説明

電子部品実装用装置および1次元バーコードの読取り方法

【課題】1次元バーコードの読み取りを簡便・低コストな機構でバーコードの貼付位置の制約なく行うことができる電子部品実装用装置および1次元バーコードの読取り方法を提供することを目的とする。
【解決手段】設定された分割撮像パターンにしたがってカメラを移動させて1次元バーコードを複数回撮像することにより、1次元バーコードを分割した第1,第2,第3分割画像G1,G2,G3を取得し、取得された分割画像G1,G2,G3を合成して1次元バーコードの単一の合成バーコード画像15*を生成し、合成バーコード画像15*をスキャンすることにより1次元バーコードの情報を読み取る構成とする。これにより、大視野の撮像手段や専用の読み取り装置を必要とすることなく、1次元バーコードの読み取りを簡便な機構で低コストで行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装用装置および電子部品実装用装置において基板や電子部品を保持する部品保持部に予め印加された1次元バーコードを読み取る1次元バーコードの読取り方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年製造業においては、製品の品質保証上の要請から個々の製品履歴の追跡を可能とするいわゆるトレーサビリティの確保が求められている。例えば電子機器製造分野では、後工程または製品出荷後に不具合が発見された場合に原因を究明できるよう、工程を遡って不具合品を特定することが求められている。このため電子部品製造ラインや電子部品実装ラインなどの生産ラインを流れる基板や電子部品を保持するウェハ冶具などには、品種名や製造ロット番号、製造日付などを示す識別情報が、1次元バーコードなどの情報コードなどを用いて個別に印加される。そしてこれらの基板やウェハ冶具が生産ラインを構成する各装置に搬入されるたびにバーコードの読み取りが行われる。このような1次元バーコードの読み取りは一般にレーザセンサを用いた専用のバーコード読取り装置によって行われ、1次元バーコードをレーザ光でスキャンすることにより情報が読み取られる(特許文献1参照)。この特許文献においては、部品供給部の上方で移動する移動ビームにバーコード読取ヘッドを装着して、ウェハ冶具に貼付されたバーコードを読み取るようにしている。
【特許文献1】特許第3757900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上述の特許文献に示すバーコードの読み取りにおいては、専用装置を備える必要があることから、設備コストの増大が避けられないという問題とともに、読み取り装置の取付方向によって読み取り方向が規定されることから、読み取り可能なバーコードの貼付方向に制約があった。このように従来の電子部品実装においては、基板やウェハ冶具などに印加された1次元バーコードの読み取りを簡便・低コストな機構によってバーコードの貼付位置の制約なく行うことが困難であった。
【0004】
そこで本発明は、1次元バーコードの読み取りを簡便・低コストな機構でバーコードの貼付位置の制約なく行うことができる電子部品実装用装置および1次元バーコードの読取り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子部品実装用装置は、基板保持部によって保持された基板およびまたは電子部品を供給する部品供給部において前記電子部品を保持する部品保持部を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を撮像対象に対して相対移動させる撮像移動手段と、前記撮像手段によって取得された画像データを認識処理する認識処理部と、前記基板およびまたは前記部品保持部に予め印加されサイズが前記撮像手段の撮像視野のサイズよりも大きい1次元バーコードを、前記撮像移動手段によって前記撮像手段を移動させながらこの撮像手段によって複数回撮像して前記1次元バーコードを複数に分割した分割画像を取得するための分割撮像パターンを設定するバーコード分割撮像パターン設定部と、前記撮像手段および撮像移動手段を前記分割撮像パターンに基づいて制御する撮像制御部と、前記分割画像を合成することにより前記1次元バーコードの単一の画像を生成するバーコード画像合成部と、合成された前記単一の画像から前記1次元バーコードの情報を読み取るバーコード読取部とを備え、前記バーコード分割撮像パターン設定部は、相隣する2つの前記分割画像の
