説明

電子部品及びその製造方法と、配線基板

【課題】θズレの許容範囲を広げることを可能とした電子部品及びその製造方法と、配線基板を提供する。
【解決手段】基板の第1の面に位置する第1のランドと、第1の面に位置し、第1の方向において第1のランドと離れた状態で隣り合う第2のランドと、第1の電極と第2の電極とを有し、第1の電極が第1のランドに接続されると共に、第2の電極が第2のランドに接続される素子と、を備え、第1のランドは第2のランドと向かい合う第1の辺を有し、第2のランドは第1のランドと向かい合う第2の辺を有し、第1の辺は第1の中央部と第1の端とを含み、第2の辺は第2の中央部と第2の端とを含み、第1の方向において、第1の中央部と第2の中央部とが向かい合いと共に、第1の端と第2の端とが向かい合い、第1の端と第2の端との間の第1の距離は、第1の中央部と第2の中央部との間の第2の距離よりも長い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品及びその製造方法と、配線基板とに関する。
【背景技術】
【0002】
図12(a)及び(b)は、従来例に係る配線基板150と電子部品200の各構成例を示す平面図である。図12(a)に示すように、この配線基板150は、ベース基板151と、ベース基板151の表面151aに設けられた第1の配線160と、第2の配線170と、これら第1の配線160及び第2の配線170をそれぞれ部分的に覆って保護するソルダーレジスト180とを有する。第1の配線160のソルダーレジスト180から露出している部分の先端には第1のランド161が設けられており、第2の配線170のソルダーレジスト180から露出している部分の先端には第2のランド171が設けられている。第1のランド161と第2のランド171は平面視で同一の形状で同一の大きさであり、例えばY軸方向において、離れた状態で隣り合っている。
【0003】
図12(b)に示すように、電子部品200は、上記の配線基板150と、この配線基板150に実装された素子190と、を備える。ここで、素子190は例えばコンデンサであり、第1の電極191と第2の電極192及び誘電体193を有する。第1の電極191は第1のランド161に接続され、第2の電極192は第2のランド162に接続されており、第1の配線160及び第2の配線170を介して、第1の電極191と第2の電極192との間で所定の電圧が印加されるようになっている。
なお、この種の形態は、例えば特許文献1の図1等にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−136375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の配線基板150に素子190を実装する工程では、例えば、第1のランド161上と第2のランド171上にクリームはんだを予め塗布しておき、その上に第1の電極191と第2の電極192を配置し、この状態でリフロー炉に通す。これにより、はんだを介して、第1の電極191が第1のランド161に接合され、第2の電極192が第2のランド171に接合される。
しかしながら、上記の実装工程では、素子190と配線基板150との位置合わせや、位置合わせ後に素子190を配線基板150上に配置する過程、又は、その後のリフローの過程で、図13に示すように、素子190が回転して位置ズレが生じてしまうことがある。
【0006】
このように、回転方向(即ち、θ方向)への位置ズレが生じてしまうと、例えば図13の破線で囲むように、第1の電極191と第2のランド171とが接触したり、第2の電極192と第1のランド161とが接触してしまう可能性があった。これらが接触すると、第1の電極191又は第2の電極192を介して、第1のランド161と第2のランド171とがショートする。
そこで、この発明の幾つかの態様は、このような事情に鑑みてなされたものであって、θズレの許容範囲を広げることを可能とした電子部品及びその製造方法と、配線基板の提供を目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る電子部品は、基板と、前記基板の第1の面に位置する第1のランドと、前記第1の面に位置し、第1の方向において前記第1のランドと離れた状態で隣り合う第2のランドと、第1の電極と第2の電極とを有し、前記第1の電極が前記第1のランドに接続されると共に、前記第2の電極が前記第2のランドに接続される素子と、を備え、前記第1のランドは前記第2のランドと向かい合う第1の辺を有し、前記第2のランドは前記第1のランドと向かい合う第2の辺を有し、前記第1の辺は第1の中央部と第1の端とを含み、前記第2の辺は第2の中央部と第2の端とを含み、前記第1の方向において、前記第1の中央部と前記第2の中央部とが向かい合いと共に、前記第1の端と前記第2の端とが向かい合い、前記第1の端と前記第2の端との間の第1の距離は、前記第1の中央部と前記第2の中央部との間の第2の距離よりも長いことを特徴とする。ここで、「素子」としては、例えば、コンデンサや抵抗素子などの素子が挙げられる。
