電子装置
【課題】変位部または本体部に装着することにより突出する外部機器が装着された状態で変位部が変位し外部機器等が破損することを抑制すること。
【解決手段】本発明は、本体部110と、本体部110に対し変位する変位部120(前面部)と、本体部110または前面部120に設けられ、外部機器200(USBメモリ)が装着可能な装着部139(外部音声/映像入力部)と、装着部139に、外部機器200が装着されている場合、前面部120の変位の少なくとも一部を制限する制御部140と、を具備する電子装置である。
【解決手段】本発明は、本体部110と、本体部110に対し変位する変位部120(前面部)と、本体部110または前面部120に設けられ、外部機器200(USBメモリ)が装着可能な装着部139(外部音声/映像入力部)と、装着部139に、外部機器200が装着されている場合、前面部120の変位の少なくとも一部を制限する制御部140と、を具備する電子装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関し、特に本体部と本体部に対し変位する変位部とを有し、変位部または本体部に外部機器を装着可能な電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置として、パーソナルナビゲーションデバイスと呼ばれる、簡易的ではあるが可搬性を持った小型のポータブルナビゲーション装置(以下、ポータブルナビと呼ぶ)と、車両のダッシュボードに形成された凹部(DIN開口)内に収容し固定される車載用のナビゲーション装置とが広く一般的に知られている。車載用のナビゲーション装置は、車両からの車速等の情報により高精度な案内が可能であり、さらにはオーディオ装置を備えたものも提案されている。
【0003】
近年、ポータブルナビの可搬性と、車載用ナビゲーション装置の高精度な案内性能とを兼ね備えたナビゲーション装置が検討されている。
【0004】
特許文献1〜4は、車両に搭載された車載機器からナビゲーション部を着脱可能とする構成が開示されている。車載機器からナビゲーション部を取り外すことで、ナビゲーション部をポータブルナビとして単体で使用することが可能となる。また、特許文献5は、ナビゲーション装置を車両から取り外して、歩行時にもナビゲーション装置を使用することが可能となっている。また、車両搭載時には、カーナビモードとなり、車両から取り外した時にはマンナビモードを実行することが開示されている。
【0005】
例えば、車両に搭載される電子装置は運転席と助手席の間のダッシュボード部分に配置されることが多く、正面から見た大きさを定められた大きさとすることが求められている。そこで、前面部と本体部とを設け、使用状態においては前面部の背面と本体部の前面とを対向させた状態で配置し、本体部の前面に設けられた記憶媒体等の挿排口等に記憶媒体等の挿排を行う際には、前面部を本体部の前面から変位させている。
【特許文献1】特開平8−318792号公報
【特許文献2】特開2002−328026号公報
【特許文献3】特表2005−524570号公報
【特許文献4】特開2001−239895号公報
【特許文献5】特開2003−166848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前面部(変位部)と本体部とを有する電子装置において、前面部または本体部にUSBメモリ等の外部機器(外部機器と接続するためのコネクタを含む)を装着する場合がある。この場合、外部機器やコネクタは装着することにより前面部(変位部)または本体部から突出する。このため、外部機器を装着した状態で前面部(変位部)を変位させると、外部機器が、電子装置の本体部若しくは前面部または電子装置の周辺に存在する物品等と接触して、外部機器自体、電子装置や電子装置の周辺に存在する物品等が破損する可能性がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、変位部または本体部に装着することにより突出する外部機器(外部機器と接続するためのコネクタを含む)が装着された状態で変位部が変位し外部機器、電子装置または電子装置の周辺に存在する物品等が破損することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本体部と、前記本体部に対し変位する変位部と、前記本体部または前記変位部に設けられ、外部機器が装着可能な装着部と、前記装着部に、前記外部機器が装着されている場合、前記変位部の変位の少なくとも一部を制限する制御部と、具備することを特徴とする電子装置である。本発明によれば、外部機器が装着されている場合、変位部の変位を制限するため、変位部の変位により外部機器、電子装置自体または電子装置の周辺に存在する物品等が破損することを抑制することができる。
【0009】
上記構成において、前記装着部は、前記本体部または前記変位部の表面部に設けられる構成とすることができる。この構成によれば、変位部の変位により外部機器が破損し易い、外部機器を本体部または前面部の表面部に装着する場合において、外部機器、電子装置自体または電子装置の周辺に存在する物品等の破損を抑制することができる。
【0010】
上記構成において、前記外部機器は可搬性メモリ(例えば、USBメモリ)である構成とすることができる。この構成によれば、外部機器が変位部または本体部から突出し破壊されやすい可搬性メモリにおいて、外部機器、電子装置自体または電子装置の周辺に存在する物品等の破損を抑制することができる。
【0011】
上記構成において、前記変位部は携帯機器(例えば、ポータブルナビ)が装着可能である構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記制御部は前記変位部の変位を制限する場合、表示部に警告を表示する構成とすることができる。この構成によれば、操作者が変位部の変位を指示しても変位部が変位しない場合においても、操作者が電子装置の不具合と誤解することを防止することができる。
【0013】
上記構成において、前記電子装置は車載用電子装置である構成とすることができる。この構成によれば、外部機器に接触しやすい車載電子装置において、外部機器、電子装置自体または電子装置の周辺に存在する物品等の破損を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、外部機器が装着されている場合、変位部の変位を制限するため、変位部の変位により外部機器、電子装置自体または電子装置の周辺に存在する物品等が破損することを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図面を用い実施例について説明する。
【実施例1】
【0016】
図1(A)、(B)に電子装置の一例である車載システム1の外観を示す。図1(A)、(B)に示すように車載システム1は、車両に搭載される車載機器100(電子装置)と、ナビゲーション機能を備えたポータブル機器10(携帯装置)とから構成される。ポータブル機器10は、図1(A)に示すように車載機器100の前面部120(変位部)に取り付けて使用したり、図1(B)に示すように車載機器100から取り外して使用することができる。このように、ポータブル機器10は車載機器100から着脱自在であり、車載機器100にはポータブル機器10を装着可能である。
【0017】
車載機器100は、ラジオ放送の再生機能や、CD(Compact Disc)等の記録媒体に書き込まれた音楽データを再生可能な機器であり、CD再生部やCD挿排口を有する車載機器本体部110(本体部)と、表示部131や操作部132を有する前面部120とを備えている。ポータブル機器10は、目的地までの誘導経路を検索し、地図上に検索した誘導経路を重ねて表示するナビゲーションの機能を備えている。
【0018】
図2は、ポータブル機器10を車載機器100(前面部120)から取り外した状態を示す。車載機器100の前面部120には、ポータブル機器10を装着するための凹部が形成された着脱部170が設けられている。この着脱部170には、車載機器100とポータブル機器10とを電気的に接続するためのコネクタ150と、ポータブル機器10を前面部120に固定するためのロック機構(不図示)が設けられている。前面部120に設けた取り外しボタン160を操作すると、不図示のロック機構が解除され、車載機器100からポータブル機器10が取り外し可能となる。
【0019】
図3には、前面部120を車載機器本体部110に対して傾斜させ、CD挿排口180を露出させた状態を示す。不図示の駆動機構によって図3に示すスライダー181を駆動させることで、前面部120を車載機器本体部110に対してチルト(変位)させることができる。チルト動作によって、車載機器本体部110に設けられたCD挿排口180を露出させ、CDの挿排を行うことができる。車載機器の前面部120には、操作ボタン(図6に示すチルト/イジェクトボタン132a)が設けられており、このボタンの操作に応じたチルト角度に設定することができる。
【0020】
図4は、車載システム1の車両への搭載例を示す。車載システム1は、例えば図4に示すように、運転席52と助手席51とのほぼ中央のダッシュボード部分に配置される。なお、図示していないが、後述するGPS情報受信部133のGPSアンテナは、ダッシュボード上に配置、またはフロントガラスの車室内側に貼り付けられている。
【0021】
図5は、車載システム1の概略構成を示すブロック図である。車載機器100とポータブル機器10とは、コネクタで電気的に接続される。車載機器100側には、コネクタ150が設けられており、ポータブル機器10には、コネクタ30が設けられている。これらのコネクタ150、30を接続することで、車載機器100とポータブル機器10との間で各種信号が送受信されて車載システム1として機能する。また、コネクタ150、30には、車両のバッテリからの電力をポータブル機器10に供給するための電力供給端子が設けられており、ポータブル機器10が車載機器100に接続された状態で、車載機器100に電力が供給されていると、電力供給端子を介してポータブル機器10にも電力が供給される。
【0022】
車載機器100は、表示部131、操作部132、GPS情報受信部133、ラジオ受信部134、CD再生部135、音声調整部136、メモリ137、マイク138、外部音声/映像入力部139、制御部140、コネクタ150を備えている。車載機器100は、エンジンキーがAcc又はONの位置にあるときに、車両側のバッテリから電力を供給されて動作する。
【0023】
以下、各部の機能の詳細について説明する。表示部131は、液晶パネルやバックライトを備え、13セグメント表示によって受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、再生楽曲名等を表示する。操作部132は、車載機器100の動作モードを切り替えるための操作や、切り替えた各種モードでの操作を行うためのものである。操作部132には、図6に示すようにチルト/イジェクトボタン132a、ファンクション(以下、FUNCと表記する)/AFボタン132b、TEXTボタン132c、SCREENボタン132d、SOURCE/PWRボタン132e、MODEボタン132f、MUTEボタン132g、BAND切換ボタン132h、ロータリーボタン132i、十字キー/エンターキーボタン132jとからなるボタン群を備える。
【0024】
