説明

電気光学装置の駆動装置及び方法、並びに電気光学装置及び電子機器

【課題】サブフィールド駆動を行う電気光学装置の駆動装置において、走査速度の上昇を抑制しつつサブフィールド駆動で階調再現力を向上させる。
【解決手段】電気光学装置は、相交差する走査線及びデータ線並び画素部を備える。駆動装置は、走査信号を供給する走査信号供給手段と、データ線を介してサブフィールド単位の画像信号を、走査信号が第i(但しiは自然数)番目の走査線を介して供給される第i選択期間中に複数回供給する画像信号供給手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブフィールド駆動することにより階調制御を行う、例えば液晶装置等の電気光学装置の駆動装置及び方法、並びに該駆動装置を備える電気光学装置及び例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の駆動装置では、1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールドにおいて、各画素部に対し、階調に応じてオン電圧又はオフ電圧を印加する。即ち、サブフィールド駆動する。例えば、特許文献1には、オン電圧を印加した場合に電気光学材料の透過率が飽和するまでの飽和応答時間よりもサブフィールドの時間を短く設定し、表示データに基づいてオン電圧を印加するサブフィールドとオフ電圧を印加するサブフィールドとを決定して階調表現を行う技術が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−114661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、サブフィールド駆動では、表現可能な階調数を増やすには、1フィールドを構成するサブフィールドの個数を増やす必要がある。よって、サブフィールド駆動でないフィールド駆動と比べて、走査速度或いは駆動周波数を極端に高める必要が生じ、駆動装置、配線、スイッチング素子等における対応が極めて困難になるという技術的問題点がある。
【0005】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、走査速度の上昇を抑制しつつサブフィールド駆動で階調再現力を向上させることが可能な電気光学装置の駆動装置及び方法、並びに、該駆動装置を備えた電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気光学装置の第1の駆動装置は上記課題を解決するために、画像表示領域に相交差して配線された複数の走査線及び複数のデータ線並びに該複数の走査線及び複数のデータ線の交点に対応するように配列された複数の画素部を備える電気光学装置をサブフィールド駆動する電気光学装置の駆動装置であって、前記複数の走査線を介して走査信号を、供給する走査信号供給手段と、前記複数のデータ線を介して、1フレームが時間軸上で分割されてなる複数のサブフィールド単位の画像信号を、前記走査信号が前記複数の走査線のうち第i(但しiは自然数)番目の走査線を介して供給される第i選択期間中に複数回供給する画像信号供給手段とを備える。
【0007】
本発明の第1の駆動装置によれば、その動作時には、例えば電源信号、データ信号、制御信号等の各種信号が入出力されると、例えば基板上に作り込まれた走査線駆動回路等を含む走査信号供給手段によって、走査信号が複数の走査線を介して、画素部に例えば線順次で供給される。これと並行して、例えば基板上に作り込まれたデータ線駆動回路、サンプリング回路等を含む画像信号供給手段によって、画像信号が複数のデータ線を介して、画素部に同時に又は逐次に供給される。ここに「画素部」は、例えば、基板上に画像表示領域にマトリクス状に配列され、一対の基板間に液晶等の電気光学物質を挟持してなり、画素スイッチング用TFTによってアクティブ駆動が実行される。例えば、画素スイッチング用TFTのゲート端子に走査信号が印加されると、データ線から供給される画像信号が、画素スイッチング用TFTのソースドレインを介して、画素部を構成する画素電極に書き込まれる。その結果、例えば、画素部を構成する画素電極と対向電極間との間に画像信号に対応する駆動電圧が印加され、液晶の配向状態等の電気光学物質の動作状態が変えられる。
【0008】
ここで本発明では特に、「画像信号供給手段」は、複数の走査線のうち特定の第i番目の走査線に走査信号が供給されている間に、データ線を介して画像信号を複数回供給する。即ち、一本の走査線が選択されている最中に、その走査線に接続された一つの画素部に書き込まれる画像信号が、変化される。「第i選択期間」は、複数の走査線のうち特定の第i番目の走査線に走査信号が供給されている期間、つまり一水平走査期間を意味している。「画像信号」は、典型的には、サブフィールド駆動で用いられるデジタルのオン電圧又はオフ電圧であり、これが各画素に印加されると、デジタル駆動、即ちサブフィールド駆動が行われる。
【0009】
このように第i選択期間に、画像信号が複数回書き込まれることによって、一つの選択期間内に、画像信号のオン電圧及びオフ電圧が適宜に切り換えられることで、画素部は、例えば線順次方式でサブフィールド駆動される。言い換えれば、一つの選択期間が一つのサブフィールドに対応するのではなく、一つの選択期間が複数のサブフィールドに対応する或いは分割されていることになる。つまり、第i選択期間に画像信号が複数回書き込まれることによって画素を反転駆動させることを、全ての走査線について繰り返せば、実質的に1フレームを時間軸上で複数のサブフィールドに分割した場合と等価であるとみなすことができる。従って、走査線の駆動スピードを上げることなくサブフィールドの数を作りだすことが可能である。このように各画素部における、サブフィールド駆動による表示動作等の電気光学動作が行われる。
【0010】
尚、第i選択期間には、典型的には、走査信号がハイとされたまま維持されるが、走査信号がハイとされた後に一旦ローとされ、再びハイとされるなど、同一の走査線に対して走査信号が供給される、即ち同一の走査線が選択され続けている(即ち走査信号を供給すべき走査線に変化が無い)限りにおいて、走査信号のハイ/ローの変化又は無変化については問わない。
【0011】
以上のように第1の駆動装置によれば、走査線の走査スピードを増加させることなく、画像信号の書き込みタイミングによってサブフィールドの数を増加させることができる。その結果、例えば複数の走査線が順次駆動されることによって画像が表示される線順次方式の表示装置においても、階調数の多いサブフィールド駆動によって高品質な画像表示が可能となる。
【0012】