端部が相互に所定の重複幅だけ重なるように前記分割撮像パターンを設定し、前記バーコード画像合成部は、前記相隣する2つの前記分割画像の前記重複幅の範囲に設定されるマッチング領域を対象としてパターンマッチングを行うことにより、前記相隣する2つの分割画像の位置合わせを行う。
【0006】
本発明の1次元バーコードの読取り方法は、基板保持部によって保持された前記基板およびまたは前記部品供給部において前記電子部品を保持する部品保持部を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を撮像対象に対して相対移動させる撮像移動手段と、前記撮像手段によって取得された画像データを認識処理する認識処理部とを備えた電子部品実装用装置において、前記基板およびまたは前記部品保持部に予め印加されサイズが前記撮像手段の撮像視野のサイズよりも大きい1次元バーコードを読み取る1次元バーコードの読取り方法であって、前記撮像移動手段によって前記撮像手段を移動させながらこの撮像手段によって前記1次元バーコードを複数回撮像してこの1次元バーコードを複数に分割した分割画像を取得するための分割撮像パターンを設定する分割撮像パターン設定工程と、前記撮像手段および撮像移動手段を前記分割撮像パターンにしたがって制御することにより複数の前記分割画像を取得する分割画像取得工程と、前記分割画像を合成することにより前記1次元バーコードの単一の画像を生成する画像合成工程と、合成された前記単一の画像から前記1次元バーコードの情報を読み取る情報読取工程とを含み、前記分割撮像パターン設定工程において、相隣する2つの前記分割画像の端部が相互に所定の重複幅だけ重なるように前記分割撮像パターンを設定し、前記画像合成工程において、前記相隣する2つの前記分割画像の前記重複幅の範囲に設定されるマッチング領域を対象としてパターンマッチングを行うことにより、前記相隣する2つの分割画像の位置合わせを行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像手段および撮像移動手段を分割撮像パターンにしたがって制御して1次元バーコードを複数に分割した分割画像を取得し、取得された分割画像を合成して1次元バーコードの単一の画像を生成し、合成された単一の画像から1次元バーコードの情報を読み取る構成とすることにより、大視野の撮像手段や専用の読み取り装置を必要とすることなく、1次元バーコードの読み取りを簡便な機構で低コストで行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の平面図、図2は本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の側断面図、図3は本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の平断面図、図4は本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置において読取り対象となる1次元バーコードの貼着位置の説明図、図5は本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の制御系の構成を示すブロック図、図6は本発明の一実施の形態の1次元バーコードの読取り方法の処理フロー図、図7、図8、図9は本発明の一実施の形態の1次元バーコードの読取り方法を示す説明図である。
【0009】
まず図1、図2、図3を参照して、電子部品実装用装置としての電子部品搭載装置の全体構造について説明する。図2は図1におけるA−A矢視を、また図3は図2におけるB−B矢視をそれぞれ示している。図1において、基台1上には部品供給部2が配設されている。図2,図3に示すように、部品供給部2は冶具保持部3を備えており、冶具保持部3は、シート5が装着されたウェハ冶具4を着脱自在に保持する。シート5は、上面に複数の電子部品6を粘着して保持する。すなわちウェハ冶具4は、部品供給部2において電子部品6を保持する部品保持部となっている。
【0010】
