電圧制御発振器及び発振周波数調整方法
【課題】周波数曲線の切り換え機能と、素子バラツキによる周波数曲線の変動を補償する機能を両立させる点にある。
【解決手段】負性抵抗素子19bとインダクタ素子19あと外部から与えられる第一電圧17により容量が変化する第一のキャパシタ18と制御電圧により容量が変化する複数のキャパシタからから成る第二のキャパシタ11を備える共振回路と、周波数情報13と自動校正値14に基づいて出力が確定する論理合成手段12とを備え、前記第二のキャパシタの容量値を前記論理合成手段の出力に基づく制御電圧により可変とした。
【解決手段】負性抵抗素子19bとインダクタ素子19あと外部から与えられる第一電圧17により容量が変化する第一のキャパシタ18と制御電圧により容量が変化する複数のキャパシタからから成る第二のキャパシタ11を備える共振回路と、周波数情報13と自動校正値14に基づいて出力が確定する論理合成手段12とを備え、前記第二のキャパシタの容量値を前記論理合成手段の出力に基づく制御電圧により可変とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電圧制御発振器、特にPLL回路において用いられる電圧制御発振器(VCO)の温度変動と素子製造バラツキによる周波数特性の補償に関する。
【背景技術】
【0002】
PLL回路において用いられる従来の電圧制御発振器としては、例えば図2に示すような発振回路20があり、この回路はインダクタ21と、そのインダクタに並列接続された、可変容量キャパシタ22、負性抵抗23等の素子から構成されている。この発振回路の発振周波数は、制御端子24の電圧を変化させて可変容量キャパシタの容量値を変化させることにより制御される。制御端子には、PLL回路の構成要素であるローパスフィルタからの出力信号が入力される。
【0003】
一般に、可変容量キャパシタ22は、pn接合容量かMOS容量で構成することができ、負性抵抗23は、例えば、正帰還ループを構成する複数のトランジスタで構成することが出来る。
【0004】
可変容量キャパシタの容量、負性抵抗の浮遊容量は、素子の製造ばらつき、素子の温度変化により変動し、その結果、発振回路の発振周波数帯域も変動する。
【0005】
図2の従来回路では、素子の製造ばらつき、素子の温度変化による発振周波数帯域の変動を補償するため、前述の可変容量キャパシタ22に、複数のトリミング・キャパシタ25a、25b及び26a〜26dを並列に接続し、温度補償用デジタル信号を入力端子27a、27bに、素子特性補償データを入力端子28a〜28dに与え、各トリミング・キャパシタの容量値を制御することにより、発振回路の発振周波数帯域が所望の範囲に入るよう調整していた。この為、素子特性補償用として4個、温度補償用として2個の合計6つのトリミング・キャパシタが必要であった。
【特許文献1】特願2004−017101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トリミング・キャパシタの最小値は無限小ではないので、トリミング・キャパシタの数が増大すると、トリミング信号(デジタル信号)に無関係な浮遊容量がLC共振器に並列に複数接続されることになり、これらの浮遊容量の合計値が、可変容量キャパシタ22の可変幅に比べて無視できない程度に増大すると周波数制御を精度良く行う上で問題が生じる。
【0007】
たとえば、発振周波数が2.5GHzの場合、LC回路の定数は、2nH、2pF程度であり、トリミング・キャパシタの浮遊容量値は1pF程度である。しかし、発振周波数が5GHzほどになると、LC回路の素子定数はそれぞれ1nH,1pF程度になり、トリミング・キャパシタの浮遊容量値が可変容量キャパシタの可変幅と同程度になる。このように、発振周波数が高くなると、トリミング・キャパシタを従来のように多数搭載することにより問題が生じる。
【0008】
図3は、トリミング・キャパシタの容量値を変化させることによって、周波数曲線を切り換えることが出来ることを示した図であり、例えば、発振回路に必要な周波数帯域が4800から5000MHzとすると、4800から4860MHzでは周波数曲線1(31)を、4860から4920MHzでは周波数曲線2(32)を、4920MHz以上では周波数曲線3(33)を選択することが出来る。この選択機能により、周波数感度は100MHz/V程度に抑制でき、発振器の位相雑音を抑制できる。発振周波数の高いLC共振器では、多くの場合、LC共振器に接続するトリミング・キャパシタは、周波数曲線の切り換えの為に使用される。
【0009】
所望の発振周波数に対して周波数曲線の切り換えを再現性よく行うことは容易ではない。何故ならば、発振器を構成する諸素子の浮遊容量・増幅率のばらつき、負性抵抗のソース・ドレイン容量の温度変動などの変動要因が存在するからであり、特に、トリミング・キャパシタの浮遊容量の影響が大きい。
【0010】
この発明の課題は、周波数曲線の切り換え機能と、素子バラツキによる周波数曲線の変動を補償する機能を両立させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、周波数曲線の切り換えのためにトリミング・キャパシタの値を指定するとき、周波数情報に素子バラツキ情報、あるいは、温度変動の補償情報を論理合成することにより周波数曲線の再現性を維持する回路を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発振回路によれば、従来技術に比べて必要なトリミング・キャパシタの数を減少させることが出来るので、高周波LC発振回路の周波数曲線の切り換え、素子ばらつき補償、温度変動補償が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。尚、各図面は、この発明が理解できる程度に概略的に示してある。
【0014】
(1)第1の実施形態
図1は、第1の実施形態に係る電圧制御発振器の構成を示す図である。この発振回路10は、周波数曲線の切り換え用のトリミング・キャパシタ11を用いて、周波数曲線の切り換えと素子ばらつき補償とを実現する回路構成となっている。
【0015】
トリミング・キャパシタ11の容量値は、全加算器12(論理合成手段を構成する)から出力される4ビットのデータにより制御される。トリミング・キャパシタ11を構成する各キャパシタ(11a〜11d)の容量値は、2のべき乗に比例する値となっている。すなわち、第0位の容量値に比べ、第1〜3位の容量値は、2、4,8倍となっている。
【0016】
全加算器12は、周波数情報13と自動校正値14(素子バラツキ補償の適値)とを論理合成する。この自動校正値14は、前記特許文献1に記載された方法により、回路の起動時に設定される。以下、この自動校正値の決定方法について説明する。
【0017】
(S1)図4は、この発明の電圧制御発振器10をループ内に組み込んだ位相同期ループ(PLL)の一般的構成を示す図であり、ステップS1では、この位相同期ループの分周数を決定する、すなわち電圧制御回路の発振周波数を決定する。例えば、基準周波数f_refを1MHzとして4900MHzの発振周波数を得る為には、分周器45内部のレジスタ45bに、値4900を設定する。これにより、分周カウンタ45aは出力信号をクロック信号として4900までカウントすることにより分周信号を生成して比較器41に入力する。
(S2)素子ばらつき補償用の可変容量キャパシタの初期値として入力端子(15a〜15d)に制御データ(B3、B2、B1、B0)=(1000)を与える。
(S3)上記制御データの第n位のビットのデータを変更する為に最初にn=3とする。
(S4)制御データの第nビットを”1”(High:電源電圧)に設定する(n=3の場合、初期値設定によりすでに第3ビット目は”1”に設定されている)。
(S5)位相同期ループと発振器を動作させ、発振周波数が落ち着くまで(例えば、500μsec)待機する。
(S6)モニタ出力端子16の値を読み込み(図5の応答欄参照)、第nビットの確定値とする。モニタ回路は一方の入力端子(逆相入力端子)に基準電圧を入力し、他方の入力端子(正相入力端子)に、制御端子17から可変容量キャパシタ18に印加する電圧を入力したコンパレータから構成される。
(S7)nの値から1を減算する。
(S8)n>0の場合、(S4)〜(S7)の処理を繰り返す。
