説明

電子写真画像形成装置

【課題】 複数のドラムカートリッジを支持するドラムカートリッジ支持部材を有する構成を前提とする一方で、個別の交換の可能性が高い現像カートリッジを個別に容易に交換できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 カートリッジ2Y〜2Kは、ユニット11が第2位置D2にあるときに、ユニット11の上方から着脱自在である。カートリッジ3Y〜3Kは、感光体ドラム21の軸方向と平行な方向に着脱自在である。移動機構12は、現像ローラ31が現像する場合にはカートリッジ3Y〜3Kを現像位置E1に移動させ、ユニット11が第1位置D1及び第2位置D2の間で移動する場合又はカートリッジ3Y〜3Kが着脱される場合には、カートリッジ3Y〜3Kを退避位置E2に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真画像形成方式を用いた電子写真画像形成装置に関する。ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成プロセスを用いて、記録媒体にカラー画像を形成するものである。そして、電子写真画像形成装置の例としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばカラーレーザビームプリンタ、カラーLEDプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。また、前記記録媒体とは、前記電子写真画像形成装置によって画像を形成されるものであって、例えば、紙、OHPシート等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体にカラー画像を形成するカラー電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置と称する)が知られている。かかる画像形成装置においては、装置本体の内部に、電子写真感光体ドラム(以下、「感光体ドラム」という)が複数個並べて配置される。そして、各々の感光体ドラムに対向して現像ローラが配置される。これによって、各々の感光体ドラムに形成された静電潜像が、異なった色の現像剤で現像される。なお、感光体ドラムを複数個並べた方式は、一般的にタンデム方式と称される。
【0003】
一方、感光体ドラムや現像ローラは、画像形成動作を行うにつれ、消耗される消耗品である。従って、所定の寿命に到達したらこれらを交換する。このとき、感光体ドラムと、例えば帯電手段等の感光体ドラムに作用するプロセス手段とを、これらを支持する枠体によって一体化し、ドラムカートリッジとする方法が知られている。同様に、現像ローラ、現像剤、現像剤を収容する現像剤収容部、これらを支持する枠体によって一体化し、現像カートリッジとする方法が知られている。消耗品をドラムカートリッジや現像カートリッジのようにカートリッジ化することで、消耗品の交換作業性を向上することが可能となる。
【0004】
このような画像形成装置の消耗品の交換方法として、以下のような方法が知られている。感光体ドラムをドラムカートリッジ支持部材で支持し、ドラムカートリッジ支持部材を感光体ドラムの軸方向に引き出し、ドラムカートリッジ支持部材の上方より感光体ドラムの交換作業を行う。同様に、現像カートリッジを現像カートリッジ支持部材で支持し、現像カートリッジ支持部材を現像ローラの軸方向に引き出し、現像カートリッジ支持部材の上方より現像カートリッジの交換作業を行う(特許文献1参照)。上記方法において、感光体ドラムはドラムカートリッジ支持部材の上方より装着するので、ドラムカートリッジ支持部材に対する感光体ドラムの位置決めは、シンプルな構成とすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3968301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前記従来技術をさらに発展させたものである。即ち、本発明の目的は、複数のドラムカートリッジを支持するドラムカートリッジ支持部材を有する構成を前提とする一方で、個別の交換の可能性が高い現像カートリッジを個別に容易に交換することができる電子写真画像形成装置を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、複数のドラムカートリッジ及び複数の現像カートリッジが着脱される場合に、個別のドラムカートリッジはドラムカートリッジ支持部材が引き出されてから取り出される。そして、個別の現像カートリッジは装置本体から個別に直接に取り出される電子写真画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の電子写真画像形成装置は、画像形成装置本体と、複数のドラムカートリッジと、前記ドラムカートリッジの有する電子写真感光体ドラムに形成された靜電潜像を現像する現像ローラを有する複数の現像カートリッジと、前記ドラムカートリッジを支持して、前記画像形成装置本体の内部で前記電子写真感光体ドラムが画像形成を行う位置を第1位置として、また、前記画像形成装置本体の外部で前記電子写真感光体ドラムが着脱自在となる位置を第2位置とした場合に、前記第1位置及び前記第2位置の間で前記電子写真感光体ドラムの軸方向に移動自在なドラムカートリッジ支持部材と、前記現像カートリッジを前記靜電潜像の現像を行う現像位置及び前記現像位置から離れた退避位置に移動自在な現像カートリッジ移動手段と、を有し、前記ドラムカートリッジは、前記ドラムカートリッジ支持部材が前記第2位置にあるときに、前記ドラムカートリッジ支持部材の上方から着脱自在であり、前記現像カートリッジは、前記電子写真感光体ドラムの軸方向と平行な方向に着脱自在であり、前記ドラムカートリッジ支持部材は、前記ドラムカートリッジを前記ドラムカートリッジ支持部材に位置決めするドラムカートリッジ位置決め部と、前記ドラムカートリッジ支持部材を前記画像形成装置本体に位置決めする支持部材位置決め部と、を有し、前記現像カートリッジ移動手段は、前記現像ローラが前記靜電潜像を現像する場合には前記現像カートリッジを現像位置に移動させ、前記ドラムカートリッジ支持部材が前記第1位置及び前記第2位置の間で移動する場合又は前記現像カートリッジが着脱される場合には、前記現像ローラが退避する退避位置に前記現像カートリッジを移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のドラムカートリッジ及び複数の現像カートリッジが着脱される場合に、個別のドラムカートリッジはドラムカートリッジ支持部材が引き出されてから取り出される。そして、個別の現像カートリッジは装置本体から個別に直接に取り出すことができる。その結果、複数のドラムカートリッジを支持するドラムカートリッジ支持部材を有する構成を前提とする一方で、個別の交換の可能性が高い現像カートリッジが個別に容易に交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置の構成を示す断面図等である。
【図2】画像形成部の構成を示す拡大断面図等である。
【図3】カートリッジの構成を示す断面図等である。
【図4】画像形成装置の構成を示し、カバーが閉状態にある構成を示す斜視図等である。
【図5】画像形成装置の構成を示す断面図等である。
【図6】ユニットが手前側に引き出された画像形成装置の構成を示す斜視図等である。
【図7】ユニットからカートリッジの1つが外された画像形成装置の構成を示す斜視図である。
【図8】ユニットの構成を示す部分拡大斜視図である。
【図9】ドラムカートリッジが装着されたユニットの斜視図等である。
【図10】移動機構がカートリッジを支持した状態を示す斜視図である。
【図11】移動機構の奥側の部分拡大斜視図である。
【図12】引き出されたカートリッジ、及び、装置本体の構成を示す斜視図である。
【図13】実施例2に係る画像形成装置の構成を示す斜視図等である。
【図14】装置本体の構成を示す斜視図等である。
【図15】移動機構の構成を示す一部拡大斜視図である。
【図16】アームの動作を示す画像形成装置の正面図である。
【図17】実施例3に係る画像形成装置の構成を示す断面図等である。
【図18】装置本体の上部に原稿読取装置が搭載された画像形成装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態を実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0012】
図1(a)は、本発明の実施例1に係る画像形成装置1の構成を示す断面図である。画像形成装置1は、電子写真画像形成プロセスを利用したカラー電子写真画像形成装置である。図1(a)に示されるように、画像形成装置1は、画像形成装置本体である装置本体10を有し、この装置本体10の内部には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成する画像形成部41Y、41M、41C、41Kが設けられている。画像形成部41Y、41M、41C、41Kの各々は、電子写真感光体ドラム(感光体ドラムという)21、転写装置である転写ローラ52(1次転写ローラ)等を有する。
