説明

電子デバイス又は他の部品上のコーティングに使用するハイブリッド層

表面上にコーティングを形成する方法が開示される。この方法が、ポリマー材料と非−ポリマー材料との混合物を含むハイブリッド層を表面上に堆積する段階を含む。ハイブリッド層が、単相を有してよく、または多相を含んでもよい。ハイブリッド層が、単一源の前駆体物質を使用した化学気相成長法によって形成される。化学気相成長法プロセスが、プラズマ助長型であってよく、反応ガスを使用して行われてもよい。前駆体物質が、シロキサンのような有機−シリコン化合物でよい。ハイブリッド層が、シリコーンポリマーのような様々な種類のポリマー材料、及び酸化シリコンのような様々な種類の非−ポリマー材料を含んでよい。反応条件を変えることにより、ポリマー材料と非−ポリマー材料とのwt%比が調整されてよい。ハイブリッド層が、光透過性、不浸透性、及び/又は柔軟性のような、有機発光デバイスへの使用に適した様々な特性を有してよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス用のバリアコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光デバイス(OLEDs)のような有機電子デバイスは、水蒸気又は酸素に暴露された場合、劣化しやすい。OLEDの水蒸気又は酸素への暴露を減らすためにOLEDを覆う保護バリアは、デバイスの寿命及び性能を改善するのに役立つ。食品包装にうまく使用されてきた酸化シリコン、窒化シリコン又は酸化アルミニウムの膜が、OLEDsに対する保護コーティングとして使用されると考えられている。しかしながら、これらの無機膜は、膜を介した水蒸気及び酸素の多少の拡散を許容する微視的欠陥を含む傾向がある。ある場合には、この欠陥が、脆性薄膜内においてクラックとして開裂する。この水蒸気又は酸素のレベルは、食品に対しては許容しうるものであるが、OLEDsに対しては許容されない。これらの問題に対処するために、無機物及びポリマーを交互に使用する多層保護コーティングが、OLEDsに対して試験され、水蒸気及び酸素浸入に対する耐性が改善されることが分かっている。しかしながら、これらの多層コーティングは、複雑さ及びコストに関する欠点を有する。従って、OLEDsの保護に使用するのに適した保護コーティングを形成する他の方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6597111号明細書
【特許文献2】米国特許第7187119号明細書
【特許文献3】米国特許第7002294号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本発明が、表面を覆うコーティングを形成する方法を提供し、前駆体物質の原料を提供する段階;、コーティングされる表面に近接する反応位置に前駆体物質を運ぶ段階;、及び前駆体物質の原料を使用する化学気相成長法によって、表面上にハイブリッド層を堆積する段階;を備え、このハイブリッド層が、ポリマー材料と非−ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料と非−ポリマー材料との重量比が、95:5から5:95の範囲であり、ポリマー材料及び非−ポリマー材料が、前駆体物質の同一の原料から形成される。
【0005】
他の態様において、本発明が、表面上に多層コーティングを形成する方法を提供し、前駆体物質の原料を提供する段階;、コーティングされる表面に近接する反応位置に前駆体物質を運ぶ段階;、及び前駆体物質の原料を使用する化学気相成長法によって、表面上に複数のハイブリッド層を堆積する段階;を備え、それぞれのハイブリッド層が、独立して、ポリマー材料と非−ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料と非−ポリマー材料との重量比が、95:5から5:95の範囲であり、ポリマー材料及び非−ポリマー材料が、前駆体物質の同一の原料から形成される。
【0006】
他の態様において、本発明が、コーティングが堆積される表面との改善された界面凝集(interfacial cohesion)を有するコーティングを形成する方法を提供し、表面を有する基板を提供する段階;、コーティングされる表面を前処理する段階;、前駆体物質の原料を提供する段階;、前処理された表面に近接する反応位置に前駆体物質を運ぶ段階;、及び前駆体物質の原料を使用した化学気相成長法によって、表面上にハイブリッド層を堆積する段階;を備え、ハイブリッド層が、ポリマー材料と非−ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料と非−ポリマー材料との重量比が、95:5から5:95の範囲であり、ポリマー材料及び非−ポリマー材料が、前駆体物質の同一の原料から形成される。
【0007】
他の態様において、本発明が、電子デバイスに対する基礎部(foundation)として機能する表面上に堆積された電子デバイスを保護する方法を提供し、(a)前駆体物質の原料を提供する段階;(b)コーティングされる電子デバイスに近接する反応位置に前駆体物質を運ぶ段階;、及び(c)前駆体物質の原料を使用した化学気相成長法によって、電子デバイス上にハイブリッド層を堆積する段階;を含む電子デバイス上にコーティングを形成する段階を備え、ハイブリッド層が、ポリマー材料と非−ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料と非−ポリマー材料との重量比が、95:5から5:95の範囲であり、ポリマー材料及び非−ポリマー材料が、前駆体物質の同一の原料から形成される。
【0008】
他の態様において、本発明が、表面上に形成されたコーティングの特性を制御する方法を提供し、前駆体物質の原料を提供する段階;、コーティングされる表面に近接する反応位置に前駆体物質を運ぶ段階;、前駆体物質の原料を使用した化学気相成長法によって、表面上にハイブリッド層を堆積する段階であって、ハイブリッド層が、ポリマー材料と非−ポリマー材料との混合物を含み、ポリマー材料と非−ポリマー材料との重量比が、95:5から5:95の範囲であり、ポリマー材料及び非−ポリマー材料が、前駆体物質の同一の原料から形成される段階;、及びハイブリッド層が堆積される条件を制御する段階を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の特定の実施形態に使用されることが可能なPE−CVD装置の概略図を示す。
【図2】ある実施形態によるハイブリッド層の光の透過スペクトルを示す。
【図3】膜上の水滴の接触角の測定方法を示す。
【図4】様々なO/HMDSOガス流量比下で形成された数個のハイブリッド層の接触角のプロットを示す。
【図5】PE−CVDプロセス間において様々な出力レベルの適応下で形成された数個のハイブリッド層の接触角のプロットを示す。
【図6】純SiO(熱酸化物)又は純高分子の膜と比較した、相対的に高いO流量及び相対的に低いO流量を使用して形成されたハイブリッド層の赤外吸収スペクトルを示す。
【図7】純SiO膜の硬度と比較した、様々なO/HMDSOガス流量比下で形成された様々なハイブリッド層のナノインデンテーション硬度のプロットを示す。
【図8】様々なO/HMDSOガス流量比下で形成された数個のハイブリッド層の表面粗度のプロットを示す。
【図9】様々な出力レベル下で形成された数個のハイブリッド層の表面粗度のプロットを示す。
【図10A】50μmの厚さのKaptonポリイミド箔に堆積された4μmのハイブリッド層の表面の光学顕微鏡写真を示す。
【図10B】50μmの厚さのKaptonポリイミド箔に堆積された4μmのハイブリッド層の表面の光学顕微鏡写真を示す。
【図11】ある実施形態によるカプセル化されたOLEDの一部の断面図を示す。
【図12】バリアコーティングを備えた完成したOLEDsの加速環境試験の結果を示す。
【図13】他の実施形態によるカプセル化されたOLEDを示す。
【図14】他の実施形態によるハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図15】他の実施形態によるカプセル化されたOLEDを示す。
【図16】他の実施形態によるハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図17】Aは、ある条件下で堆積されたハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真を示し、Bは、他の条件下で堆積されたハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図18】ポリイミド基板とそれ上に堆積された様々なハイブリッド層との間の不整合歪み(strain mismatch)のプロットを示す。
【図19】他の実施形態によるカプセル化されたOLEDを示す。
【図20】他の実施形態によるカプセル化されたOLEDを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一態様において、本発明が、表面上にコーティングを形成する方法を提供する。本方法が、ポリマー材料と非−ポリマー材料との混合物を備えたハイブリッド層を、表面上に堆積する段階を含む。ハイブリッド層が、単相又は多相を備えてよい。
【0011】