(S9)n=0の場合、(S8)までで決定した制御データの値を、自動校正値(4ビット)の確定値とする。
【0018】
図5は、自動校正値の算出例を示した図である。
【0019】
図6は、全加算器12の構成と入出力信号の関係を示した図であり、全加算器12は、桁上がり付きの4ビットの加算器61〜64から構成される。自動校正値4ビットのデータの各ビットは、第0位のビットが加算器61に、第1位のビットが加算器62に、第2位のビットが加算器63に、第3位のビットが加算器64に接続される。
【0020】
周波数情報は2ビットから構成され、発振周波数と周波数情報とには、図7で示されるような関係がある。すなわち、全加算器12の周波数情報Sは、周波数情報が(01)のときのみ”1”が設定され、全加算器12の周波数情報Aは、周波数情報が(11)のときのみ”1”が設定される。
【0021】
トリミング・キャパシタ11、可変容量キャパシタ18はn−MOSトランジスタからなる。トリミング・キャパシタ11は、印加電圧が0Vのとき(すなわち、(B3,B2,B1,B0)=(0,0,0,0)の時)容量最小となり、印加電圧が電源電圧に等しいとき(すなわち、(B3,B2,B1,B0)=(1,1,1,1)の時)容量最大になる。容量変化は1ビットあたり通常0.02pFであり、0.01pF〜0.03pFの範囲で変化する。トリミング・キャパシタの容量値は2のべき乗で変化し、その最大値は通常0.30pFであり、0.15pF〜0.45pFの範囲で変動する。
【0022】
可変容量キャパシタ18は、印加電圧が電源0Vのとき容量最大、印加電圧が電源電圧に等しいとき容量最小になる。この可変容量キャパシタの容量値は、例えば、0.08pFであり、この場合、0.04pF〜0.12pF程度の素子バラツキが存在する。
【0023】
インダクタ19aは、例えば、インダクタンス1nH、直列抵抗4Ωのインダクタである。
【0024】
緩衝回路19cは、インダクタ19a及び可変容量キャパシタ18、トリミング・キャパシタ11から成るLC共振器に対し、0.1pFの容量を直列に介して結合している。発振器の出力は緩衝回路の出力から取り出される。
【0025】
以下、第一の実施形態に於ける電圧制御発振器の動作を詳細に説明する。
【0026】
図8は、素子ばらつきに起因する自動校正値の決定及び自動校正値と発振周波数情報の合成の順序を示した図である。
【0027】
電圧制御発振器10とそれを含む位相同期ループ40が起動した時点で、自動校正起動信号81が”1”になり、素子ばらつきを補償するのに最適なトリミング・キャパシタの値4ビット(自動校正値)が決定される(82)。
【0028】
自動校正の期間中、指定の発振周波数(図4の分周器に於いて設定された分周比により決まる周波数)は一定値である。例えば、図4のレジスタ45bに設定される値が4900で、基準周波数が1MHzの場合、指定される発振周波数は4900MHzとなる。
【0029】
自動校正の期間中、自動校正の値Nは、例えば、N=8(1000)→4(0100)→6(0110)→7(0111)(図5参照)のように、2進数の上位から値が確定し、最終的に全4ビットの値が確定する。
【0030】
全加算器12の出力は、電圧制御発振器の状態(自動校正前、自動校正動作中、自動校正終了後)にかかわらず、自動校正の仮値あるいは確定値と、発振周波数に対応する周波数情報を論理合成する(83)。
【0031】
図7によれば、指定の発振周波数が4860−4919MHzのとき、発振周波数情報は(00)であるため、全加算器12に対する演算は行われず、全加算器12の出力4ビットは自動校正値Nと同一である。この時、電圧制御発振器は、図9の周波数曲線92の特性を示す。
【0032】
指定の発振周波数が4800−4859MHzの範囲の場合、図7において、周波数情報が(11)であるので、全加算器12の値(自動校正値N)に1が加算されて出力され、この場合、電圧制御発振器は、図9の周波数曲線93の特性を示し、指定の発振特性を制御電圧範囲の中央部分で得ることができる。周波数曲線が曲線92から曲線93に移動する理由は、トリミング・キャパシタ11に印加される4ビットのデータが1だけ大きくなり、トリミング・キャパシタが1ビット分だけ増加することによる。
【0033】
指定の発振周波数が4920MHzの以上の場合、図7において、周波数情報が(01)であるので、全加算器12の各ビットに値”1”が入力され(すなわち”−1”が加算され)全加算器12からは自動校正値Nから1を引いた値が出力される。この場合、電圧制御発振器は、図9の周波数曲線91の特性を示すので、指定の発振特性を制御電圧範囲の中央部分で得ることができる。周波数曲線が曲線92から曲線91に移動する理由は、トリミング・キャパシタに印加される4ビットのデータが1だけ小さくなり、トリミング・キャパシタが1ビット分減少することによる。
【0034】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
(A1)デジタル信号で制御可能なトリミング・キャパシタの容量値を、自動校正値と指定された周波数情報に基づいて決定するので、トリミング・キャパシタの数を低減することが可能となる。
(A2)(A1)の効果により、それぞれのトリミング・キャパシタの浮遊容量が低減するので、容量の小さなトリミング・キャパシタを使用するLC型電圧制御発振器に於いて、周波数曲線の切り換えを再現性よく行うことが可能となる。
【0035】
(2)第2の実施形態
図10は、第2の実施形態に係る電圧制御発振器の構成を示す図である。この実施形態に於ける電圧制御発振器は、第1の実施形態における全加算器の代わりに論理合成回路110を用いている点が相違しており、その他の構成要素については、第1の実施形態の構成要素と同様である。
【0036】
図11は、論理合成回路110の詳細構成を示すブロック図であり、周波数切り換え判定機111、全加算器112、オーバーフロー防止器113、4回路から成る排他的論理和(EXOR)回路114を備えている。
【0037】
図12は、周波数曲線切りかえ判定器111の詳細を示す回路図である。自動校正起動信号en_bが有効(“0”)のとき、指定周波数に応じて、図15に示すような出力信号minus、plusを出力する。en_bが無効(“1”)のときは、minus、plusのいずれも“0”を出力する。
【0038】
図13は、論理合成回路110内部の全加算器112の構成を示す回路図であり、入力信号及びその接続関係を除き、第1の実施形態に於ける全加算器12の構成と同様の構成である。自動校正値4ビットは、入力信号trim[3:0]に入力される。周波数曲線切り換え判定器111の一方の出力信号plusは、第0の位加算器(LSB)の桁上がり入力ciに接続され、他方の出力minusは、各加算器の一方の加算入力(b)に接続される。この全加算器112の4ビット出力信号cal[3:0]は、4回路から成るEXOR回路114の一方の入力端子に接続される。最上位の加算器(MSB)の桁上がり信号coutは、オーバーフロー防止器113に接続される。
【0039】
図14は、オーバーフロー防止器113の詳細を示す回路図である。この回路は、例えば、入力信号coutが“1”で、plusが“1”の場合に、出力信号reverseが“1”、入力coutが“0”で、plusが“1”の場合に、reverseが“0”
となるように動作する。
【0040】
以下、第2の実施形態に於ける電圧制御発振器の動作を説明する。
【0041】
電源投入後の自動校正値Nの確定値が0(0000)のとき、図9の周波数曲線は最高周波数側(周波数曲線91)にある。この場合、発振周波数として4920MHz以上の周波数が指定されても、移動すべき周波数曲線が存在しないので、この実施形態の電圧制御発振器は次のように現状の周波数曲線を維持する。
【0042】
すなわち、4920MHz以上の発振周波数が指定されると、図15に示されるように、周波数曲線切り換え判定器の出力minusが“1”になる。この場合、全加算器112では、各加算器に“1”を足すので、出力はcal[3:0]=(1111)となり、桁上がり出力はcout=“0”になる。この全加算器の加算結果4ビットをトリミング・キャパシタに直接あたえると、発振周波数曲線は、N=(0000)に対応する周波数曲線91から周波数曲線93へ移動し、発振器は指定の周波数に到達しえない。
【0043】