【0013】
装置本体10の内部には、カートリッジ(ドラムカートリッジ)2Y、2M、2C、2Kが並べて配置されている。カートリッジ2Y〜2Kの各々はドラムカートリッジ枠体である枠体24を備えており、枠体24に対して感光体ドラム21が回転自在に支持されている。また、枠体24には、後述する帯電器22(図2(a)参照)及びローラ23(クリーニングローラ)(図2(a)参照)が取り付けられている。また、装置本体10の内部には、カートリッジ2(2Y、2M、2C、2K)の各々の左下方に、カートリッジ3(現像カートリッジ)(3Y、3M、3C、3K)が配置されている。これら複数のカートリッジ3Y〜3Kの各々は、枠体(現像カートリッジ枠体)35を備えており、枠体35に対して、現像ローラ31が回転自在に支持されている。各々の現像ローラ31は、各々の感光体ドラム21の表面の靜電潜像を現像する。すなわち、現像ローラ31は、感光体ドラム21に形成された靜電潜像を粉体現像剤を用いて現像し、感光体ドラム21の表面に現像剤像を形成する。ここで、カートリッジ3Yは、イエロー色の粉体現像剤を収納する収容部(現像剤収容部)32を有する(図2(a)参照、以下同様)。また、カートリッジ3Mは、マゼンタ色の粉体現像剤を収納する収容部32を有する。また、カートリッジ3Cは、シアン色の粉体現像剤を収納する収容部32を有する。また、カートリッジ3Kは、ブラック色の粉体現像剤を収納する収容部32を有する。そして、カートリッジ2Y、3Yが対となって、イエロー色の画像を形成する。また、カートリッジ2MM、3MMが対となって、マゼンタ色の画像を形成する。また、カートリッジ2CC、3CCが対となって、シアン色の画像を形成する。また、カートリッジ2K、3Kが対となって、ブラック色の画像を形成する。
【0014】
カートリッジ2Y〜2K及びカートリッジ3Y〜3Kの間、即ち、カートリッジ2Y〜2Kの帯電器(帯電ローラ)22及びカートリッジ3Y〜3Kの現像ローラ31の間には、露光手段であるLEDヘッド4が配置されている。このLEDヘッド4は、感光体ドラム21に静電潜像を形成する。また、カートリッジ2Y〜2Kの各々の上方には、感光体ドラム21の表面に形成された現像剤像を転写する1次転写ローラ(転写手段)52が配置されている。
【0015】
また、画像形成部41Yの左方には、廃現像剤カートリッジ(廃現像剤収容部)6が配置されている。これに対して、画像形成部41Y〜41Kの下方から画像形成部41Kの右下までに亘っては、シート(記録媒体)Sを給送及び搬送する搬送部7が配置されている。また、画像形成部41Y〜41Kの上部及びその右方に亘っては、ベルト51(転写ベルト)に転写された現像剤像をシートSに転写する転写部5が配置されている。画像形成部41Kの右上方には、シートSに現像剤像を定着及び排送する定着排送部8が配置されている。
【0016】
搬送部7は、転写部5に向かってシートSを給送するものであり、カセット71(給送カセット)、ローラ73(給送ローラ)、レジストローラ対74を備えている。カセット71には複数枚のシートSが積載及び収納されている。ローラ73は、画像形成動作に応じて回転し、カセット71の内部のシートSを1枚ずつ給送する。レジストローラ対74は、画像形成動作中に、ローラ73から搬送されたシートSを静止させて待機させる非回転の動作をする。また、レジストローラ対74は、シートSを転写部5に向かって搬送する回転の動作といった所定のシーケンスで駆動する。そして、レジストローラ対74は、次の工程である転写工程の現像剤像及びシートSの位置合わせをする。
【0017】
図2(a)は、画像形成部41Yの構成を示す拡大断面図である。ここでは、カートリッジ2Y、3Yの構成に関してのみ説明するが、他のカートリッジ2M、2C、2K及び他のカートリッジ3M、3C、3Kの構成に関しても同様である。そのため、カートリッジ2Y,3Yに関する説明は、他のカートリッジにも援用される。この図2(a)を参照して、画像形成装置1の作像プロセスを説明するが、作像プロセスとは、コントローラ50(図1(a)参照)の制御に基づいて、画像形成部41Y〜41Kによって、現像剤像をベルト51に形成する工程のことである。作像プロセスは、感光体ドラム21、及び、感光体ドラム21の周囲に配置されるプロセス手段によって行われる。プロセス手段とは、帯電器(帯電手段)22、LEDヘッド(静電像形成手段)4、現像ローラ(現像手段)31、ベルト51へ現像剤像を転写する1次転写ローラ(転写手段)52、クリーニングローラ(クリーニング手段)23である。
【0018】
前述のように、画像形成部41Yは、カートリッジ2Y、LEDヘッド4、カートリッジ3Y、転写ローラ52を主に備えている。まず、カートリッジ2Yの枠体24に配置される内部の感光体ドラム21は、その表面に有機感光体からなる感光層を有する円筒状のシリンダを有する。感光体ドラム21は、画像形成時には矢印に示されるように時計回りに回転する。帯電器22は、バイアス印加手段(不図示)より印加された帯電バイアスで、感光体ドラム21の表面を一様に帯電するものである。なお、実施例1では、帯電器22には、コロナ帯電方式が採用されているが、ローラ帯電方式が採用されても良い。
【0019】
次に、LEDヘッド4は、帯電処理された感光体ドラム21に静電潜像を形成する。LEDヘッド4はLED(Light Emitting Diode)等の発光素子をライン状に配列した発光素子アレイである。それぞれの発光素子は、画像情報に応じて発光し、感光体ドラム21に照射する。これによって感光体ドラム21の表面に静電潜像が形成される。なお、実施例1では、静電潜像形成手段には、発光素子アレイが採用されているが、レーザスキャナを採用しても良い。
【0020】
次に、カートリッジ3Yは、枠体35を備えている。枠体35には、現像ローラ31が回転自在に取り付けられ、現像ローラ31に対向して供給ローラ34が回転自在に取り付けられ、現像ローラ31の表面と接触してブレード33(現像ブレード)が取り付けられている。現像ローラ31は、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像を粉体現像剤で現像するローラである。供給ローラ34は、現像ローラ31の表面に現像剤を供給するローラである。ブレード33は、先端部が現像ローラ31の表面に接触する位置で配置されており、現像ローラ31に担持された現像剤の層厚を規制すると共に現像剤に電荷を付与するブレードである。そして、枠体35の内部には、現像剤が収容可能な空間としての収容部32が確保されている。現像ローラ31は感光体ドラム21に対向する位置に配置されている。
【0021】
現像ローラ31は、画像形成プロセスを実行するときに反時計回りに回転する。このとき、現像ローラ31は、感光体ドラム21と接触した位置である現像位置E1(図1(a)も参照)にある。また、供給ローラ34は、現像ローラ31と同様に反時計回りに回転し、現像ローラ31に現像剤を供給する。現像ローラ31に供給された現像剤がブレード33を通過するとき、現像剤の層厚が規制されるとともに、現像剤には電荷が付与される。一方で、現像ローラ31には、バイアス印加手段(不図示)によって現像バイアスが印加され、現像ローラ31の表面の現像剤は、感光体ドラム21に形成された静電像に付着する。これにより、現像剤を用いて、現像ローラ31によって静電像が現像剤像となり可視化される。なお、現像位置E1とは、感光体ドラム21と現像ローラ31が接触し、作像プロセス(現像処理)が実行可能な位置である。
【0022】
なお、実施例1において、現像剤は非磁性トナーを用いる非磁性1成分方式を採用している。しかし、現像剤を非磁性のトナーと磁性キャリアによって構成する2成分方式を採用することも可能である。また、現像ローラ31と感光体ドラム21が接触する接触型の現像ローラ31について説明しているが、感光体ドラムと現像ローラが所定の間隙をもつ非接触型の現像ローラを採用することも可能である。このことから、現像位置の概念には、感光体ドラム21と現像ローラ31とが接触しない概念が含まれても良い。
【0023】
次に、転写ローラ52に関して説明する。感光体ドラム21と接触して上方にはベルト51が配置され、ベルト51の上方には転写ローラ52が配置されている。感光体ドラム21及び転写ローラ52はベルト51を挟持している。そして、転写ローラ52は、現像ローラ31で感光体ドラム21に現像された現像剤像をベルト51に1次転写するものである。転写ローラ52は、作像プロセスを実行するとき反時計回りに回転し、バイアス印加手段(不図示)によって1次転写バイアスが印加される。感光体ドラム21に担持された現像剤像は、転写ローラ52と感光体ドラム21のニップ部を通過するときにベルト51に転写される。
【0024】