本願明細書において使用される“非−ポリマー”という用語は、明確な1つの化学式、明確な分子量を有する分子から形成された材料を示す。“非−ポリマー”分子が、著しく大きな分子量を有することが可能である。ある状況下では、非−ポリマー分子が、繰り返しユニットを含んでよい。本願明細書において使用される“ポリマー”という用語は、共有結合している繰り返しサブユニットを有する分子から形成された材料であり、及び、重合反応がそれぞれの分子に対して異なる数の繰り返しユニットをもたらすことにより分子毎に異なる分子量を有する分子から形成された材料を示す。ポリマーが、制限されるものではないが、ブロック、グラフト、ランダム又は交互コポリマー、並びにそれらの混合物及び改質物のようなコポリマー及びホモポリマーを含む。ポリマーが、制限されるものではないが、炭素又はシリコンのポリマーを含む。
【0012】
本願明細書において使用される“ポリマー材料と非−ポリマー材料との混合物”は、当業者が、純ポリマーと純非−ポリマーのどちらでもないと理解する組成を示す。“混合物”という用語は、(例えば、もちろんポリマー材料の隙間に存在しうる)付随的な量の非−ポリマー材料を含むポリマー材料であるが、当業者が、それでもなお、純ポリマーと考えうるいずれのポリマー材料を除外することを意図したものである。同様に、これは、付随的な量のポリマー材料を含む非−ポリマー材料であるが、当業者が、それでもなお、純非−ポリマーと考えうるいずれの非−ポリマー材料を除外することを意図したものである。ある場合には、ハイブリッド層におけるポリマーと非ポリマー材料との重量比が、95:5から5:95の範囲であり、好ましくは、90:10から10:90の範囲であり、さらに好ましくは、25:75から10:90の範囲である。
【0013】
層のポリマー/非−ポリマー組成が、水滴のぬれ接触角、IR吸収、硬度、及び柔軟性を含む様々な技術を使用して決定される。場合によっては、ハイブリッド層が、30°から85°の範囲のぬれ接触角を有し、好ましくは、30°から60°の範囲であり、さらに好ましくは、36°から60°の範囲である。成膜されたまま(as−deposited)の膜の表面で決定された場合、ぬれ接触角は、組成の尺度であることに留意すべきである。なぜならば、ぬれ接触角は、成膜後(post−deposition)の処理によって大きく変化することが可能であるためであり、このような処理の後の測定は、層の組成を正確に示さない場合もある。これらのぬれ接触角が、有機シリコン前駆体から形成された層の広範囲に適用できると考えられている。場合によっては、ハイブリッド層が、3から20GPaの範囲の、好ましくは10から18GPaの範囲のナノインデンテーション硬度を有する。場合によっては、ハイブリッド層が、0.1nmから10nmの範囲の、好ましくは0.2nmから0.35nmの範囲の表面粗度(二乗平均平方根)を有する。ハイブリッド層が50μmの厚さのポリイミド箔基板上に4μmの厚さの層として堆積された場合、ハイブリッド層は、0.2%の引っ張り歪み(ε)における直径1インチのロール(roll)での少なくとも55,000のローリングサイクル(rolling cycle)の後において、微細構造に関する変化が観察されない十分な柔軟性を有する。ある場合には、ハイブリッド層が、少なくとも0.35%の引っ張り歪み(ε)(当業者が、通常、4μmの純酸化シリコン層にクラックを生じうると考える引っ張り歪みレベル)
下においてクラックが現われない十分な柔軟性を有する。
【0014】
“混合物”という用語は、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含むことが意図される。従って、“混合物”は、順次に、ポリマーと非−ポリマー層が交互に堆積したものを含まない。言い換えれば、“混合物”においては、層が、同じ反応条件下及び/又は同時に堆積されるべきであると考えられる。
【0015】
ハイブリッド層が、単一源の前駆体物質を使用した化学気相成長法によって形成される。前駆体物質が、反応ガスと共に又は反応ガスなしでCVDによって堆積される場合、本願明細書において使用される“単一源の前駆体物質”は、ポリマーと非−ポリマー材料の両方を形成するために必要である全ての前駆体物質を提供する原料を示す。ポリマー材料が、ある前駆体物質を使用して形成され、非−ポリマー材料が、異なる前駆体物質を使用して形成される方法を除外することを意味する。単一源の前駆体物質を使用することにより、堆積プロセスが、簡易化される。例えば、単一源の前駆体物質が、前駆体物質の流れを分離する必要性、及び分離した流れを提供し制御するという付随する必要性を取り除く。
【0016】
前駆体物質が、単一の化合物又は化合物の混合物であってよい。前駆体物質が、化合物の混合物である場合、混合物におけるそれぞれの異なる化合物は、それだけで、単独で、前駆体物質として機能することが可能である。例えば、前駆体物質が、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)とジメチルシロキサン(DMSO)の混合物であってよい。
【0017】
場合によっては、ハイブリッド層の堆積のために、プラズマCVD(PE−CVD)が使用されてよい。PE−CVDが、低温堆積、均一なコーティングの形成、及び制御可能なプロセスパラメータを含む様々な理由のために好ましい。プラズマを生成するためにRFエネルギーを使用するプロセスを含む、本発明において使用されるために適した様々なPE−CVDプロセスが、当技術分野において知られている。
【0018】
前駆体物質は、化学気相成長法によって堆積された場合に、ポリマー材料と非−ポリマー材料の両方を形成することが可能な材料である。様々なこのような前駆体物質が、本発明における使用に適しており、それらの様々な特徴によって選択される。例えば、前駆体物質は、化学元素のその内容、化学元素の化学量論比、及び/又はCVD下で形成されるポリマーと非−ポリマー材料によって選択されてよい。例えば、シロキサンのような有機−シリコン化合物は、前駆体物質としての使用に適した化合物の類である。シロキサン化合物の代表例には、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)及びジメチルシロキサン(DMSO)が含まれる。CVDによって堆積される場合、これらのシロキサン化合物が、シリコーンポリマーのようなポリマー材料、及び酸化シリコンのような非−ポリマー材料を形成することが可能である。前駆体物質が、コスト、非毒性、取扱適正、室温において液相を維持する能力、揮発度、分子量等のような様々な他の特徴により選択されてもよい。
【0019】
前駆体物質としての使用に適した他の有機−シリコン化合物が、メチルシラン;ジメチルシラン;ビニルトリメチルシラン;トリメチルシラン;テトラメチルシラン;エチルシラン;ジシラノメタン;ビス(メチルシラノ)メタン;1,2−ジシラノエタン;1,2−ビス(メチルシラノ)エタン;2,2−ジシラノプロパン;1,3,5−トリシラノ−2,4,6−トリメチレン、及びこれらの化合物のフッ素化誘導体を含む。前駆体物質としての使用に適したフェニル基−含有の有機−シリコン化合物が、ジメチルフェニルシラン及びジフェニルメチルシランを含む。前駆体物質としての使用に適した酸素−含有の有機−シリコン化合物が、ジメチルジメトキシシラン;1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン;1,3−ジメチルジシロキサン;1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン;1,3−ビス(シラノメチレン)ジシロキサン;ビス(1−メチルジシロキサニル)メタン;2,2−ビス(1−メチルジシロキサニル)プロパン;2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン;2,4,6,8,10−ペンタメチルシクロペンタシロキサン;1,3,5,7−テトラシラノ−2,6−ジオキシ−4,8−ジメチレン;ヘキサメチルシクロトリシロキサン;1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン;ヘキサメトキシジシロキサン、及びこれらの化合物のフッ素化誘導体を含む。前駆体物質としての使用に適した窒素−含有の有機−シリコン化合物が、ヘキサメチルジシラザン;ジビニルテトラメチルジシラザン;ヘキサメチルシクロトリシラザン;ジメチルビス(N−メチルアセトアミド)シラン;ジメチルビス−(N−エチルアセトアミド)シラン;メチルビニルビス(N−メチルアセトアミド)シラン;メチルビニルビス(N−ブチルアセトアミド)シラン;メチルトリス(N−フェニルアセトアミド)シラン;ビニルトリス(N−エチルアセトアミド)シラン;テトラキス(N−メチルアセトアミド)シラン;ジフェニルビス(ジエチルアミノキシ)シラン;メチルトリス(ジエチルアミノキシ)シラン;及びビス(トリメチルシリル)カルボジイミドを含む。
【0020】
CVDによって堆積された場合、前駆体物質が、前駆体物質の種類、いずれの反応ガスの存在、及び他の反応条件によって決まる様々な量の様々な種類のポリマー材料を形成しうる。ポリマー材料が、無機又は有機であってよい。例えば、前駆体物質として有機−シリコン化合物が使用される場合、堆積されたハイブリッド層が、ポリシロキサン、ポリカルボシラン、ポリシラン、及び有機ポリマーを形成するためのSi−O結合、Si−C結合、又はSi−O−C結合のポリマー鎖を含みうる。