【0008】
このような構成であれば、例えば、基板に対する素子のθ方向への位置ズレ(以下、θズレともいう。)が生じた場合でも、第1の電極が第2のランドに接触したり、第2の電極が第1のランドに接触したりすることを防ぐことができる。これにより、第1の電極や第2の電極を介して、第1のランドと第2のランドとがショートすることを防ぐことができる。素子のθズレの許容範囲を広げることができる。なお、本発明の「第1の中央部」としては、例えば、後述する中央部13a、43a、53a、63a、73aの何れか一が該当する。「第2の中央部」としては、例えば、後述する中央部17a、47a、57a、67a、77aの何れか一が該当する。さらに、「第1の端」としては、例えば、後述する一端13b、43b、53b、63b、73bの何れか一が該当する。「第2の端」としては、例えば、後述する一端17b、47b、57b、67b、77bの何れか一が該当する。
【0009】
また、上記の電子部品において、前記第1の方向における前記第1の辺と前記第2の辺との間の距離は、当該距離の始点が前記第1の中央部から前記第1の端へ移ると共に、当該距離の終点が前記第2の中央部から前記第2の端へ移るに従って大きくなることを特徴としてもよい。このような構成であれば、例えば、第1の電極と第1のランドとの接続面積や、第2の電極と第2のランドとの接続面積を大きく確保しつつ、θズレの許容範囲を広げることができる。
【0010】
また、上記の電子部品において、前記第1のランドと前記第2のランドは、同一の形状で同一の大きさを有し、前記第1のランドと前記第2のランドとの間を通る中間線を軸に対称となるように配置されていることを特徴としてもよい。ここで、「中間線」は仮想線である。この中間線は基板に記載されている必要は無い。このような構成であれば、例えば、第1の電極の第2のランドに対するθズレの許容範囲と、第2の電極の第1のランドに対するθズレの許容範囲とを一致させることができる。
【0011】
また、上記の電子部品において、前記素子の前記第1の方向における長さよりも、前記素子の前記第1の方向と平面視で交差する第2の方向における長さの方が長いことを特徴としてもよい。即ち、上記の電子部品において、前記素子は後述するLW逆転タイプであることを特徴としてもよい。このような構成であれば、θズレが生じ易いため、本発明の効果がより顕著となる。
【0012】
本発明の別の態様に係る電子部品の製造方法は、基板と、前記基板の第1の面に位置する第1のランドと、前記第1の面に位置し、第1の方向において前記第1のランドと離れた状態で隣り合う第2のランドと、を備え、前記第1のランドは前記第2のランドと向かい合う第1の辺を有し、前記第2のランドは前記第1のランドと向かい合う第2の辺を有し、前記第1の辺は第1の中央部と第1の端とを含み、前記第2の辺は第2の中央部と第2の端とを含み、前記第1の方向において、前記第1の中央部と前記第2の中央部とが向かい合いと共に、前記第1の端と前記第2の端とが向かい合い、前記第1の端と前記第2の端との間の第1の距離は、前記第1の中央部と前記第2の中央部との間の第2の距離よりも長い配線基板を用意する工程と、第1の電極と第2の電極とを有する素子を用意する工程と、前記第1の電極を前記第1のランドに接続し、前記第2の電極を前記第2のランドに接続する工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
このような方法であれば、例えば、第1の電極を第1のランドに接続し、第2の電極を第2のランドに接続する(即ち、素子を実装する)際に、素子のθズレが生じた場合でも、第1の電極が第2のランドに接触したり、第2の電極が第1のランドに接触したりすることを防ぐことができる。これにより、第1の電極や第2の電極を介して、第1のランドと第2のランドとがショートすることを防ぐことができる。従って、θズレの許容範囲が拡大された電子部品を提供することができる。
【0014】