本発明の第1の駆動装置の他の態様では、前記画像信号供給手段は、前記画像信号として、前記複数のサブフィールドの各々について、前記複数の画素部毎に表示すべき階調に応じたオン電圧又はオフ電圧を供給する。
【0013】
この態様によれば、各サブフィールドにおいて画素に表示すべき階調に応じたオン電圧および/またはオフ電圧の2値によるデータ信号を印加することによって、デジタル駆動(サブフィールド駆動)を行う。つまり、サブフィールド毎に画素はオン電圧又はオフ電圧を印加されることによって、即ち、中間調電位の画像信号が供給されることはなく、各画素部におけるオン電圧による表示(即ち、真っ白又は真っ黒)とオフ電圧による表示(即ち、真っ黒又は真っ白)との時間平均によって、視覚上における複数階調が実現される。例えば、1フレームがM個のサブフィールドに分割されれば、実現可能な階調の数はM+1となる。
【0014】
尚、画像信号に基づいて、どのサブフィールドにおいてオン電圧および/またはオフ電圧を印加するかは、予めメモリ等の記憶装置に格納されているコードパターンを用意しておき、それに従って判断するとよい。
【0015】
本発明の第1の駆動装置の他の態様では、前記画像信号供給手段は、前記複数のサブフィールドのうち少なくとも2つ以上のサブフィールドについては、前記画像信号を前記第i選択期間中に複数回供給し、前記複数のサブフィールドのうち前記少なくとも2つ以上のサブフィールドを除く他のサブフィールドについては、前記画像信号を前記第i選択期間中に1回だけ供給する。
【0016】
この態様によれば、画像信号供給手段は、サブフィールドのうち少なくとも2つ以上のサブフィールドにおいて、画像信号を第i選択期間中に複数回供給する。このようにすれば、特定のサブフィールドを画像信号の供給タイミングによって更に細かいサブフィールドに分割することができる。そのため、容易にサブフィールドの数の多くすることができ、階調表現を豊かにすることができる。尚、画像信号を複数階供給されないサブフィールドを含んでいてもよい。
【0017】
本発明の第1の駆動装置の他の態様では、前記画像信号供給手段は、前記第i選択期間中に、前記画像信号を連続して複数回供給する。
【0018】
この態様によれば、第i選択期間において連続して供給する画像信号数を増やすだけで、サブフィールドの数を極めて容易に増やすことができる。また、供給される画像信号の各々の間には、余分な信号等が入っていないため、各サブフィールドの期間も極めて短くすることができる。その結果、1フィールドにおけるサブフィールドの数を飛躍的に増大させることが可能となり、高画質な表示装置の駆動装置を実現することができる。
【0019】
本発明の第1の駆動装置の他の態様では、前記画像信号供給手段は、前記第i選択期間中に、前記画像信号を不連続で複数回供給する。
【0020】
この態様では、画像信号供給手段によって画像信号を供給するタイミングを調整することにより、各画素に供給される複数の画像信号のうち時間的に隣接する2つの画像信号の間に、任意の待ち時間を設ける。つまり、このような待ち時間を設けることによって、各サブフィールドの時間幅を任意に調整することが可能となり、サブフィールドの数に対して表示可能な階調数を増大させることも可能となる。
【0021】
本発明の第1の駆動装置の他の態様では、前記画像信号供給手段は、前記第i選択期間中における等間隔の期間毎に、前記画像信号を複数回供給する。
【0022】
この態様によれば、1水平時間を等分割した時間毎に画像信号を供給する。そのため、比較的簡単な制御によって、特定の期間を有するサブフィールドを1水平時間内に効率的に配置することが可能になる。
【0023】
本発明の第1の駆動装置の他の態様では、前記画像信号供給手段は、前記第i選択期間中における不等間隔又は任意の期間毎に、前記画像信号を複数回供給する。
【0024】
この態様では、画像信号供給手段によって画像信号を供給するタイミングを任意に調整することができる。つまり、1水平期間を、様々な期間を有するサブフィールドに分割することが可能となり、サブフィールドの数に対して表示可能な階調数を増大させることも可能となる。
【0025】
本発明の第1の駆動装置の他の態様では、前記走査信号供給手段は、前記画像表示領域が前記走査線に沿った分割線で分割されてなる複数の領域別に交代で、前記走査信号を供給し、前記画像信号供給手段は、前記画像信号を前記走査信号に同期して供給する。
【0026】
このように構成すれば、画像表示領域上において上下に離れた複数の領域を交互に、例えば線順次で走査線を駆動することが可能になる。そして、走査線を駆動させる走査信号に同期するようにしてデータ線に画像信号を供給することで、複数の領域毎に走査(即ち領域走査)を実行できる
この態様では、前記走査信号供給手段は、前記複数の領域を交代する前と後とで前記複数の走査線のうち同一の走査線を介して、前記走査信号を供給するように構成してもよい。
【0027】
このように構成すれば、画像表示領域において上下に離れた複数の領域の走査線を駆動させるのに用いられていた走査信号が、複数の領域を交代する前と後とで同一の走査線に対して供給される。即ち、時間軸上で相前後して供給される複数の走査信号によって1本の走査線が駆動される。このようにして駆動される走査線を例えば線順次でシフトさせることによって、領域走査におけるサブフィールド駆動により階調数を増大させることが可能となる。
【0028】
本発明の電気光学装置の第2の駆動装置は上記課題を解決するために、画像表示領域に相交差して配線された複数の走査線及び複数のデータ線並びに該複数の走査線及び複数のデータ線の交点に対応するように配列された複数の画素部を備える電気光学装置をサブフィールド駆動する電気光学装置の駆動装置であって、前記複数の走査線を介して走査信号を、前記画像表示領域が前記走査線に沿った分割線で分割されてなる複数の領域別に交代で、供給する走査信号供給手段と、前記複数のデータ線を介して、1フレームが時間軸上で分割されてなる複数のサブフィールド単位の画像信号を、前記走査信号に同期して供給する画像信号供給手段とを備え、前記走査信号供給手段は、前記複数の領域を交代する前と後とで前記複数の走査線のうち同一の走査線を介して、前記走査信号を供給する。
【0029】
本発明の第2の駆動装置によれば、その動作時には、走査信号供給手段によって、走査信号が複数の走査線を介して、画素部に例えば線順次で供給される。これと並行して、画像信号供給手段によって、画像信号が複数のデータ線を介して、画素部に同時に又は逐次に供給される。
【0030】