この場合、cout=“0”、minus=”1”、plus=”0”なので、オーバーフロー防止器の出力信号reverseが“1”となり、この信号が各EXOR回路に与えられる。この時、全加算器112の出力cal[3:0]も各EXOR回路に“1”を与えるので、トリミング・キャパシタ11に供給されるデータは(0000)のままである。つまり、周波数曲線は最高周波数側にとどまる。
【0044】
自動校正の確定値Nが15(1111)のとき、周波数曲線は最低周波数側にある。この時、指定の発振周波数が4800−4859MHzの範囲になっても移動すべき低周波側曲線がないので、回路は次のように現状の周波数曲線を維持する。図15に示すように、指定の発振周波数が4800−4859MHzの範囲になったことで、周波数曲線切りかえ器の出力plusが“1”になる。全加算器112に於いては、LSB側の加算器に“1”が加算されるので、出力はcal[3:0]=(0000)、桁上がり出力はcout=“1”になる。この時、全加算器の出力データがトリミング・キャパシタに与えられると、発振周波数曲線は、最低周波数側から最高周波数側へ移動し、発振器は指定の周波数に到達しえない。
【0045】
この場合、cout=“1”、minus=”0”、plus=”1”なので、オーバーフロー防止器113は、出力信号reverseとして論理“1”の出力を各EXOR回路114に与え、また、全加算器112の出力cal[3:0]も各EXOR回路114に“0”をあたえるので、トリミング・キャパシタ11に与えられるデータは(1111)のままである。つまり、周波数曲線は最低周波数側にとどまる。
【0046】
オーバーフロー防止器113の出力が“0”のとき、つまり、指定発振周波数が4860−4919MHzの範囲にあるときか、全加算器の加算結果がオーバーフローを起こしていないときは、排他的論理和の出力は全加算器の出力に一致する。
【0047】
以上説明したように、第2の実施形態においては、以下のような効果が得られる。
(B1)素子ばらつき補償の自動校正の値Nが0または15のとき、つまり周波数曲線が最高または最低周波数側に確定したとき、周波数曲線が最高周波数側から最低周波数側へ移動することにより、所望の発振周波数が得られないという問題、或いは、周波数曲線が最低周波数側から最高周波数側へ移動することにより、所望の発振周波数が得られないという問題点が生じるが、この実施形態に於ける論理合成回路によれば、周波数曲線が最高周波数側にある場合に、周波数曲線切り換え判定器がさらに高周波側の曲線を指定しても周波数曲線は移動せず、位相同期ループで発振可能な状態を維持する。同様に、周波数曲線が最低周波数側にある場合に、周波数曲線切り換え判定器がさらに低周波側の曲線を指定しても周波数曲線は移動せず、位相同期ループで発振可能な状態を維持する。
(B2)(B1)の効果により、素子ばらつき補償の自動校正の値が0または15となる回路であっても廃棄の必要がなく、生産歩留まりが向上する。
【0048】
(3)第3の実施形態
図16は、第3の実施形態に係る電圧制御発振器の構成を示す図である。この実施形態に於ける電圧制御発振器は、第1の実施形態における全加算器の代わりに、温度計を内蔵した論理合成回路170を用いている点が相違しており、その他の構成要素については、第1の実施形態の構成要素と同様である。
【0049】
図17は、論理合成回路170の詳細構成を示すブロック図であり、周波数切り換え判定機171、第1の全加算器172、オーバーフロー防止器173、4回路から成る排他的論理和(EXOR)回路174、温度計175,第2の全加算器176,第2のオーバーフロー防止器177、4回路から成るEXOR回路178を備えている。周波数曲線切り換え判定器171、第1及び第2の全加算器172,176、第1及び第2のオーバーフロー防止器173,177の詳細構成は第2実施例に於ける対応要素の構成と同様である。
【0050】
温度計175は、例えば、図18に示すような特性を備えており、2ビットの出力信号temp[1:0]が出力され、この出力が第2の全加算器176と第2のオーバーフロー防止器177に接続されている(temp[0]については、その反転信号が接続されている)。
【0051】
図19は、この実施形態に於ける温度計の構成を示す図であり、温度に依存しない電流I1を出力する第1の電流源と、温度に依存した電流I2,I3を出力する第2、第3の電流源と、基準電圧を生成する為の抵抗値R1を有する第1の抵抗と、温度に依存する電圧を生成する為の抵抗値R2,R3を有する第2、第3の抵抗と、温度検出用の電圧比較器C1、C2を備えている。
【0052】
電圧比較器C1は、抵抗R1により生成される基準電圧(=R1×I1)と第3の抵抗により生成される温度に依存する電圧(=I3×R3)とを比較して、絶対温度が、例えば320°Kを超えた時にレベル”1”の信号temp[0]を出力する。同様に、電圧比較器C2は、抵抗R1により生成される基準電圧(=R1×I1)と第2の抵抗により生成される温度に依存する電圧(=I2×R2)とを比較して、絶対温度が、例えば350°Kを超えた時にレベル”1”の信号temp[1]を出力する。温度と出力信号との関係の一例を図18に示している。
【0053】
以下、第3の実施形態に於ける電圧制御発振器の動作を説明する。
【0054】
電源投入後の、周波数情報は周波数曲線切り換え判定器171に入力され、指定された周波数情報に応じて図15に示すような信号minus、plusが出力される。この信号は第1の全加算器172と第1のオーバーフロー防止器173に入力される。第1の全加算器172及び第1のオーバーフロー防止器173の動作は、第2の実施形態に於ける全加算器112及びオーバーフロー防止器113と同様である。
【0055】
すなわち、第1の全加算器172からは、指定された周波数情報が4800−4859MHzの場合は自動校正値Nに1が加算された値が出力され、周波数情報が4860−4919MHzの場合は自動校正値Nの値が出力され、周波数情報が4920MHz以上の場合は自動校正値Nの値から1を減算した値が出力される。
【0056】
自動校正値Nが0または15の場合は、第2の実施形態と同様に第1のオーバーフロー防止器173とEXOR回路174が動作することにより、全加算器の出力が0から15へ、あるいは15から0へ変化しないように制御される。
【0057】
第3の実施形態に於いては、EXOR回路174の出力4ビットは、第2の全加算器176の入力端子trim[3:0]に与えられる。
【0058】
温度が低温領域、例えば、290°K以下の場合、温度計175の出力temp[0](=”0”)の反転信号が、第2の全加算器176のLSB側加算器の桁上がり入力(Ci)に入力され、全加算器176の出力が1加算され、この値がEXOR回路178を介してトリミング・キャパシタ11に入力される。この場合、トリミング・キャパシタの容量値が1ビット分増加することにより、周波数曲線は低周波側に移動する。
【0059】
一般に、LC発振回路の周波数曲線は温度低下とともに高周波側に移動する。その理由は、主に、LC回路に接続しているトランジスタの接合容量が温度低下とともに減少することと、負性抵抗を構成するトランジスタの相互コンダクタンスが上昇して発信振幅が飽和する周波数が高くなることによる。従って、温度低下と共にトリミング・キャパシタの増加することにより周波数曲線の温度変動が補償されることになる。
【0060】
温度が高温領域、たとえば350°K以上になった場合、温度計175の出力temp[1]が、第2の全加算器176の各ビットの加算器入力に“1”をあたえるので(すなわち1が減算されることになるので)、トリミング・キャパシタに与えられる値が1だけ低減される。この場合、トリミング・キャパシタの容量値が1ビット分小さくなるので、周波数曲線は高周波側に移動する。LC発振回路の周波数曲線は温度上昇とともに低周波側に移動するので、トリミング・キャパシタの減少により、周波数曲線の温度変動が補償される。
【0061】
EXOR回路174の出力が(0000)の場合、周波数曲線は最高周波数側にあり(例えば、図9の曲線91で示される周波数特性)、温度が上昇しても、もはや周波数曲線を高周波側に移動することはできない。この場合、第2の全加算器176の出力を直接トリミング・キャパシタに入力すると、全加算器の出力が(1111)となっている為に電圧制御発振器の発振周波数は、最高周波数側から最低周波数側の曲線に移動するので、指定の発振周波数に到達し得ない。