次に、カートリッジ2Yが備えるローラ23に関して説明する。ローラ23は、感光体ドラム21の表面に残留した現像剤を除去(クリーニング処理)するものである。ローラ23は、画像形成プロセスを実行するときに反時計回りに回転する。さらに、ローラ23には、バイアス印加手段(不図示)によってクリーニングバイアスが印加される。1次転写処理が行われた感光体ドラム21にはベルト51に転写しきれなかった現像剤が残留する。この残留した現像剤は、ローラ23と感光体ドラム21のニップ部において、前記バイアスが印加されたローラ23に廃現像剤として捕集される。なお、実施例1では、クリーニング処理には、ローラ23を用いる方式が採用されるが、クリーニングブレードが採用されても良い。前述してきた帯電からクリーニングまでの処理を繰り返すことによって連続的に画像形成プロセスを行うことができる。
【0025】
ここで、図1(a)を用いて、転写部5について説明する。転写部5は、ベルト51、転写ローラ52、ローラ53(転写駆動ローラ)、ローラ54(テンションローラ)、転写ローラ55(2次転写ローラ)を備えている。ベルト51は、前述した画像形成プロセスにより形成された現像剤像を担持する。転写ローラ52は、感光体ドラム21に形成された現像剤像をベルト51に転写する。ローラ53は、ベルト51を搬送するローラである。ローラ54は、ベルト51に張力を与える。転写ローラ55は、ベルト51に転写された現像剤像をシートSに転写する。
【0026】
ローラ53は、反時計回りに回転し、ベルト51を搬送する。前述した画像形成プロセスは,カートリッジ2(2Y〜2K)の感光体ドラム21の各々で順次実行される。ベルト51の表面には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの現像剤像が順次重ねられ、フルカラーの現像剤像が担持され、転写ローラ55に向かって搬送される。この一方で、転写ローラ55は時計回りに回転する。ベルト51に担持された現像剤像が転写ローラ55とベルト51のニップ部を通過するタイミングに合わせて、レジストローラ対74が回転する。これによって、シートSが転写ローラ55とベルト51のニップ部に搬送される。転写ローラ55には、バイアス印加手段(不図示)により2次転写バイアスが印加される。これによって、ベルト51に担持された現像剤像はシートSに転写される。
【0027】
次に、図1(a)を参照して、定着排送部8を説明する。定着排送部8は、シートSに転写された現像剤を定着する定着部80、及び、現像剤像が定着されたシートSを装置本体10の外部へ排出する排送部81を備えている。まず、定着部80は加熱ローラ801と加圧ローラ802を備える。加熱ローラ801は、内部に加熱手段(不図示)を有しており、所定の温度に加熱される。加圧ローラ802は、加圧手段(不図示)によって、加熱ローラ801に対して所定の圧力で加圧される。転写部5によって現像剤像が転写されたシートSが、加熱ローラ801と加圧ローラ802とのニップ部を通過する際に、熱と圧力が加えられる。これによって、現像剤像がシートSに定着し、シートSに画像が形成される。
【0028】
排送部81は、ローラ対811(排出ローラ対)と積載部812とを有する。現像剤像が定着されたシートSは、定着部80を通過した後、排送部81に搬送される。ローラ対811は、シートSを装置本体10の外部に排出するためのものであり、駆動手段(不図示)によって回転する。積載部812は、現像剤像が定着されたシートSすなわち画像形成が完了したシートSを積載する部位である。
【0029】
次に、図1(a)を参照して、カートリッジ6(廃現像剤カートリッジ)を説明する。カートリッジ6は、ベルト51に付着した現像剤を回収するためのローラ61(廃現像剤回収ローラ)、回収した現像剤を掻き取るためのスクレーパ62を備えている。また、カートリッジ6は、回収した現像剤を収容するための容器63(廃現像剤回収容器)、これらを一体化するための廃現像剤カートリッジ枠体64を備えている。前述した画像形成プロセスで、ベルト51に担持された現像剤像は転写ローラ55によって、シートSに転写される。この際に、ベルト51に残留した現像剤は、ベルト51に付着したままローラ61に搬送される。
【0030】
ローラ61にはバイアス印加手段(不図示)により、回収バイアスが印加されるとともに、時計回りに回転する。そして、ベルト51とローラ61のニップ部において、ベルト51に残留した現像剤を回収する。ローラ61が回収した現像剤は、スクレーパ62によってローラ61で掻き落され、廃現像剤として容器63に回収される。更に、以下に詳細を述べる回収プロセスを実行したときも、同様に廃現像剤が回収される。容器63に所定量の現像剤が回収されたら、新しい廃現像剤カートリッジに交換される。
【0031】
図1(b)は、画像形成装置1の構成を示す断面図である。この図1(b)及び前述の図1(a)を参照しながら、現像剤の回収プロセスについて説明する。ここで、回収プロセスとは、コントローラ50の制御に基づいて、前述したクリーニング処理において、ローラ23が捕集した廃現像剤をカートリッジ6で回収するためのプロセスである。画像形成プロセスが実行される場合には、現像ローラ31及び感光体ドラム21が接触状態となる現像位置E1に、カートリッジ3(3Y〜3K)が配置されている(図1(a)参照)。これに対して、回収プロセスが実行される場合には、後述する現像カートリッジ移動機構(以下、移動機構12という)によって、現像ローラ31が感光体ドラム21から退避した退避位置E2(図1(a)、図5(a)、図5(b)参照)に移動される。
【0032】
各カートリッジ3が退避位置E2に配置されると、コントローラ50は、ローラ23、感光体ドラム21、ローラ53、ローラ61を駆動させる。ローラ23には、バイアス印加手段(不図示)で排出バイアスが印加される。排出バイアスとは、ローラ23が捕集した廃現像剤を感光体ドラム21に排出するためのバイアスである。前記排出バイアスが印加されると、廃現像剤は、ローラ23で捕集された後に、感光体ドラム21に排出され、感光体ドラム21の回転に伴って現像ローラ31に向かって移動しようとする。ただし、現像ローラ31が感光体ドラム21から離間した位置に配置されるので、廃現像剤は現像ローラ31との対向位置を通過して転写ローラ52へと搬送されていく。なお、退避位置E2とは、感光体ドラム21と現像ローラ31が離間し、ユニット11が着脱可能で、各カートリッジ3(3Y〜3K)が着脱可能である位置である。また、回収プロセス実行時、画像形成装置1の停止時に、各カートリッジ3は退避位置E2に配置される。さらに、モノクロ画像形成時に、カートリッジ3Y、3M、3Cは退避位置E2に配置される。なお、ブラック現像剤を収納しているカートリッジ3Bは、現像位置E1に位置している。
【0033】
転写ローラ52にはバイアス印加手段(不図示)によって回収転写バイアスが印加され、これにより廃現像剤はベルト51に移動する。ベルト51に移動した廃現像剤はベルト51の移動に伴って、ローラ61に向かって搬送される。ここで、ローラ61にはバイアス印加手段(不図示)によって、回収バイアスが印加され、ベルト51によって搬送された廃現像剤が回収される。回収された廃現像剤は、スクレーパ62によって、ローラ61より掻き落されて容器63に回収される。なお、前記排出バイアス、前記回収転写バイアス、前記回収バイアスは、ローラ23に捕集された現像剤の電荷の極性によって、適宜適正化しても良い。例えば、捕集された現像剤の電荷の極性がプラスの場合には、前記排出バイアスをプラス、前記回収転写バイアスをマイナス、前記回収バイアスをマイナスとすればよい。また、捕集された現像剤の電荷の極性がマイナスの場合には、この逆にすればよい。また、捕集された現像剤の電荷の極性がマイナスの場合には、帯電器22によって現像剤の電荷をプラスにして、前記回収転写バイアスをマイナス、前記回収バイアスをマイナスとすることも可能である。
【0034】
前述の回収プロセスが終了し、再び画像形成プロセスが実行される場合には、移動機構12によって、各カートリッジ3は、現像位置E1(図1(a)参照)に移動させられる。以上説明したように、画像形成プロセス及び回収プロセスが繰り返されると、連続した画像形成が可能となる。ただし、回収プロセスが画像形成の度に毎回実行されなくても良い。例えば、ローラ23が現像剤を捕集する捕集能力等によって、回収プロセスの実行タイミングが決定されても良い。連続して画像形成を実行するときには、所定のタイミングで回収プロセスを割り込ませることができる。
【0035】
図2(b)は、カートリッジ2Yの構成を示す断面図である。図2(b)に示されるように、枠体24には、感光体ドラム21の軸211(ドラム軸)、及び、ユーザがカートリッジ2Yを着脱するときに把持可能な把持部241が取り付けられている。把持部241に関しては、ユーザが把持部241を把持したまま軸211を中心に回動することができるように構成されている。
【0036】