ここで本発明では特に、走査信号供給手段によって、画像表示領域が走査線に沿った分割線で分割されてなる複数の領域別に交代で、走査信号が複数の走査線を介して例えば線順次で供給される。しかも、この際、複数の領域を交代する前と後とで、複数の走査線のうち同一の走査線を介して、走査信号が供給される。よって、複数の領域毎に走査(即ち領域走査)を実行できる。しかも、この際、複数の領域を交代する前と後とで同一の走査線を介して走査信号が供給されるので、領域走査におけるサブフィールド駆動により階調数を増大させることが可能となる。
【0031】
尚、画像表示領域上において上下に離れた複数の領域の一方の領域について、このように複数の領域を交代する前と後とで同一走査線を介して走査信号を供給し、他方の領域については、同一走査線を介して走査信号を連続して2回ずつ供給するように構成してもよい。即ち、一方の領域については、自らの走査が行われる順番が回ってきた際に、走査線に走査信号が1回だけ供給され、次の自らの走査が行われる順番が回ってきた際に、同一走査線に再び走査信号が1回だけ供給される。そして、他方の領域については、自らの走査が行われる順番が回ってきた際に、同一走査線に対して走査信号が続けて2回供給されるように構成されてもよい。
【0032】
以上のように第2の駆動装置によれば、領域走査において、走査線の走査スピードを増加させることなく、画像信号の書き込みタイミングによってサブフィールドの数を増加させることができる。その結果、例えば複数の走査線が順次駆動されることによって画像が表示される線順次方式の表示装置においても、階調数の多いサブフィールド駆動によって高品質な画像表示が可能となる。
【0033】
第2の駆動装置の一態様では、前記画像信号供給手段は、前記複数の領域を交代する前と後とに亘って、等間隔の期間毎に前記画像信号を供給する。
【0034】
この態様によれば、各サブフィールドの期間が等しくなることから、1フレームにおいて複数のサブフィールドを効率的に配置することができる。
【0035】
尚、第2の駆動装置においての、上述した本発明の第1の駆動装置と同様の態様を適宜採用することが可能である。
【0036】
本発明の電気光学装置の第1の駆動方法は上記課題を解決するために、画像表示領域に相交差して配線された複数の走査線及び複数のデータ線並びに該複数の走査線及び複数のデータ線の交点に対応するように配列された複数の画素部を備える電気光学装置をサブフィールド駆動する電気光学装置の駆動方法であって、前記複数の走査線を介して走査信号を、供給する走査信号供給工程と、前記複数のデータ線を介して、1フレームが時間軸上で分割されてなる複数のサブフィールド単位の画像信号を、前記走査信号が前記複数の走査線のうち第i(但しiは自然数)番目の走査線を介して供給される第i選択期間中に複数回供給する画像信号供給工程とを備える。
【0037】
本発明の第1の駆動方法によれば、上述した本発明の第1の駆動装置の場合と同様に、応答特性変化に対して安定した電気光学装置の駆動が実現できる。
【0038】
尚、本発明の第1の駆動方法においても、上述した本発明の第1の駆動装置と同様の各種態様を採ることが可能である。
【0039】
本発明の電気光学装置の第2の駆動方法は上記課題を解決するために、画像表示領域に相交差して配線された複数の走査線及び複数のデータ線並びに該複数の走査線及び複数のデータ線の交点に対応するように配列された複数の画素部を備える電気光学装置をサブフィールド駆動する電気光学装置の駆動方法であって、前記複数の走査線を介して走査信号を、前記画像表示領域が前記走査線に沿った分割線で分割されてなる複数の領域別に交代で、供給する走査信号供給工程と、前記複数のデータ線を介して、1フレームが時間軸上で分割されてなる複数のサブフィールド単位の画像信号を、前記走査信号に同期して供給する画像信号供給工程とを備え、前記走査信号供給工程は、前記複数の領域を交代する前と後とで前記複数の走査線のうち同一の走査線を介して、前記走査信号を供給する。
【0040】
本発明の第2の駆動方法によれば、上述した本発明の第2の駆動装置の場合と同様に、応答特性変化に対して安定した電気光学装置の駆動が実現できる。
【0041】
尚、本発明の第2の駆動方法においても、上述した本発明の第1の駆動装置と同様の各種態様を採ることが可能である。
【0042】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置の第1又は第2の駆動装置(但し、その各種態様を含む)を具備してなる。
【0043】
本発明の電気光学装置によれば、上述した本発明の第1又は第2の駆動装置を具備しているので、各画素部における応答特性変化によらずに、高品位の画像表示が可能となる。
【0044】
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置を具備してなる。
【0045】
本発明に係る電子機器によれば、上述した本発明に係る液晶装置を具備してなるので、高品位の表示が可能な、投射型表示装置、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明に係る電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置等も実現することが可能である。
【0046】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
[第1実施形態]
先ず第1実施形態に係る電気光学装置の駆動装置の全体構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、第1実施形態に係る画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0048】
図1において、画像表示装置は、主に、コントローラ40、走査線駆動回路104、データ線駆動回路101、及び表示パネル14とを備える。画像表示装置は、画像信号を取得し、これを表示させるための装置である。具体的には、画像表示装置は、1フィールドを時間軸上で複数のサブフィールドに分割して各サブフィールドにおいて各画素を階調に応じてオン電圧又はオフ電圧を印加するサブフィールド駆動方式に基づいて、画像を表示する。つまり、1サブフィールド期間内で全画素を順次、オン若しくはオフに相当する2値の電圧のどちらかで書込み、この動作を1フィールドを構成する全てのサブフィールドにおいて繰り返し実行することで、1フィールド期間の明るさを画素別に決定する。このように画像信号は、コントローラ40が含む変換回路等によって、画素毎に表示すべき階調に対応するオン電圧又はオフ電圧を持つデジタル信号として、コントローラ40から供給される。
【0049】