【0062】
この実施形態においては、第2の全加算器176の出力を第2のオーバーフロー防止器177の入力端子coutに入力することにより第2の実施形態と同様の動作によって第2のオーバーフロー防止器177の出力が“1”になる。この結果、EXOR回路178の出力は(0000)の値を維持することになる。
【0063】
同様に、EXOR回路178の出力が(1111)の場合、周波数曲線は最低周波数側にあり(例えば、図9の曲線93でしめされる周波数特性)、温度が低下しても、もはや周波数曲線を低周波側へ移動することはできない。この場合、第2の全加算器176の出力を直接トリミング・キャパシタに入力すると、全加算器の出力が(0000)となっている為に電圧制御発振器の発振周波数は、最低周波数側の曲線から最高周波数側の曲線に移動するので、指定された発振周波数に到達し得ない。
【0064】
この実施形態においては、第2の全加算器176の出力を第2のオーバーフロー防止器177の入力端子coutに入力することにより第2の実施形態と同様の動作によって第2のオーバーフロー防止器177の出力が“1”になる。この結果、EXOR回路178の出力は(1111)の値を維持することになる。
【0065】
この実施形態では、温度計175の検出温度を290°K、320°K 、350°Kに設定したが、発振器の温度特性に応じて適切な値に定めることが可能である。検出温度は、図19の抵抗R2とR3の値を増減することにより変更する。
【0066】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、以下の効果がある。
(C1)トリミング・キャパシタの容量を、自動校正値Nと周波数情報と温度計情報に基づいて決定しており、温度補償用のトリミング・キャパシタを別途設ける必要が無いため、従来技術に比べてトリミング・キャパシタの数を低減することが出来る。
(C2)(C1)の効果により、トリミング・キャパシタのそれぞれに付随する浮遊容量が従来技術に比べ減少するので、容量の小さなLC型電圧制御発振器において、再現性の良好な周波数曲線の切りかえ機能と、素子製造ばらつきによる周波数曲線の変動を補償する機能と、発振周波数曲線の温度依存性を補償する機能の三者を実現することが可能になる。
(C3)周波数曲線が最高周波数側にある場合に、温度データにより更に高周波側の曲線が指定されても、周波数曲線は移動せず、位相同期ループで発振可能な状態を維持する。同様に、周波数曲線が最低周波数側にある場合に、温度データにより更に低周波側の曲線が指定されても周波数曲線は移動せず、位相同期ループで発振可能な状態を維持する。その結果、素子ばらつき補償の自動校正の値が0または15となる回路であっても廃棄の必要がなく、生産歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1の実施形態に係る電圧制御発振器の構成を示す図である。
【図2】従来の電圧制御発振器の構成例を示す図である。
【図3】トリミング・キャパシタの容量値を変化させることによって、周波数曲線を切り換えることが出来ることを示した図である。
【図4】この発明の電圧制御発振器44をループ内に組み込んだ位相同期ループ(PLL)の一般的構成を示す図である。
【図5】自動校正値の算出例を示した図である。
【図6】全加算器12の構成と入出力信号の関係を示した図である。
【図7】発振周波数と周波数情報との関係の一例を示す図である。
【図8】素子ばらつきに起因する自動校正値の決定及び自動校正値と発振周波数情報の合成の順序を示した図である。
【図9】電圧制御発振器の周波数特性(制御電圧対発振周波数特性)の一例を示す図である。
【図10】第2の実施形態に係る電圧制御発振器の構成を示す図である。
【図11】論理合成回路110の詳細構成を示すブロック図である。
【図12】周波数曲線切りかえ判定器111の詳細を示す回路図である。
【図13】論理合成回路110内部の全加算器112の構成を示す回路図である。
【図14】オーバーフロー防止器113の詳細を示す回路図である。
【図15】周波数曲線切りかえ判定器の入出力信号の関係の一例を示す図である。
【図16】第3の実施形態に係る電圧制御発振器の構成を示す図である。
【図17】論理合成回路170の詳細構成を示すブロック図である。
【図18】温度計175の温度特性の一例を示す図である。
【図19】温度計の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
11 トリミング・キャパシタ
11a〜11d トリミング・キャパシタを構成する各キャパシタ
12 全加算器
13 周波数情報
14 自動校正値
15a〜15d 入力端子
16 モニタ出力
17 制御端子
18 可変容量キャパシタ
19a インダクタ
19b 負性抵抗
19c 緩衝回路
110、170 論理合成回路
【技術分野】
【0001】
この発明は、電圧制御発振器、特にPLL回路において用いられる電圧制御発振器(VCO)の温度変動と素子製造バラツキによる周波数特性の補償に関する。
【背景技術】
【0002】
PLL回路において用いられる従来の電圧制御発振器としては、例えば図2に示すような発振回路20があり、この回路はインダクタ21と、そのインダクタに並列接続された、可変容量キャパシタ22、負性抵抗23等の素子から構成されている。この発振回路の発振周波数は、制御端子24の電圧を変化させて可変容量キャパシタの容量値を変化させることにより制御される。制御端子には、PLL回路の構成要素であるローパスフィルタからの出力信号が入力される。
【0003】
一般に、可変容量キャパシタ22は、pn接合容量かMOS容量で構成することができ、負性抵抗23は、例えば、正帰還ループを構成する複数のトランジスタで構成することが出来る。
【0004】
可変容量キャパシタの容量、負性抵抗の浮遊容量は、素子の製造ばらつき、素子の温度変化により変動し、その結果、発振回路の発振周波数帯域も変動する。
【0005】
図2の従来回路では、素子の製造ばらつき、素子の温度変化による発振周波数帯域の変動を補償するため、前述の可変容量キャパシタ22に、複数のトリミング・キャパシタ25a、25b及び26a〜26dを並列に接続し、温度補償用デジタル信号を入力端子27a、27bに、素子特性補償データを入力端子28a〜28dに与え、各トリミング・キャパシタの容量値を制御することにより、発振回路の発振周波数帯域が所望の範囲に入るよう調整していた。この為、素子特性補償用として4個、温度補償用として2個の合計6つのトリミング・キャパシタが必要であった。
【特許文献1】特願2004−017101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トリミング・キャパシタの最小値は無限小ではないので、トリミング・キャパシタの数が増大すると、トリミング信号(デジタル信号)に無関係な浮遊容量がLC共振器に並列に複数接続されることになり、これらの浮遊容量の合計値が、可変容量キャパシタ22の可変幅に比べて無視できない程度に増大すると周波数制御を精度良く行う上で問題が生じる。
【0007】
たとえば、発振周波数が2.5GHzの場合、LC回路の定数は、2nH、2pF程度であり、トリミング・キャパシタの浮遊容量値は1pF程度である。しかし、発振周波数が5GHzほどになると、LC回路の素子定数はそれぞれ1nH,1pF程度になり、トリミング・キャパシタの浮遊容量値が可変容量キャパシタの可変幅と同程度になる。このように、発振周波数が高くなると、トリミング・キャパシタを従来のように多数搭載することにより問題が生じる。
【0008】
図3は、トリミング・キャパシタの容量値を変化させることによって、周波数曲線を切り換えることが出来ることを示した図であり、例えば、発振回路に必要な周波数帯域が4800から5000MHzとすると、4800から4860MHzでは周波数曲線1(31)を、4860から4920MHzでは周波数曲線2(32)を、4920MHz以上では周波数曲線3(33)を選択することが出来る。この選択機能により、周波数感度は100MHz/V程度に抑制でき、発振器の位相雑音を抑制できる。発振周波数の高いLC共振器では、多くの場合、LC共振器に接続するトリミング・キャパシタは、周波数曲線の切り換えの為に使用される。
【0009】