【0021】
CVDによって堆積された場合、前駆体物質が、前駆体物質の種類、いずれの反応ガスの存在、及び他の反応条件によって決まる様々な量の様々な種類の非−ポリマー材料を形成しうる。非−ポリマー材料が、無機又は有機であってよい。例えば、酸素−含有反応ガスと組み合わせて、前駆体物質として有機−シリコン化合物が使用される場合、非−ポリマー材料が、SiO、SiO及び混合原子価酸化物SiOのような酸化シリコンを含んでよい。窒素−含有反応ガスと共に堆積された場合、非−ポリマー材料が、窒化シリコン(SiN)を含んでよい。形成されうる他の非−ポリマー材料が、シリコンオキシカーバイド及び酸窒化シリコンを含んでよい。
【0022】
PE−CVDを使用した場合、前駆体物質が、PE−CVDプロセスにおいて前駆体物質と反応する反応ガスとともに使用されてよい。PE−CVDにおける反応ガスの使用は、当技術分野において周知であり、様々な反応ガスが、本発明における使用に適しており、酸素−含有ガス(例えば、O、オゾン、水)及び窒素−含有ガス(例えば、アンモニア)を含む。反応混合物に存在する化学元素の化学量論比を変化させるために、反応ガスが使用されてよい。例えば、シロキサン前駆体物質が、酸素又は窒素−含有反応ガスと共に使用された場合、反応ガスが、反応混合物における炭素及びシリコンに関して、酸素又は窒素の化学量論比を変化させる。反応混合物における様々な化学元素(例えば、シリコン、炭素、酸素、窒素)間の化学量論の関係が、いくつかの方法で変化しうる。1つの方法は、反応における反応ガス又は前駆体物質の濃度を変化させることである。他の方法は、反応における反応ガス又は前駆体物質の流量を変化させることである。他の方法は、反応において使用される反応ガス又は前駆体物質の種類を変えることである。
【0023】
反応混合物における元素の化学量論比の変化が、堆積されたハイブリッド層におけるポリマー及び非−ポリマー材料の相対的な量及び特性に影響を及ぼす。例えば、ハイブリッド層におけるポリマー材料に対する非−ポリマー材料の量を調整するために、シロキサンガスが、様々な量の酸素と組み合わせられる。シリコン又は炭素に関する酸素の化学量論比を増加させることによって、酸化シリコンのような非−ポリマー材料の量が、増加しうる。同様に、酸素の化学量論比を減らすことによって、シリコン及び炭素−含有ポリマー材料の量が増加しうる。また、ハイブリッド層の組成が、他の反応条件を調整することによって変化しうる。例えば、PE−CVDの場合、RF出力及び周波数、堆積圧、堆積時間、並びにガス流量のようなプロセスパラメータを変化させることが可能である。
【0024】
従って、本発明の方法を使用することにより、ハイブリッドポリマー/非−ポリマー特性のハイブリッド層を形成することが可能であり、様々な用途における使用に適した特性を有する。このような特性が、光透過性(例えば、ある場合では、ハイブリッド層が光学的に透明である)、不浸透性、柔軟性、厚さ、接着性、及び他の機械的特性を含む。例えば、1つ以上のこれらの特性が、ハイブリッド層におけるポリマー材料の重量%を、残りの非−ポリマー材料と共に、変化させることによって調整されうる。例えば、所望のレベルの柔軟性及び不浸透性を達成するために、ポリマー材料のwt%は、好ましくは、5から95%の範囲でよく、さらに好ましくは10から25%の範囲でよい。しかしながら、用途によっては、他の範囲も可能である。
【0025】
酸化シリコンのような、純粋な非−ポリマー材料から形成されたバリア層が、光透過性、良好な接着性、及び良好な膜応力に関連する様々な利点を有することが可能である。しかしながら、これらの非−ポリマー層が、層を介した水蒸気及び酸素の拡散を許容する微視的欠陥を含む傾向がある。非−ポリマー層に対してあるポリマー特性を提供することで、純粋な非−ポリマー層の有利な特性を著しく変化させることなく、層の浸透性を低下させることが可能である。理論に縛られることを意図するものではないが、ハイブリッドポリマー/非−ポリマー特性を有する層により、欠陥、特に微小クラックの数及び/又は大きさを減らすことによって、層の浸透性が低下すると、発明者は考えている。
【0026】
場合によっては、本発明のコーティングが、複数のハイブリッド層を有してよく、各ハイブリッド層の組成が、独立して変化することが可能である。場合によっては、あるハイブリッド層の重量%比が、コーティングにおける他のハイブリッド層と、少なくとも10重量%だけ異なる。各ハイブリッド層の厚さも、独立して変化することが可能である。ハイブリッド層の堆積に使用される反応条件を順次に(sequentially)調整することによって、異なるハイブリッド層が、形成されることが可能である。例えば、PE−CVDプロセスにおいて、それぞれ分離した異なる組成を有するハイブリッド層を備えた多数のハイブリッド層を形成するために、反応混合物に提供される反応ガスの量が、順次に調整されてよい。
【0027】
その組成があるエレベーションから他に実質的に順次に変化する領域を、コーティングが有する場合、この領域内のハイブリッド層が、極めて薄く、コーティング内における最小の分子単位と同じ薄さでさえありうる。例えば、ポリマー材料と非−ポリマー材料のwt%比が、連続的に変化する領域を、コーティングが有してよい。連続的な変化が、線形(例えば、ポリマーと非−ポリマー材料のwt%比が、徐々に高いエレベーションに増加しうる)又は非線形(例えば、循環的に増加及び減少する)であってよい。
【0028】
ハイブリッド層が、様々な部品上に堆積されてよい。場合によっては、部品が、OLEDのような有機電子デバイスであってよい。OLEDに対し、ハイブリッド層が、水蒸気及び酸素の浸透を抑えるバリアコーティングとして機能してよい。例えば、1日あたり10−6g/m未満の水蒸気透過速度及び/又は1日あたり10−3g/m未満の酸素透過速度を有するハイブリッド層が、OLEDsを保護するのに適したものとなりうる。場合によっては、ハイブリッド層の厚さを、0.1から10μmの範囲とすることが可能であるが、用途により、他の厚さが使用されることも可能である。また、光透過性を与える材料組成及び厚さを有するハイブリッド層が、OLEDsとの使用に適したものとなりうる。柔軟なOLEDsとの使用に対し、ハイブリッド層が、所望の量の柔軟性を有するように設計されてよい。場合によっては、ハイブリッド層が、調合薬、医療機器、生物学的作用物質、生物サンプル、バイオセンサー、又は精密測定装置のような、環境への暴露によって劣化しやすい他の部品上に使用されてよい。
【0029】
場合によっては、ハイブリッド層が、前駆体物質の同一単一源を使用することによって形成されることも可能である、非混合ポリマー層又は非混合非−ポリマー層のような非混合層と組み合わせて使用されてよい。非混合層が、ハイブリッド層が堆積される前又は堆積された後に堆積されてよい。
【0030】
本発明の方法を実施するために、いずれの様々な種類のCVDリアクターが使用されてよい。1つの実施例として、図1が、本発明のある実施形態を実施するために使用されることが可能なPE−CVD装置10を示す。PE−CVD装置10が、反応チャンバ20を備え、電子デバイス30が、ホルダー24上に取付けられる。反応チャンバ20が、真空室を含むように設計され、適切な圧力とする及び/又は圧力を維持するために、真空ポンプ70が、反応チャンバ20に接続される。Nガスタンク50が、パージ装置10にNガスを提供する。反応によって生成された熱を減らすために、反応チャンバ20が、冷却システムをさらに含んでよい。
【0031】
また、ガスの流れを操作するために、装置10が、手動又は自動制御でありうる様々な流れ制御装置(質量流量制御装置80、遮断弁82、及び逆止め弁84のような)を含む。前駆体物質源40が、蒸発されて反応チャンバ20内に供給される前駆体物質(例えば、液状のHMDSO)を提供する。場合によっては、前駆体物質が、アルゴンのようなキャリアガスを使用し、反応チャンバ20に運ばれてよい。反応ガスタンク60が、また、反応チャンバ20に供給される反応ガス(例えば酸素)を提供する。反応混合物42を形成するために、前駆体物質及び反応ガスが、反応チャンバ20に流れ込む。堆積圧を実現するために、反応チャンバ20内の圧力が、さらに調整されてよい。反応チャンバ20が、導体又は絶縁体でありうる電極スタンドオフ(standoff)26上に取付けられた一組の電極22を含む。デバイス30と電極22の様々な配置が可能である。ダイオード若しくは三極管の電極、又は遠隔電極が使用されてよい。図1に示されるように、デバイス30が、離れて位置してよく、又は、ダイオード構造の一方の若しくは両方の電極上に取付けられてもよい。
【0032】
反応混合物42内にプラズマ条件を作り出すために、電極22が、RF出力の供給を受ける。プラズマによって形成された反応生成物が、電子デバイス30上に堆積される。電子デバイス30上にハイブリッド層を堆積するために十分な時間の間、この反応が進行されてよい。反応時間は、電極22に対するデバイス30の位置、堆積されるハイブリッド層の種類、反応条件、ハイブリッド層の所望の厚さ、前駆体物質、及び反応ガスのような様々な要因に依存する。反応時間は、5秒から5時間の間の継続時間であってよいが、用途に応じ、それよりも長い又は短い時間が使用されてもよい。
【0033】
