説明

電子布地

本発明は、基板電極を有する布地基板とコンポーネント電極を有する電極コンポーネントとを含む電子布地に関する。前記コンポーネント電極は、基板電極とコンポーネント電極との間において電流が優先的に流れることを可能にするために、前記基板電極と、結合層を介して電気伝導接触にある。寄生電流の発生を防ぐために結合層がパターン化される必要がないので、基板電極及びコンポーネント電極の間の電気伝導性接触部は、改善された信頼性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板電極を有する布地基板とコンポーネント電極を有する電極コンポーネントとを含む電子布地であって、前記コンポーネント電極は、前記基板電極と結合層を介して電気伝導接触にある、前記電子布地に関する。
【0002】
本発明は、前段に記載の電子布地を製造する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
布地(textiles)は、例えば、製織(weaving)、編み物(knitting)、かぎ針編み(crocheting)、節止め(knotting)、又は繊維と共に圧縮すること、などによって製造され得る、繊維を織り合せることからなる材料である。多くの種類の布地は、我々の日常生活において使用されている。電子コンポーネント(すなわち、電子の流れによって動作する装置)が布地に一体化される場合、新しい応用例分野が生じる。布地が電子コンポーネントを含む電気回路の一体化される部分である場合、電子布地が得られる。
【0004】
電子コンポーネントの例は、表面実装型装置の形態のLEDパッケージ(SMD−LED)であり、このSMD−LEDは、布地基板へ糊付け、半田付け、スナップボタン接続、又はスティッチングなどによって装着され得る。生じる発光布地は、環境創造への照明からメッセージなどの範囲の、広範囲な新しいインテリア及びアパレル応用例を開化させ得る。
【0005】
電子布地は、英国特許出願公報第2396252A号から知られている。既知の発光布地は、電気伝導性エポキシによって電気伝導性布地トラックを有する織物部材へ固定されるSMD−LEDを含む。
【0006】
既知の電子布地の欠点は、SMD−LEDと織物部材に含まれる電気伝導性布地トラックとの間の電気伝導性接触部の信頼性が乏しいことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、基板電極を有する布地基板とコンポーネント電極を有する電極コンポーネントとを含む電子布地であって、前記コンポーネント電極は、前記基板電極と、結合層を介して電気伝導接触にあり、前記結合層は、電気伝導性接触部の改善された信頼性を可能にする材料を含む、電子布地を提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、前段落に記載の電子布地を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に従うと、この目的は、基板電極を有する布地基板とコンポーネント電極を有する電極コンポーネントとを含む電子布地であって、前記コンポーネント電極は、前記基板電極と、結合層を介して電気伝導接触にある、前記電子布地において、前記結合層は、異方性伝導材料を含むことを特徴とする、電子布地によって実現される。
【0010】
異方性伝導材料は、指向性依存電気伝導性を有する材料である。言い換えると、この材料の電気伝導性は、異なる軸に沿って測定される場合に相違する。本発明の文脈において、異方性伝導材料は、最も高い電気伝導性の方向が、基板電極とコンポーネント電極の間であるように設けられる。
【0011】
既知の電子布地において使用される電気伝導性エポキシは、コンポーネント電極と基板電極との間の電気接触部を改善するように作用する。しかし、電気伝導性エポキシは、等方性伝導材料である(すなわち、材料の電気伝導性は、異なる軸に沿って測定される場合に同様である)ので、寄生電流(すなわち、意図されない原因による望ましくない電流)の発生を防ぐためにパターン状に適用される必要がある。
【0012】
本発明は、布地基板における結合層の適切なパターン状の適用が、布地基板の寸法不安定性によって深刻に阻止されること、すなわち、布地基板の寸法は、例えば、布地基板を伸張させる又は加熱させることの結果として変化し得ることを意味することを理解していた。結果として、基板電極とコンポーネント電極との間の電気伝導性接触部の信頼性は、等方性伝導材料を含む結合層を用いることによって最適に改善され得ない。
【0013】
等方性伝導材料を含む結合層とは対照的に、異方性伝導材料を含む結合層を適用することの耐久性は、かなり高いが、その理由は、当該結合層は、電子コンポーネントが布地基板と電気伝導性接触にある必要がある領域を越えて延在する領域を覆うように適用され得るからである。結果的に、異方性伝導材料を含む結合層の使用は、布地基板の寸法不安定性に対してかなり敏感ではなくなり、前記結合層は、布地基板と電子コンポーネントとの間の接続の機械的信頼性を改善するためのアンダーフィル層として作用し得る。