所望の発振周波数に対して周波数曲線の切り換えを再現性よく行うことは容易ではない。何故ならば、発振器を構成する諸素子の浮遊容量・増幅率のばらつき、負性抵抗のソース・ドレイン容量の温度変動などの変動要因が存在するからであり、特に、トリミング・キャパシタの浮遊容量の影響が大きい。
【0010】
この発明の課題は、周波数曲線の切り換え機能と、素子バラツキによる周波数曲線の変動を補償する機能を両立させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、周波数曲線の切り換えのためにトリミング・キャパシタの値を指定するとき、周波数情報に素子バラツキ情報、あるいは、温度変動の補償情報を論理合成することにより周波数曲線の再現性を維持する回路を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の発振回路によれば、従来技術に比べて必要なトリミング・キャパシタの数を減少させることが出来るので、高周波LC発振回路の周波数曲線の切り換え、素子ばらつき補償、温度変動補償が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。尚、各図面は、この発明が理解できる程度に概略的に示してある。
【0014】
(1)第1の実施形態
図1は、第1の実施形態に係る電圧制御発振器の構成を示す図である。この発振回路10は、周波数曲線の切り換え用のトリミング・キャパシタ11を用いて、周波数曲線の切り換えと素子ばらつき補償とを実現する回路構成となっている。
【0015】
トリミング・キャパシタ11の容量値は、全加算器12(論理合成手段を構成する)から出力される4ビットのデータにより制御される。トリミング・キャパシタ11を構成する各キャパシタ(11a〜11d)の容量値は、2のべき乗に比例する値となっている。すなわち、第0位の容量値に比べ、第1〜3位の容量値は、2、4,8倍となっている。
【0016】
全加算器12は、周波数情報13と自動校正値14(素子バラツキ補償の適値)とを論理合成する。この自動校正値14は、前記特許文献1に記載された方法により、回路の起動時に設定される。以下、この自動校正値の決定方法について説明する。
【0017】
(S1)図4は、この発明の電圧制御発振器10をループ内に組み込んだ位相同期ループ(PLL)の一般的構成を示す図であり、ステップS1では、この位相同期ループの分周数を決定する、すなわち電圧制御回路の発振周波数を決定する。例えば、基準周波数f_refを1MHzとして4900MHzの発振周波数を得る為には、分周器45内部のレジスタ45bに、値4900を設定する。これにより、分周カウンタ45aは出力信号をクロック信号として4900までカウントすることにより分周信号を生成して比較器41に入力する。
(S2)素子ばらつき補償用の可変容量キャパシタの初期値として入力端子(15a〜15d)に制御データ(B3、B2、B1、B0)=(1000)を与える。
(S3)上記制御データの第n位のビットのデータを変更する為に最初にn=3とする。
(S4)制御データの第nビットを”1”(High:電源電圧)に設定する(n=3の場合、初期値設定によりすでに第3ビット目は”1”に設定されている)。
(S5)位相同期ループと発振器を動作させ、発振周波数が落ち着くまで(例えば、500μsec)待機する。
(S6)モニタ出力端子16の値を読み込み(図5の応答欄参照)、第nビットの確定値とする。モニタ回路は一方の入力端子(逆相入力端子)に基準電圧を入力し、他方の入力端子(正相入力端子)に、制御端子17から可変容量キャパシタ18に印加する電圧を入力したコンパレータから構成される。
(S7)nの値から1を減算する。
(S8)n>0の場合、(S4)〜(S7)の処理を繰り返す。
(S9)n=0の場合、(S8)までで決定した制御データの値を、自動校正値(4ビット)の確定値とする。
【0018】
図5は、自動校正値の算出例を示した図である。
【0019】
図6は、全加算器12の構成と入出力信号の関係を示した図であり、全加算器12は、桁上がり付きの4ビットの加算器61〜64から構成される。自動校正値4ビットのデータの各ビットは、第0位のビットが加算器61に、第1位のビットが加算器62に、第2位のビットが加算器63に、第3位のビットが加算器64に接続される。
【0020】
周波数情報は2ビットから構成され、発振周波数と周波数情報とには、図7で示されるような関係がある。すなわち、全加算器12の周波数情報Sは、周波数情報が(01)のときのみ”1”が設定され、全加算器12の周波数情報Aは、周波数情報が(11)のときのみ”1”が設定される。
【0021】
トリミング・キャパシタ11、可変容量キャパシタ18はn−MOSトランジスタからなる。トリミング・キャパシタ11は、印加電圧が0Vのとき(すなわち、(B3,B2,B1,B0)=(0,0,0,0)の時)容量最小となり、印加電圧が電源電圧に等しいとき(すなわち、(B3,B2,B1,B0)=(1,1,1,1)の時)容量最大になる。容量変化は1ビットあたり通常0.02pFであり、0.01pF〜0.03pFの範囲で変化する。トリミング・キャパシタの容量値は2のべき乗で変化し、その最大値は通常0.30pFであり、0.15pF〜0.45pFの範囲で変動する。
【0022】
可変容量キャパシタ18は、印加電圧が電源0Vのとき容量最大、印加電圧が電源電圧に等しいとき容量最小になる。この可変容量キャパシタの容量値は、例えば、0.08pFであり、この場合、0.04pF〜0.12pF程度の素子バラツキが存在する。
【0023】
インダクタ19aは、例えば、インダクタンス1nH、直列抵抗4Ωのインダクタである。
【0024】
緩衝回路19cは、インダクタ19a及び可変容量キャパシタ18、トリミング・キャパシタ11から成るLC共振器に対し、0.1pFの容量を直列に介して結合している。発振器の出力は緩衝回路の出力から取り出される。
【0025】
以下、第一の実施形態に於ける電圧制御発振器の動作を詳細に説明する。
【0026】
図8は、素子ばらつきに起因する自動校正値の決定及び自動校正値と発振周波数情報の合成の順序を示した図である。
【0027】
電圧制御発振器10とそれを含む位相同期ループ40が起動した時点で、自動校正起動信号81が”1”になり、素子ばらつきを補償するのに最適なトリミング・キャパシタの値4ビット(自動校正値)が決定される(82)。
【0028】
自動校正の期間中、指定の発振周波数(図4の分周器に於いて設定された分周比により決まる周波数)は一定値である。例えば、図4のレジスタ45bに設定される値が4900で、基準周波数が1MHzの場合、指定される発振周波数は4900MHzとなる。
【0029】
自動校正の期間中、自動校正の値Nは、例えば、N=8(1000)→4(0100)→6(0110)→7(0111)(図5参照)のように、2進数の上位から値が確定し、最終的に全4ビットの値が確定する。
【0030】
全加算器12の出力は、電圧制御発振器の状態(自動校正前、自動校正動作中、自動校正終了後)にかかわらず、自動校正の仮値あるいは確定値と、発振周波数に対応する周波数情報を論理合成する(83)。
【0031】
図7によれば、指定の発振周波数が4860−4919MHzのとき、発振周波数情報は(00)であるため、全加算器12に対する演算は行われず、全加算器12の出力4ビットは自動校正値Nと同一である。この時、電圧制御発振器は、図9の周波数曲線92の特性を示す。
【0032】
指定の発振周波数が4800−4859MHzの範囲の場合、図7において、周波数情報が(11)であるので、全加算器12の値(自動校正値N)に1が加算されて出力され、この場合、電圧制御発振器は、図9の周波数曲線93の特性を示し、指定の発振特性を制御電圧範囲の中央部分で得ることができる。周波数曲線が曲線92から曲線93に移動する理由は、トリミング・キャパシタ11に印加される4ビットのデータが1だけ大きくなり、トリミング・キャパシタが1ビット分だけ増加することによる。
【0033】
指定の発振周波数が4920MHzの以上の場合、図7において、周波数情報が(01)であるので、全加算器12の各ビットに値”1”が入力され(すなわち”−1”が加算され)全加算器12からは自動校正値Nから1を引いた値が出力される。この場合、電圧制御発振器は、図9の周波数曲線91の特性を示すので、指定の発振特性を制御電圧範囲の中央部分で得ることができる。周波数曲線が曲線92から曲線91に移動する理由は、トリミング・キャパシタに印加される4ビットのデータが1だけ小さくなり、トリミング・キャパシタが1ビット分減少することによる。
