説明

電気光学装置の製造方法、電気光学装置および投射型表示装置

【課題】少ない工程数、かつ、適正な研磨量で、隣接する画素電極の間隙と画素電極の表面とを面一とすることのでき、さらに光反射性の画素電極の表面を鏡面とすることのできる電気光学装置の製造方法、該電気光学装置、および当該電気光学装置をライトバルブとして用いた投射型表示装置を提供すること。
【解決手段】電気光学装置を製造するにあたって、突条部形成工程において、層間絶縁膜8を選択的にエッチングして、画素電極9aの形成予定領域に凹部8eを形成するとともに、隣接する凹部8eの間に突条部8fを残す。そして、導電膜形成工程において、層間絶縁膜8の表面側に画素電極9aを形成するための光反射性導電膜9を形成した後、研磨工程において、光反射性導電膜9を表面から研磨して突条部8fを露出させる。突条部8fの表面と画素電極9aの表面とは面一であり、かつ、画素電極9aの表面は鏡面である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持基板上の複数の画素の各々に画素スイッチング素子および画素電極が形成された素子基板を有する電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および当該電気光学装置をライトバルブとして用いた投射型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の電気光学装置のうち、液晶装置では、支持基板上に電界効果型トランジスタ等の画素スイッチング素子および島状の画素電極が形成された素子基板と、対向基板とが対向配置されているとともに、素子基板と対向基板との間に液晶層が保持されている。このような電気光学装置では、配向膜に対するラビングを均一に行なうという観点からすると、隣接する画素電極の間隙に充填物が形成され、充填物の表面と画素電極の表面とが面一になっていることが好ましい。
【0003】
また、画素電極を光反射性導電膜により形成して反射モードで画像の表示を行なう反射型電気光学装置では、画素電極の表面が鏡面であることが好ましい。そこで、画素電極を島状に形成した後、隣接する画素電極の間隙を完全に埋めるように充填物を形成し、しかる後に、充填物の表面および画素電極の表面を研磨する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−347828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、隣接する画素電極の間隙と画素電極の表面とを面一とし、かつ、画素電極の表面を鏡面とすることを目的に、画素電極を島状に形成する工程に加えて、充填物の形成工程と、充填物の表面および画素電極の表面を研磨する工程とを追加する必要があるため、生産性が低いという問題点がある。また、特許文献1に記載の方法では、充填物の表面および画素電極の表面を研磨する際、表面観察では、研磨の終点を判別しにくいため、研磨量の制御が困難であり、完全な平坦化を実現するのが困難であるという問題点がある。すなわち、研磨の前後のいずれにおいても、素子基板の表面には島状の画素電極の存在が見えるだけで、充填物の表面および画素電極の表面が面一になったか否かを判別するのが困難である。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明では、少ない工程数、かつ、適正な研磨量で、隣接する画素電極の間隙と画素電極の表面とを面一とすることのできる電気光学装置の製造方法、該電気光学装置、および当該電気光学装置をライトバルブとして用いた投射型表示装置を提供することにある。
【0006】
また、本発明の課題は、少ない工程数で、光反射性の画素電極を表面を鏡面とすることのできる電気光学装置の製造方法、該電気光学装置、および当該電気光学装置をライトバルブとして用いた投射型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、支持基板上の複数の画素の各々に、画素スイッチング素子、および該画素スイッチング素子に電気的に接続された島状の画素電極が形成された素子基板を有する電気光学装置の製造方法において、前記画素スイッチング素子を形成した後、該画素スイッチング素子の上層側に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、該絶縁膜に対して、前記画素スイッチング素子と前記画素電極とを電気的に接続するためのコンタクトホールを形成するコンタクトホール形成工程と、前記絶縁膜を選択的にエッチングして、前記画素電極の形成予定領域に凹部を形成するとともに、隣接する前記凹部の間に突条部を残す突条部形成工程と、前記絶縁膜の表面に前記画素電極を形成するための導電膜を形成する導電膜形成工程と、前記導電膜を表面から研磨して前記突条部を露出させる研磨工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明では、絶縁膜形成工程で画素スイッチング素子の上層側に絶縁膜を形成した後、突条部形成工程において、前記絶縁膜を選択的にエッチングして、前記画素電極の形成予定領域に凹部を形成するとともに、隣接する前記凹部の間に突条部を残し、次に、導電膜形成工程において、前記絶縁膜の表面側に前記画素電極を形成するための導電膜を形成し、しかる後に、研磨工程において、前記導電膜を表面から研磨して前記突条部を露出させる。