説明

電子部品および電子部品の検査方法

【課題】はんだ接合状態の検査精度が向上する電子部品および電子部品の検査方法を提供する。
【解決手段】この検査方法は、回路基板5に対してX線が照射することにより得られた複数のX線透過画像に基づいて、プリント配線板6に略垂直な高さ方向における複数の断層画像31a〜31zが取得される工程S1と、複数の断層画像31a〜31zから、基準ランド34の像を含む断層画像が基準断層画像M2として選択される工程S3、S4と、複数の断層画像のうち、基準断層画像M2に対応する基準位置から予め設定された距離Lだけ離れた検査領域に対応する断層画像が検査断層画像Nとして選択される工程S5と、検査断層画像Nに基づいてはんだボール32の接合状態が判定される工程S6と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品およびその検査方法、特に、プリント配線板に集積回路パッケージがはんだ付けにより実装された電子部品および電子部品のはんだ接合状態の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器は高機能化および小型化が進んでいる。このため、電子機器内に搭載される回路基板には集積回路が実装されている。集積回路には半導体部品が多く使われる。ロジック回路やメモリなどの機能集積度の高い半導体部品は端子数が多い。このため、半導体チップをインターポーザー基板に実装し、樹脂モールドなどでパッケージ化した集積回路パッケージが用いられている。
この種の集積回路パッケージとしては、半導体チップ下面にはんだボールの端子がアレイ状に配置されたBGA(ボール・グリッド・アレイ、Ball Grid Alley)型が主流になっている。
しかし、これらの集積回路パッケージでは、プリント配線板にはんだ付けされた接続端子が部品下面にあり、はんだ接合部を外部から直接視認できない。このため、光学的な外観観察でははんだ接合状態を検査できない。
【0003】
そこで、これらの集積回路パッケージの検査方法として、X線断層面検査装置が利用されている。
しかし、X線断層面検査装置では、高さ方向における複数の断層画像が得られるが、2次元的なはんだボールの濃淡画像しか得られない。このため、接続端子間がはんだボールでショートしているか否か、あるいは接続端子のはんだボールの大小、を確認できるに留まり、集積回路パッケージとプリント配線板とが高さ方向で接続されていることは確認できない。
そこで、X線断層面検査装置に加えて光学的測定装置を用いた検査方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この検査方法では、光学的測定装置により電子部品の外形が測定され、その測定データと部品設計寸法とからはんだ接合部の高さ位置が算出される。そして、この高さ位置に対応する断層画像が抽出され、はんだ接合状態の良否が判定される。
【特許文献1】特開2003−240736号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来の技術では、プリント配線板の部品実装されていない上面位置が測定され、その測定結果および部品設計寸法から基準となる高さ位置が導かれている。このため、基準位置は、プリント配線板上に形成されたレジストや配線パターンの厚みのばらつきや凹凸に影響され、基準高さ位置の精度が低下する。この結果、はんだ接合状態の検査精度が低下する。
本発明の課題は、はんだ接合状態の検査精度が向上する電子部品および電子部品の検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明に係る検査方法は、プリント配線板と、集積回路パッケージと、プリント配線板と集積回路パッケージとを接続する複数のはんだボールと、プリント配線板に設けられた基準部材と、を有する電子部品の検査方法である。この検査方法は、電子部品に対してX線が照射することにより得られた複数のX線透過画像に基づいて、プリント配線板に略垂直な高さ方向における複数の断層画像が取得される工程と、複数の断層画像から、基準部材の像を含む断層画像が基準断層画像として選択される工程と、複数の断層画像のうち、基準断層画像に対応する基準位置から予め設定された距離だけ離れた検査領域に対応する断層画像が検査断層画像として選択される工程と、検査断層画像に基づいてはんだボールの接合状態が判定される工程と、を備えている。