本発明のさらに別の態様に係る配線基板は、基板と、前記基板の第1の面に位置する第1のランドと、前記第1の面に位置し、第1の方向において前記第1のランドと離れた状態で隣り合う第2のランドと、を備え、前記第1のランドは前記第2のランドと向かい合う第1の辺を有し、前記第2のランドは前記第1のランドと向かい合う第2の辺を有し、前記第1の辺は第1の中央部と第1の端とを含み、前記第2の辺は第2の中央部と第2の端とを含み、前記第1の方向において、前記第1の中央部と前記第2の中央部とが向かい合いと共に、前記第1の端と前記第2の端とが向かい合い、前記第1の端と前記第2の端との間の第1の距離は、前記第1の中央部と前記第2の中央部との間の第2の距離よりも長いことを特徴とする。
【0015】
このような構成であれば、例えば、第1の電極と第2の電極とを有する素子を配線基板に実装する際にθズレが生じた場合でも、第1の電極が第2のランドに接触したり、第2の電極が第1のランドに接触したりすることを防ぐことができる。これにより、第1の電極や第2の電極を介して、第1のランドと第2のランドとがショートすることを防ぐことができる。素子のθズレの許容範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る配線基板10と電子部品100の各構成例を示す図。
【図2】図1(b)をY1−Y´線で切断したときの図。
【図3】第1実施形態におけるθズレ許容範囲を説明するための図。
【図4】第1実施形態に係る電子部品100の製造方法を示す図。
【図5】第2実施形態に係る配線基板40と電子部品110の各構成例を示す図。
【図6】第2実施形態におけるθズレ許容範囲を説明するための図。
【図7】第3実施形態に係る配線基板50と電子部品120の各構成例を示す図。
【図8】第3実施形態におけるθズレ許容範囲を説明するための図。
【図9】第4実施形態に係る配線基板60の構成例を示す図。
【図10】第5実施形態に係る配線基板70の構成例を示す図。
【図11】第6実施形態に係る配線基板80の構成例を示す図。
【図12】従来例を示す図。
【図13】課題を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その重複する説明は省略する。
(1)第1実施形態
図1(a)及び(b)は、本発明の第1実施形態に係る配線基板10と電子部品100の各構成例を示す平面図である。
図1(a)に示すように、この配線基板10は、ベース基板1と、ベース基板1の表面1aに設けられた第1の配線11と、第2の配線15と、これら第1の配線11及び第2の配線15をそれぞれ部分的に覆って保護するソルダーレジスト20とを有する。第1の配線11のソルダーレジスト20から露出している部分の先端には第1のランド12が設けられており、第2の配線15のソルダーレジスト20から露出している部分の先端には第2のランド16が設けられている。
【0018】
ベース基板1は、例えば可撓性を有する絶縁性のフィルムからなり、例えばポリイミドからなる。また、第1のランド12を含む第1の配線11、及び、第2のランド16を含む第2の配線15は、それぞれ金属(例えば、銅箔)からなり、その表面はメッキされていてもよい。例えば、第1の配線11及び第2の配線15を構成する金属が銅(Cu)の場合、その表面は金(Au)又はスズ(Sn)でメッキされていてもよい。
【0019】
図1(a)に示すように、第1のランド12と第2のランド16は平面視で同一の形状(例えば、台形)で、且つ、同一の大きさである。第1のランド12と第2のランド16は例えばY軸方向において離れた状態で隣り合っている。また、第1のランド12と第2のランド16は、これらの間を仮想的に通る中間線2を軸に対称となるように配置されている。
【0020】
図1(b)に示すように、電子部品100は、上記の配線基板10と、この配線基板10に実装された素子30と、を有する。ここで、素子30は、例えばLW逆転タイプのコンデンサであり、第1の電極31と、第2の電極32と、第1の電極31と第2の電極32とに挟まれた誘電体33と、を有する。なお、LW逆転タイプとは、平面視で横方向の長さ(W)が縦方向の長さ(L)よりも長いタイプのことを意味する。ここで、横方向は例えばX軸方向であり、縦方向は例えばY軸方向である。言い換えると、横方向は例えば素子30の第1の電極31が設けられた辺と平行な方向であり、縦方向は素子30の第1の電極31が設けられた辺と直交する方向である。
【0021】