以下の表1は、3つの実施例によるハイブリッド層を形成するために使用された反応条件を示す。水滴のぬれ接触角から決定されたものとして、実施例1のハイブリッド層は、約7%のポリマー材料及び93%の非−ポリマー材料を含むものであった。水滴のぬれ接触角から決定されたものとして、実施例2のハイブリッド層は、約94%のポリマー材料及び6%の非−ポリマー材料を含むものであった。水滴のぬれ接触角から決定されたものとして、実施例3のハイブリッド層は、約25%のポリマー材料及び75%の非−ポリマー材料を含むものであった。
【0034】
【表1】

【0035】
図2は、実施例3のハイブリッド層の光透過率スペクトルを示す。近紫外線から近赤外線スペクトルにおいて、このハイブリッド層が、90%以上の透過率を有する。図3は、膜上における水滴の接触角がどのように測定されるのかを示す。図4は、純SiO膜及び純ポリマー膜の接触角と比較した、様々なO/HMDSOガス流量下において形成されたいくつかのハイブリッド層の接触角のプロットである。堆積プロセスにおける酸素流量が増加するにつれて、ハイブリッド層の接触角が、純SiO膜のそれに接近している。
【0036】
図5は、PE−CVDプロセスの間において適用される様々な出力レベル下で形成されたいくつかのハイブリッド層の接触角のプロットである。出力レベルが増加するにつれて、ハイブリッド層の接触角が、純SiO膜のそれに接近しているが、これは、高い出力レベルが、Oを強い酸化剤にするという事実によるものでありうる。図6は、純SiO(熱酸化物)又は純ポリマーの膜と比較した、相対的に大きなO流量及び相対的に小さなO流量を使用して形成されたハイブリッド層の赤外線吸収スペクトルを示す。高Oハイブリッド層が、Si−O−Si結合における強いピークを示す。熱酸化物(純SiO)膜に対するSi−CH結合におけるわずかなピークが、Si−O振動に関連すると考えられる。図7は、純SiO膜の硬度と比較した、様々なO/HMDSOガス流量下において形成された様々なハイブリッド層のナノインデンテーション硬度のプロットである。堆積プロセスにおける酸素流量が増加するにつれて、ハイブリッド層の硬度が増加し、これらのハイブリッド層が、頑丈且つ高柔軟性であるにもかかわらず、硬い純SiO膜と同程度となることが可能である。
【0037】
図8は、原子間力顕微鏡法によって測定された、様々なO/HMDSOガス流量下において形成されたいくつかのハイブリッド層の表面粗度(二乗平均平方根)のプロットであり、堆積プロセスにおいて使用されるO流量が増加するとともに、表面粗度が減少することを示す。図9は、原子間力顕微鏡法によって測定された、様々な出力レベル下において形成されたいくつかのハイブリッド層の表面粗度(二乗平均平方根)のプロットであり、堆積プロセスにおいて使用される出力レベルが増加するとともに、表面粗度が減少することを示す。
【0038】
図10A及び10Bは、50μmの厚さのKaptonポリイミド箔上の4μmのハイブリッド層(上記実施例3の同じ原料温度、ガス流量、圧力、及びRF出力下で堆積された)の表面の光学顕微鏡写真を示す。図10Aにおける画像は、コーティングされた箔が直径1インチのロール(引っ張り歪みε=0.2%)でのローリングサイクルにさらされる前後に得られたものである。58,600ローリングサイクルの後で、微細構造の変化が観察されなかった。図10Bにおいて、コーティングされた箔が、増加する引っ張り歪みにさらされ、画像が、第1のクラッキングが現われた後(14mmのロール直径)及び大きなクラッキングの後(2mmのロール直径)に得られた。これらの柔軟性が、本発明の方法が、高い柔軟性を有するコーティングを提供することが可能であるという結果を示す。
【0039】
図11は、カプセル化されたOLED100の一部の断面図を示し、このOLED100が、基板150上のOLEDプロパー140及び、バリアコーティング110のような上記実施例3のハイブリッド層を含む。図12は、バリアコーティングを備えた完成したOLEDsの加速環境試験の結果を示す。底部−発光(bottom−emitting)OLEDs及び透明OLEDsの両方が、実施例3の6μmの厚さのハイブリッド層でコーティングされた。次に、デバイスが、65℃で85%相対湿度の環境チャンバ内で操作された。画像は、初めの時点及び指示された時間間隔の後におけるOLEDsの状態を示す。1000時間をはるかに上回る後にまでOLEDsが機能し続け、これによって、本発明の方法が、環境暴露の劣化の影響からの効果的な保護を行うコーティングを提供することが可能であることが明らかになった。
【0040】
ハイブリッド層が、電子デバイスに対する環境バリアとして使用される場合、ハイブリッド層が、電子デバイスが堆積される表面、電子デバイスに対するカバー、又はその両方として機能してよい。例えば、あるハイブリッド層が、電子デバイスの上に堆積され、これを覆ってよく、他のハイブリッド層が、電子デバイスが堆積される表面を提供するように、電子デバイスの下の基板上に堆積されてよい。このようにして、電子デバイスが、2つのハイブリッド層の間に密封される。
【0041】
例えば、図13に示された実施形態を参照すると、カプセル化されたOLED160が、基板150上に堆積されたハイブリッド層162を備えた基板150を含む。OLED(電極を含む)の本体140が、ハイブリッド層162の表面上に堆積される。ハイブリッド層162と同じ組成を有する又は有さない他のハイブリッド層164が、絶縁保護コーティングとして、OLED本体140の上に堆積される。そのようなものとして、OLED本体140の上面を覆うことに加え、ハイブリッド層164が、OLED本体140の側面の下方にも広がり、ハイブリッド層162の表面と接する。このようにして、OLED本体140が、ハイブリッド層162とハイブリッド層164との間に挟まれる。
【0042】
ある実施形態において、ハイブリッド層が堆積される表面が、表面とハイブリッド層との間の界面凝集を増加させるために、ハイブリッド層の堆積に先立って前処理されてよい。表面の前処理が、表面の接着性の強化、界面化学の改善(例えば、表面の活性化)、表面粗度の変化、表面エネルギーの増加、表面の平坦化、及び/又は表面の洗浄を含む様々な表面特性を改善しうる。表面とハイブリッド層との間における界面凝集を増加させることにより、この特性が、ハイブリッド層のエッジからの環境汚染物(水蒸気又は酸素のような)の側方拡散を減らすために役立つことが可能である。
【0043】
表面とハイブリッド層との間の界面凝集を増加させることが出来る様々な種類の表面処理が、本発明への使用に適しており、機械摩耗、化学的処理(例えば、酸化剤への暴露、官能基の導入による活性化)、又は物理的−化学的処理(例えば、プラズマへの暴露、コロナ放電、又はUV照射)を含む。プラズマ処理が使用される場合、処理が、ハイブリッド層の堆積に使用されたものと同じチャンバ内で行われてよく、又はプラズマ処理が分離した装置内で行われてもよく、この場合、バレル型プラズマシステム及び、平行板型プラズマシステムを含む当技術分野において周知であるいずれの様々な種類のプラズマ処理装置が使用されてよい。
【0044】
プラズマ処理において従来使用されるいずれの様々なガスが、表面の前処理に適しており、酸素、水素、窒素、アルゴン、アンモニア、又はこれらの混合物のようなガスを含む。特に好ましいガスが、酸素及びアルゴンを含む。異なる方法において、異なるガスが、表面を改善するために使用されてよい。例えば、アルゴンガスを用いたプラズマ処理では、表面がアルゴンイオンで照射され、表面を洗浄し、又は、それを原子スケールの粗さとし、これによって、ハイブリッド層へのその接着能力が改善される。酸素を用いたプラズマ処理により、ハイブリッド層との結合を形成することが可能な酸素−含有官能基で表面を化学的に活性化することが可能である。所望の表面特性を達成するために、出力、周波数、継続時間、圧力又は温度を含むプラズマ処理プロセスの様々な他のパラメータを調整することが可能である。
【0045】
場合によって、表面とハイブリッド層との間に仲介層を堆積することにより、表面が、前処理されてよい。仲介層が、表面とハイブリッド層との間の界面凝集を改善するために役立つことが可能ないずれの様々な材料を含む。例えば、仲介層への使用に適した材料には、窒化シリコン、クロム、チタン、ニッケル−チタン合金、又は、誘電体が含まれる。この層が、化学気相成長法、プラズマ蒸着又はスパッタリングを含む薄膜の堆積に従来使用されるいずれの様々な技術を使用して堆積されてよい。仲介層の厚さが、特定の用途により変化しうる。場合によっては、仲介層が、単原子又は単分子層でよく、50nm以下の厚さを有するが、他の場合には、他の厚さも可能である。仲介層内における材料が、仲介層の上または下の層又は構造内における材料と、さらに化学反応を起こしてもよい。
【0046】
図14は、エッチングされたシリコンウエハ上に堆積されたハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。シリコンウエハのエッチングされていない部分(5μmのステップ高さを備えた高くなったエッジとして、図14の左側に示される)が、シリコンウエハのエッチングの間にエッチングマスクとしても機能する80nmのクロム膜で覆われた。シリコンウエハのエッチング部(図14の右側に示される)は、クロム膜で前処理されなかった。以下の条件下でシリコンウエハの両部分上に、ハイブリッド層が、PE−CVDによって堆積された。