その結果、前記突条部で囲まれた領域内には導電膜が島状に形成され、かかる島状の導電膜によって画素電極が形成されることになる。また、隣接する画素電極の間隙は、絶縁膜の突条部で埋められ、かかる突条部の表面と画素電極の表面とは面一である。従って、隣接する画素電極の間隙が凹部になっていないので、画素電極の表面に配向膜を形成した際、配向膜に対するラビング処理を均一に行なうことができる。また、研磨工程で導電膜をパターニングして画素電極を形成するので、画素電極を形成するためのマスク形成工程やエッチング工程を行なう必要がない分、工程数が少なくてよい。
【0009】
本発明において、前記突条部形成工程では、前記凹部および前記突条部を形成すればよく、前記凹部の底部に前記絶縁膜を残さない構成、および前記凹部の底部に前記絶縁膜を残す構成のいずれを採用してもよい。
【0010】
これらの形態のうち、前記突条部形成工程において、前記凹部の底部に前記絶縁膜を残す場合、前記絶縁膜については、上下に形成された導電層の電気的な絶縁を行なう層間絶縁膜として利用することができ、前記突条部を形成するにあたって、別途、絶縁膜を追加する必要がない。
【0011】
本発明において、前記導電膜形成工程では、前記突条部の高さ寸法以上の厚さに前記導電膜を形成することが好ましい。このような厚さに導電膜を形成すると、前記研磨工程において、前記突条部が露出した時点を研磨の終点とするだけで、突条部の表面と画素電極の表面とを面一にすることができる。
【0012】
本発明において、前記導電膜形成工程では、前記導電膜として光反射性導電膜を形成することが好ましい。このように構成すると、反射型の電気光学装置を製造することができ、かかる反射型電気光学装置では特に、反射性の画素電極が鏡面であることが求められることから、本発明を適用した効果が顕著である。また、本発明では、研磨工程の前は光反射性導電膜が全体に形成された状態にあり、前記光反射性導電膜が島状に分離されれば、光反射性導電膜が画素電極としてパターニングされたことになるので、研磨工程の終点を容易に判別することができる。それ故、研磨不足や過度の研磨が発生せず、研磨量を適正に制御することができる。
【0013】
本発明を適用した電気光学装置の製造方法において、前記凹部の底部に前記絶縁膜を残す構成を採用した場合、本発明を適用した電気光学装置は、以下の構成となる。すなわち、支持基板上の複数の画素の各々に、画素スイッチング素子、および該画素スイッチング素子に電気的に接続された島状の画素電極が形成された素子基板を有し、当該素子基板において、前記画素電極が絶縁膜上に形成されている電気光学装置において、隣接する前記画素電極の間隙は、前記絶縁膜の表面の形成された突条部で埋められ、前記画素電極の表面と前記突条部の表面とが面一に形成されていることを特徴とする。
【0014】
この場合、本発明を適用した電気光学装置では、前記絶縁膜が、上下に形成された導電層の電気的な絶縁を行なう層間絶縁膜であることが好ましい。
【0015】
本発明を適用した電気光学装置において、前記画素電極は、光反射性導電膜により形成されていることが好ましく、この場合、反射型電気光学装置を構成することができる。
【0016】
本発明を適用した反射型電気光学装置は、携帯電話機やモバイルコンピュータ等の電子機器の他、投射型表示装置のライトバルブとして用いることができる。この場合、投射型表示装置は、本発明を適用した電気光学装置に光を供給するための光源部と、前記電気光学装置によって光変調された光を被投射面に投射する投射光学系とを備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。なお、電界効果型トランジスタを流れる電流の方向が反転する場合、ソースとドレインとが入れ替わるが、以下の説明では、便宜上、画素電極が接続されている側をドレインとし、データ線が接続されている側をソースとして説明する。