図2は、図1(b)をY1−Y´線で切断したときの断面図である。図2に示すように、第1の電極31は第1のランド12上にはんだ21で接合されており、第2の電極32は第2のランド16上にはんだ21で接合されている。これにより、第1の配線11及び第2の配線15を介して、第1の電極31と第2の電極32との間に電圧を印加することができるようになっている。
【0022】
ところで、図1(a)に示した配線基板10において、第1のランド12と第2のランド16の互いに向かい合う辺は、平面視でその両端が互いに対向する方向の反対側へ後退した形となっている。この点について、より詳しく説明する。
図1(a)に示すように、第1のランド12の辺であって第2のランド16と向かい合う辺を第1の辺13とし、第2のランド16の辺であって第1のランド12と向かい合う辺を第2の辺17とする。このとき、第1の辺13の中央部13aと第2の辺17の中央部17aはY軸方向において向かい合っている。同様に、第1の辺13の一端13bと第2の辺17の一端17bもY軸方向において向かい合っており、第1の辺13の他端13cと第2の辺17の他端17cもY軸方向において向かい合っている。
【0023】
ここで、第1の辺13の一端13bと第2の辺17の一端17bとの間の距離をL1とし、第1の辺13の中央部13aと第2の辺17の中央部17aとの間の距離をL2とし、第1の辺13の他端13cと第2の辺17の他端17cとの間の距離をL3としたとき、L1=L3>L2となっている。このため、素子30が配線基板10に対してθ方向に位置ズレしている場合でも、第1の電極31が第2のランド16に接触したり、第2の電極32が第1のランド12に接触したりすることを防ぐことができる。
【0024】
例えば図3(a)に示すように、素子30が所定の取付位置から右回りの方向(+θ方向)に位置ズレしている場合でも、第1の辺13の一端13bと第2の辺17の他端17cはそれぞれ各々の中央部よりも、互いに対向する方向の反対側(図では、上下の側)へ後退している。このため、第1のランド12に第2の電極32が接触したり、第2のランド16に第1の電極31が接触したりすることを防ぐことができる。
【0025】
また、例えば図3(b)に示すように、素子30が所定の取付位置から左回りの方向(−θ方向)に位置ズレしている場合でも、第1の辺13の他端13cと第2の辺17の一端17bは各々の中央部13a、17aよりも、互いに対向する方向の反対側へ後退している。このため、第1のランド12に第2の電極32が接触したり、第2のランド16に第1の電極31が接触したりすることを防ぐことができる。これにより、第1の電極31や第2の電極32を介して、第1のランド12と第2のランド16とがショートすることを防ぐことができる。
【0026】
また、この配線基板10では、Y軸方向における第1の辺13と第2の辺17との間の距離(以下、離間距離ともいう。)は、当該距離の始点が第1の辺13の中央部13aからその一端13bへ移ると共に、当該距離の終点が第2の辺17の中央部17aからその一端17bへ移るに従って大きくなっている。同様に、上記の離間距離は、当該距離の始点が第1の辺13の中央部13aからその他端13cへ移ると共に、当該距離の終点が第2の辺17の中央部17aからその他端17cへ移るに従って大きくなっている。
【0027】
このため、図12(a)及び(b)に示した従来例において、例えば第1のランド161と第2のランド171との間を単に広げた場合(即ち、第1のランド161と第2のランド171との間を本実施形態のL1の距離まで広げた場合)と比べて、第1のランド12と第1の電極31との接触面積や、第2のランド16と第2の電極32との接触面積をそれぞれ確保することができる。次に、上記の電子部品100の製造方法について説明する。
【0028】
図4(a)〜(c)は、本発明の第1実施形態に係る電子部品100の製造方法を示す断面図である。図4(a)に示すように、まず始めに、ベース基板1の表面1a上に第1の配線11と第2の配線15とを形成する。ここでは、例えば、ベース基板1の表面1a上に接着層(図示せず)を介して銅箔を形成し、この銅拍をフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いてパターニングする。これにより、第1の配線11と第2の配線15とを形成する。
【0029】