コントローラ40は、クロック信号clkと、垂直走査信号VSと、水平走査信号HSと、画像信号Dと、を外部から取得する。そして、コントローラ40は、これらの取得した信号に基づいて、スタートパルスDYと、走査側転送クロックCLYと、データ転送クロックCLXと、イネーブル信号ENBXと,画像データ信号Dsと、を生成する。スタートパルスDYは、走査側(Y側)に対する走査の開始タイミングで出力されるパルス信号である。走査側転送クロックCLYは、走査側(Y側)の水平走査を規定する信号である。イネーブル信号ENBXは、データ線駆動回路104へデータ転送を開始する、及び走査線毎データを画素14cへ出力するタイミングを決めるパルス信号であって、走査側転送クロックCLYのレベル遷移(即ち、立ち上がり及び立ち下がり)に同期して出力される。データ転送クロックCLXは、データ線駆動回路101へデータを転送するタイミングを規定する信号である。画像データ信号Dsは、画像信号Dに対応する電圧信号であり、サブフィールド期間毎に画素14cをオン状態又はオフ状態にするためのハイレベル又はローレベルを示すデータである。
【0050】
走査線駆動回路104は、コントローラ40から、スタートパルスDYと、走査側転送クロックCLYとを取得することにより、表示パネル14の走査線14aに対して走査信号G1、G2、G3、…、Gnを順次出力する。具体的には、走査線駆動回路11はシフトレジスタで構成されており、コントローラ40から供給されるスタートパルスDYを走査側転送クロックCLYに従って、走査線14aを順次駆動、つまり線順次方式によって駆動する。尚、本実施形態では線順次方式で走査線14aを駆動する例を便宜上示しているが、他の駆動方式を用いて走査線を駆動してもよい。
【0051】
データ線駆動回路101は、コントローラ40から、イネーブル信号ENBXと、データ転送クロックCLXと、データ信号Dsとを取得し、表示パネル14のデータ線14bに対してデータ信号d1、d2、d3、…、dmを出力する。具体的には、データ線駆動回路101は、ある水平走査期間において画像データ信号Dsをデータ線14bの本数に相当するm個順次ラッチした後、ラッチしたm個の画像データ信号Dsを、次の水平走査期間において、それぞれ対応するデータ線14bにデータ信号d1、d2、d3、…、dmとして一斉に供給するものである。本実施形態では、当該駆動装置の動作中には、イネーブル信号ENBXはハイレベルに設定されており、画像データ信号Dsの出力値に応じて画素14cに駆動電圧が供給される。
【0052】
表示パネル14は、液晶(LCD)などによって構成され、電圧が印加されることによって画像信号などを表示する表示部である。具体的には、表示パネル14は、走査線14aと、データ線14bと、画素14cとを備える。詳しくは、表示パネル14には、n本(なお、「n」は偶数であるものとする)の走査線14aが、図においてX(行)方向に延在して形成され、m本のデータ線14bがY(列)方向に沿って延在して形成されている。そして、画素14cは、走査線14aとデータ線14bとの各交差に対応して設けられて、マトリクス状に配列されている。
【0053】
図2を参照して、駆動装置の動作時に用いる各制御信号について説明する。図2は、YスタートパルスDYと走査側転送クロックCLYと走査線駆動回路11から出力される走査信号Gnのタイミングチャートである。
【0054】
コントローラ40に垂直走査信号VSが入力されると、コントローラ40は、1垂直期間(1フィールド期間)毎にスタートパルスDYを発生する。その後、走査側転送クロックCLYに従って、走査信号G1からGnが順次出力される。具体的には、走査線駆動回路104内にシフトレジスタが組み込まれており、走査側転送クロックCLYに同期するタイミングで走査信号Gnが順次出力される。そして、1フィールド期間が経過すると、再びスタートパルスDYが入力され、走査信号Gnが再び順次出力される。
【0055】
尚、走査線側転送クロックCLYは、後に説明するように、特定の走査線に走査信号Gnが供給されることにより、当該走査線が選択駆動されている間に、複数の画像データ信号Dsを各画素に書き込む必要があるので、一般的な駆動方法に比べて周波数が小さく設定されている。
【0056】
次に、図3を参照して、特定の走査信号Gnと、画像データ信号Dsのタイミングについて、タイミングチャートを用いて説明する。図3は、走査線側転送クロックCLY、走査信号Gn(尚、図3では代表してG1及びG2のみを表示)、データ転送クロックCLX及び画像データ信号Dsの様子を示している。ここで、当該走査線側転送クロックCLYの前半の1/2周期間を期間T1、後半の1/2周期間を期間T2と規定する。ここで、期間Tiは本発明における「第i選択期間」に相当する。即ち、図3において期間T1は第1選択期間、期間T2は第2選択期間である。尚、本実施形態においては、走査信号がハイとされたまま維持されるが、走査信号がハイとされた後に一旦ローとされ、再びハイとされるなど、同一の走査線に対して走査信号が供給されてもよい。
【0057】
期間T1では、走査信号G1がハイレベルで、走査信号G2はローレベルに設定されている。一方、期間T2では、走査信号G2がハイレベルで、走査信号G3はローレベルに設定されている。このように、走査側転送クロックパルスCLYの半周期毎に順次シフトするので(図2参照)、図4に示すようにT1では、走査線Gkが駆動されており、期間T2では、走査線Gkの1つ下側に位置している走査線Gk+1が駆動される。このように駆動装置の表示部14において、走査線側転送クロックCLYの半周期毎に走査線駆動回路11から出力される走査信号Gnが順次シフトしていく。
【0058】
再び図3に戻って、期間T1では、データ線にはデータ転送クロックCLXに同期して画像データ信号Dsが印加される。つまり、走査信号Gnにより駆動された各画素14cに対して、オン又はオフ電圧からなるデジタル信号が入力され、書き込まれる。
【0059】
例えば、図3(d)に示すように、期間T1では走査信号G1により走査線が駆動されている間に、4回画像データ信号Dsが書き込まれている。期間T2では走査信号G2によって、画像表示領域において一本下側の走査線が駆動され、その間に、再び4回画像データ信号Dsが書き込まれている。尚、図3(c)では、4回ずつデータが書き込まれているが、期間T1を超えない範囲であれば、何回画像データ信号Dsを書き込んでもよい。
【0060】
このように、1本の走査線を駆動している最中に、データを複数回書き込むことによって、一水平時間(即ち、期間T1又は期間T2)を4つのサブフィールドに分割している。つまり、一水平時間において分割されて形成したサブフィールドの期間は、画像データDsの書き込みタイミングによって規定されている。尚、4回目のデータを書き込んだ後は、期間T1が終了するまでデータの書き込み動作が行われていないため、SF4はSF1〜SF3に比べて時間が長くなっている。一方、期間T2でも同様に、SF8はSF5〜SF7に比べて時間が長くなっている。