【0018】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した反射型電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。図1に示すように、反射型電気光学装置100は、液晶パネル100pを有しており、液晶パネル100pは、その中央領域に複数の画素100aがマトリクス状に配列された画素領域10bを備えている。かかる液晶パネル100pにおいて、後述する素子基板10には、画素領域10bの内側で複数本のデータ線6aおよび複数本の走査線3aが縦横に延びており、それらの交点に対応する位置に画素100aが構成されている。複数の画素100aの各々には、画素スイッチング素子としての電界効果型トランジスタ30、および後述する画素電極9aが形成されている。電界効果型トランジスタ30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、電界効果型トランジスタ30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、電界効果型トランジスタ30のドレインには、画素電極9aが電気的に接続されている。
【0019】
素子基板10において、画素領域10bの外側領域には走査線駆動回路104およびデータ線駆動回路101が構成されている。データ線駆動回路101は各データ線6aの一端に電気的に接続しており、画像処理回路から供給される画像信号を各データ線6aに順次供給する。走査線駆動回路104は、各走査線3aに電気的に接続しており、走査信号を各走査線3aに順次供給する。
【0020】
各画素100aにおいて、画素電極9aは、後述する対向基板に形成された共通電極と液晶を介して対向し、液晶容量50aを構成している。また、各画素100aには、液晶容量50aで保持される画像信号の変動を防ぐために、液晶容量50aと並列に保持容量60が付加されている。本形態では、保持容量60を構成するために、複数の画素100aに跨って走査線3aと並行して延びた容量線3bが形成されている。
【0021】
(液晶パネルおよび素子基板の構成)
図2(a)、(b)は各々、本発明を適用した反射型電気光学装置100の液晶パネル100pを各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。図2(a)、(b)に示すように、反射型電気光学装置100の液晶パネル100pでは、所定の隙間を介して素子基板10と対向基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、シール材107は対向基板20の縁に沿うように配置されている。シール材107は、光硬化樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材が配合されている。本形態において、素子基板10の支持基板は透光性基板10dであり、対向基板20の支持基板も、同様な透光性基板20dである。
【0022】
素子基板10において、シール材107の外側領域では、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路101および複数の端子102が形成されており、この一辺に隣接する他の辺に沿って走査線駆動回路104が形成されている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、素子基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための上下導通材109が形成されている。
【0023】
詳しくは後述するが、素子基板10には、光反射性の画素電極9a(光反射層)がマトリクス状に形成されている。これに対して、対向基板20には、シール材107の内側領域に遮光性材料からなる額縁108が形成され、その内側が画像表示領域10aとされている。また、対向基板20には、ITO(Indium Tin Oxide)膜からなる共通電極21が形成されている。なお、対向基板20には画素電極9a間と対向する位置にブラックマトリクスあるいはブラックストライプと称せられる遮光膜(図示せず)が形成されることがある。また、画素領域10bには、額縁108と重なる領域にダミーの画素が構成される場合があり、この場合、画素領域10bのうち、ダミー画素を除いた領域が画像表示領域10aとして利用されることになる。
【0024】
このように形成した反射型電気光学装置100では、対向基板20の側から入射した光が画素電極9aで反射して再び、対向基板20の側から出射される間に液晶層50によって画素毎に光変調される結果、画像が表示される。ここで、反射型電気光学装置100は、モバイルコンピュータ、携帯電話機等といった電子機器のカラー表示装置として用いることができ、この場合、対向基板20には、カラーフィルタ(図示せず)や保護膜が形成される。また、対向基板20の光入射側の面には、使用する液晶層50の種類、すなわち、TN(ツイステッドネマティック)モード、STN(スーパーTN)モード等々の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が所定の向きに配置される。さらに、反射型電気光学装置100は、後述する投射型表示装置(液晶プロジェクタ)において、RGB用のライトバルブとして用いることができる。この場合、RGB用の各反射型電気光学装置100の各々には、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになるので、カラーフィルタは形成されない。