次に、図4(b)に示すように、ランド12、16とその周辺部を除いて、ベース基板1の表面1a上にソルダーレジスト20を形成する。ソルダーレジスト20の形成は、例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて行う。なお、ソルダーレジスト20を形成した後で、必要に応じて第1のランド12や第2のランド16に、AuやSn等をメッキしてもよい。これにより、配線基板10が完成する。
【0030】
次に、図4(c)に示すように、この配線基板10に素子30を実装する。ここでは、例えば第1のランド12上と第2のランド16上にそれぞれクリームはんだ21´を塗布する。次に、クリームはんだ21´が塗布された第1のランド12に第1の電極31が重なり、且つ、クリームはんだ21´が塗布された第2のランド16に第2の電極32が重なるように、ベース基板1の表面1a上に素子30を配置する。
そして、この状態で、配線基板10及び素子30をリフロー炉に通す。これにより、クリームはんだ21´が溶融し、第1の電極31がはんだ21を介して第1のランド12に接合されると共に、第2の電極32がはんだ21を介して第2のランド16に接合される。このような工程を経て、図1(b)や図2に示した電子部品100が完成する。
【0031】
以上説明したように、本発明の第1実施形態によれば、第1のランド12と第2のランド16の互いに向かい合う辺13、17の離間距離は、L1=L3>L2となっている。このため、例えば素子30を配線基板10に実装する際にθズレが生じた場合でも、第1の電極31が第2のランド16に接触したり、第2の電極32が第1のランド12に接触したりすることを防ぐことができ、第1の電極31や第2の電極32を介して、第1のランド12と第2のランド16とがショートすることを防ぐことができる。θズレの許容範囲を広げることができる。
【0032】
(2)第2実施形態
上記の第1実施形態では、第1のランドと第2のランドのそれぞれの平面視による形状(即ち、平面形状)が台形である場合を例示した。しかしながら、本発明において、第1のランドの平面形状と、第2のランドの平面形状は台形に限られることはない。
図5(a)及び(b)は、本発明の第2実施形態に係る配線基板40と、この配線基板40を備えた電子部品110の各構成例を示す平面図である。図5(a)に示すように、この配線基板40では、第1の配線11のソルダーレジスト20から露出している部分の先端には第1のランド42が設けられており、第2の配線15のソルダーレジスト20から露出している部分の先端には第2のランド46が設けられている。そして、これら第1のランド42と第2のランド46のそれぞれの平面形状は二等辺三角形となっている。
【0033】
ここで、第1のランド42の辺であって第2のランド46と向かい合う辺を第1の辺43とし、第2のランド46の辺であって第1のランド42と向かい合う辺を第2の辺47とする。上記のように、第1のランド42と第2のランド46のそれぞれの平面形状が二等辺三角形である場合、第1の辺43の中央部43aであって第2のランド46に最も近い部分は中心の一点となり、第2の辺47の中央部47aであって第1のランド42に最も近い部分も中心の一点となる。
【0034】
また、この第2実施形態においても、第1の辺43の一端43bと第2の辺47の一端47bとの間の距離をL1とし、第1の辺43の中央部43aと第2の辺47の中央部47aとの間(例えば、上記の中心間)の距離をL2とし、第1の辺43の他端43cと第2の辺47の他端47cとの間の距離をL3としたとき、L1=L3>L2となっている。
このような構成であっても、図5(b)に示すように、第1のランド42に第1の電極31が重なり、且つ、第2のランド46に第2の電極32が重なるように、配線基板40に素子30を実装することができる。
【0035】
また、図6(a)に示すように、素子30を配線基板40に実装する際に、素子30が+θ方向に位置ズレした場合でも、第1の辺43の一端43bと第2の辺47の他端47cは各々の中央部43a、47aよりも、互いに対向する方向の反対側(図では、上下の側)へ後退しているため、第1のランド42に第2の電極32が接触したり、第2のランド46に第1の電極31が接触したりすることを防ぐことができる。
【0036】
同様に、図6(b)に示すように、素子30が−θ方向に位置ズレした場合でも、第1のランド42の他端43cと第2のランド46の一端47bは各々の中央部43a、47aよりも、互いに対向する方向の反対側へ後退しているため、第1のランド42に第2の電極32が接触したり、第2のランド46に第1の電極31が接触したりすることを防ぐことができる。