ここで、ボタン群の操作による制御について説明する。まず、SOURCE/PWRボタン132eの操作によるポータブル機器10と車載機器100の表示の切り替えについて説明する。車載機器100のSOURCE/PWRボタン132eを押下することで、車載機器100がオンされる。また車載機器100がオンしているときに、SOURCE/PWRボタン132eを短押しすることでCD再生やラジオ等のソースの移行が行われる。このとき、車載機器100の表示部131には、選択されたソースにおける情報が表示され、ポータブル機器10の表示部11には、ソースに関係なくナビゲーション画像が表示される。次に、SCREENボタン132dを押下すると、ポータブル機器10の表示部11の表示をナビゲーション画像から車載機器100で選択されたソースに対応する画像に切替えることができる。
【0025】
図7(A)は車載機器100でCDを再生中にポータブル機器10を装着し、ポータブル機器10でナビゲーション画像を表示している状態を示している。図7(A)の状態から、SOURCE/PWRボタン132eを押下して、CD再生からラジオのソースに切換操作を行うと、図7(B)に示すように、表示部131にラジオソースにおける情報が表示される。また、ポータブル機器10の表示部11には、ナビゲーション画像が表示されたままである。次に、ユーザがSCREENボタン132dを押下すると、図7(C)に示すようにポータブル機器10の表示部11に、車載機器100で処理中のソースに対応する画面が表示される(図7(C)ではラジオ画像)。ポータブル機器10の表示部11には、後述するタッチパネルが設けられており、ユーザはタッチパネルを介して表示部11に表示される操作ボタンを選択することで、現在処理中のソースに対する操作をすることができる。
【0026】
また、表示部11にラジオ画像が表示された状態で、SCREENボタン132dを押下すると、図7(D)に示すようにラジオ画像からナビゲーション画像に戻ることができる。ポータブル機器10が車載機器100から取り外されている状態では、SCREENボタン132dの操作は無効となる。また、ポータブル機器10が車載機器100から取り外されている状態で、外部音声/映像入力部139にUSB(Universal Serial Bus)等が接続された場合には、SOURCE/PWRボタン132eを押下しても、USBのソースには切り替わらないようにすることもできる。
【0027】
次に、チルト/イジェクトボタン132aの操作による前面部120のチルト動作について説明する。チルト/イジェクトボタン132aが第1の態様(例えば、短押し)で操作されると、前面部120は、CD挿排口180が露出する角度(例えば、60°)まで、前面部120がチルトされ、第2の態様(例えば、長押し)で操作されると、所定角度(例えば、5°)ずつ前面部120がチルトする。
【0028】
図5に戻って、GPS情報受信部133は、GPSアンテナとチューナ部とを有し、衛星からのGPS信号を受信する。GPS情報受信部133で受信したGPS信号は、制御部140、コネクタ150、コネクタ30及び制御部20を介してポータブル機器10のナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置が割り出される。なお、GPS情報受信部133で受信したGPS信号を制御部140を介さずに、制御部20を介してポータブル機器10のナビゲーション部に出力するようにしてもよい。また、GPS情報受信部133をGPSアンテナのみで構成し、GPSアンテナで受信したGPS信号を、制御部140、制御部20を介さず、後述するGPS情報受信部13のチューナに出力するようにしてもよい。さらに、制御部20は介するが、制御部140を介さずGPS情報受信部13のチューナに出力するようにしてもよい。このように、適宜変更可能である。
【0029】
ラジオ受信部134は、アンテナとチューナ部とを有しており、AM放送、FM放送、多重放送等の放送波を受信して、音声信号の出力、多重データの受信、復調を行い、復調信号を制御部140に出力する。CD再生部135は、CDに記録されたデータを再生し、再生信号を制御部140に出力する。なお、ラジオ受信部134から出力される復調信号を制御部140を介さずに、後述する音声調整部136に出力するようにしてもよい。
【0030】
音声調整部136は、ラジオ受信部134で受信、復調された音声信号や、CD再生部135で再生された音声信号に、音量調整や音質調整等の信号処理をしてスピーカ145に出力する。メモリ137は、データの読み出しと書き込みとが可能なRAM(Random Access Memory)で構成することができ、制御のために必要な情報(例えば、後述する図11(A)及び図11(B)等のデーブルや、前面部120の現在のチルト角度に関する情報等)を一時的に記憶しておく。マイク138は、ハンズフリー通話を行うためのものであって、車室内のユーザの音声を取り込む。外部音声/映像入力部139(装着部)は、USBメモリや、携帯型オーディオ装置等の外部機器との接続端子を備え、外部機器からの音声信号やデータを入力して制御部140に送り、制御部140からの制御信号、音声信号やデータ等を接続した外部機器に出力する。
【0031】
制御部140は、操作部132の操作に従って、ラジオ受信部134、CD再生部135、音声調整部136などを制御する。また、制御部140は、コネクタ150を介してポータブル機器10に各種信号を出力し、ポータブル機器10から入力した各種信号に基づいて車載機器100を制御する。例えば、制御部140は、GPS情報受信部133で受信したGPS信号や、マイク138で入力された音声信号を、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力する。なお、マイク138で入力された音声信号を、制御部140を介さずに、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力してもよい。また、制御部140は、ポータブル機器10と接続された携帯電話からの通話音声をコネクタ150を介して入力し、音声調整部136を介してスピーカ145に出力する。さらに、制御部140は、ポータブル機器10の表示部11に表示される、各種モードのメニュー画像に対する操作信号をポータブル機器10の制御部20から取得し、ラジオ受信部134やCD再生部135の制御を行う。
【0032】
また、制御部140には、車両に搭載されたバッテリからの電源が入力されている。制御部140は、ポータブル機器10が接続されている場合に、バッテリの電源をポータブル機器10に出力する。また、制御部140には、車両から車速パルスとイルミ電源信号が入力される。制御部140は、入力した車速パルスをポータブル機器10の制御部20に転送する。なお、車速パルスが入力されない構成でもよい。
【0033】
次に、ポータブル機器10について説明する。ポータブル機器10は、表示部11、操作部12、GPS情報受信部13、スピーカ14、蓄電池15、充電回路16、無線通信送受信部17、メモリ18、ナビゲーション部19、制御部20、コネクタ30を備えている。
【0034】
以下、各部の機能の詳細について説明する。表示部11は、液晶パネルとバックライトとを備え、ナビゲーション部19で生成された地図情報や目的地までの誘導経路情報、また車載機器100から転送された受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、再生楽曲名等を表示することができる。表示部11、131には、液晶パネル以外のフラットパネルディスプレイ、例えば、有機ELディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、冷陰極フラットパネルディスプレイ等を用いることができる。
【0035】
操作部12は、タッチパネルや、ポータブル機器10の電源をオン、オフするための電源ボタン55(図10(A)参照)を含む。タッチパネルは、例えば、表示部11の表示画面の上に配置されるものであり、指や専用のペンによりタッチパネルが接触されると、その接触された位置が検知されて、入力操作の有無が判別できるようになっている。電源ボタン55については後述する。
【0036】
GPS情報受信部13は、アンテナとチューナ部とを有しており、衛星からのGPS信号を受信する。受信したGPS信号はナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいて自機位置が割り出される。なお、車載機器100にもGPS情報受信部133が設けられているが、車載機器100にポータブル機器10が取り付けられているときには、GPS情報受信部133で受信したGPS信号(及び車速パルス)を用いてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置を特定し、ポータブル機器10単独で使用する場合には、GPS情報受信部13で受信したGPS信号を用いて自機位置を特定する。
【0037】
スピーカ14は、ナビゲーション部19からの音声情報を出力するためのものであり、ポータブル機器10が車載機器100から取り外された状態、つまり単体で使用されるときに、音声情報を出力する。
【0038】
蓄電池15は、ポータブル機器10の各部に電力を供給する。またポータブル機器10を車載機器100に装着すると、コネクタ30の電力供給端子を介して車両のバッテリから電力が供給され、充電回路16によって蓄電池15を充電する。また、充電回路16はUSBスロット(図8(A)参照)を介して接続端末から電力の供給を受けて、蓄電池15を充電することができる。
【0039】
無線通信送受信部17は、携帯電話との間で通話音声の送受信を行ったり、携帯電話を介してナビゲーションに利用する情報を取得する。無線通信送受信部17には、例えば、2.4GHz帯域の無線伝送方式である、Bluetoothが用いられる。
【0040】
メモリ18は、例えば読み出しと書き込みとが可能なRAMであり、各制御のために読み出された情報を一時的に記憶しておく。
【0041】
ナビゲーション部19は、ナビゲーションのために利用される地図情報を記憶した後述するSDカードやUSBメモリから取得し、記憶する地図情報記憶部を備え、GPS情報受信部133、又は13からのGPS信号によって現在位置情報を割り出し、ナビゲーション動作のための画像を作成する。作成した地図は、表示部11で表示させることができる。また、車載機器100とポータブル機器10とが接続されている場合には、車両から車速パルスを取得して、ポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置検出の精度を高めることができる。なお、地図情報はポータブル機器10内に保持してもよい。
【0042】
制御部20は、ポータブル機器10の各部を制御する。また、制御部20は、コネクタ30を介して車載機器100に各種信号を出力し、車載機器100から入力した各種信号に基づいてポータブル機器10を制御する。例えば、制御部20は、車載機器100のGPS情報受信部133で受信したGPS信号、及び車速パルスを車載機器100の制御部140から取得し、ナビゲーション部19に出力する。また、制御部20は、車載機器100のマイク138で入力した音声信号を車載機器100の制御部140から取得し、音声信号に応じてナビゲーション部19を制御する。すなわち、ナビゲーション部19をハンズフリーで操作することができる。また、無線通信送受信部17にて接続された携帯電話からの通話音声を、コネクタ30を介して車載機器側に出力し、車載機器100のスピーカ145から出力させる。また、表示部11に表示されたメニュー画面やコンテンツ画面に対する操作信号をコネクタ30を介して車載機器100の制御部140に出力する。制御部140は、ポータブル機器10の制御部20から送られた操作信号に応じて、ラジオ受信部134やCD再生部135を制御する。
【0043】