この検査方法では、はんだボールの接合状態を判定する際の基準位置が、プリント配線板に設けられた基準部材に基づいて決定される。このため、基準位置および基準位置から求められた検査位置の精度が高くなり、接合状態の検査精度が向上する。
【0006】
ここで、「電子部品」とは、例えば、集積回路パッケージとプリント配線板とがはんだ接合された回路基板などである。「集積回路パッケージ」とは、例えば、半導体チップとインターポーザー基板とが樹脂成形されたパッケージなどが挙げられる。
なお、「検査断層画像」は、1枚の断層画像に限られず、複数の断層画像に基づいて接合状態が判定されてもよい。
第2の発明に係る検査方法は、第1の発明に係る検査方法において、基準部材の像を含む断層画像が複数の場合、基準部材の像を含む複数の断層画像のうち予め設定された位置に対応する1枚の断層画像が基準断層画像として選択される。
ここでは、基準部材の像が複数の断層画像に含まれている場合であっても、基準位置を決定することができる。「予め設定された位置」としては、例えば、高さ方向の中央位置、最上端、最下端などが挙げられる。
【0007】
第3の発明に係る検査方法は、第1または第2の発明に係る検査方法において、基準部材が、予め設定された基準平面形状を有している。基準部材を含む断層画像が選択される際、基準平面形状が断層画像に写し出されているか否かが判定される。
ここでは、基準部材の像を簡素な方法により認識することができる。基準平面形状が断層画像に写し出されているか否かを判定する手法としては、例えば、パターンマッチング処理などが挙げられる。
第4の発明に係る検査方法は、第1から第3のいずれかの発明に係る検査方法において、基準部材がはんだボールと接合されていない。
これにより、基準部材とランドとを識別しやすくなり、基準位置を容易に求めることができる。
【0008】
第5の発明に係る検査方法は、第1から第4のいずれかの発明に係る検査方法において、プリント配線板が、基板本体と、基板本体に設けられ複数のはんだボールと接合される端子ランドと、を有している。基準部材は、基板本体に設けられており、高さ方向に垂直な水平方向において端子ランドと異なる位置に配置されている。
これにより、基準部材と端子ランドとを識別しやすくなり、基準位置を容易に求めることができる。
第6の発明に係る検査方法は、第5の発明に係る検査方法において、基準部材の材質が端子ランドの材質と同じである。
これにより、端子ランドと基準部材とを基板本体に対して同時に形成することができる。
【0009】
第7の発明に係る電子部品は、プリント配線板と、プリント配線板上に配置された集積回路パッケージと、プリント配線板と集積回路パッケージとの間に配置され、プリント配線板と集積回路パッケージとを電気的に接続する複数のはんだボールと、プリント配線板に設けられた基準部材と、を備えている。
この電子部品では、プリント配線板に基準部材が設けられている。このため、例えば、X線断層面検査により基準部材の高さ方向の位置が特定できれば、プリント配線板の高さ方向の位置が特定できる。これにより、はんだボールの接合状態を検査する検査位置の精度が高くなり、接合状態の検査精度が向上する。
第8の発明に係る電子部品は、第7の発明に係る電子部品において、基準部材がはんだボールと接合されていない。
【0010】
これにより、基準部材とランドとを識別しやすくなり、基準位置を容易に求めることができる。
第9の発明に係る電子部品は、第7または8の発明に係る電子部品において、プリント配線板が、基板本体と、基板本体に設けられ複数のはんだボールと接合される端子ランドと、を有している。基準部材は、基板本体に設けられており、端子ランドと異なる位置に配置されている。
これにより、基準部材と端子ランドとを識別しやすくなり、基準位置を容易に求めることができる。
第10の発明に係る電子部品は、第9の発明に係る電子部品において、基準部材の材質が端子ランドの材質と同じである。
【0011】
これにより、端子ランドと基準部材とを基板本体に対して同時に形成することができる。端子ランドの材質は、例えば銅箔などである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電子部品および電子部品の検査方法によれば、上記の構成を有しているため、はんだ接合状態の検査精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