図2に示すように、冶具保持部3に保持されたシート5の下方には、エジェクタ8がエジェクタ移動テーブル7によって水平移動可能に配設されている。エジェクタ8は上面に
シート5の下面に当接して下受けするとともに、電子部品6をピックアップしてシート5から取り出す際に、シート5からの電子部品6の剥離を促進する機能を有している。エジェクタ移動テーブル7は、XYテーブル機構を備えており、これにより、エジェクタ8はシート5の下面に沿って水平方向に移動する。
【0011】
図3に示すように、基台1の上面の電子部品供給部2からY方向へ離れた位置には、電子部品6が搭載される基板13を保持する基板保持部10が配置されている。基板保持部10の上流側、下流側にはそれぞれ基板搬入コンベア11、基板搬出コンベア12がX方向に直列に配列されている。基板搬入コンベア11は、基台1と連結されたサブ基台1a上に跨って配置されており、サブ基台1a上には接着剤供給部9が配設されている。接着剤供給部9は、上流側から基板搬入コンベア11に搬入された基板13に対して、チップ接着用の接着剤を塗布する。接着剤塗布後の基板13は基板保持部10に渡され、ここで電子部品が搭載された実装後の基板13は、基板搬出コンベア12によって下流側に搬出される。
【0012】
図1において、基台1の上面の両端部には、第1のY軸ベース20A,第2のY軸ベース20Bが基板搬送方向(X方向)と直交するY方向に長手方向を向けて配設されている。第1のY軸ベース20A,第2のY軸ベース20Bの上面には、長手方向(Y方向)に略全長にわたって第1方向ガイド21が配設されている。
【0013】
これらの1対の第1方向ガイド21には、第1ビーム部材31,センタービーム部材30および第2ビーム部材32の3つのビーム部材が、それぞれ両端部を第1方向ガイド21によって支持されてY方向にスライド自在に架設されている。センタービーム部材30は、ナット部材23b、送りねじ23aおよびY軸モータ22より成るセンタービームY軸移動機構によって第1方向ガイド21に沿ってY方向に水平移動する。また、第1ビーム部材31は、ナット部材25b、送りねじ25aおよびY軸モータ24より成る第1Y軸移動機構によって第1方向ガイド21に沿ってY方向に水平移動する。さらに第2ビーム部材32は、ナット部材27b、送りねじ27aおよびY軸モータ26より成る第2Y軸移動機構によって第1方向ガイド21に沿ってY方向に水平移動する。
【0014】
センタービーム部材30には搭載ヘッド33が装着されており、搭載ヘッド33は、ナット部材41b、送りねじ41aおよびX軸モータ40より成るセンタービームX軸移動機構によって第2方向ガイド42(図2参照)に案内されてX方向に移動する。搭載ヘッド33は、部品供給部2から電子部品6を取り出して、基板保持部10に保持された基板13に移送搭載する。
【0015】
第1ビーム部材31には、第1のカメラ34が装着されており、第1のカメラ34は、ナット部材44b、送りねじ44aおよびX軸モータ43より成る第1X軸移動機構によって第1ビーム部材31の側面に設けられた第2方向ガイド45(図2参照)に案内されてX方向に移動する。第2ビーム部材32には、第2のカメラ35が装着されている。第2のカメラ35は、ナット部材47b、送りねじ47aおよびX軸モータ46より成る第2X軸移動機構によって第2ビーム部材32の側面に設けられた第2方向ガイド48(図2参照)に案内されてX方向に移動する。
【0016】
第1X軸移動機構および第1Y軸移動機構を駆動することにより、第1のカメラ34はX方向、Y方向に水平移動する。これにより、第1のカメラ34は基板保持部10に保持された基板13を撮像するための基板保持部10の上方での移動を行うことができる。また第2X軸移動機構および第2Y軸移動機構を駆動することにより、第2のカメラ35はX方向、Y方向に水平移動する。これにより、第2のカメラ35は部品供給部2においてシート5に保持された電子部品6を撮像するとともに、部品供給部2において電子部品6
を保持する部品保持部であるウェハ冶具4を撮像する。
【0017】