【0047】
【表2】

【0048】
断続的な堆積プロセスの加熱及び冷却サイクルを通して、シリコンウエハ基板の平均温度は、80℃以上であった(開始温度は約22℃であり、終了温度は約160℃であった)。クロム処理表面上において、ハイブリッド層が、緻密な微細構造を有した。しかしながら、処理されていない表面上では、バリア層が、一様でない、円柱状の微細構造を有する。形態学的差異に基づき、クロム処理表面上のハイブリッド層(緻密な微細構造を有する)が、処理されていない表面上に堆積されたハイブリッド層よりも水蒸気及び酸素に対して低い浸透性を持つことが予想される。
【0049】
場合によっては、仲介層が、1つ以上の平坦化副層及び1つ以上の接着−促進副層を備えた多層構造であってよい。例えば、特許文献1(Silvernailら)及び特許文献2(Weaver)には、交互の一連のポリマー平坦化副層及び高−密度副層から形成されているバリア層が記載されている。ポリマー平坦化副層が、滑らかな表面を形成するポリマー平坦化材料を含む。環境汚染物の拡散を防ぐために、高−密度副層が、十分に近い原子間隔を有する高−密度材料(例えば、無機、セラミック、又は誘電材料)を含む。他の実施例では、仲介層が、スピンコーティングされたポリマー層とハイブリッド層(上記の方法で堆積される);、SiN層とハイブリッド層;、又はスピンコーティングされたポリマー層とSiN層の多重交互層を備えてよい。
【0050】
例えば、図15に示された実施形態を参照すると、基板150が、ポリマー材料の平坦化副層170でコーティングされている。接着−促進副層172が、平坦化副層170上に堆積される。OLEDの本体140(電極を含む)が、接着−促進副層172の表面上に堆積される。その後、ハイブリッド層174が、絶縁保護コーティングとして、OLED本体140上に堆積される。そのようなものとして、OLED本体140の上面を覆うことに加え、ハイブリッド層174が、OLED本体140の側面の下方にも広がり、接着−促進副層172の表面と接する。このようにして、ハイブリッド層174と接着−促進副層172との間の接着により、界面領域を介した環境汚染物の側方拡散を減らすことが可能である。
【0051】
以上のとおり、異なる構造、組成、及び/又は特性を備えたハイブリッド層を提供するために、堆積条件が変えられてよく、この特性には、環境汚染物に対するその浸透性及びハイブリッド層が堆積される表面に対するその接着能力が含まれる。場合によっては、堆積温度(例えば、基板の加熱及び冷却を通した)が、ハイブリッド層の浸透性を減らすように制御されてよい。図16A及び16Bは、エッチングされたシリコンウエハ上に堆積されたハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。シリコンウエハのエッチングされていない部分(高くなったエッジとして図16A及び16Bの右側に示される)が、シリコンウエハのエッチングの間におけるエッチングマスクとしても機能するクロムの薄膜で覆われた。シリコンウエハのエッチング部(図16A及び16Bの左側に示される)が、クロム膜で前処理されなかった。以下の条件下でシリコンウエハの両部分上に、ハイブリッド層が、PE−CVDによって堆積された。
【0052】
【表3】

【0053】
断続的な堆積プロセスの加熱及び冷却サイクルを通して、シリコンウエハ基板の平均温度は、約35℃であった。断続的な堆積プロセスにおいて、堆積温度を制御する1つの方法は、加熱及び/又はサイクルの回数、継続時間を調整することである。そのようなものとして、このハイブリッド層が、短い継続時間の加熱サイクル及び回数の多い冷却サイクルで堆積されるので、平均堆積温度は、図14に示されたハイブリッド層の堆積に使用される温度よりも低かった。結果として、シリコンウエハのクロム処理表面及び裸表面の両方の上のハイブリッド層が、一様でない、円柱状の構造を有する。また、ステップの外側面上に質の悪い被覆部が存在する。従って、ある範囲内の高い堆積温度を使用して形成されたハイブリッド層が、低い堆積温度を使用して形成されたハイブリッド層よりも低い浸透性を持つことが予想される。場合によって、ハイブリッド層が、40℃から90℃の範囲の堆積温度下で堆積される。
【0054】
場合により、堆積出力が、ハイブリッド層の浸透性を下げるように制御されることが可能である。図17Aは、底部発光OLEDスタック上に堆積されたハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。ハイブリッド層が、以下の条件下でPE−CVDによって堆積された。
【0055】
【表4】

【0056】
高い堆積出力が、モノマーフラグメンテーション(monomer fragmentation)を促進すると考えられる。従って、出力を24Wから50Wに徐々に増加させることにより、ハイブリッドにおけるそれぞれの結果として生じた層(stratum)が観察され、それほどポリマー様ではない特性及びより酸素様である特性を有する。図17Aにおいて、表面に最も近いハイブリッド層の層(stratum)(低出力下で堆積された)が、多孔質、ポリマー様微細構造を有し、一方、表面からさらに遠い層(stratum)(高出力下で堆積された)が、さらに高密度、酸素様構造を有する。
【0057】
図17Bは、以下の条件下で発光OLEDスタックの上面上にPE−CVDによって堆積された他のハイブリッド層の断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【0058】
【表5】

【0059】
図17Aに示されたハイブリッド層と比較し、図17Bに示されたハイブリッド層の堆積に高い堆積出力が使用された。結果として、このハイブリッド層が、図17Aに示されたハイブリッド層よりも、高い密度の微細構造を有する。従って、高い堆積出力を使用して形成されたハイブリッド層が、低い堆積出力を使用して形成されたハイブリッド層よりも、低い浸透性を有することが予想される。
【0060】
2つの異なる材料が、他方と密接に接触して配置された場合、このような接触が、特に2つの材料の間の界面において応力を生じうる。従って、ある実施形態において、ハイブリッド層の残留内部応力が、クラッキング、ボイド、バックリング、又は層間剥離のようなハイブリッド層における応力誘起欠陥の発生を減らすように制御されてよい。ハイブリッド層における内部応力を制御する1つの方法は、堆積条件を調整することである。
【0061】
図18A〜Cは、25μmの厚さのKapton−Eポリイミド基板と異なる条件下でそれ上に堆積された様々なハイブリッド層(320〜600nmの厚さ)との間の不整合歪みを示す。正の不整合が、ハイブリッド層における引張応力に対応し、負の不整合が、ハイブリッド層における圧縮応力に対応する。図18Aを参照すると、堆積出力及びガス流量が一定に保たれたまま、堆積圧を、100mTorrから150mTorrに増加させることにより、ハイブリッド層内に生成された大きな引張応力が生じる。図18Bを参照すると、堆積圧及びガス流量が一定に保たれたまま、堆積出力を50Wから80Wに増加させることにより、ハイブリッド層内に生成された大きな圧縮応力が生じる。図18Cを参照すると、堆積圧及び出力が一定に保たれたまま、HMDSO/Oガス流量を1.0/34から2.0/67に増加させることにより、ハイブリッド層内に生成された大きな引張応力が生じる。
【0062】
これらの結果は、ハイブリッド層内における内部応力が、堆積パラメータを変えることによって調整されることが可能であることを示す。また、これらの結果は、ハイブリッド層内における応力を最小化することが可能な堆積パラメータの最適な組み合わせが存在することを示す。例えば、ある堆積パラメータが、ハイブリッド層内において圧縮応力を生成するように調整されてよく、一方、他の堆積パラメータが、ハイブリッド層内において整合する引張応力を生成するように調整されてよく、結果として、ゼロ又はゼロに近い残留正味応力を生じる。多層コーティングが、複数のハイブリッド層を含む場合、コーティング内における全応力を制御するように、各ハイブリッド層内の応力を個別に調整することも可能である。例えば、コーティング内の全応力が平衡するように、又は表面からの距離が増加するともにハイブリッド層内の応力の合計が徐々に増加するように、各ハイブリッド層が調整されてよい。
【0063】
ある実施形態において、電子デバイスが、基礎部として機能する表面(即ち、基礎部表面)上に堆積された場合、基礎部材料自体又は基礎部表面とハイブリッド層との間の界面のいずれかを介した側方拡散による環境汚染物(例えば、水蒸気又は酸素)の浸入を減らすために、ハイブリッド層及び/又は表面が、エッジバリアをさらに備えてよい。基礎部が、本願明細書に記載されたいずれの材料、又はそれ上に電子デバイスを堆積するために使用されるいずれの周知の他の材料から形成されてよい(例えば、金属箔基板又はバリア−コーティングプラスチック基板上の平坦化及び/又は絶縁層に使用される材料)。当技術分野において周知であるいずれの様々な種類のエッジバリアが、本発明における使用に適している。場合によって、エッジバリアが、電子デバイスに近接する周辺の領域において、ハイブリッド層を基礎部表面に結合させることによって構成される。結合が、それらの領域への熱融着又は接着(例えば、エポキシベース接着剤)を行うことによって達成されてよい。
【0064】