<X線断層面検査装置の構成>
図1〜図2を用いてX線断層面検査装置1の構成について説明する。図1はX線断層面検査装置1の概略構成図である。図2は回路基板5の概略断面図である。
図1に示すように、X線断層面検査装置1は主に、検査対象が設置される回転テーブル4と、検査対象に対してX線を照射するためのX線源2と、検査対象を透過したX線を光学画像として入力するためのX線検出器3と、回転テーブル4、X線源2およびX線検出器3の動作を制御する制御装置8と、から構成されている。X線検出器3は、例えば輝度倍増管や撮像素子などから構成されている。
X線源2はX線を照射するためのX線照射部21を有している。X線照射部21は鉛直方向(高さ方向)上側に向けて放射状にX線を照射する。X線検出器3は鉛直方向に対して傾いている。具体的には、X線検出器3の検出中心軸A2はX線照射部21のX線中心軸A1と交差しており、検出中心軸とX線中心軸とのなす角度Cは、概ね60度である。
【0014】
回転テーブル4は、検査対象を所定の角度だけ回転させるための機構であり、X線源2およびX線検出器3に対して回転可能に設けられたテーブル41と、テーブル41を回転させ所定の回転角度で保持するステッピングモータ42と、を有している。テーブル41の回転軸はX線中心軸A1とほぼ一致している。回転テーブル4上には、検査対象として回路基板5が設置される。
制御装置8は、回転テーブル4、X線源2およびX線検出器3と電気的に接続されている。制御装置8により、回転テーブル4、X線源2およびX線検出器3の動作が制御され、検査対象の複数のX線透過画像や複数の断層画像を取得することが可能となる。制御装置8は、例えば、CPU、ROM、RAMが内蔵されており、ROMに記録されたプログラムがCPUに読み込まれ実行されることで、制御装置8の様々な機能が実現される。
【0015】
<回路基板の構成>
回路基板5は、BGAパッケージ7がプリント配線板6に実装された電子部品である。BGAパッケージは、集積回路パッケージの一種であり、例えば、半導体チップとインターポーザー基板とが樹脂成形されたパッケージなどである。
図2に示すように、回路基板5は主に、プリント配線板6と、プリント配線板6上に配置されたBGAパッケージ7と、プリント配線板6とBGAパッケージ7とを接続する複数のはんだボール32と、から構成されている。はんだボール32はプリント配線板6とBGAパッケージ7との間に格子状に配置されている。
プリント配線板6は、基板61と、基板61の表面に形成された複数の端子ランド33と、を有している。端子ランド33は、BGAパッケージ7のBGA用基板(図示せず)に設けられた複数の接続端子(図示せず)に対応する位置に配置されており、例えば銅箔などから構成されている。図3に示すように、端子ランド33は、格子状に配置された複数の円形部33aと、複数の円形部33aを連結する連結部33bと、を有している。円形部33aとBGAパッケージ7の接続端子とは、はんだボール32により電気的に接続されている。また、基板61には、格子状に配置されたスルーホール62が形成されている。
【0016】
さらに、プリント配線板6には、はんだ接合状態を検査する際の基準位置を決定するための基準ランド34(基準部材)が設けられている。具体的には図3に示すように、基準ランド34は、端子ランド33と同じ銅箔により構成されているが、端子ランド33と異なる形状(基準平面形状)を有している。より詳細には、端子ランド33が円形部33aと連結部33bとを有する複雑なパターンを有しているのに対して、基準ランド34は正方形である。
また、基準ランド34は、端子ランド33とは異なる平面位置に配置されている。具体的には、基準ランド34は、隣り合う端子ランド33同士の間に配置されている。基準ランド34は、はんだボール32が設けられておらず、BGAパッケージ7との間に隙間が確保されている。
【0017】
なお、基準ランド34および端子ランド33の形状や配置は、上記のものに限定されない。
<回路基板の検査方法>
ここで、図1〜5を用いて回路基板5のはんだ接合状態を検査する方法について説明する。図4はX線検査データの一例である。図5はX線断層画像の一例である。図6は検査工程のフロー図の一例である。