【0061】
各サブフィールドでは、オン電圧又はオフ電圧からなる画像データ信号Dsが夫々印加されるので、サブフィールド単位で各画素は駆動され、オン電圧による表示(即ち、真っ白又は真っ黒)とオフ電圧による表示(即ち、真っ黒又は真っ白)がなされる。そのため、中間調電位の画像信号が供給されることはなく、各画素はオン電圧による表示とオフ電圧による表示との時間平均によって、視覚上における複数階調が実現される。
【0062】
このように、第i選択期間に画像信号が複数回書き込まれることによって、第i選択期間を更に細かい複数のサブフィールドに分割することでサブフィールド駆動を実現することができる。従って、走査線の走査スピードを増加させることなく、画像信号の書き込みタイミングによってサブフィールドの数を増加させることができる。その結果、例えば複数の走査線が順次駆動されることによって画像が表示される線順次方式の表示装置においても、階調数の多いサブフィールド駆動によって高品質な画像表示が可能となる。
【0063】
特に本実施形態では、画像データ信号Dsは、期間T1及びT2中において夫々、連続して複数回供給されている。このように画像データ信号Dsを供給すれば、供給する画像データ信号Dsの数を増やすだけで、サブフィールドの数を極めて容易に増やすことができる。また、供給される画像データ信号Dsは連続に供給されており、各々の間に余分な信号等が入っていないため、夫々のサブフィールドの期間を極めて短くすることができる。その結果、その結果、1フィールドにおけるサブフィールドの数を飛躍的に増大させることが可能となり、高画質な表示装置の駆動装置を実現することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態では、サブフィールドを規定する画素への画像データ信号Dsの書き込みタイミングを任意に制御できる点で、前述した第1実施形態と異なる。この形態は、コントローラ40がデータ線駆動回路101に対して画像データ信号Dsの出力タイミングを任意に調整することによって実現される。
【0064】
図5は、走査線側転送クロックCLY、走査信号Gn(尚、図5では代表してG1及びG2のみを表示)、データ転送クロックCLX及び画像データ信号Dsの様子を示したタイミングチャート図である。
【0065】
図5に示すように、本実施形態においては、画像データ信号Dsは、期間T1又はT2において不連続で2回ずつ供給されている。つまり、画像データ信号Dsの供給タイミングを調整することにより、各画素に供給される複数の画像信号のうち時間的に隣接する2つの画像信号の間に、任意の待ち時間を設ける。その結果、夫々のサブフィールドの期間を任意に調整している。このように本実施形態によれば、第1実施形態に比べてサブフィールド期間をより時間的な自由度を確保しつつ規定することができる。
[第3実施形態]
続いて、第3実施形態における駆動方法について説明する。
【0066】
図6は、本実施形態に係る電気光学装置の駆動装置の電気的構成を示したブロック図である。
【0067】
コントローラ10は、クロック信号、垂直走査信号、水平走査信号、画像信号等を外部から取得し、スタートパルスDYと、走査側転送クロックCLYと、イネーブル信号ENBY1、ENBY2、ENBXと、データ転送クロックCLXと、データ信号Dsと、を生成する。イネーブル信号ENBY1、ENBY2は、ハイレベル又はローレベルを示すデータであり、走査線駆動回路104から表示パネル100に対して出力すべきデータを選択するために用いられる。イネーブル信号ENBXは、データ線駆動回路104へデータ転送を開始する、及び走査線毎にデータを画素14cへ出力するタイミングを決めるパルス信号であって、走査側転送クロックCLYのレベル遷移(即ち、立ち上がり及び立ち下がり)に同期して出力される。データ転送クロックCLXは、データ線駆動回路12へデータを転送するタイミングを規定する信号である。データ信号Dsは、コントローラ10に入力された画像信号に対応するデータであり、サブフィールド期間毎に画素14cをオン状態又はオフ状態にするためのハイレベル又はローレベルを示すデータである。
【0068】
走査線駆動回路104は、コントローラ10から、スタートパルスDYと、走査側転送クロックCLYと、イネーブル信号ENBY1、ENBY2とを取得し、表示パネル100の走査線14aに対して走査信号G1、G2、G3、…、Gnを出力する。
【0069】
データ線駆動回路101は、コントローラ40から、イネーブル信号ENBXと、データ転送クロックCLXと、データ信号Dsとを取得し、表示パネル14のデータ線14bに対してデータ信号d1、d2、d3、…、dmを出力する。
【0070】
ここで、図7を参照して、走査線駆動回路104の構成と動作について具体的に説明する。図7は、走査線駆動回路104の概略構成を示す図である。走査線駆動回路104は、2つのシフトレジスタ11aa及び11abと、アンド回路11b1〜11bnとを備えて構成されている。
【0071】
走査信号G1〜Gn/2は、走査側転送クロックCLY及びスタートパルスDYが入力され、イネーブル信号ENBY1がハイレベルに設定されることにより、シフトレジスタ11aaが順次、アンド回路11b1〜11bn/2を駆動して出力される。走査信号Gn/2+1〜Gnは、走査側転送クロックCLY及びスタートパルスDYが入力され、イネーブル信号ENBY2がハイレベルに設定されることにより、シフトレジスタ11abが順次、アンド回路11bn/2+1〜11bnを駆動して出力される。このようにして、シフトレジスタ11aaにより走査信号G1からGn/2が出力されることにより、画像表示領域10aの上半分にある走査線が駆動され、シフトレジスタ11abにより走査信号Gn/2+1からGnが出力されることにより、画像表示領域10aの下半分にある走査線が駆動される。また、2つのシフトレジスタ11aa及び11abは、走査側転送クロックCLY及びスタートパルスDYに従い、走査線G1〜Gn/2と走査線Gn/2+1〜Gnとが交互に選択されるように駆動される。従って、本変形例においては、走査信号G1〜Gnは走査側転送クロックCLY及びスタートパルスDYに従って、G1、Gn/2+1、G2、Gn/2+2、G3、Gn/2+3、・・・・、Gn/2、Gnの順で、順次駆動される(図8参照)。
【0072】
このように、例えば画像表示領域10aを大きく2つの領域に分け、夫々の領域における走査線を交互に線順次駆動することにより一方の走査線が表示している間に、他の走査線はアドレス期間に割り当てることができる。つまり、2本の走査線を交互に走査することによって、サブフィールドの期間を1垂直走査時間よりも短くすることが可能になる。即ち、サブフィールド駆動で領域走査を実施可能となる。