【0014】
追加的な有利な点は、結合層は、何の電子コンポーネントも接続されていない布地基板における位置に存在する場合に、例えば電子布地の見た目及び/又は堅牢性を改善するための被覆布地層などとして、布地基板へ第2層を装着するための接着剤として使用され得る。
【0015】
本発明に従う電子布地の第1の実施例において、前記異方性伝導材料は、電気絶縁性結合剤及び電気伝導性粒子を含む。このような結合層において、電気伝導性粒子が、電気伝導性経路の先在を可能にするには低すぎる濃度で電気絶縁性結合剤において分散される場合に、電気伝導性経路は、電子コンポーネントが布地基板に設けられていた場所においてのみ、異方性伝導材料を押し込むことの結果として生成され得る。コンポーネント電極と基板電極との間の電気伝導性接触部は、基板電極とコンポーネント電極との間の直接物理的接触によって、又は、コンポーネント電極と基板電極との間にトラップされている電気伝導性粒子を介した間接的接触によって、作成され得る。
【0016】
本発明に従う電子布地の第2の実施例において、前記異方性伝導材料は、電気絶縁性結合剤及び電気伝導性粒子を含み、前記電気伝導性粒子は弾性である。電気伝導性粒子の弾力性は、粒子が、例えば、コンポーネント電極と基板電極との間にトラップされている場合など、圧力下で可逆的に変形可能であるようにさせる。このようにして、コンポーネント電極と基板電極との間電気伝導性接触は、可塑変形電気伝導性粒子が両方の電極に圧力を掛けるので、更に改善される。
【0017】
本発明に従う電子布地の第2の実施例において、前記異方性伝導材料は、電気絶縁性結合剤及び電気伝導性粒子を含み、前記電気絶縁性結合剤は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性合成樹脂からなる群から選択される合成物を含む。この実施例は、更に、熱硬化性又は熱可塑性合成樹脂における圧縮歪みが電子コンポーネントに布地基板へ引っ張られるようにさせるので、基板電極とコンポーネント電極との間の電気伝導性接触の信頼性は改善される。
【0018】
本発明に従う電子布地の第4の実施例において、前記基板電極は、電気伝導性糸を含み、前記異方性伝導材料は、前記電気伝導性糸の外部層である。この実施例は、絶縁され得る基板電極として電気伝導性糸の使用を可能にする一方で、同時に、コンポーネント電極へなされるべき機械的及び電気的伝導性接触の改善を可能にする。
【0019】
本発明に従う電子布地の第5の実施例において、前記電子コンポーネントは、クランプ部材を含む。この実施例は、更に、電子コンポーネントを布地基板へ引っ張るクランプ部材によって基板電極とコンポーネント電極との間の電気伝導性接触の信頼性を改善させる。
【0020】
本発明の第2の態様に従うと、上記の目的は、基板電極を有する布地基板とコンポーネント電極を有する電極コンポーネントとを含む電子布地を製造する方法であって、当該方法は、前記基板電極及び前記電子布地のうちの1つに、前記層に沿う方向において電気絶縁性であり、且つ、前記結合層に直交する方向における電気伝導性を可能にするように構成される結合層を設けるステップと、前記基板電極と前記コンポーネント電極との間に前記結合層を介して電子伝導性接触部を確立するステップと、を有する、方法によって実現される。
【0021】
本発明に従う方法の第1の実施例において、前記結合層は、電気絶縁性結合剤及び電気伝導性粒子を含み、前記基板電極と前記コンポーネント電極との間に前記結合層を介して電子伝導性接触部を確立するステップは、前記結合層に直交する方向に圧力を印加することを含む。
【0022】
本発明の例は、以下に、添付の図面を参照にして詳細に説明される。
【0023】
これらの図は、概略的であり縮尺通りではないことを特記されるべきである。明瞭性及び簡便性のために、これらの図のパーツの相対的な寸法及び比率は、寸法に関して誇張されて又は低減されて示されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明に従う電子布地の第1の実施例の概略断面図を示す。
【図2】図2は、本発明に従う電子布地の第2の実施例の概略断面図を示す。
【図3】図3は、本発明に従う電子布地において使用され得る電気伝導性粒子の概略断面図を示す。
【図4】図4は、本発明に従う電子布地の第3の実施例の概略断面図を示す。
【図5】図5は、本発明に従う電子布地のある実施例において使用する布地基板を示す。
【図6】図6は、図5の布地基板において使用され得る第1の糸の斜視図及び断面図を示す。
【図7】図7は、図5の布地基板において使用され得る第2の糸の斜視図及び断面図を示す。
【図8】図8は、本発明に従う電子布地を製造する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明において、本発明は、本発明に従う例示的な電子布地を参照して説明される。