したがって、第1のカメラ34、第2のカメラ35は、基板保持部10によって保持された基板13およびまたは電子部品6を供給する部品供給部2において電子部品6を保持する部品保持部としてのウェハ冶具4を撮像する撮像手段となっている。そして第1のカメラ34を移動させる第1X軸移動機構および第1Y軸移動機構、第2のカメラ35を移動させる第2X軸移動機構および第2Y軸移動機構は、上記撮像手段を撮像対象に対して相対移動させる撮像移動手段となっている。なお本実施の形態においては、電子部品を保持する部品保持部としてチップ状の電子部品6を貼着保持するウェハ冶具4の例を示しているが、部品保持部としてパッケージ部品などを所定配列で収納保持するトレイを用いる例であってもよい。
【0018】
図3に示すように、電子部品供給部2と基板保持部10との間の搭載ヘッド移動機構による搭載ヘッド33の移動範囲内には、第3のカメラ17が配設されている。第3のカメラ17はライン型カメラであり、上面に配設された照明部17aを点灯した状態で、電子部品供給部2において電子部品6をピックアップした搭載ヘッド33が第3のカメラ17の上方をX方向に移動することにより、搭載ヘッド33のノズル33aに保持された電子部品6を下方から観察して電子部品6の画像を撮り込む。
【0019】
次に図4を参照して、基板13に形成された認識マーク13aおよび1次元バーコード15について説明する。図4(a)に示すように、基板13において対をなす2つの相対向する対角位置には、認識マーク13aが設けられている。基板搬入コンベア11によって搬送され部品実装位置まで搬送された基板13の上方に第1のカメラ34を移動させ、第1のカメラ34によって2つの認識マーク13aを順次撮像した画像を認識処理することにより、認識マーク13aの位置が認識される。搭載ヘッド33による基板13への部品搭載動作においては、認識マーク13aの位置認識結果および第1のカメラ34による電子部品6の位置認識結果に基づいて、電子部品6を基板13に搭載する際の位置補正が行われる。
【0020】
基板13の1つの対角位置における認識マーク13aの近傍には、当該基板13についての各種の情報が記録された1次元バーコード15が、バーコードラベルを貼着する方法などによって予め前工程にて印加されている。1次元バーコード15には、当該基板を個体として識別するためのID情報や、当該基板の品種・属性を含む製品情報など基板13に関する情報が織り込まれている。1次元バーコード15は認識マーク13aと同様に第1のカメラ34によって撮像されることにより画像として取り込まれ、この画像を認識処理することにより上述の各種の情報が読み取られる。
【0021】
図4(b)は、部品供給部2に保持されたウェハ冶具4に印加された1次元バーコード15Aを示している。この場合にも同様に、1次元バーコード15Aは電子部品6を貼着保持するシート5もしくはシート5が展張されたリング状のウェハ冶具4のいずれかにバーコードラベルを貼着する方法などによって印加される。1次元バーコード15Aには、当該電子部品6の集合体であるウェハとして識別するためのID情報や、当該電子部品6の品種・属性を含む製品情報など、電子部品6に関する情報が織り込まれている。1次元バーコード15Aは同様に第2のカメラ35によって撮像されることにより画像として取り込まれ、この画像を認識処理することにより上述の各種の情報が読み取られる。
【0022】
1次元バーコード15、15Aを撮像するために使用される第1のカメラ34、第2のカメラ35は、本来認識マーク13aや個別の電子部品6を対象として撮像することを目的として設けられており、撮像視野寸法は認識マーク13aや個別の電子部品6を完全に包含することが可能なサイズとなっている。これに対し、1次元バーコード15,15A
は認識マーク13aや個別の電子部品6のサイズよりも大きく、第1のカメラ34、第2のカメラ35の撮像視野によってバーコード全体をカバーすることができない(図7参照)。このため、本実施の形態においては、以下に説明するように、1次元バーコード15,15Aを第1のカメラ34、第2のカメラ35によって複数回撮像して1次元バーコード15,15Aの分割画像を取得し、取得された分割画像を合成することによって1次元バーコード15,15Aの単一画像を得るようにしている。
【0023】