まず、BGAパッケージ7が回転テーブル4に装着される。X線源2から回路基板5に対してX線が照射される。回路基板5を透過するX線は、X線検出器3により検出され、X線検出器3の輝度倍増管および撮像素子によりX線の強弱に応じた電気信号に変換される。この電気信号は、X線透過画像として制御装置により記憶される。
【0018】
X線透過画像が記憶されると、ステッピングモータ42によりテーブル41が所定の角度だけ回転駆動され、上記のように回路基板5のX線透過画像が記憶される。このように、回路基板5を所定の角度だけ回転させて、様々な方向における複数のX線透過画像が取得される(S1)。
制御装置8では、これらのX線透過画像に基づいてX線トモシンセシス(Tomosynthesis)などの画像処理が行われる。この処理により、複数のX線透過画像は図4に示す複数の断層画像31a〜31zに変換される(S2)。複数の断層画像31a〜31zは回路基板5の3次元データ30を構成している。
断層画像31a〜31zは、鉛直方向に所定のピッチで並んだ断層画像である。断層画像31aが鉛直方向最上端の断層画像であり、断層画像31zが鉛直方向最下端の断層画像である。断層画像のピッチPは、装置の性能や拡大率などにより変化するが、例えば5〜25〔μm〕である。本実施形態においては、断層画像のピッチPは10〔μm〕に設定されている。端子ランド33および基準ランド34の厚みは、例えば概ね35〔μm〕である。このため、端子ランド33および基準ランド34の像は、少なくとも1枚(より詳細には3枚)の断層画像に必ず写し出される(例えば、図4の断層画像31p)。言い換えると、断層画像のピッチは、端子ランド33および基準ランド34の厚みよりも小さく設定する必要がある。
【0019】
複数の断層画像31a〜31zが取得された後、断層画像31a〜31zから基準ランド34の像が写し出されている断層画像が選択される(S3)。具体的には、各断層画像31a〜31zに対して、例えば、順次、2値化画像認識が行われ、基準ランド34の形状である正方形に基づくパターンマッチング処理が行われる。前述のように、本実施形態においては、断層画像のピッチPは10〔μm〕であり、基準ランド34の厚みは35〔μm〕である。このため、基準ランド34の像が写し出されている基準断層画像M1として、例えば、断層画像31a〜31zのうち3枚の断層画像31o、31p、31qが選択される(図4参照)。
さらに、基板61の表面付近の基準位置を決定するために、1枚の断層画像が基準断層画像M1からさらに選択される。具体的には、断層画像31o、31p、31qのうち、鉛直方向の中央位置に対応する断層画像31pが基準断層画像M2として選択される(S4)。この断層画像31pに対応する位置は、基準ランド34が配置されている基板61の上側表面付近を意味しており、検査位置を決定する際の基準位置となる。
【0020】
なお、基準断層画像M1の枚数が偶数である場合は、例えば、鉛直方向の中央付近の上側や下側(基板61側)の断層画像が基準断層画像M2として選択される。また、選択断層画像Aが1枚である場合は、基準断層画像M1が、そのまま基準断層画像M2として選択される。
次に、基準断層画像M2に基づいて、はんだ接合状態の判定を行うための検査断層画像Nが選択される(S5)。具体的には、基準断層画像M2に対応する基準位置から所定の距離だけ離れた断層画像が検査断層画像Nとして選択される。例えば、基準位置から検査位置までの距離Lは、50〔μm〕に設定されている。この距離Lは、例えば、端子ランド33の厚みおよび端子ランド33に予め設けられたはんだペースト32c(図2参照)の高さの合計である。このように設定することで、はんだペースト32cとはんだボール32とが接合されていない場合に、基準位置から距離Lだけ離れた断層画像に非接合状態が写し出されやすくなる。
【0021】
前述の設定値の場合、P=10、L=50であるため、N=L/P=5〔枚〕だけ断層画像31pから鉛直方向上側に配置されている断層画像31kが検査断層画像Nとして選択される。