【0073】
次に、図9は、本実施形態の走査線側転送クロックCLYの1周期間における、走査信号Gk、イネーブル信号ENBY1及びENBY2、データ転送クロックCLX並びに画像データ信号Dsの様子をタイミングチャートとして示した図である。
【0074】
期間T1においてはイネーブル信号ENBY1がハイレベルに設定されている場合は、走査信号G1がハイレベルに設定され、イネーブル信号ENBY2がハイレベルに設定されている場合は、走査信号Gn/2+1がハイレベルに設定される。一方、期間T2においては駆動される走査線が1本ずつシフトするので、イネーブル信号ENBY1がハイレベルに設定されている場合は、走査信号G2がハイレベルに設定され、イネーブル信号ENBY2がハイレベルに設定されている場合は、走査信号Gn/2+2がハイレベルに設定される。
【0075】
図9(f)を参照すると、サブフィールドSF1では、イネーブル信号ENBY1がハイレベルになっているので、当該信号に基づいて走査線駆動回路104から走査信号G1が出力され、駆動された走査線上にある画素が駆動される。このとき各画素に画像データ信号Dsが書き込まれ、画素がオン又はオフ駆動される。
【0076】
次に、サブフィールドSF2では、イネーブル信号ENBY2がハイレベルになっているので、当該信号に基づいて走査線駆動回路104から走査信号Gn/2+1が出力され、駆動された走査線上にある画素が駆動される。このとき各画素に画像データ信号Dsが書き込まれ、画素がオン又はオフ駆動される。
【0077】
続いて、サブフィールドSF3では、サブフィールドSF2期間と同様に、イネーブル信号ENBY2がハイレベルになっているので、当該信号に基づいて走査線駆動回路11から走査信号Gkが出力され、同じ走査線に接続された各画素に2値データDsが書き込まれ、オン又はオフ駆動される。ここで、サブフィールドSF2とSF3とでは、同じイネーブル信号ENBY2によって走査線が駆動されているため、走査線駆動回路104の状態を変えることなく、単純に画像データ信号Dsを入力すればよい。
【0078】
そして、サブフィールドSF4では、再びイネーブル信号ENBY1がハイレベルになっているので、当該信号に基づいて走査線駆動回路104から走査信号G1が出力され、サブフィールドSF1期間において駆動された走査線と同じ走査線が駆動される。そして、当該走査線に接続された各画素に画像データ信号Dsが書き込まれ、オン又はオフ駆動される。
【0079】
尚、期間T2においても、図9に示す如く、各サブフィールドにおいてオン電圧又はオフ電圧からなる画像データ信号Dsが入力されることにより、画素への書き込みが行われる。
【0080】
このように、領域走査における上下領域の一方では走査信号G1(或いは走査信号Gn/2+2)の如く、切り換えの前後で同一走査線に対して走査信号が供給され、他方の領域では走査信号G2(或いは走査信号Gn/2+1)の如く、同一走査線に走査信号が2回供給されてから、他方の領域への切り替えが行われる。しかも、各サブフィールドの期間が等しくなることから、1フレームにおいて複数のサブフィールドを効率的に配置することができる。しかもイネーブル信号ENBY1及びENBY2の配置間隔を狭めること或いは広げることで、各サブフィールドの長さをより広いダイナミックレンジにて調整できる。
【0081】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、他の実施形態に比べて夫々のサブフィールドの期間や1水平時間における数を、より自由に調整することが可能となる。しかも、画像データ信号Dsの書き込み回数によってサブフィールドの数が規定されるため、走査線の走査スピードを増加させることなく、画像信号の書き込みタイミングによってサブフィールドの数を増加させることが可能であり、例えば線順次方式の表示装置においても、階調数の多いサブフィールド駆動によって高品質な画像表示が可能となる。
【0082】
<電気光学装置>
次に、上述した駆動装置が適用される電気光学装置500について、図10及び図11を参照して説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例であるTFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0083】
先ず、本実施形態に係る電気光学装置における電気光学パネルの構成について説明する。ここに図10は、本実施形態に係る電気光学パネルの構成を示す平面図であり、図11は、図10のH−H´線断面図である。
【0084】
図10及び図11において、本実施形態に係る電気光学パネル500では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10は、例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板や、シリコン基板等である。対向基板20は、例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板である。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が封入されている。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で所定の配向状態をとる。TFTアレイ基板10と対向基板20とは、複数の画素電極が設けられた画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0085】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(即ち、基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
【0086】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。尚、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0087】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
【0088】
TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通がとられている。
【0089】