場合によって、エッジバリアが、電子デバイスの上表面から広がり、電子デバイスの側面の下方に沿って、及び基礎部表面と接触するエンドキャップ(end cap)であってよい。本発明における使用に適しうるある種のエンドキャップが、特許文献3(Forrestら)に記載されている。エンドキャップは、高密度セラミック材料(例えば、二酸化シリコン)又は金属材料を含む環境汚染物の側方侵入から電子デバイスを保護することが可能ないずれの材料から形成されてよい。
【0065】
例えば、図19に示された実施形態を参照すると、カプセル化されたOLED180が、基板150に堆積されたOLEDの本体140(電極を含む)を備えた基板150を含む。ハイブリッド層182が、OLED本体140上に堆積される。エンドキャップ184が、ハイブリッド層182の上表面から広がり、OLED本体140の外側面を下がり、及び基板150の表面と接触するように、ハイブリッド層182及びOLED本体140の周囲に堆積される。エンドキャップ184が、OLED180の外側面又はエッジを介した環境汚染物の側方侵入を減らすように機能する。
【0066】
場合によっては、電子デバイスに近接する周辺の領域において、基礎部表面内に1つ以上の不連続部を形成することにより、エッジバリアが形成されてもよい。環境汚染物の側方侵入に対する経路長を増加させること、又は、基礎部材料が環境汚染物の侵入に対する経路(conduit)として機能する場合に、この経路内に破損部を形成することを含むいずれの様々な機構によって、これらの不連続部が、環境汚染物の侵入に対するバリアとして機能することが可能である。本願明細書において使用される“不連続部”という用語は、ボイドの大きさ、形状、及び位置を制御する技術を使用した材料の除去又は堆積によって基礎部表面内に形成された分離したボイド(例えば、トレンチ(trench)、グルーブ(groove)、スロット(slot)、クラック(crack)、破損部(break)、ギャップ(gap)、ホール(hole)、貫通孔(perforation))を示す。例えば、このような技術が、エネルギービーム(例えば、レーザー、イオン、又は電子)を使用したダイレクト−ライト(direct−write)エッチング、マイクロマシニング、マイクロ掘削(microdrilling)、リソグラフプロセス、又はボイドが形成される領域上に選択的なマスキングを備えた基礎部材料のマスク−堆積を含む。
【0067】
例えば、図20に示された実施形態を参照すると、基板150が、ポリイミド膜194でコーティングされる。ポリイミド膜194が、OLEDの本体140(電極を含む)が堆積される基礎部表面として機能する。ポリイミド膜194内のエッチングされた部分は、OLED本体140の周辺を囲むトレンチ196である。あるいは、トレンチ196が、ポリイミド膜194の堆積の間にこの領域を選択的にマスキングすることによって形成されてもよい。トレンチ196が、ポリイミド膜194の全厚さを貫いて広がっている。OLED本体140が、ハイブリッド層192で覆われており、このハイブリッド層192が、OLED本体194の上面を覆い、及びOLED本体140の側面の下方に基礎部表面まで広がる。ポリイミド膜が、環境汚染物の側方侵入に対する経路として機能することを防ぐように、基礎部表面上において、また、ハイブリッド層192が、トレンチ196を埋める。
【0068】
前述の記載及び実施例は、単に本発明を例証するために説明されたものであり、制限されることを意図するものではない。開示された本発明の態様及び実施形態のそれぞれは、個々に、又は本発明の他の態様、実施形態、及びバリエーションと組み合わせて考えられてよい。当業者によって、本発明の精神及び内容を組み込んだ開示された実施形態の変更が行われてもよく、このような変更は、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10 PE−CVD装置
20 反応チャンバ
22 電極
24 ホルダー
26 電極スタンドオフ
30 電子デバイス
40 前駆体物質源
42 反応混合物
50 Nガスタンク
60 反応ガスタンク
70 真空ポンプ
80 質量流量制御装置
82 遮断弁
84 逆止め弁
100、160、180 OLED
110 バリアコーティング
140 OLED本体
150 基板
162、164、174、182、192 ハイブリッド層
170 平坦化副層
172 接着−促進副層
184 エンドキャップ
194 ポリイミド膜
196 トレンチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆体物質の原料を提供する段階、
コーティングされる表面に近接する反応位置に前記前駆体物質を運ぶ段階、及び
前記前駆体物質の原料を使用する化学気相成長法によって、前記表面上にハイブリッド層を堆積する段階を備え、
前記ハイブリッド層が、ポリマー材料と非−ポリマー材料との混合物を含み、
前記ポリマー材料と非−ポリマー材料との重量比が、95:5から5:95の範囲であり、
前記ポリマー材料及び非−ポリマー材料が、前記前駆体物質の同一の原料から形成されることを特徴とする表面上にコーティングを形成する方法。
【請求項2】
前記前駆体物質が、ヘキサメチルジシロキサン又はジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前駆体物質が、単一有機−シリコン化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記前駆体物質が、有機−シリコン化合物の混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化学気相成長法が、プラズマ助長型であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
反応ガスを提供する段階をさらに含み、
前記化学気相成長法が、前記反応ガスの存在下で行われることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記反応ガスが、酸素であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマー材料と非−ポリマー材料との重量比が、90:10から10:90の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマー材料と非−ポリマー材料との重量比が、25:75から10:90の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー材料が、シリコン−含有ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記非−ポリマー材料が、シリコン−含有化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記シリコン−含有化合物が無機物であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ハイブリッド層を堆積する段階の前に、前記前駆体物質の原料を使用する前記表面上に非混合ポリマー層を堆積する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ハイブリッド層を堆積する段階の前に、前記前駆体物質の原料を使用する前記表面上に非混合非−ポリマー層を堆積する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ハイブリッド層を堆積する段階の後に、前記前駆体物質の原料を使用する前記表面上に非混合ポリマー層を堆積する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ハイブリッド層を堆積する段階の後に、前記前駆体物質の原料を使用する前記表面上に非混合非−ポリマー層を堆積する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
堆積された前記ハイブリッド層が、36°から60°の範囲の水滴のぬれ接触角を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ハイブリッド層が、光透過性であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ハイブリッド層が、近紫外線から近赤外線スペクトルにおいて、90%以上の透過率を有することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記表面と前記ハイブリッド層との間の界面凝集を改善するように、前記ハイブリッド層を堆積する段階の前に、前記表面が前処理されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記表面を前処理する段階が、化学的処理を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記表面を前処理する段階が、物理的−化学的処理を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記物理的−化学的処理が、プラズマ処理であることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ハイブリッド層を堆積する段階の前に、前記前処理する段階が、前記表面上に仲介層を堆積する段階を含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記仲介層が、前記表面と前記ハイブリッド層との間の界面凝集を増加させるように機能する材料を含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前駆体物質の原料を提供する段階、