図2(c)は、カートリッジ2Yの構成を示す斜視図である。図2(c)に示されるように、枠体24の長手方向の両端部に相当する側からは、感光体ドラム21の回転軸である軸211、及び、ローラ23(図2(b)参照)の回転軸である軸231(クリーニングローラ軸)が突出している。また、枠体24には、軸211を中心に回動自在でユーザが把持可能な把持部241、及び、軸211を中心に可動自在で軸211が貫通する係合部242が取り付けられている。把持部241及び係合部242は一体的に構成されている。なお、係合部242は、ドラムカートリッジ固定部材(以下、固定部材115という)と係合する凹部242aを有し、後述する固定部材115と係合する(図8参照)。
【0037】
把持部241及び係合部242が軸211を中心に矢印の方向に回動することから、図2(b)に示されるように、把持部241は、実線の位置から二点鎖線の位置へと反時計回りに回動する。把持部241及び係合部242の構成及び動作に関する詳細は後述する。感光体ドラム21やローラ23は、画像形成動作を繰り返すとともに劣化し、所定の寿命に到達したら交換される。このとき、感光体ドラム21、帯電器22、ローラ23は枠体24で一体化されているので、交換作業性を損なうことがない。
【0038】
図3(a)は、カートリッジ3Yの構成を示す断面図である。図3(a)に示されるように、カートリッジ3Yは、現像ローラ31、供給ローラ34、ブレード33が枠体35に取り付けられて一体化されたものである。現像ローラ31は、軸311(現像ローラ軸)を中心に回転自在になっている。
【0039】
図3(b)は、カートリッジ3Yの構成を示す斜視図である。図3(b)に示されるように、軸311は、枠体35の長手方向に突出して配置されている。また、枠体35には、係合部351(奥係合部)、係合部352(前係合部)、把持部353が設けられている。係合部351、係合部352、把持部353の構成及び動作に関する詳細は後述する。現像ローラ31、ブレード33(図3(a)参照)、供給ローラ34(図3(a)参照)は画像形成動作を繰り返すとともに劣化する。また、収容部32に収容された現像剤は、画像形成動作を繰り返すとともに消費される。したがって、所定の寿命に到達したら交換される。このとき、現像ローラ31、収容部32、ブレード33、供給ローラ34を枠体35で一体化されているので、交換作業性を損なうことがない(図3(a)参照)。
【0040】
図4(a)は、画像形成装置1の構成を示し、カートリッジカバー(以下、カバー101という)が閉状態にある構成を示す斜視図である。図4(a)に示されるように、装置本体10の側面の1つには開閉部材であるカバー101が開閉自在に取り付けられている(図4(b)参照)。
【0041】
図4(b)は、画像形成装置1の構成を示し、カバー101が開状態にある構成を示す斜視図である。図4(b)に示されるように、カバー101が開放されると、各カートリッジ2(2Y〜2K)、各カートリッジ3(3Y〜3K)、カートリッジ6を装置本体10に着脱するための開口である開口102(着脱開口)が露出する。
【0042】
図5(a)は、画像形成装置1の構成を示す断面図である。図5(a)は、カバー101が開放された状態を示している。カバー101が開放されると、図5(a)に示されるように、リンク機構(不図示)によって、ベルト51、転写ローラ52、ローラ53、ローラ54が上方に移動し、感光体ドラム21とベルト51が離間した状態となる。また、カバー101が開放されると、移動機構12により、各カートリッジ3が退避位置E2に移動する。なお、このとき、感光体ドラム21は、ドラムカートリッジ支持ユニット(以下、ユニット11という)に着脱可能に支持されている(図5(b)参照)。
【0043】
図5(b)は、画像形成装置1の構成を示す正面図である。図5(b)は、カバー101が開放された状態を示している。開口102が露出している。このとき、各カートリッジ3は、ユニット11及び開口102と干渉しない位置である退避位置E2に配置されている。ユニット11、各カートリッジ3、カートリッジ6は、図5(b)において手前側に引き出せる。そして、各カートリッジ2、各カートリッジ3、および、カートリッジ6は交換される。
【0044】
図6(a)は、画像形成装置1の構成を示す斜視図であり、ユニット11が手前側に引き出された状態が示されている。図6(a)に示されるように、ユーザがユニット11を手前に引き出すことで、4つのカートリッジ2Y〜2Kは、まとめて装置本体10の外部に引き出される。
【0045】
図6(b)は、画像形成装置1の構成を示す斜視図であり、ユニット11が手前側に引き出され、カートリッジ2Kの把持部241が引き起こされた状態が示されている。前述したように、カートリッジ2Kの把持部241は、軸211(図2(c)参照)を中心に揺動自在となっている。ユーザがカートリッジ2Kをユニット11から取り外す場合には、図6(b)に示されるように、ユーザは、把持部241を揺動し、後に詳細を述べるカートリッジ2Kとユニット11の固定を解除する。
【0046】
図7は、画像形成装置1の構成を示す斜視図であり、ユニット11からカートリッジ2Kが外された状態が示されている。把持部241が引き起こされたカートリッジ2Kは、ユニット11からの固定が解除された状態にある。したがって、図7に示されるように、カートリッジ2Kは、ユーザによって、ユニット11の上方に取り出し自在となる。
【0047】
カートリッジ2Kを取り付けるときは、これらの操作の逆を行えばよい。なお、図6(b)及び図7の説明において、ブラックのカートリッジ2Kを例示して説明したが、他のカートリッジ2Y、2M、2Cについても同じ構成である。そのため、カートリッジ2Kの説明は援用される。
【0048】
支持ユニット(ドラムカートリッジ支持部材)11は、カートリッジ2Y〜2Kを支持する。ここで、装置本体10の内部で感光体ドラム21が画像形成する位置を第1位置D1(図4(b)参照)とし、装置本体10の外部で感光体ドラム21が着脱自在となる位置を第2位置D2とする。ユニット11は、第1位置D1及び第2位置D2の間で感光体ドラム21の軸方向に移動自在である。また、ユニット11は、側板111(前側板)及び側板112(奥側板)を有している。側板111及び側板112には、軸211を受け入れる溝113(ドラム軸溝)、及び、軸231(クリーニングローラ軸)を受け入れる溝114(クリーニングローラ軸溝)が設けられている。溝113及び溝114は、上方に向かって開口するU字形状である。
【0049】
また、ユニット11は、固定部材(ドラムカートリッジ位置決め部)115を有している。固定部材115は回動可能に支持されている。固定部材115には、溝部1151(U字状溝部)が設けられている。前述の構成から、各カートリッジ2がユニット11に装着される場合には、軸211は溝113及び溝部1151によって位置決めされる。また、軸211は、固定部材115が回転することによって固定される。
【0050】
また、固定部材115は溝113の内側に配置されている。固定部材115に設けられている溝部1151は、各カートリッジ2の着脱時の状態で上方に向かって開口するU字形状である。
【0051】
また、溝113の寸法が軸211の寸法よりも大きく、溝113と軸211は嵌合可能となっている。また、溝113と溝部1151は同一形状を有している。更に、固定部材115は、溝部1151の円弧の中心を基準に揺動可能に支持されている。
【0052】
カートリッジ2Kは、ユニット11の上方から取り付けられる。この場合に、枠体24の長手方向の両端から突出した軸211は、溝113及び溝部1151に落とし込まれる。同様に、枠体24の長手方向の両端から突出した軸231は、溝114に落とし込まれる。
【0053】
図8(a)及び図8(b)は、ユニット11の構成を示す部分拡大斜視図である。図8(a)は図6(b)と対応し、カートリッジ2Kが取り出し自在にされた状態を示している。図8(b)は図6(a)と対応し、カートリッジ2Kが取り出し不可にされた状態を示している。この図8(a)、(b)を参照し、カートリッジ2Kがユニット11から取り出し自在な状態から取り出し不可の状態へと移行する動作に関して説明する。なお、実施例1では、ブラック現像剤を収納しているカートリッジ2Kを例にあげて説明するが、他のカートリッジ2Y、2M、2Cについても同じ構成であるため、カートリッジ2Kの説明は援用されるものとする。また、図8(a)及び図8(b)では、側板111、溝113、溝114は二点鎖線で表されている。また、図8(a)は、把持部241を引き起こした状態を示し、図8(b)は把持部241を倒した状態を示している。なお、側板112側についても、同様の構成であるため、側板111の構成及び動作に関する説明が援用される。
【0054】
図8(a)に示されるように、カートリッジ2Kがユニット11に落とし込まれると、軸211は溝113及び溝部1151に収まり、軸231は溝114に収まる。さらに、係合部242は固定部材115と係合する。この状態において、カートリッジ2Kは溝113及び溝部1151によって位置決めされた状態になっている。ここで、溝113、溝部1151は、ともに上方が開放された状態にある。したがって、カートリッジ2Kはユニット11に固定されているわけではないので、上方に取り外すことは可能である。