【0025】
(各画素の構成)
図3(a)、(b)は各々、本発明を適用した反射型電気光学装置100に用いた素子基板10において相隣接する画素の平面図、およびそのA−A′線に相当する位置で素子基板10を切断したときの断面図である。なお、図3(a)において、画素電極9aについては長い点線で示し、データ線6aについては一点鎖線で示し、走査線3aおよび容量線3bは実線で示し、半導体層1aは短くて細い点線で示してある。また、隣接する画素電極9aの間隙9sには、複数のドットを付してある。
【0026】
図3(a)、(b)に示すように、素子基板10には、石英基板やガラス基板等からなる透光性基板10d(支持基板)の第1面10xおよび第2面10yのうち、対向基板20側に位置する第1面10xにシリコン酸化膜等からなる透光性の下地絶縁層15が形成されているとともに、その上層側において、画素電極9aと重なる位置にNチャネル型の電界効果型トランジスタ30が形成されている。電界効果型トランジスタ30は、島状のポリシリコン膜、あるいは島状の単結晶半導体層からなる半導体層1aに対して、チャネル領域1g、低濃度ソース領域1b、高濃度ソース領域1d、低濃度ドレイン領域1c、および高濃度ドレイン領域1eが形成されたLDD構造を備えている。半導体層1aの表面側には、シリコン酸化膜からなる透光性のゲート絶縁層2が形成されており、ゲート絶縁層2の表面に、金属膜やドープトシリコン膜からなるゲート電極(走査線3a)が形成されている。また、半導体層1aにおける高濃度ドレイン領域1eからの延設部分には、ゲート絶縁層2を介して容量線3bが対向し、保持容量60が形成されている。なお、本形態において、電界効果型トランジスタ30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を備えているが、高濃度ソース領域および高濃度ドレイン領域が走査線3aに自己整合的に形成されている構造を採用してもよい。また、本形態では、ゲート絶縁層2は、熱酸化により形成されたシリコン酸化膜からなるが、CVD法等により形成されたシリコン酸化膜やシリコン窒化膜を用いることもできる。
【0027】
電界効果型トランジスタ30の上層側には、シリコン酸化膜等とった透光性絶縁膜からなる層間絶縁膜7、8が形成されている。層間絶縁膜7の表面には金属膜やドープトシリコン膜からなるデータ線6aが形成され、データ線6aは、層間絶縁膜7に形成されたコンタクトホール7aを介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続している。
【0028】
層間絶縁膜8の表面には、アルミニウム単体膜、アルミニウム合金膜、銀単体膜、銀合金膜、あるいはそれらの積層膜からなる光反射性の画素電極9a(反射層)が形成され、その上層には配向膜16が形成されている。
【0029】
このように構成した素子基板10は、画素電極9aと共通電極21とが対面するように対向基板20に対向配置され、かつ、これらの基板間には、シール材107により囲まれた空間内に電気光学物質としての液晶層50が封入されている。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で、素子基板10および対向基板20に形成された配向膜16、26により所定の配向状態をとる。液晶層50は、例えば一種または数種のネマティック液晶を混合したもの等からなる。
【0030】
(素子基板10の最表面の平坦化対策)
このように構成した反射型電気光学装置100において、素子基板10では、層間絶縁膜8の表面に島状の画素電極9aが形成され、隣接する画素電極9aの間に間隙9sが存在する。但し、本形態では、層間絶縁膜8の表面には、画素電極9aが形成されている領域に凹部8eが形成され、画素電極9aは凹部8eの内部を完全に充填した状態にある。言い換えると、層間絶縁膜8の表面には、隣接する凹部8eで挟まれた領域に突条部8fが形成され、かかる突条部8fによって、隣接する画素電極9aの間隙9sが完全に埋められている。このため、隣接する画素電極9aの間隙9sが凹部になっていないので、配向膜16の表面は平坦である。また、画素電極9aの表面および突条部8fの表面は、面一になるように研磨されており、画素電極9aの表面は鏡面になっている。
【0031】
(反射型電気光学装置100の製造方法)
以下、図4を参照して、反射型電気光学装置100の製造工程のうち、層間絶縁膜8を形成した以降の工程を説明する。図4は、本発明を適用した反射型電気光学装置100の製造方法を示す工程断面図である。