【0034】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
(A1)デジタル信号で制御可能なトリミング・キャパシタの容量値を、自動校正値と指定された周波数情報に基づいて決定するので、トリミング・キャパシタの数を低減することが可能となる。
(A2)(A1)の効果により、それぞれのトリミング・キャパシタの浮遊容量が低減するので、容量の小さなトリミング・キャパシタを使用するLC型電圧制御発振器に於いて、周波数曲線の切り換えを再現性よく行うことが可能となる。
【0035】
(2)第2の実施形態
図10は、第2の実施形態に係る電圧制御発振器の構成を示す図である。この実施形態に於ける電圧制御発振器は、第1の実施形態における全加算器の代わりに論理合成回路110を用いている点が相違しており、その他の構成要素については、第1の実施形態の構成要素と同様である。
【0036】
図11は、論理合成回路110の詳細構成を示すブロック図であり、周波数切り換え判定機111、全加算器112、オーバーフロー防止器113、4回路から成る排他的論理和(EXOR)回路114を備えている。
【0037】
図12は、周波数曲線切りかえ判定器111の詳細を示す回路図である。自動校正起動信号en_bが有効(“0”)のとき、指定周波数に応じて、図15に示すような出力信号minus、plusを出力する。en_bが無効(“1”)のときは、minus、plusのいずれも“0”を出力する。
【0038】
図13は、論理合成回路110内部の全加算器112の構成を示す回路図であり、入力信号及びその接続関係を除き、第1の実施形態に於ける全加算器12の構成と同様の構成である。自動校正値4ビットは、入力信号trim[3:0]に入力される。周波数曲線切り換え判定器111の一方の出力信号plusは、第0の位加算器(LSB)の桁上がり入力ciに接続され、他方の出力minusは、各加算器の一方の加算入力(b)に接続される。この全加算器112の4ビット出力信号cal[3:0]は、4回路から成るEXOR回路114の一方の入力端子に接続される。最上位の加算器(MSB)の桁上がり信号coutは、オーバーフロー防止器113に接続される。
【0039】
図14は、オーバーフロー防止器113の詳細を示す回路図である。この回路は、例えば、入力信号coutが“1”で、plusが“1”の場合に、出力信号reverseが“1”、入力coutが“0”で、plusが“1”の場合に、reverseが“0”
となるように動作する。
【0040】
以下、第2の実施形態に於ける電圧制御発振器の動作を説明する。
【0041】
電源投入後の自動校正値Nの確定値が0(0000)のとき、図9の周波数曲線は最高周波数側(周波数曲線91)にある。この場合、発振周波数として4920MHz以上の周波数が指定されても、移動すべき周波数曲線が存在しないので、この実施形態の電圧制御発振器は次のように現状の周波数曲線を維持する。
【0042】
すなわち、4920MHz以上の発振周波数が指定されると、図15に示されるように、周波数曲線切り換え判定器の出力minusが“1”になる。この場合、全加算器112では、各加算器に“1”を足すので、出力はcal[3:0]=(1111)となり、桁上がり出力はcout=“0”になる。この全加算器の加算結果4ビットをトリミング・キャパシタに直接あたえると、発振周波数曲線は、N=(0000)に対応する周波数曲線91から周波数曲線93へ移動し、発振器は指定の周波数に到達しえない。
【0043】
この場合、cout=“0”、minus=”1”、plus=”0”なので、オーバーフロー防止器の出力信号reverseが“1”となり、この信号が各EXOR回路に与えられる。この時、全加算器112の出力cal[3:0]も各EXOR回路に“1”を与えるので、トリミング・キャパシタ11に供給されるデータは(0000)のままである。つまり、周波数曲線は最高周波数側にとどまる。
【0044】
自動校正の確定値Nが15(1111)のとき、周波数曲線は最低周波数側にある。この時、指定の発振周波数が4800−4859MHzの範囲になっても移動すべき低周波側曲線がないので、回路は次のように現状の周波数曲線を維持する。図15に示すように、指定の発振周波数が4800−4859MHzの範囲になったことで、周波数曲線切りかえ器の出力plusが“1”になる。全加算器112に於いては、LSB側の加算器に“1”が加算されるので、出力はcal[3:0]=(0000)、桁上がり出力はcout=“1”になる。この時、全加算器の出力データがトリミング・キャパシタに与えられると、発振周波数曲線は、最低周波数側から最高周波数側へ移動し、発振器は指定の周波数に到達しえない。
【0045】
この場合、cout=“1”、minus=”0”、plus=”1”なので、オーバーフロー防止器113は、出力信号reverseとして論理“1”の出力を各EXOR回路114に与え、また、全加算器112の出力cal[3:0]も各EXOR回路114に“0”をあたえるので、トリミング・キャパシタ11に与えられるデータは(1111)のままである。つまり、周波数曲線は最低周波数側にとどまる。
【0046】
オーバーフロー防止器113の出力が“0”のとき、つまり、指定発振周波数が4860−4919MHzの範囲にあるときか、全加算器の加算結果がオーバーフローを起こしていないときは、排他的論理和の出力は全加算器の出力に一致する。
【0047】
以上説明したように、第2の実施形態においては、以下のような効果が得られる。
(B1)素子ばらつき補償の自動校正の値Nが0または15のとき、つまり周波数曲線が最高または最低周波数側に確定したとき、周波数曲線が最高周波数側から最低周波数側へ移動することにより、所望の発振周波数が得られないという問題、或いは、周波数曲線が最低周波数側から最高周波数側へ移動することにより、所望の発振周波数が得られないという問題点が生じるが、この実施形態に於ける論理合成回路によれば、周波数曲線が最高周波数側にある場合に、周波数曲線切り換え判定器がさらに高周波側の曲線を指定しても周波数曲線は移動せず、位相同期ループで発振可能な状態を維持する。同様に、周波数曲線が最低周波数側にある場合に、周波数曲線切り換え判定器がさらに低周波側の曲線を指定しても周波数曲線は移動せず、位相同期ループで発振可能な状態を維持する。
(B2)(B1)の効果により、素子ばらつき補償の自動校正の値が0または15となる回路であっても廃棄の必要がなく、生産歩留まりが向上する。
【0048】
(3)第3の実施形態
図16は、第3の実施形態に係る電圧制御発振器の構成を示す図である。この実施形態に於ける電圧制御発振器は、第1の実施形態における全加算器の代わりに、温度計を内蔵した論理合成回路170を用いている点が相違しており、その他の構成要素については、第1の実施形態の構成要素と同様である。
【0049】
図17は、論理合成回路170の詳細構成を示すブロック図であり、周波数切り換え判定機171、第1の全加算器172、オーバーフロー防止器173、4回路から成る排他的論理和(EXOR)回路174、温度計175,第2の全加算器176,第2のオーバーフロー防止器177、4回路から成るEXOR回路178を備えている。周波数曲線切り換え判定器171、第1及び第2の全加算器172,176、第1及び第2のオーバーフロー防止器173,177の詳細構成は第2実施例に於ける対応要素の構成と同様である。
【0050】
温度計175は、例えば、図18に示すような特性を備えており、2ビットの出力信号temp[1:0]が出力され、この出力が第2の全加算器176と第2のオーバーフロー防止器177に接続されている(temp[0]については、その反転信号が接続されている)。
【0051】
図19は、この実施形態に於ける温度計の構成を示す図であり、温度に依存しない電流I1を出力する第1の電流源と、温度に依存した電流I2,I3を出力する第2、第3の電流源と、基準電圧を生成する為の抵抗値R1を有する第1の抵抗と、温度に依存する電圧を生成する為の抵抗値R2,R3を有する第2、第3の抵抗と、温度検出用の電圧比較器C1、C2を備えている。
【0052】