【0055】
図8(b)に示されるように、把持部241を倒すと、固定部材115は、係合部242と係合しているため、軸211を中心に揺動する。このとき、軸211は溝113及び溝部1151の両方に支持されたままである。溝部1151は固定部材115とともに揺動している。そのため、カートリッジ2Kは上方に引き抜くことが出来なくなる。すなわち、カートリッジ2Kは、ユニット11に位置決めされて固定された状態となる。なお、カートリッジ2Kをユニット11から取り外す場合には、これの逆の操作を行えばよい。このようにカートリッジ2Kは、軸211の長て方向(感光体ドラム21の長て方向)の両端に設けられた、上方向が開放された溝に落とし込むというシンプルな構成で、ユニット11に位置決めされる。
【0056】
図9(a)は、各カートリッジ2が装着された状態のユニット11の斜視図である。なお、図9(a)は、ユニット11の側板112側から見た斜視図である。ユニット11は、装置本体10に対して装着方向Y1及び引出方向Y2の方向に移動可能である。装着方向Y1及び引出方向Y2の方向とは、軸211と平行な方向(装着された各カートリッジ2の長て方向と平行な方向)である(図7参照)。図9(a)に示されるように、ユニット11は、引出方向Y2と直交する幅方向の両側で、引出方向Y2に延びる第1ガイド部116a及び第2ガイド部116bを有する。また、ユニット11は、装着方向Y1の奥側で、装着方向Y1と直交する方向に延びる側板112を有する。さらに、ユニット11は、引出方向Y2の前側で、引出方向Y2と直交する方向に延びる側板111を有する。
【0057】
ガイド部116aには、装着方向Y1の側の端部に奥位置決めピン117が設けられており、また、引出方向Y2の側の端部から装着方向Y1へと折り返して屈曲する前位置決めピン118が設けられている。同様に、ガイド部116bには、装着方向Y1の側の端部に奥位置決めピン117が設けられており、また、引出方向Y2の側の端部から装着方向Y1へと折り返して屈曲する前位置決めピン118が設けられている。そして、ユニット11は、奥位置決めピン(支持部材位置決め部)117及び前位置決めピン(支持部材位置決め部)118で装置本体10に位置決めされる(後述)。
【0058】
図9(b)は、装置本体10の斜視図である。図9(b)では、ユニット11の移動、各カートリッジ3の着脱に関して説明し易くするために、装置本体10の外観に相当する部分は二点鎖線で示されている。図9(b)に示すように、装置本体10は、ユニット11の引出方向Y2の側に壁103(前側壁)を備えている。壁103には、前位置決め孔(位置決め部)1031が設けられている。装置本体10に対してカバー101が開放されると、壁103に設けられた開口102が露出するようになっている。開口102は、カートリッジ2及びカートリッジ3を着脱自在とする。開口102は、カートリッジ3がカートリッジ2から退避位置E2(図5(a)(b)参照)に退避した後に装置本体10から引き出される際に、カートリッジ3の各々と干渉しない形状である。
【0059】
また、装置本体10は、ユニット11の装着方向Y1の側に壁104(奥側壁)を備えている。壁104には、奥位置決め孔(位置決め部)1041が設けられている。壁103と壁104の間には、第1レール105a(第1ガイドレール)及び第2レール105b(第2ガイドレール)が引出方向Y2に沿う方向に延びるように配置されている。
【0060】
ユニット11は、この図9(b)に示す装置本体10に対して、装着方向Y1及び引出方向Y2のいずれの方向にも移動可能に支持される。そして、ユニット11は、装着方向Y1の方向に移動されると装置本体10の内部の第1位置D1に収容され(図4(b)参照)、引出方向Y2の方向に移動されると装置本体10の外部の第2位置D2に配置される(図6(a)参照)。
【0061】
また、ユニット11が装置本体10に装着される場合には、ガイド部116a(図9(a)参照)がレール105aに係合し、ガイド部116b(図9(a)参照)がレール105bに係合する。こうしてユニット11の移動軌跡が規制される。さらに、ユニット11が装着方向Y1に移動すると、ピン117が孔1041に嵌合し、ピン118が孔1031に嵌合する。このように、ピン117及び孔1041、並びに、ピン118及び孔1031が、それぞれ嵌合することにより、ユニット11が装置本体10に対して位置決めされる。このことから、カートリッジ2は装置本体10に位置決めされる。そして、図4(a)に示されるように、カバー101が閉じられれば、図1(a)に示されるように、画像形成動作を実行することができる。
【0062】
以上、説明したように、カートリッジ2は、溝113及び溝部1151に上方から落とし込まれることで、ユニット11に位置決めされる。更に把持部241を揺動させることで、カートリッジ2はユニット11に固定される。また、ユニット11は、装着方向Y1に移動させることで、ピン117が孔1041に嵌合して位置決めされ、ピン118が孔1031に嵌合して位置決めされる。すなわち、特に複雑な構成を用いることなく、カートリッジ2は、装置本体10に位置決めされる。
【0063】
また、図9(b)に示すように、装置本体10の内部には、カートリッジ3を感光体ドラム21の軸と直交する方向で現像位置E1及び退避位置E2に移動する移動機構(現像カートリッジ移動手段)12が配置されている。移動機構12は、現像ローラ31が感光体ドラム21の表面の静電潜像を現像する場合に、カートリッジ3を現像位置E1(図1(a)参照)に移動させる。また、移動機構12は、カートリッジ2やカートリッジ3の着脱を行う際に、カートリッジ3をカートリッジ2から退避させて退避位置E2まで移動させる。なお、カートリッジ2を着脱する場合とは、ユニット11を第1位置D1及び第2位置D2の間で移動する場合をいう。現像位置E1は図1(a)に、退避位置E2は図1(b)及び図5(a)(b)に、第1位置D1は図4(b)に、第2位置D2は図6(a)に記載されている。
【0064】
移動機構12は、装置本体10に両端部が回動自在に支持された軸122(揺動中心軸)、軸122に端部が取り付けられたアーム121(揺動アーム)を備えている。軸122は、軸211に沿う方向に延びるように配置されている。また、アーム121は、装置本体10の壁104の面に沿う方向に延びるように配置されている。また、装置本体10には、カートリッジ3の移動をそれぞれ下側で案内する現像カートリッジガイド(以下、ガイド106という)が配置されている。ガイド106は、カートリッジ3を移動機構12に対して着脱するためのガイドである。カートリッジ3を装置本体10に着脱するとき、枠体35(図3(a)参照)はガイド106と係合するので移動軌跡が規制される。
【0065】
図10は、移動機構12がカートリッジ3Kを支持した状態を示す斜視図である。図10中で、カートリッジ3Kは、枠体35を有し、引出方向Y2の側に係合部352を有し、装着方向Y1の側に係合部351を有する。また、カートリッジ3Kは、収容部32、軸311、及び、軸311を中心として回転する現像ローラ31を有する。
【0066】
この一方で、装置本体10が備える移動機構12は、軸122、アーム121、および、被係合部123を備えている。アーム121は、軸122における装着方向Y1の奥端部側に取り付けられている。被係合部123は、軸122における引出方向Y2の前端部側に配置されており、係合部352に係合される。アーム121の長手方向の中央側には、係合部351に係合される被係合部1213(奥被係合部)が設けられている。アーム121の一端部には、軸122が嵌合される嵌合孔122aが設けられている。アーム121の他端部には、軸311が係合するカップリング1211(現像カップリング)が設けられている。
【0067】
装置本体10にカートリッジ3Kが装着されると、アーム121に回動可能に支持されたカップリング1211に対して、軸311が係合する。また、カップリング1211には、軸311とは反対側に駆動手段(不図示)と接続される軸1212(現像駆動軸)が設けられている。軸1212が回転するとカップリング1211を介して回転力が伝達されて、現像ローラ31が回転する。また、被係合部1213には、カートリッジ3に設けられた係合部351が係合する。一方、アーム121は軸122を中心に揺動可能に支持され、軸122は回動可能に支持されている。更に、軸122の引出方向Y2の側には、被係合部123が設けられ、カートリッジ3の係合部352と係合する。被係合部123は軸122とともに回動可能に支持されている。
【0068】