【0026】
図1は、本発明に従う電子布地1の概略的断面図を示す。電子布地1は、基板電極111を有する布地基板11、及び、コンポーネント電極121を有する電子コンポーネント12、を含む。基板電極111は、異方性伝導材料13を介して、コンポーネント電極121へ接続される。
【0027】
好ましくは、異方性伝導材料13は、テープとして適用されるが、異方性伝導材料13は、ホイル、格子、又はストリップなどの領域の形態で適用もされ得る。
【0028】
図1において、異方性伝導材料13は、電気絶縁性結合剤131及び電気伝導性粒子132を含む。電気絶縁性結合剤131は、熱硬化性合成樹脂を含み、電気伝導性粒子132は、約3乃至5マイクロメータの直径を有する球体粒子である。代替的に、熱可塑性合成樹脂も、電気絶縁性結合剤として使用され得る。
【0029】
異方性伝導材料13が適用される(すなわち、電子コンポーネント12が布地基板11へ接続される前)状態において、異方性伝導材料13は、電気伝導性粒子132がかなり離れて間隔をおかれて配置されるので電気伝導性経路を形成することが可能でないので、電気的に絶縁性である。この目的に関して、異方性伝導材料13における電気伝導性粒子132の濃度は、好ましくは、約5乃至10ボリュームパーセントの範囲にある。
【0030】
電子コンポーネント12の接続において、異方性伝導材料13に圧力が加えられ、材料は、局所的に圧迫され、これにより、電気伝導性粒子132は、互いに密接に近づくようにされる。電気絶縁性結合剤131は、熱硬化性合成樹脂を含むので、異方性伝導材料13が圧迫される箇所において、電子コンポーネント12が布地基板11へ引っ張られるようにされる力が加えられる。
【0031】
位置14において、コンポーネント電極121は、基板電極111へ接続され、異方性伝導材料13は、いくつかの電気伝導性粒子132がコンポーネント電極121と基板電極111との間においてトラップされている程度に圧迫され、これにより、2つの電極間において電気伝導性経路を生成する。図1において、コンポーネント電極121及び基板電極111は、電気伝導性粒子132の単層を介して接続される。当然、この接続は、少なくとも部分的に、電気伝導性粒子132の多層によって、又は、コンポーネント電極121と基板電極111との間の直接物理的接触によって、も形成され得る。
【0032】
異方性伝導材料13は、コンポーネント電極121が基板電極111へは接続されない位置15において、非伝導性アンダーフィル層として作用し、電子コンポーネント12と布地基板11との間の接着強度を改善させる。
【0033】
位置16において、異方性伝導材料13は、圧迫されない。この場合、異方性伝導材料13は、例えば、保護層及び/又は装飾層などの補助層の装着に関して露出され、利用可能である。
【0034】
図2は、本発明に従う電子布地2の第2の実施例の概略断面図を示す。電子布地2は、基板電極211を有する布地基板21、及び、コンポーネント電極221を有する電子コンポーネント22、を含む。基板電極211は、異方性伝導材料23を介して、コンポーネント電極221へ接続される。異方性伝導材料23は、電気絶縁性結合剤231及び電気伝導性粒子232を含む。
【0035】
電気伝導性粒子232は、弾性であり、この弾性は、電気伝導性粒子232が応力下で可逆的に変形することが可能であることを意味する。この目的に関して、電気伝導性粒子232は、金属などの電気伝導性材料234で被膜される合成樹脂コア233を含む。好ましくは、合成樹脂コア233は、Ni-Au層で被膜されるが、その理由は、Niは、電気伝導性粒子232に高硬度を与え、Auは、高腐食耐性及び高伝導性を与えるからである。位置24において、コンポーネント電極221は、基板電極211へ接続され、異方性伝導材料23は、いくつかの電気伝導性粒子232がコンポーネント電極221と基板電極211との間においてトラップされる程度に圧迫されており、これにより、2つの電極間において電気伝導性経路を生成する。更に、トラップされている電気伝導性粒子232が変形される場合、粒子の弾性は、粒子が、基板電極211及びコンポーネント電極221の両方に向かって絶えず押圧させるようにし、これにより、2つの電極間において電気伝導性接触の信頼性を改善させる。
【0036】
図3は、異方性伝導材料において電気伝導性粒子としても使用され得る電気伝導性粒子332の概略断面図を示す。電気伝導性粒子332は、Ni-Au層などの電気伝導材料334で被膜される合成樹脂コア333を含む。電気伝導性粒子332は、更に、電気伝導性粒子332が基板電極311及びコンポーネント電極321の間においてトラップされる場合に押し出され得る電気絶縁性外部層335を含み得、このことは、電気電動層234が基板電極311及びコンポーネント電極321の間において電気伝導性接触を確立することを可能にする。電気絶縁性外部層335は、電気伝導性粒子332が、布地基板の平面に並行な方向などの、粒子が変形される方向に直角な方向に電気伝導性接触を形成するのを防ぐ。