これにより、第1の電極31や第2の電極32を介して、第1のランド42と第2のランド46とがショートすることを防ぐことができる。従って、第1の実施形態と同様に、θズレの許容範囲を広げることができる。
【0037】
(3)第3実施形態
上記の第1、第2実施形態では、第1のランドと第2のランドがそれぞれ台形又は三角形であり、第1の辺と第2の辺がそれぞれ直線である場合を例示した。しかしながら、本発明において、第1の辺と第2の辺は直線ではなく、少なくともその一部に曲線を含んだ構成であってもよい。
図7(a)及び(b)は、本発明の第3実施形態に係る配線基板50と、この配線基板50を備えた電子部品120の各構成例を示す平面図である。図7(a)に示すように、この配線基板50では、第1の配線11のソルダーレジスト20から露出している部分の先端には第1のランド52が設けられており、第2の配線15のソルダーレジスト20から露出している部分の先端には第2のランド56が設けられている。ここで、第1のランド52の第1の辺53と第2のランド56の第2の辺57は、それぞれ曲線となっている。
【0038】
また、この第3実施形態においても、第1の辺53の一端53bと第2の辺57の一端57bとの間の距離をL1とし、第1の辺53の中央部53aと第2の辺57の中央部57aとの間の距離をL2とし、第1の辺53の他端53cと第2の辺57の他端57cとの間の距離をL3としたとき、L1=L3>L2となっている。
このような構成であっても、図7(b)に示すように、第1のランド52に第1の電極31が重なり、且つ、第2のランド56に第2の電極32が重なるように、配線基板50に素子30を実装することができる。
【0039】
また、図8(a)に示すように、素子30を配線基板50に実装する際に、素子30が+θ方向に位置ズレした場合でも、第1の辺53の一端53bと第2の辺57の他端57cは各々の中央部53a、57aよりも、互いに対向する方向の反対側(図では、上下の側)へ後退しているため、第1のランド52に第2の電極32が接触したり、第2のランド56に第1の電極31が接触したりすることを防ぐことができる。同様に、図8(b)に示すように、素子30が−θ方向に位置ズレした場合でも、第1の辺53の他端53cと第2の辺57の一端57bは各々の中央部53a、57aよりも、互いに対向する方向の反対側へ後退しているため、第1のランド52に第2の電極32が接触したり、第2のランド56に第1の電極31が接触したりすることを防ぐことができる。
これにより、第1の電極31や第2の電極32を介して、第1のランド52と第2のランド56とがショートすることを防ぐことができる。従って、第1、第2の実施形態と同様に、θズレの許容範囲を広げることができる。
【0040】
(4)第4実施形態
上記の第1〜第3実施形態では、第1の辺の中央部とその両端との間に平面視で段差は無く、第1の辺はその中央部から両端にかけて徐々に後退している場合を例示した。第2の辺についても同様の傾向を例示した。しかしながら、本発明において、第1、第2の辺の中央部とその両端との間には、平面視で段差があってもよい。
図9は、本発明の第4実施形態に係る配線基板60の構成例を示す平面図である。図9(a)に示すように、この配線基板60では、第1の配線11のソルダーレジスト20から露出している部分の先端には第1のランド62が設けられており、第2の配線15のソルダーレジスト20から露出している部分の先端には第2のランド66が設けられている。
【0041】
ここで、第1のランド62の平面形状は凸形状であり、第1の辺63の中央部63aとその両端63b、63cとの間には平面視で段差64がある。同様に、第2のランド66の平面形状も凸形状であり、第2の辺67の中央部67aとその両端67b、67cとの間には平面視で段差68がある。このような平面形状であっても、第1のランド62に第1の電極が重なり、且つ、第2のランド66に第2の電極が重なるように、配線基板60に素子を実装することができる。
【0042】
また、第1の辺63の一端63bと第2の辺67の一端67bとの間の距離をL1とし、第1の辺63の中央部63aと第2の辺67の中央部67aとの間の距離をL2とし、第1の辺63の他端63cと第2の辺67の他端67cとの間の距離をL3としたとき、L1=L3>L2となっている。
第1の辺63の両端63b、63cと、第2の辺67の両端67b、67cはそれぞれ後退しているため、素子が±θ方向に位置ズレした場合でも、第1のランド62に第2の電極が接触したり、第2のランド66に第1の電極が接触したりすることを防ぐことができる。このため、第1〜第3の実施形態と同様に、θズレの許容範囲を広げることができる。