図8(A)に、ポータブル機器10の正面図、上面図、下面図、左側面図、右側面図を示し、図8(B)にポータブル機器10の背面図を示す。ポータブル機器10の上面には、ポータブル機器の電源をオン、オフさせる電源ボタン55が設けられており、下面には、SD(Secure Digital)メモリカードスロット56、USBスロット57が設けられている。地図情報が記憶されたSDカードやUSBメモリをこれらのスロットに差し込むことで、制御部20はSDカードやUSBメモリから地図情報を読み出し、ナビゲーション部19に地図情報を出力する。
【0044】
ポータブル機器10の電源は、ポータブル機器を車載機器100に装着したときには、車載機器100からの制御によって電源がオン、オフされる。また、車載機器100から取り外してポータブル機器10を単体で使用する場合には、電源ボタン55のオン、オフ操作に基づいて電源が操作される。
【0045】
さらに、ポータブル機器10の背面側には、車載機器100との電気的な接続をとるためのコネクタ30と、車載機器100側に設けたロック機構(不図示)と係合する係合部58とが設けられている。
【0046】
図9は、図1(A)で示した車載機器100およびポータブル機器10の外観の模式図に相当する実際の外観図である。図1(B)と同じ構成は同じ符号を付し説明を省略する。
【0047】
図10は本実施例に特に重要な要素を図示した電子装置のブロック図である。前面部120の前面(表面部)に外部音声/映像入力部139(装着部)が設けられ、USBメモリ200が装着可能である。USBメモリ200を装着することにより、例えば、USBメモリ200に保存した音楽再生が可能となる。外部音声/映像入力部139はコネクタ150および30を介しポータブル機器10の制御部20に接続している。外部音声/映像入力部139はコネクタ150、コネクタ30、制御部20を介さずに制御部140と接続される構成であってもよい。ポータブル機器10の制御部20と車載機器100の制御部140とはコネクタ30および150を介し接続されている。制御部140は本体部110に設けられておりステッピングモータ202およびメモリ137と接続している。ステッピングモータ202はスライダー181を駆動して、前面部120の下方を移動させ、前面部120を本体部110の前面に対して変位(チルト)させることができる。制御部140は前面部120の前面に設けられた表示部131にメッセージを表示させることができる。
【0048】
図11(A)および図11(B)は、車載機器100のメモリ137に記憶されているテーブル情報の一例を示す図であり、図11(C)は車載システム1の概略的な側面図であり、図11(D)は、車載機器100のメモリ137に記憶されている前面部120の状態を示す図である。なお、図11(A)、図11(B)及び図11(D)に示す情報は、メモリ137ではなく、制御部140内に設けられたメモリに記憶されていてもよい。
【0049】
図11(A)のテーブル情報は、チルト/イジェクトボタン132a(図6参照)の第2の態様(チルト指示)での「押下回数」と、本体部110に対する前面部120の傾きを示す「チルト角度θ」(図11(C)参照)と、制御部140がステッピングモータ202に出力するパルスの「パルス数」との関係を示している。
【0050】
ここでは、図11(A)のテーブル情報に示すように、チルト/イジェクトボタン132aが第2の態様で1回押下される毎に、チルト角度θは5度ずつ増加する。このため、制御部140は10個のパルス数単位でステッピングモータ202にパルス信号を出力する。パルスは、1回のオン/オフ(即ち1周期)で1個のパルスが構成され、1個のパルスあたりのチルト角度θは0.5度に相当する。よって、制御部140が10個のパルス数単位でステッピングモータ202にパルス信号を出力することにより、前面部120は、5度毎にチルト角度θが増加する。
【0051】
なお、チルト/イジェクトボタン132aを第2の態様で7回押下すると、前面部120は初期位置に戻る。即ち、図11(A)のテーブル情報の押下回数「6」のレコードの次は、押下回数「0」のレコードとなる。また、チルト/イジェクトボタン132aを第2の態様としたとき(チルト指示のとき)の最大のチルト角度は、CD挿排口180が露出しない角度であることが望ましい。なお、チルト角度は本テーブルの数値に限定されるものではない。
【0052】
図11(B)のテーブル情報は、チルト/イジェクトボタン132a(図6参照)の第1の態様(イジェクト指示)での押下によるイジェクト指示等の状態が「閉状態」または「開状態」のときの車載機器本体部110に対する前面部120の傾きを示すチルト角度(図11(C)参照)と、制御部140がステッピングモータ202に出力するパルス信号のパルス数と、を示している。図11(B)のテーブル情報が示すように、「開状態」の「チルト角度」は60度、「パルス数」は120である。「閉状態」の「チルト角度」は、第2の態様で調整したチルト角度θである、「パルス数」は記憶されていない。
【0053】
前面部120が閉状態でチルト角度がθのとき、チルト/イジェクトボタン132aが第1の態様で1回操作される(つまり前面部120の開状態が指示される)と、図11(B)の「チルト角度」より、チルト角度θが60度となるように、前面部120が動作する。すなわち、制御部140は、図11(B)の「開状態」の「パルス数」120と、図11(B)の「閉状態」の「チルト角度」である角度θ(例えば10度)に相当する図11(A)の「パルス数」(例えば20)と、からステッピングモータ202に出力するパルス数を算出し、ステッピングモータ202に算出したパルスを出力する。なお、前述と同じように、パルスは、1回のオン/オフ(即ち1周期)で1個のパルスが構成され、1個のパルスあたりのチルト角度θは0.5度に相当する。制御部140は10個のパルス数単位でステッピングモータ202にパルス信号を出力する。
【0054】
前面部120が開状態で、チルト/イジェクトボタン132aが第1の態様で1回操作されると、前面部120は、開状態に指示される前のチルト角度θに戻る。すなわち、制御部140は、図11(B)の「開状態」の「パルス数」120と、図11(A)の「角度θ」(例えば10度)に相当する「パルス数」(例えば20)と、からステッピングモータ202に出力するパルス数を算出し、ステッピングモータ202に算出したパルスを出力する。なお、前面部120の開状態のチルト角度(図11(B)では60度)は、本テーブルの数値に限定されるものではなく、CD挿排口180が露出する角度であればよい。また、前面部120が完全に倒れる状態であってもよい。
【0055】
図11(D)に示すように、メモリ137には、「現在のチルト角度」と「開閉状態」が記憶される。「現在のチルト角度」は、前面部120の現在のチルト角度θであり、チルト/イジェクトボタン132aの第2の態様での押下により調整された前面部120の現在のチルト角度θである。また、「開閉状態」は、チルト/イジェクトボタン132aの第1の態様での押下により変位された前面部120の開閉状態(開状態または閉状態)が記憶されている。
【0056】
図12は前面部120を変位させる際の制御部140の制御を示すフローチャートである。なお、メモリ137には、図11(D)のように、チルト/イジェクトボタン132aの第2の態様での押下により調整された前面部120のチルト角度θが現在のチルト角度θとして記憶されるとともに、チルト/イジェクトボタン132aの第1の態様での押下により変位された前面部120の開閉状態が記憶されている。制御部140が、ユーザがチルト/イジェクトボタン132a(図6参照)を操作したことを検出すると、図12のフローが開始される。制御部140は、USBメモリ200が外部音声/映像入力部139に装着されているか(Yes)否か(No)を判断する(ステップS10)。USBメモリ200が装着されているかの判断は、ポータブル機器10の制御部20が行い、制御部20は制御部140にUSBメモリ200が装着されているか否かの信号を送信する。これにより、制御部140はUSBメモリ200が装着されているか否かを判断することができる。外部音声/映像入力部139と制御部140とが制御部20を介さずに接続されている場合は、制御部140が直接、USBメモリ200が装着されているか否かを判断してもよい。
【0057】
ステップS10においてYesの場合、すなわち、制御部140が、USBメモリ200が外部音声/映像入力部139に装着されていると判断した場合、制御部140は表示部131に前面部120を変位できない旨の警告を表示し(ステップS11)、処理を終了する。つまり、USBメモリ200が外部音声/映像入力部139に装着されている場合は、前面部120の変位を制限する。なお、変位できない旨の警告を表示するのでなく、スピーカ145から変位できない旨の音声出力や警告音を出力したり、ユーザに、USBメモリ200を外部音声/映像入力部139から取り外すような指示を表示または音声出力してもよい。
【0058】
ステップS10においてNoの場合、すなわち制御部140が、USBメモリ200が外部音声/映像入力部139に装着されていないと判断した場合、制御部140は、チルト指示か否か、つまり、チルト/イジェクトボタン132aの操作態様からチルト指示(第2の態様)か、イジェクト指示(第1の態様)か、を判断する(ステップS12)。ステップS12においてYesの場合、すなわち制御部140がチルト/イジェクトボタン132aのユーザによる操作がチルト指示(第2の態様:例えば長押し操作)であると判断した場合、制御部140はチルト/イジェクトボタン132aがチルト指示(第2の態様)で押下された回数をカウントする(ステップS13)。制御部140は、メモリ137から現在のチルト角度θを読み出す(ステップS14)。メモリ137には、チルト/イジェクトボタン132aがチルト指示(第2の態様)による操作により変位した前面部120の現在のチルト角度が記憶されている。なお、現在のチルト角度θの代わりに現在のチルト角度θに関する情報が記憶されるようにしてもよい。
【0059】
次に、制御部140は、メモリ137に記憶されている現在のチルト角度θ、ステップS13でカウントしたチルト/イジェクトボタン132aの押下回数、及びメモリ137に記憶されている図11(A)に示すテーブルにより、変位後のチルト角度θ´を決定するとともに、前面部120の現在のチルト角度θと変位後のチルト角度θ´とからステッピングモータ202に出力するパルス数を決定する(ステップS15)。
【0060】
次に、制御部140は、前面部120を変位後のチルト角度θ´にするために、ステッピングモータ202にステップS15で決定したパルス数のパルス信号を出力する(ステップS18)。ステッピングモータ202は制御部140からのパルス信号のパルス数に相当する分、スライダー181を駆動させる。これにより、前面部120は所定のチルト角度θ´に変位する。制御部140は、メモリ137にチルト角度θ´を現在のチルト角度θとして記憶し(ステップS17)、処理を終了する。つまり、USBメモリ200が外部音声/映像入力部139に装着されていない場合、チルト/イジェクトボタンaのチルト指示(第2の態様)での押下回数により、図11(A)に示すテーブルに基づいて、前面部120を車載機器本体部110に対し変位(チルト)させることができる。
【0061】
ステップS12においてNoの場合、すなわち、制御部140が、チルト/イジェクトボタン132aのユーザによる操作がイジェクト指示(第1の態様:例えば、短押し操作)であると判断した場合、制御部140は、メモリ137から前面部120が開状態であるか否かを判断する(ステップS18)。なお、図11(D)のように、メモリ137には、前面部120が開状態または閉状態であることを示す情報が記憶されており、初期値(過去に一度もチルト/イジェクトボタン132aがイジェクト指示での操作がされていない場合には、開状態であることを示す情報)が記憶されている。
【0062】