【0037】
図4は、本発明に従う電子布地の第3の実施例の概略断面図を示す。電子布地4は、基板電極411を有する布地基板41、及び、コンポーネント電極421を有する電子コンポーネント42、を含む。基板電極411は、異方性伝導材料43を介して、コンポーネント電極421へ接続される。異方性伝導材料43は、電気絶縁性結合剤431及び電気伝導性粒子432を含む。
【0038】
電子コンポーネント42と布地基板41との間の改善された機械的及び電気的伝導性接続を得るように、位置44及び45において異方性伝導材料43を圧縮するのに使用される圧力を増加させるために、電子コンポーネント42は、クランプ部材422を含む。図4において、クランプ部材422は、布地基板41を介して貫通する。代替的に、布地基板の縁部の周囲を包むクランプ部材も使用され得る。クランプ部材及びコンポーネント電極は、単一要素へ統合され得る。
【0039】
図1、2及び4それぞれに示される異方性伝導材料13・23・43に加えて、他の種類の異方性伝導材料が、本発明に従う電子布地において使用され得る。
【0040】
代替的異方性伝導材料の第1の例は、量子トンネル合成材を含む。量子トンネル合成材は、電気絶縁性結合剤に分散される電気伝導性粒子を含む。図1の異方性伝導材料13に関してと同様に、圧力がない場合、電気伝導性粒子は、離れすぎており電流を伝達することが出来ないが、圧力を印加される場合、粒子は、電子が電気絶縁性結合剤を通じてトンネルし得る程度により近傍に移動する。
【0041】
代替的な異方性伝導材料の第2の例は、電気伝導性経路が異方性伝導材料の表面に直交する方向に存在するように配置される電気絶縁性結合剤及び電気伝導性粒子を含む。上述の例とは対照的に、この場合、異方性伝導材料は、布地基板への電子コンポーネントの接続の前に、既に異方伝導性である。電気伝導性粒子は、磁界などの外部刺激を印加することによって、又は自己配列化過程を通じて、配列され得る。
【0042】
図5は、本発明に従う電子布地の更なる実施例において使用する布地基板51を示す。布地基板51は、電気伝導性縦糸(warp)及び横糸(weft)の糸511・512それぞれ、並びに電気絶縁性糸513を含む。電気伝導性縦糸及び横糸511・512は、布地基板51の表面514において部分的に露出され、これにより、これらの糸が、例えばコネクタ領域515・516を通じて電子コンポーネントへの接続に関して利用可能にする。
【0043】
図6は、糸611の斜視図及び断面図を示す。糸611は、図5の布地基板51における電気伝導性縦糸及び横糸として使用され得る。電気伝導性糸611は、電気伝導性繊維612の束を含み、この束は、外部層613で被覆される。外部層613は、上述の異方性伝導材料のいずれかに従う異方性伝導材料である。したがって、外部層613は、糸611に沿う方向614に電気絶縁であり、糸611に直交する方向615に電気伝導性を可能にするように構成される。
【0044】
図7は、糸711の斜視図及び断面図を示す。糸711は、図5の布地基板51における電気伝導性縦糸及び横糸として使用され得る。電気伝導性糸711は、それぞれが外部層713で個別に被覆される電気伝導性繊維712を含む。外部層713は、上述の異方性伝導材料のいずれかに従う異方性伝導材料である。したがって、外部層713は、糸711に沿う方向714に電気絶縁であり、糸711に直交する方向715に電気伝導性を可能にするように構成される。
【0045】
糸611・711の追加的な有利な点は、外部層613・713のそれぞれの特性が、糸のウィービング性(weavability)を向上させるように選択され得ることである。
【0046】
図8は、基板電極811を有する布地基板81とコンポーネント電極821を有する電極コンポーネント82とを含む電子布地8を製造する方法を概略的に示す。
【0047】
第1の段階(a)において、熱硬化性電気絶縁性結合剤831及び電気伝導性粒子832を含む結合層83は、基板電極811へ適用される。ステップ(a)において、結合層83は、温度を増加させることによって(結合層83の組成に依存するが、通常、約100℃の温度までの温度)軟化され、そして圧力(通常約1MPa)が、布地基板81へ結合層83をラミネートするために適用される。
【0048】
第2の段階(b)において、電子コンポーネント82は、布地基板81におけるコンポーネント電極821の投影が基板電極811と重なるように、布地基板81に対して位置決めされる。電子コンポーネント82は、その後、布地基板81に直交する方向84へ圧力を印加することによって(通常約4乃至5MPa)布地基板81へ動かされる。ステップ(a)においてと同様に、ステップ(b)においても、結合層83は、温度を増加させることによって軟化される。同様に、結合層83を軟化させる条件は、結合層83の組成に依存する。好ましくは、ステップ(b)において、結合層83は、通常結合層83の温度を約200℃にまで増加されることにより、ステップ(a)においてよりも高い程度に軟化される。コンポーネント電極821は、電気伝導性接触がコンポーネント電極821と基板電極811との間において得られる程度に、軟化された結合層83において基板電極811へ向かって押圧される。通常、電子コンポーネント82は、約10秒間押下される。