【0032】
図4(a)に示すように、素子基板10の表面側(透光性基板10d(支持基板)の第1面10x)に、電界効果型トランジスタ30等を覆うように、シリコン酸化物等によって層間絶縁膜8を形成した後(絶縁膜形成工程)、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、層間絶縁膜8にコンタクトホール8aを形成する(コンタクトホール形成工程)。
【0033】
次に、突条部形成工程においては、まず、図4(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術等を利用して、隣接する画素電極9aの間隙9sに相当する領域に沿って感光性樹脂等からなるエッチングマスク91を形成する。次に、図4(c)に示すように、エッチングマスク91の開孔領域から層間絶縁膜8の表面を選択的にエッチングし、層間絶縁膜8の表面のうち、エッチングマスク91の開孔領域に相当する領域に凹部8eを形成する。かかる凹部8eは、画素電極9aの形成予定領域と一致する。また、層間絶縁膜8の表面には、隣接する凹部8eで挟まれた領域に突条部8fが形成される。かかるエッチングの際、コンタクトホール8aの底部で半導体層1aがエッチングされないように、選択性の高いエッチングが好ましい。従って、エッチングには、ウエットエッチングが好ましい。なお、エッチングとして、ドライエッチング等の選択性の低いエッチングを行なう場合には、エッチング量を考慮して、図4(a)に示す工程を終えた時点で、コンタクトホール8aの底部に絶縁膜を残せばよい。
【0034】
次に、図4(d)に示す導電膜形成工程では、層間絶縁膜8の上層側にアルミニウム単体膜、アルミニウム合金膜、銀単体膜、銀合金膜、あるいはそれらの積層膜からなる光反射性導電膜9を形成する。その際、光反射性導電膜9の膜厚については、突条部8fの高さ寸法(凹部8eの深さ寸法)よりも厚くする。
【0035】
次に、図4(e)に研磨工程では、光反射性導電膜9を表面から研磨する。かかる研磨は、突条部8fが露出するまで行なう。本形態では、突条部8fが露出した時点を研磨の終点とする。その結果、突条部8fで囲まれた領域のみに光反射性導電膜9が島状に残り、かかる光反射性導電膜9によって、島状の画素電極9aが形成される。かかる研磨工程としては化学機械研磨を利用でき、かかる化学機械研磨では、研磨液に含まれる化学成分の作用と、研磨剤と透光性基板10dとの相対移動によって、高速で平滑な研磨面を得ることができる。より具体的には、研磨装置において、不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等からなる研磨布(パッド)を貼り付けた定盤と、透光性基板10dを保持するホルダとを相対回転させながら、研磨を行なう。その際、例えば、平均粒径が0.01〜20μmの酸化セリウム粒子、分散剤としてのアクリル酸エステル誘導体、および水を含む研磨剤を研磨布と透光性基板10dとの間に供給する。
【0036】
しかる後に、配向膜16を形成し、素子基板10を得る。かかる素子基板10では、層間絶縁膜8の突条部8fによって、隣接する画素電極9aの間隙9sが完全に埋められている。このため、隣接する画素電極9aの間隙9sが凹部になっていないので、配向膜16の表面は平坦である。また、画素電極9aの表面および突条部8fの表面は、面一になるように研磨されており、画素電極9aの表面は鏡面になっている。
【0037】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、突条部形成工程において、層間絶縁膜8を選択的にエッチングして、画素電極9aの形成予定領域に凹部8eを形成するとともに、隣接する凹部8eの間に突条部8fを残すため、導電膜形成工程において、層間絶縁膜8の表面側に画素電極9aを形成するための光反射性導電膜9を形成した後、研磨工程において、光反射性導電膜9を表面から研磨して突条部8fを露出させるだけで、画素電極9を形成することができる。また、隣接する画素電極9aの間隙9sは、層間絶縁膜8の突条部8fで埋められ、かかる突条部8fの表面と画素電極9aの表面とは面一である。従って、隣接する画素電極9aの間隙9sが凹部になっていないので、画素電極9aの表面に配向膜16を形成した後、配向膜16に対するラビング処理を均一に行なうことができる。また、研磨工程で光反射性導電膜9をパターニングして画素電極9aを形成するので、画素電極9aを形成するためのマスク形成工程やエッチング工程を行なう必要がない分、工程数が少なくてよい。
【0038】
また、本形態では、突条部形成工程において、凹部8eの底部に絶縁膜を残すため、凹部8eや突条部8fを形成するための絶縁膜を層間絶縁膜8として利用することができ、凹部8eや突条部8fを形成するための絶縁膜を追加する必要がない。