次に図5を参照して制御系の構成を説明する。なおここでは、電子部品搭載装置の制御機能のうち、1次元バーコード15,15Aの撮像および読み取りに関連する機能についてのみ示している。図5において、制御部50はCPUを備えた演算装置であり、以下に説明する各部を統括する制御を行う。記憶部51はハードディスクなどの記憶装置であり、以下に説明する各種処理のための制御プログラムを記憶するほか、電子部品実装の対象となる基板13やウェハ冶具4に予め前工程にて印加された1次元バーコード15,15Aの形状・サイズに関するデータを含む基板データ、部品データを予め記憶している。
【0024】
バーコード分割撮像パターン設定部52は、基板およびまたは部品保持部に予め印加され、サイズが第1のカメラ34、第2のカメラ35の撮像視野のサイズよりも大きい1次元バーコード15、15Aを複数に分割した分割画像を、第1のカメラ34、第2のカメラ35によって取得するための分割撮像パターンを設定する。これらの分割画像は、撮像移動手段によって第1のカメラ34、第2のカメラ35を移動させながら第1のカメラ34、第2のカメラ35によって1次元バーコード15,15Aを複数回撮像することにより取得される。ここでバーコード分割撮像パターン設定部52は、撮像視野のサイズと記憶部51に記憶された1次元バーコード15、15Aのサイズとに基づいて、分割撮像パターンを設定するようになっている。さらに、バーコード分割撮像パターン設定部52は、相隣する2つの分割画像の端部が相互に所定の重複幅だけ重なるように分割撮像パターンを設定する。
【0025】
バーコード画像合成部53は、第1のカメラ34、第2のカメラ35によって取得された1次元バーコード15、15Aの分割画像を合成することにより、1次元バーコード15、15Aの単一の画像を生成する。このときバーコード画像合成部53は、相隣する2つの分割画像の重複幅の範囲内に設定されるマッチング領域を対象としてパターンマッチングを行うことにより、相隣する2つの分割画像の位置合わせを行うようになっている。このパターンマッチングには、正規化相関パターンマッチングの手法が用いられる。
【0026】
バーコード読取部54は、合成された1次元バーコード15の単一の画像から1次元バーコード15、15Aの情報を読み取る。機構駆動部55は、第1のカメラ34、第2のカメラ35を移動させる撮像移動手段、すなわち第1のカメラ34を移動させる第1X軸移動機構および第1Y軸移動機構、第2のカメラ35を移動させる第2X軸移動機構および第2Y軸移動機構を駆動する。
【0027】
制御部50が、バーコード分割撮像パターン設定部52によって設定された分割撮像パターンに基づいて、機構駆動部55および第1のカメラ34、第2のカメラ35を制御することにより、第1のカメラ34、第2のカメラ35は基板13やウェハ冶具4の上方へ移動し、1次元バーコード15、15Aを複数回撮像して複数の分割画像を取得する。したがって制御部50は、撮像手段および撮像移動手段を分割撮像パターンに基づいて制御する撮像制御部として機能する。認識処理部56は、第1のカメラ34、第2のカメラ35および第3のカメラ17によって取得された画像データを認識処理する。これにより認識マーク13aや電子部品6の位置認識が行われる。
【0028】
次に電子部品を基板に実装する電子部品実装ラインに使用される電子部品実装用装置に
おける1次元バーコードの読取り方法について、図6のフローに沿って図7、図8を参照しながら説明する。ここでは、基板13に予め印加されサイズが撮像手段である第1のカメラ34の撮像視野のサイズよりも大きい1次元バーコード15を読み取る場合の処理を示している。なお部品供給部2に保持されたウェハ冶具4に予め印加された1次元バーコード15Aを、第2のカメラ35によって読み取る場合においても同様の処理が実行される。
【0029】
図6においてまず上流側装置から基板13が基板搬入コンベア11に搬入される(ST1)とともに、記憶部51からこの基板13の基板データが読み出されることにより、当該基板13に印加された1次元バーコード15のサイズを含むデータが読み込まれる。次いで、1次元バーコード15を第1のカメラ34の撮像視野のサイズに合わせて分割する(ST2)。すなわち撮像移動手段によって第1のカメラ34を移動させながら、第1のカメラ34によって1次元バーコード15を複数に分割した分割画像を取得するための分割撮像パターンを、バーコード分割撮像パターン設定部52によって設定する(分割撮像パターン設定工程)。
【0030】