コーティングされる表面に近接する反応位置に前記前駆体物質を運ぶ段階、及び
前記前駆体物質の原料を使用する化学気相成長法によって、前記表面上に複数のハイブリッド層を堆積する段階を備え、
前記各ハイブリッド層が、独立してポリマー材料と非−ポリマー材料との混合物を含み、
前記ポリマー材料と非−ポリマー材料との重量比が、95:5から5:95の範囲であり、
前記ポリマー材料及び非−ポリマー材料が、前記前駆体物質の同一の原料から形成されることを特徴とする表面上に多層コーティングを形成する方法。
【請求項27】
前記複数のハイブリッド層が、化学気相成長法プロセスにおける1つ以上の反応条件を順次に変えることによって形成されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
反応ガスを提供する段階をさらに含み、
前記化学気相成長法が、前記反応ガスの存在下で行われ、
前記複数のハイブリッド層が、化学気相成長法プロセスにおける前記反応ガスの量を順次に変えることによって形成されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記複数のハイブリッド層が、化学気相成長法プロセスにおける1つ以上の反応条件を連続的に変えることによって形成されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】
反応ガスを提供する段階をさらに含み、
前記化学気相成長法が、前記反応ガスの存在下で行われ、
前記複数のハイブリッド層が、化学気相成長法プロセスにおける前記反応ガスの量を連続的に変えることによって形成されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
あるハイブリッド層における前記ポリマー材料の量が、他のハイブリッド層における前記ポリマー材料の量と、少なくとも10重量%だけ異なることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリマー材料の量が、あるハイブリッド層から他のハイブリッド層に連続的に変化することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記化学気相成長法が、プラズマ助長型であり、
前記複数のハイブリッド層が、プラズマ化学気相成長法プロセスにおけるプラズマ出力レベルを順次変化させることによって形成されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記化学気相成長法が、プラズマ助長型であり、
前記複数のハイブリッド層が、プラズマ化学気相成長法プロセスにおけるプラズマ出力レベルを連続的に変化させることによって形成されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記多層コーティング内の全体の内部応力が、各ハイブリッド層内の内部応力を調整することによって制御されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項36】
各ハイブリッド層を堆積するために使用される堆積条件を制御することにより、各ハイブリッド層内の前記内部応力が調整される請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記内部応力と反対の効果を有する少なくとも2つの堆積条件を制御することにより、前記各ハイブリッド層内の内部応力が調整されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
各ハイブリッド層が、プラズマ化学気相成長法(PE−CVD)によって堆積され、
制御される前記堆積条件が、堆積圧、堆積出力、ガス流量、及び電極距離から構成される群から選択されることを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記多層コーティング内の全体の内部応力が平衡するように、各ハイブリッド層内の前記内部応力が、調整されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記多層コーティング内の全体の内部応力がゼロ又はゼロに近いことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記表面に近い少なくとも1つのハイブリッド層が、前記表面から遠い少なくとも1つのハイブリッド層よりも小さな内部応力を有することを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項42】
コーティングが堆積される表面との界面凝集が改善されたコーティングを形成する方法であって、
表面を有する基板を提供する段階、
コーティングされる表面を前処理する段階、
前駆体材料の原料を提供する段階、
前記前処理された表面に近接する反応位置に前記前駆体物質を運ぶ段階、及び
前記前駆体物質の原料を使用する化学気相成長法によって、前記表面上にハイブリッド層を堆積する段階を備え、
前記ハイブリッド層が、ポリマー材料と非−ポリマー材料との混合物を含み、
前記ポリマー材料と非−ポリマー材料との重量比が、95:5から5:95の範囲であり、
前記ポリマー材料及び非−ポリマー材料が、前記前駆体物質の同一の原料から形成されることを特徴とする方法。
【請求項43】
前記表面を前処理する段階により、前記表面と前記ハイブリッド層との間の界面凝集が増加することを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記表面を前処理する段階が、化学的処理を含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記表面を前処理する段階が、物理的−化学的処理を含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記物理的−化学的処理が、プラズマ処理であることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記ハイブリッド層を堆積する段階の前に、前記前処理する段階が、前記表面上に仲介層を堆積する段階を含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記仲介層が、前記表面と前記ハイブリッド層との間の界面凝集を増加させるように機能する材料を含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記仲介層が、光透過性であることを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記仲介層が、無機材料を含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記無機材料が、クロムであることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記前駆体物質が、ヘキサメチルジシロキサン又はジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項53】
前記前駆体物質が、単一有機−シリコン化合物を含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項54】
前記前駆体物質が、有機−シリコン化合物の混合物を含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項55】
前記化学気相成長法が、プラズマ助長型であることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項56】
反応ガスを提供する段階であって、前記化学気相成長法が、前記反応ガスの存在下で行われる段階、及び
前記反応位置に前記反応ガスを運ぶ段階をさらに含むことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記反応ガスが、酸素であることを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記ポリマー材料と非−ポリマー材料との重量比が、90:10から10:90の範囲であることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項59】
前記ポリマー材料と非−ポリマー材料との重量比が、25:75から10:90の範囲であることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項60】
前記ポリマー材料が、シリコン−含有ポリマーであることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項61】
