行に係る走行距離及び消費電力量を記憶部32に記憶して(ステップS19)、処理を終了する。
【0041】
車輌1の走行の都度、走行距離及び消費電力量を算出して記憶しておくことによって、報知制御装置30は車輌1の前回の走行に係る電力消費率(消費電力量/走行距離)を算出することができる。また報知制御装置30は、算出した電力消費率と、記憶部32に記憶した充電ステーションまでの距離とに基づいて、自宅駐車場から最短距離の充電ステーションへ走行するために必要な電力量を算出することができる。
【0042】
報知制御装置30は、車輌1の走行中に蓄電量検知部41の検知結果を取得し、この検知結果に応じた表示指示を充電量メータ20へ与えることによって、充電量メータ20に蓄電装置2の蓄電量の表示を行わせる。このとき報知制御装置30は、蓄電量検知部41の検知結果である蓄電装置2の実際の蓄電量から、上記の方法で算出した自宅駐車場から最短距離の充電ステーションへ走行するために必要な電力量を減算した電力量を、充電量メータ20に表示させる。
【0043】
例えば充電量メータ20が蓄電量を0%〜100%の数値で表示する構成であり、蓄電量検知部41が蓄電量を90%と検知し、報知制御装置30が充電ステーションまでの必要電力量を3%と算出した場合、報知制御装置30は、充電量メータ20に蓄電量として87%の表示を行わせる。
【0044】
また報知制御装置30は、車輌1の起動時(イグニッションオン時)に、蓄電量検知部41の検知結果を取得し、蓄電装置2の蓄電量が所定の閾値より小さいか否かを判定する。なお閾値は、自らが算出した自宅駐車場から最短距離の充電ステーションへ走行するための必要電力量と同じ値か、又は、この値より若干大きい値とすることが好ましい。報知制御装置30は、蓄電量が閾値より小さい場合、カーナビゲーション装置10へ指示を与えることによって、表示部13に警告メッセージを表示させる。
【0045】
報知制御装置30から警告メッセージ表示の指示を与えられたカーナビゲーション装置10は、GPS機能などを利用して車輌1の位置を検出し、検出した車輌1の位置と記憶部12に記憶した自宅駐車場の位置とが一致(ただし、少しの誤差を含んでもよい)するか否かを判定する。車輌1の位置と自宅駐車場の位置とが一致しない場合、カーナビゲーション装置10は、表示部13に警告メッセージ(例えば「バッテリ残量が不足しています」など)を表示する(メッセージ表示ではなく、警告音声の出力など他の方法で警告を行ってもよい)。また車輌1の位置と自宅駐車場の位置とが一致する場合、カーナビゲーション装置10は、表示部13に警告メッセージを表示すると共に、自宅駐車場から最短距離の充電ステーションまでの経路を表示部13に表示し、自宅駐車場から充電ステーションまでの経路案内を開始する。
【0046】
図4は、車輌1の起動時に報知制御装置30が行う処理の手順を示すフローチャートである。車輌1の起動によって報知制御装置30へ電力供給が開始され、パワーオンリセットの入力などに伴って報知制御装置30が起動された場合、報知制御装置30の演算処理部31は、まず、処理に用いる変数(レジスタ)の初期化などを含む起動処理を行う(ステップS31)。起動処理の終了後、演算処理部31は、記憶部32に記憶された車輌1の前回の走行に係る走行距離及び消費電力量を読み出して(ステップS32)、消費電力量/走行距離の演算を行うことによって前回の走行に係る電力消費率を算出し(ステップS33)、算出した電力消費率と記憶部32に記憶された充電ステーションまでの走行距離とを基に、自宅駐車場から最短距離の充電ステーションまでの必要電力量を算出する(ステップS34)。
【0047】
次いで、報知制御装置30の演算処理部31は、蓄電量検知部41からネットワーク5を介して与えられる蓄電装置2の蓄電量を取得し(ステップS35)、取得した蓄電量からステップS34の必要電力量を減算した電力量を算出し(ステップS36)、算出結果の電力量を表示すべく充電メータ20へ表示開始の指示を与える(ステップS37)。
【0048】
次いで、報知制御装置30の演算処理部31は、ステップS35にて取得した蓄電量が予め定められた閾値より小さいか否かを判定する(ステップS38)。蓄電量が閾値以上の場合(S38:NO)、演算処理部31は起動時の処理を終了する。蓄電量が閾値より小さい場合(S38:YES)、演算処理部31は、ネットワーク5を介してカーナビゲーション装置10へ警告メッセージの表示指示を与え(ステップS39)、処理を終了する。
【0049】
図5は、カーナビゲーション装置10が行う警告処理の手順を示すフローチャートである。カーナビゲーション装置10の処理部11は、ネットワーク5を介して報知制御装置30から警告メッセージの表示指示が与えられたか否かを判定し(ステップS41)、警告メッセージの表示指示が与えられていない場合(S41:NO)、警告メッセージの表示指示が与えられるまで待機する。警告メッセージの表示指示が与えられた場合(S41:YES)、処理部11は、表示部13に警告メッセージを表示する(ステップS42)。
【0050】
次いで、カーナビゲーション装置10の処理部11は、GPS機能などによって車輌1の位置を取得し(ステップS43)、車輌1の位置が記憶部12に記憶された自宅駐車場の位置であるか否かを判定する(ステップS44)。処理部11は、車輌1の位置が自宅駐車場の場合には(S44:YES)、自宅駐車場から最短距離の充電ステーションまでの経路案内を開始して(ステップS45)、また、車輌1の位置が自宅駐車場でない場合には(S44:NO)、経路案内を行うことなく、警告処理を終了する。
【0051】