最後に、検査断層画像Nに基づいて、はんだ接合状態の良否判定が行われる(S6)。図5(b)に示すように、接合状態が良いはんだボール32aの像は、輪郭がはっきりしており、接合状態が悪いはんだボール32bの像は、輪郭がぼやけている。図5(b)のように、接合状態が悪いはんだボール32bが含まれている場合、回路基板5のはんだ接合状態は「否」と判定される。一方、接合状態が悪いはんだボール32が含まれていない場合、回路基板5のはんだ接合状態は「良」と判定される。
<効果>
(1)
この回路基板5を用いた検査方法では、プリント配線板6に端子ランド33と平面形状が異なる基準ランド34が設けられおり、基準ランド34が写し出されている断層画像31pが基準断層画像M2として選択される。そして、この断層画像31pを基準に距離Lだけ上側に離れた断層画像31kが検査断層画像Nとして選択され、この断層画像31kに基づいてはんだボール32の接合状態の良否が判定される。
【0022】
このように、この検査方法では、基準ランド34を利用して基準位置を正確に求めることができる。これにより、はんだ接合の不良状態が最も写し出される可能性が高い断層画像を、正確な基準位置から簡単にかつ精度よく選択することができ、はんだ接合状態の検査精度が向上する。
特に、この検査方法では、前述のような光学的測定装置を用いた検査方法に比べて、装置の構成を簡素化することができる。このため、検査装置のコストダウンを図りつつ検査精度を向上させることができる。
さらに、従来の光学的測定装置を用いた検査方法では、X線断層面検査装置による断層画像の高さ位置と、光学的測定装置の測定データの高さ位置と、を精度良く合わせておく必要があり、このため、校正作業が煩雑となる。しかし、この検査方法であれば、回路基板5に予め設けられた基準ランド34を利用するため、このような校正作業が不要となり、検査効率を高めることができる。
【0023】
(2)
この回路基板5を用いた検査方法では、基準ランド34が水平方向において端子ランド33と異なる位置に配置されている。このため、基準ランド34と端子ランド33とを識別しやすくなる。また、端子ランド33にはんだボール32を接合させる際に、基準ランド34にはんだボール32が誤って接合されるのを防止でき、基準ランド34を識別しやすくなる。
なお、基準ランド34の位置は、図3に示す位置に限定されない。
(3)
この回路基板5を用いた検査方法では、基準ランド34および端子ランド33は、ともに材質が同じであり、端子ランドとして一般的に使用されている銅箔である。このため、製造工程において端子ランド33と基準ランド34とを基板61に対して同時に形成することができ、回路基板5の製造コストを維持しつつ、検査精度を向上させることができる。
【0024】
(4)
以上のように、この回路基板5を用いた検査方法では、X線断層面検査における検査位置の精度が向上するため、はんだ接合状態の検査精度が向上する。
<他の実施形態>
本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
(1)
前述の具体的数値は一例である。このため、各数値は前述の数値に限定されない。
(2)
前述の実施形態では、基準断層画像M2として3枚の断層画像31o、31p、31qのうち中央位置の断層画像31pが選択されているが、例えば、上側の断層画像31oや下側の断層画像31qが選択されてもよい。基準断層画像M2のうち最も下側の断層画像が選択される場合、選択された断層画像に対応する基準位置は、基板61の表面に最も近いと考えることができる。
【0025】
(3)
前述の実施形態では、検査断層画像Nとして1枚の断層画像31kが選択されているが、複数の断層画像(例えば、断層画像31kが鉛直方向の中心である3枚の断層画像31j、31k、31l)が検査断層画像Nとして選択されてもよい。この場合、検査断層画像Nが1枚の断層画像である場合に比べて、検査精度のさらなる向上が期待できる。
(4)
前述の実施形態では、基準ランド34が基板61の表面に形成されている。しかし、基板61が多層構造である場合、基板61の内部に基準ランド34が設けられていてもよい。
(5)
前述の実施形態では、集積回路パッケージは、BGAパッケージであるが、これに限定されない。例えば、集積回路パッケージは、はんだ付けされる接続端子が部品下面に配置されているCSP(チップ・スケール・パッケージ、Chip Scale Package)やLGA(ランド・グリッド・アレイ、Land Grid Array)などでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係る電子部品およびその検査方法では、高精度なはんだ接合状態の検査が可能となるため、高密度回路基板およびその実装検査に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】X線断層面検査装置の概略構成図