ステップS18においてYesの場合、すなわち、制御部140が、前面部120が開状態であると判断した場合、チルト/イジェクトボタン132aの短押し操作は、前面部120を開状態から閉状態に変位される指示である。現在のチルト角度θ(開状態になる前の角度θ)を読み出し、読み出した現在のチルト角度θとメモリ137に記憶されている図11(A)及び図11(B)に示すテーブルとを用い、前面部120を、開状態になる前の状態(現在のチルト角度θ)に戻すために、ステッピングモータ202へ出力するパルス数を決定する(ステップS19)。
【0063】
次に、制御部140は、前面部120を現在のチルト角度θ(開状態になる前の角度θ)にするために、ステッピングモータ202にステップS19で決定したパルス数のパルス信号を出力する(ステップS20)。ステッピングモータ202は制御部140からのパルス信号のパルス数に相当する分、スライダー181を駆動させる。これにより、前面部120は現在のチルト角度θ(開状態になる前の角度θ)に変位する。制御部140は、メモリ137に前面部120が閉状態であることを示す情報を記憶し(ステップS21)、処理を終了する。
【0064】
また、ステップS18においてNoの場合、すなわち、制御部140が、前面部120が開状態でないと判断した場合、チルト/イジェクトボタン132aの短押し操作は、前面部120を閉状態から開状態に変位させる指示である。現在のチルト角度θを読み出し、読み出した現在のチルト角度θとメモリ137に記憶されている図11(A)及び図11(B)に示したテーブルを用い、前面部120を閉状態にするためのステッピングモータ202へ出力するパルス数を決定する(ステップS22)
【0065】
次に、制御部140は、前面部120を開状態にするために、ステッピングモータ202にステップS22で決定したパルス数のパルス信号を出力する(ステップS23)。ステッピングモータ202は制御部140からのパルス信号のパルス数に相当する分、スライダー181を駆動させる。これにより、前面部120は開状態に変位する。制御部140は、メモリ137に前面部120が開状態であることを示す情報を記憶し(ステップS24)、処理を終了する。つまり、USBメモリ200が外部音声/映像入力部139に装着されていない場合、チルト/イジェクトボタン132aをイジェクト指示(第2の態様)での押下回数により、図11(A)及び図11(B)に示すテーブルに基づいて、前面部120を車載機器本体部110に対して変位(チルト)させることができる。
【0066】
実施例1によれば、ステップS10のように、前面部120にUSBメモリ200(外部機器)が装着されている場合、制御部140は、前面部120の変位を制限する。これにより、USBメモリ200が装着している状態で、前面部120の変位を制限することができる。これにより、USBメモリ200装着時は前面部120は変位せず、前面部120の変位によりUSBメモリ200が車載機器本体部110または車載機器100の周辺に存在する物品(例えば、操作者の手やシフトレバー)等に接触し、USBメモリ200や車載機器100の破損、操作者のケガ等を抑制することができる。
【0067】
また、前面部120を閉状態から本体部の前面のCD挿排口180が露出する開状態への変位、および閉状態から閉状態への変位を制限し、前面部120のチルト角度の微調整は制限しないこともできる。前面部120が大きく変位するのは開状態から閉状態および閉状態から開状態である。よって、これらの変位を制限することにより、USBメモリ200や車載機器100の破損、操作者のケガ等を抑制することができる。
【0068】
さらに制御部140は、一部のチルト角度への変位を制限することもできる。例えば、チルト角度が大きい場合、USBメモリ200がより前面に突出する。よって、チルト角度が一定より大きい場合、前面部120の変位を制限することにより、より効果的にUSBメモリ200車載機器100の破損、操作者のケガ等を抑制することができる。
【0069】
次に、外部音声/映像入力部139にUSBメモリ200が装着された場合の動作の例について説明する。図13の制御部140のフローチャートを参照に、制御部140はUSBメモリ200が外部音声/映像入力部139に装着されたか判断する(ステップS30)。Yesの場合、制御部140は、ステッピングモータ202に指示し、前面部120を本体部110の前面に対向した初期位置に変位させる(ステップS32)。ステップS30においてNoの場合、制御部140は前面部120を変位させず終了する。図13のように、制御部140は、USBメモリ200が装着された場合、前面部120を初期位置とする。初期位置はUSBメモリ200が最も背面側にある状態であり、これにより、USBメモリ200車載機器100の破損、操作者のケガ等を抑制することができる。
【0070】
本体部110の前面にCD挿排口180等の本体操作部が設けられていてもよい。しかし、前面部120を本体部110の前面から変位させることにより本体操作部を露出する構成の場合、特に、前面部120を変位する機会が多い。よって、USBメモリの装着時には前面部120の変位を制限することがより有効である。なお、本体部110の前面は、CD挿排口180以外にも、DVDや記憶カードの挿排口、操作釦等、またはこれらの組み合わせでもよい。
【0071】
USBメモリ200は前面部120のどの面に設けられていてもよい。しかしながら前面部120の前面にUSBメモリ200が装着できれば、装着が容易である。この場合、前面部120が前面に対向する方向に変位するとUSBメモリ200が破損する危険性がより高くなる。よって、USBメモリ200の装着時に前面部の変位を制限することがより有効である。また、前述のように、USBメモリ200が本体部110の前面に設けられていてもよい。この場合、前面部120が前面に対向する方向に変位するとUSBメモリ200、車載機器100が破損する危険性がある。よって、USBメモリ200の装着時に前面部120の変位を制限することが有効である。
【0072】
前面部120に装着されることにより前面部120の前面から突出または本体部110に装着されることにより本体部110の前面から突出する外部機器は、USBメモリ200には限られず、USBメモリ200を車載機器100に接続するためのコネクタや、外部と通信する機器(例えば、携帯電話等)を車載機器100に接続するコネクタ等、装着されると前面部120の全面または本体部110の前面から突出するものであればよい。しかしながら、USBメモリ200は装着時に前面部120または本体部110の前面より特に突出する。また、衝撃により破損し易い。よって、前面部120または本体部110に装着した場合突出する外部機器がUSBメモリ200等の可搬性メモリである場合に前面部120の変位を制限することがより有効である。
【0073】
図12のステップS11のように、制御部140は前面部120の変位を制限する場合、表示部131に警告を表示させることが好ましい。これにより、操作者が前面部120の変位を指示したにもかかわらず、前面部120が変位しなくとも、車載機器100の不具合と誤解することを防止することができる。
【0074】
前面部120の変位としては図14のように、前面部120の前面が下方向に向くように変位する場合でもよい。この場合は、USBメモリ200が下面204に接触する可能性が高く、USBメモリ200装着時の前面部120の変位の制限が特に有効である。
【0075】
実施例1は、車載機器100を例に説明したが、本発明は、車載用の電子装置には限られず、家庭用(ホーム用)の電子装置でもよい。しかしながら、車載用電子装置の場合、図4のようにダッシュボード部分に搭載される場合が多い。このため、操作者がシフトレバー操作時にUSBメモリ200に接触する危険が大きい。また、車両のコックピット内は特に狭い空間であり、さらに振動もあるため、操作者がUSBメモリ200等に接触する可能性が高い。よって、車載用電子装置において、USBメモリ200の装着時に前面部120の変位を制限することが特に有効である。
【0076】
また、実施例1は、前面部120が変位する例について説明したが、本発明は、これに限られず、電子装置の上面部が変位(起立)する構成であってもよい。また、実施例1は、前面部120にポータブル機器10が装着される例について説明したが、ポータブル機器10が装着されない構成であってもよい。また、実施例1はポータブル機器10がポータブルナビである例について説明したが、本発明は、これに限られず、ナビゲーション機能付き携帯電話、携帯端末(PDA)等であってもよい。また、実施例1は、装着部が外部音声/映像入力部139である例について説明したが、装着部が外部音声/映像入力部139は、前面部120の側面、背面、上面や下面等の表面部に設けられる構成、本体部の前面等の表面部に設けられる構成等であってもよい。さらに、実施例1は、装着部が外部音声/映像入力部139である例について説明したが、本発明はこれに限られず、実装された場合、前面部120の前面や本体部110の前面から突出する外部機器が装着されるものであればよい。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1(A)、(B)は実施例1に係る車載システムの外観を示す模式図である。
【図2】図2はポータブル機器を車載機器から取り外した状態を示す模式図である。
【図3】図3は前面部を車載機器本体に対して傾斜させ、CD挿排口を露出させた状態を示す模式図である。
【図4】図4は、車載システムの車両への搭載例を示す模式図である。
【図5】図5は、車載システムの概略構成を示すブロック図である。
【図6】図6は本体部の正面模式図である。
【図7】図7(A)から(D)は本体部に装着されたポータブル機器の表示を示す模式図である。
【図8】図8(A)は、ポータブル機器の正面模式図、上面模式図、下面模式図、左側面模式図、右側面模式図であり、図8(B)はポータブル機器の背面模式図である。
【図9】図9は実施例1に係る車載システムの外観を示す図である。
【図10】図10は前面部を変位させる場合に重要な構成のブロックである。
【図11】図11(A)はチルト駆動時のチルト角度とステッピングモータのパルス数との関係を示す図、図11(B)は、閉開駆動時のチルト角度とステッピングモータのパルス数との関係を示す図、図11(C)は、車載機器の側面模式図、図11(D)は前面部の状態を示す図である。
【図12】図12は制御部140の制御を示すフローチャート(その1)である。
【図13】図13は制御部140の制御を示すフローチャート(その2)である。
【図14】図14は別の前面部のチルトの例を示した模式図である。
【符号の説明】
【0079】
10 ポータブル機器
20 制御部
100 車載機器
110 本体部
120 前面部
131 表示部
139 外部音声/映像入力部
140 制御部
181 スライダー
200 USBメモリ
202 ステッピングモータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関し、特に本体部と本体部に対し変位する変位部とを有し、変位部または本体部に外部機器を装着可能な電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置として、パーソナルナビゲーションデバイスと呼ばれる、簡易的ではあるが可搬性を持った小型のポータブルナビゲーション装置(以下、ポータブルナビと呼ぶ)と、車両のダッシュボードに形成された凹部(DIN開口)内に収容し固定される車載用のナビゲーション装置とが広く一般的に知られている。車載用のナビゲーション装置は、車両からの車速等の情報により高精度な案内が可能であり、さらにはオーディオ装置を備えたものも提案されている。
【0003】
近年、ポータブルナビの可搬性と、車載用ナビゲーション装置の高精度な案内性能とを兼ね備えたナビゲーション装置が検討されている。
【0004】