こうして、カートリッジ3Kは、移動機構12によって支持される。そして、カートリッジ3は、軸122が回動すれば、軸122を中心に揺動する。画像形成装置1が前述した画像形成プロセスを実行するとき、軸122は、図1(a)に示すように、現像ローラ31を現像位置E1まで回動する。また、画像形成プロセスから回収プロセスに移行するとき、軸122は、反時計回りに回動する(図1(a))。そして、軸122は、現像ローラ31と感光体ドラム21が離間する退避位置E2になるように、カートリッジ3を揺動する(図1(b))。
【0069】
ところで、画像形成装置1がフルカラー画像を形成するとき、4つの現像ローラ31Y、31M、31C、31Kは、現像位置E1に移動している(図1(a))。しかし、モノクロ画像を形成するときは、現像ローラ31Kを現像位置E1に移動し、現像ローラ31Y、31M、31Cを退避位置E2に移動しても良い。このようにすることで、モノクロ画像を形成しているとき、カートリッジ3Y、3M、3Cの消耗を防ぐことができる。
【0070】
また、実施例1で示されるように、接触型の現像ローラ31を採用する場合、感光体ドラム21と現像ローラ31を接触させたまま長期間放置すると、これらに接触痕が形成されるおそれがある。この接触痕は画像に現れるおそれがある。したがって、画像形成プロセスを実行するとき以外は現像ローラ31を退避位置E2に移動しても良い。
【0071】
図11(a)は、移動機構12の奥側の部分拡大図である。図11(a)では、アーム121は二点鎖線で示され、カバー101が開放された状態が示されている。
【0072】
図11(a)に示すように、軸122には、軸122を回動可能なギア1221(回動ギア)が配置されている。ギア1221には、アーム121を一方向に付勢するアームバネ(弾性力)1222が設けられている。バネ1222は、アーム121を反時計回りに付勢する。
【0073】
軸124(駆動入力軸)は、駆動源(不図示)に接続されており、ギア1241(駆動入力ギア)を駆動する。プレート125(カムプレート)は、軸124を中心軸として揺動自在に支持されている。また、プレート125には、ギア1241の駆動力をギア1221に伝達するギア1251(アイドラギア)が回転自在に設けられている。さらに、プレート125には、ピン1262(カムロッドピン)と係合する穴1252(カム穴)が設けられている。
【0074】
ロッド126(カムロッド)は、矢印X1の方向及び矢印X2の方向に移動可能に支持されており、付勢部材(付勢手段、不図示)によって矢印X1の方向に付勢されている。また、ロッド126には、穴1252と係合するピン1262が設けられている。
【0075】
ロッド127(カバーロッド)は、装着方向Y1及び引出方向Y2に移動可能に支持されており、付勢部材(付勢手段、不図示)によって引出方向Y2に付勢されている。また、ロッド127は、カバー101の開閉動作に連動して、装着方向Y1及び引出方向Y2に移動する。カバー101を閉じるとロッド127は係合部(不図示)によって装着方向Y1に押し込まれ、カバー101を開放すると前記付勢部材によって引出方向Y2に移動する。
【0076】
カバー101が開放した状態にあるとき、ロッド127は前記付勢部材により引出方向Y2に移動した状態となる。このとき、ロッド126は前記付勢部材により矢印X1の方向に移動した状態である。このときギア1251とギア1221は離間した状態である。したがってアーム121は、バネ1222(アームバネ)の作用により(図11(a)における反時計回りの方向に)揺動した状態にある。したがって、カートリッジ3は退避位置E2(図5(a)(b)参照)に支持された状態となっている。
【0077】
図11(b)は、移動機構12の奥側の部分拡大図である。図11(b)では、アーム121は二点鎖線で示され、カバー101が閉じられた状態が示されている。カバー101が閉じられることで、図11(b)に示されるように、ロッド127は装着方向Y1に移動する。このときに、ロッド127の先端に設けられた斜面1271は、ロッド126に設けられた斜面1261と当接する。ロッド127が装着方向Y1へと移動し続けるにしたがって、ロッド126は矢印X2の方向に移動する。この動作に伴って、ロッド126に設けられたピン1262は、矢印X2の方向に移動する。
【0078】
ピン1262は、プレート125に設けられた穴1252と係合している。プレート125は軸124を中心に揺動可能に支持されている。したがって、プレート125は(図11(a)における反時計回りの方向に)揺動する。
【0079】
また、プレート125にはギア1251が配設されている。そのため、ギア1251は(図1(a)における反時計回りの方向に)揺動する。すると、ギア1251とギア1221が当接する。このとき、ギア1241、ギア1251、及び、ギア1221は駆動力の伝達が可能な状態となり、軸124の駆動力が軸122に伝達可能となる。したがって、軸124を所定量駆動させれば、アーム121は、軸122とともに揺動し、カートリッジ3を現像位置E1(図1(a)参照)移動することができる。
【0080】
再び、カバー101を開放すれば、前述した動作と逆の動作が行われ、図11(a)に示した状態となる。つまり、本構成によれば、カートリッジ3が退避位置E2以外の何れの位置にあっても、カバー101を開放すれば、カートリッジ3を退避位置E2(図5(a)(b)参照)に移動することができる。
【0081】
ギア1221、バネ1222、軸124、ギア1241、プレート125、ギア1251、および、穴1252といった連動手段は、全てのカートリッジ3に対する移動機構12に設けられている。また、ロッド126は、図11(a)に示す部分よりも更に矢印X2方向に延長されている。ピン1262は、全てのプレート125を揺動することが可能となっている。
【0082】
次に、カートリッジ3Kの交換方法に関して述べる。ユーザは、まず、カバー101を閉状態(図4(a)参照)から開状態(図4(b)参照)へと移行させる。カバー101が開放されると、移動機構12は、各カートリッジ3を退避位置E2へと移動させる(図5(a)及び図5(b)参照)。各カートリッジ3は、装置本体10の内部にあるときには、移動機構12で支持されている。このときに、カートリッジ3Kは、軸311がカップリング1211、係合部351が被係合部1213、係合部352が被係合部123によって支持されている(図10参照)。一方、カップリング1211、被係合部1213、123は、カートリッジ3の引出方向Y2に向かって開口する穴である(図10参照)。そのために、カートリッジ3は引出方向Y2へ移動可能である。ユーザは、退避位置E2に移動したカートリッジ3Kを引出方向Y2へと引き抜き、カートリッジ3Kを移動機構12から離脱させる。ユーザは、カートリッジ3Kをガイド106(図9(b)参照)に沿って引き出す(図12参照)。
【0083】
図12は、引き出されたカートリッジ3K及び装置本体10の構成を示す斜視図である。図12に示されるように、カバー101が開放されると、移動機構12(図9(b)参照)が、カートリッジ3Kを退避位置E2(図5(a)(b)参照)に移動する。ユーザは、カートリッジ3Kの把持部353を把持して、カートリッジ3Kを引出方向Y2へと引き抜くことができる。カートリッジ3Kを装置本体10に装着する場合には、これらの動作と逆の動作を行えばよい。
【0084】
以上説明したように、カートリッジ2はユニット11に支持された状態で装置本体10の外部へ引き出された後、ユニット11の上方から着脱可能となっている。したがって、各カートリッジ2の位置決めは、シンプルな構成とすることができる。
【0085】
また、カバー101を開放すると全てのカートリッジ3は、移動機構12(図9(b)参照)によって、退避位置E2に移動する。すなわち、カバー101を開放すると、ユニット11、各カートリッジ3がそれぞれ独立して順番に関係なく自在に着脱可能となる。即ち、各カートリッジ3は、どのカートリッジ3であっても、装置本体10に対して独立して着脱できる。
【0086】
更に、本実施例で説明したように、画像形成プロセスを実行しているときに各カートリッジから発生する廃現像剤は、共通のカートリッジ6に回収される。すなわち、各カートリッジ2が廃現像剤回収部を有する構成に比べ、カートリッジ2を小型化することができる。従って、ユニット11を移動させるときの負荷を軽減することができる。
【実施例2】
【0087】
図13(a)は、実施例2に係る画像形成装置200の構成を示す斜視図である。図13(a)は、カバー101を開放して、カートリッジ3Kを装置本体10から引出方向Y2へと引き出した状態を示している。実施例2の画像形成装置200の構成のうち実施例1の画像形成装置1と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を適宜省略する。実施例2の画像形成装置200が実施例1の画像形成装置1と異なる点は、以下の点である。
【0088】