前記非−ポリマー材料が、シリコン−含有化合物を含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項62】
前記シリコン−含有化合物が無機物であることを特徴とする請求項61に記載の方法。
【請求項63】
電子デバイスの基礎部として機能する表面上に配置された前記電子デバイスを保護する方法であって、
(a)前駆体物質の原料を提供する段階、
(b)コーティングされる前記電子デバイスに近接する反応位置に前記前駆体物質を運ぶ段階、及び
(c)前記前駆体物質の原料を使用した化学気相成長法によって、電子デバイス上にハイブリッド層を堆積する段階
を含む前記電子デバイス上にコーティングを形成する段階を備え、
前記ハイブリッド層が、ポリマー材料と非−ポリマー材料との混合物を含み、
前記ポリマー材料と非−ポリマー材料との重量比が、95:5から5:95の範囲であり、
前記ポリマー材料及び非−ポリマー材料が、前記前駆体物質の同一の原料から形成されることを特徴とする方法。
【請求項64】
前記ハイブリッド層の少なくとも一部が、前記電子デバイスのエッジに広がることを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記ハイブリッド層が、前記電子デバイスを完全に覆い、前記電子デバイスのエッジに広がることを特徴とする請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記電子デバイスに近接する周辺の1つ以上の領域にエッジバリアを形成する段階をされに含むことを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記エッジバリアが、前記電子デバイスに近接する周辺の1つ以上の領域において、基礎部表面内に1つ以上の不連続部を含むことを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記不連続部が、前記基礎部表面をエッチングすることにより形成されることを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記不連続部が、前記基礎部表面の全厚さを貫いて広がることを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記エッジバリアが、前記電子デバイスのエッジを囲むエンドキャップであることを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項71】
前記ハイブリッド層の少なくとも一部が、前記電子デバイスのエッジに広がり、
前記エッジバリアが、前記ハイブリッド層と前記基礎部表面との間の接着ボンドであることを特徴とする請求項66に記載の方法。
【請求項72】
前記電子デバイスが、有機発光デバイスであることを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項73】
前記電子デバイスが、太陽電池であることを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項74】
表面上に形成されたコーティングの特性を制御する方法であって、
前駆体材料の原料を提供する段階、
コーティングされる表面に近接する反応位置に前記前駆体物質を運ぶ段階、
前記前駆体物質の原料を使用する化学気相成長法によって、前記表面上にハイブリッド層を堆積する段階であって、前記ハイブリッド層が、ポリマー材料と非−ポリマー材料との混合物を含み、前記ポリマー材料と非−ポリマー材料との重量比が、95:5から5:95の範囲であり、前記ポリマー材料及び非−ポリマー材料が、前記前駆体物質の同一の原料から形成される段階、及び
前記ハイブリッド層が堆積される条件を制御する段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項75】
前記特性が、水蒸気及び酸素に対する浸透性、ぬれ接触角、硬度、表面粗度、柔軟性、又は内部応力から構成される群から選択されることを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記特性が、前記ハイブリッド層のぬれ接触角であり、
堆積された前記ハイブリッド層が、30°から85°の範囲の水滴のぬれ接触角を有するように、前記堆積条件が制御されることを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記水滴のぬれ接触角が、30°から60°の範囲であることを特徴とする請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記水滴のぬれ接触角が、36°から60°の範囲であることを特徴とする請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記特性が、前記ハイブリッド層の硬度であり、
前記ハイブリッド層が、3から20GPaの範囲のナノインデンテーション硬度を有するように、前記堆積条件が制御されることを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項80】
前記ナノインデンテーション硬度が、10から18GPaの範囲であることを特徴とする請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記特性が、表面粗度であり、
前記ハイブリッド層が、0.1から10nmの範囲の表面粗度(二乗平均平方根)を有することを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項82】
前記特性が、柔軟性であり、
前記ハイブリッド層が50μmの厚さのポリイミド箔基板上に4μmの層として堆積された場合、前記ハイブリッド層が、0.2%の引っ張り歪み(ε)における直径1インチのロールでの少なくとも55,000のローリングサイクルの後において、微細構造の変化が観察されない十分な柔軟性を有することを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項83】
前記特性が、柔軟性であり、
前記ハイブリッド層が50μmの厚さのポリイミド箔基板上に4μmの層として堆積された場合、前記ハイブリッド層が、少なくとも0.35%の引っ張り歪み(ε)下においてクラックが現われない十分な柔軟性を有することを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項84】
前記特性が、前記ハイブリッド層内の内部応力であることを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項85】
前記内部応力と反対の効果を有する少なくとも2つの堆積条件を制御することにより、前記各ハイブリッド層内の内部応力が調整されることを特徴とする請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記ハイブリッド層と前記表面との間の不整合歪み(ε)が、−0.005から0.005の間であることを特徴とする請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記ハイブリッド層と前記表面との間の不整合歪み(ε)が、−0.001から0.001の間であることを特徴とする請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記特性が、水蒸気及び酸素に対する浸透性であることを特徴とする請求項75に記載の方法。
【請求項89】
前記ハイブリッド層が、プラズマ化学気相成長法(PE−CVD)によって堆積され、
前記堆積条件が、堆積圧、堆積出力、堆積温度、ガス流量、及び電極距離から構成される群から選択されることを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項90】
前記堆積条件が、堆積出力であることを特徴とする請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記堆積条件が、堆積温度であることを特徴とする請求項89に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図6】
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【図10A】
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【図10B】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−508640(P2010−508640A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535320(P2009−535320)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/023098
【国際公開番号】WO2008/057394
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(591003552)ザ、トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ (68)
【Fターム(参考)】