【0043】
(5)第5実施形態
上記の第1〜第4実施形態では、Y軸方向における第1の辺と第2の辺との間の距離(即ち、離間距離)について、その始点が第1の辺の中央部の中心であり、その終点が第2の辺の中央部の中心であるときに最小である場合を例示した。ここで、中心とは、例えばX軸方向において、両端からの距離が等しい位置のことを意味する。しかしながら、本発明において、上記の離間距離は必ずしも中心間で最小となる必要は無い。
【0044】
図10は、本発明の第5実施形態に係る配線基板70の構成例を示す平面図である。図9(a)に示すように、この配線基板70では、第1の配線11のソルダーレジスト20から露出している部分の先端には第1のランド72が設けられており、第2の配線15のソルダーレジスト20から露出している部分の先端には第2のランド76が設けられている。
【0045】
図10に示すように、この配線基板70では、第1の辺73の中央部73aと第2の辺77の中央部77aは平面視で僅かに凹んでいる。ここで、凹みの半径を距離rとする。第1の辺73の中央部73aであってその中心から距離rだけ離れた位置を第1の中央外縁73dとし、第2の辺77の中央部77aであってその中心から距離rだけ離れた位置を第2の中央外縁77dとしたとき、第1の中央外縁73dと第2の中央外縁77dとの間の距離L4が、上記の離間距離の最小値となる。
【0046】
即ち、第1の辺73の一端73bと第2の辺77の一端77bとの間の距離をL1とし、第1の辺73の中央部73aの中心と第2の辺77の中央部77aの中心との間の距離をL2とし、第1の辺73の他端73cと第2の辺77の他端77cとの間の距離をL3としたとき、L1=L3>L2>L4となっている。このような場合でも、第1〜第4実施形態と同様に、θズレの許容範囲を広げることができる。
【0047】
(6)第6実施形態
また、上記の第1〜第5実施形態では、第1のランドと第2のランドの平面形状が同一である場合を図示した。しかしながら、本発明において、第1のランドと第2のランドの平面形状は必ずしも同一である必要は無い。例えば、図11に示す第6実施形態に係る配線基板80のように、第1実施形態で説明した第1のランド12と、第3実施形態で説明した第2のランド56とが、Y軸方向において離れた状態で隣り合っていてもよい。
【0048】
このような場合でも、第1の辺13の一端13bと第2の辺57の一端57bとの間の距離をL1とし、第1の辺13の中央部13aと第2の辺57の中央部57aとの間の距離をL2とし、第1の辺13の他端13cと第2の辺57の他端57cとの間の距離をL3としたとき、L1=L3>L2であれば、第1〜第5実施形態と同様に、θズレの許容範囲を広げることができる。
【0049】
(7)その他の実施形態
なお、本発明において、ベース基板1はフレキシブル基板に限定されるものではなく、リジッド基板であってもよい。また、ベース基板1の材料は、ポリイミドに限定されるものではなく、フェノール、エポキシ、ガラスエポキシ、テフロン(登録商標)、アルミナ、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)などの各絶縁材を用いることができる。
【0050】
また、本発明において、第1の配線11、第2の配線15の各材料も、銅(Cu)に限定されるものではなく、アルミニウム、黒鉛などの各導電材を用いることができる。
また、本発明において、素子30はコンデンサに限定されるものではない。素子30は、例えば抵抗素子などでもよく、その場合は第1の電極31と第2の電極32との間に抵抗体が配置される。
なお、本発明は、LW逆転タイプの素子と、このような素子が実装される配線基板とに適用して極めて好適である。これは、LW逆転タイプでは、素子は横方向に長い(つまり、回転の半径が大きい)ため、僅かなθズレでも、素子の横方向の端部は大きく回転移動してしまうからである。
【符号の説明】
【0051】
1 ベース基板、10、40、50、60、70、80 配線基板、11 第1の配線、12、42、52、62、72 第1のランド、13、43、53、63、73 第1の辺、13a、43a、53a、63a、73a 中央部、13b、43b、53b、63b、73b 一端、13c、43c、53c、63c、73c 他端、15 第2の配線、16、46、56、66、76 第2のランド、17、47、57、67、77 第2の辺、17a、47a、57a、67a、77a 中央部、17b、47b、57b、67b、77b 一端、17c、47c、57c、67c、77c 他端、20 ソルダーレジスト、21 はんだ、21´ クリームはんだ、30 素子(例えば、コンデンサ、又は、抵抗素子)、31 第1の電極