特許文献1〜4は、車両に搭載された車載機器からナビゲーション部を着脱可能とする構成が開示されている。車載機器からナビゲーション部を取り外すことで、ナビゲーション部をポータブルナビとして単体で使用することが可能となる。また、特許文献5は、ナビゲーション装置を車両から取り外して、歩行時にもナビゲーション装置を使用することが可能となっている。また、車両搭載時には、カーナビモードとなり、車両から取り外した時にはマンナビモードを実行することが開示されている。
【0005】
例えば、車両に搭載される電子装置は運転席と助手席の間のダッシュボード部分に配置されることが多く、正面から見た大きさを定められた大きさとすることが求められている。そこで、前面部と本体部とを設け、使用状態においては前面部の背面と本体部の前面とを対向させた状態で配置し、本体部の前面に設けられた記憶媒体等の挿排口等に記憶媒体等の挿排を行う際には、前面部を本体部の前面から変位させている。
【特許文献1】特開平8−318792号公報
【特許文献2】特開2002−328026号公報
【特許文献3】特表2005−524570号公報
【特許文献4】特開2001−239895号公報
【特許文献5】特開2003−166848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前面部(変位部)と本体部とを有する電子装置において、前面部または本体部にUSBメモリ等の外部機器(外部機器と接続するためのコネクタを含む)を装着する場合がある。この場合、外部機器やコネクタは装着することにより前面部(変位部)または本体部から突出する。このため、外部機器を装着した状態で前面部(変位部)を変位させると、外部機器が、電子装置の本体部若しくは前面部または電子装置の周辺に存在する物品等と接触して、外部機器自体、電子装置や電子装置の周辺に存在する物品等が破損する可能性がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、変位部または本体部に装着することにより突出する外部機器(外部機器と接続するためのコネクタを含む)が装着された状態で変位部が変位し外部機器、電子装置または電子装置の周辺に存在する物品等が破損することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本体部と、前記本体部に対し変位する変位部と、前記本体部または前記変位部に設けられ、外部機器が装着可能な装着部と、前記装着部に、前記外部機器が装着されている場合、前記変位部の変位の少なくとも一部を制限する制御部と、具備することを特徴とする電子装置である。本発明によれば、外部機器が装着されている場合、変位部の変位を制限するため、変位部の変位により外部機器、電子装置自体または電子装置の周辺に存在する物品等が破損することを抑制することができる。
【0009】
上記構成において、前記装着部は、前記本体部または前記変位部の表面部に設けられる構成とすることができる。この構成によれば、変位部の変位により外部機器が破損し易い、外部機器を本体部または前面部の表面部に装着する場合において、外部機器、電子装置自体または電子装置の周辺に存在する物品等の破損を抑制することができる。
【0010】
上記構成において、前記外部機器は可搬性メモリ(例えば、USBメモリ)である構成とすることができる。この構成によれば、外部機器が変位部または本体部から突出し破壊されやすい可搬性メモリにおいて、外部機器、電子装置自体または電子装置の周辺に存在する物品等の破損を抑制することができる。
【0011】
上記構成において、前記変位部は携帯機器(例えば、ポータブルナビ)が装着可能である構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記制御部は前記変位部の変位を制限する場合、表示部に警告を表示する構成とすることができる。この構成によれば、操作者が変位部の変位を指示しても変位部が変位しない場合においても、操作者が電子装置の不具合と誤解することを防止することができる。
【0013】
上記構成において、前記電子装置は車載用電子装置である構成とすることができる。この構成によれば、外部機器に接触しやすい車載電子装置において、外部機器、電子装置自体または電子装置の周辺に存在する物品等の破損を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、外部機器が装着されている場合、変位部の変位を制限するため、変位部の変位により外部機器、電子装置自体または電子装置の周辺に存在する物品等が破損することを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、図面を用い実施例について説明する。
【実施例1】
【0016】
図1(A)、(B)に電子装置の一例である車載システム1の外観を示す。図1(A)、(B)に示すように車載システム1は、車両に搭載される車載機器100(電子装置)と、ナビゲーション機能を備えたポータブル機器10(携帯装置)とから構成される。ポータブル機器10は、図1(A)に示すように車載機器100の前面部120(変位部)に取り付けて使用したり、図1(B)に示すように車載機器100から取り外して使用することができる。このように、ポータブル機器10は車載機器100から着脱自在であり、車載機器100にはポータブル機器10を装着可能である。
【0017】
車載機器100は、ラジオ放送の再生機能や、CD(Compact Disc)等の記録媒体に書き込まれた音楽データを再生可能な機器であり、CD再生部やCD挿排口を有する車載機器本体部110(本体部)と、表示部131や操作部132を有する前面部120とを備えている。ポータブル機器10は、目的地までの誘導経路を検索し、地図上に検索した誘導経路を重ねて表示するナビゲーションの機能を備えている。
【0018】
図2は、ポータブル機器10を車載機器100(前面部120)から取り外した状態を示す。車載機器100の前面部120には、ポータブル機器10を装着するための凹部が形成された着脱部170が設けられている。この着脱部170には、車載機器100とポータブル機器10とを電気的に接続するためのコネクタ150と、ポータブル機器10を前面部120に固定するためのロック機構(不図示)が設けられている。前面部120に設けた取り外しボタン160を操作すると、不図示のロック機構が解除され、車載機器100からポータブル機器10が取り外し可能となる。
【0019】
図3には、前面部120を車載機器本体部110に対して傾斜させ、CD挿排口180を露出させた状態を示す。不図示の駆動機構によって図3に示すスライダー181を駆動させることで、前面部120を車載機器本体部110に対してチルト(変位)させることができる。チルト動作によって、車載機器本体部110に設けられたCD挿排口180を露出させ、CDの挿排を行うことができる。車載機器の前面部120には、操作ボタン(図6に示すチルト/イジェクトボタン132a)が設けられており、このボタンの操作に応じたチルト角度に設定することができる。
【0020】
図4は、車載システム1の車両への搭載例を示す。車載システム1は、例えば図4に示すように、運転席52と助手席51とのほぼ中央のダッシュボード部分に配置される。なお、図示していないが、後述するGPS情報受信部133のGPSアンテナは、ダッシュボード上に配置、またはフロントガラスの車室内側に貼り付けられている。
【0021】
図5は、車載システム1の概略構成を示すブロック図である。車載機器100とポータブル機器10とは、コネクタで電気的に接続される。車載機器100側には、コネクタ150が設けられており、ポータブル機器10には、コネクタ30が設けられている。これらのコネクタ150、30を接続することで、車載機器100とポータブル機器10との間で各種信号が送受信されて車載システム1として機能する。また、コネクタ150、30には、車両のバッテリからの電力をポータブル機器10に供給するための電力供給端子が設けられており、ポータブル機器10が車載機器100に接続された状態で、車載機器100に電力が供給されていると、電力供給端子を介してポータブル機器10にも電力が供給される。
【0022】
車載機器100は、表示部131、操作部132、GPS情報受信部133、ラジオ受信部134、CD再生部135、音声調整部136、メモリ137、マイク138、外部音声/映像入力部139、制御部140、コネクタ150を備えている。車載機器100は、エンジンキーがAcc又はONの位置にあるときに、車両側のバッテリから電力を供給されて動作する。
【0023】
以下、各部の機能の詳細について説明する。表示部131は、液晶パネルやバックライトを備え、13セグメント表示によって受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、再生楽曲名等を表示する。操作部132は、車載機器100の動作モードを切り替えるための操作や、切り替えた各種モードでの操作を行うためのものである。操作部132には、図6に示すようにチルト/イジェクトボタン132a、ファンクション(以下、FUNCと表記する)/AFボタン132b、TEXTボタン132c、SCREENボタン132d、SOURCE/PWRボタン132e、MODEボタン132f、MUTEボタン132g、BAND切換ボタン132h、ロータリーボタン132i、十字キー/エンターキーボタン132jとからなるボタン群を備える。
【0024】
ここで、ボタン群の操作による制御について説明する。まず、SOURCE/PWRボタン132eの操作によるポータブル機器10と車載機器100の表示の切り替えについて説明する。車載機器100のSOURCE/PWRボタン132eを押下することで、車載機器100がオンされる。また車載機器100がオンしているときに、SOURCE/PWRボタン132eを短押しすることでCD再生やラジオ等のソースの移行が行われる。このとき、車載機器100の表示部131には、選択されたソースにおける情報が表示され、ポータブル機器10の表示部11には、ソースに関係なくナビゲーション画像が表示される。次に、SCREENボタン132dを押下すると、ポータブル機器10の表示部11の表示をナビゲーション画像から車載機器100で選択されたソースに対応する画像に切替えることができる。
【0025】
図7(A)は車載機器100でCDを再生中にポータブル機器10を装着し、ポータブル機器10でナビゲーション画像を表示している状態を示している。図7(A)の状態から、SOURCE/PWRボタン132eを押下して、CD再生からラジオのソースに切換操作を行うと、図7(B)に示すように、表示部131にラジオソースにおける情報が表示される。また、ポータブル機器10の表示部11には、ナビゲーション画像が表示されたままである。次に、ユーザがSCREENボタン132dを押下すると、図7(C)に示すようにポータブル機器10の表示部11に、車載機器100で処理中のソースに対応する画面が表示される(図7(C)ではラジオ画像)。ポータブル機器10の表示部11には、後述するタッチパネルが設けられており、ユーザはタッチパネルを介して表示部11に表示される操作ボタンを選択することで、現在処理中のソースに対する操作をすることができる。
【0026】
また、表示部11にラジオ画像が表示された状態で、SCREENボタン132dを押下すると、図7(D)に示すようにラジオ画像からナビゲーション画像に戻ることができる。ポータブル機器10が車載機器100から取り外されている状態では、SCREENボタン132dの操作は無効となる。また、ポータブル機器10が車載機器100から取り外されている状態で、外部音声/映像入力部139にUSB(Universal Serial Bus)等が接続された場合には、SOURCE/PWRボタン132eを押下しても、USBのソースには切り替わらないようにすることもできる。