以上の構成の電力情報報知装置は、入力された自宅駐車場などの基準位置から最短距離の充電ステーションを検索し、車輌1の前回走行における走行距離及び消費電力量から電力消費率を算出して、基準位置から最短距離の充電ステーションまでの走行に必要な電力量を算出し、算出した必要電力量を蓄電量検知部41が検知した蓄電装置2の蓄電量から減じた電力量を充電量メータ20に表示する構成とすることにより、充電量メータ20によりユーザが確認できる蓄電装置2の蓄積電力量を、実際の量より少なく表示することができる。よって、自宅駐車場などに戻ってきた際に充電量メータ20の蓄積電力量が0と表示されていても、自宅駐車場から最短距離の充電ステーションまで走行する電力は残されているため、自宅駐車場の給電装置が故障した場合などであっても、ユーザは充電ステーションまで車輌を走行させて充電を行うことができる。
【0052】
また、車輌1の始動時に蓄電装置2の蓄電量が閾値を超えるか否かを報知制御装置30が判定し、蓄電量が閾値を超えない場合にカーナビゲーション装置10がメッセージ表示又は音声出力等による警告を行う構成とすることにより、電力が十分に蓄積されていない状態でユーザが車輌1の走行を開始することを防止できる。
【0053】
また、カーナビゲーション装置10にて警告を行う際に、車輌1の位置が登録された自宅駐車場などの基準位置であるか否かを判定し、車輌1が基準位置であれば、カーナビゲーション装置10の表示部13に自宅駐車場などの基準位置から充電ステーションまでの経路を表示して、経路案内を行う構成とすることにより、ユーザは最短距離の充電ステーションへ向けて容易に車輌を走行させることができる。
【0054】
なお、本実施の形態においては、報知制御装置30が車輌1の走行終了時に走行距離及び消費電力量を記憶部32に記憶しておき、車輌1の起動時に前回の走行距離及び消費電力量を読み出して電力消費率を算出する構成としたが、これに限るものではなく、車輌1の走行終了時に電力消費率を算出して記憶しておく構成としてもよい。また、自宅駐車場などの基準位置から最短距離の充電ステーションを検索する際に、例えばユーザが予め指定した電力供給会社の充電ステーションのみを検索対象とするなど、他の条件を加えた検索を行う構成としてもよい。また、電力情報報知装置が、カーナビゲーション装置10、充電メータ20及び報知制御装置30等の複数の装置で構成され、各装置がネットワーク5を介して情報の授受を行う構成としたが、これに限るものではなく、電力情報報知装置を1つの装置として構成してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 車輌
2 蓄電装置
5 ネットワーク
10 カーナビゲーション装置(受付手段、検索手段、警告手段、位置判定手段)
11 処理部
12 記憶部
13 表示部
14 操作部
20 充電メータ(電力量表示手段)
30 報知制御装置(記憶手段、電力消費率算出手段、必要電力量算出手段、電力量判定手段)
31 演算処理部
32 記憶部
33 通信部
41 蓄電量検知部
42 走行距離検知部
51〜53 ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電ステーションにて供給される電力を蓄積し、蓄積した電力に基づく走行を行う車輌に搭載され、前記車輌の電力蓄積に係る情報を報知する電力情報報知装置において、
前記車輌に蓄積された電力量を表示する電力量表示手段と、
地図情報上における基準位置の入力を受け付ける受付手段と、
前記基準位置から最短距離の充電ステーションを前記地図情報に基づいて検索する検索手段と、
前記車輌が走行を行う都度、走行開始から走行終了までの走行距離及び消費電力量を記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶された前回走行に係る走行距離及び消費電力量から電力消費率を算出する電力消費率算出手段と、
該電力消費率算出手段が算出した電力消費率を基に、前記基準位置から最短距離の充電ステーションまでの走行に必要な電力量を算出する必要電力量算出手段と
を備え、
前記電力量表示手段は、前記車輌に蓄積されている電力量から、前記必要電力量算出手段が算出した必要電力量を減じた電力量を表示するようにしてあること
を特徴とする電力情報報知装置。
【請求項2】
前記車輌が始動された場合に、前記車輌に蓄積された電力量が所定量より少ないか否かを判定する電力量判定手段と、
前記車輌に蓄積された電力量が前記所定量より少ないと前記電力量判定手段が判定した場合に警告を行う警告手段と
を更に備えること
を特徴とする請求項1に記載の電力情報報知装置。
【請求項3】
前記車輌の位置が前記基準位置であるか否かを判定する位置判定手段を備え、
前記警告手段は、前記車輌に蓄積された電力量が前記所定量より少ないと前記電力量判定手段が判定し、且つ、前記車輌の位置が前記基準位置であると前記位置判定手段が判定した場合に、前記検索手段が検索した充電ステーションに係る情報を示して警告を行うようにしてあること
を特徴とする請求項2に記載の電力情報報知装置。
【請求項4】
前記警告手段は、前記基準位置から前記検索手段が検索した充電ステーションまでの経路を表示するようにしてあること
を特徴とする請求項3に記載の電力情報報知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−80726(P2012−80726A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225919(P2010−225919)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】