まず、画像形成装置200が、ユニット11に換えて、ドラムカートリッジ支持ユニット(ドラムカートリッジ支持部材)(以下、ユニット511(支持ユニット)という)を備えている点である。そして、ユニット511には、各カートリッジ3を現像位置E1に移動させるときに、現像ローラ31を感光体ドラム21へと案内する現像ローラガイド溝(現像ローラガイド手段)16が設けられている点である。なお、ここでは、ガイド溝16は、カートリッジ3を中間位置E3から現像位置E1に移動させるときに、現像ローラ31を感光体ドラム21へと案内するようになっている。ただし、必ずしも中間位置E3から感光体ドラム21へ案内しなくても良い。中間位置E3とは、現像ローラ31が退避位置E2程には感光体ドラム21の側から大きく移動せず、回収プロセス時、モノクロ画像形成時、画像形成装置1の停止時では支障をきたさない程度に現像ローラ31が感光体ドラム21から離れた位置である。なお、モノクロ画像形成の場合には、中間位置E3に位置するのは、カートリッジ3Y、3M、3Cに限られる。また、仮に、ユニット511、各カートリッジ3を着脱する場合には、これらの着脱軌跡の基となる枠体35からアーム151(揺動アーム)を退避位置E2まで退避する構成を想定する。この場合には、アーム151の移動量を大きく設定する必要が生じてしまう。これを回避するための構成といえる。
【0089】
また、現像カートリッジ移動機構(以下、移動機構15という)は、ユニット511に取り付けられる点である(図14(b)も参照)。この点で、実施例1では、移動機構12が装置本体10に取り付けられていたのと異なる。
【0090】
なお、中間位置E3は、現像位置E1から退避位置E2までの距離の丁度半分というわけではなく、その間のいずれの位置であっても良い。そして、現像ローラ31が現像する場合には、カートリッジ3を現像位置E1に移動する。現像ローラ31が現像しない場合であってユニット511の移動又はカートリッジ3の着脱がされない場合には、カートリッジを中間位置E3に移動する。現像ローラ31が現像しない場合であって、ユニット511の移動又はカートリッジ3の着脱がされる場合には、カートリッジ3を退避位置E2に移動する。なお、移動機構15がカートリッジ3を現像位置E1及び退避位置E2の他に、中間位置E3に移動する技術に関しては、実施例1及び実施例3の移動機構12にも適用されても良い。
【0091】
図13(a)に示すように、カートリッジ3Kは、枠体35の長手方向の両端から軸311が突出している。
【0092】
図13(b)は、画像形成装置200の構成を示す側面図である。図13(b)は、カバー101が開放された状態を示している。図13(b)に示されるように、カバー101が開放されると、カートリッジ3は退避位置E2に移動する。また、ユニット511には、移動機構15、ガイド溝16が設けられている。
【0093】
図14(a)は、装置本体10の構成を示す斜視図である。図14(a)は、装置本体10の内部で、ユニット511、カートリッジ3を着脱する部分を説明し易くするために、画像形成装置200の外観を二点鎖線で示している。図14(a)に示すように、カバー101には前現像カートリッジラフガイド(以下、ガイド1011(前ラフガイド)という)が設けられ、壁103に設けられた開口102の内側にはガイド106が配設されている。壁104には奥現像カートリッジラフガイド(以下、ガイド1042(奥ラフガイド)という)が設けられ、係合部1043(駆動入力軸係合部)が配設されている。カバー101が閉じられると、ガイド1011とガイド1042は互いに対向するように設定されている。
【0094】
図14(b)は、ユニット511の構成を示す斜視図である。図14(b)に示されるように、ユニット511は移動機構15を備えている。また、ユニット511は側板111及び側板112を備えており、これらの側板111、112の下部側にはガイド溝16が設けられている。移動機構15は、側板111、112の外側に配設されたアーム151、それぞれのアーム151を揺動するための揺動軸152、係合部1043(図15参照)と係合する係合部1521、を備えている。ユニット511が装置本体10に装着されると、係合部1521及び係合部1043が係合する。係合部1043には駆動源(不図示)より駆動力が入力され、アーム151が揺動するように設定されている。
【0095】
図15(a)は、移動機構15の構成を示す一部拡大斜視図である。図15(a)に示す場合には、カートリッジ3Kは、退避位置E2に配置されている。図15(a)は、ユニット511及びカートリッジ3Kが装置本体10に装着された状態を示している。なお、ここでは、移動機構15の側板112の側のみに関して説明するが、側板111の側も同様の構成である。このために、側板112の側の説明は、側板111の側の構成の説明に援用されるものとする。図15(a)に示すように、ユニット511が装置本体10に装着されると、係合部1521及び係合部1043が係合する。また、カートリッジ3が装置本体10に装着されると、軸311の先端は、ガイド106に案内されてガイド1042に納まる。
【0096】
図15(b)は、移動機構15の構成を示す一部拡大斜視図である。図15(b)は、カートリッジ3Kが現像位置E1に配置される状態を示している。図15(a)に示す状態でアーム151が揺動すると、図5(b)に示すようにアーム151が軸311と当接する。そして、このままアーム151を揺動させると、アーム151は、カートリッジ3Kを現像位置E1に移動する。
【0097】
なお、係合部1043には、実施例1で説明した移動機構12と同様のカム機構が組み込まれる。したがって、カバー101が開放されると、アーム151は揺動して図16(a)に示す退避位置E2まで移動する。
【0098】
図16は、アーム151の動作を示す画像形成装置200の拡大側面図である。図16(a)は、アーム151が軸311から離間しており、カートリッジ3Kが退避位置E2に配置されている状態を示している。図16(b)は、アーム151が軸311に接触しているが、カートリッジ3Kが中間位置E3に配置されている状態を示している。図16(c)は、アーム151が軸311に接触しており、カートリッジ3Kが現像位置E1に配置されている状態を示している。なお、ガイド1011は二点鎖線で示されている。なお、図16では手前側のアーム151の構成のみを説明しているが、奥側も同構成であるため、説明は割愛する。
【0099】
図16(a)に示すように、アーム151が軸311に当接していない場合には、カートリッジ3Kはユニット511から離間した位置にある。また、カートリッジ3Kはガイド106によってガイドされている。したがって、ユーザがカバー101を開放し、ユニット511をこのまま手前に引き出すことで、カートリッジ3Kは、装置本体10から取り出すことが可能となる。また、カートリッジ3Kを装置本体10に装着するときは、ガイド106に沿って挿入し、カバー101を閉じればよい。
【0100】
ここで、ガイド1011は、軸311と所定のガタを持つように設定している。カバー101が開閉される場合に、ガイド1011が軸311に対してある程度隙間がないと、カバー101のスムーズな開閉動作に支障をきたすおそれがあるからである。
【0101】
図16(c)に示すように、画像形成プロセスを実行するとき、係合部1043(図15参照)が所定量駆動し、アーム151は、反時計回りに揺動する。そして、アーム151は軸311と係合する。このとき軸311はガイド1011に規制されている。したがって、カートリッジ3Kはガイド1011の形状に沿って移動する。アーム151が揺動すると、軸311はガイド溝16(現像ローラガイド溝)に係合する。
【0102】
ガイド溝16は、ユニット511の側板111に設けられている。カートリッジ2Kを位置決めするドラム軸溝(位置決め部)113も、側板111に設けられている。また、アーム151も同様に、側板111にて揺動可能に支持されている。すなわち、ガイド溝16、アーム151は、感光体ドラム21に対して、高精度を保証することができる。軸311はガイド溝16によってガイドされ、アーム151にて現像位置E1に移動される。したがって、感光体ドラム21と現像ローラ31の位置精度は、高精度に保証することができる。
【0103】
図16(b)に示すように、回収プロセスを実行するとき、係合部1043(図15参照)が所定量駆動し、アーム151は時計回りに揺動し、現像位置E1及び退避位置E2の間の中間位置E3に移動する。回収プロセスを実行するとき、感光体ドラム21と現像ローラ31は離間する必要がある。しかし、この離間量は回収プロセスに影響を与えなければ良く、現像ローラ31を退避位置E2まで離間する必要はない。特に、本実施例において、ガイド溝16は側板111よりも突出しているため、退避位置E2まで移動するには、アーム151の移動量を大きくしなければならない。
【0104】
画像形成プロセス、回収プロセスは画像形成動作を実行するとき、所定のタイミングで繰り返される。これらのプロセスを切り替えるときアーム151の移動量を小さくすることで、切り替え時間の短縮を図ることが可能である。また、前述したように、フルカラー画像、モノクロ画像を切り替えるときについても同様に、切り替え時間の短縮を図ることができる。