【0027】
次に、チルト/イジェクトボタン132aの操作による前面部120のチルト動作について説明する。チルト/イジェクトボタン132aが第1の態様(例えば、短押し)で操作されると、前面部120は、CD挿排口180が露出する角度(例えば、60°)まで、前面部120がチルトされ、第2の態様(例えば、長押し)で操作されると、所定角度(例えば、5°)ずつ前面部120がチルトする。
【0028】
図5に戻って、GPS情報受信部133は、GPSアンテナとチューナ部とを有し、衛星からのGPS信号を受信する。GPS情報受信部133で受信したGPS信号は、制御部140、コネクタ150、コネクタ30及び制御部20を介してポータブル機器10のナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置が割り出される。なお、GPS情報受信部133で受信したGPS信号を制御部140を介さずに、制御部20を介してポータブル機器10のナビゲーション部に出力するようにしてもよい。また、GPS情報受信部133をGPSアンテナのみで構成し、GPSアンテナで受信したGPS信号を、制御部140、制御部20を介さず、後述するGPS情報受信部13のチューナに出力するようにしてもよい。さらに、制御部20は介するが、制御部140を介さずGPS情報受信部13のチューナに出力するようにしてもよい。このように、適宜変更可能である。
【0029】
ラジオ受信部134は、アンテナとチューナ部とを有しており、AM放送、FM放送、多重放送等の放送波を受信して、音声信号の出力、多重データの受信、復調を行い、復調信号を制御部140に出力する。CD再生部135は、CDに記録されたデータを再生し、再生信号を制御部140に出力する。なお、ラジオ受信部134から出力される復調信号を制御部140を介さずに、後述する音声調整部136に出力するようにしてもよい。
【0030】
音声調整部136は、ラジオ受信部134で受信、復調された音声信号や、CD再生部135で再生された音声信号に、音量調整や音質調整等の信号処理をしてスピーカ145に出力する。メモリ137は、データの読み出しと書き込みとが可能なRAM(Random Access Memory)で構成することができ、制御のために必要な情報(例えば、後述する図11(A)及び図11(B)等のデーブルや、前面部120の現在のチルト角度に関する情報等)を一時的に記憶しておく。マイク138は、ハンズフリー通話を行うためのものであって、車室内のユーザの音声を取り込む。外部音声/映像入力部139(装着部)は、USBメモリや、携帯型オーディオ装置等の外部機器との接続端子を備え、外部機器からの音声信号やデータを入力して制御部140に送り、制御部140からの制御信号、音声信号やデータ等を接続した外部機器に出力する。
【0031】
制御部140は、操作部132の操作に従って、ラジオ受信部134、CD再生部135、音声調整部136などを制御する。また、制御部140は、コネクタ150を介してポータブル機器10に各種信号を出力し、ポータブル機器10から入力した各種信号に基づいて車載機器100を制御する。例えば、制御部140は、GPS情報受信部133で受信したGPS信号や、マイク138で入力された音声信号を、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力する。なお、マイク138で入力された音声信号を、制御部140を介さずに、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力してもよい。また、制御部140は、ポータブル機器10と接続された携帯電話からの通話音声をコネクタ150を介して入力し、音声調整部136を介してスピーカ145に出力する。さらに、制御部140は、ポータブル機器10の表示部11に表示される、各種モードのメニュー画像に対する操作信号をポータブル機器10の制御部20から取得し、ラジオ受信部134やCD再生部135の制御を行う。
【0032】
また、制御部140には、車両に搭載されたバッテリからの電源が入力されている。制御部140は、ポータブル機器10が接続されている場合に、バッテリの電源をポータブル機器10に出力する。また、制御部140には、車両から車速パルスとイルミ電源信号が入力される。制御部140は、入力した車速パルスをポータブル機器10の制御部20に転送する。なお、車速パルスが入力されない構成でもよい。
【0033】
次に、ポータブル機器10について説明する。ポータブル機器10は、表示部11、操作部12、GPS情報受信部13、スピーカ14、蓄電池15、充電回路16、無線通信送受信部17、メモリ18、ナビゲーション部19、制御部20、コネクタ30を備えている。
【0034】
以下、各部の機能の詳細について説明する。表示部11は、液晶パネルとバックライトとを備え、ナビゲーション部19で生成された地図情報や目的地までの誘導経路情報、また車載機器100から転送された受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、再生楽曲名等を表示することができる。表示部11、131には、液晶パネル以外のフラットパネルディスプレイ、例えば、有機ELディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、冷陰極フラットパネルディスプレイ等を用いることができる。
【0035】
操作部12は、タッチパネルや、ポータブル機器10の電源をオン、オフするための電源ボタン55(図10(A)参照)を含む。タッチパネルは、例えば、表示部11の表示画面の上に配置されるものであり、指や専用のペンによりタッチパネルが接触されると、その接触された位置が検知されて、入力操作の有無が判別できるようになっている。電源ボタン55については後述する。
【0036】
GPS情報受信部13は、アンテナとチューナ部とを有しており、衛星からのGPS信号を受信する。受信したGPS信号はナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいて自機位置が割り出される。なお、車載機器100にもGPS情報受信部133が設けられているが、車載機器100にポータブル機器10が取り付けられているときには、GPS情報受信部133で受信したGPS信号(及び車速パルス)を用いてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置を特定し、ポータブル機器10単独で使用する場合には、GPS情報受信部13で受信したGPS信号を用いて自機位置を特定する。
【0037】
スピーカ14は、ナビゲーション部19からの音声情報を出力するためのものであり、ポータブル機器10が車載機器100から取り外された状態、つまり単体で使用されるときに、音声情報を出力する。
【0038】
蓄電池15は、ポータブル機器10の各部に電力を供給する。またポータブル機器10を車載機器100に装着すると、コネクタ30の電力供給端子を介して車両のバッテリから電力が供給され、充電回路16によって蓄電池15を充電する。また、充電回路16はUSBスロット(図8(A)参照)を介して接続端末から電力の供給を受けて、蓄電池15を充電することができる。
【0039】
無線通信送受信部17は、携帯電話との間で通話音声の送受信を行ったり、携帯電話を介してナビゲーションに利用する情報を取得する。無線通信送受信部17には、例えば、2.4GHz帯域の無線伝送方式である、Bluetoothが用いられる。
【0040】
メモリ18は、例えば読み出しと書き込みとが可能なRAMであり、各制御のために読み出された情報を一時的に記憶しておく。
【0041】
ナビゲーション部19は、ナビゲーションのために利用される地図情報を記憶した後述するSDカードやUSBメモリから取得し、記憶する地図情報記憶部を備え、GPS情報受信部133、又は13からのGPS信号によって現在位置情報を割り出し、ナビゲーション動作のための画像を作成する。作成した地図は、表示部11で表示させることができる。また、車載機器100とポータブル機器10とが接続されている場合には、車両から車速パルスを取得して、ポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置検出の精度を高めることができる。なお、地図情報はポータブル機器10内に保持してもよい。
【0042】
制御部20は、ポータブル機器10の各部を制御する。また、制御部20は、コネクタ30を介して車載機器100に各種信号を出力し、車載機器100から入力した各種信号に基づいてポータブル機器10を制御する。例えば、制御部20は、車載機器100のGPS情報受信部133で受信したGPS信号、及び車速パルスを車載機器100の制御部140から取得し、ナビゲーション部19に出力する。また、制御部20は、車載機器100のマイク138で入力した音声信号を車載機器100の制御部140から取得し、音声信号に応じてナビゲーション部19を制御する。すなわち、ナビゲーション部19をハンズフリーで操作することができる。また、無線通信送受信部17にて接続された携帯電話からの通話音声を、コネクタ30を介して車載機器側に出力し、車載機器100のスピーカ145から出力させる。また、表示部11に表示されたメニュー画面やコンテンツ画面に対する操作信号をコネクタ30を介して車載機器100の制御部140に出力する。制御部140は、ポータブル機器10の制御部20から送られた操作信号に応じて、ラジオ受信部134やCD再生部135を制御する。
【0043】
図8(A)に、ポータブル機器10の正面図、上面図、下面図、左側面図、右側面図を示し、図8(B)にポータブル機器10の背面図を示す。ポータブル機器10の上面には、ポータブル機器の電源をオン、オフさせる電源ボタン55が設けられており、下面には、SD(Secure Digital)メモリカードスロット56、USBスロット57が設けられている。地図情報が記憶されたSDカードやUSBメモリをこれらのスロットに差し込むことで、制御部20はSDカードやUSBメモリから地図情報を読み出し、ナビゲーション部19に地図情報を出力する。
【0044】
ポータブル機器10の電源は、ポータブル機器を車載機器100に装着したときには、車載機器100からの制御によって電源がオン、オフされる。また、車載機器100から取り外してポータブル機器10を単体で使用する場合には、電源ボタン55のオン、オフ操作に基づいて電源が操作される。
【0045】
さらに、ポータブル機器10の背面側には、車載機器100との電気的な接続をとるためのコネクタ30と、車載機器100側に設けたロック機構(不図示)と係合する係合部58とが設けられている。
【0046】
図9は、図1(A)で示した車載機器100およびポータブル機器10の外観の模式図に相当する実際の外観図である。図1(B)と同じ構成は同じ符号を付し説明を省略する。
【0047】
図10は本実施例に特に重要な要素を図示した電子装置のブロック図である。前面部120の前面(表面部)に外部音声/映像入力部139(装着部)が設けられ、USBメモリ200が装着可能である。USBメモリ200を装着することにより、例えば、USBメモリ200に保存した音楽再生が可能となる。外部音声/映像入力部139はコネクタ150および30を介しポータブル機器10の制御部20に接続している。外部音声/映像入力部139はコネクタ150、コネクタ30、制御部20を介さずに制御部140と接続される構成であってもよい。ポータブル機器10の制御部20と車載機器100の制御部140とはコネクタ30および150を介し接続されている。制御部140は本体部110に設けられておりステッピングモータ202およびメモリ137と接続している。ステッピングモータ202はスライダー181を駆動して、前面部120の下方を移動させ、前面部120を本体部110の前面に対して変位(チルト)させることができる。制御部140は前面部120の前面に設けられた表示部131にメッセージを表示させることができる。