続いて、図10において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。この積層構造の詳細な構成については図10では図示を省略してあるが、この積層構造の上に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料からなる画素電極9aが、画素毎に所定のパターンで島状に形成され、その表面は配向膜によって覆われている。当該配向膜は液晶50と接している。
【0090】
画素電極9aは、対向電極21に対向するように、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aに形成されている。TFTアレイ基板10における液晶層50の面する側の表面、即ち画素電極9a上には、配向膜16が画素電極9aを覆うように形成されている。
【0091】
対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば対向基板20における対向面上に平面的に見て、格子状に形成されている。対向基板20において、遮光膜23によって非開口領域が規定され、遮光膜23によって区切られた領域が、例えばプロジェクタ用のランプや直視用のバックライトから出射された光を透過させる開口領域となる。尚、遮光膜23をストライプ状に形成し、該遮光膜23と、TFTアレイ基板10側に設けられたデータ線等の各種構成要素とによって、非開口領域を規定するようにしてもよい。
【0092】
遮光膜23上には、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向するように形成されている。また遮光膜23上には、画像表示領域10aにおいてカラー表示を行うために、開口領域及び非開口領域の一部を含む領域に、図10には図示しないカラーフィルタが形成されるようにしてもよい。対向基板20の対向面上における、対向電極21上には、配向膜22が形成されている。
【0093】
尚、図10及び図11に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等の駆動回路に加えて、画像信号線上の画像信号(即ち、データ信号)をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0094】
液晶層50)を構成する液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。
【0095】
ここで保持された画像信号がリークすることを防ぐために、画素電極9aと対向電極21)との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。蓄積容量70は、画像信号の供給に応じて各画素電極9aの電位を一時的に保持する保持容量として機能する容量素子である。蓄積容量70の一方の電極は、画素電極9aと並列してTFT30のドレインに接続され、他方の電極は、定電位となるように、電位固定の容量線300に接続されている。蓄積容量70によれば、画素電極9aにおける電位保持特性が向上し、コントラスト向上やフリッカの低減といった表示特性の向上が可能となる。
【0096】
[電子機器]
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置500を適用可能な電子機器の具体例について図12及び図13を参照して説明する。
【0097】
まず、上述した実施形態に係る電気光学装置500を、可搬型のパーソナルコンピュータ(いわゆるノート型パソコン)の表示部に適用した例について説明する。図12(a)は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。同図に示すように、パーソナルコンピュータ710は、キーボード711を備えた本体部712と、本発明に係る液晶表示装置100を適用した表示部713とを備えている。
【0098】
続いて、上述した実施形態に係る電気光学装置500を、携帯電話機の表示部に適用した例について説明する。図12(b)は、この携帯電話機の構成を示す斜視図である。同図に示すように、携帯電話機720は、複数の操作ボタン721のほか、受話口722、送話口723とともに、本発明に係る液晶表示装置を適用した表示部724を備える。
【0099】
次に、図13を参照して、上述した実施形態に係る電気光学装置500をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。
【0100】
図13に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0101】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0102】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0103】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0104】
尚、図13を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0105】
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0106】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置用基板及び電気光学装置、並びに該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1実施形態に係る電気光学装置の駆動装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態で用いるスタートパルスを示す図である。
【図3】第1実施形態における制御信号のタイミングチャートを示す。
【図4】第1実施形態における電気光学装置の駆動装置の走査線の配置を示す模式図である。
【図5】第2実施形態における制御信号のタイミングチャートを示す。
【図6】第3実施形態に係る電気光学装置の駆動装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】第3実施形態に係る走査線駆動回路の概略構成を示す模式図である。
【図8】第3実施形態における走査線駆動回路の制御信号のタイミングチャート図である。
【図9】第3実施形態における制御信号のタイミングチャートを示す。
【図10】本発明を適用した電気光学装置の平面図である。
【図11】図9のH−H´断面図である。
【図12】本発明を適用した電子機器の一例である。
【図13】本発明を適用した電子機器の他の例である。
【符号の説明】
【0108】