【0039】
また、導電膜形成工程において、導電膜として光反射性導電膜9を形成するだけで、光反射性の画Z素電極9aの表面を鏡面とすることができる。従って、本形態に係る電気光学装置100を、図5(a)を参照して後述する投射型表示装置のライトバルブとして用いた際、反射光の出射効率が高いので、品位の高い画像を表示することができる。
【0040】
また、本形態の製造方法によれば、研磨工程の前は光反射性導電膜9が全体に形成された状態にあり、光反射性導電膜9が島状に分離されれば、光反射性導電膜9が画素電極9aとしてパターニングされたことになるので、研磨工程の終点を容易に判別することができる。それ故、研磨不足や過度の研磨が発生せず、研磨量を適正に制御することができる。
【0041】
[他の実施の形態]
上記形態では、層間絶縁膜8の表面に凹部8eおよび突条部8fを形成したため、突条部形成工程において、凹部8eの底部に絶縁膜を残したが、層間絶縁膜8の表面に別の絶縁膜を形成し、かかる別の絶縁膜によって突条部8fを形成する場合、凹部の底部に別の絶縁膜を残す必要はない。
【0042】
上記形態では、光反射性導電膜9の膜厚を突条部8fの高さ寸法(凹部8eの深さ寸法)よりも厚くしたが、光反射性導電膜9の膜厚が突条部8fの高さ寸法(凹部8eの深さ寸法)よりも薄くしてもよい。この場合、研磨工程では、突条部8fが露出した以降も所定時間、研磨を行い、凹部8e内の光反射性導電膜9の表面を研磨すればよい。
【0043】
上記形態では、反射型電気光学装置の製造に本発明を適用したが、透過型の電気光学装置の製造に本発明を適用してもよく、この場合、ITO膜等の透光性導電膜によって、画素電極を形成することになる。かかる透過型の電気光学装置でも、本発明を適用すれば、平坦面に配向膜16を形成することができるので、ラビング処理を均一に行なうことができるという利点がある。
【0044】
[電子機器への搭載例]
本発明に係る反射型電気光学装置100は、図5(a)に示す投射型表示装置(液晶プロジェクタ/電子機器)や、図5(b)、(c)に示す携帯用電子機器に用いることができる。
【0045】
図5(a)に示す投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置した光源部810、インテグレータレンズ820および偏光変換素子830を備えた偏光照明装置800と、この偏光照明装置800から出射されたS偏光光束をS偏光光束反射面841により反射させる偏光ビームスプリッタ840と、偏光ビームスプリッタ840のS偏光光束反射面841から反射された光のうち、青色光(B)の成分を分離するダイクロイックミラー842と、青色光が分離された後の光束のうち、赤色光(R)の成分を反射させて分離するダイクロイックミラー843とを有している。また、投射型表示装置1000は、各色光が入射する3枚の反射型電気光学装置100(反射型電気光学装置100R、100G、100B)を備えている。さらに、投射型表示装置1000は、3つの反射型電気光学装置100R、100G、100Bにて変調された光をダイクロイックミラー842、843、および偏光ビームスプリッタ840にて合成した後、この合成光をスクリーン860に投写する。
【0046】
また、図5(b)に示す携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001、スクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての反射型電気光学装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、反射型電気光学装置100に表示される画面がスクロールされる。図5(c)に示す情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)は、複数の操作ボタン4001、電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての反射型電気光学装置100を備えており、電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が反射型電気光学装置100に表示される。
【0047】
さらに、対向基板20等にカラーフィルタを形成すれば、カラー表示可能な反射型電気光学装置100を形成することができる。また、カラーフィルタを形成した反射型電気光学装置100を用いれば、単板式の投射型表示装置を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明を適用した反射型電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】(a)、(b)は各々、本発明を適用した反射型電気光学装置の液晶パネルを各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【図3】(a)、(b)は各々、本発明を適用した反射型電気光学装置に用いた素子基板において相隣接する画素の平面図、およびそのA−A′線に相当する位置で素子基板を切断したときの断面図である。