【0048】
図11(A)および図11(B)は、車載機器100のメモリ137に記憶されているテーブル情報の一例を示す図であり、図11(C)は車載システム1の概略的な側面図であり、図11(D)は、車載機器100のメモリ137に記憶されている前面部120の状態を示す図である。なお、図11(A)、図11(B)及び図11(D)に示す情報は、メモリ137ではなく、制御部140内に設けられたメモリに記憶されていてもよい。
【0049】
図11(A)のテーブル情報は、チルト/イジェクトボタン132a(図6参照)の第2の態様(チルト指示)での「押下回数」と、本体部110に対する前面部120の傾きを示す「チルト角度θ」(図11(C)参照)と、制御部140がステッピングモータ202に出力するパルスの「パルス数」との関係を示している。
【0050】
ここでは、図11(A)のテーブル情報に示すように、チルト/イジェクトボタン132aが第2の態様で1回押下される毎に、チルト角度θは5度ずつ増加する。このため、制御部140は10個のパルス数単位でステッピングモータ202にパルス信号を出力する。パルスは、1回のオン/オフ(即ち1周期)で1個のパルスが構成され、1個のパルスあたりのチルト角度θは0.5度に相当する。よって、制御部140が10個のパルス数単位でステッピングモータ202にパルス信号を出力することにより、前面部120は、5度毎にチルト角度θが増加する。
【0051】
なお、チルト/イジェクトボタン132aを第2の態様で7回押下すると、前面部120は初期位置に戻る。即ち、図11(A)のテーブル情報の押下回数「6」のレコードの次は、押下回数「0」のレコードとなる。また、チルト/イジェクトボタン132aを第2の態様としたとき(チルト指示のとき)の最大のチルト角度は、CD挿排口180が露出しない角度であることが望ましい。なお、チルト角度は本テーブルの数値に限定されるものではない。
【0052】
図11(B)のテーブル情報は、チルト/イジェクトボタン132a(図6参照)の第1の態様(イジェクト指示)での押下によるイジェクト指示等の状態が「閉状態」または「開状態」のときの車載機器本体部110に対する前面部120の傾きを示すチルト角度(図11(C)参照)と、制御部140がステッピングモータ202に出力するパルス信号のパルス数と、を示している。図11(B)のテーブル情報が示すように、「開状態」の「チルト角度」は60度、「パルス数」は120である。「閉状態」の「チルト角度」は、第2の態様で調整したチルト角度θである、「パルス数」は記憶されていない。
【0053】
前面部120が閉状態でチルト角度がθのとき、チルト/イジェクトボタン132aが第1の態様で1回操作される(つまり前面部120の開状態が指示される)と、図11(B)の「チルト角度」より、チルト角度θが60度となるように、前面部120が動作する。すなわち、制御部140は、図11(B)の「開状態」の「パルス数」120と、図11(B)の「閉状態」の「チルト角度」である角度θ(例えば10度)に相当する図11(A)の「パルス数」(例えば20)と、からステッピングモータ202に出力するパルス数を算出し、ステッピングモータ202に算出したパルスを出力する。なお、前述と同じように、パルスは、1回のオン/オフ(即ち1周期)で1個のパルスが構成され、1個のパルスあたりのチルト角度θは0.5度に相当する。制御部140は10個のパルス数単位でステッピングモータ202にパルス信号を出力する。
【0054】
前面部120が開状態で、チルト/イジェクトボタン132aが第1の態様で1回操作されると、前面部120は、開状態に指示される前のチルト角度θに戻る。すなわち、制御部140は、図11(B)の「開状態」の「パルス数」120と、図11(A)の「角度θ」(例えば10度)に相当する「パルス数」(例えば20)と、からステッピングモータ202に出力するパルス数を算出し、ステッピングモータ202に算出したパルスを出力する。なお、前面部120の開状態のチルト角度(図11(B)では60度)は、本テーブルの数値に限定されるものではなく、CD挿排口180が露出する角度であればよい。また、前面部120が完全に倒れる状態であってもよい。
【0055】
図11(D)に示すように、メモリ137には、「現在のチルト角度」と「開閉状態」が記憶される。「現在のチルト角度」は、前面部120の現在のチルト角度θであり、チルト/イジェクトボタン132aの第2の態様での押下により調整された前面部120の現在のチルト角度θである。また、「開閉状態」は、チルト/イジェクトボタン132aの第1の態様での押下により変位された前面部120の開閉状態(開状態または閉状態)が記憶されている。
【0056】
図12は前面部120を変位させる際の制御部140の制御を示すフローチャートである。なお、メモリ137には、図11(D)のように、チルト/イジェクトボタン132aの第2の態様での押下により調整された前面部120のチルト角度θが現在のチルト角度θとして記憶されるとともに、チルト/イジェクトボタン132aの第1の態様での押下により変位された前面部120の開閉状態が記憶されている。制御部140が、ユーザがチルト/イジェクトボタン132a(図6参照)を操作したことを検出すると、図12のフローが開始される。制御部140は、USBメモリ200が外部音声/映像入力部139に装着されているか(Yes)否か(No)を判断する(ステップS10)。USBメモリ200が装着されているかの判断は、ポータブル機器10の制御部20が行い、制御部20は制御部140にUSBメモリ200が装着されているか否かの信号を送信する。これにより、制御部140はUSBメモリ200が装着されているか否かを判断することができる。外部音声/映像入力部139と制御部140とが制御部20を介さずに接続されている場合は、制御部140が直接、USBメモリ200が装着されているか否かを判断してもよい。
【0057】
ステップS10においてYesの場合、すなわち、制御部140が、USBメモリ200が外部音声/映像入力部139に装着されていると判断した場合、制御部140は表示部131に前面部120を変位できない旨の警告を表示し(ステップS11)、処理を終了する。つまり、USBメモリ200が外部音声/映像入力部139に装着されている場合は、前面部120の変位を制限する。なお、変位できない旨の警告を表示するのでなく、スピーカ145から変位できない旨の音声出力や警告音を出力したり、ユーザに、USBメモリ200を外部音声/映像入力部139から取り外すような指示を表示または音声出力してもよい。
【0058】
ステップS10においてNoの場合、すなわち制御部140が、USBメモリ200が外部音声/映像入力部139に装着されていないと判断した場合、制御部140は、チルト指示か否か、つまり、チルト/イジェクトボタン132aの操作態様からチルト指示(第2の態様)か、イジェクト指示(第1の態様)か、を判断する(ステップS12)。ステップS12においてYesの場合、すなわち制御部140がチルト/イジェクトボタン132aのユーザによる操作がチルト指示(第2の態様:例えば長押し操作)であると判断した場合、制御部140はチルト/イジェクトボタン132aがチルト指示(第2の態様)で押下された回数をカウントする(ステップS13)。制御部140は、メモリ137から現在のチルト角度θを読み出す(ステップS14)。メモリ137には、チルト/イジェクトボタン132aがチルト指示(第2の態様)による操作により変位した前面部120の現在のチルト角度が記憶されている。なお、現在のチルト角度θの代わりに現在のチルト角度θに関する情報が記憶されるようにしてもよい。
【0059】
次に、制御部140は、メモリ137に記憶されている現在のチルト角度θ、ステップS13でカウントしたチルト/イジェクトボタン132aの押下回数、及びメモリ137に記憶されている図11(A)に示すテーブルにより、変位後のチルト角度θ´を決定するとともに、前面部120の現在のチルト角度θと変位後のチルト角度θ´とからステッピングモータ202に出力するパルス数を決定する(ステップS15)。
【0060】
次に、制御部140は、前面部120を変位後のチルト角度θ´にするために、ステッピングモータ202にステップS15で決定したパルス数のパルス信号を出力する(ステップS18)。ステッピングモータ202は制御部140からのパルス信号のパルス数に相当する分、スライダー181を駆動させる。これにより、前面部120は所定のチルト角度θ´に変位する。制御部140は、メモリ137にチルト角度θ´を現在のチルト角度θとして記憶し(ステップS17)、処理を終了する。つまり、USBメモリ200が外部音声/映像入力部139に装着されていない場合、チルト/イジェクトボタンaのチルト指示(第2の態様)での押下回数により、図11(A)に示すテーブルに基づいて、前面部120を車載機器本体部110に対し変位(チルト)させることができる。
【0061】
ステップS12においてNoの場合、すなわち、制御部140が、チルト/イジェクトボタン132aのユーザによる操作がイジェクト指示(第1の態様:例えば、短押し操作)であると判断した場合、制御部140は、メモリ137から前面部120が開状態であるか否かを判断する(ステップS18)。なお、図11(D)のように、メモリ137には、前面部120が開状態または閉状態であることを示す情報が記憶されており、初期値(過去に一度もチルト/イジェクトボタン132aがイジェクト指示での操作がされていない場合には、開状態であることを示す情報)が記憶されている。
【0062】
ステップS18においてYesの場合、すなわち、制御部140が、前面部120が開状態であると判断した場合、チルト/イジェクトボタン132aの短押し操作は、前面部120を開状態から閉状態に変位される指示である。現在のチルト角度θ(開状態になる前の角度θ)を読み出し、読み出した現在のチルト角度θとメモリ137に記憶されている図11(A)及び図11(B)に示すテーブルとを用い、前面部120を、開状態になる前の状態(現在のチルト角度θ)に戻すために、ステッピングモータ202へ出力するパルス数を決定する(ステップS19)。
【0063】
次に、制御部140は、前面部120を現在のチルト角度θ(開状態になる前の角度θ)にするために、ステッピングモータ202にステップS19で決定したパルス数のパルス信号を出力する(ステップS20)。ステッピングモータ202は制御部140からのパルス信号のパルス数に相当する分、スライダー181を駆動させる。これにより、前面部120は現在のチルト角度θ(開状態になる前の角度θ)に変位する。制御部140は、メモリ137に前面部120が閉状態であることを示す情報を記憶し(ステップS21)、処理を終了する。
【0064】
また、ステップS18においてNoの場合、すなわち、制御部140が、前面部120が開状態でないと判断した場合、チルト/イジェクトボタン132aの短押し操作は、前面部120を閉状態から開状態に変位させる指示である。現在のチルト角度θを読み出し、読み出した現在のチルト角度θとメモリ137に記憶されている図11(A)及び図11(B)に示したテーブルを用い、前面部120を閉状態にするためのステッピングモータ202へ出力するパルス数を決定する(ステップS22)
【0065】
次に、制御部140は、前面部120を開状態にするために、ステッピングモータ202にステップS22で決定したパルス数のパルス信号を出力する(ステップS23)。ステッピングモータ202は制御部140からのパルス信号のパルス数に相当する分、スライダー181を駆動させる。これにより、前面部120は開状態に変位する。制御部140は、メモリ137に前面部120が開状態であることを示す情報を記憶し(ステップS24)、処理を終了する。つまり、USBメモリ200が外部音声/映像入力部139に装着されていない場合、チルト/イジェクトボタン132aをイジェクト指示(第2の態様)での押下回数により、図11(A)及び図11(B)に示すテーブルに基づいて、前面部120を車載機器本体部110に対して変位(チルト)させることができる。