32 第2の電極、33 誘電体、64、68 段差、73d、77d 中央外縁、100、110、120 電子部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1の面に位置する第1のランドと、
前記第1の面に位置し、第1の方向において前記第1のランドと離れた状態で隣り合う第2のランドと、
第1の電極と第2の電極とを有し、前記第1の電極が前記第1のランドに接続されると共に、前記第2の電極が前記第2のランドに接続される素子と、を備え、
前記第1のランドは前記第2のランドと向かい合う第1の辺を有し、
前記第2のランドは前記第1のランドと向かい合う第2の辺を有し、
前記第1の辺は第1の中央部と第1の端とを含み、
前記第2の辺は第2の中央部と第2の端とを含み、
前記第1の方向において、前記第1の中央部と前記第2の中央部とが向かい合うと共に、前記第1の端と前記第2の端とが向かい合い、
前記第1の端と前記第2の端との間の第1の距離は、前記第1の中央部と前記第2の中央部との間の第2の距離よりも長いことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記第1の方向における前記第1の辺と前記第2の辺との間の距離は、
当該距離の始点が前記第1の中央部から前記第1の端へ移ると共に、当該距離の終点が前記第2の中央部から前記第2の端へ移るに従って大きくなることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第1のランドと前記第2のランドは、同一の形状で同一の大きさを有し、
前記第1のランドと前記第2のランドとの間を通る中間線を軸に対称となるように配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記素子の前記第1の方向における長さよりも、前記素子の前記第1の方向と平面視で交差する第2の方向における長さの方が長いことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項5】
基板と、前記基板の第1の面に位置する第1のランドと、前記第1の面に位置し、第1の方向において前記第1のランドと離れた状態で隣り合う第2のランドと、を備え、前記第1のランドは前記第2のランドと向かい合う第1の辺を有し、前記第2のランドは前記第1のランドと向かい合う第2の辺を有し、前記第1の辺は第1の中央部と第1の端とを含み、前記第2の辺は第2の中央部と第2の端とを含み、前記第1の方向において、前記第1の中央部と前記第2の中央部とが向かい合いと共に、前記第1の端と前記第2の端とが向かい合い、前記第1の端と前記第2の端との間の第1の距離は、前記第1の中央部と前記第2の中央部との間の第2の距離よりも長い配線基板を用意する工程と、
第1の電極と第2の電極とを有する素子を用意する工程と、
前記第1の電極を前記第1のランドに接続し、前記第2の電極を前記第2のランドに接続する工程と、を含むことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項6】
基板と、
前記基板の第1の面に位置する第1のランドと、
前記第1の面に位置し、第1の方向において前記第1のランドと離れた状態で隣り合う第2のランドと、を備え、
前記第1のランドは前記第2のランドと向かい合う第1の辺を有し、
前記第2のランドは前記第1のランドと向かい合う第2の辺を有し、
前記第1の辺は第1の中央部と第1の端とを含み、
前記第2の辺は第2の中央部と第2の端とを含み、
前記第1の方向において、前記第1の中央部と前記第2の中央部とが向かい合いと共に、前記第1の端と前記第2の端とが向かい合い、
前記第1の端と前記第2の端との間の第1の距離は、前記第1の中央部と前記第2の中央部との間の第2の距離よりも長いことを特徴とする配線基板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−199269(P2012−199269A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60488(P2011−60488)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】