電圧比較器C1は、抵抗R1により生成される基準電圧(=R1×I1)と第3の抵抗により生成される温度に依存する電圧(=I3×R3)とを比較して、絶対温度が、例えば320°Kを超えた時にレベル”1”の信号temp[0]を出力する。同様に、電圧比較器C2は、抵抗R1により生成される基準電圧(=R1×I1)と第2の抵抗により生成される温度に依存する電圧(=I2×R2)とを比較して、絶対温度が、例えば350°Kを超えた時にレベル”1”の信号temp[1]を出力する。温度と出力信号との関係の一例を図18に示している。
【0053】
以下、第3の実施形態に於ける電圧制御発振器の動作を説明する。
【0054】
電源投入後の、周波数情報は周波数曲線切り換え判定器171に入力され、指定された周波数情報に応じて図15に示すような信号minus、plusが出力される。この信号は第1の全加算器172と第1のオーバーフロー防止器173に入力される。第1の全加算器172及び第1のオーバーフロー防止器173の動作は、第2の実施形態に於ける全加算器112及びオーバーフロー防止器113と同様である。
【0055】
すなわち、第1の全加算器172からは、指定された周波数情報が4800−4859MHzの場合は自動校正値Nに1が加算された値が出力され、周波数情報が4860−4919MHzの場合は自動校正値Nの値が出力され、周波数情報が4920MHz以上の場合は自動校正値Nの値から1を減算した値が出力される。
【0056】
自動校正値Nが0または15の場合は、第2の実施形態と同様に第1のオーバーフロー防止器173とEXOR回路174が動作することにより、全加算器の出力が0から15へ、あるいは15から0へ変化しないように制御される。
【0057】
第3の実施形態に於いては、EXOR回路174の出力4ビットは、第2の全加算器176の入力端子trim[3:0]に与えられる。
【0058】
温度が低温領域、例えば、290°K以下の場合、温度計175の出力temp[0](=”0”)の反転信号が、第2の全加算器176のLSB側加算器の桁上がり入力(Ci)に入力され、全加算器176の出力が1加算され、この値がEXOR回路178を介してトリミング・キャパシタ11に入力される。この場合、トリミング・キャパシタの容量値が1ビット分増加することにより、周波数曲線は低周波側に移動する。
【0059】
一般に、LC発振回路の周波数曲線は温度低下とともに高周波側に移動する。その理由は、主に、LC回路に接続しているトランジスタの接合容量が温度低下とともに減少することと、負性抵抗を構成するトランジスタの相互コンダクタンスが上昇して発信振幅が飽和する周波数が高くなることによる。従って、温度低下と共にトリミング・キャパシタの増加することにより周波数曲線の温度変動が補償されることになる。
【0060】
温度が高温領域、たとえば350°K以上になった場合、温度計175の出力temp[1]が、第2の全加算器176の各ビットの加算器入力に“1”をあたえるので(すなわち1が減算されることになるので)、トリミング・キャパシタに与えられる値が1だけ低減される。この場合、トリミング・キャパシタの容量値が1ビット分小さくなるので、周波数曲線は高周波側に移動する。LC発振回路の周波数曲線は温度上昇とともに低周波側に移動するので、トリミング・キャパシタの減少により、周波数曲線の温度変動が補償される。
【0061】
EXOR回路174の出力が(0000)の場合、周波数曲線は最高周波数側にあり(例えば、図9の曲線91で示される周波数特性)、温度が上昇しても、もはや周波数曲線を高周波側に移動することはできない。この場合、第2の全加算器176の出力を直接トリミング・キャパシタに入力すると、全加算器の出力が(1111)となっている為に電圧制御発振器の発振周波数は、最高周波数側から最低周波数側の曲線に移動するので、指定の発振周波数に到達し得ない。
【0062】
この実施形態においては、第2の全加算器176の出力を第2のオーバーフロー防止器177の入力端子coutに入力することにより第2の実施形態と同様の動作によって第2のオーバーフロー防止器177の出力が“1”になる。この結果、EXOR回路178の出力は(0000)の値を維持することになる。
【0063】
同様に、EXOR回路178の出力が(1111)の場合、周波数曲線は最低周波数側にあり(例えば、図9の曲線93でしめされる周波数特性)、温度が低下しても、もはや周波数曲線を低周波側へ移動することはできない。この場合、第2の全加算器176の出力を直接トリミング・キャパシタに入力すると、全加算器の出力が(0000)となっている為に電圧制御発振器の発振周波数は、最低周波数側の曲線から最高周波数側の曲線に移動するので、指定された発振周波数に到達し得ない。
【0064】
この実施形態においては、第2の全加算器176の出力を第2のオーバーフロー防止器177の入力端子coutに入力することにより第2の実施形態と同様の動作によって第2のオーバーフロー防止器177の出力が“1”になる。この結果、EXOR回路178の出力は(1111)の値を維持することになる。
【0065】
この実施形態では、温度計175の検出温度を290°K、320°K 、350°Kに設定したが、発振器の温度特性に応じて適切な値に定めることが可能である。検出温度は、図19の抵抗R2とR3の値を増減することにより変更する。
【0066】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、以下の効果がある。
(C1)トリミング・キャパシタの容量を、自動校正値Nと周波数情報と温度計情報に基づいて決定しており、温度補償用のトリミング・キャパシタを別途設ける必要が無いため、従来技術に比べてトリミング・キャパシタの数を低減することが出来る。
(C2)(C1)の効果により、トリミング・キャパシタのそれぞれに付随する浮遊容量が従来技術に比べ減少するので、容量の小さなLC型電圧制御発振器において、再現性の良好な周波数曲線の切りかえ機能と、素子製造ばらつきによる周波数曲線の変動を補償する機能と、発振周波数曲線の温度依存性を補償する機能の三者を実現することが可能になる。
(C3)周波数曲線が最高周波数側にある場合に、温度データにより更に高周波側の曲線が指定されても、周波数曲線は移動せず、位相同期ループで発振可能な状態を維持する。同様に、周波数曲線が最低周波数側にある場合に、温度データにより更に低周波側の曲線が指定されても周波数曲線は移動せず、位相同期ループで発振可能な状態を維持する。その結果、素子ばらつき補償の自動校正の値が0または15となる回路であっても廃棄の必要がなく、生産歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1の実施形態に係る電圧制御発振器の構成を示す図である。
【図2】従来の電圧制御発振器の構成例を示す図である。
【図3】トリミング・キャパシタの容量値を変化させることによって、周波数曲線を切り換えることが出来ることを示した図である。
【図4】この発明の電圧制御発振器44をループ内に組み込んだ位相同期ループ(PLL)の一般的構成を示す図である。
【図5】自動校正値の算出例を示した図である。
【図6】全加算器12の構成と入出力信号の関係を示した図である。
【図7】発振周波数と周波数情報との関係の一例を示す図である。
【図8】素子ばらつきに起因する自動校正値の決定及び自動校正値と発振周波数情報の合成の順序を示した図である。
【図9】電圧制御発振器の周波数特性(制御電圧対発振周波数特性)の一例を示す図である。
【図10】第2の実施形態に係る電圧制御発振器の構成を示す図である。
【図11】論理合成回路110の詳細構成を示すブロック図である。
【図12】周波数曲線切りかえ判定器111の詳細を示す回路図である。
【図13】論理合成回路110内部の全加算器112の構成を示す回路図である。
【図14】オーバーフロー防止器113の詳細を示す回路図である。
【図15】周波数曲線切りかえ判定器の入出力信号の関係の一例を示す図である。
【図16】第3の実施形態に係る電圧制御発振器の構成を示す図である。
【図17】論理合成回路170の詳細構成を示すブロック図である。
【図18】温度計175の温度特性の一例を示す図である。
【図19】温度計の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
11 トリミング・キャパシタ
11a〜11d トリミング・キャパシタを構成する各キャパシタ
12 全加算器
13 周波数情報