【0105】
このように、カートリッジ3Kは、アーム151によって、現像位置E1、退避位置E2、そして中間位置E3に移動可能となる。
【0106】
以上説明したように、カートリッジ2を支持するユニット511に現像ローラ31をガイドするガイド溝16を設けると、感光体ドラム21と現像ローラ31の相対的な位置精度向上を図ることができる。
【0107】
また、移動機構15をユニット511に配設することで、現像位置E1における現像ローラ31の位置を感光体ドラム21に対して高精度に保証することができる。
【0108】
更に、所定のプロセス例えば回収プロセス実行時、モノクロ画像形成時、画像形成装置1の停止時に、カートリッジ3を現像位置E1と退避位置E2との間にある中間位置E3に移動させる。このことで、画像形成プロセスと前述した所定のプロセスの切り替え時間の短縮化を図ることができる。なお、前述したが、カートリッジ3を中間位置E3に移動させる構成に関しては、実施例1の構成に適用でき、実施例1の構成に適用した場合でも、画像形成プロセスと前述の所定のプロセスの切替時間の短縮化を図ることができる。
【実施例3】
【0109】
図17(a)は、実施例3に係る画像形成装置300の構成を示す断面図である。実施例3の画像形成装置300の構成のうち実施例1又は2の画像形成装置1、200と同一の構成及び効果に関しては、同一の符号を用いて説明を省略する。実施例1又は2の画像形成装置1、200では、各カートリッジ2の下方にLEDヘッド4が配置されていたが、実施例3の画像形成装置300では、各カートリッジ2の上方にLEDヘッド4が配置される点が異なる。
【0110】
図17(a)に示すように、各カートリッジ2の上方に、LEDヘッド4が配置されている。これに伴って、各カートリッジ3、転写部5、カートリッジ6の配置が変更されている。また、実施例1又は2と同様に、カートリッジ2はユニット11、511に位置決めされている。さらに、カートリッジ3の各々は、移動機構12または移動機構15に支持されている。そして、カートリッジ3の各々は、現像位置E1、退避位置E2、または、中間位置E3に移動可能である。
【0111】
図17(b)は、画像形成装置300の構成を示す正面図である。図17(b)は、カバー101が開放された状態を示している。図17(b)に示すように、カバー101が開放されると、カートリッジ3の各々が移動機構12によって退避位置E2に移動する。このときに、ユニット11及び各カートリッジ3は、それぞれ独立して着脱自在となる。
【0112】
図18は、装置本体10の上部に原稿読取装置14が搭載された画像形成装置400の構成を示す斜視図である。このような構成の画像形成装置400において、ユーザがカートリッジ2を装置本体10の上方から着脱するには、原稿読取装置14を各カートリッジ2の上方から退避させなければならない。
【0113】
前述した実施例1〜3の構成では、従来技術のような構成の画像形成装置でも、カバー101を開放すれば、転写ローラ52、原稿読取装置14等を退避しなくても、各カートリッジ2(2Y〜2K)、各カートリッジ3(3Y〜3K)を着脱できる。即ち、前述した従来技術の実施例1又は2に示す構成では、現像カートリッジを装置本体の上部から着脱するには、1次転写ローラやドラムカートリッジを退避しなければならなかった。さらに、前述した従来技術の実施例3に示す構成では、ドラムカートリッジを装置本体の上部から着脱するには、現像カートリッジ、LEDヘッドを退避する必要があった。しかしながら、本発明を適用した前述した実施例1〜3の構成では、そのような必要がない。
【0114】
実施例1〜3の画像形成装置によれば、複数のカートリッジ2Y〜2Kを支持するユニット11、511を有する構成を前提とする一方で、個別の交換の可能性が高いカートリッジ3Y〜3Kを個別に容易に交換することができる。
【0115】
前述した各実施例によれば、複数のカートリッジ2及び複数のカートリッジ3が着脱される場合に、個別のカートリッジ2はユニット11(511)が引き出されてから取り出される。そして、個別のカートリッジ3は装置本体10から個別に直接に取り出すことができる。その結果、複数のカートリッジ2を支持するユニット11(511)を有する構成を前提とする一方で、個別の交換の可能性が高いカートリッジ3が個別に容易に交換できる。
【符号の説明】
【0116】
1・・電子写真画像形成装置、2Y〜2K・・ドラムカートリッジ、3Y〜3K・・現像カートリッジ、10・・装置本体(電写真画像形成装置本体)、11、511・・ユニット(ドラムカートリッジ支持部材)、12、15・・移動機構(現像カートリッジ移動手段)、21・・感光体ドラム(電子写真感光体ドラム)、31・・現像ローラ、102・・開口(開口)、117・・奥位置決めピン(支持部材位置決め部)、118・・前位置決めピン(支持部材位置決め部)、1151・・溝部(ドラムカートリッジ位置決め部)、D1・・第1位置、D2・・第2位置、E1・・現像位置、E2・・退避位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体と、複数のドラムカートリッジと、前記ドラムカートリッジの有する電子写真感光体ドラムに形成された靜電潜像を現像する現像ローラを有する複数の現像カートリッジと、前記ドラムカートリッジを支持して、前記画像形成装置本体の内部で前記電子写真感光体ドラムが画像形成を行う位置を第1位置として、また、前記画像形成装置本体の外部で前記電子写真感光体ドラムが着脱自在となる位置を第2位置とした場合に、前記第1位置及び前記第2位置の間で前記電子写真感光体ドラムの軸方向に移動自在なドラムカートリッジ支持部材と、前記現像カートリッジを前記靜電潜像の現像を行う現像位置及び前記現像位置から離れた退避位置に移動自在な現像カートリッジ移動手段と、を有し、
前記ドラムカートリッジは、前記ドラムカートリッジ支持部材が前記第2位置にあるときに、前記ドラムカートリッジ支持部材の上方から着脱自在であり、
前記現像カートリッジは、前記電子写真感光体ドラムの軸方向と平行な方向に着脱自在であり、
前記ドラムカートリッジ支持部材は、前記ドラムカートリッジを前記ドラムカートリッジ支持部材に位置決めするドラムカートリッジ位置決め部と、前記ドラムカートリッジ支持部材を前記画像形成装置本体に位置決めする支持部材位置決め部と、を有し、
前記現像カートリッジ移動手段は、前記現像ローラが前記靜電潜像を現像する場合には前記現像カートリッジを現像位置に移動させ、前記ドラムカートリッジ支持部材が前記第1位置及び前記第2位置の間で移動する場合又は前記現像カートリッジが着脱される場合には、前記現像ローラが退避する退避位置に前記現像カートリッジを移動させることを特徴とする電子写真画像形成装置。
【請求項2】
さらに、前記画像形成装置本体に設けられ、前記ドラムカートリッジ及び前記現像カートリッジが着脱するための開口と、
前記開口を開閉するカバーと、
前記カバーが開かれると前記現像カートリッジを退避位置に移動する連動手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項3】
さらに、前記ドラムカートリッジ支持部材は、前記現像カートリッジ移動手段が前記現像カートリッジを前記現像位置に移動させるときに、前記現像ローラを前記電子写真感光体ドラムの方へと案内して位置決めする現像ローラガイド手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項4】
前記現像カートリッジ移動手段は、前記ドラムカートリッジ支持部材に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子写真画像形成装置。
【請求項5】
前記現像カートリッジ移動手段は、前記現像位置及び前記退避位置の間で前記現像ローラが前記電子写真感光体ドラムから離間した中間位置に前記現像カートリッジを移動自在であり、
前記現像ローラが前記靜電潜像を現像する場合には、前記現像カートリッジを前記現像位置に移動し、
前記現像ローラが現像を行わない場合であって前記ドラムカートリッジ支持部材の移動又は前記現像カートリッジの着脱が行われない場合には、前記現像カートリッジを前記中間位置に移動し、
前記現像ローラが現像を行わない場合であって前記ドラムカートリッジ支持部材の移動又は前記現像カートリッジの着脱が行われない場合には、前記現像カートリッジを前記退避位置に移動することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電子写真画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−63391(P2012−63391A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205269(P2010−205269)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】