【0066】
実施例1によれば、ステップS10のように、前面部120にUSBメモリ200(外部機器)が装着されている場合、制御部140は、前面部120の変位を制限する。これにより、USBメモリ200が装着している状態で、前面部120の変位を制限することができる。これにより、USBメモリ200装着時は前面部120は変位せず、前面部120の変位によりUSBメモリ200が車載機器本体部110または車載機器100の周辺に存在する物品(例えば、操作者の手やシフトレバー)等に接触し、USBメモリ200や車載機器100の破損、操作者のケガ等を抑制することができる。
【0067】
また、前面部120を閉状態から本体部の前面のCD挿排口180が露出する開状態への変位、および閉状態から閉状態への変位を制限し、前面部120のチルト角度の微調整は制限しないこともできる。前面部120が大きく変位するのは開状態から閉状態および閉状態から開状態である。よって、これらの変位を制限することにより、USBメモリ200や車載機器100の破損、操作者のケガ等を抑制することができる。
【0068】
さらに制御部140は、一部のチルト角度への変位を制限することもできる。例えば、チルト角度が大きい場合、USBメモリ200がより前面に突出する。よって、チルト角度が一定より大きい場合、前面部120の変位を制限することにより、より効果的にUSBメモリ200車載機器100の破損、操作者のケガ等を抑制することができる。
【0069】
次に、外部音声/映像入力部139にUSBメモリ200が装着された場合の動作の例について説明する。図13の制御部140のフローチャートを参照に、制御部140はUSBメモリ200が外部音声/映像入力部139に装着されたか判断する(ステップS30)。Yesの場合、制御部140は、ステッピングモータ202に指示し、前面部120を本体部110の前面に対向した初期位置に変位させる(ステップS32)。ステップS30においてNoの場合、制御部140は前面部120を変位させず終了する。図13のように、制御部140は、USBメモリ200が装着された場合、前面部120を初期位置とする。初期位置はUSBメモリ200が最も背面側にある状態であり、これにより、USBメモリ200車載機器100の破損、操作者のケガ等を抑制することができる。
【0070】
本体部110の前面にCD挿排口180等の本体操作部が設けられていてもよい。しかし、前面部120を本体部110の前面から変位させることにより本体操作部を露出する構成の場合、特に、前面部120を変位する機会が多い。よって、USBメモリの装着時には前面部120の変位を制限することがより有効である。なお、本体部110の前面は、CD挿排口180以外にも、DVDや記憶カードの挿排口、操作釦等、またはこれらの組み合わせでもよい。
【0071】
USBメモリ200は前面部120のどの面に設けられていてもよい。しかしながら前面部120の前面にUSBメモリ200が装着できれば、装着が容易である。この場合、前面部120が前面に対向する方向に変位するとUSBメモリ200が破損する危険性がより高くなる。よって、USBメモリ200の装着時に前面部の変位を制限することがより有効である。また、前述のように、USBメモリ200が本体部110の前面に設けられていてもよい。この場合、前面部120が前面に対向する方向に変位するとUSBメモリ200、車載機器100が破損する危険性がある。よって、USBメモリ200の装着時に前面部120の変位を制限することが有効である。
【0072】
前面部120に装着されることにより前面部120の前面から突出または本体部110に装着されることにより本体部110の前面から突出する外部機器は、USBメモリ200には限られず、USBメモリ200を車載機器100に接続するためのコネクタや、外部と通信する機器(例えば、携帯電話等)を車載機器100に接続するコネクタ等、装着されると前面部120の全面または本体部110の前面から突出するものであればよい。しかしながら、USBメモリ200は装着時に前面部120または本体部110の前面より特に突出する。また、衝撃により破損し易い。よって、前面部120または本体部110に装着した場合突出する外部機器がUSBメモリ200等の可搬性メモリである場合に前面部120の変位を制限することがより有効である。
【0073】
図12のステップS11のように、制御部140は前面部120の変位を制限する場合、表示部131に警告を表示させることが好ましい。これにより、操作者が前面部120の変位を指示したにもかかわらず、前面部120が変位しなくとも、車載機器100の不具合と誤解することを防止することができる。
【0074】
前面部120の変位としては図14のように、前面部120の前面が下方向に向くように変位する場合でもよい。この場合は、USBメモリ200が下面204に接触する可能性が高く、USBメモリ200装着時の前面部120の変位の制限が特に有効である。
【0075】
実施例1は、車載機器100を例に説明したが、本発明は、車載用の電子装置には限られず、家庭用(ホーム用)の電子装置でもよい。しかしながら、車載用電子装置の場合、図4のようにダッシュボード部分に搭載される場合が多い。このため、操作者がシフトレバー操作時にUSBメモリ200に接触する危険が大きい。また、車両のコックピット内は特に狭い空間であり、さらに振動もあるため、操作者がUSBメモリ200等に接触する可能性が高い。よって、車載用電子装置において、USBメモリ200の装着時に前面部120の変位を制限することが特に有効である。
【0076】
また、実施例1は、前面部120が変位する例について説明したが、本発明は、これに限られず、電子装置の上面部が変位(起立)する構成であってもよい。また、実施例1は、前面部120にポータブル機器10が装着される例について説明したが、ポータブル機器10が装着されない構成であってもよい。また、実施例1はポータブル機器10がポータブルナビである例について説明したが、本発明は、これに限られず、ナビゲーション機能付き携帯電話、携帯端末(PDA)等であってもよい。また、実施例1は、装着部が外部音声/映像入力部139である例について説明したが、装着部が外部音声/映像入力部139は、前面部120の側面、背面、上面や下面等の表面部に設けられる構成、本体部の前面等の表面部に設けられる構成等であってもよい。さらに、実施例1は、装着部が外部音声/映像入力部139である例について説明したが、本発明はこれに限られず、実装された場合、前面部120の前面や本体部110の前面から突出する外部機器が装着されるものであればよい。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1(A)、(B)は実施例1に係る車載システムの外観を示す模式図である。
【図2】図2はポータブル機器を車載機器から取り外した状態を示す模式図である。
【図3】図3は前面部を車載機器本体に対して傾斜させ、CD挿排口を露出させた状態を示す模式図である。
【図4】図4は、車載システムの車両への搭載例を示す模式図である。
【図5】図5は、車載システムの概略構成を示すブロック図である。
【図6】図6は本体部の正面模式図である。
【図7】図7(A)から(D)は本体部に装着されたポータブル機器の表示を示す模式図である。
【図8】図8(A)は、ポータブル機器の正面模式図、上面模式図、下面模式図、左側面模式図、右側面模式図であり、図8(B)はポータブル機器の背面模式図である。
【図9】図9は実施例1に係る車載システムの外観を示す図である。
【図10】図10は前面部を変位させる場合に重要な構成のブロックである。
【図11】図11(A)はチルト駆動時のチルト角度とステッピングモータのパルス数との関係を示す図、図11(B)は、閉開駆動時のチルト角度とステッピングモータのパルス数との関係を示す図、図11(C)は、車載機器の側面模式図、図11(D)は前面部の状態を示す図である。
【図12】図12は制御部140の制御を示すフローチャート(その1)である。
【図13】図13は制御部140の制御を示すフローチャート(その2)である。
【図14】図14は別の前面部のチルトの例を示した模式図である。
【符号の説明】
【0079】
10 ポータブル機器
20 制御部
100 車載機器
110 本体部
120 前面部
131 表示部
139 外部音声/映像入力部
140 制御部
181 スライダー
200 USBメモリ
202 ステッピングモータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に対し変位する変位部と、
前記本体部または前記変位部に設けられ、外部機器が装着可能な装着部と、
前記装着部に、前記外部機器が装着されている場合、前記変位部の変位の少なくとも一部を制限する制御部と、
を具備することを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記装着部は、前記本体部または前記変位部の表面部に設けられることを特徴とする請求項1項記載の電子装置。
【請求項3】
前記外部機器は可搬性メモリであることを特徴とする請求項1または2記載の電子装置。
【請求項4】
前記変位部は携帯機器が装着可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の電子装置。
【請求項5】
前記制御部は前記変位部の変位を制限する場合、表示部に警告を表示することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の電子装置。
【請求項6】
前記電子装置は車載用電子装置であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の電子装置。
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に対し変位する変位部と、
前記本体部または前記変位部に設けられ、外部機器が装着可能な装着部と、
前記装着部に、前記外部機器が装着されている場合、前記変位部の変位の少なくとも一部を制限する制御部と、
を具備することを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記装着部は、前記本体部または前記変位部の表面部に設けられることを特徴とする請求項1項記載の電子装置。
【請求項3】
前記外部機器は可搬性メモリであることを特徴とする請求項1または2記載の電子装置。
【請求項4】
前記変位部は携帯機器が装着可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の電子装置。
【請求項5】
前記制御部は前記変位部の変位を制限する場合、表示部に警告を表示することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の電子装置。
【請求項6】
前記電子装置は車載用電子装置であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−174141(P2008−174141A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10433(P2007−10433)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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