ここでは図7(a)に示すように、長さ寸法Lの1次元バーコード15を、長手方向の視野サイズaの撮像視野Vによって分割して撮像する。撮像視野Vの内部には、1次元バーコード15を分割するための分割領域Rが長手方向の領域寸法bで設定されている。この分割撮像パターン設定工程において、分割パターンを決定する際には、まず複数の分割領域Rを相隣接させることによって長さ寸法Lを完全にカバーできるような分割数を求める。ここでは領域寸法bの分割領域Rを3つ隣接させることによって長さ寸法Lがカバー可能となっている。
【0031】
次に上記分割数に基づき、撮像視野Vの位置を決定する。すなわち図7(b)、(c)、(d)に示すように、相隣する分割領域Rのエッジラインが重なって隣接するように順次撮像視野Vの位置を決定し、このときの撮像視野の代表点の位置を、バーコード撮像位置P1,P2,P3としてそれぞれ求める。このとき隣接する各撮像視野Vは、重複幅Dだけ重なった位置関係にある。すなわち分割撮像パターンの設定においては、相隣する2つの分割画像の端部が相互に所定の重複幅だけ重なるように、分割撮像パターンを設定する。後述するように重複幅Dの範囲には、分割画像相互をつなぎ合わせて合成画像を作成する際のパターンマッチングの対象となる領域が含まれる。
【0032】
次いで、第1のカメラ34および第1のカメラ34を移動させる撮像移動手段を、設定された分割撮像パターンにしたがって制御部50によって制御することにより、1次元バーコード15の分割画像を取得する(分割画像取得工程)。すなわち、図8(a)に示すように、まず第1分割目のバーコード撮像位置P1へ撮像視野Vの代表点を移動させ(ST3)、第1のカメラ34によって第1分割目の範囲を撮像して、第1分割画像G1を取得する(ST4)。
【0033】
そして次分割の有無を確認し(ST5)、次分割有ならば(ST3)に戻って次分割を対象として同様の処理を実行し、図8(b)、(c)に示すように、N分割目(第2分割目、第3分割目)のバーコード撮像位置P2,P3へ撮像視野Vの代表点を移動させ、第2分割画像G2,第3分割画像G3を順次取得する。そして(ST5)にて次分割無しを確認して、分割画像取得工程を終了する。次に、1次元バーコード15の画像合成処理が実行される(ST6)。すなわちこのようにして取得された複数の分割画像をバーコード画像合成部53によって合成することにより、1次元バーコード15の単一の画像を生成する(画像合成工程)。本実施の形態に示す画像合成工程においては、前述の重複幅Dを重ね合わせてパターンマッチングを行うことにより、分割画像相互の位置合わせを高精度で行うようにしている。
【0034】
すなわち、図9(a)に示すように、まず第1分割画像G1内にの分割領域R1の右端部のエッジラインを含んでマッチング処理領域r1を設定し、第2分割画像G2内に設定された分割領域R2の左端部のエッジラインを含んでマッチング参照領域r2を設定する。ここで、マッチング処理領域r1、マッチング参照領域r2は、本来相隣接する2つの分割領域R1,R2の位置ずれ誤差を検出することを目的とするパターンマッチングのために設定されるマッチング領域である。マッチング処理領域r1はマッチング処理の対象となる処理領域であり、マッチング参照領域r2はマッチング処理において参照されるテンプレートとして用いられる領域である。すなわちこの画像合成工程においては、相隣する2つの分割画像の重複幅の範囲に設定されるマッチング領域を対象としてパターンマッチングを行うことにより、相隣する2つの分割画像の位置合わせを行う。
【0035】
ここで行われるパターンマッチングには、正規化相関パターンマッチングの手法が用いられる。すなわち、マッチング処理領域r1、マッチング参照領域r2においてこれら領域内の画像全体の平均明度を求め、これら領域を構成する各画素の明度からそれぞれの平均明度を差し引いて正規化した上で、マッチング処理領域r1、マッチング参照領域r2のパターンが最も一致する位置をサーチする。本実施の形態に示す例では、±3画素分程度をカバーするサーチを行えばよく、マッチング回数は7回程度でよい。これにより、撮像の際の照明状態のばらつきやノイズなどの影響を極力少なくして、安定したマッチング精度を確保することができ、分割画像の位置合わせ用のデータ、すなわち相隣接する2つの分割領域R1,R2を連結する際の位置ずれ補正量を、高精度で求めることができる。