14 自動校正値
15a〜15d 入力端子
16 モニタ出力
17 制御端子
18 可変容量キャパシタ
19a インダクタ
19b 負性抵抗
19c 緩衝回路
110、170 論理合成回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負性抵抗素子とインダクタ素子と外部から与えられる第一電圧により容量が変化する第一のキャパシタと制御電圧により容量が変化する複数のキャパシタからから成る第二のキャパシタを備える共振回路と、
周波数情報と自動校正値に基づいて出力が確定する論理合成手段と、
を備え、
前記第二のキャパシタの容量値を前記論理合成手段の出力に基づく制御電圧により可変としたことを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項2】
前記論理合成手段は、前記周波数情報に基づいて前記自動校正値を加算或いは減算する演算手段であり、当該演算結果が所定値の時には当該演算結果値を演算前の値に戻す手段であることを特徴とする請求項1記載の電圧制御発振器。
【請求項3】
前記論理合成手段は、自動校正値を周波数情報と温度情報とに基づいて加算或いは減算する演算手段であり、当該演算結果が所定値の時には当該演算結果値を演算前の値に戻す手段であることを特徴とする請求項1記載の電圧制御発振器。
【請求項4】
前記自動校正値は、Mビットから成るデータであり、当該電圧制御発振器をPLL回路のVCOとして使用した場合に、前記第一のキャパシタの制御端子に印加された電圧と基準電圧との比較結果に基づいて、ビット毎に逐次的に決定される値であることを特徴とする請求項1記載の電圧制御発振器。
【請求項5】
前記周波数情報は、PLL回路を構成する分周回路の分周比と基準周波数とに基づいて外部から指定可能な情報であり、該情報により、制御周波数領域が異なる少なくとも三つの周波数特性曲線を識別出来る情報であることを特徴とする請求項1記載の電圧制御発振器。
【請求項6】
負性抵抗素子とインダクタ素子と外部から与えられる第一電圧により容量が変化する第一のキャパシタと制御電圧により容量が変化する複数のキャパシタからから成る第二のキャパシタを備える共振回路を備えた電圧制御発振器の発振周波数調整方法であって、
外部から指定された周波数情報に基づいて自動校正値を補正する第一のステップと、
該補正された値が所定の値と異なる時にはその値をそのまま出力し、該補正された値が所定値となる時には補正値を元の値に戻す第二のステップと、
前記第二のステップの結果として得られた前記補正値に基づいて、前記制御電圧を生成する第三のステップと
を備えたことを特徴とする発振周波数調整方法。
【請求項7】
負性抵抗素子とインダクタ素子と外部から与えられる第一電圧により容量が変化する第一のキャパシタと制御電圧により容量が変化する複数のキャパシタからから成る第二のキャパシタを備える共振回路を備えた電圧制御発振器の発振周波数調整方法であって、
外部から指定された周波数情報と検出された温度情報とに基づいて自動校正値を補正する第一のステップと、
該補正された値が所定の値と異なる時にはその値をそのまま出力し、該補正された値が所定値となる時には補正値を元の値に戻す第二のステップと、
前記第二のステップの結果として得られた前記補正値に基づいて、前記制御電圧を生成する第三のステップと
を備えたことを特徴とする発振周波数調整方法。
【請求項8】
前記自動校正値は、Mビットから成るデータであり、当該電圧制御発振器をPLL回路のVCOとして使用した場合に、前記第一のキャパシタの制御端子に印加された電圧と基準電圧との比較結果に基づいて、最上位ビットから逐次的に決定される値であることを特徴とする請求項6,7のいずれか1項記載の発振周波数調整方法。
【請求項9】
前記周波数情報は、PLL回路を構成する分周回路の分周比と基準周波数とに基づいて外部から指定可能な情報であり、該情報により、制御周波数領域が異なる少なくとも三つの周波数特性曲線を識別出来る情報であることを特徴とする請求項6,7のいずれか1項記載の発振周波数調整方法。
【請求項1】
負性抵抗素子とインダクタ素子と外部から与えられる第一電圧により容量が変化する第一のキャパシタと制御電圧により容量が変化する複数のキャパシタからから成る第二のキャパシタを備える共振回路と、
周波数情報と自動校正値に基づいて出力が確定する論理合成手段と、
を備え、
前記第二のキャパシタの容量値を前記論理合成手段の出力に基づく制御電圧により可変としたことを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項2】
前記論理合成手段は、前記周波数情報に基づいて前記自動校正値を加算或いは減算する演算手段であり、当該演算結果が所定値の時には当該演算結果値を演算前の値に戻す手段であることを特徴とする請求項1記載の電圧制御発振器。
【請求項3】
前記論理合成手段は、自動校正値を周波数情報と温度情報とに基づいて加算或いは減算する演算手段であり、当該演算結果が所定値の時には当該演算結果値を演算前の値に戻す手段であることを特徴とする請求項1記載の電圧制御発振器。
【請求項4】
前記自動校正値は、Mビットから成るデータであり、当該電圧制御発振器をPLL回路のVCOとして使用した場合に、前記第一のキャパシタの制御端子に印加された電圧と基準電圧との比較結果に基づいて、ビット毎に逐次的に決定される値であることを特徴とする請求項1記載の電圧制御発振器。
【請求項5】
前記周波数情報は、PLL回路を構成する分周回路の分周比と基準周波数とに基づいて外部から指定可能な情報であり、該情報により、制御周波数領域が異なる少なくとも三つの周波数特性曲線を識別出来る情報であることを特徴とする請求項1記載の電圧制御発振器。
【請求項6】
負性抵抗素子とインダクタ素子と外部から与えられる第一電圧により容量が変化する第一のキャパシタと制御電圧により容量が変化する複数のキャパシタからから成る第二のキャパシタを備える共振回路を備えた電圧制御発振器の発振周波数調整方法であって、
外部から指定された周波数情報に基づいて自動校正値を補正する第一のステップと、
該補正された値が所定の値と異なる時にはその値をそのまま出力し、該補正された値が所定値となる時には補正値を元の値に戻す第二のステップと、
前記第二のステップの結果として得られた前記補正値に基づいて、前記制御電圧を生成する第三のステップと
を備えたことを特徴とする発振周波数調整方法。
【請求項7】
負性抵抗素子とインダクタ素子と外部から与えられる第一電圧により容量が変化する第一のキャパシタと制御電圧により容量が変化する複数のキャパシタからから成る第二のキャパシタを備える共振回路を備えた電圧制御発振器の発振周波数調整方法であって、
外部から指定された周波数情報と検出された温度情報とに基づいて自動校正値を補正する第一のステップと、
該補正された値が所定の値と異なる時にはその値をそのまま出力し、該補正された値が所定値となる時には補正値を元の値に戻す第二のステップと、
前記第二のステップの結果として得られた前記補正値に基づいて、前記制御電圧を生成する第三のステップと
を備えたことを特徴とする発振周波数調整方法。
【請求項8】
前記自動校正値は、Mビットから成るデータであり、当該電圧制御発振器をPLL回路のVCOとして使用した場合に、前記第一のキャパシタの制御端子に印加された電圧と基準電圧との比較結果に基づいて、最上位ビットから逐次的に決定される値であることを特徴とする請求項6,7のいずれか1項記載の発振周波数調整方法。
【請求項9】
前記周波数情報は、PLL回路を構成する分周回路の分周比と基準周波数とに基づいて外部から指定可能な情報であり、該情報により、制御周波数領域が異なる少なくとも三つの周波数特性曲線を識別出来る情報であることを特徴とする請求項6,7のいずれか1項記載の発振周波数調整方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−135892(P2006−135892A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325385(P2004−325385)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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