11a シフトレジスタ、 11b アンド回路、 14 表示パネル、 14a 走査線、 14b データ線、 14c 画素、 40 コントローラ、 101 データ線駆動回路、 104 走査線駆動回路、 500 電気光学装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示領域に相交差して配線された複数の走査線及び複数のデータ線並びに該複数の走査線及び複数のデータ線の交点に対応するように配列された複数の画素部を備える電気光学装置をサブフィールド駆動する電気光学装置の駆動装置であって、
前記複数の走査線を介して走査信号を供給する走査信号供給手段と、
前記複数のデータ線を介して、1フレームが時間軸上で分割されてなる複数のサブフィールド単位の画像信号を、前記走査信号が前記複数の走査線のうち第i(但しiは自然数)番目の走査線を介して供給される第i選択期間中に複数回供給する画像信号供給手段と
を備えることを特徴とする電気光学装置の駆動装置。
【請求項2】
前記画像信号供給手段は、前記画像信号として、前記複数のサブフィールドの各々について、前記複数の画素部毎に表示すべき階調に応じたオン電圧又はオフ電圧を供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項3】
前記画像信号供給手段は、
前記複数のサブフィールドのうち少なくとも2つ以上のサブフィールドについては、前記画像信号を前記第i選択期間中に複数回供給し、
前記複数のサブフィールドのうち前記少なくとも2つ以上のサブフィールドを除く他のサブフィールドについては、前記画像信号を前記第i選択期間中に1回だけ供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項4】
前記画像信号供給手段は、前記第i選択期間中に、前記画像信号を連続して複数回供給することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項5】
前記画像信号供給手段は、前記第i選択期間中に、前記画像信号を不連続で複数回供給することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項6】
前記画像信号供給手段は、前記第i選択期間中における等間隔の期間毎に、前記画像信号を複数回供給することを特徴とする請求項4又は5に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項7】
前記画像信号供給手段は、前記第i選択期間中における不等間隔又は任意の期間毎に、前記画像信号を複数回供給することを特徴とする請求項4又は5に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項8】
前記走査信号供給手段は、前記画像表示領域が前記走査線に沿った分割線で分割されてなる複数の領域別に交代で、前記走査信号を供給し、
前記画像信号供給手段は、前記画像信号を前記走査信号に同期して供給する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項9】
前記走査信号供給手段は、前記複数の領域を交代する前と後とで前記複数の走査線のうち同一の走査線を介して、前記走査信号を供給することを特徴とする請求項8に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項10】
画像表示領域に相交差して配線された複数の走査線及び複数のデータ線並びに該複数の走査線及び複数のデータ線の交点に対応するように配列された複数の画素部を備える電気光学装置をサブフィールド駆動する電気光学装置の駆動装置であって、
前記複数の走査線を介して走査信号を、前記画像表示領域が前記走査線に沿った分割線で分割されてなる複数の領域別に交代で供給する走査信号供給手段と、
前記複数のデータ線を介して、1フレームが時間軸上で分割されてなる複数のサブフィールド単位の画像信号を、前記走査信号に同期して供給する画像信号供給手段と
を備え、
前記走査信号供給手段は、前記複数の領域を交代する前と後とで前記複数の走査線のうち同一の走査線を介して、前記走査信号を供給する
ことを特徴とする電気光学装置の駆動装置。
【請求項11】
前記画像信号供給手段は、前記複数の領域を交代する前と後とに亘って、等間隔の期間毎に前記画像信号を供給することを特徴とする請求項10に記載の電気光学装置の駆動装置。
【請求項12】
画像表示領域に相交差して配線された複数の走査線及び複数のデータ線並びに該複数の走査線及び複数のデータ線の交点に対応するように配列された複数の画素部を備える電気光学装置をサブフィールド駆動する電気光学装置の駆動方法であって、
前記複数の走査線を介して走査信号を、供給する走査信号供給工程と、
前記複数のデータ線を介して、1フレームが時間軸上で分割されてなる複数のサブフィールド単位の画像信号を、前記走査信号が前記複数の走査線のうち第i(但しiは自然数)番目の走査線を介して供給される第i選択期間中に複数回供給する画像信号供給工程と
を備えることを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項13】
画像表示領域に相交差して配線された複数の走査線及び複数のデータ線並びに該複数の走査線及び複数のデータ線の交点に対応するように配列された複数の画素部を備える電気光学装置をサブフィールド駆動する電気光学装置の駆動方法であって、
前記複数の走査線を介して走査信号を、前記画像表示領域が前記走査線に沿った分割線で分割されてなる複数の領域別に交代で、供給する走査信号供給工程と、
前記複数のデータ線を介して、1フレームが時間軸上で分割されてなる複数のサブフィールド単位の画像信号を、前記走査信号に同期して供給する画像信号供給工程と
を備え、
前記走査信号供給工程は、前記複数の領域を交代する前と後とで前記複数の走査線のうち同一の走査線を介して、前記走査信号を供給する
ことを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載の電気光学装置の駆動装置を具備してなる電気光学装置。
【請求項15】
請求項14に記載の電気光学装置を具備してなる電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−26086(P2010−26086A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185099(P2008−185099)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】