【0036】
次いで図8(a)に示す処理と同様の処理が、第2分割画像G2、第3分割画像G3を対象として実行される。これにより、分割画像G1と第2分割画像G2との位置合わせ用のデータと、第2分割画像G2と第3分割画像G3との位置合わせ用のデータが取得される。そしてこれらの位置合わせ用のデータを用いて、図9(b)に示すように、分割画像G1、第2分割画像G2、第3分割画像G3を位置合わせして単一の合成バーコード画像15*を生成する処理を行う。これにより、撮像時の位置誤差などに起因する誤差を極力排除した高精度の画像合成が可能となっている。そしてこのようにして合成された単一の合成バーコード画像15*から、バーコード読取部54によって1次元バーコード15の情報を読み取る(ST7)(情報読取工程)。
【0037】
上記説明したように、本実施の形態においては、撮像手段の撮像視野のサイズよりも大きいサイズの1次元バーコードを複数回撮像して複数の分割画像を取得するための分割撮像パターンを設定し、撮像手段および撮像移動手段を分割撮像パターンにしたがって制御して取得された複数の分割画像を合成して1次元バーコードの単一の画像を生成するようにしている。これにより、大視野の撮像手段や専用の撮像手段を必要とすることなく、1次元バーコードの読み取りを簡便な機構で低コストで行うことができる。
【0038】
さらに本実施の形態においては、X方向、Y方向に移動自在な第1のカメラ34、第2のカメラ35によって1次元バーコード15、15Aを撮像するようにしていることから、基板13やウェハ冶具4におけるバーコード貼り付け方向の制約がない。すなわち、レーザスキャナを用いた専用の読取り装置によって1次元バーコードを読み取る従来技術においては、読取り装置の配置方向によって規定される一定の方向に合わせてバーコードを貼着する必要があるのに対し、本実施の形態においては任意の方向にバーコードを貼着することができるという利点を有している。
【0039】
なお本実施の形態においては、基板13、ウェハ冶具4の双方にそれぞれ1次元バーコード15、15Aが印加されている例を示したが、基板13、ウェハ冶具4のいずれか一方に1次元バーコード15または1次元バーコード15Aを印加する形態でもよい。また
本実施の形態においては、電子部品実装用装置として部品保持部(ウェハ冶具4)から電子部品6を取り出して基板13に搭載する電子部品搭載装置の例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1次元バーコードが印加された部品保持部または基板のいずれかを作業対象とする装置であれば、本発明の適用対象となる。すなわち電子部品実装分野において、部品保持部から電子部品を取り出す部品取出し装置や、基板を対象として各種の検査を行う検査装置などにおいても、本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の電子部品実装用装置および1次元バーコードの読取り方法は、大視野の撮像手段や専用の撮像手段を必要とすることなく、バーコードの読み取りを簡便な機構で低コストで行うことができるという効果を有し、電子部品搭載装置など電子部品実装分野の各種装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の平面図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の側断面図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の平断面図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置において読取り対象となる1次元バーコードの貼着位置の説明図
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品搭載装置の制御系の構成を示すブロック図
【図6】本発明の一実施の形態の1次元バーコードの読取り方法の処理フロー図
【図7】本発明の一実施の形態の1次元バーコードの読取り方法を示す説明図
【図8】本発明の一実施の形態の1次元バーコードの読取り方法を示す説明図
【図9】本発明の一実施の形態の1次元バーコードの読取り方法を示す説明図
【符号の説明】
【0042】
2 部品供給部