【図2】回路基板の概略断面図
【図3】端子ランドおよび基準ランドの配置図
【図4】X線断層画像からなる3次元データの構成
【図5】基準断層画像M2および検査断層画像N
【図6】検査工程のフロー図
【符号の説明】
【0028】
1 X線断層面検査装置
2 X線源
3 X線検出器
4 回転テーブル
5 回路基板(電子部品)
6 プリント配線板
7 BGAパッケージ(集積回路パッケージ)
30 三次元データ
31a〜31z 断層画像
32 はんだボール
33 端子ランド
33a 円形部
33b 連結部
34 基準ランド(基準部材)
61 基板(基板本体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板と、集積回路パッケージと、前記プリント配線板と前記集積回路パッケージとを接続する複数のはんだボールと、前記プリント配線板に設けられた基準部材と、を有する電子部品の検査方法であって、
前記電子部品に対してX線が照射することにより得られた複数のX線透過画像に基づいて、前記プリント配線板に略垂直な高さ方向における複数の断層画像が取得される工程と、
前記複数の断層画像から、前記基準部材の像を含む前記断層画像が基準断層画像として選択される工程と、
前記複数の断層画像のうち、前記基準断層画像に対応する基準位置から予め設定された距離だけ離れた検査領域に対応する前記断層画像が検査断層画像として選択される工程と、
前記検査断層画像に基づいて前記はんだボールの接合状態が判定される工程と、
を備えた電子部品の検査方法。
【請求項2】
前記基準部材の像を含む前記断層画像が複数の場合、前記基準部材の像を含む前記複数の断層画像のうち予め設定された位置に対応する1枚の前記断層画像が前記基準断層画像として選択される、
請求項1に記載の電子部品の検査方法。
【請求項3】
前記基準部材は、予め設定された基準平面形状を有しており、
前記基準部材を含む前記断層画像が選択される際、前記基準平面形状が前記断層画像に写し出されているか否かが判定される、
請求項1または2に記載の電子部品の検査方法。
【請求項4】
前記基準部材は、前記はんだボールと接合されていない、
請求項1から3のいずれかに記載の電子部品の検査方法。
【請求項5】
前記プリント配線板は、基板本体と、前記基板本体に設けられ前記複数のはんだボールと接合される端子ランドと、を有しており、
前記基準部材は、前記基板本体に設けられており、前記高さ方向に垂直な水平方向において前記端子ランドと異なる位置に配置されている、
請求項1から4のいずれかに記載の電子部品の検査方法。
【請求項6】
前記基準部材の材質は、前記端子ランドの材質と同じである、
請求項5に記載の電子部品の検査方法。
【請求項7】
プリント配線板と、
前記プリント配線板上に配置された集積回路パッケージと、
前記プリント配線板と前記集積回路パッケージとの間に配置され、前記プリント配線板と前記集積回路パッケージとを電気的に接続する複数のはんだボールと、
前記プリント配線板に設けられた基準部材と、
を備えた電子部品。
【請求項8】
前記基準部材は、前記はんだボールと接合されていない、
請求項7に記載の電子部品。
【請求項9】
前記プリント配線板は、基板本体と、前記基板本体に設けられ前記複数のはんだボールと接合される端子ランドと、を有しており、
前記基準部材は、前記基板本体に設けられており、前記端子ランドと異なる位置に配置されている、
請求項7または8に記載の電子部品。
【請求項10】
前記基準部材の材質は、前記端子ランドの材質と同じである、
請求項9に記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−202989(P2008−202989A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36938(P2007−36938)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】