【図4】本発明を適用した反射型電気光学装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図5】本発明を適用した反射型電気光学装置を用いた電子機器の説明図である。
【符号の説明】
【0049】
8・・層間絶縁膜、8e・・凹部、8f・・突条部、9a・・画素電極、9s・・隣接する画素電極の間隙、10・・素子基板、10d・・透光性基板(支持基板)、30・・電界効果型トランジスタ、50・・液晶層、100・・反射型電気光学装置、100a・・画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板上の複数の画素の各々に、画素スイッチング素子、および該画素スイッチング素子に電気的に接続された島状の画素電極が形成された素子基板を有する電気光学装置の製造方法において、
前記画素スイッチング素子を形成した後、該画素スイッチング素子の上層側に絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
該絶縁膜に対して、前記画素スイッチング素子と前記画素電極とを電気的に接続するためのコンタクトホールを形成するコンタクトホール形成工程と、
前記絶縁膜を選択的にエッチングして、前記画素電極の形成予定領域に凹部を形成するとともに、隣接する前記凹部の間に突条部を残す突条部形成工程と、
前記絶縁膜の表面に前記画素電極を形成するための導電膜を形成する導電膜形成工程と、
前記導電膜を表面から研磨して前記突条部を露出させる研磨工程と、
を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項2】
前記突条部形成工程では、前記凹部の底部に前記絶縁膜を残すことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項3】
前記絶縁膜は、上下に形成された導電層の電気的な絶縁を行なう層間絶縁膜であることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項4】
前記導電膜形成工程では、前記突条部の高さ寸法以上の厚さに前記導電膜を形成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項5】
前記研磨工程では、前記突条部が露出した時点を研磨の終点とすることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項6】
前記導電膜形成工程では、前記導電膜として光反射性導電膜を形成することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
【請求項7】
支持基板上の複数の画素の各々に、画素スイッチング素子、および該画素スイッチング素子に電気的に接続された島状の画素電極が形成された素子基板を有し、当該素子基板において、前記画素電極が絶縁膜上に形成されている電気光学装置において、
隣接する前記画素電極の間隙は、前記絶縁膜の表面の形成された突条部で埋められ、
前記画素電極の表面と前記突条部の表面とが面一に形成されていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
前記絶縁膜は、上下に形成された導電層の電気的な絶縁を行なう層間絶縁膜であることを特徴とする請求項7に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記画素電極は、光反射性導電膜により形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の電気光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電気光学装置を備えた投射型表示装置であって、
前記電気光学装置に光を供給するための光源部と、前記電気光学装置によって光変調された光を被投射面に投射する投射光学系とを備えていることを特徴とする投射型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−222978(P2009−222978A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67200(P2008−67200)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】