4 ウェハ冶具
6 電子部品
10 基板保持部
13 基板
15、15A 1次元バーコード
34 第1のカメラ
35 第2のカメラ
V 撮像視野
R 分割領域
G1 第1分割画像
G2 第2分割画像
G3 第3分割画像
r1 マッチング処理領域
r2 マッチング参照領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板保持部によって保持された基板およびまたは電子部品を供給する部品供給部において前記電子部品を保持する部品保持部を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を撮像対象に対して相対移動させる撮像移動手段と、前記撮像手段によって取得された画像データを認識処理する認識処理部と、
前記基板およびまたは前記部品保持部に予め印加されサイズが前記撮像手段の撮像視野のサイズよりも大きい1次元バーコードを、前記撮像移動手段によって前記撮像手段を移動させながらこの撮像手段によって複数回撮像して前記1次元バーコードを複数に分割した分割画像を取得するための分割撮像パターンを設定するバーコード分割撮像パターン設定部と、
前記撮像手段および撮像移動手段を前記分割撮像パターンに基づいて制御する撮像制御部と、前記分割画像を合成することにより前記1次元バーコードの単一の画像を生成するバーコード画像合成部と、合成された前記単一の画像から前記1次元バーコードの情報を読み取るバーコード読取部とを備え、
前記バーコード分割撮像パターン設定部は、相隣する2つの前記分割画像の端部が相互に所定の重複幅だけ重なるように前記分割撮像パターンを設定し、
前記バーコード画像合成部は、前記相隣する2つの前記分割画像の前記重複幅の範囲に設定されるマッチング領域を対象としてパターンマッチングを行うことにより、前記相隣する2つの分割画像の位置合わせを行うことを特徴とする電子部品実装用装置。
【請求項2】
前記バーコード画像合成部は、前記パターンマッチングに正規化相関パターンマッチングの手法を用いることを特徴とする請求項1記載の電子部品実装用装置。
【請求項3】
基板保持部によって保持された前記基板およびまたは前記部品供給部において前記電子部品を保持する部品保持部を撮像する撮像手段と、前記撮像手段を撮像対象に対して相対移動させる撮像移動手段と、前記撮像手段によって取得された画像データを認識処理する認識処理部とを備えた電子部品実装用装置において、前記基板およびまたは前記部品保持部に予め印加されサイズが前記撮像手段の撮像視野のサイズよりも大きい1次元バーコードを読み取る1次元バーコードの読取り方法であって、
前記撮像移動手段によって前記撮像手段を移動させながらこの撮像手段によって前記1次元バーコードを複数回撮像してこの1次元バーコードを複数に分割した分割画像を取得するための分割撮像パターンを設定する分割撮像パターン設定工程と、
前記撮像手段および撮像移動手段を前記分割撮像パターンにしたがって制御することにより複数の前記分割画像を取得する分割画像取得工程と、前記分割画像を合成することにより前記1次元バーコードの単一の画像を生成する画像合成工程と、合成された前記単一の画像から前記1次元バーコードの情報を読み取る情報読取工程とを含み、
前記分割撮像パターン設定工程において、相隣する2つの前記分割画像の端部が相互に所定の重複幅だけ重なるように前記分割撮像パターンを設定し、
前記画像合成工程において、前記相隣する2つの前記分割画像の前記重複幅の範囲に設定されるマッチング領域を対象としてパターンマッチングを行うことにより、前記相隣する2つの分割画像の位置合わせを行うことを特徴とする1次元バーコードの読取り方法。
【請求項4】
前記画像合成工程において、前記パターンマッチングに正規化相関パターンマッチングの手法を用いることを特徴とする請求項3記載の1次元バーコードの読取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−146328(P2009−146328A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325551(P2007−325551)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】