【0049】
第3の段階(c)において、電子布地8を得るために、電子コンポーネント82に対する圧力は解放され、結合層83の温度は、室温にまで低減される。
【0050】
図8において結合層83は基板にラミネートされる層の形態で適用されている一方で、結合層は、例えば、噴射式、印刷式、噴霧式、又は注射器からの供給など、を含む被膜技術によって、液相から塗布され得る。更に、図8において、基板電極811とコンポーネント電極821との間の電気伝導性接触を確立する前に、基板電極811は結合層83に設けられる一方で、コンポーネント電極に結合層を最初に設けることも可能である。
【0051】
本発明は、図面及び上述の説明において詳細に例示及び説明されてきたが、これらの例示及び説明は、例証的及び例示的であって、制限的ではないように考慮されるべきであり、本発明は、開示される実施例に制限されない。開示される実施例に対する変更態様は、図面、開示、及び添付の請求を検討することにより、請求の範囲の発明を実施するにあたり当業者によって理解及び実施化され得る。「有する・備える」という動詞及びその活用形の使用は、請求項に記載される以外の要素又はステップの存在を排除しない。単数形の構成要素は、複数個の斯様な構成要素の存在を排除しない。特定の手段が、相互に異なる従属請求項において引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように使用されていることができないと示すものではない。請求項における如何なる参照符号も請求項の範囲を制限するように解釈されてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板電極を有する布地基板とコンポーネント電極を有する電極コンポーネントとを含む電子布地であって、前記コンポーネント電極は、前記基板電極と、結合層を介して電気伝導接触にある、前記電子布地において、
前記結合層は、異方性伝導材料を含むことを特徴とする、電子布地。
【請求項2】
請求項1に記載の電子布地であって、前記異方性伝導材料は、電気絶縁性結合剤及び電気伝導性粒子を含む、電子布地。
【請求項3】
請求項2に記載の電子布地であって、前記電気伝導性粒子は弾性である、電子布地。
【請求項4】
請求項2に記載の電子布地であって、前記電気絶縁性結合剤は、熱硬化性合成樹脂及び熱可塑性合成樹脂からなる群から選択される合成物を含む、電子布地。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子布地であって、前記基板電極は、電気伝導性糸を含み、前記異方性伝導材料は、前記電気伝導性糸の外部層である、電子布地。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電子布地であって、前記電子コンポーネントは、クランプ部材を含む、電子布地。
【請求項7】
基板電極を有する布地基板とコンポーネント電極を有する電極コンポーネントとを含む電子布地を製造する方法であって、当該方法は、前記基板電極及び前記コンポーネント電極のうちの1つに、前記層に沿う方向において電気絶縁性であり、且つ、前記結合層に直交する方向における電気伝導性を可能にするように構成される結合層を設けるステップと、前記基板電極と前記コンポーネント電極との間に前記結合層を介して電子伝導性接触部を確立するステップと、を有する、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記結合層は、電気絶縁性結合剤及び電気伝導性粒子を含み、前記基板電極と前記コンポーネント電極との間に前記結合層を介して電子伝導性接触部を確立するステップは、前記結合層に直交する方向に圧力を印加することを含む、方法。
【請求項9】
電気伝導性繊維及び外部層を含む糸であって、前記外部層は、前記糸に沿う方向において電気絶縁性であり、且つ、前記糸に直交する方向における電気伝導性を可能にするように構成される、糸。
【請求項10】
請求項9に記載の糸を含む布地。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−525043(P2011−525043A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513082(P2011−513082)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【国際出願番号】PCT/IB2009/052333
【国際公開番号】WO2009/150570
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】